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特開2022-137758複合管の補強部材及び既設管の更生方法
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  • 特開-複合管の補強部材及び既設管の更生方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137758
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】複合管の補強部材及び既設管の更生方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/04 20060101AFI20220914BHJP
   E03F 7/00 20060101ALI20220914BHJP
   E03F 3/04 20060101ALI20220914BHJP
   E21D 11/38 20060101ALI20220914BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20220914BHJP
   B29C 63/34 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
E21D11/04 Z
E03F7/00
E03F3/04 Z
E21D11/38 Z
F16L1/00 Q
B29C63/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037413
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】垣根 伸次
【テーマコード(参考)】
2D063
2D155
4F211
【Fターム(参考)】
2D063BA31
2D063BA37
2D063EA07
2D155AA04
2D155KA03
2D155KC06
2D155LA02
2D155LA16
4F211AG08
4F211AH43
4F211SA13
4F211SC03
4F211SD04
4F211SD23
4F211SW50
(57)【要約】      (修正有)
【課題】既設管の更生で構築される複合管の補強効果を高める補強部材と、既設管の更生方法を提供する。
【解決手段】外側の既設管1と内側の更生管2との間に裏込め材3が充填され複合管4が構築されるにあたり既設管1と更生管2の間に介在させる補強部材5は、既設管1側の外板部51と、更生管2側の内板部52と、外板部51と内板部52の間に設けられ2つの板部51,52の間隔を確保するリブ53と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側の既設管と内側の更生管との間に裏込め材が充填され複合管が構築されるにあたり既設管と更生管の間に介在させる補強部材であって、
上記既設管側の第1の板部と、
上記更生管側の第2の板部と、
上記第1の板部と上記第2の板部の間に設けられ2つの上記板部の間隔を確保する離隔部と、を備えたことを特徴とする複合管の補強部材。
【請求項2】
上記第1の板部は、上記既設管の内面形状に対応した形状を有することを特徴とする請求項1に記載の複合管の補強部材。
【請求項3】
上記第1の板部及び上記第2の板部のうちの少なくとも一方には、複数の孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合管の補強部材。
【請求項4】
上記離隔部は、板状のリブで形成されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の複合管の補強部材。
【請求項5】
上記板状のリブには、複数の孔が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の複合管の補強部材。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の補強部材を既設管の内側に敷設する工程と、
帯状部材を螺旋状に巻回して上記既設管の内側に更生管を形成し、上記既設管と上記更生管の間に上記補強部材を介在させるとともに裏込め材を充填するための空間を形成する工程と、
上記既設管と上記更生管の間に裏込め材を充填し複合管を構築する工程と、を備えたことを特徴とする既設管の更生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、老朽化した下水道管、上水道管、トンネルなどの既設管の更生に用いられる補強部材及び既設管の更生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
老朽化した既設管を更生するために、既設管の内側に更生管を設け、既設管と更生管の間に裏込め材を充填し、既設管、更生管及び裏込め材を一体化した複合管を構築する方法が知られている。この方法では、複合管の強度を高めるために、既設管と更生管の間に補強部材を介在させたり、スペーサにより裏込め材の充填間隔を確保し複合管の管厚を厚くしたりすることが行われている。
【0003】
下記特許文献1には、既設管と更生管の間に介在させる補強部材として、鉄筋で構成された骨組体が開示されている。この骨組体は、既設管の周方向に沿って延びる複数の鉄筋と軸方向に沿って延びる複数の鉄筋とを結束した籠状に形成されている。
【0004】
