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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137604
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】排水栓制御システム
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20220914BHJP
   A47K 1/14 20060101ALI20220914BHJP
   A47K 1/00 20060101ALI20220914BHJP
   E03C 1/14 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
E03C1/22 C
A47K1/14 Z
A47K1/00 Z
E03C1/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037156
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 淳
(72)【発明者】
【氏名】正村 聡志
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061BA01
2D061BB10
2D061DA01
2D061DA02
2D061DB07
(57)【要約】
【課題】排水栓の開閉切り替えを衛生的かつ操作性良く行うことができる排水栓制御システムを提供こと。
【解決手段】排水栓3の開閉制御を行う排水栓制御システム10であって、ソレノイドアクチュエータ11と、制御装置12と、リモートコントローラ13と、を有する。ソレノイドアクチュエータ11は、排水栓3に接続されて排水栓3の開栓と閉栓とを切り替える。制御装置12は、ソレノイドアクチュエータ11を作動制御する。リモートコントローラ13は、排水栓3から離れた位置で検出対象物の接近を非接触で検出する近接センサ13Eを備え、近接センサ13Eの検出結果に基づく制御信号を制御装置12に無線通信により送信する。制御装置12は、受信した制御信号に応じて排水栓3の開栓と閉栓とを切り替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水栓の開閉制御を行う排水栓制御システムであって、
前記排水栓に接続されて前記排水栓の開栓と閉栓とを切り替えるソレノイドアクチュエータと、
該ソレノイドアクチュエータを作動制御する制御装置と、
前記排水栓から離れた位置で検出対象物の接近を非接触で検出する近接センサを備え、該近接センサの検出結果に基づく制御信号を前記制御装置に無線通信により送信するリモートコントローラと、を有し、
前記制御装置が、受信した前記制御信号に応じて前記排水栓の開栓と閉栓とを切り替える排水栓制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の排水栓制御システムであって、
前記リモートコントローラが、バッテリの駆動により前記近接センサの駆動と前記無線通信の駆動とを行う、設置位置を自由に変更可能な据え置き型の機器とされる排水栓制御システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の排水栓制御システムであって、
更に、前記排水栓から離れた位置でユーザによるプッシュ操作を検出するタクタイルスイッチを備えた別のリモートコントローラであって、前記タクタイルスイッチの検出結果に基づく制御信号を前記制御装置に無線通信により送信する前記別のリモートコントローラを有し、
前記制御装置が、前記リモートコントローラから送信される前記制御信号に応じてだけでなく前記別のリモートコントローラから送信される前記制御信号に応じても前記排水栓の開栓と閉栓とを切り替える排水栓制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水栓制御システムに関する。詳しくは、排水栓の開閉制御を行う排水栓制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、洗面器の排水栓の開閉切り替えをスイッチの操作により行うことが可能な排水栓制御システムが開示されている。具体的には、排水栓制御システムは、ユーザがスイッチの操作を行う度に、ソレノイドを用いたアクチュエータの駆動により、排水栓の開閉を切り替える構成とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7-52208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記スイッチは、衛生上の観点から、操作部への直接的な接触を避けられる構造であることが好ましい。