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特開2022-137612バルーンカテーテル、およびバルーンカテーテルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137612
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】バルーンカテーテル、およびバルーンカテーテルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20220914BHJP
【FI】
A61M25/10 530
A61M25/10 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037171
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】垂永 明彦
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA07
4C267BB02
4C267BB12
4C267BB30
4C267BB40
4C267CC09
4C267DD01
(57)【要約】
【課題】ガイドワイヤに対する先端部材の追従性や生体管腔に対する先端部材の通過性を向上させることができるバルーンカテーテルを提供する。
【解決手段】本発明に係るバルーンカテーテル1は、ガイドワイヤWが挿通可能なガイドワイヤルーメンLを備えるシャフト10と、シャフトの先端側に配置され、シャフトの軸方向Xにガイドワイヤルーメと連通する貫通孔40Lを備える先端部材40と、拡張および収縮可能なバルーン50と、を有し、バルーンの先端融着部51と、先端融着部と接続されるシャフトの先端側および先端部材の基端側40Bの少なくとも一方と、によって構成される接続部60をさらに有し、接続部は、シャフトの先端側および先端部材の基端側の外表面側(外表面側31、41)より内表面側(内表面側32、42)に先端融着部が位置する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドワイヤが挿通可能なガイドワイヤルーメンを備えるシャフトと、
前記シャフトの先端側に配置され、前記シャフトの軸方向に前記ガイドワイヤルーメンと連通する貫通孔を備える先端部材と、
拡張および収縮可能なバルーンと、を有し、
前記バルーンの先端融着部と、前記先端融着部と接続される前記シャフトの先端側および前記先端部材の基端側の少なくとも一方と、によって構成される接続部をさらに有し、
前記接続部は、前記シャフトの先端側および前記先端部材の基端側の外表面側より内表面側に前記先端融着部が位置する、バルーンカテーテル。
【請求項2】
シャフトの先端側および先端部材の基端側の少なくとも一方の外表面に空隙部を形成し、
バルーンの先端側が前記空隙部を少なくとも部分的に覆うように前記バルーンを配置し、
前記バルーンの先端側に熱を付与して、前記バルーンが前記空隙部を介して前記シャフトおよび前記先端部材の少なくとも一方と融着する先端融着部を形成し、
前記先端融着部と、前記先端融着部と接続される前記シャフトの先端側および前記先端部材の基端側の少なくとも一方と、によって接続部を構成する、ことを含むバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項3】
前記空隙部は、前記シャフトの軸方向に沿って直線状に設けられる、請求項2に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項4】
前記空隙部は、前記シャフトの軸方向に沿って複数設けられる、請求項2または3に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項5】
前記空隙部は、前記シャフトの軸方向と交差する周方向に沿って複数設けられる、請求項2~4のいずれか1項に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項6】
前記空隙部は、少なくとも部分的に孔部によって構成される、請求項2~5のいずれか1項に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項7】
前記空隙部は、前記シャフトの軸方向と直交する方向から視たときに前記軸方向に対して斜めに形成される、請求項2~6のいずれか1項に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項8】
前記先端融着部は、前記シャフトの先端側および前記先端部材の基端側の少なくとも一方の外表面側に位置する、請求項2~7のいずれか1項に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項9】
前記先端融着部は、前記シャフトの先端側および前記先端部材の基端側の少なくとも一方の内表面側に位置する、請求項2~8のいずれか1項に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項10】
