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特開2022-13764回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013764
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 47/00 20060101AFI20220111BHJP
   A47G 29/00 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
F16B47/00 L
A47G29/00 K
F16B47/00 M
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102418
(22)【出願日】2021-06-21
(31)【優先権主張番号】109208302
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】521271462
【氏名又は名称】十億國際股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100180079
【弁理士】
【氏名又は名称】亀卦川 巧
(74)【代理人】
【識別番号】230101177
【弁護士】
【氏名又は名称】木下 洋平
(72)【発明者】
【氏名】陳 國章
(72)【発明者】
【氏名】蔡 信煌
(72)【発明者】
【氏名】曹 鈞▲彦▼
【テーマコード(参考)】
3J038
3K100
【Fターム(参考)】
3J038AA02
3J038CA06
3K100AA08
3K100AC01
3K100AD01
3K100AE01
3K100AE14
3K100AF02
3K100AH05
3K100AJ06
3K100AJ07
(57)【要約】
【課題】簡便な回転操作により、取付対象物をテーブルや壁に吸着固定したり、吸着解除したりすることができる回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置を提供することを目的とする。
【解決手段】取付対象物1の底部に取り付けられる、回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置2であって、弁座アセンブリ10と、吸盤アセンブリ20と、バルブアセンブリ30とを備え、前記弁座アセンブリ10は、上下方向に対向するように組み合わされた上弁座11と下弁座12を含むと共に、下弁座12又は上弁座11の回転により、下弁座12と上弁座11との高さ方向の相対位置が変化し、前記吸盤アセンブリ20は、弁座アセンブリ10の底部に取り付けられ、前記バルブアセンブリ30は、吸盤アセンブリ20及び下弁座12を挿通するように上弁座11に連結されると共に、下弁座12又は上弁座11の回転による、下弁座12と上弁座11との高さ方向の相対位置の変化に応じて、吸盤アセンブリ20の開閉状態を切り替えることを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象物の底部に取り付けられる、回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置であって、
弁座アセンブリと、吸盤アセンブリと、バルブアセンブリとを備え、
前記弁座アセンブリは、上下方向に対向するように組み合わされた上弁座と下弁座を含むと共に、高さ方向に延伸する中心軸を有し、該上弁座と下弁座との間に、外部に連通する通気通路を有し、該下弁座又は該上弁座は、該中心軸を中心として回転することができ、該下弁座又は該上弁座の回転により、該下弁座と上弁座との高さ方向の相対位置が変化し、
前記吸盤アセンブリは、前記弁座アセンブリの底部に取り付けられ、且つ該吸盤アセンブリの中央に、前記通気通路に連通する弁孔が設けられ、
前記バルブアセンブリは、前記吸盤アセンブリの弁孔及び前記下弁座を挿通するように、前記上弁座に連結されると共に、該下弁座又は該上弁座の回転による、該下弁座と上弁座との高さ方向の相対位置の変化に応じて、該吸盤アセンブリの弁孔の開閉状態を切り替えることを特徴とする、
回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置。
【請求項2】
前記上弁座の底部に、前記中心軸に対して回転対称に配置される複数の当接柱が設けられ、
前記下弁座は、前記上弁座と可動的に組み合わされ、且つ該下弁座の頂面に、前記中心軸に対して回転対称に配置される複数の昇降案内手段が設けられ、該複数の昇降案内手段の個数及び位置は、該上弁座の複数の当接柱の個数及び位置に一致しており、該各昇降案内手段の両端はそれぞれ、比較的低い位置にある下端部と、比較的高い位置にある上端部であり、該下端部と上端部との間に傾斜面が設けられ、