そこで、本発明は、排水栓の開閉切り替えを衛生的かつ操作性良く行うことができる排水栓制御システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の排水栓制御システムは次の手段をとる。すなわち、排水栓制御システムは、排水栓の開閉制御を行う排水栓制御システムであって、ソレノイドアクチュエータと、制御装置と、リモートコントローラと、を有する。ソレノイドアクチュエータは、排水栓に接続されて排水栓の開栓と閉栓とを切り替える。制御装置は、ソレノイドアクチュエータを作動制御する。リモートコントローラは、排水栓から離れた位置で検出対象物の接近を非接触で検出する近接センサを備え、近接センサの検出結果に基づく制御信号を制御装置に無線通信により送信する。制御装置は、受信した制御信号に応じて排水栓の開栓と閉栓とを切り替える。
【0006】
上記構成によれば、排水栓から離れた位置に設けられる近接センサを備えたリモートコントローラにより、ユーザが、リモートコントローラや排水栓に直接触れることなく、排水栓の開栓と閉栓とを切り替えることができる。したがって、排水栓の開閉切り替えを衛生的かつ操作性良く行うことができる。
【0007】
また、本発明の排水栓制御システムは、更に次のように構成されていてもよい。リモートコントローラが、バッテリの駆動により近接センサの駆動と無線通信の駆動とを行う、設置位置を自由に変更可能な据え置き型の機器とされる。
【0008】
上記構成によれば、リモートコントローラを、ユーザにとって使用しやすい自由な位置に配置することが可能となる。詳しくは、リモートコントローラが無線通信式であることから、リモートコントローラをより簡便かつ自由な位置に配置変更することができる。
【0009】
また、本発明の排水栓制御システムは、更に次のように構成されていてもよい。排水栓制御システムが、更に、排水栓から離れた位置でユーザによるプッシュ操作を検出するタクタイルスイッチを備えた別のリモートコントローラを有する。別のリモートコントローラは、タクタイルスイッチの検出結果に基づく制御信号を制御装置に無線通信により送信する。制御装置は、リモートコントローラから送信される制御信号に応じてだけでなく別のリモートコントローラから送信される制御信号に応じても排水栓の開栓と閉栓とを切り替える。
【0010】
上記構成によれば、ユーザが、リモートコントローラを用いた非接触による開栓・閉栓の切り替え操作と、別のリモートコントローラを用いた接触による開栓・閉栓の切り替え操作と、を選択して行うことができる。したがって、例えば、別のリモートコントローラをフットスイッチとして設定することで、手が乾いているときには非接触で排水栓の開栓・閉栓の切り替えを行い、手が濡れているときにはフットスイッチで排水栓の開栓・閉栓の切り替えを行うといった操作の使い分けを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る排水栓制御システムの概略構成を示す斜視図である。
図2】ソレノイドアクチュエータによる排水栓の開閉構造を示す模式図である。
図3】排水栓制御システムの全体構成を示すブロック図である。
図4】排制御装置の制御の流れを示すフローチャートである。
図5】第2の実施形態に係る排水栓制御システムの概略構成を示す斜視図である。
図6】排水栓制御システムの全体構成を示すブロック図である。
図7】制御装置の制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0013】
《第1の実施形態》
(排水栓制御システム10の概略構成について)
始めに、本発明の第1の実施形態に係る排水栓制御システム10の構成について、図1図4を用いて説明する。なお、以下の説明において、手前、奥、上、下、左、右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。各図中に示す方向は、ユーザが、本実施形態に係る排水栓制御システム10が適用された洗面器2の正面に立つ位置を基準とした方向となっている。以下の説明において、具体的な参照図を示さない場合、或いは参照図に該当する符号がない場合には、図1図4のいずれかの図を適宜参照するものとする。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る排水栓制御システム10は、洗面化粧台Sに備えられた洗面器2の排水栓3の開閉制御を行うシステムとして構成される。具体的には、排水栓制御システム10は、排水栓3の開閉切り替えを、非接触式のリモートコントローラ(以下、非接触式リモコン)13を介した遠隔操作によって行えるようにする構成とされる。