前記先端融着部は、前記シャフトの先端側および前記先端部材の基端側の外表面側より内表面側に位置する、請求項9に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項11】
前記先端融着部は、前記シャフトの先端部と前記先端部材の基端部との間に位置する、請求項2~10のいずれか1項に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーンカテーテル、およびバルーンカテーテルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血管等の生体管腔に形成された病変部(狭窄部等)の治療に使用されるカテーテルとしてバルーンカテーテルが知られている。バルーンカテーテルは、ガイドワイヤが挿通可能なガイドワイヤルーメンを形成するシャフトと、シャフトの先端側に配置された先端部材と、バルーンと、を備える(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-93173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医師等の術者は、バルーンカテーテルを使用した治療において、バルーンカテーテルを病変部まで送達させる必要がある。しかしながら、バルーンの先端側が先端部材およびシャフトと接続される部分が固い場合、ガイドワイヤに対する先端部材の追従性が低下し、生体管腔に対する先端部材の通過性が低下してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、ガイドワイヤに対する先端部材の追従性や生体管腔に対する先端部材の通過性を向上させることができるバルーンカテーテル、およびバルーンカテーテルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るバルーンカテーテルは、ガイドワイヤが挿通可能なガイドワイヤルーメンを備えるシャフトと、前記シャフトの先端側に配置され、前記シャフトの軸方向に前記ガイドワイヤルーメンと連通する貫通孔を備える先端部材と、拡張および収縮可能なバルーンと、を有し、前記バルーンの先端融着部と、前記先端融着部と接続される前記シャフトの先端側および前記先端部材の基端側の少なくとも一方と、によって構成される接続部をさらに有し、前記接続部は、前記シャフトの先端側および前記先端部材の基端側の外表面側より内表面側に前記先端融着部が位置する。
【0007】
また、本発明に係るバルーンカテーテルの製造方法は、シャフトの先端側および先端部材の基端側の少なくとも一方の外表面に空隙部を形成し、バルーンの先端側が前記空隙部を少なくとも部分的に覆うように前記バルーンを配置し、前記バルーンの先端側に熱を付与して、前記バルーンが前記空隙部を介して前記シャフトおよび前記先端部材の少なくとも一方と融着する先端融着部を形成し、前記先端融着部と、前記先端融着部と接続される前記シャフトの先端側および前記先端部材の基端側側の少なくとも一方と、によって接続部を構成する、ことを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るバルーンカテーテルは、バルーンの先端融着部の多くがシャフトの先端側または先端部材の基端側の内表面側に位置するように、バルーンの先端側とシャフトの先端側または先端部材の基端側とを融着する前に、シャフトの先端側または先端部材の基端側に空隙部を形成している。バルーンは、空隙部が設けられたシャフトや先端部材に接続されるため、接続部は、柔軟性を確保することができる。したがって、バルーンカテーテルは、ガイドワイヤに対する先端部材の追従性や生体管腔に対する先端部材の通過性を向上させることができる。
【0009】
本発明に係るバルーンカテーテルの製造方法は、バルーンを空隙部が設けられたシャフトや先端部材に接続することができるため、接続部は、柔軟性を確保することができる。したがって、上記製造方法により製造されるバルーンカテーテルは、ガイドワイヤに対する先端部材の追従性や生体管腔に対する先端部材の通過性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るバルーンカテーテルの概略図である。
図2】バルーンカテーテルの先端側を示すための軸方向に沿う部分断面図である。
図3図2の部分拡大図であり、接続部を説明するための図である。
図4】接続部の変形例を説明するための図である。
図5】実施形態に係るバルーンカテーテルの製造方法を説明するための図である。
図6】実施形態に係るバルーンカテーテルの製造方法を説明するための図である。
図7A】接続部を形成する前の状態を示す図であり、内管シャフトおよび先端部材に対するバルーンの位置の一例を示すための図である。
図7B】接続部を形成する前の状態を示す図であり、内管シャフトおよび先端部材に対するバルーンの位置の一例を示すための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0012】
本実施形態に係るカテーテルは、医療分野において一般的に使用されるラピッドエクスチェンジ型のバルーンカテーテル1として説明する。
【0013】
図1は、実施形態に係るバルーンカテーテル1の各部の構成を示す図である。図2図4は、接続部60の構成を示す図である。なお、図2図4は、接続部60の構成を説明するために、一体的に融着(接合)している各部材の境界を破線で表している。