前記下弁座と上弁座を相対的に回転させると、該上弁座の当接柱が、傾斜面を有する昇降案内手段に沿ってスライドしながら、該下弁座と上弁座との高さ方向の相対位置が変化することを特徴とする、
請求項1に記載の回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置。
【請求項3】
前記上端部における前記傾斜面に近い一方側に凸起部が設置され、前記当接柱が該上端部に移動すると、該凸起部により、該当接柱の移動限界位置が規制されることを特徴とする、
請求項2に記載の回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置。
【請求項4】
前記上弁座は、前記取付対象物の底部に取り付けられると共に、下向きに開口する収容スペースと、該収容スペースの外周囲を囲む上弁座内周壁と、該収容スペースの上方に位置する上弁座平板部とを有し、該上弁座平板部の底面に、前記中心軸に対して回転対称に配置される前記複数の当接柱が設けられ、
前記下弁座は、前記上弁座の収容スペース内に可動的に組み合わされると共に、下弁座平板部を有し、該下弁座平板部の中央に貫通孔が設けられ、該下弁座平板部の頂面に、前記中心軸に対して回転対称に配置される前記複数の昇降案内手段が設けられ、該各昇降案内手段は、対応する前記上弁座の当接柱に接して当該当接柱を摺動自在に支持することを特徴とする、
請求項2又は請求項3に記載の回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置。
【請求項5】
前記吸盤アセンブリは、吸盤基部と、該吸盤基部の周縁に形成された円錐状円盤部と、該吸盤基部の底部から該吸盤基部を挿通するように前記下弁座の底面に連結される固定部材とを含み、該吸盤アセンブリは該固定部材を介して、該下弁座に固設連結され、該吸盤基部の中央に前記弁孔が設けられ、該固定部材上に、該弁孔と連通する内孔が設けられ、該内孔の直径は、該弁孔の直径よりも大きく、
前記バルブアセンブリは、気密シールと、該気密シールの頂部中央に形成されたバルブステムとを含み、該気密シールは、前記吸盤アセンブリの弁孔の外側に配置され、該バルブステムは、該弁孔及び前記下弁座の貫通孔を挿通して前記上弁座の底面に連結され、該バルブステムと弁孔の孔壁との間に空隙を有し、該バルブアセンブリは、該下弁座と上弁座との高さ方向の相対位置の変化に応じて、該気密シールを介して、該吸盤アセンブリの弁孔の開閉状態を切り替えることを特徴とする、
請求項4に記載の回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置。
【請求項6】
前記取付対象物の底部に、連結部材が固設され、
前記上弁座は、上弁座内周壁と、該上弁座内周壁内に設置される上弁座平板部とを含み、該上弁座内周壁内において、該上弁座平板部によって、上向きに開口する上部収容空間と、下向きに開口する下部収容空間とに区画され、該上弁座平板部に、前記中心軸に対して回転対称に配置される複数の弧状長穴が設けられ、該上弁座平板部の底面に、前記中心軸に対して回転対称に配置される前記複数の当接柱が設けられ、該上弁座の上部収容空間内に、前記連結部材が移動可能に収容され、該上弁座の下部収容空間内に、前記下弁座が移動可能に収容され、
前記下弁座は、中央に貫通孔を有する下弁座平板部を含み、該下弁座平板部の頂面に、対応する前記上弁座平板部の弧状長穴を挿通して、前記連結部材に連結される複数連結柱と、前記中心軸に対して回転対称に配置される前記複数の昇降案内手段とが設けられ、該各昇降案内手段は、対応する前記上弁座の当接柱に接して当該当接柱を摺動自在に支持し、
前記取付対象物の回動に伴い、該連結部材と下弁座は一緒に回動する一方、該上弁座は、該連結部材と下弁座との間に上下に移動することを特徴とする、
請求項2又は請求項3に記載の回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置。
【請求項7】
前記吸盤アセンブリは、吸盤基部と、該吸盤基部の周縁に形成された円錐状円盤部と、該吸盤基部の底部から該吸盤基部を挿通するように前記下弁座の底面に連結される固定部材とを含み、該吸盤アセンブリは該固定部材を介して、該下弁座に固設連結され、該吸盤基部の中央に前記弁孔が設けられ、該固定部材上に、該弁孔と連通する内孔が設けられ、該内孔の直径は、該弁孔の直径よりも大きく、
前記バルブアセンブリは、気密シールと、該気密シールの頂部中央に形成されたバルブステムとを含み、該気密シールは、前記吸盤アセンブリの弁孔の外側に配置され、該バルブステムは、該弁孔及び前記下弁座の貫通孔を挿通して前記上弁座の底面に連結され、該バルブステムと弁孔の孔壁との間に空隙を有し、該バルブアセンブリは、該下弁座と上弁座との高さ方向の相対位置の変化に応じて、該気密シールを介して、該吸盤アセンブリの弁孔の開閉状態を切り替えることを特徴とする、
