IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メモリ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137767
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/11556 20170101AFI20220914BHJP
   H01L 27/11582 20170101ALI20220914BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220914BHJP
   H01L 27/11519 20170101ALI20220914BHJP
   H01L 27/11565 20170101ALI20220914BHJP
【FI】
H01L27/11556
H01L27/11582
H01L29/78 371
H01L27/11519
H01L27/11565
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037430
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 博隆
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER23
5F083GA10
5F083GA12
5F083GA13
5F083GA19
5F083JA02
5F083JA04
5F083JA05
5F083JA19
5F083JA39
5F083JA40
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083KA18
5F083LA10
5F083MA06
5F083MA20
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE02
5F101BE05
(57)【要約】
【課題】高集積化が可能な半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、第1方向に延伸する第1導電層と、第1方向と交差する第2方向において第1導電層から離間して配置され、第1方向に延伸する第2導電層と、第1導電層と第2導電層との間に設けられ、第1方向に並び、第1導電層と対向する第1領域、第2導電層と対向する第2領域、第1領域の第1方向の一端及び第2領域の第1方向の一端に接続された第3領域、及び、第1領域の第1方向の他端及び第2領域の第1方向の他端に接続された第4領域を備える複数の半導体層と、第1導電層と、複数の半導体層と、の間にそれぞれ設けられた複数の第1メモリセルと、第2導電層と、複数の半導体層と、の間にそれぞれ設けられた複数の第2メモリセルとを備える。第1方向において隣り合う2つの半導体層の間に、空隙が設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延伸する第1導電層と、
前記第1方向と交差する第2方向において前記第1導電層から離間して配置され、前記第1方向に延伸する第2導電層と、
前記第1導電層と前記第2導電層との間に設けられ、前記第1方向に並び、前記第1導電層と対向する第1領域、前記第2導電層と対向する第2領域、前記第1領域の前記第1方向の一端及び前記第2領域の前記第1方向の一端に接続された第3領域、及び、前記第1領域の前記第1方向の他端及び前記第2領域の前記第1方向の他端に接続された第4領域を備える複数の半導体層と、
前記第1導電層と、前記複数の半導体層と、の間にそれぞれ設けられた複数の第1メモリセルと、
前記第2導電層と、前記複数の半導体層と、の間にそれぞれ設けられた複数の第2メモリセルと
を備え、
前記第1方向において隣り合う2つの前記半導体層の間に、空隙が設けられている
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1導電層及び前記第2導電層は、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に複数並んで設けられる
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1領域は前記第3方向に延び、複数の前記第1導電層と前記第2方向に対向し、
前記第2領域は前記第3方向に延び、複数の前記第2導電層と前記第2方向に対向する
請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1領域と前記第2領域との間に、空隙が設けられている
請求項1~3のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第3領域と前記第4領域との間に、空隙が設けられている
請求項1~4のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記複数の半導体層のうち、前記第1方向に隣り合う2つを第1半導体層、及び第2半導体層とすると、
前記第1半導体層の備える前記第3領域と、前記第2半導体層の備える前記第4領域と、の間に、空隙が設けられている
請求項1~5のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1導電層と前記複数の半導体層との間にそれぞれ設けられた、複数の第1電荷蓄積層と、
前記第2導電層と前記複数の半導体層との間にそれぞれ設けられた、複数の第2電荷蓄積層と
を備え、
前記第1方向において隣り合う2つの前記第1電荷蓄積層は、前記第1方向に離間し、
前記第1方向において隣り合う2つの前記第2電荷蓄積層は、前記第1方向に離間する