特許文献1の骨組体を用いた既設管の更生では、既設管内に骨組体を組み立て、骨組体の内側で複数の分割パネルを既設管の周方向及び軸方向に連結して更生管を設けている。その後、既設管と更生管の間に裏込め材を充填し骨組体を埋設している。
【0005】
下記特許文献2には、既設管と更生管の間に介在させる鋼製のスペーサが開示されている。このスペーサは、既設管側の脚部と、更生管側の載置部材を有している。脚部は、既設管の軸方向に沿って延び既設管の周方向に間隔を置いて複数設けられている。載置部材は、板材で形成され、複数の脚部に架け渡されて固定され、既設管の軸方向に間隔を空けて複数配置されている。
【0006】
特許文献2のスペーサを用いた既設管の更生では、既設管内にスペーサを設置し、スペーサの載置部材に載置されるように更生管を設け、既設管と更生管の間に裏込め材を充填しスペーサを埋設している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-314197号公報
【特許文献2】特許第6679800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された骨組体は充填の厚みが十分に確保されず、複合管の径方向に作用する力に対する補強効果が弱い。また、既設管内で骨組体を組み立てるとともに、その内側に分割パネルで更生管を形成するため、既設管の通水を止める必要があり、これに伴いバイパス配管を設ける必要がある。
【0009】
特許文献2に開示されたスペーサは、更生管に勾配を付けることを主目的とし、副次的に、スペーサにより厚くなった管厚や、スペーサの鋼材部分を補強に寄与させている。スペーサの内側(更生管側)の一部に配置された鋼板の載置部材は、複合管の径方向に作用する力に対し補強効果を期待できるものの、スペーサのその他の内側部分や外側(既設管側)は補強効果に乏しい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題の少なくとも1つを解決するためになされたものであって、本発明の一態様に係る複合管の補強部材は、
外側の既設管と内側の更生管との間に裏込め材が充填され複合管が構築されるにあたり既設管と更生管の間に介在させる補強部材であって、
上記既設管側の第1の板部と、
上記更生管側の第2の板部と、
上記第1の板部と上記第2の板部の間に設けられ2つの上記板部の間隔を確保する離隔部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、更生管側及び既設管側の2つの板部と、離隔部で確保された間隔に基づく管厚とにより、複合管の補強効果を高めることができる。
【0012】
好ましくは、上記第1の板部は、上記既設管の内面形状に対応した形状を有する。
上記構成によれば、補強部材を既設管に安定して敷設することができる。
【0013】
好ましくは、上記第1の板部及び上記第2の板部のうちの少なくとも一方には、複数の孔が形成されている。
上記構成によれば、複数の孔から2つの板部の間に裏込め材を行き渡らせることができる。
【0014】
好ましくは、上記離隔部は、板状のリブで形成されている。
上記構成によれば、第1の板部及び第2の板部が補強され、補強機能を高めることができる。
【0015】
好ましくは、上記板状のリブには、複数の孔が形成されている。
上記構成によれば、2つの板部の間におけるリブで隔たれた空間に裏込め材を行き渡らせることができる。
【0016】
本発明の他の態様は、既設管の更生方法であって、
上記補強部材を既設管の内側に敷設する工程と、
帯状部材を螺旋状に巻回して上記既設管の内側に更生管を形成し、上記既設管と上記更生管の間に上記補強部材を介在させるとともに裏込め材を充填するための空間を形成する工程と、
上記既設管と上記更生管の間に裏込め材を充填し複合管を構築する工程と、を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、補強部材と管厚の確保により補強効果を高めた複合管を構築することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、既設管の更生で構築される複合管の補強効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係る補強部材を示す斜視図である。
図2】同補強部材を備えた複合管を管軸と直交方向に切断して示す断面図である。
図3図2のIII-III矢視断面図である。
図4】(A)図3の円部IVAの拡大図である。(B)同複合管の更生管を構成する帯状部材の断面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る補強部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を、図1図4を参照して説明する。この実施形態は、本発明を、老朽化した既設管である下水道用導水トンネルを更生する方法、及びその更生に用いる補強部材に、適用したものである。
【0020】
(既設管の更生)
図2図3に示す既設管1は、その内側に更生管2を製管し、既設管1と更生管2の間に裏込め材3を充填し、既設管1、更生管2及び裏込め材3を一体化した複合管4を構築することで更生される。この更生で、図1に示す補強部材5は、既設管1と更生管2の間に介在させて裏込め材3に埋設される。
【0021】
(既設管)
既設管1である下水道用導水トンネルは、コンクリート製で地中に埋設されている。既設管1は、図2に示すように、その断面形状が馬蹄形をなしており、平面の内面を有する底版部11(管底部)と、底版部11の両側に立設する側壁部12,12と、側壁部12,12の上端同士を連ねるアーチ形の頂版部13とを有している。