請求項6に記載の回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空吸着装置に関し、特に、椀や皿などの容器、または壁掛けフックなどの吸着具の底部に装着されて、当該容器または吸着具をテーブルまたは壁面に吸着固定させるために用いられる、回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テーブル上に置かれている椀や皿などの容器は、外力の衝突又はテーブルの傾きにより、倒れたり、滑ったりする虞があり、この問題を解決するために、以前から改善案が既に提案されており、例えば、容器の底部に吸盤が設置され、その吸盤の吸着力により、容器をテーブル上強固に吸着固定させることができる。
【0003】
しかしながら、容器の底部に設置される従来の吸盤装置を利用する時は、テーブルに吸着されている吸盤とテーブルとの間に、相当な吸着力が生じ、容器をテーブルに強固に吸着固定させることができる一方、使用者は、テーブルからその容器を持ち上げたり、移動したりすることが困難であるので、使用上不便であった。
【0004】
また、吸盤を利用した壁掛けフックなどの従来の吸着具は、壁に吸着固定されると、吸盤と壁面との間に、相当な吸着力が生じ、吸着具の吸着位置を変えようとする際に、吸着具を壁面から簡単に取り外すことができないので、使用上不便であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011―130834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、吸盤アセンブリにより吸着固定されている容器や吸着具を、使用者の意のままに、吸着解除させたり、吸着固定させたりすることのできる、回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、取付対象物の底部に取り付けられる、回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置であって、弁座アセンブリと、吸盤アセンブリと、バルブアセンブリとを備え、前記弁座アセンブリは、上下方向に対向するように組み合わされた上弁座と下弁座を含むと共に、高さ方向に延伸する中心軸を有し、該上弁座と下弁座との間に、外部に連通する通気通路を有し、該下弁座又は該上弁座は、該中心軸を中心として回転することができ、該下弁座又は該上弁座の回転により、該下弁座と上弁座との高さ方向の相対位置が変化し、前記吸盤アセンブリは、前記弁座アセンブリの底部に取り付けられ、且つ該吸盤アセンブリの中央に、前記通気通路に連通する弁孔が設けられ、前記バルブアセンブリは、前記吸盤アセンブリの弁孔及び前記下弁座を挿通するように、前記上弁座に連結されると共に、該下弁座又は該上弁座の回転による、該下弁座と上弁座との高さ方向の相対位置の変化に応じて、該吸盤アセンブリの弁孔の開閉状態を切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
容器または吸着具などの取付対象物の底部に取り付けられるために用いられる、本発明の回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置によれば、当該容器または吸着具を、テーブルや壁に強固に吸着固定することができるだけでなく、当該容器または吸着具の回転操作により、上弁座又は下弁座が一緒に回転して、下弁座と上弁座との高さ方向の相対位置が変化し、その結果、連動されたバルブアセンブリの上下変位によって、吸盤アセンブリの弁孔の開閉状態を切り替える。例えば、バルブアセンブリの上方変位によって、吸盤アセンブリの弁孔が閉鎖状態となる場合には、吸盤アセンブリは、テーブルや壁に気密的に真空吸着することが可能となり、これで、取付対象物をテーブルや壁面上に強固に吸着固定することができる。一方で、バルブアセンブリの下方変位によって、吸盤アセンブリの弁孔が開放状態となる場合には、吸盤アセンブリとテーブルや壁面との間の真空空間は、吸盤アセンブリの弁孔と弁座アセンブリの通気通路とを介して外部空間に連結されていることから、非気密状態となり、外部の空気が吸盤アセンブリとテーブルや壁との間に進入して、取付対象物をテーブルや壁から速やかに吸着解除させることができる。このように、本発明の回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置は、簡便な回転操作により、バルブの開閉の切り替えを可能とし、取付対象物を、使用者の意のままにテーブルや壁に吸着固定したり、吸着解除したりすることができるので、使い勝手の向上を図る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施例において、回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置を容器の底部に取り付けられた様子を斜め下から見た斜視図である。