【0014】
各図に付した矢印Xは、バルーンカテーテル1の「長手方向(軸方向)」を示し、矢印Yは、バルーンカテーテル1の「幅方向(奥行方向)」を示し、矢印Zは、バルーンカテーテル1の「高さ方向」を示す。また、また、バルーンカテーテル1の軸方向Xから視た周方向を単に「周方向」と称する。また、軸方向Xにおいて、生体に挿入される側を「先端側」と称し、その反対側(手元側)を「基端側」と称する。また、先端(最先端)および先端から軸方向Xに沿って一定の範囲を「先端部」と称し、基端(最基端)および基端から軸方向Xに沿って一定の範囲を「基端部」と称する。
【0015】
図1図2に示すように、バルーンカテーテル1は、シャフト10と、先端部材40と、バルーン50と、接続部60と、ハブ70と、ガイドワイヤポートPと、を有している。
【0016】
(シャフト)
シャフト10は、外管シャフト20と、内管シャフト30と、を有している。
【0017】
外管シャフト20は、外管シャフト20の内腔(図示省略)がハブ70内の流路と連通した状態で、ハブ70と接続されている。バルーン50の拡張に使用される流体(例えば、造影剤や生理食塩水)は、ハブ70のポート71(図1を参照)を介して外管シャフト20の内腔へ供給される。
【0018】
外管シャフト20の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、軟質ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等の各種エラストマー、ポリアミド、結晶性ポリエチレン、結晶性ポリプロピレン等の結晶性プラスチックを用いることができる。
【0019】
内管シャフト30は、外管シャフト20の内腔(図示省略)に配置される。内管シャフト30は、ガイドワイヤWが挿通可能なガイドワイヤルーメンLを形成する。ガイドワイヤルーメンLの基端側は、ガイドワイヤポートPと連通している。内管シャフト30の先端側30Aは、先端部材40およびバルーン50と一体的に融着(接合)している。
【0020】
内管シャフト30の構成材料としては、例えば、外管シャフト20と同様の材料を用いることができる。
【0021】
(先端部材)
先端部材40は、図2に示すように、内管シャフト30の先端側30Aに配置されている。先端部材40は、バルーンカテーテル1の先端が生体管腔(例えば、血管の内壁)に接触した際に、生体管腔に損傷が生じることを防止することができる。
【0022】
先端部材40は、図2に示すように、軸方向XにガイドワイヤルーメンLと連通する貫通孔40Lを備えている。先端部材40の基端側40Bは、内管シャフト30およびバルーン50と一体的に融着(接合)している。
【0023】
本明細書においては、内管シャフト30の先端側30A、先端部材40の基端側40B、バルーン50の先端側50Aが接続されている部分を接続部60と称する。なお、接続部60は、バルーン50の先端側50Aと、バルーン50の先端側50Aと接続される内管シャフト30の先端側30Aおよび先端部材40の基端側40Bの少なくとも一方を含んでいればよい。
【0024】
先端部材40の構成材料としては、例えば、柔軟で、弾性力を有する樹脂材料を用いることができる。先端部材40の構成材料は、内管シャフト30に対して固定可能である限り、特に限定されない。
【0025】
(バルーン)
バルーン50は、外管シャフト20の内腔を通じて流体が注入されることにより、シャフト10の放射方向に拡張する。
【0026】
バルーン50は、先端融着部51と、基端融着部(図示省略)を備えている。先端融着部51は、図2図3に示すように、内管シャフト30の先端側30Aと先端部材40の基端側40Bに接続されている。また、基端融着部は、外管シャフト20に接続されている(図示省略)。
【0027】
バルーン50の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリスチレンエラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等を用いることができる。
【0028】
(接続部)
接続部60は、図2図3に示すように、バルーン50の先端融着部51と、先端融着部51と接続される内管シャフト30の先端側30Aおよび先端部材40の基端側40Bと、によって構成されている。例えば、接続部60は、下述する第1領域E1、第2領域E2を備えている。
【0029】
第1領域E1は、バルーン50の先端融着部51が内管シャフト30の先端側30Aの外表面側31および先端部材40の基端側40Bの外表面側41に位置している部分である。
【0030】
第2領域E2は、バルーン50の先端融着部51が内管シャフト30の先端側30Aの内表面側32および先端部材40の基端側40Bの内表面側42に位置している部分である。第2領域E2は、軸方向Xに沿って直線状に延在し、軸方向Xおよび周方向に沿って複数存在する。
【0031】
