(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137665
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】金融機関口座情報管理装置、金融機関口座情報管理装置の制御方法、金融機関口座情報管理装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20120101AFI20220914BHJP
【FI】
G06Q40/02 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037254
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】518106434
【氏名又は名称】会計バンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 敬夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】反町 秀樹
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB23
(57)【要約】
【課題】本発明は、融資を希望する者や信用調査を受ける者等が申告した金融機関口座等に漏れがないか否かを確認等する金融機関口座情報管理装置等を提供すること。
【解決手段】融資や信用調査の対象である対象者が申告した金融機関の金融機関口座情報である申告金融機関口座情報を記憶する申告金融機関口座情報記憶部15と、申告金融機関口座情報の送金元情報や送金先情報に、対象者と同名義の他の金融機関口座情報である同名義金融機関口座情報が存在するか否かを判断する同名義金融機関口座情報判断部16と、同名義金融機関口座情報が、申告金融機関口座情報に含まれるか否かを判断する包含情報判断部20と、を有し、同名義金融機関口座情報が、申告金融機関口座情報に含まれないときは、同名義金融機関口座情報を、申告外金融機関口座情報として、表示部13に表示する金融機関口座情報管理装置10。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも融資又は信用調査のいずれかの対象である対象者が申告した金融機関の金融機関口座情報である申告金融機関口座情報を記憶する申告金融機関口座情報記憶部と、
前記申告金融機関口座情報の少なくとも、送金元情報又は送金先情報のいずれか一方に、前記対象者と同名義の他の金融機関口座情報である同名義金融機関口座情報が存在するか否かを判断する同名義金融機関口座情報判断部と、
前記同名義金融機関口座情報が、前記申告金融機関口座情報に含まれるか否かを判断する包含情報判断部と、を有し、
前記同名義金融機関口座情報が、前記申告金融機関口座情報に含まれないときは、前記同名義金融機関口座情報を、申告外金融機関口座情報として、表示部に表示する構成となっていることを特徴とする金融機関口座情報管理装置。
【請求項2】
前記対象者に関する少なくとも、公開又は非公開のいずれかの情報に基づいて、前記申告金融機関口座情報以外の当該対象者の少なくとも、金融機関情報又は前記金融機関口座情報のいずれかの情報を取得し、前記表示部に表示することを特徴とする請求項1に記載の金融機関口座情報管理装置。
【請求項3】
前記包含情報判断部が、前記申告外金融機関口座情報を含まないと判断したときのみ、少なくとも、前記公開又は非公開のいずれかの情報に基づいて、前記申告金融機関口座情報以外の当該対象者の少なくとも、前記金融機関情報又は前記金融機関口座情報のいずれかの情報を取得し、前記表示部に表示することを特徴とする請求項2に記載の金融機関口座情報管理装置。
【請求項4】
少なくとも融資又は信用調査のいずれかの対象である対象者が申告した金融機関の金融機関口座情報である申告金融機関口座情報を記憶する申告金融機関口座情報記憶部を有し、
前記対象者に関する少なくとも、公開又は非公開のいずれかの情報に基づいて、前記申告金融機関口座情報以外の当該対象者の少なくとも、金融機関情報又は前記金融機関口座情報のいずれかの情報を取得し、表示部に表示することを特徴とする金融機関口座情報管理装置。
【請求項5】
前記申告金融機関口座情報以外の当該対象者の少なくとも、前記金融機関情報又は前記金融機関口座情報のいずれの情報も取得できないときで、
