(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137675
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】レーザ装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/40 20060101AFI20220914BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20220914BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220914BHJP
H01S 5/022 20210101ALI20220914BHJP
【FI】
H01L23/40 Z
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
H01S5/022
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037273
(22)【出願日】2021-03-09
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構、高輝度・高効率次世代レーザー技術開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】幡野 佑真
(72)【発明者】
【氏名】関根 尊史
(72)【発明者】
【氏名】村松 侑輝
(72)【発明者】
【氏名】玉置 善紀
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
5F173
【Fターム(参考)】
5E322AA07
5E322AB01
5E322AB08
5E322DA00
5E322FA01
5F136BC07
5F136CB08
5F136DA34
5F136EA02
5F173MD64
5F173ME22
5F173ME56
5F173MF03
5F173MF27
5F173MF39
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で高品質な光出力を確実に得ることができるレーザ装置を提供する。
【解決手段】レーザ装置1は、支持体2と、ヒートシンク7Aと、支持体2に取り付けられた複数のレーザ光源3Aと、複数のレーザ光源3Aとヒートシンク7Aとの間に掛け渡された複数の電極8Aと、を備える。各レーザ光源3Aは、支持体2に対して移動可能である。各電極8Aは、第1接続箇所において各レーザ光源3Aに電気的に接続されており、第2接続箇所においてヒートシンク7Aに熱的に接続されている。各電極8Aにおいて、第1接続箇所と第2接続箇所との間の延在部は、可撓性を有しており、延在部の長さは、第1接続箇所と第2接続箇所との間の直線距離よりも大きい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
第1ヒートシンクと、
前記支持体に取り付けられた複数のレーザ光源と、
前記複数のレーザ光源と前記第1ヒートシンクとの間に掛け渡された複数の電極と、を備え、
前記複数のレーザ光源のそれぞれは、前記支持体に対して移動可能であり、
前記複数の電極のそれぞれは、第1接続箇所において前記複数のレーザ光源のそれぞれに電気的に接続されており、第2接続箇所において前記第1ヒートシンクに熱的に接続されており、
前記複数の電極のそれぞれにおいて、前記第1接続箇所と前記第2接続箇所との間の延在部は、可撓性を有しており、
前記延在部の長さは、前記第1接続箇所と前記第2接続箇所との間の直線距離よりも大きい、レーザ装置。
【請求項2】
前記複数の電極のそれぞれは、シート状を呈している、請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項3】
前記延在部は、前記第1接続箇所と前記第2接続箇所との間において空中に浮いている、請求項1又は2に記載のレーザ装置。
【請求項4】
前記第1ヒートシンクには、第1冷媒流路が設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載のレーザ装置。
【請求項5】
前記複数のレーザ光源のそれぞれは、
第2ヒートシンクと、
前記第2ヒートシンクに熱的に接続された半導体レーザアレイと、を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のレーザ装置。
【請求項6】
前記第2ヒートシンクには、第2冷媒流路が設けられている、請求項5に記載のレーザ装置。
【請求項7】
可撓性を有する複数のホースを更に備え、
前記複数のホースのそれぞれは、前記第2冷媒流路に接続されている、請求項6に記載のレーザ装置。
【請求項8】
導電性部材を更に備え、
前記複数のレーザ光源は、第1レーザ光源及び第2レーザ光源を含み、
前記複数の電極は、前記第1レーザ光源の陰極に電気的に接続された第1電極、及び前記第2レーザ光源の陽極に電気的に接続された第2電極を含み、
前記第1電極と前記第2電極とは、前記導電性部材によって電気的に接続されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のレーザ装置。
【請求項9】
前記導電性部材は、前記第1ヒートシンクに熱的に接続されている、請求項8に記載のレーザ装置。
【請求項10】
前記導電性部材の断面積は、前記第1電極及び前記第2電極のそれぞれの断面積よりも大きい、請求項8又は9に記載のレーザ装置。
【請求項11】
光学素子を更に備え、
前記複数のレーザ光源は、第1方向に沿って前記光学素子に向けてレーザ光を出射する第3レーザ光源、及び前記第1方向と交差する第2方向に沿って前記光学素子に向けてレーザ光を出射する第4レーザ光源を含み、
前記光学素子は、前記第3レーザ光源から出射された前記レーザ光を反射し、前記第4レーザ光源から出射された前記レーザ光を透過する、請求項1~10のいずれか一項に記載のレーザ装置。
【請求項12】
前記光学素子は、ミラーである、請求項11に記載のレーザ装置。
【請求項13】
前記第3レーザ光源及び前記第4レーザ光源のそれぞれは、前記第1方向及び前記第2方向の両方向と交差する第3方向に積層された複数の半導体レーザバーを有し、
前記第3レーザ光源及び前記第4レーザ光源のそれぞれは、前記第3方向において前記支持体に対して移動可能である、請求項11又は12に記載のレーザ装置。
【請求項14】
前記光学素子は、
前記第3レーザ光源から出射された前記レーザ光を反射する複数の光反射部と、
前記第4レーザ光源から出射された前記レーザ光を透過する複数の光透過部と、を有し、
前記複数の光反射部のそれぞれと前記複数の光透過部のそれぞれとは、前記第3方向において交互に並んでいる、請求項13に記載のレーザ装置。
【請求項15】
