(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137692
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】門扉枠及び門扉
(51)【国際特許分類】
E05B 9/08 20060101AFI20220914BHJP
【FI】
E05B9/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037301
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000213792
【氏名又は名称】朝日スチール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100081879
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 清
(72)【発明者】
【氏名】中 山 保 博
(57)【要約】
【課題】 在庫管理、工程管理が容易な門扉枠及び門扉を提供する。
【解決手段】
縦材1は中空部15にシリンダ錠5を収納し、共通開口12はシリンダ錠5の鍵穴部50を装着露出し、装着される複数種類のすべてのシリンダ錠5の鍵穴部50に適合する大きさ及び形状であり、共通開口13はレバー51を露出突出させ、この共通開口13も同様に使用するすべての種類のシリンダ錠5のレバー51に適合する大きさ及び形状になっている。共通開口12と共通開口13部分を覆うようにフロントカバー20が装着固定され、個別開口21は装着される特定の個別シリンダ錠5の鍵穴部50に対応する位置に形成され、その形状、大きさも個別の鍵穴部50に対応している。更に個別開口22は装着される特定の個別シリンダ錠5のレバー51に対応する位置に形成され、その形状、大きさも個別のレバー51に対応している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ錠を収納可能な中空部を備えた縦材と、
該縦材の表面に形成され、前記中空部に収納されるあらかじめ決められた複数の異なるシリンダ錠の異なるタイプの部材を露出可能な共通開口と、
前記共通開口を覆い、装着される特定のシリンダ錠の部材を露出可能な個別表面開口を備えたカバーと、
を有することを特徴とする門扉枠。
【請求項2】
前記共通開口が、縦材の正面側の正表面と背面側の背表面の少なくとも一方に形成され、
前記シリンダ錠の部材が、シリンダ錠の鍵穴である、
請求項1の門扉枠。
【請求項3】
前記共通開口が、縦材の正面側の正表面と背面側の背表面の少なくとも一方に形成され、
前記シリンダ錠の部材が、シリンダ錠の開錠操作部材である、
請求項1の門扉枠。
【請求項4】
前記共通開口が、縦材の側面側の側表面に形成され、
前記シリンダ錠の部材が、シリンダ錠の進退可能な施錠部材である、
請求項1の門扉枠。
【請求項5】
請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4に記載の門扉枠を備えた門扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、門扉枠及び門扉に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外で使用される門扉にも錠が必要とされる場合があり、シリンダ錠を門扉に施すことが従来から行われている。
【0003】
【特許文献1】特開2002-235465
【特許文献2】特開2003-166388
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のシリンダ錠を備えた門扉は、いずれもシリンダ錠を装着するためのボックスなど付属部品を必要とするため、部品点数の増加や組み立て工数の増加を招き、また外観が複雑になって美感上も好ましくないなどの欠点があった。
そのため、ボックスを用いずに、門扉枠の縦材に直接シリンダ錠を設ける試みがなされているが、シリンダ錠は、鍵穴部(内筒)やドアノブ、ハンドル、サムターンなどを縦材の表面外部に露出する必要があり、そのための開口を縦材に形成する必要がある。しかしシリンダ錠には様々な種類があり外部露出する必要のある部材の数、位置、大きさ、形状などもさまざまであり、個々のシリンダ錠毎に必要とする開口の数、位置や大きさ、形状も異なってくる。そのため、種々のシリンダ錠に対応するために、それぞれにシリンダ錠に適合する開口を形成した縦材を予め用意するか或いは受注の都度開口の加工を施す必要があり、在庫管理や工程の効率化などに問題があった。