請求項1~6のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に記載された実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と、この基板の表面と交差する方向に積層された複数のゲート電極と、これら複数のゲート電極に対向する半導体層と、ゲート電極及び半導体層の間に設けられたゲート絶縁層と、を備える半導体記憶装置が知られている。ゲート絶縁層は、例えば、窒化シリコン(SiN)等の絶縁性の電荷蓄積部やフローティングゲート等の導電性の電荷蓄積部等、データを記憶可能なメモリ部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-145387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高集積化が可能な半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、第1方向に延伸する第1導電層と、第1方向と交差する第2方向において第1導電層から離間して配置され、第1方向に延伸する第2導電層と、第1導電層と第2導電層との間に設けられ、第1方向に並び、第1導電層と対向する第1領域、第2導電層と対向する第2領域、第1領域の第1方向の一端及び第2領域の第1方向の一端に接続された第3領域、及び、第1領域の第1方向の他端及び第2領域の第1方向の他端に接続された第4領域を備える複数の半導体層と、第1導電層と、複数の半導体層と、の間にそれぞれ設けられた複数の第1メモリセルと、第2導電層と、複数の半導体層と、の間にそれぞれ設けられた複数の第2メモリセルとを備える。第1方向において隣り合う2つの半導体層の間に、空隙が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置の模式的な等価回路図である。
図2】同半導体記憶装置の模式的な平面図である。
図3】同半導体記憶装置の模式的な断面図である。
図4】同半導体記憶装置の模式的な断面図である。
図5】同半導体記憶装置の模式的な断面図である。
図6】同半導体記憶装置の模式的な断面図である。
図7】同半導体記憶装置の製造方法を示す模式的な断面図である。
図8】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図9】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図10】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図11】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図12】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図13】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図14】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図15】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図16】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図17】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図18】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図19】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図20】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図21】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図22】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図23】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図24】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図25】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図26】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図27】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図28】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図29】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図30】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図31】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図32】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図33】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図34】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図35】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図36】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図37】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図38】第1実施形態に係る読出動作について説明するための模式的な断面図である。