図2図1の分解斜視図である。
図3図1の側面視断面図である。
図4図3内のA-A線断面図である。
図5図4内のB-B線により、バルブアセンブリは吸盤アセンブリに対して非気密状態にある様子を示す断面模式図である。
図6図4内の取付対象物を一定角度回転した状態を示す模式図である。
図7図6内のC-C線により、バルブアセンブリは吸盤アセンブリに対して気密状態にある様子を示す断面模式図である。
図8】本発明の第2実施例における、回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置の斜視図である。
図9図8の分解斜視図である。
図10図8の平面視断面図である。
図11】第2実施例において、バルブアセンブリは吸盤アセンブリに対して非気密状態にある様子を示す断面模式図である。
図12】第2実施例において、バルブアセンブリは吸盤アセンブリに対して気密状態にある様子を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上述したように、本発明の回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置は、テーブルに置かれる容器や、壁面に吸着取付けられる吸着具などの取付対象物の底部に装着されるために用いられるものである。以下の説明は、本発明が容器に適用される実施例に過ぎず、単に技術特徴および利点をより分かりやすくするために示されたものであり、このときこの構成は、要求される保護範囲を制限するように理解されるべきではないと考えられるべきである。本発明に対して何ら限定を行うものではない。
【0011】
図1は、本発明の回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置の第1実施例を示すものであり、図式によると、当該真空吸着装置は、椀のような取付対象物1の底部に取り付けられているが、これに限定されるものではなく、皿やコップなどの各種の容器にも適用されることができる。図1図2、及び図8図9に示された複数の実施例において、本発明の回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置2は、弁座アセンブリ10と、吸盤アセンブリ20と、バルブアセンブリ30とを備える。
【0012】
図2図4及び図9図11に示すように、弁座アセンブリ10は、取付対象物1の底部に取り付けられると共に、該弁座アセンブリ10の高さ方向に沿って延伸する中心軸101を有する。尚、図式に示された取付対象物1の使用状態から見れば、弁座アセンブリ10の高さ方向は、上下方向に延伸する縦軸方向であるが、取付対象物は壁掛け具のようなものである場合、このときの本発明の回動操作式開閉弁を備えた真空吸着が横になるように使用されている状態となるので、ここでの弁座アセンブリ10の高さ方向は、前後方向に延伸する横軸方向であり、また、ここでの取付対象物の底部と称した部分が、実際には、取付対象物の背後部である。さらに、本発明の組み立て関係および方向の説明を容易にするために、以下の説明内容の高さ方向は縦軸方向を意味する。
【0013】
図2図4及び図9図11に示すように、弁座アセンブリ10は、上下方向に対向するように組み合わされた上弁座11と下弁座12を含み、上弁座11と下弁座12のうちの一つは、中心軸101を中心として、一定角度範囲で時計回りおよび反時計回りに回転することができ、その回転動作により、下弁座12と上弁座11との高さ方向の相対位置が変化する。上弁座11と下弁座12は、移動可能に組み合わされた構造体であるので、両者の間において外部に連通する通気通路115が存在する。
【0014】
図2図4及び図9図11に示すように、前述した、弁座アセンブリ10の下弁座12と上弁座11は、相対的に回転することができ、且つ下弁座12と上弁座11との高さ方向の相対位置が変化することができるとの技術特徴に基づいて、本発明の好適な実施例に開示された具体的な構造においては、上弁座11の底部に、中心軸101に対して回転対称に配置される複数の当接柱113が設けられ、下弁座12は、上弁座11と可動的に組み合わされ、且つ下弁座12の頂面に、中心軸101に対して回転対称に配置される複数の昇降案内手段123が設けられ、該複数の昇降案内手段123の個数及び位置は、上弁座11の複数の当接柱113の個数及び位置に一致しており、各昇降案内手段123の両端はそれぞれ、下端部1231と上端部1232であり、上端部1232の高さ位置は、下端部1231の高さ位置よりも高く、下端部1231と上端部1232との間に傾斜面1233が設けられ、さらに、上端部1232における傾斜面1233に近い一方側に凸起部1234が設置される。下弁座12と上弁座11との相対回転により、上弁座11の当接柱113が、傾斜面1233を有する昇降案内手段123に沿ってスライドしながら上がったり、下がったりし、このような回転昇降仕組みを介して、下弁座12と上弁座11との高さ方向の相対位置が変化する。また、当接柱113は、昇降案内手段123の上端部1232に移動した時に、昇降案内手段123の凸起部1234に突き当てて、これにより、該当接柱113の移動限界位置を制限する。