なお、接続部60は、内管シャフト30の先端側30Aおよび先端部材40の基端側40Bの少なくとも一方にバルーン50の先端融着部51が位置していればよく、また、第1領域E1より第2領域E2にバルーン50の先端融着部51が位置していればよい。内管シャフト30の先端側30Aおよび先端部材40の基端側40Bに対するバルーン50の先端融着部51の位置は、特に限定されず、例えば、接続部60は、先端融着部51が内管シャフト30の先端部と先端部材40の基端部との間に位置している部分を第3領域E3(図4を参照)として備えていてもよい。これにより、接続部60は、バルーン50がシャフト10および先端部材40に接続される面積を確保しながら、柔軟性をさらに確保することができる。
【0032】
(ハブ)
ハブ70は、流体(作動流体)を供給するためのインデフレーター等の供給装置(図示省略)と、液密・気密に接続可能なポート71(図1を参照)を有している。ハブ70のポート71は、例えば、流体チューブ等が接続・分離可能に構成された公知のルアーテーパー等によって構成することができる。
【0033】
(バルーンカテーテルの製造方法)
次に、バルーンカテーテル1の製造方法について説明する。
【0034】
図5図7Bは、バルーンカテーテル1の製造方法の説明に供する図である。なお、図5は、内管シャフト30および先端部材40に形成される孔部(空隙部K)の位置を説明するために、内管シャフト30および先端部材40に濃淡を付している。
【0035】
まず、シャフト10を製造する作業者は、シャフト10(外管シャフト20と内管シャフト30)と、先端部材40と、バルーン50と、を供給(準備)する。
【0036】
次に、作業者は、図5に示すように、内管シャフト30の外表面に複数の孔部33を形成し、先端部材40の外表面に複数の孔部43を形成する。
【0037】
孔部33、43は、矩形形状を有しており、各孔部33、43の形状は略同一である。孔部33、43は、図5に示すように、軸方向Xに沿って直線状に設けられ、軸方向Xおよび周方向に対して周期的に設けれている。そのため、接続部60は、軸方向Xに対する曲げ方向の柔軟性を確保することができる。
【0038】
孔部33、43は、図6に示すように、軸方向Xと直交する方向から視たときに、内管シャフト30および先端部材40外表面側(外表面側31、41)と内表面側(内表面側32、42)との間で軸方向Xに対して斜めに形成されている。これにより、接続部60の物性段差を滑らかにすることができる。
【0039】
次に、作業者は、図6に示すように、内管シャフト30および先端部材40外表面側(外表面側31、41)にバルーン50の先端側50Aを配置する。このとき、バルーン50の先端側50Aは、孔部33、43を少なくとも部分的に覆うように配置される。
【0040】
次に、作業者は、バルーン50の先端側50Aに熱を付与する。このとき、バルーン50の先端側50Aは、孔部33、43の内部空間(空隙部Kともいう)に少なくとも部分的に流入し、シャフト10の先端側および先端部材40の基端側40Bの外表面側(外表面側31、41)から内表面側(内表面側32、42)に向かって流動しながら硬化する。そのため、バルーン50の先端融着部51は、シャフト10の先端側および先端部材40の基端側40Bの外表面側(外表面側31、41)と内表面側(内表面側32、42)に形成され、外表面側31、41より内表面側32、42に多く位置する(図1を参照)。
【0041】
接続部60は、複数の部材が一体的に融着(接合)しているため固くなりやすい。しかしながら、本実施形態に係るバルーンカテーテル1の製造方法は、バルーン50を孔部33、43が設けられたシャフト10や先端部材40に接続することができる。そのため、接続部60は、柔軟性を確保することができる。
【0042】
なお、孔部33、43の構成は、種々変更することができる。
【0043】
例えば、孔部33、43は、互いに異なる形状であってもよい。また、孔部33、43の形状は、特に限定されず、略円形、矩形などの多角形であってもよい。
【0044】
また、孔部33、43は、軸方向Xと直交する方向から視たときに、軸方向Xに対して略垂直に形成されていてもよい。
【0045】
また、孔部33、43は、凹部であってもよい。
【0046】
また、孔部33、43の個数は、特に限定されない。
【0047】
また、孔部33、43は、軸方向Xおよび周方向に沿って形成されると説明したが、孔部33、43の各々の位置は特に限定されない。例えば、孔部33、43は、シャフト10の軸方向Xに対して螺旋状に形成されていてもよい。
【0048】
また、孔部33、43がシャフト10の所定の方向(例えば、周方向、軸方向X、螺旋方向)に沿って列を為して形成されている場合、その列の数は、単数であってもよく、複数であってもよい。また、孔部33、43の列は、シャフト10の複数の方向(異なる方向)に沿って形成されていてもよい。
【0049】
また、孔部33、43は、シャフト10の所定の方向に沿って連続的に設けられていてもよく、断続的に設けられていてもよい。また、孔部33、43は、シャフト10の所定の方向に沿って規則的に設けられていてもよく、不規則的に設けられていてもよい。
【0050】
また、孔部33の構成と孔部43の構成は、異なっていてもよい。
【0051】
また、バルーン50の先端側50Aに熱を付与する前(接続部60を形成する前)のバルーン50の位置は、特に限定されない。例えば、バルーン50の先端側50Aは、図7A図7Bに示すように、シャフト10および先端部材40の外表面側31、41と内表面側32、42に配置されていてもよい。