同名義金融機関口座情報判断部が、前記申告金融機関口座情報の少なくとも、送金元情報又は送金先情報のいずれか一方に、前記対象者と同名義の他の前記金融機関口座情報である同名義金融機関口座情報が存在すると判断したときは、
包含情報判断部は、前記同名義金融機関口座情報が、前記申告金融機関口座情報に含まれるか否かを判断し、
前記同名義金融機関口座情報が、前記申告金融機関口座情報に含まれないときは、前記同名義金融機関口座情報を、申告外金融機関口座情報として、表示部に表示する構成となっていることを特徴とする請求項4に記載の金融機関口座情報管理装置。
【請求項6】
少なくとも融資又は信用調査のいずれかの対象である対象者が申告した金融機関の金融機関口座情報である申告金融機関口座情報を記憶する申告金融機関口座情報記憶部を有する金融機関口座情報管理装置の制御方法であって、
同名義金融機関口座情報判断部が、前記申告金融機関口座情報の少なくとも、送金元情報又は送金先情報いずれか一方に、前記対象者と同名義の他の金融機関口座情報である同名義金融機関口座情報が存在するか否かを判断し、
包含情報判断部は、前記同名義金融機関口座情報が、前記申告金融機関口座情報に含まれるか否かを判断し、
前記同名義金融機関口座情報が、前記申告金融機関口座情報に含まれないときは、前記同名義金融機関口座情報を、申告外金融機関口座情報として、表示部に表示する構成となっていることを特徴とする金融機関口座情報管理装置の制御方法。
【請求項7】
少なくとも融資又は信用調査のいずれかの対象である対象者が申告した金融機関の金融機関口座情報である申告金融機関口座情報を記憶する申告金融機関口座情報記憶部を有する金融機関口座情報管理装置に、
同名義金融機関口座情報判断部が、前記申告金融機関口座情報の少なくとも、送金元情報又は送金先情報いずれか一方に、前記対象者と同名義の他の金融機関口座情報である同名義金融機関口座情報が存在するか否かを判断する機能、
包含情報判断部は、前記同名義金融機関口座情報が、前記申告金融機関口座情報に含まれるか否かを判断する機能、
前記同名義金融機関口座情報が、前記申告金融機関口座情報に含まれないときは、前記同名義金融機関口座情報を、申告外金融機関口座情報として、表示部に表示する機能、を実現させるための金融機関口座情報管理装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、信用調査や融資等に関する金融機関口座情報を管理する金融機関口座情報管理装置、金融機関口座情報管理装置の制御方法、金融機関口座情報管理装置の制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、金融機関等からの融資を希望する者や信用調査を受ける者等は、融資等の審査に必要な多くの書類等を金融機関に提出する必要があり煩雑であるという問題があった。
そこで、融資を申し込んだ者等が、多くの審査用書類を提出するという問題を回避するため、融資を申し込んだ者等の金融機関口座情報に基づいて、事業性資金等の必要性情報を推定し、融資等が可能か否かを自動的に判断する構成が提案されている。(例えば、特許文献1等)
この場合でも融資等を申し込んだ者等の金融機関口座情報に基づいて、融資等に関する、いわゆる与信判断等をするため、融資を希望する者等が、自己のすべての金融機関口座等を申告しなければ信頼性の高い与信判断をすることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、実際は、融資を申し込んだ者や信用調査を受ける者等は、自己に不利な資金状態が表示されている金融機関口座等を申告しない場合等が多く、精度の高い与信判断等を行うのが困難であるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、融資を希望する者や信用調査を受ける者等が申告した金融機関口座等に漏れがないか否かを確認等する金融機関口座情報管理装置、金融機関口座情報管理装置の制御方法、金融機関口座情報管理装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的は、本発明にあっては、少なくとも融資又は信用調査のいずれかの対象である対象者が申告した金融機関の金融機関口座情報である申告金融機