図39】第1実施形態に係る書込動作について説明するための模式的な断面図である。
図40】比較例に係る半導体記憶装置の模式的な断面図である。
図41】第2実施形態に係る半導体記憶装置の模式的な断面図である。
図42】同半導体記憶装置の模式的な断面図である。
図43】同半導体記憶装置の模式的な断面図である。
図44】同半導体記憶装置の製造方法を示す模式的な断面図である。
図45】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図46】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図47】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図48】同製造方法を示す模式的な平面図である。
図49】同製造方法を示す模式的な平面図である。
図50】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図51】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図52】同製造方法を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、実施形態に係る半導体記憶装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。また、以下の図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。また、複数の実施形態について共通する部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0008】
また、本明細書において「半導体記憶装置」と言った場合には、メモリダイを意味する事もあるし、メモリチップ、メモリカード、SSD(SolidState Drive)等の、コントロールダイを含むメモリシステムを意味する事もある。更に、スマートホン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の、ホストコンピュータを含む構成を意味する事もある。
【0009】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成に「電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成は第2の構成に直接接続されていても良いし、第1の構成が第2の構成に配線、半導体部材又はトランジスタ等を介して接続されていても良い。例えば、3つのトランジスタを直列に接続した場合には、2つ目のトランジスタがOFF状態であったとしても、1つ目のトランジスタは3つ目のトランジスタに「電気的に接続」されている。
【0010】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成及び第3の構成の「間に接続されている」と言った場合、第1の構成、第2の構成及び第3の構成が直列に接続され、且つ、第2の構成が第1の構成を介して第3の構成に接続されていることを意味する場合がある。
【0011】
また、本明細書においては、基板の上面に対して平行な所定の方向をX方向、基板の上面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向、基板の上面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0012】
また、本明細書においては、所定の面に沿った方向を第1方向、この所定の面に沿って第1方向と交差する方向を第2方向、この所定の面と交差する方向を第3方向と呼ぶ場合がある。これら第1方向、第2方向及び第3方向は、X方向、Y方向及びZ方向のいずれかと対応していても良いし、対応していなくても良い。
【0013】
また、本明細書において、「上」や「下」等の表現は、基板を基準とする。例えば、上記Z方向に沿って基板から離れる向きを上と、Z方向に沿って基板に近付く向きを下と呼ぶ。また、ある構成について下面や下端と言う場合には、この構成の基板側の面や端部を意味する事とし、上面や上端と言う場合には、この構成の基板と反対側の面や端部を意味する事とする。また、X方向又はY方向と交差する面を側面等と呼ぶ。
【0014】
[第1実施形態]
[構成]
図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の模式的な等価回路図である。
【0015】
本実施形態に係る半導体記憶装置は、メモリセルアレイMCAと、メモリセルアレイMCAを制御する制御部CUと、を備える。
【0016】
メモリセルアレイMCAは、複数のメモリユニットMUを備える。これら複数のメモリユニットMUは、それぞれ、電気的に独立な2つのメモリストリングMSa,MSbを備える。これらメモリストリングMSa,MSbの一端は、それぞれドレイン側選択トランジスタSTDに接続され、これらを介して共通のビット線BLに接続される。メモリストリングMSa,MSbの他端は、それぞれソース側選択トランジスタSTSに接続され、これらを介して共通のソース線SLに接続される。
【0017】