【0052】
(作用効果)
次に、本実施形態に係るバルーンカテーテル1の作用、およびバルーンカテーテル1の製造方法の作用を説明する。
【0053】
本実施形態に係るバルーンカテーテル1は、ガイドワイヤWが挿通可能なガイドワイヤルーメンLを備えるシャフト10と、シャフト10の先端側に配置され、シャフト10の軸方向XにガイドワイヤルーメンLと連通する貫通孔40Lを備える先端部材40と、拡張および収縮可能なバルーン50と、を有し、バルーン50の先端融着部51と、先端融着部51と接続されるシャフト10の先端側および先端部材40の基端側40Bの少なくとも一方と、によって構成される接続部60をさらに有し、接続部60は、シャフト10の先端側および先端部材40の基端側40Bの外表面側(外表面側31、41)より内表面側(内表面側32、42)に先端融着部51が位置する。
【0054】
上記のように構成したバルーンカテーテル1は、バルーン50の先端融着部51の多くがシャフト10の先端側または先端部材40の基端側40Bの内表面側(内表面側32、42)に位置するように、バルーン50の先端側50Aとシャフト10の先端側または先端部材40の基端側40Bとを融着する前に、シャフトの先端側または先端部材の基端側に空隙部Kを形成している。そのため、接続部60は、柔軟性を確保することができる。したがって、バルーンカテーテル1は、ガイドワイヤWに対する先端部材40の追従性や生体管腔に対する先端部材40の通過性を向上させることができる。
【0055】
また、バルーンカテーテル1の製造方法は、シャフト10の先端側および先端部材40の基端側40Bの少なくとも一方の外表面に空隙部Kを形成し、バルーン50の先端側50Aが空隙部Kを少なくとも部分的に覆うようにバルーン50を配置し、バルーン50の先端側50Aに熱を付与して、バルーン50が空隙部Kを介してシャフト10および先端部材40の少なくとも一方と融着する先端融着部51を形成し、先端融着部51と、先端融着部51と接続されるシャフト10の先端側および先端部材40の基端側40Bの少なくとも一方と、によって接続部60を構成する、ことを含む。
【0056】
上記のように構成したバルーンカテーテル1の製造方法は、バルーン50を空隙部Kが設けられたシャフト10や先端部材40に接続することができる。そのため、接続部60は、柔軟性を確保することができる。したがって、上記製造方法により製造されるバルーンカテーテル1は、ガイドワイヤWに対する先端部材40の追従性や生体管腔に対する先端部材40の通過性を向上させることができる。
【0057】
また、空隙部Kは、シャフト10の軸方向Xに沿って直線状に設けられる。そのため、接続部60は、軸方向Xに対する曲げ方向の柔軟性を確保することができる。
【0058】
また、空隙部Kは、軸方向Xに沿って複数設けられる。そのため、接続部60は、軸方向Xに対する曲げ方向の柔軟性をさらに確保することができる。
【0059】
また、空隙部Kは、軸方向Xと交差する周方向に沿って複数設けられる。そのため、接続部60は、軸方向Xに対する曲げ方向の柔軟性をさらに確保することができる。
【0060】
また、空隙部Kは、少なくとも部分的に孔部によって構成される。そのため、空隙部Kが凹部によって構成される場合と比べて、接続部60は、軸方向Xに対する曲げ方向の柔軟性をさらに確保することができる。
【0061】
また、先端融着部51は、シャフト10の先端側および先端部材40の基端側40Bの少なくとも一方の外表面側(外表面側31、41)に位置する。そのため、接続部60は、バルーン50がシャフト10および先端部材40に接続される面積を確保することができる。
【0062】
また、先端融着部51は、シャフト10の先端側および先端部材40の基端側40Bの少なくとも一方の内表面側(内表面側32、42)に位置する。そのため、接続部60は、バルーン50がシャフト10および先端部材40に接続される面積を確保することができる。
【0063】
また、先端融着部51は、シャフト10の先端側および先端部材40の基端側40Bの外表面側(外表面側31、41)より内表面側(内表面側32、42)に位置する。そのため、接続部60は、バルーン50がシャフト10および先端部材40に接続される面積を確保しながら、柔軟性を確保することができる。
【0064】
また、先端融着部51は、シャフト10の先端側と先端部材40の基端側40Bとの間に位置する。そのため、接続部60は、バルーン50がシャフト10および先端部材40に接続される面積を確保しながら、柔軟性をさらに確保することができる。
【0065】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されず、特許請求の範囲において種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 バルーンカテーテル、
10 シャフト、
20 外管シャフト、
30 内管シャフト、
40 先端部材、
50 バルーン、
51 先端融着部、
60 接続部、
L ガイドワイヤルーメン、
P ガイドワイヤポート、
W ガイドワイヤ、
X 軸方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B