【0015】
洗面化粧台Sには、その洗面器2の奥側の天板上に、いわゆる台付きタイプの自動水栓1が設置されている。自動水栓1は、その先端の吐水口1Aにユーザが手を差し出すことで、吐水口1Aの近傍に設けられた不図示の光電センサにより手の差し出しを検知して、吐水口1Aから吐水を行う構成とされる。また、自動水栓1は、ユーザが吐水口1Aから手を遠ざけることで、吐水口1Aからの吐水を止める構成とされる。
【0016】
排水栓3は、図2に示すように、洗面器2の底面に形成された丸穴状の排水口2Aに組み込まれている。排水口2Aは、その下部にSトラップ4Aを備える円管状の排水管4が接続され、流れ込んだ水を排水管4から重力作用により外部へと排出する構成とされる。
【0017】
排水栓制御システム10は、排水栓3から離れた任意の箇所に取り付け可能な非接触式リモコン13を備える。排水栓制御システム10は、ユーザが非接触式リモコン13に手をかざす非接触操作を行う度に、排水栓3の開栓・閉栓を順に切り替える構成とされる。本実施形態では、非接触式リモコン13は、自動水栓1の右側に並んで洗面器2の奥側の天板上に設置される。
【0018】
非接触式リモコン13を洗面器2の奥側の天板上に設置することで、洗面器2の両サイドの天板上の作業スペースを狭めることなく非接触式リモコン13を設置することができる。なお、非接触式リモコン13は、ユーザの体格に併せて、洗面器2のどちらかのサイドの天板上に設置されても良い。
【0019】
非接触式リモコン13は、その裏面に貼着された不図示の粘着テープにより、洗面器2の周囲や手前側面、或いはユーザの立つフロアF上等の適宜位置に自由に取り外し可能に取り付けられるようになっている。上記排水栓制御システム10により、ユーザが排水栓3の開閉切り替えを行うために排水栓3や排水栓3の開閉操作を行う機器に直接触れる必要がなくなるため、衛生的かつ簡便に排水栓3の開閉操作を行うことができる。
【0020】
(各部の構成について)
以下、排水栓制御システム10の各部の具体的な構成について、詳しく説明する。図2に示すように、排水栓3は、排水口2A内に上方から差し込まれて排水管4内にセットされている。上記排水栓3は、排水管4の管軸方向である上下方向に丸棒状に延びる栓本体3Aと、栓本体3Aの上端に形成された円板状に広がる頭部3Bと、を有する。
【0021】
栓本体3Aは、排水口2Aの口径よりも直径の小さな丸棒形状とされる。頭部3Bは、排水口2Aの口径と合致する直径を備える円板形状とされる。排水口2Aは、その開口が下方に向かって先細りとなるように内周面が逆切頭円錐状に傾斜した形状とされる。それに対応して、頭部3Bも、その周囲側面が、下方に向かって先細りとなるように逆切頭円錐状に傾斜した形状とされる。
【0022】
栓本体3Aは、その外周面上の周方向の4箇所の位置に、管軸方向に筋状に延びる形に突出するリブ3Cが形成された構成とされる。栓本体3Aは、排水管4内に差し込まれることで、各リブ3Cが排水管4の内周面に沿って管軸方向(上下方向)に摺動可能なようにガイドされた状態にセットされる。
【0023】
上記排水栓3は、その排水管4内に差し込まれた栓本体3Aが、排水管4内に横から張り出す操作棒3Dにより下方から持ち上げられた状態に支持されることで、頭部3Bが排水口2Aから浮いた状態、すなわち排水口2Aを開いた状態に保持される。
【0024】
上記操作棒3Dは、排水管4の途中経路に横から接続された接続管4B内に通されて設けられている。上記操作棒3Dは、ストレートな棒状部材から成り、その中間部に結合された球体3Eが、接続管4Bの内部に回転可能なように嵌め込まれてセットされた状態とされる。
【0025】
それにより、操作棒3Dは、接続管4Bに対して、球体3Eを中心に上下にシーソ運動可能なように設けられた状態とされる。上記操作棒3Dは、接続管4Bとの間に掛着されたバネ3Fの付勢力により、常時は、接続管4Bの管軸方向である水平向きに延びる状態に保持された状態とされる。
【0026】
それにより、操作棒3Dは、常時は、その排水管4に張り出す側の端部(図示左端部)により栓本体3Aを下方から持ち上げて、排水栓3の頭部3Bを排水口2Aから浮かして開栓した状態に保持する。上記操作棒3Dは、その接続管4Bから管軸方向に外れて延び出す側の端部(図示右端部)にソレノイドアクチュエータ11が接続された構成とされる。
【0027】