メモリストリングMSa,MSbは、それぞれ、直列に接続された複数のメモリセルMCa及び複数のメモリセルMCbを備える。メモリセルMCa及びメモリセルMCbは、半導体層と、ゲート絶縁層と、ゲート電極と、を備える電界効果型のトランジスタである。半導体層は、チャネル領域として機能する。ゲート絶縁層は、データを記憶可能な電荷蓄積部を備える。メモリセルMCa及びメモリセルMCbのしきい値電圧は、電荷蓄積部中の電荷量に応じて変化する。ゲート電極は、ワード線WLの一部である。尚、以下、区別のない場合は、メモリセルMCa及びメモリセルMCbを、単にメモリセルMCと呼ぶ場合がある。
【0018】
選択トランジスタ(STD、STS)は、半導体層と、ゲート絶縁層と、ゲート電極と、を備える電界効果型のトランジスタである。半導体層は、チャネル領域として機能する。ドレイン側選択トランジスタSTDのゲート電極は、ドレイン側選択ゲート線SGDの一部である。ソース側選択トランジスタSTSのゲート電極は、ソース側選択ゲート線SGSの一部である。
【0019】
制御部CUは、例えば、読出動作、書込動作、消去動作に必要な電圧を生成し、ビット線BL、ソース線SL、ワード線WL、及び、選択ゲート線(SGD、SGS)に供給する。制御部CUは、例えば、メモリセルアレイMCAと同一の基板上に設けられた複数のトランジスタ及び配線を含んでいても良いし、メモリセルアレイMCAと異なる基板上に設けられた複数のトランジスタ及び配線を含んでいても良い。
【0020】
図2は、本実施形態に係る半導体記憶装置の構成例を示す模式的な平面図である。
【0021】
本実施形態に係る半導体記憶装置は、半導体基板100を備える。図示の例において、半導体基板100には、X方向及びY方向に並ぶ4つのメモリセルアレイ領域RMCAが設けられている。各メモリセルアレイ領域RMCAには、Y方向に並ぶ複数のメモリブロックBLKが設けられている。各メモリブロックBLKはX方向に延伸する。
【0022】
図3は、メモリセルアレイ領域RMCAの一部の構成を示す模式的なXY断面図である。図4は、メモリセルアレイ領域RMCAの一部の構成を示す模式的なYZ断面図である。図5は、図3の一部の構成を示す模式的な拡大図である。図6は、図5に示す構成をA-A´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た場合の模式的な断面図である。
【0023】
本実施形態に係る半導体記憶装置は、例えば図3及び図4に示す様に、複数の積層体構造LSと、複数のトレンチ構造ATと、を備える。複数の積層体構造LSは、半導体基板100上においてY方向に配列される。複数のトレンチ構造ATは、複数の積層体構造LSの間にそれぞれ設けられる。
【0024】
積層体構造LS(図4)は、複数の絶縁層101、複数の導電層110、半導体層115、及び半導体層116を含む。複数の導電層110、半導体層115、及び半導体層116は、それぞれ酸化シリコン(SiO)等の絶縁層101を介してZ方向に積層される。
【0025】
トレンチ構造AT(図3)は、複数の半導体層120及び複数の空隙150を含む。複数の半導体層120及び複数の空隙150は、X方向に交互に並ぶ。導電層110と半導体層120との間には、それぞれ、ゲート絶縁層130が設けられる。
【0026】
半導体基板100(図2)は、例えば、単結晶シリコン(Si)等の半導体基板である。半導体基板100は、例えば、半導体基板の上面にn型の不純物層を有し、更にこのn型の不純物層中にp型の不純物層を有する2重ウェル構造を備える。尚、半導体基板100の表面には、例えば、制御部CU(図1)の少なくとも一部を構成するトランジスタや配線等が設けられても良い。
【0027】
導電層110は、例えば、図6に示す様に、窒化チタン(TiN)等のバリア導電層111と、タングステン(W)等の金属膜112と、を含む積層膜である。これら導電層110は、それぞれ、ワード線WL、及びメモリセルMC(図1)のゲート電極として機能する。また、これら導電層110のうち上部に設けられたものの一部は、ドレイン側選択ゲート線SGD、及びドレイン側選択トランジスタSTD(図1)のゲート電極として機能する。尚、図6に示す様に、導電層110の上面、下面、及び側面の一部を覆う様に、アルミナ(AlO)等の絶縁性の金属酸化層113が設けられていても良い。
【0028】
尚、以下の説明では、Y方向において隣り合う2つの積層体構造LSに着目した場合に、一方の積層体構造LSに含まれる複数の導電層110を導電層110a(図3図5)と呼ぶ場合がある。また、他方の積層体構造LSに含まれる複数の導電層110を導電層110b(図3図5)と呼ぶ場合がある。
【0029】
導電層110aはX方向に延伸する。導電層110bは、Y方向において導電層110aから離間して配置され、X方向に延伸する。導電層110aと導電層110bとは電気的に独立している。従って、導電層110aと導電層110bとには、異なる電圧を供給することが出来る。導電層110aは、メモリストリングMSaに含まれるメモリセルMCaのゲート電極、又は、メモリストリングMSaに含まれるドレイン側選択トランジスタSTDのゲート電極として機能する。導電層110bは、メモリストリングMSbに含まれるメモリセルMCbのゲート電極、又は、メモリストリングMSbに含まれるドレイン側選択トランジスタSTDのゲート電極として機能する。
【0030】
導電層110a及び導電層110bは、Z方向に複数並んで設けられる。複数の導電層110aと、半導体層120と、の間には、それぞれ複数のメモリセルMCa(図1)が設けられる。導電層110bと、半導体層120と、の間には、それぞれ複数のメモリセルMCb(図2)が設けられる。
【0031】
半導体層115(図4)は、X方向に延伸する。半導体層115は、例えば、多結晶シリコン(Si)等を含む半導体層である。半導体層115は、ソース側選択ゲート線SGS、及びソース側選択トランジスタSTS(図1)のゲート電極として機能する。
【0032】
半導体層116は、X方向に延伸する。半導体層116は、例えば、多結晶シリコン(Si)等を含む半導体層である。半導体層116は、ソース線SLの一部として機能する。