関口座情報を記憶する申告金融機関口座情報記憶部と、前記申告金融機関口座情報の少なくとも、送金元情報又は送金先情報のいずれか一方に、前記対象者と同名義の他の金融機関口座情報である同名義金融機関口座情報が存在するか否かを判断する同名義金融機関口座情報判断部と、前記同名義金融機関口座情報が、前記申告金融機関口座情報に含まれるか否かを判断する包含情報判断部と、を有し、前記同名義金融機関口座情報が、前記申告金融機関口座情報に含まれないときは、前記同名義金融機関口座情報を、申告外金融機関口座情報として、表示部に表示する構成となっていることを特徴とする金融機関口座情報管理装置により達成される。
【0007】
前記構成によれば、申告金融機関口座情報(例えば、B銀行B1口座等)の少なくとも、送金元情報(例えば、仕向振込先、振替先等)又は送金先情報(例えば、被仕向振込先、振替元等)のいずれか一方に、対象者(例えば、A社等)と同名義の他の金融機関口座情報である同名義金融機関口座情報が存在するか否かを判断する同名義金融機関口座情報判断部を有している。
したがって、同名義金融機関口座情報判断部は、申告金融機関口座情報に、融資希望者と同名義からの例えば、被仕向振込等があった場合、その同名義金融機関口座は、対象者の口座の可能性が高いと判断する。
【0008】
また、前記構成によれば、同名義金融機関口座情報が、申告金融機関口座情報に含まれるか否かを判断する包含情報判断部を有する。
従って、包含情報判断部は、上述の同名義金融機関口座が、既に、対象者が申告した申告金融機関口座に含まれているかを判断する。
【0009】
さらに、前記構成によれば、同名義金融機関口座情報が、申告金融機関口座情報に含まれないときは、同名義金融機関口座情報を、申告外金融機関口座情報として、表示部に表示する構成となっている。
したがって、同名義金融機関口座情報が、融資希望者が申告した申告金融機関口座情報に含まれていないときは、当該口座は、対象者の未申告の金融機関口座情報と判断し、表示部に表示する。
このように、本発明によれば、対象者が申告した金融機関口座情報に漏れがないか否かを確認することができる。
【0010】
好ましくは、前記金融機関口座情報管理装置は、前記対象者に関する少なくとも、公開又は非公開のいずれかの情報に基づいて、前記申告金融機関口座情報以外の当該対象者の少なくとも、金融機関情報又は前記金融機関口座情報のいずれかの情報を取得し、前記表示部に表示することを特徴とする。
【0011】
前記構成によれば、対象者に関する少なくとも、公開(例えば、融資希望者が所属している団体等のホームページ等)又は非公開(例えば、企業概要の調査機関の情報等)のいずれか一方の情報に基づいて、対象者の未申告の少なくとも、金融機関情報又は金融機関口座情報を取得することができる。
【0012】
好ましくは、前記金融機関口座情報管理装置は、前記包含情報判断部が、前記申告外金融機関口座情報を含まないと判断したときのみ、少なくとも、前記公開又は非公開のいずれかの情報に基づいて、前記申告金融機関口座情報以外の当該対象者の少なくとも、前記金融機関情報又は前記金融機関口座情報のいずれかの情報を取得し、前記表示部に表示することを特徴とする。
【0013】
前記構成によれば、包含情報判断部が、申告外金融機関口座情報を含まないと判断したときのみ、少なくとも、公開又は非公開のいずれかの情報に基づいて、融資希望者の未申告の金融機関情報や金融機関口座情報を取得する構成となっている。
一般的に、公開又は非公開の情報から未申告の口座情報を取得する場合は、その情報の信頼性が低く、その結果を融資希望者に示すことはできれば慎重にしたいとの要望が強い。
【0014】
一方、対象者の申告金融機関口座情報から未申告の口座情報を取得できない場合、何らかの口座情報を取得したいとの要望も高い。
そこで、本発明では、包含情報判断部が、申告外金融機関口座情報を含まないと判断したときのみ、公開情報等から対象者の未申告の金融機関情報や口座情報等を取得することで、双方の要望を満たす構成となっている。
【0015】
上記目的は、本発明にあっては、少なくとも融資又は信用調査のいずれかの対象である対象者が申告した金融機関の金融機関口座情報である申告金融機関口座情報を記憶する申告金融機関口座情報記憶部を有し、前記対象者に関する少なくとも、公開又は非公開のいずれかの情報に基づいて、前記申告金融機関口座情報以外の当該対象者の少なくとも、金融機関情報又は前記金融機関口座情報のいずれかの情報を取得し、表示部に表示することを特徴とする金融機関口座情報管理装置により達成される。