ソレノイドアクチュエータ11は、その本体部11Aが排水管4に一体的に固定されている。そして、ソレノイドアクチュエータ11は、その通電により本体部11A内に引き込まれる可動鉄心11Bが、上記操作棒3Dの端部(図示右端部)に接続されている。
【0028】
上記構成により、ソレノイドアクチュエータ11は、その通電前の初期状態は、可動鉄心11Bが操作棒3Dを引き込むことなく、操作棒3Dを自由状態に保持する。しかし、ソレノイドアクチュエータ11は、後述する排水栓制御システム10の制御装置12により通電されることにより、可動鉄心11Bが本体部11A内に引き込まれる。
【0029】
それにより、操作棒3Dのソレノイドアクチュエータ11と接続された側の端部(図示右端部)が、図示上方に引き込まれ、操作棒3Dの排水管4内に張り出す側の端部(図示左端部)が下方に押し下げられる。その結果、排水栓3が、重力作用により落下して、頭部3Bにより排水口2Aを閉栓した状態に切り替えられる。
【0030】
上記操作棒3Dは、ソレノイドアクチュエータ11の通電状態が解除されることにより、再び、バネ3Fの付勢力により水平向きに延びる状態に移動復帰する。それにより、操作棒3Dは、排水栓3を持ち上げて開栓した状態に切り替える。
【0031】
図1及び図3に示すように、排水栓制御システム10は、ソレノイドアクチュエータ11と、制御装置12と、非接触式リモコン13と、を備える。ソレノイドアクチュエータ11は、制御装置12と電気的に接続されており、制御装置12による通電制御により、図示しない可動鉄心を磁界内に引き込んだり引き込みを解除したりするよう動作する構成とされる。
【0032】
上記ソレノイドアクチュエータ11は、図2で前述したように、その本体部11Aから延び出す可動鉄心11Bが操作棒3Dと接続された構成とされる。それにより、ソレノイドアクチュエータ11は、制御装置12から図示しない内部のコイルに通電されて可動鉄心11Bが本体部11A内(磁界内)に引き込まれることで、操作棒3Dの図示右端部を引き上げるように操作するようになっている。
【0033】
また、ソレノイドアクチュエータ11は、上記通電が解除されることで、操作棒3Dの引き込み状態を解除する。それにより、ソレノイドアクチュエータ11は、操作棒3Dが前述したバネ3Fの付勢力により水平向きに延びる状態へと復帰する移動を許容する状態となる。
【0034】
図3に示すように、制御装置12は、演算処理部であるCPU12Aと、一時的にデータを記憶する読み書き可能な記憶部であるRAM12Bと、CPU12Aにより実行される制御プログラムを記憶する読み出し専用の記憶部であるROM12Cと、タイマ12Dと、を有する。また、制御装置12は、後述する非接触式リモコン13の送信機13Fから制御信号を受信する受信機12Eと、洗面化粧台Sの下側の収納スペース内に設けられた交流電源ACに接続されて制御装置12の各機能部に電力を供給する電源アダプタ12Fと、を有する。
【0035】
制御装置12は、CPU12AによりROM12C上に記憶された制御プログラムをRAM12B上に展開し、RAM12Bと協働して制御プログラムに基づく各種処理を実行する。それにより、制御装置12は、その出力側に電気的に接続されたソレノイドアクチュエータ11の通電制御を行う。具体的には、制御装置12は、所定時間(例えば0.015秒)間隔で図4のフローチャートに示す処理を繰り返し実行する。具体的な処理手順については後に詳述する。
【0036】
図3に示すように、非接触式リモコン13は、演算処理部であるCPU13Aと、一時的にデータを記憶する読み書き可能な記憶部であるRAM13Bと、CPU13Aにより実行される制御プログラムを記憶する読み出し専用の記憶部であるROM13Cと、タイマ13Dと、を有する。また、非接触式リモコン13は、非接触式センサである光電センサ13Eと、光電センサ13Eの検出結果に基づく制御信号を制御装置12に無線通信により送信する送信機13Fと、非接触式リモコン13の各機能部に電力を供給する乾電池やボタン型電池等で構成されるバッテリ13Gと、を有する。
【0037】
光電センサ13Eは、赤外線を投光する投光部と、投光されてユーザの手等の検出対象物に当たって反射した光を受光する受光部と、を備える。上記光電センサ13Eは、ユーザの手等の検出対象物が非接触式リモコン13に近づけられると、受光部において受光する反射光の受光量が増大する。なお、光電センサ13Eは、赤外線に代えて可視光線を投光・受光する構成であっても良い。ここで、光電センサ13Eが、本発明の「近接センサ」に相当する。
【0038】