【0022】
頂版部13と側壁部12,12は、内部に鋼管1aを有している。底版部11は内部に鋼管を有しておらず、無筋コンクリートとなっている。
既設管1は、下水道管、農業用水管、工業用水管、上水道管、発電用導水管、他のトンネルなどであってもよい。
【0023】
(更生管)
更生管2は、図3に示すように、既設管1の内周に沿って帯状部材20を螺旋状に巻回したものである。帯状部材20は、図4(B)に示すように、主帯材21と補強帯材22を含む。
主帯材21は、硬質塩化ビニル等の合成樹脂材で成形され、一定断面を有して、図4(B)の紙面と直交する方向へ長尺状に延びている。
【0024】
主帯材21は、平帯部23と、Tリブ24,25と、第1嵌合部26と、第2嵌合部27と、サブロック片28とを一体に有している。
平帯部23の平坦な表側面23aは更生管2の内周面を構成し、平帯部23の裏側面23bは更生管2の外周へ向けられる。Tリブ24,25は、それぞれ裏側面23bから真っ直ぐ突出し、T字形状の断面を有している。第1嵌合部26は、主帯材21の幅方向(図4(B)において左右)の一端側で凹溝状に形成されている。第2嵌合部27は、主帯材21の幅方向の他端側で凸条状に形成されている。サブロック片28は、第1嵌合部26より主帯材21の幅方向の一端側で斜めに突出している。
【0025】
サブロック片28と第1嵌合部26の間には、平坦なシール材接合面29が形成され、第2嵌合部27とTリブ25の間の裏側面23bには、シール材23cが設けられている。平帯部23の裏側面23bにおける、Tリブ24とTリブ25の間には、補強帯材22を収容する収容部23dが形成されている。
【0026】
補強帯材22は、鋼製の帯板を折り曲げ加工して成形され、W字形の一定断面を有し、主帯材21と同方向(図4(B)の紙面と直交する方向)へ延びている。補強帯材22は、収容部23dに嵌め込まれ、主帯材21の幅方向(図4(B)において左右)の両端部がTリブ24,25の先端部に係止されている。
【0027】
図4(A)に示すように、更生管2において、螺旋状に巻回された帯状部材20の一周違いに隣接する第1嵌合部26と第2嵌合部27が嵌合され、サブロック片28の先端部がTリブ25の先端部に係止されるとともに、シール材接合面29がシール材23cに圧接されている。
【0028】
(裏込め材)
裏込め材3は、モルタル等であり、セメントに軽量骨材、エマルジョン、収縮低減剤などを配合したレジン系モルタルであってもよい。裏込め材3は、既設管1と更生管2の間の空間Sに充填され、既設管1及び更生管2に付着して一体化し、止水性を付与する。これにより、複合管4が構築される。裏込め材3は、水中に注入しても分散しないため水を押し出しながら細部まで注入できる。
【0029】
(補強部材)
図1に示す補強部材5は、複合管4の嵩上げと補強をするためのものであって、図2図3に示すように、既設管1と更生管2に挟まれるように、既設管1の底版部11の内面に敷設される。補強部材5は、既設管1側の外板部51(第1の板部)と、更生管2側の内板部52(第2の板部)と、外板部51と内板部52の間のリブ53(離隔部)とを有している。
【0030】
外板部51は、鋼板により構成され矩形状をなしており、第1方向に延びる辺と、第1方向と直交方向に延びる辺とを有し、本実施形態では、第1方向より第2方向に長く形成されている。外板部51の板面は底版部11の内面形状に対応して形成され、本実施形態では平面である。
【0031】
内板部52は、鋼板により外板部51と同形状、同寸法に形成され、外板部51とは一定間隔で対向しており、平面視において外板部51と同位置にある。内板部52には、裏込め材3が流通可能な孔52aが複数形成されている。内板部52をパンチングメタルで構成してもよい。尚、内板部52のように外板部51にも、裏込め材3が流通可能な孔を複数形成してもよい。
【0032】
リブ53は、外板部51と内板部52の間隔を確保する機能を有するものであり、鋼板により構成され細長い矩形状をなしており、第1方向(外板部51及び内板部52の短手方向)に延びて、板面を第2方向(外板部51及び内板部52の長手方向)に向けた状態で、外板部51と内板部52を連ねている。リブ53は、外板部51及び内板部52と溶接等により固定されている。リブ53により、外板部51と内板部52は補強されている。
【0033】
リブ53は、複数(本実施形態では5つ)設けられ、外板部51及び内板部52の第2方向の両端から等間隔に配置されている。各リブ53には、裏込め材3が流通可能な孔53aが複数形成されている。
【0034】
複数の補強部材5は、図示しない連結手段により、第1方向に直列に連結したり、第2方向に並列に連結したりすることができる。連結手段は、連結される2つの補強部材5の一方又は双方に設けたり、別個に設けたりすることができる。例えば、補強部材5の端部に設けたフック同士を係着させてもよい。補強部材5を既設管1内に搬入可能な大きさに形成し、既設管1への敷設時に補強部材5を連結すれば、さまざまな大きさの既設管1の更生に対応させることができる。
【0035】
(既設管の更生方法)
次に、補強部材5を用いて老朽化した既設管1を更生する方法について説明する。
先ず、通水状態の既設管1における底版部11の内面に補強部材5を敷設する。
補強部材5の第1方向(短手方向)を既設管1の管軸方向に合わせるとともに、第2方向(長手方向)を底版部11内面の幅方向に向け、外板部51を底版部11の内面に載置する。これにより、リブ53の延び方向が管軸方向に沿うことになり、通水を妨げない。また、外板部51は底版部11の内面に対応して平面をなしているため、補強部材5は安定して載置される。