【0016】
好ましくは、前記金融機関口座情報管理装置は、前記申告金融機関口座情報以外の当該対象者の少なくとも、前記金融機関情報又は前記金融機関口座情報のいずれの情報も取得できないときで、同名義金融機関口座情報判断部が、前記申告金融機関口座情報の少なくとも、送金元情報又は送金先情報のいずれか一方に、前記対象者と同名義の他の前記金融機関口座情報である同名義金融機関口座情報が存在すると判断したときは、包含情報判断部は、前記同名義金融機関口座情報が、前記申告金融機関口座情報に含まれるか否かを判断し、前記同名義金融機関口座情報が、前記申告金融機関口座情報に含まれないときは、前記同名義金融機関口座情報を、申告外金融機関口座情報として、表示部に表示する構成となっていることを特徴とする。
【0017】
上記目的は、本発明にあっては、少なくとも融資又は信用調査のいずれかの対象である対象者が申告した金融機関の金融機関口座情報である申告金融機関口座情報を記憶する申告金融機関口座情報記憶部を有する金融機関口座情報管理装置の制御方法であって、同名義金融機関口座情報判断部が、前記申告金融機関口座情報の少なくとも、送金元情報又は送金先情報いずれか一方に、前記対象者と同名義の他の金融機関口座情報である同名義金融機関口座情報が存在するか否かを判断し、包含情報判断部は、前記同名義金融機関口座情報が、前記申告金融機関口座情報に含まれるか否かを判断し、前記同名義金融機関口座情報が、前記申告金融機関口座情報に含まれないときは、前記同名義金融機関口座情報を、申告外金融機関口座情報として、表示部に表示する構成となっていることを特徴とする金融機関口座情報管理装置の制御方法により達成される。
【0018】
上記目的は、本発明にあっては、少なくとも融資又は信用調査のいずれかの対象である対象者が申告した金融機関の金融機関口座情報である申告金融機関口座情報を記憶する申告金融機関口座情報記憶部を有する金融機関口座情報管理装置に、同名義金融機関口座情報判断部が、前記申告金融機関口座情報の少なくとも、送金元情報又は送金先情報いずれか一方に、前記対象者と同名義の他の金融機関口座情報である同名義金融機関口座情報が存在するか否かを判断する機能、包含情報判断部は、前記同名義金融機関口座情報が、前記申告金融機関口座情報に含まれるか否かを判断する機能、前記同名義金融機関口座情報が、前記申告金融機関口座情報に含まれないときは、前記同名義金融機関口座情報を、申告外金融機関口座情報として、表示部に表示する機能、を実現させるための金融機関口座情報管理装置の制御プログラムにより達成される。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明は、融資を希望する者や信用調査を受ける者等が申告した金融機関口座等に漏れがないか否かを確認等する金融機関口座情報管理装置、金融機関口座情報管理装置の制御方法、金融機関口座情報管理装置の制御プログラムを提供できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の「金融機関口座情報管理装置」の実施の形態である「口座情報取得装置10」の概要を示す概略図である。
【
図2】本実施の形態に係る「口座情報取得装置10」の動作例を示す概略フローチャートである。
【
図3】本実施の形態に係る「口座情報取得装置10」の動作例を示す他の概略フローチャートである。
【
図4】非公開情報等調査工程を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0022】
図1は、本発明の「金融機関口座情報管理装置」の実施の形態である「口座情報取得装置10」の概要を示す概略図である。
図1の口座情報取得装置10は、コンピュータを有し、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)やハードディスク等を有し、バスを介して接続されている。
【0023】
また、
図1に示すように、口座情報取得装置10は、制御部11を有し、制御部11は、インターネット網を介して、ウェブサイト(ホームページ)等にアクセス等するための「通信装置12」、各種情報を表示するための表示部である例えば、「ディスプレイ13」、そして、各種情報を入力するためのキーボード等の各種情報入力装置14を制御する構成となっている。