【0015】
尚、前記弁座アセンブリ10は、少なくとも後述の二つの実施形態を有し、以下、各実施形態の弁座アセンブリ10の具体的な構造について説明する。
【0016】
図2図4に示された第1実施例における、弁座アセンブリ10の上弁座11が、取付対象物1の底部に一体形成されるが、これに限定されるものではなく、上弁座11は、独立した単体でありながら、シリコンなどの接着剤または他の接続固定手段を介して、取付対象物1の底部に固設されてもよい(図示せず)。上弁座11は、取付対象物1の底部に取り付けられると共に、下向きに開口する収容スペース116と、収容スペース116の外周囲を囲む上弁座内周壁111と、収容スペース116の上方に位置する上弁座平板部112とを有し、中心軸101に対して回転対称に配置される前記複数の当接柱113が、上弁座平板部112の底面に設けられるように構成される。下弁座12は、上弁座11の収容スペース116内に可動的に組み合わされると共に、下弁座平板部121を有し、下弁座平板部121の中央に貫通孔122が設けられ、中心軸101に対して回転対称に配置される前記複数の昇降案内手段123が、下弁座平板部121の頂面に設けられ、各昇降案内手段123は、対応する上弁座11の当接柱113に接して当該当接柱113を摺動自在に支持する。取付対象物1の回動に伴い、下弁座12は上弁座11に対して回動し、上弁座11は下弁座12に対して上下に移動し、このような設計により、取付対象物1を回すと、下弁座12を連動して上弁座11に対して回転させながら、当接柱113と昇降案内手段123との回転昇降仕組みの作用を加えて、下弁座12と上弁座11との高さ方向の相対位置を変化させることができる。
【0017】
引き続き、図9図11に示された第2実施例について説明し、取付対象物1の底部に、連結部材13が固設され、具体的に述べると、連結部材13は、シリコンなどの接着剤または他の接続固定手段を介して、取付対象物1の底部に固定連結される。弁座アセンブリ10の上弁座11は、上弁座内周壁111と、上弁座内周壁111内に設置される上弁座平板部112とを含み、上弁座平板部112によって、上弁座内周壁111内の空間が、上向きに開口する上部収容空間117と、下向きに開口する下部収容空間118とに区画され、上弁座平板部112に、中心軸101に対して回転対称に配置される複数の弧状長穴114が設けられる共に、上弁座平板部112の底面に、中心軸101に対して回転対称に配置される前記複数の当接柱113が設けられ、連結部材13は上部収容空間117内に移動可能に収容され、下弁座12は下部収容空間118内に移動可能に収容される。下弁座12は、中央に貫通孔122を有する下弁座平板部121を含み、下弁座平板部121の頂面に、対応する弧状長穴114を挿通して連結部材13に連結される複数連結柱124と、中心軸101に対して回転対称に配置される前記複数の昇降案内手段123とが設けられ、各昇降案内手段123は、対応する上弁座11の当接柱113に接して当該当接柱113を摺動自在に支持する。このような設計により、取付対象物1の回動に伴い、連結部材13及び連結部材13に連結されている下弁座12が一緒に回動し、それに加え、当接柱113と昇降案内手段123との回転昇降仕組みの作用で、下弁座12と上弁座11との高さ方向の相対位置を変化させることができる。さらに、弧状長穴114の設置により、連結柱124の移動限界位置を規制し、その結果、下弁座12と上弁座11との間の相対回転角度を制限する。
【0018】
図2図4及び図9図11に示すように、吸盤アセンブリ20は、弁座アセンブリ10の底部に取り付けられ、且つ吸盤アセンブリ20の中央に、通気通路115に連通する弁孔23が設けられる。図示に示された本発明の好適な実施例においては、吸盤アセンブリ20は、吸盤基部21と、吸盤基部21の周縁を囲繞するように形成された円錐状円盤部22とを含み、前述した弁孔23が、吸盤基部21の中央に形成される。さらに、吸盤アセンブリ20は、吸盤基部21を介して、下弁座12の底面に連結されるように構成されているが、これに限定されるものではなく、弁孔23の外側に配置され、且つ吸盤基部21の底部から該吸盤基部21を挿通して下弁座12の底面に連結される固定部材24を介して、下弁座12に固設連結されてもよい。尚、本発明の好適な実施例においては、固定部材24の中央に、弁孔23と連通する内孔241を有し、内孔241の直径は、弁孔23の直径よりも大きいことが好ましい。