【0036】
ここで用いられる補強部材5は、図2に示すように、第2方向(長手方向)の長さが底版部11内面の幅と同じかやや小さく形成されている。補強部材5は、図3に示すように、既設管1の更生区間に応じて、管軸方向に直列に複数連結される。
【0037】
続いて、既設管1内で補強部材5上に更生管2を製管する。
帯状部材20は、巻き癖を付与されて既設管1内に導入され、図3に示すように、螺旋管状の更生管2に製管される。その過程で帯状部材20では、図4(A)に示すように、一周違いに隣接する、第1嵌合部26と第2嵌合部27、サブロック片28とTリブ25、及びシール材接合面29とシール材23cが、それぞれ接合される。
【0038】
更生管2の製管により、図2図3に示すように既設管1と更生管2の間に、裏込め材3を充填するための空間Sが形成され、補強部材5が介在している。更生管2には、浮上防止のため重しを入れたり、浮上防止と変形防止のため支保工を設置したりすることができる。
【0039】
続いて、更生区間の両端部における既設管1と更生管2の間の空間Sの管口を閉塞した後、空間Sに裏込め材3を注入し充填する。裏込め材3は、補強部材5の内板部52に複数形成された孔52a、及びリブ53に複数形成された孔53aを通って、補強部材5の内部まで行き渡らせることができる。よって、裏込め材3を空間Sの細部まで充填することができる。
【0040】
裏込め材3は、既設管1、更生管2及び補強部材5と付着し硬化する。これにより、既設管1、更生管2、裏込め材3及び補強部材5が一体化した複合管4が構築され、既設管1を更生することができる。
【0041】
(第1実施形態の効果)
上記実施形態によれば、既設管1は、複合管4として管厚を増すことにより補強され、無筋コンクリートであった既設管1の底版部11を含む複合管4の管底部では、補強部材5により補強効果が高められている。例えば、複合管4の径方向に作用する力に対し、既設管1側の外板部51と更生管2側の内板部52とにより、補強効果がより高められている。
また、既設管1の通水を止めることなく、補強部材5と管厚の確保により補強効果を高めた複合管4を構築することができる。そのため、バイパス配管を設けなくてよい。
【0042】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態については、上記実施形態と異なる構成だけを説明することとし、同様な構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0043】
[第2実施形態]
図5(A)は、本発明の第2実施形態を示す。この実施形態は、管底部の内面形状が曲面である既設管に補強部材を敷設可能にしたものである。
【0044】
既設管(図示しないが、説明の便宜上符号1Bを付す)の管底部の内面形状は、管軸に対し管径方向外方向に湾曲する曲面となっている。補強部材5Bの外板部51Bの形状は、既設管1Bの管底部の曲面に対応して湾曲している。内板部52Bの形状は、外板部51Bより小さい曲率で湾曲している。そのため、外板部51Bと内板部52Bの間隔は、第2方向の中央より両端部が狭く形成されている。ひいては、リブ53Bの高さも異なり、中央部で高く、両端に向かうにつれ低く形成されている。両端の最も低いリブ53B以外のリブ53Bに孔53aが形成されている。両端のリブ53Bに孔53aを形成してもよい。
【0045】
第2実施形態によれば、内面形状が曲面である既設管1Bの管底部に、補強部材5Bを安定して敷設することができる。よって、例えば、断面形状が円形、卵形である既設管の更生に適用することができる。
【0046】
[変形例]
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において各種の変形例を採用することができる。
補強部材を既設管の管底部以外の部位にも敷設してもよい。
裏込め材が流通可能な孔を内板部に形成せず、外板部にのみ形成してもよい。
上記実施形態の補強部材の形状は、既設管の管軸方向に向けられる第1方向より第2方向を長く形成したが、第2方向を短く形成してもよく、同じに形成してもよい。
上記実施形態では、外板部と内板部の間隔を確保する離隔部を、板状のリブで形成したが、板状のリブに代え、直方体状のブロックを第1方向に断続的に配置し固定してもよい。この場合、離隔部に裏込め材を流通させるための孔の形成は不要である。
既設管の断面形状は、馬蹄形、円形、卵形だけでなく、矩形等その他の形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、老朽化した下水道管、農業用水管、上水道管、トンネルなどの既設管の更生に用いられる補強部材及び既設管の更生方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1,1B 既設管
1a 鋼管
2 更生管
3 裏込め材
4 複合管
5,5B 補強部材
11 底版部(管底部)
12 側壁部
13 頂版部
20 帯状部材
21 主帯材
22 補強帯材
23 平帯部
23a 表側面
23b 裏側面
23c シール材
23d 収容部
24,25 Tリブ
26 第1嵌合部
27 第2嵌合部
28 サブロック片
29 シール材接合面
51,51B 外板部(第1の板部)
52,52B 内板部(第2の板部)
52a 孔
53,53B リブ(離隔部)
53a 孔
S 既設管と更生管の間の空間
図1
図2
図3
図4
図5