本発明は上記従来技術の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の門扉枠は、シリンダ錠を収納可能な中空部を備えた縦材と、該縦材の表面に形成され、前記中空部に収納されるあらかじめ決められた複数の異なるシリンダ錠の異なるタイプの部材を露出可能な共通開口と、前記共通開口を覆い、装着される特定のシリンダ錠の部材を露出可能な個別表面開口を備えたカバーと、を有することを特徴とする。
前記共通開口は、縦材の正面側の正表面と背面側の背表面の少なくとも一方に形成されれば良く、前記シリンダ錠の部材はシリンダ錠の鍵穴であることも可能であり、また前記シリンダ錠の部材がシリンダ錠の開錠操作部材であることも可能である。
更に前記共通開口は、縦材の側面側の側表面に形成されることも可能であり、前記シリンダ錠の部材はシリンダ錠の進退可能な施錠部材である構成としてもよい。
更に上記構成の門扉枠を備えた門扉として実現することも可能である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の門扉枠及び門扉によれば、装着するシリンダ錠の異なるタイプ毎に部材を露出するための異なる開口を形成する必要がないため、個別のシリンダ錠に適合する開口を形成した縦材を予め用意する必要がなく、また受注の都度開口の加工を施す必要もないため、在庫管理や工程の効率化が向上する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、両開きの門扉9の正面図であり、左右の各扉は門扉枠90とここに装着されたパネル91とで門扉9を構成している。ここで
図1において門扉9及び門扉枠90の正面92が表れており、その裏側の背面92’は図面上に表れていない。
【0008】
シリンダ錠5が装着される右側の門扉枠90は縦材1と横材2及び基部縦材3とから構成されており、基部縦材3が蝶番4を介してフェンス等の門柱dに装着されることにより回動可能になっている。縦材1は回動する門扉9の先端である回動端部を形成し、他方の門扉枠90の縦材6に対して接近、離間して開閉動作を行い扉として機能するように構成されている。
【0009】
図2に示すように、縦材1は中空部15を有する中空の角パイプ形状をなし、その中空部15内部にシリンダ錠5を収納するように構成されている。角パイプ形状の縦材1の6面は、正表面10、背表面10’、側表面11と上端面、下端面と横材2が装着される内側面から構成されている。
縦材1の正面側の面は門扉9及び門扉枠90の正面92の一部である正表面10になっており、ここにシリンダ錠5の鍵穴部50やレバー51が露出するように構成されている。同様に縦材1の背面側の面は門扉9及び門扉枠90の背面92’(図示せず)の一部である背表面10’になっており、同様にシリンダ錠5の鍵穴部50やレバー51が露出するように構成されている。
縦材1の側表面11は縦材6に対向し、ここからシリンダ錠5のラッチ52とデッドボルト53が縦材6に向けて進退し、施錠開錠動作を行うようになっている。
縦材6にはラッチ52とデッドボルト53を受けるストライク60が形成されている(
図7)。なお縦材6は、この実施形態では丸パイプ形状になっている。
【0010】
図2に示すように縦材1の側表面11には共通開口14が形成されており、前記したようにここからシリンダ錠5を中空部15内部に挿入し、縦材1にシリンダ錠5を装着するように構成されている。
共通開口14は使用する予め決められたタイプの異なる複数のシリンダ錠5の形状、大きさに適合する形状と大きさを有しており、この実施形態では使用する最大の大きさのシリンダ錠5を挿入できる長さと幅寸法を有する長方形になっている。また共通開口14はシリンダ錠5の側面部の部材であるラッチ52、デッドボルト53を露出するようになっている。
【0011】
図2と
図3に示すように縦材1の正面92側の正表面10及び背面92′側の背表面10’には共通開口12と共通開口13が形成されている。共通開口12はシリンダ錠5の鍵穴部50を装着し、露出するためのものであり、装着される予め決められた複数種類のすべてのシリンダ錠5の鍵穴部50に適合する大きさ及び形状になっている。
共通開口13はシリンダ錠5のレバーやノブ等の操作部材を装着、露出するための開口であり、この例ではレバー51を装着し、共通開口13から露出突出させるように構成されている。この共通開口13も同様に予め決められた使用するすべての種類のシリンダ錠5のレバー51に適合する大きさ及び形状になっている。