前記複数のレーザ光源のそれぞれから出射されたレーザ光を所定領域に纏めるプリズム光学系を更に備える、請求項1~14のいずれか一項に記載のレーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷却マニホールドと、冷却マニホールドに取り付けられた複数のレーザアレイユニットと、複数のレーザアレイユニットに電気的に接続された複数の引出電極と、を備えるレーザアレイモジュールが記載されている。特許文献1に記載のレーザアレイモジュールでは、冷却マニホールドに形成された複数の溝のそれぞれに複数の引出電極のそれぞれが配置されている。これにより、複数のレーザアレイユニット及び複数の引出電極について、効率良い冷却が実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のレーザアレイモジュールでは、各レーザアレイユニットの位置を調整することが特に考慮されていないため、高品質な光出力を確実に得るためには、機差が小さくなるように構成部品の組付け精度を向上させる必要がある。
【0005】
本発明は、簡易な構成で高品質な光出力を確実に得ることができるレーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のレーザ装置は、支持体と、第1ヒートシンクと、支持体に取り付けられた複数のレーザ光源と、複数のレーザ光源と第1ヒートシンクとの間に掛け渡された複数の電極と、を備え、複数のレーザ光源のそれぞれは、支持体に対して移動可能であり、複数の電極のそれぞれは、第1接続箇所において複数のレーザ光源のそれぞれに電気的に接続されており、第2接続箇所において第1ヒートシンクに熱的に接続されており、複数の電極のそれぞれにおいて、第1接続箇所と第2接続箇所との間の延在部は、可撓性を有しており、延在部の長さは、第1接続箇所と第2接続箇所との間の直線距離よりも大きい。
【0007】
このレーザ装置では、各レーザ光源が支持体に対して移動可能であり、各電極において、第1接続箇所と第2接続箇所との間の延在部が可撓性を有しており、延在部の長さが第1接続箇所と第2接続箇所との間の直線距離よりも大きい。これにより、各レーザ光源に各電極が電気的に接続された状態で、各レーザ光源の位置を調整することができる。更に、各電極が第1ヒートシンクに熱的に接続されているため、発熱による各電極の劣化を抑制することができる。よって、このレーザ装置によれば、簡易な構成で高品質な光出力を確実に得ることができる。
【0008】
本発明のレーザ装置では、複数の電極のそれぞれは、シート状を呈していてもよい。これによれば、例えば、各電極が複数のワイヤによって構成されたものである場合に比べ、製造の容易化を図ることができる。また、例えば、各電極が複数のワイヤによって構成されたものである場合に比べ、延在部の可撓性を維持しつつ、発熱による各電極の劣化を抑制することができる。複数のワイヤによって構成された電極において発熱による電極の劣化を抑制するためには、各ワイヤを太くしたりワイヤの本数を増やしたりする必要があり、そのような場合には、電極の可撓性が損なわれるからである。更に、各電極がシート状を呈していると、例えば、各電極が複数のワイヤによって構成されたものである場合に比べ、各電極が曲げられたり捩じられたりしても物理的な断線が発生し難いという利点がある。
【0009】
本発明のレーザ装置では、延在部は、第1接続箇所と第2接続箇所との間において空中に浮いていてもよい。これによれば、各レーザ光源に各電極が電気的に接続された状態で、各レーザ光源の位置をより容易に調整することができる。
【0010】
本発明のレーザ装置では、第1ヒートシンクには、第1冷媒流路が設けられていてもよい。これによれば、各電極をより効率良く冷却することができる。
【0011】
本発明のレーザ装置では、複数のレーザ光源のそれぞれは、第2ヒートシンクと、第2ヒートシンクに熱的に接続された半導体レーザアレイと、を有してもよい。これによれば、各レーザ光源において、半導体レーザアレイを効率良く冷却することができる。半導体レーザアレイの発熱量は単素子の半導体レーザの発熱量に比べて大きくなるため、第2ヒートシンクを用いて半導体レーザアレイを冷却する構成は有効である。
【0012】
本発明のレーザ装置では、第2ヒートシンクには、第2冷媒流路が設けられていてもよい。これによれば、各レーザ光源において、半導体レーザアレイをより効率良く冷却することができる。
【0013】
本発明のレーザ装置は、可撓性を有する複数のホースを更に備え、複数のホースのそれぞれは、第2冷媒流路に接続されていてもよい。これによれば、各レーザ光源に各電極が電気的に接続された状態で、各レーザ光源の位置をより容易に調整することができる。
【0014】
本発明のレーザ装置は、導電性部材を更に備え、複数のレーザ光源は、第1レーザ光源及び第2レーザ光源を含み、複数の電極は、第1レーザ光源の陰極に電気的に接続された第1電極、及び第2レーザ光源の陽極に電気的に接続された第2電極を含み、第1電極と第2電極とは、導電性部材によって電気的に接続されていてもよい。これによれば、配線の単純化を図ることができ、延いては、レーザ装置の小型化を図ることができる。
【0015】
本発明のレーザ装置では、導電性部材は、第1ヒートシンクに熱的に接続されていてもよい。これによれば、発熱による導電性部材の劣化を抑制することができる。
【0016】
本発明のレーザ装置では、導電性部材の断面積は、第1電極及び第2電極のそれぞれの断面積よりも大きくてもよい。これによれば、第1電極及び第2電極並びに導電性部材の全体としての電気抵抗を下げて、それら全体としての発熱を抑制することができる。
【0017】
本発明のレーザ装置は、光学素子を更に備え、複数のレーザ光源は、第1方向に沿って光学素子に向けてレーザ光を出射する第3レーザ光源、及び第1方向と交差する第2方向に沿って光学素子に向けてレーザ光を出射する第4レーザ光源を含み、光学素子は、第3レーザ光源から出射されたレーザ光を反射し、第4レーザ光源から出射されたレーザ光を透過してもよい。これによれば、第3レーザ光源と第4レーザ光源との位置関係を調整することで、第3レーザ光源から出射されたレーザ光と第4レーザ光源から出射されたレーザ光とを所望の状態で結合させることがきる。
【0018】
本発明のレーザ装置では、光学素子は、ミラーであってもよい。これによれば、第3レーザ光源から出射されたレーザ光を反射し、第4レーザ光源から出射されたレーザ光を透過する構成を確実且つ容易に実現することができる。
【0019】
本発明のレーザ装置では、第3レーザ光源及び第4レーザ光源のそれぞれは、第1方向及び第2方向の両方向と交差する第3方向に積層された複数の半導体レーザバーを有し、第3レーザ光源及び第4レーザ光源のそれぞれは、前記第3方向において支持体に対して移動可能であってもよい。これによれば、第3レーザ光源と第4レーザ光源との位置関係を調整することで、第3レーザ光源の複数の半導体レーザバーのそれぞれから出射されたレーザ光の隙間を、第4レーザ光源の複数の半導体レーザバーのそれぞれから出射されたレーザ光で埋めることがきる。