【0033】
半導体層120は、例えば、ノンドープの多結晶シリコン(Si)等の半導体層である。半導体層120は略有底四角筒状の形状を有し、中心部分には酸化シリコン(SiO)等の絶縁層125が設けられている。
【0034】
尚、以下の説明では、図5に示す様に、半導体層120が備える領域を、それぞれ第1領域120a、第2領域120b、第3領域120c、第4領域120dと呼ぶ場合がある。
【0035】
図5に示す様に、XY断面において、第1領域120aは、導電層110aと導電層110bとの間に設けられ、X方向に並び、導電層110aと対向する。第2領域120bは、導電層110aと導電層110bとの間に設けられ、X方向に並び、導電層110bと対向する。第3領域120cは、導電層110aと導電層110bとの間に設けられ、X方向に並ぶ。また、第3領域120cは、第1領域120aのX方向の一端及び第2領域120bのX方向の一端に接続される。第4領域120dは、導電層110aと導電層110bとの間に設けられ、X方向に並ぶ。また、第4領域120dは、第1領域120aのX方向の他端及び第2領域120bのX方向の他端に接続される。
【0036】
また、図4に示す様に、YZ断面において、第1領域120aはZ方向に延び、複数の導電層110aとY方向に対向する。第2領域120bはZ方向に延び、複数の導電層110bとY方向に対向する。
【0037】
第1領域120aは、メモリストリングMSa(図1)に含まれる複数のメモリセルMCaのチャネル領域、並びに、ドレイン側選択トランジスタSTD及びソース側選択トランジスタSTSのチャネル領域として機能する。第2領域120bは、メモリストリングMSb(図1)に含まれる複数のメモリセルMCbのチャネル領域、並びに、ドレイン側選択トランジスタSTD及びソース側選択トランジスタSTSのチャネル領域として機能する。
【0038】
半導体層120の上端には、例えば図4に示す様に、リン(P)等のN型の不純物を含む半導体層121が設けられている。半導体層121は、タングステン(W)等のビット線コンタクトBLCを介して、Y方向に延伸するビット線BLに接続されている。
【0039】
半導体層120の下端は、例えば図4に示す様に、半導体層116に接続されている。この様な場合には、半導体層116がソース線SL(図1)の一部として機能する。半導体層120は、半導体層116を介して制御部CUに電気的に接続される。ただし、この様な構成は例示に過ぎず、具体的な構成は適宜調整可能である。例えば、半導体層120の下端は、半導体層116以外の配線、半導体層等に接続されていても良い。
【0040】
ゲート絶縁層130(図5)は、半導体層120側から導電層110側にかけて設けられた、トンネル絶縁層131と、電荷蓄積層132と、ブロック絶縁層133と、を備える。
【0041】
トンネル絶縁層131は、例えば、酸化シリコン(SiO)、酸窒化シリコン(SiON)又はその他の絶縁層を含む。トンネル絶縁層131は、例えば図4に示す様に、半導体層120の外周面に沿ってZ方向に延伸していても良い。尚、トンネル絶縁層131は、電荷蓄積層132のY方向の側面にそれぞれ形成されていても良い。
【0042】
電荷蓄積層132は、例えば、リン(P)等のN型の不純物又はホウ素(B)等のP型の不純物を含む多結晶シリコン等のフローティングゲートである。尚、電荷蓄積層132は、窒化シリコン(SiN)等を含む絶縁性の電荷蓄積部であっても良い。
【0043】
尚、以下の説明では、Y方向において隣り合う2つの積層体構造LSに着目した場合に、一方の積層体構造LSに含まれる複数の電荷蓄積層132を電荷蓄積層132a(図5)と呼ぶ場合がある。また、他方の積層体構造LSに含まれる複数の電荷蓄積層132を電荷蓄積層132b(図5)と呼ぶ場合がある。
【0044】
複数の電荷蓄積層132aは、導電層110aと複数の半導体層120との間に、それぞれ設けられる。複数の電荷蓄積層132bは、導電層110bと複数の半導体層120との間に、それぞれ設けられる。尚、例えば電荷蓄積層132が絶縁性の電荷蓄積部である場合、Z方向において隣り合う2つの電荷蓄積層132aは、Z方向に離間していても良いし、つながって形成されていても良い。又、この様な場合、Z方向において隣り合う2つの電荷蓄積層132bは、Z方向に離間していても良いし、つながって形成されていても良い。
【0045】
ブロック絶縁層133は、例えば図5及び図6に示す様に、絶縁層134と、高誘電率層135と、絶縁層136と、を含む。
【0046】
絶縁層134は、例えば、酸化シリコン(SiO)等、又は、窒化チタン(TiN)及び酸化シリコン(SiO)を含む積層膜等である。絶縁層134は、図5に示す様に、XY断面において電荷蓄積層132の外周面の一部を覆う様に設けられる。また、絶縁層134は、図6に示す様に、YZ断面において電荷蓄積層132の上面、下面、及び導電層110側の側面を覆う。
【0047】
高誘電率層135は、例えば、例えば、ハフニウムシリケイト(HfSiO)等の、比較的高い比誘電率を有する絶縁材料を含む。高誘電率層135は、図5に示す様に、XY断面において、絶縁層134を介して、電荷蓄積層132の外周面の一部を覆う様に設けられる。また、高誘電率層135は、図6に示す様に、YZ断面において絶縁層134の上面及び下面、並びに絶縁層134の導電層110側の側面を覆う。
【0048】
絶縁層136は、例えば、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層を含む。絶縁層136は、図5に示す様に、XY断面において、高誘電率層135を介して、電荷蓄積層132の外周面の一部を覆う様に設けられる。絶縁層136は、図6に示す様に、YZ断面において高誘電率層135の上面、下面、及び導電層110側の側面を覆う。