非接触式リモコン13は、CPU13AによりROM13C上に記憶された制御プログラムをRAM13B上に展開し、RAM13Bと協働して制御プログラムに基づく各種処理を実行する。具体的には、非接触式リモコン13は、光電センサ13Eにおいてユーザの手等の検出対象物が近づけられて所定値以上の受光量が検出された場合に、送信機13Fより制御装置12の受信機12Eに制御信号を送信する。
【0039】
送信機13Fは、送信周波数315MHz、送信強度500μV/m、通信速度500bpsの通信規格に対応した、消費電力の少ない微弱無線により制御装置12の受信機12Eへの無線通信を行う。なお、送信機13Fは、特定小電力無線、bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、或いは無線LAN(例えば、Wi-Fi(登録商標))などの通信規格に対応した無線通信、或いは赤外線により受信機12Eに無線通信を行う構成であっても良い。
【0040】
(通電制御処理について)
次に、制御装置12が実行するソレノイドアクチュエータ11の通電制御処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。制御装置12は、電源が投入された初期の状態では、ソレノイドアクチュエータ11への通電を行っていない状態とされる。したがって、この初期状態では、図2で示した排水栓3は開栓された状態とされる。
【0041】
制御装置12は、先ず、その処理が開始されると、ステップS101において、非接触式リモコン13から制御信号を受信したか否かを判定する。制御装置12は、制御信号を受信していない場合(ステップS101:NO)には、処理を終了する。なお、制御装置12は、ステップS101において制御信号を受信していない場合(ステップS101:NO)に、処理をステップS101に戻すようになっていても良い。
【0042】
一方、制御装置12は、非接触式リモコン13から制御信号を受信した場合(ステップS101:YES)には、ステップS102に処理を進め、ソレノイドアクチュエータ11が通電状態であるか否かを判定する。制御装置12は、ソレノイドアクチュエータ11が通電されていない状態である場合(ステップS102:NO)には、ステップS104に処理を進め、ソレノイドアクチュエータ11を通電する。
【0043】
これにより、排水栓3が閉栓された状態に切り替えられる。制御装置12は、ステップS104の処理の後も、ソレノイドアクチュエータ11に対する通電状態を維持する。
【0044】
一方、制御装置12は、ステップS102において、ソレノイドアクチュエータ11が通電状態である場合(ステップS102:YES)には、ステップS103に処理を進め、ソレノイドアクチュエータ11への通電を解除する。これにより、排水栓3が開栓された状態に切り替えられる。したがって、上記一連の処理が繰り返し行われることで、ユーザが非接触式リモコン13の光電センサ13Eに手をかざす度に、排水栓3の閉栓・開栓を順に切り替えることができる。
【0045】
(まとめ)
以上をまとめると、第1の実施形態に係る排水栓制御システム10は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0046】
すなわち、排水栓制御システム(10)は、排水栓(3)の開閉制御を行う排水栓制御システム(10)であって、ソレノイドアクチュエータ(11)と、制御装置(12)と、リモートコントローラ(13)と、を有する。ソレノイドアクチュエータ(11)は、排水栓(3)に接続されて排水栓(3)の開栓と閉栓とを切り替える。
【0047】
制御装置(12)は、ソレノイドアクチュエータ(11)を作動制御する。リモートコントローラ(13)は、排水栓(3)から離れた位置で検出対象物の接近を非接触で検出する近接センサ(13E)を備え、近接センサ(13E)の検出結果に基づく制御信号を制御装置(12)に無線通信により送信する。制御装置(12)は、受信した制御信号に応じて排水栓(3)の開栓と閉栓とを切り替える。
【0048】
上記構成によれば、排水栓(3)から離れた位置に設けられる近接センサ(13E)を備えたリモートコントローラ(13)により、ユーザが、リモートコントローラ(13)や排水栓(3)に直接触れることなく、排水栓(3)の開栓と閉栓とを切り替えることができる。したがって、排水栓(3)の開閉切り替えを衛生的かつ操作性良く行うことができる。
【0049】
また、リモートコントローラ(13)が、バッテリの駆動により近接センサ(13E)の駆動と無線通信の駆動とを行う、設置位置を自由に変更可能な据え置き型の機器とされる。上記構成によれば、リモートコントローラ(13)を、ユーザにとって使用しやすい自由な位置に配置することが可能となる。詳しくは、リモートコントローラ(13)が無線通信式であることから、リモートコントローラ(13)をより簡便かつ自由な位置に配置変更することができる。