【0020】
本発明のレーザ装置では、光学素子は、第3レーザ光源から出射されたレーザ光を反射する複数の光反射部と、第4レーザ光源から出射されたレーザ光を透過する複数の光透過部と、を有し、複数の光反射部のそれぞれと複数の光透過部のそれぞれとは、第3方向において交互に並んでいてもよい。これによれば、第3レーザ光源の位置を調整することで、第3レーザ光源から出射されたレーザ光を複数の光反射部に確実に入射させることができる。また、第4レーザ光源の位置を調整することで、第4レーザ光源から出射されたレーザ光を複数の光透過部に確実に入射させることができる。以上の結果として、光の損失を抑制しつつ、高品質な光出力を得ることができる。
【0021】
本発明のレーザ装置は、複数のレーザ光源のそれぞれから出射されたレーザ光を所定領域に纏めるプリズム光学系を更に備えてもよい。これによれば、所定領域において高品質な光出力を得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、簡易な構成で高品質な光出力を確実に得ることができるレーザ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】
図1に示されるレーザ光源ユニットの斜視図である。
【
図4】
図3に示されるIV-IV線に沿っての断面図である。
【
図5】
図4に示されるV-V線に沿っての断面図である。
【
図6】
図5に示されるレーザ光源ユニットの一部分の背面図である。
【
図7】
図3に示されるレーザ光源ユニットが有する配管ユニットの斜視図である。
【
図8】
図3に示されるレーザ光源ユニットが有する配管ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[レーザ装置の構成]
【0025】
図1及び
図2に示されるように、レーザ装置1は、レーザ光源ユニット10と、プリズム光学系100と、を備えている。レーザ光源ユニット10は、支持体2と、複数のレーザ光源3A,3B,3C,3Dと、複数の遅軸コリメータレンズ4と、複数のミラー(光学素子)5A,5Bと、複数の遅軸コリメータレンズ6と、を有している。複数のレーザ光源3A,3B,3C,3D、複数の遅軸コリメータレンズ4、複数のミラー5A,5B及び複数の遅軸コリメータレンズ6は、支持体2によって支持されている。
【0026】
複数のミラー5Aは、互いに間隔を取ってX軸方向に並んでいる。複数のミラー5Bは、複数のミラー5Aに対して、X軸方向に垂直なY軸方向における一方の側に配置されており、互いに間隔を取ってX軸方向に並んでいる。各ミラー5Aと各ミラー5Bとは、Y軸方向から見た場合にX軸方向において交互に並んでいる。以下、Y軸方向における一方の側を「下側」といい、その反対側を「上側」という。また、X軸方向及びY軸方向の両方向に垂直なZ軸方向における一方の側を「後側」といい、その反対側を「前側」という。
【0027】
各レーザ光源3Aは、各ミラー5Aの上側に配置されている。各レーザ光源3Aは、Y軸方向に沿って各ミラー5Aに向けて(すなわち、下側に)レーザ光(
図1及び
図2では破線で示されている)を出射する。各レーザ光源3Bは、各ミラー5Aの後側に配置されている。各レーザ光源3Bは、Z軸方向に沿って各ミラー5Aに向けて(すなわち、前側に)レーザ光を出射する。各ミラー5Aは、各レーザ光源3Aから出射されたレーザ光を前側に反射し、各レーザ光源3Bから出射されたレーザ光を前側に透過する。
【0028】
各レーザ光源3Cは、各ミラー5Bの下側に配置されている。各レーザ光源3Cは、Y軸方向に沿って各ミラー5Bに向けて(すなわち、上側に)レーザ光を出射する。各レーザ光源3Dは、各ミラー5Bの後側に配置されている。各レーザ光源3Dは、Z軸方向に沿って各ミラー5Bに向けて(すなわち、前側に)レーザ光を出射する。各ミラー5Bは、各レーザ光源3Cから出射されたレーザ光を前側に反射し、各レーザ光源3Dから出射されたレーザ光を前側に透過する。
【0029】
詳細については後述するが、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dは、同一の構造を有しており、マトリックス状に配置された複数の発光領域(図示省略)を含んでいる。各レーザ光源3Aは、X軸方向を速軸方向とし且つZ軸方向を遅軸方向として各発光領域から下側にレーザ光が出射されるように配置されている。各レーザ光源3Bは、X軸方向を速軸方向とし且つY軸方向を遅軸方向として各発光領域から前側にレーザ光が出射されるように配置されている。各レーザ光源3Cは、X軸方向を速軸方向とし且つZ軸方向を遅軸方向として各発光領域から上側にレーザ光が出射されるように配置されている。各レーザ光源3Dは、X軸方向を速軸方向とし且つY軸方向を遅軸方向として各発光領域から前側にレーザ光が出射されるように配置されている。なお、本実施形態では、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dにおいて、複数の発光領域から出射された複数のレーザ光の集合を単に「レーザ光」という。
【0030】
複数の遅軸コリメータレンズ4は、各レーザ光源3Aと各ミラー5Aとの間、各レーザ光源3Bと各ミラー5Aとの間、各レーザ光源3Cと各ミラー5Bとの間及び各レーザ光源3Dと各ミラー5Bとの間のそれぞれに1つの遅軸コリメータレンズ4が位置するように、配置されている。各遅軸コリメータレンズ4は、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dから出射されたレーザ光を遅軸方向においてコリメートする。複数の遅軸コリメータレンズ6は、各ミラー5Aの前側及び各ミラー5Bの前側のそれぞれに1つの遅軸コリメータレンズ6が位置するように、配置されている。各遅軸コリメータレンズ6は、各ミラー5A,5Bから出射されたレーザ光を遅軸方向においてコリメートする。
【0031】
プリズム光学系100は、各遅軸コリメータレンズ6から出射されたレーザ光(すなわち、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dから出射されたレーザ光)を固体レーザ媒質(所定領域)Sに纏める。プリズム光学系100は、固体レーザ媒質Sにおけるレーザ光の照射領域においてレーザ光の強度分布が均一となるように、各遅軸コリメータレンズ6から出射されたレーザ光を整形する。一例として、固体レーザ媒質Sは、レーザ装置1から出射されたレーザ光が励起光として照射されることで、レーザ共振器の共振光路上において放出光を発生させるものである。
【0032】