この実施形態では背面側の背表面10`にも同一の構成が設けられているが、共通開口12、共通開口13は正面側或いは背面側のどちらか一方に設けることも可能である。また装着するシリンダ錠5のタイプによっては共通開口12と共通開口13のどちらか一方を形成することも可能である。さらにレバー51に変えてケースハンドル等を装着露出させることも可能である等、種々の実施形態があり得る。
【0012】
正表面10、背表面10`には更に共通開口12と共通開口13を覆うようにフロントカバー20、20がねじ25により装着固定されるように構成されている。
図2と
図4に示すようにフロントカバー20には共通開口12に対応して個別開口21が形成されており、個別開口21は装着される特定の個別シリンダ錠5の鍵穴部50に対応する位置に形成され、その形状、大きさも個別の鍵穴部50に対応している。フロントカバー20には更に共通開口13に対応して個別開口22が形成されており、個別開口22は装着される特定の個別シリンダ錠5のレバー51に対応する位置に形成され、その形状、大きさも個別のレバー51に対応している。
【0013】
図2と
図4に示すように側表面11側には共通開口14を覆うようにサイドカバー30が装着され、ねじ35により固定される構成になっている。サイドカバー30は共通開口14に対応して個別開口31が形成されており、この個別開口31は装着される特定のシリンダ錠5の側板55に適合する形状と大きさを有し、また取付片32を備えている。この個別開口31にシリンダ錠5を装入して取付片32にねじ56により側板55を固定してシリンダ錠5を縦材1に装着するように構成されている。またサイドカバー30の個別開口31はラッチ52,53が露出し進退できる形状大きさになっている。なお57はシリンダ錠5の部品であるプレートである。
【0014】
上記フロントカバー20或いはサイドカバー30には装着する個別のシリンダ錠5に合わせて種々の形状、大きさの個別開口21、22,31を形成することが可能である。
図5はその一例を示すもので、個別開口22がひし形形状をしており、ドアノブを装着する構成になっている。また
図6は個別開口21のみを形成し、個別開口22を形成しない実施形態を示している。
【0015】
図7にシリンダ錠5を装着した門扉としての構成を部分的に示す。
縦材1には上述した構成に加えて更に戸当り19が装着され、縦材6側には前記ストライク60が設けられ、両開きの門扉として構成されている。
【0016】
以上説明した実施形態においては、縦材1には共通開口12と共通開口13及び共通開口14を形成しておけば、装着する複数の種類のシリンダ錠5をそのまま装着でき、具体的に装着する個別のシリンダ錠5に合わせてフロントカバー20とサイドカバー30を装着すればよい。そのため、個別のシリンダ錠5に合わせた開口を有する縦材1を用意、在庫しておく必要がなく、一種類の縦材1を備えておけば良く、保管スペースや在庫管理の効率化を図れる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】本発明の一実施形態における縦材の共通開口の実施例を示す説明図であり、(A)は正面図、(B)は背面図、(C)は側面図。
【
図4】本発明の一実施形態におけるフロントカバーとサイドカバーの個別開口の実施例を示す説明図であり、(A)はフロントカバー20の正面図、(B)はサイドカバー30の正面図、(C)はサイドカバー30の側面図。
【
図5】本発明の他の実施形態を示すもので、フロントカバーの個別開口の他の例をしめす説明図。
【
図6】本発明の他の実施形態を示すもので、フロントカバーの個別開口の他の例をしめす説明図。
【
図7】本発明の門扉の一実施形態を示す説明図であり、(A)は部分正面図、(B)は部分背面図、(C)は部分側面図、(?)は部分平面図、(E)は縦材6の部分側面図。
【符号の説明】
【0018】
1:縦材、2:横材、3:基部縦材、4:蝶番、5:シリンダ錠、6:縦材、9:門扉、10:正表面、10’:背表面、11:側表面、12:共通開口、13:共通開口、14:共通開口、15:中空部、19:戸当り、20:フロントカバー、21:個別開口、22:個別開口、30:サイドカバー、31:個別開口、32:取付片、35:ねじ、50:鍵穴部、51:レバー、52:ラッチ、53:デッドボルト、55:側板、56:ねじ、57:プレート、60:ストライク、90:門扉枠、91:パネル、92:正面、92’:背面、d:門柱。