【0050】
《第2の実施形態》
続いて、本発明の第2の実施形態に係る排水栓制御システム10の構成について、図5図7を用いて説明する。図5図6に示すように、本実施形態に係る排水栓制御システム10は、更に、第1の実施形態で示した非接触式リモコン13とは別に、排水栓3の開栓・閉栓の切り替えを遠隔操作で行うことが可能な接触式のリモートコントローラ(以下、接触式リモコン)14を備えた構成とされる。ここで、接触式リモコン14が、本発明の「別のリモートコントローラ」に相当する。
【0051】
図5に示すように、接触式リモコン14は、本実施形態では、ユーザが洗面器2の手前側に立つフロアF上の位置に設置されて、ユーザにより足で踏み込み操作されるフットスイッチとして構成される。接触式リモコン14は、図6に示すように、演算処理部であるCPU14Aと、一時的にデータを記憶する読み書き可能な記憶部であるRAM14Bと、CPU14Aにより実行される制御プログラムを記憶する読み出し専用の記憶部であるROM14Cと、タイマ14Dと、を有する。
【0052】
また、接触式リモコン14は、接触式のセンサであるタクタイルスイッチ14Eと、タクタイルスイッチ14Eが操作された検出結果に基づく制御信号を制御装置12に無線通信により送信する送信機14Fと、接触式リモコン14の各機能部に電力を供給する乾電池やボタン型電池等で構成されるバッテリ14Gと、を有する。タクタイルスイッチ14Eは、ユーザが足で踏み込むプッシュ操作を行うことで内部の電気回路を通電させる公知の接触式のスイッチ構造となっている。
【0053】
接触式リモコン14は、CPU14AによりROM14C上に記憶された制御プログラムをRAM14B上に展開し、RAM14Bと協働して制御プログラムに基づく各種処理を実行する。具体的には、接触式リモコン14は、ユーザによりタクタイルスイッチ14Eが操作された場合に、送信機14Fより制御装置12の受信機12Eに制御信号を送信する。
【0054】
送信機14Fは、送信周波数315MHz、送信強度500μV/m、通信速度500bpsの通信規格に対応した、消費電力の少ない微弱無線により制御装置12の受信機12Eへの無線通信を行う。なお、送信機14Fは、特定小電力無線、bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、或いは無線LAN(例えば、Wi-Fi(登録商標))などの通信規格に対応した無線通信、或いは赤外線により受信機12Eに無線通信を行う構成であっても良い。
【0055】
(通電制御処理について)
次に、制御装置12が実行するソレノイドアクチュエータ11の通電制御処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。制御装置12は、所定時間(例えば0.015秒)間隔で図7のフローチャートに示す処理を繰り返し実行する。制御装置12は、第1の実施形態で示した構成と同様に、電源が投入された初期の状態では、ソレノイドアクチュエータ11への通電を行っていない状態とされる。したがって、この初期状態では、排水栓3(図5参照)は開栓された状態とされる。
【0056】
制御装置12は、先ず、その処理が開始されると、ステップS201において、非接触式リモコン13又は接触式リモコン14のいずれかから制御信号を受信したか否かを判定する。制御装置12は、制御信号を受信していない場合(ステップS201:NO)には、処理を終了する。なお、制御装置12は、ステップS201において制御信号を受信していない場合(ステップS201:NO)に、処理をステップS201に戻すようになっていても良い。
【0057】
一方、制御装置12は、非接触式リモコン13又は接触式リモコン14のいずれかから制御信号を受信した場合(ステップS201:YES)には、ステップS202に処理を進め、ソレノイドアクチュエータ11が通電状態であるか否かを判定する。制御装置12は、ソレノイドアクチュエータ11が通電されていない状態である場合(ステップS202:NO)には、ステップS204に処理を進め、ソレノイドアクチュエータ11を通電する。
【0058】
これにより、排水栓3が閉栓された状態に切り替えられる。制御装置12は、ステップS204の処理の後も、ソレノイドアクチュエータ11に対する通電状態を維持する。
【0059】