プリズム光学系100は、複数のプリズム110A,110Bと、結像光学系120と、を有している。複数のプリズム110Aは、各ミラー5Aの前側に配置された各遅軸コリメータレンズ6の前側に1つのプリズム110Aの入射面が位置するように、配置されている。複数のプリズム110Bは、各ミラー5Bの前側に配置された各遅軸コリメータレンズ6の前側に1つのプリズム110Bの入射面が位置するように、配置されている。各プリズム110A,110Bは、各レーザ光の光軸の位置がY軸方向において同一となった状態で、各レーザ光を出射する。結像光学系120は、例えば複数のシリンドリカルレンズによって構成されており、複数のプリズム110A,110Bの前側に配置されている。結像光学系120は、各プリズム110A,110Bから出射された各レーザ光を固体レーザ媒質Sに収束させる。
[レーザ光源ユニットの構成]
【0033】
図3、
図4及び
図5に示されるように、レーザ光源ユニット10において、支持体2は、上側部分21と、下側部分22と、後側部分23と、を含んでいる。上側部分21は、X軸方向に延在しており、後側部分23に対して上側に位置している。下側部分22は、X軸方向に延在しており、後側部分23に対して下側に位置している。後側部分23は、X軸方向に延在しており、上側部分21及び下側部分22に対して後側に位置している。複数のレーザ光源3A,3B、複数のミラー5A、及びそれらに対応する複数の遅軸コリメータレンズ4,6(以下、「複数のレーザ光源3A,3Bに関する構成」という)は、上述した位置関係で上側部分21に取り付けられている。複数のレーザ光源3C,3D、複数のミラー5B、及びそれらに対応する複数の遅軸コリメータレンズ4,6(以下、「複数のレーザ光源3C,3Dに関する構成」という)は、上述した位置関係で下側部分22に取り付けられている。
【0034】
上側部分21は、後側に向いた支持面21aを有している。下側部分22は、後側に向いた支持面22aを有している。後側部分23は、上側に向いた支持面23a、及び下側に向いた支持面23bを有している。各支持面21a,22a,23a,23bは、X軸方向に延在している。
【0035】
上側部分21の支持面21aには、複数のレーザ光源3Aが取り付けられている。複数のレーザ光源3Aは、互いに間隔を取ってX軸方向に並んでいる。後側部分23の支持面23aには、複数のレーザ光源3Bが取り付けられている。複数のレーザ光源3Bは、互いに間隔を取ってX軸方向に並んでいる。下側部分22の支持面22aには、複数のレーザ光源3Cが取り付けられている。複数のレーザ光源3Cは、互いに間隔を取ってX軸方向に並んでいる。後側部分23の支持面23bには、複数のレーザ光源3Dが取り付けられている。複数のレーザ光源3Dは、互いに間隔を取ってX軸方向に並んでいる。
【0036】
ここで、複数のレーザ光源3A,3Bに関する構成について、
図5及び
図6を参照して説明する。
図5及び
図6に示されるように、各レーザ光源3A,3Bは、ベース31と、ヒートシンク(第2ヒートシンク)32と、半導体レーザアレイ33と、複数の速軸コリメータレンズ34と、一対の端子35と、を有している。ヒートシンク32は、ベース31に固定されている。半導体レーザアレイ33は、ヒートシンク32に固定されており、ヒートシンク32に熱的に接続されている。複数の速軸コリメータレンズ34は、半導体レーザアレイ33の出射端面に固定されている(詳細については後述する)。一対の端子35は、半導体レーザアレイ33に電圧を印加するための端子であり、X軸方向おける半導体レーザアレイ33の両側に設けられている。
【0037】
各レーザ光源3A,3Bのヒートシンク32には、冷媒流路(第2冷媒流路)36が設けられている。冷媒流路36には、配管(図示省略)によって冷媒(例えば、水等)が供給される。ヒートシンク32において、冷媒は、冷媒流路36の導入口36aから導入され、冷媒流路36の導出口36bから導出される(
図3参照)。
【0038】
上側部分21の支持面21aには、複数のレーザ光源3Aに対応するように複数対のねじ穴21bが形成されている。各レーザ光源3Aのベース31には、一対のねじ穴21bに対応するように、X軸方向を長手方向とする一対の長穴31aが形成されている。各レーザ光源3Aについては、一対のねじ穴21bのそれぞれに一対の長穴31aのそれぞれを介して一対のボルト37のそれぞれが螺合されることで、半導体レーザアレイ33から下側にレーザ光(
図5では破線で示されている)が出射されるように、各レーザ光源3Aが支持面21aに取り付けられている。このような取付構造により、各レーザ光源3Aは、X軸方向において支持体2に対して移動可能となっている。なお、
図6では、複数のボルト37の図示が省略されている。
【0039】
後側部分23の支持面23aには、複数のレーザ光源3Bに対応するように複数対のねじ穴23cが形成されている。各レーザ光源3Bのベース31には、一対のねじ穴23cに対応するように、X軸方向を長手方向とする一対の長穴31aが形成されている。各レーザ光源3Bについては、一対のねじ穴23cのそれぞれに一対の長穴31aのそれぞれを介して一対のボルト37のそれぞれが螺合されることで、半導体レーザアレイ33から前側にレーザ光が出射されるように、各レーザ光源3Bが支持面23aに取り付けられている。このような取付構造により、各レーザ光源3Bは、X軸方向において支持体2に対して移動可能となっている。
【0040】
レーザ光源(第3レーザ光源)3Aは、Y軸方向(第1方向)に沿ってミラー5Aに向けてレーザ光を出射する。レーザ光源3Aの半導体レーザアレイ33は、X軸方向に積層された複数の半導体レーザバー33aを有している。レーザ光源3Aの各半導体レーザバー33aは、Z軸方向に並んだ複数の発光領域(図示省略)を含んでいる。レーザ光源3Aの各発光領域からは、X軸方向を速軸方向とし且つZ軸方向を遅軸方向としてレーザ光が出射される。レーザ光源3Aにおいて、各速軸コリメータレンズ34は、各半導体レーザバー33aの出射端面に固定されており、各発光領域から出射されたレーザ光を速軸方向においてコリメートする。
【0041】
レーザ光源(第4レーザ光源)3Bは、Z軸方向(第2方向)に沿ってミラー5Aに向けてレーザ光を出射する。レーザ光源3Bの半導体レーザアレイ33は、X軸方向に積層された複数の半導体レーザバー33aを有している。レーザ光源3Bの各半導体レーザバー33aは、Y軸方向に並んだ複数の発光領域(図示省略)を含んでいる。レーザ光源3Bの各発光領域からは、X軸方向を速軸方向とし且つY軸方向を遅軸方向としてレーザ光が出射される。レーザ光源3Bにおいて、各速軸コリメータレンズ34は、各半導体レーザバー33aの出射端面に固定されており、各発光領域から出射されたレーザ光を速軸方向においてコリメートする。
【0042】