【0024】
また、
図1に示すように、制御部11は、「申告金融機関口座情報記憶部15」、「同名義金融機関口座情報判断部16」、「同名義金融機関口座情報記憶部17」、「振替等判断部18」、「同金融機関口座情報記憶部19」、「第1の包含情報判断部20」、「第1の申告外金融機関口座情報記憶部21」、「異金融機関口座情報記憶部22」、「第2の包含情報判断部23」、「第2の申告外金融機関口座情報記憶部24」、「非公開情報調査部25」、「非公開情報調査結果記憶部26」、「公開情報調査部27」及び「公開情報調査結果記憶部28」等も制御するが、これらの内容については、後述する。
【0025】
図2乃至
図4は、本実施の形態に係る「口座情報取得装置10」の動作例を示す概略フローチャートである。
本実施の形態では、少なくとも融資又は信用調査のいずれかの対象者である例えば、A社は、金融機関である例えば、銀行や信用金庫等に、金融機関口座情報である口座等を有している。
具体的には、B銀行のB1口座とB2口座、C銀行のC1口座とC2口座、E信用金庫のE1口座、F信用金庫のF1口座(名義はA社の旧名称)を有している。
【0026】
本実施の形態では、このような口座を有しているA社が例えば、D公的金融機関に融資の申し込みを行ったところ、D公的金融機関からA社に対し、A社名義の銀行等の口座情報を提出せよとの要求があった。
これに対して、A社は、自社の主な口座情報を提出すれば良いと考え、B銀行のB1口座とC銀行のC1口座の口座情報のみを提出した。
【0027】
D公的金融機関は、A社の金融機関の口座情報が、B銀行のB1口座とC銀行のC1口座以外に存在しないかを調査するため、
図1の「口座情報取得装置10」を使用する。
以下、上述の例で、本実施の形態を具体的に説明する。
なお、本実施の形態では、融資のために金融機関口座情報等を調査する例で説明するが、本発明は、これに限らず、例えば、A社の信用調査のために金融機関口座情報等を調査する場合であっても構わない。
【0028】
先ず、
図2のステップ(以下「ST」とする。)1で、D公的金融機関の担当者は、A社が提出した「B銀行のB1口座」及び「C銀行のC1口座」の口座情報を「口座情報取得装置10」に入力する。
【0029】
すると、入力された「口座情報」は、
図1の「申告金融機関口座情報記憶部15」に記憶される。
この入力された「口座情報」が「申告金融機関口座情報」の一例となる。
【0030】
具体例には、B1口座とC1口座の各口座の過去5年間の日付毎の入出金等のデータを入力し、記憶させる。
また、これらの日付毎の入出金等データには、日付、出金項目、入金項目、金額等の情報が含まれている。
そして、「出金項目」には、送金先情報である例えば、仕向振込先名、振替先名等が含まれ、「入金項目」には、送金元情報である例えば、被仕向振込先名、振替元名等が含まれている。
【0031】
次いで、ST2へ進む。ST2では、
図1の「同名義金融機関口座情報判断部(プログラム)16」が動作し、B1口座等の入出金等データの「出金項目」と「入金項目」の送金元情報である例えば、仕向振込先名、振替先名、送金先情報である例えば、被仕向振込先名、振替元名等に、融資希望者である「A社」の名称又は略称が含まれているか否かを判断する。
【0032】
そして、ST3で、例えば、B1口座の入出金等データに、「A社」の名称又は略称が含まれていると判断されたときは、ST4へ進む。
ST4では、「A社」の名称又は略称が含まれている金融機関の口座名及び口座番号等(例えば、B2口座)を「同名義金融機関口座情報」として、
図1の「同名義金融機関口座情報記憶部17」に記憶する。
【0033】
一方、B1口座等の入出金等データに「A社」の名称又は略称が含まれていないと判断されたときは、後述する「非公開情報等調査工程」へ進むことになる。
【0034】
ST4で、「同名義金融機関口座情報記憶部17」に記憶されたときは、ST5へ進む。ST5では、
図1の「振替等判断部(プログラム)18」が動作し、「同名義金融機関口座情報」である「A社」の名称又は略称が含まれている金融機関の口座番号の「入金項目」又は「出金項目」が「振替」又は「振込」のいずれかであるかを判断する。