【0019】
図2図4及び図9図11に示すように、バルブアセンブリ30は、吸盤アセンブリ20の弁孔23及び下弁座12を挿通するように、上弁座11に連結されると共に、下弁座12と上弁座11との高さ方向の相対位置の変化に応じて、吸盤アセンブリ20の弁孔23の開閉状態を切り替えることができる。本発明の好適な実施例においては、バルブアセンブリ30は、気密シール31と、気密シール31の頂部中央に形成されたバルブステム32とを含み、具体的に述べると、気密シール31は、吸盤アセンブリ20の弁孔23の外側に配置され、バルブステム32は、弁孔23及び下弁座12の貫通孔122を挿通して上弁座11の底面に連結され、バルブステム32と弁孔23の孔壁との間に空隙33を有し、バルブアセンブリ30は、下弁座12と上弁座11との高さ方向の相対位置の変化に応じて、気密シール31を介して、吸盤アセンブリ20の弁孔23の開閉状態を切り替えることができる。詳しく述べると、気密シール31が吸盤アセンブリ20の吸盤基部21の下方に移動すると、通気隙間119が生成され、この時、空気は、通気隙間119及びバルブステム32と弁孔23との間の空隙33を通って、弁座アセンブリ10の通気通路115を介して、外部と通気可能に連通する。
【0020】
図2図7は、本発明の回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置の第1実施態様を容器の底部に適用される第1実施例における使用状態を示したものであって、使用者は、テーブル3上に置かれている取付対象物1を、テーブル3上に吸着固定しようとする時に、取付対象物1を時計回りに一定角度で回転し、上弁座11及びバルブアセンブリ30は、取付対象物1の回転に伴って下弁座12に対して回転し、すると、下弁座12の昇降案内手段123の案内作用下に、上弁座11底部の当接柱113は、昇降案内手段123に沿ってスライドしながら、下端部1231から上端部1232に向かって移動すると共に、下弁座12に下向きの押圧力を施し、その結果、上弁座11に連結されているバルブアセンブリ30の気密シール31が、吸盤アセンブリ20の弁孔23を遮蔽して、吸盤アセンブリ20の円錐状円盤部22はテーブル3と気密状態で接触しており、これに伴い、バルブアセンブリ30の上方変位に連れて、吸盤基部21が引き上げられ、これにより、吸盤アセンブリ20とテーブル3との間の気密空間は負圧の真空状態になるので、取付対象物1は、本発明の回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置2を介して、テーブル3に強固に吸着固定され、不意に倒れたり、滑ったりする虞がなくなる。
【0021】
逆に、使用者は、当該取付対象物1をテーブル3から持ち上げたり、移動したりしようとする時に、当該取付対象物1を反時計回りに一定角度で回転するだけで、上弁座11及びバルブアセンブリ30は、取付対象物1の回転に連れて、下弁座12に対して反時計回りに回転し、上弁座11底部の当接柱113は、昇降案内手段123をスライドしながら、上端部1232から下端部1231に向かって移動し、その結果、バルブアセンブリ30の気密シール31が、吸盤アセンブリ20の弁孔23から離脱して、吸盤アセンブリ20の円錐状円盤部22とテーブル3との気密状態を解除し、この際に、負圧の真空状態での吸盤アセンブリ20とテーブル3との間の気密空間は、弁座アセンブリ10の通気通路115を通して外部と連通することにより、大気圧となるので、使用者は、容器をテーブルから持ち上げたり、移動したりすることが可能となる。
【0022】
図9図12は、本発明の回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置の第2実施態様を容器の底部に適用される第2実施例における使用状態を示したものであって、使用者は、取付対象物1をテーブル3吸着固定しようとする時に、当該取付対象物1を時計回りに一定角度で回転し、当該取付対象物1の底部に固定連結されている連結部材13を介して、下弁座12を上弁座11に対して回転させ、すると、下弁座12の昇降案内手段123の案内作用下に、上弁座11底部の当接柱113は、昇降案内手段123に沿ってスライドしながら、下端部1231から上端部1232に向かって移動すると共に、上弁座11を上方に押し上げ、その結果、上弁座11に連結されているバルブアセンブリ30の気密シール31が、吸盤アセンブリ20の弁孔23を遮蔽して、吸盤アセンブリ20の円錐状円盤部22はテーブル3と気密状態で接触しており、これに伴い、バルブアセンブリ30の上方変位に連れて、吸盤基部21が引き上げられ、これにより、吸盤アセンブリ20とテーブル3との間の気密空間は負圧の真空状態になるので、取付対象物1は、本発明の回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置2を介して、テーブル3に強固に吸着固定され、不意に倒れたり、滑ったりする虞はなくなる。