ミラー5Aは、複数の光反射部51と、複数の光透過部52と、を有している。各光反射部51は、ミラー5Aにおける前側且つ上側の主面5aとX軸方向に垂直な平面との交線に平行な方向に延在している。同様に、複数の光透過部52は、当該交線に平行な方向に延在している。各光反射部51と各光透過部52とは、X軸方向(第1方向及び第2方向の両方向と交差する第3方向)において交互に並んでいる。一例として、各光反射部51は、主面5aに沿って形成された高反射コートであり、各光透過部52は、ミラー5Aに形成されたスリットである。
【0043】
複数の光反射部51は、レーザ光源3Aから出射されたレーザ光を反射する。より具体的には、各光反射部51は、レーザ光源3Aの各半導体レーザバー33aから下側に出射されたレーザ光を前側に反射する。複数の光透過部52は、レーザ光源3Bから出射されたレーザ光を透過する。より具体的には、各光透過部52は、レーザ光源3Bの各半導体レーザバー33aから前側に出射されたレーザ光を前側に透過する。
【0044】
以上が複数のレーザ光源3A,3Bに関する構成についての説明である。複数のレーザ光源3C,3Dに関する構成は、後側から見た場合における支持体2の中心点に関して複数のレーザ光源3A,3Bに関する構成と点対称の関係にある(
図4参照)だけであるため、複数のレーザ光源3C,3Dに関する構成についての説明は省略する。
【0045】
図3、
図4及び
図5に示されるように、レーザ光源ユニット10は、一対のヒートシンク(第1ヒートシンク)7A,7Bと、複数の電極8A,8B,8C,8Dと、複数の導電性部材9A,9B,9C,9Dと、を更に有している。ヒートシンク7Aは、上側部分21の後側且つ後側部分23の上側において、X軸方向に延在している。ヒートシンク7Bは、下側部分22の後側且つ後側部分23の下側において、X軸方向に延在している。ヒートシンク7Aは、支持体2の後側に立設されたプレート70から延在する一対のアーム70aと後側部分23とによって挟持されている。ヒートシンク7Bは、プレート70から延在する別の一対のアーム70aと後側部分23とによって挟持されている。各ヒートシンク7A,7Bは、例えば、アルミニウム等の金属によって形成されている。
【0046】
各ヒートシンク7A,7Bには、冷媒流路(第1冷媒流路)71が設けられている。冷媒流路71は、各ヒートシンク7A,7B内においてX軸方向に延在している。冷媒流路71には、配管(図示省略)によって冷媒(例えば、水等)が供給される。各ヒートシンク7A,7Bにおいて、冷媒は、冷媒流路71の導入口71aから導入され、冷媒流路71の導出口71bから導出される。
【0047】
複数の電極8Aは、複数のレーザ光源3Aとヒートシンク7Aとの間に掛け渡されている。より具体的には、各電極8Aは、各レーザ光源3Aの各端子35とヒートシンク7Aにおける上側の表面7aとの間に掛け渡されている。各電極8Aは、第1接続箇所P1において各レーザ光源3Aに電気的に接続されており、第2接続箇所P2においてヒートシンク7Aに熱的に接続されている。なお、各電極8Aは、第1接続箇所P1において各レーザ光源3Aの各端子35にボルト(図示省略)によって固定されている。
【0048】
複数の電極8Bは、複数のレーザ光源3Bとヒートシンク7Aとの間に掛け渡されている。より具体的には、各電極8Bは、各レーザ光源3Bの各端子35とヒートシンク7Aにおける後側の表面7bとの間に掛け渡されている。各電極8Bは、第1接続箇所P1において各レーザ光源3Bに電気的に接続されており、第2接続箇所P2においてヒートシンク7Aに熱的に接続されている。なお、各電極8Bは、第1接続箇所P1において各レーザ光源3Bの各端子35にボルト(図示省略)によって固定されている。
【0049】
複数の電極8Cは、複数のレーザ光源3Cとヒートシンク7Bとの間に掛け渡されている。より具体的には、各電極8Cは、各レーザ光源3Cの各端子35とヒートシンク7Bにおける下側の表面7cとの間に掛け渡されている。各電極8Cは、第1接続箇所P1において各レーザ光源3Cに電気的に接続されており、第2接続箇所P2においてヒートシンク7Bに熱的に接続されている。なお、各電極8Cは、第1接続箇所P1において各レーザ光源3Cの各端子35にボルト(図示省略)によって固定されている。
【0050】
複数の電極8Dは、複数のレーザ光源3Dとヒートシンク7Bとの間に掛け渡されている。より具体的には、各電極8Dは、各レーザ光源3Dの各端子35とヒートシンク7Bにおける後側の表面7bとの間に掛け渡されている。各電極8Dは、第1接続箇所P1において各レーザ光源3Dに電気的に接続されており、第2接続箇所P2においてヒートシンク7Bに熱的に接続されている。なお、各電極8Dは、第1接続箇所P1において各レーザ光源3Dの各端子35にボルト(図示省略)によって固定されている。
【0051】
各電極8A,8B,8C,8Dは、シート状を呈している。各電極8A,8B,8C,8Dは、例えば、100μm程度の厚さ、8mm程度の幅、及び40mm程度の長さを有している。各電極8A,8B,8C,8Dは、例えば、銅によって形成されている。各電極8A,8B,8C,8Dにおいて、第1接続箇所P1と第2接続箇所P2との間の延在部81は、可撓性を有している。各電極8A,8B,8C,8Dの延在部81は、第1接続箇所P1と第2接続箇所P2との間において空中に浮いている。各電極8A,8B,8C,8Dにおいて、延在部81の長さは、第1接続箇所P1と第2接続箇所P2との間の直線距離よりも大きい。各電極8A,8B,8C,8Dは、第1接続箇所P1と第2接続箇所P2との間において遊びを有しており、第1接続箇所P1と第2接続箇所P2との間において撓んでいる。本実施形態では、各電極8A,8B,8C,8Dは、延在部81を含む全体において可撓性を有しており、曲げたり捩ったりすることが可能な部材である。なお、各電極8A,8B,8C,8Dについては、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dが支持体2に対して移動可能であるため、第1接続箇所P1の位置が変化し、第1接続箇所P1と第2接続箇所P2との間の直線距離が変化する。延在部81の長さは、第1接続箇所P1と第2接続箇所P2との間の直線距離の最小値(各レーザ光源3A,3B,3C,3Dが支持体2に対して移動可能な範囲での最小値)よりも大きければよい。延在部81の長さは、第1接続箇所P1と第2接続箇所P2との間の直線距離の最大値(各レーザ光源3A,3B,3C,3Dが支持体2に対して移動可能な範囲での最大値)以上であれば、より好ましい。
【0052】
各導電性部材9Aは、ヒートシンク7Aの表面7aに配置されている。各導電性部材9Aは、ヒートシンク7Aに熱的に接続されている。隣り合う一対のレーザ光源3Aに着目すると、一方のレーザ光源(第1レーザ光源)3Aの陰極(すなわち、陰極側の端子35)に電気的に接続された電極(第1電極)8Aと、他方のレーザ光源(第2レーザ光源)3Aの陽極(すなわち、陽極側の端子35)に電気的に接続された電極(第2電極)8Aとは、導電性部材9Aによって電気的に接続されている。これにより、複数のレーザ光源3Aにおいて、複数の半導体レーザアレイ33は、電気的に直列に接続されている。