一方、制御装置12は、ステップS202において、ソレノイドアクチュエータ11が通電状態である場合(ステップS202:YES)には、ステップS203に処理を進め、ソレノイドアクチュエータ11への通電を解除する。これにより、排水栓3が開栓された状態に切り替えられる。したがって、上記一連の処理が繰り返し行われることで、ユーザが非接触式リモコン13の光電センサ13Eに手をかざすか、或いは接触式リモコン14の操作を行うか、のどちらかの操作を行う度に、排水栓3の閉栓・開栓を順に切り替えることができる。
【0060】
このように、本実施形態に係る排水栓制御システム10によれば、ユーザが、非接触式リモコン13で行う操作と同様の操作を、接触式リモコン14を足で踏み込む操作によっても行うことができる。したがって、ユーザが、非接触式リモコン13を用いた非接触による開栓・閉栓の切り替え操作と、接触式リモコン14を用いた接触による開栓・閉栓の切り替え操作と、を選択して行うことができる。
【0061】
そのため、例えば、ユーザの手が乾いているときには非接触式リモコン13により非接触で排水栓3の開栓・閉栓の切り替えを行い、手が濡れていたり塞がっていたりするときにはフットスイッチである接触式リモコン14の踏み込み操作により排水栓3の開栓・閉栓の操作を行うといった使い分けを行うことが可能となる。なお、接触式リモコン14は、非接触式リモコン13と同様、洗面器2のサイドや奥側の天板上に設置されてユーザにより手でプッシュ操作されるものであっても良い。接触式リモコン14は、非接触式リモコン13と同様、その裏面に貼着された不図示の粘着テープにより、適宜位置に自由に着脱可能に取り付けられるようになっている。
【0062】
(まとめ)
以上をまとめると、第2の実施形態に係る排水栓制御システム10は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0063】
すなわち、排水栓制御システム(10)が、更に、排水栓(3)から離れた位置でユーザによるプッシュ操作を検出するタクタイルスイッチ(14E)を備えた別のリモートコントローラ(14)を有する。別のリモートコントローラ(14)は、タクタイルスイッチ(14E)の検出結果に基づく制御信号を制御装置(12)に無線通信により送信する。制御装置(12)は、リモートコントローラ(14)から送信される制御信号に応じてだけでなく別のリモートコントローラ(14)から送信される制御信号に応じても排水栓(3)の開栓と閉栓とを切り替える。
【0064】
上記構成によれば、ユーザが、リモートコントローラ(14)を用いた非接触による開栓・閉栓の切り替え操作と、別のリモートコントローラ(14)を用いた接触による開栓・閉栓の切り替え操作と、を選択して行うことができる。したがって、例えば、別のリモートコントローラ(14)をフットスイッチとして設定することで、手が乾いているときには非接触で排水栓(3)の開栓・閉栓の切り替えを行い、手が濡れているときにはフットスイッチで排水栓(3)の開栓・閉栓の切り替えを行うといった操作の使い分けを行うことが可能となる。
【0065】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を2つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
【0066】
1.本発明の排水栓制御システムは、洗面器の排水栓の開閉制御を行うものの他、浴槽の排水栓の開閉制御を行うものにも適用することが可能である。
【0067】
2.近接センサは、検出対象物の接近を非接触で検出することが可能なものであれば良く、光電センサの他、静電容量センサや、超音波センサであっても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 自動水栓
1A 吐水口
2 洗面器
2A 排水口
3 排水栓
3A 栓本体
3B 頭部
3C リブ
3D 操作棒
3E 球体
3F バネ
4 排水管
4A Sトラップ
4B 接続管
10 排水栓制御システム
11 ソレノイドアクチュエータ
11A 本体部
11B 可動鉄心
12 制御装置
12A CPU
12B RAM
12C ROM
12D タイマ
12E 受信機
12F 電源アダプタ
13 リモートコントローラ
13A CPU
13B RAM
13C ROM
13D タイマ
13E 光電センサ(近接センサ)
13F 送信機
13G バッテリ
14 リモートコントローラ(別のリモートコントローラ)
14A CPU
14B RAM
14C ROM
14D タイマ
14E タクタイルスイッチ
14F 送信機
14G バッテリ
S 洗面化粧台
AC 交流電源
F フロア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7