【0035】
そして、ST5で「振替」であると判断されると、 ST6へ進む。ST6では、同振替等判断部18が動作し、A社の名称等が含まれている金融機関の口座名及び口座番号(例えば、B2口座)は、A社の名称等が入出金データとして記載されていた口座情報(例えば、B1口座)と同じ、「金融機関(例えば、B銀行)」の口座と判断し、
図1の「同金融機関口座情報記憶部19」に記憶させる。
【0036】
次いで、ST7へ進む。ST7では、包括情報判断部である例えば、
図1の「第1の包含情報判断部(プログラム)」20が動作し、「同金融機関口座情報記憶部19」の金融機関の口座等(例えば、B2口座)が、「申告金融機関口座情報記憶部15」の「申告金融機関口座情報」に含まれるか否かを判断する。
【0037】
本実施の形態では、B2口座は、「申告金融機関口座情報」に含まれていないので、当該口座(B2口座)を申告外金融機関口座情報である例えば、「第1の申告外金融機関口座情報」として、
図1の「第1の申告外金融機関口座情報記憶部21」に記憶する。
【0038】
次いで、ST8へ進む。ST8では、第1の申告外金融機関口座情報として、例えば、「B銀行」の「B2口座」(口座番号)情報を取得した旨が、ディスプレイ13に表示される。
したがって、同装置10の利用者である担当者は、A社には、B銀行のB2口座が存在することを把握でき、A社が申告していなかったB銀行の他の銀行口座を把握することができる。
【0039】
このように、本実施の形態によれば、A社の申告金融機関口座情報であるB銀行のB1口座の情報に基づいて、同じ金融機関であるB銀行に、A社が申告していない未申告の他の口座を有するか否かを調査し、発見し、その事実をディスプレイ13に表示し、A社の申告の口座情報に漏れを確認することができる。
【0040】
また、本実施の形態では、A社の申告された口座(B1口座等)の入出金等データの「出金項目」と「入金項目」の振替先名、振替元名等に、A社の名称又は略称が含まれている場合は、A社からA社への振替等の可能性が高い。
このため、このように振替等された振替先や振替元の口座を調べることで、効果的にA社の未申告の口座等を見つけ出すことができる。
【0041】
ところで、ST5で、「振替」でなはないと判断されたときは、「振込」と判断され、ST9へ進む。
ST9では、振替等判断部18が動作し、A社の名称等が含まれている金融機関の口座名及び口座番号は、A社の名称等が入出金データとして記載されていた口座情報(例えば、B1口座)と異なる「金融機関(例えば、C銀行)」の口座と判断し、
図1の「異金融機関口座情報記憶部22」に記憶する。
【0042】
次いで、ST10へ進み、
図1の「第2の包含情報判断部(プログラム)23」が動作し、「異金融機関口座情報記憶部22」の金融機関の口座等(例えば、C2口座)が、「申告金融機関口座情報記憶部15」の「申告金融機関口座情報」に含まれるか否かを判断する。
【0043】
本実施の形態では、C銀行のC1口座は、「申告金融機関口座情報」に含まれていない。
このため、ST10で、含まれていないと判断され、C1口座は、「第2の申告外金融機関口座情報」として「第2の申告外金融機関口座情報記憶部24」に記憶される。
また、A社の名称等が含まれている金融機関名や口座番号等である例えば、C1口座から銀行名等を検索し、例えば、C銀行と特定する。
【0044】
次いで、ST11へ進む。ST11では、第2の申告外金融機関口座情報として「C銀行」の「C2口座」(口座番号)情報を取得した旨が、ディスプレイ13に表示される。
【0045】
同装置10の利用者である担当者は、A社にC銀行のC2口座が存在することを把握でき、A社が申告していなかったB銀行以外の他の銀行口座を把握することができる。
【0046】
このように、本実施の形態によれば、A社の申告金融機関口座情報であるB銀行のB1口座の情報に基づいて、異なる金融機関であるC銀行に、A社が申告していない未申告の他の口座(C2口座)を有するか否かを調査し、発見し、その事実をディスプレイ13に表示し、A社の申告の口座情報に漏れを確認することができる。
【0047】
また、本実施の形態では、A社の申告された口座(B1口座等)の入出金等データの「出金項目」と「入金項目」の仕向振込先名、被仕向振込先名等に、A社の名称又は略称が含まれている場合は、A社からA社への振込等の可能性が高い。