【0023】
逆に、使用者は、当該取付対象物1をテーブル3から持ち上げたり、移動したりしようとする時に、当該取付対象物1を反時計回りに一定角度で回転するだけで、下弁座12は、当該取付対象物1の底部に固定連結されている連結部材13の回転に連れされて、上弁座11に対して反時計回りに回転し、上弁座11底部の当接柱113は、昇降案内手段123をスライドしながら、上端部1232から下端部1231に向かって移動し、その結果、バルブアセンブリ30の気密シール31が、吸盤アセンブリ20の弁孔23から離脱して、吸盤アセンブリ20の円錐状円盤部22とテーブル3との気密状態を解除し、この際に、負圧の真空状態での吸盤アセンブリ20とテーブル3との間の気密空間は、弁座アセンブリ10の通気通路115を通して外部と連通することにより、大気圧となるので、使用者は、容器をテーブルから持ち上げたり、移動したりすることが可能となる。
【0024】
前述のように、本発明の回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置は、壁掛け具にも適用でき、この場合、本発明は、横になるように、壁掛け具の背後部(容器の底部に相当)に取り付けられる。壁掛け具に適用される本発明を使用する時は、まず、当該壁掛け具を壁に押し当て保持し、次に、当該壁掛け具を時計回りに回転すると、回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置は一緒に時計回りに回転して吸着状態となり、ことにより、当該壁掛け具を壁に強固に吸着固定することができる。逆に、当該壁掛け具を反時計回りに回転すると、回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置は一緒に反時計回りに回転して吸着状態から解除されることにより、当該壁掛け具を壁から簡単に取り外すことができる。尚、その操作方法は前述した実施例のと同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0025】
上述したように、容器または吸着具などの取付対象物の底部(背後部)に取り付けられるために用いられる、本発明の回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置によれば、当該容器または吸着具を、テーブルや壁に強固に吸着固定することができるだけでなく、当該容器または吸着具の回転操作により、上弁座又は下弁座が一緒に回転して、下弁座と上弁座との高さ方向の相対位置が変化し、その結果、連動されたバルブアセンブリの上下変位によって、吸盤アセンブリの弁孔の開閉状態を切り替える。例えば、バルブアセンブリの上方変位によって、吸盤アセンブリの弁孔が閉鎖状態となる場合には、吸盤アセンブリは、テーブルや壁に気密的に真空吸着することが可能となり、これで、取付対象物をテーブルや壁面上に強固に吸着固定することができる。一方で、バルブアセンブリの下方変位によって、吸盤アセンブリの弁孔が開放状態となる場合には、吸盤アセンブリとテーブルや壁面との間の真空空間は、吸盤アセンブリの弁孔と弁座アセンブリの通気通路とを介して外部空間に連結されていることから、非気密状態となり、外部の空気が吸盤アセンブリとテーブルや壁との間に進入して、取付対象物をテーブルや壁から速やかに吸着解除させることができる。このように、本発明の回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置は、簡便な回転操作により、バルブの開閉の切り替えを可能とし、取付対象物を、使用者の意のままにテーブルや壁に吸着固定したり、吸着解除したりすることができるので、使い勝手の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 取付対象物
2 回動操作式開閉弁を備えた真空吸着装置
3 テーブル
10 弁座アセンブリ
101 中心軸
11 上弁座
111 上弁座内周壁
112 上弁座平板部
113 当接柱
114 弧状長穴
115 通気通路
116 収容スペース
117 上部収容空間
118 下部収容空間
119 通気隙間
12 下弁座
121 下弁座平板部
122 貫通孔
123 昇降案内手段
1231 下端部
1232 上端部
1233 傾斜面
1234 凸起部
124 連結柱
13 連結部材
20 吸盤アセンブリ
21 吸盤基部
22 円錐状円盤部
23 弁孔
24 固定部材
241 内孔
30 バルブアセンブリ
31 気密シール
32 バルブステム
33 空隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12