【0053】
各導電性部材9Bは、ヒートシンク7Aの表面7bに配置されている。各導電性部材9Bは、ヒートシンク7Aに熱的に接続されている。隣り合う一対のレーザ光源3Bに着目すると、一方のレーザ光源(第1レーザ光源)3Bの陰極(すなわち、陰極側の端子35)に電気的に接続された電極(第1電極)8Bと、他方のレーザ光源(第2レーザ光源)3Bの陽極(すなわち、陽極側の端子35)に電気的に接続された電極(第2電極)8Bとは、導電性部材9Bによって電気的に接続されている。これにより、複数のレーザ光源3Bにおいて、複数の半導体レーザアレイ33は、電気的に直列に接続されている。
【0054】
各導電性部材9Cは、ヒートシンク7Bの表面7cに配置されている。各導電性部材9Cは、ヒートシンク7Bに熱的に接続されている。隣り合う一対のレーザ光源3Cに着目すると、一方のレーザ光源(第1レーザ光源)3Cの陰極(すなわち、陰極側の端子35)に電気的に接続された電極(第1電極)8Cと、他方のレーザ光源(第2レーザ光源)3Cの陽極(すなわち、陽極側の端子35)に電気的に接続された電極(第2電極)8Cとは、導電性部材9Cによって電気的に接続されている。これにより、複数のレーザ光源3Cにおいて、複数の半導体レーザアレイ33は、電気的に直列に接続されている。
【0055】
各導電性部材9Dは、ヒートシンク7Bの表面7bに配置されている。各導電性部材9Dは、ヒートシンク7Bに熱的に接続されている。隣り合う一対のレーザ光源3Dに着目すると、一方のレーザ光源(第1レーザ光源)3Dの陰極(すなわち、陰極側の端子35)に電気的に接続された電極(第1電極)8Dと、他方のレーザ光源(第2レーザ光源)3Dの陽極(すなわち、陽極側の端子35)に電気的に接続された電極(第2電極)8Dとは、導電性部材9Dによって電気的に接続されている。これにより、複数のレーザ光源3Dにおいて、複数の半導体レーザアレイ33は、電気的に直列に接続されている。
【0056】
各導電性部材9A,9B,9C,9Dは、プレート状を呈している。各導電性部材9A,9B,9C,9Dは、例えば、1mm程度の厚さ、8mm程度の幅、及び22mm程度の長さを有している。各導電性部材9A,9B,9C,9Dは、例えば、銅によって形成されている。各導電性部材9A,9B,9C,9Dの断面積(配線として延在する方向に垂直な断面の面積)は、各電極8A,8B,8C,8Dの断面積(配線として延在する方向に垂直な断面の面積)よりも大きい。
【0057】
なお、各電極8A及び各導電性部材9Aは、電気絶縁性材料(例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等)によって形成された絶縁プレート72を介して、ヒートシンク7Aの表面7aに配置されており、各第2接続箇所P2において、ボルト73によってヒートシンク7Aの表面7aに固定されている。各電極8B及び各導電性部材9Bは、絶縁プレート72を介して、ヒートシンク7Aの表面7bに配置されており、各第2接続箇所P2において、ボルト73によってヒートシンク7Aの表面7bに固定されている。各電極8C及び各導電性部材9Cは、絶縁プレート72を介して、ヒートシンク7Bの表面7cに配置されており、各第2接続箇所P2において、ボルト73によってヒートシンク7Bの表面7cに固定されている。各電極8D及び各導電性部材9Dは、絶縁プレート72を介して、ヒートシンク7Bの表面7bに配置されており、各第2接続箇所P2において、ボルト73によってヒートシンク7Bの表面7bに固定されている。
[配管ユニットの構成]
【0058】
図4に示されるように、支持体2の後側部分23における後側の表面23dには、メイン導入口24、複数のサブ導出口25、複数のサブ導入口26、及びメイン導出口27が形成されている。メイン導入口24は、X軸方向における一方の側に位置している。各サブ導出口25は、各レーザ光源3Bの下側に位置している。各サブ導入口26は、各レーザ光源3Dの上側に位置している。メイン導出口27は、X軸方向における他方の側に位置している。後側部分23には、メイン導入口24から導入されて複数のサブ導出口25から導出される冷媒(例えば、水等)が流れる冷媒供給流路(図示省略)、及び複数のサブ導入口26から導入されてメイン導出口27から導出される冷媒(例えば、水等)が流れる冷媒回収流路(図示省略)が設けられている。なお、
図3に示されるように、メイン導入口24には、メイン導入管11が接続されており、メイン導出口27には、メイン導出管12が接続されている。メイン導入管11及びメイン導出管12は、後側部分23によって支持されており、プレート70から離間した状態で、プレート70に形成された孔を通っている。
【0059】
レーザ光源ユニット10は、
図7及び
図8に示されるように、複数の配管ユニット13A,13Bを更に有している。各配管ユニット13A,13Bは、接続部14と、一対のホース15A,15Bと、一対の継手部16A,16Bと、複数のホース17A,17B,17C,17Dと、複数の接続部18A,18B,18C,18Dと、を含んでいる。各ホース15A,15B,17A,17B,17C,17Dは、可撓性を有している。なお、
図3、
図4、
図5及び
図6では、複数の配管ユニット13A,13Bの図示が省略されている。
【0060】
ホース15Aの一端部は、接続部14に接続されており、ホース15Aの他端部は、継手部16Aに接続されている。ホース15Bの一端部は、接続部14に接続されており、ホース15Bの他端部は、継手部16Bに接続されている。ホース17Aの一端部は、継手部16Aに接続されており、ホース17Aの他端部は、接続部18Aに接続されている。ホース17Bの一端部は、継手部16Aに接続されており、ホース17Bの他端部は、接続部18Bに接続されている。ホース17Cの一端部は、継手部16Bに接続されており、ホース17Cの他端部は、接続部18Cに接続されている。ホース17Dの一端部は、継手部16Bに接続されており、ホース17Dの他端部は、接続部18Dに接続されている。
【0061】
図7に示されるように、各配管ユニット13Aの接続部14は、各サブ導出口25(
図4参照)に接続されている。各配管ユニット13Aの接続部18Aは、各レーザ光源3Aの導入口36aに接続されている(
図3参照)。各配管ユニット13Aの接続部18Bは、各レーザ光源3Bの導入口36aに接続されている(
図3参照)。各配管ユニット13Aの接続部18Cは、各レーザ光源3Cの導入口36aに接続されている。各配管ユニット13Aの接続部18Dは、各レーザ光源3Dの導入口36aに接続されている。各配管ユニット13Aの各ホース17A,17B,17C,17Dは、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dの冷媒流路36に接続されている。