このため、このように振込等された仕向振込先名や被仕向振込先名の口座を調べることで、効果的にA社の未申告の口座等を見つけ出すことができる。
【0048】
ところで、ST3で、B1口座等の入出金等データに「A社」の名称又は略称が含まれていないと判断されたときは、「非公開情報等調査工程」へ進む。
図4は、非公開情報等調査工程を示す概略フローチャートである。
本実施の形態では、ST3で、B1口座等の入出力等データに、「A社」の名称又は略称が含まれていない場合でもA社の未申告の銀行口座等が存在する可能性があるため実行する工程である。
【0049】
先ず、
図4のST21では、
図1の「非公開情報調査部(プログラム)25」が動作し、インターネット網等を介して、非公開情報である例えば、非公開(会員制等)で企業情報の提供や企業の会計情報等の提供を行っているウエブサイト(ホームページ)等にアクセスし、A社と、取引のある金融機関や金融機関口座情報を取得し、
図1の「非公開情報調査結果記憶部26」に記憶する。
【0050】
具体的には、例えば、A社が既に登録している「クラウド会計システム」等や企業のデータバンク等の調査会社(機関)等のウエブサイト等にアクセスして情報を得る。
そして、A社が、どの銀行に預金残高があるか、どの銀行に借入残高があるかなどの情報から、どの銀行に「A社」名の口座等が存在するかを推定する。
【0051】
本実施の形態では、例えば、A社が、E信用金庫に借入残高を有するとの情報が非公開情報として取得し、このことからA社は、E信用金庫に口座があると推定し、その情報を「非公開情報調査結果記憶部26」に記憶する。
【0052】
次いで、ST22へ進み、A社の口座が、E信用金庫に存在すると推定可能である旨をディスプレイ13に表示する。
【0053】
このように、本実施の形態では、たとえ、A社が申告したB銀行のB1口座等から、未申告の他の口座情報を得ることができない場合でも、非公開情報に基づき、A社が口座等を有している蓋然性の高い銀行等の金融機関情報や銀行口座等の金融機関口座情報を取得し、D公的金融機関の融資の担当者等に情報提供をすることができる。
【0054】
本実施の形態では、上述の非公開情報のみならず公開情報も調査し、A社が取引している銀行等や銀行口座等の存在可能性情報を取得する。
そこで、ST23へ進む。ST23では、
図1の「公開情報調査部(プログラム)27」が動作して、A社に関する公開情報である例えば、金融機関関連の会社、団体、公共機関等のホームページ(ウエブサイト)等を検索し、A社と金融機関等との取引情報等を取得し、
図1の「公開情報調査結果記憶部28」に記憶させる。
【0055】
具体的には、産業別、地域的、属性等のキーワード検索で検索するが、より具体的には、(1)社名(屋号)のみ、(2)社名(屋号)と法人格、(3)社名(屋号)とエリア(地域)、(4)社名(屋号)と業態、(5)社名(屋号)、エリア及び業態、(6)社名(屋号)と代表者名等がある。
【0056】
本実施の形態では、金融機関関連の団体のホームページを検索したところ、A社の旧名でF信用金庫と取引がある旨の記載情報を取得したので、F信用金庫に、A社の旧名の口座が残っている可能性を推測し、その旨を「公開情報調査結果記憶部28」に記憶する。
【0057】
次いで、ST24へ進み、F信用金庫にA社の旧名の口座が存在する可能性をディスプレイ13に表示する。
【0058】
このように、本実施の形態では、たとえ、A社が申告したB銀行のB1口座から、他の口座情報を得ることができない場合でも、公開情報に基づき、A社が口座等を有している蓋然性の高い銀行等の金融機関情報や銀行口座等の金融機関口座情報を取得し、D公的金融機関の融資の担当者等に情報提供をすることができる。
【0059】
また、本実施の形態に係る上述の工程を経て同装置10がディスプレイ13に表示したA社の非申告の銀行口座等に関する情報を取得したD公的金融機関の融資担当者は、これらの情報をA社に提示することで、A社に取引ある金融機関の口座等に関して、自己申告を促すことができる。
【0060】
本実施の形態では、上述のように、非公開情報と公開情報を用いて、A社の未申告の金融機関の口座情報等を取得したが、本発明は、これに限らず、非公開情報と公開情報に基づく調査結果の組み合わせにより、A社が取引している銀行等の金融機関や銀行口座等の金融機関口座情報を取得する構成としても良い。
【0061】
例えば、公開情報は、企業の一般的な信用度を示すための情報が多く、取引金融機関情報は必須でないことが一般的である。
一方、非公開情報は、企業の具体的な信用調査が主なので、金融機関情報は必須、特に、企業が公開したくない金融機関情報等も含まれる。
このように、双方の異なる観点から、例えば、金融機関情報を取得することで、相互補完が実現し、より網羅的に取引金融機関情報の全容を把握することができる。
【0062】
本実施の形態では、上述のようにA社のB1口座やC1口座等の「申告金融機関口座情報」の入出金データ等のみならず、その他の「公開情報」や「非公開情報」を用いて、A社の非申告の金融機関口座情報等を調査等するが、それは以下の理由による。
【0063】
上述の非公開情報や公開情報は、A社の口座情報に比べ、その情報の信頼性が低く、その結果をA社に示すことは、できれば慎重にとの要請がある。
その一方、A社のB1口座やC1口座等の申告金融機関口座情報から未申告の口座情報を取得できない場合、何らかの口座情報を取得したいとの要望も高い。
そこで、本実施の形態では、第1の包含情報判断部20等が、第1の申告外金融機関口座情報等を含まないと判断したときのみ、非公開情報や公開情報等からA社の未申告の口座情報を取得することで、双方の要望を満たす構成となっている。
【0064】
また、本発明は、上述の実施の形態と異なり、最初にA社に関する非公開情報や公開情報からA社の未申告の金融機関等の情報を取得し、これら非公開情報や公開情報では、A社の未申告の金融機関等の情報を取得できなときに、A社の「申告金融機関口座情報」から未申告の口座情報を取得する構成としても構わない。
【0065】
以上説明した本実施形態においては、装置として実現される場合を例に挙げて説明したが、本発明は、これに限定されず、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)光磁気ディスク(MO)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納され頒布されてもよい。
【0066】
また、記憶媒体は、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であればよい。記憶媒体の記憶形式は、特には限定されない。
【0067】
また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークソフト等のMW(ミドルウェア)等が本実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。
【0068】
さらに、本発明における記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体には限定されず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0069】
また、本発明におけるコンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づいて本実施形態における各処理を実行すればよく、1つのパソコン等からなる装置であってもよいし、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等であってもよい。
【0070】
また、本発明におけるコンピュータとは、パソコンには限定されず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
【符号の説明】
【0072】
10・・・口座情報取得装置、11・・・制御部、12・・・通信装置、13・・・ディスプレイ、14・・・各種情報入力装置、15・・・申告金融機関口座情報記憶部、16・・・同名義金融機関口座情報判断部、17・・・同名義金融機関口座情報記憶部、18・・・振替等判断部、19・・・同金融機関口座情報記憶部、20・・・第1の包含情報判断部、21・・・第1の申告外金融機関口座情報記憶部、22・・・異金融機関口座情報記憶部、23・・・第2の包含情報判断部、24・・・第2の申告外金融機関口座情報記憶部、25・・・非公開情報調査部、26・・・非公開情報調査結果記憶部、27・・・公開情報調査部、28・・・公開情報調査結果記憶部