【0062】
図8に示されるように、各配管ユニット13Bの接続部14は、各サブ導入口26(
図4参照)に接続されている。各配管ユニット13Bの接続部18Aは、各レーザ光源3Aの導出口36bに接続されている(
図3参照)。各配管ユニット13Bの接続部18Bは、各レーザ光源3Bの導出口36bに接続されている(
図3参照)。各配管ユニット13Bの接続部18Cは、各レーザ光源3Cの導出口36bに接続されている。各配管ユニット13Bの接続部18Dは、各レーザ光源3Dの導出口36bに接続されている。各配管ユニット13Bの各ホース17A,17B,17C,17Dは、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dの冷媒流路36に接続されている。
【0063】
レーザ装置1では、メイン導入管11からメイン導入口24を介して後側部分23の冷媒供給流路に冷媒が導入され、各サブ導出口25及び各配管ユニット13Aを介して各レーザ光源3A,3B,3C,3Dの冷媒流路36に冷媒が導入される。そして、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dの冷媒流路36から各配管ユニット13B及び各サブ導入口26を介して後側部分23の冷媒回収流路に冷媒が導入され、メイン導出口27を介してメイン導出管12から冷媒が導出される。
[作用及び効果]
【0064】
レーザ装置1では、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dが支持体2に対して移動可能であり、各電極8A,8B,8C,8Dにおいて、第1接続箇所P1と第2接続箇所P2との間の延在部81が可撓性を有しており、延在部81の長さが第1接続箇所P1と第2接続箇所P2との間の直線距離よりも大きい。これにより、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dに各電極8A,8B,8C,8Dが電気的に接続された状態で、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dの位置を調整することができる。したがって、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dから出射されたレーザ光の照射パターン(すなわち、固体レーザ媒質Sに照射され得るレーザ光の照射パターン)を確認しつつ、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dの位置を調整することが可能となる。更に、各電極8A,8Bがヒートシンク7Aに熱的に接続されており、各電極8C,8Dがヒートシンク7Bに熱的に接続されているため、発熱による各電極8A,8B,8C,8Dの劣化を抑制することができる。よって、レーザ装置1によれば、簡易な構成で高品質な光出力を確実に得ることができる。
【0065】
レーザ装置1では、各電極8A,8B,8C,8Dがシート状を呈している。これにより、例えば、各電極8A,8B,8C,8Dが複数のワイヤによって構成されたものである場合に比べ、製造の容易化を図ることができる。また、例えば、各電極8A,8B,8C,8Dが複数のワイヤによって構成されたものである場合に比べ、延在部81の可撓性を維持しつつ、発熱による各電極8A,8B,8C,8Dの劣化を抑制することができる。複数のワイヤによって構成された電極において発熱による電極の劣化を抑制するためには、各ワイヤを太くしたりワイヤの本数を増やしたりする必要があり、そのような場合には、電極の可撓性が損なわれるからである。更に、各電極8A,8B,8C,8Dがシート状を呈していると、例えば、各電極が複数のワイヤによって構成されたものである場合に比べ、各電極8A,8B,8C,8Dが曲げられたり捩じられたりしても物理的な断線が発生し難いという利点がある。
【0066】
レーザ装置1では、各電極8A,8B,8C,8Dの延在部81が、第1接続箇所P1と第2接続箇所P2との間において空中に浮いている。これにより、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dに各電極8A,8B,8C,8Dが電気的に接続された状態で、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dの位置をより容易に調整することができる。
【0067】
レーザ装置1では、各ヒートシンク7A,7Bに冷媒流路71が設けられている。これにより、各電極8A,8B,8C,8Dをより効率良く冷却することができる。
【0068】
レーザ装置1では、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dが、ヒートシンク32と、ヒートシンク32に熱的に接続された半導体レーザアレイ33と、を有している。これにより、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dにおいて、半導体レーザアレイ33を効率良く冷却することができる。半導体レーザアレイ33の発熱量は単素子の半導体レーザの発熱量に比べて大きくなるため、ヒートシンク32を用いて半導体レーザアレイ33を冷却する構成は有効である。
【0069】
レーザ装置1では、ヒートシンク32に冷媒流路36が設けられている。これにより、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dにおいて、半導体レーザアレイ33をより効率良く冷却することができる。
【0070】
レーザ装置1では、可撓性を有する各ホース17A,17B,17C,17Dが、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dの冷媒流路36に接続されている。これにより、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dに各電極8A,8B,8C,8Dが電気的に接続された状態で、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dの位置をより容易に調整することができる。
【0071】
レーザ装置1では、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dにおいて、複数の半導体レーザアレイ33が、各導電性部材9A,9B,9C,9Dによって電気的に直列に接続されている。これにより、配線の単純化を図ることができ、延いては、レーザ装置1の小型化を図ることができる。
【0072】
レーザ装置1では、各導電性部材9A,9Bがヒートシンク7Aに熱的に接続されており、各導電性部材9C,9Dがヒートシンク7Bに熱的に接続されている。これにより、発熱による導電性部材9A,9B,9C,9Dの劣化を抑制することができる。
【0073】
レーザ装置1では、各導電性部材9A,9B,9C,9Dの断面積が各電極8A,8B,8C,8Dの断面積よりも大きい。これにより、複数の電極8A及び複数の導電性部材9Aの全体としての電気抵抗を下げて、それら全体としての発熱を抑制することができる。複数の電極8B及び複数の導電性部材9Bの全体、複数の電極8C及び複数の導電性部材9Cの全体、並びに、複数の電極8D及び複数の導電性部材9Dの全体についても、同様である。
【0074】
レーザ装置1では、各ミラー5Aが、各レーザ光源3Aから出射されたレーザ光を反射し、各レーザ光源3Bから出射されたレーザ光を透過する。これにより、対応するレーザ光源3Aとレーザ光源3Bとの位置関係を調整することで、レーザ光源3Aから出射されたレーザ光とレーザ光源3Bから出射されたレーザ光とを所望の状態で結合させることができる。同様に、各ミラー5Bが、各レーザ光源3Cから出射されたレーザ光を反射し、各レーザ光源3Dから出射されたレーザ光を透過する。これにより、対応するレーザ光源3Cとレーザ光源3Dとの位置を調整することで、レーザ光源3Cから出射されたレーザ光とレーザ光源3Dから出射されたレーザ光とを所望の状態で結合させることができる。
【0075】
レーザ装置1では、各レーザ光源3A,3Bが、X軸方向に積層された複数の半導体レーザバー33aを有しており、各レーザ光源3A,3Bが、X軸方向において支持体2に対して移動可能である。これにより、対応するレーザ光源3Aとレーザ光源3Bとの位置関係を調整することで、レーザ光源3Aの各半導体レーザバー33aから出射されたレーザ光の隙間を、レーザ光源3Bの各半導体レーザバー33aから出射されたレーザ光で埋めることがきる。同様に、各レーザ光源3C,3Dが、X軸方向に積層された複数の半導体レーザバー33aを有しており、各レーザ光源3C,3Dが、X軸方向において支持体2に対して移動可能である。これにより、対応するレーザ光源3Cとレーザ光源3Dとの位置関係を調整することで、レーザ光源3Cの各半導体レーザバー33aから出射されたレーザ光の隙間を、レーザ光源3Dの各半導体レーザバー33aから出射されたレーザ光で埋めることがきる。
【0076】
レーザ装置1では、各ミラー5Aが、各レーザ光源3Aから出射されたレーザ光を反射する複数の光反射部51と、各レーザ光源3Bから出射されたレーザ光を透過する複数の光透過部52と、を有しており、各ミラー5Aにおいて、各光反射部51と各光透過部52とがX軸方向において交互に並んでいる。これにより、各レーザ光源3Aの位置を調整することで、各レーザ光源3Aから出射されたレーザ光を各光反射部51に確実に入射させることができる。また、各レーザ光源3Bの位置を調整することで、各レーザ光源3Bから出射されたレーザ光を各光透過部52に確実に入射させることができる。同様に、各ミラー5Bが、各レーザ光源3Cから出射されたレーザ光を反射する複数の光反射部51と、各レーザ光源3Dから出射されたレーザ光を透過する複数の光透過部52と、を有しており、各ミラー5Bにおいて、各光反射部51と各光透過部52とがX軸方向において交互に並んでいる。これにより、各レーザ光源3Cの位置を調整することで、各レーザ光源3Cから出射されたレーザ光を各光反射部51に確実に入射させることができる。また、各レーザ光源3Dの位置を調整することで、各レーザ光源3Dから出射されたレーザ光を各光透過部52に確実に入射させることができる。以上の結果として、光の損失を抑制しつつ、高品質な光出力を得ることができる。
【0077】
レーザ装置1では、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dから出射されたレーザ光が、プリズム光学系100によって固体レーザ媒質Sに纏められる。これにより、固体レーザ媒質Sにおいて高品質な光出力を得ることができる。
[変形例]
【0078】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、各電極8A,8B,8C,8Dは、少なくとも延在部81において、可撓性を有していればよい。各電極8A,8B,8C,8Dは、シート状を呈しているものに限定されず、例えば、複数のワイヤによって構成されたもの、スプリング状の延在部81を有するものであってもよい。各電極8A,8B,8C,8Dにおいて、延在部81は、第1接続箇所P1と第2接続箇所P2との間において空中に浮いていなくてもよい。
【0079】
各ヒートシンク7A,7Bには、冷媒流路71が設けられていなくてもよい。各レーザ光源3A,3B,3C,3Dは、ヒートシンク32と、半導体レーザアレイ33と、を有するものでなくてもよい。例えば、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dは、単素子の半導体レーザによって構成されたものであってもよい。各レーザ光源3A,3B,3C,3Dにおいて、ヒートシンク32には、冷媒流路36が設けられていなくてもよい。各レーザ光源3A,3B,3C,3Dは、X軸方向以外の方向において支持体2に対して移動可能であってもよい。プリズム光学系100は、各レーザ光源3A,3B,3C,3Dから出射されたレーザ光を所定領域に纏めるものであればよい。
【0080】
レーザ光源ユニット10は、各ミラー5A,5Bに代えて、偏光結合素子、波長結合素子等の他の光学素子を有していてもよい。偏光結合素子は、第1偏光(例えば、P偏光及びS偏光の一方)のレーザ光を反射し、第1偏光とは異なる第2偏光(例えば、P偏光及びS偏光の他方)のレーザ光を透過するものであればよい。波長結合素子は、第1波長のレーザ光を反射し、第1波長とは異なる第2波長のレーザ光を透過するものであればよい。ただし、ミラー5A,5Bによれば、Y軸方向に沿って入射するレーザ光を反射し、Z軸方向に沿って入射するレーザ光を透過する構成を確実且つ容易に実現することができる。
【0081】
上述した実施形態における各構成には、上述した材料及び形状に限定されず、様々な材料及び形状を適用することができる。また、上述した一の実施形態又は変形例における各構成は、他の実施形態又は変形例における各構成に任意に適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1…レーザ装置、2…支持体、3A,3B,3C,3D…レーザ光源、5A,5B…ミラー(光学素子)、7A,7B…ヒートシンク(第1ヒートシンク)、8A,8B,8C,8D…電極、9A,9B,9C,9D…導電性部材、17A,17B,17C,17D…ホース、32…ヒートシンク(第2ヒートシンク)、33…半導体レーザアレイ、33a…半導体レーザバー、36…冷媒流路(第2冷媒流路)、51…光反射部、52…光透過部、71…冷媒流路(第1冷媒流路)、81…延在部、100…プリズム光学系、P1…第1接続箇所、P2…第2接続箇所、S…固体レーザ媒質(所定領域)。