【0049】
空隙150は、図3及び図5に示す様に、トレンチ構造ATのY方向中央部に設けられる。また、空隙150は、X方向において隣り合う2つの半導体層120の間に設けられる。空隙150は、空隙150の在る部分の周囲に配置された固体材料に囲まれた、いわゆる空間を指し、空隙150の在る部分はいずれの固体材料も含まない。空隙150は、例えば、窒素、酸素及び希ガス等の複数の気体の混合物からなる空気等を含む空間である。尚、空隙150はいずれの気体も含まぬ様に脱気されていても良い。
【0050】
また、空隙150は、図4に示す様に、Z方向に延伸する。空隙150は、絶縁層155の内部に設けられている。絶縁層155は、例えば、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層である。
【0051】
空隙150の上方には、例えば図4に示す様に、絶縁層151が設けられている。絶縁層151は、トレンチ構造ATのY方向の両側面部からY方向中央部に向かって伸び、Y方向中央部において、それぞれ離間して隙間を有するように設けられる。絶縁層151は、例えば、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層である。
【0052】
トレンチ構造ATのY方向の側面には、絶縁層156が設けられる。絶縁層156は、例えば、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層である。
【0053】
[製造方法]
次に、図7図37を参照して、本実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法について説明する。図7図9図11図13図15図17図23図26図28図30図32図34,及び図36は、同製造方法について説明するための模式的なXY断面図であり、図3に示す部分に対応している。図8図10図12図14図16図18図19図20図21図22図24図25図27図29図31図33図35図37は、同製造方法について説明するための模式的なYZ断面図であり、図4に示す部分に対応している。
【0054】
図7及び図8に示す様に、同製造方法においては、図示しない半導体基板100上に、複数の絶縁層101、並びに、半導体層116、半導体層115、及び犠牲層110A、を交互に積層し、その上に絶縁層103及び絶縁層160を形成する。犠牲層110A及び絶縁層160は、例えば、窒化シリコン(SiN)等からなる。絶縁層103は、例えば、酸化シリコン(SiO)等からなる。この工程は、例えば、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の方法によって行う。
【0055】
次に、図9及び図10に示す様に、絶縁層160、絶縁層103、犠牲層110A及び絶縁層101を含む積層構造に、トレンチATT´を形成する。この工程では、例えば、トレンチATT´に対応する部分に開口を有する絶縁層を図8に示す構造の上面に形成し、これをマスクとしてRIE(Reactive Ion Etching)等を行う。図9に示す様に、トレンチATT´はX方向に延伸する。また、図10に示す様に、トレンチATT´はZ方向に延伸し、絶縁層160、絶縁層103、複数の犠牲層110A、及び複数の絶縁層101を貫通して、これらの構成をY方向に分断する。
【0056】
次に、図11及び図12に示す様に、絶縁層160の上面、並びに、トレンチATT´の底面及び側面に、絶縁層170を成膜する。絶縁層170は、例えば、酸化シリコン(SiO)等からなる。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0057】
また、絶縁層170の上面に、トレンチATT´を埋め込むカーボン膜171を形成する。カーボン膜171の形成は、例えば、塗布型カーボン材料のスピンコーティング等によって行う。更に、カーボン膜171の上部を、絶縁層170の上面と同じ位置まで除去する。カーボン膜171の除去は、例えば、RIE等によって行う。
【0058】
次に、図13及び図14に示す様に、図12に示す構造の上面に、ハードマスク172及びレジスト173を形成する。ハードマスク172は、例えば、酸化シリコン(SiO)等からなる。ハードマスク172の形成は、例えば、CVD等によって行う。レジスト173の形成は、レジスト材料のスピンコーティング等によって行う。
【0059】
また、所定のパターニングをしたレジスト173をマスクとして、開口AHa´を形成する。開口AHa´は、レジスト173、ハードマスク172、及び絶縁層170を貫通し、カーボン膜171を露出させる。開口AHa´の形成は、例えば、フォトリソグラフィー及びRIE等の方法によって行う。
【0060】
次に、図15及び図16に示す様に、カーボン膜171及び絶縁層170のうち、開口AHa´に対応する位置に設けられた部分を除去し、開口AHaを形成する。また、この工程により、トレンチATTの内壁及び底面には、絶縁層156が形成される。カーボン膜171を除去する工程は、例えば、RIE等によって行う。絶縁層170を除去する工程は、例えば、ケミカルドライエッチング等によって行う。以下、トレンチATT´のうち、X方向に並ぶ複数の開口AHaによって区切られた複数の部分を、それぞれ、トレンチATTと呼ぶ。
【0061】
次に、図17及び図18に示す様に、開口AHaの底面及び側面に、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層174を成膜する。また、絶縁層174の上面に、開口AHaを埋め込むアモルファスシリコン(Si)等の半導体層175を形成する。また、レジスト173、ハードマスク172、及び絶縁層170を除去し、絶縁層160の上面を露出させる。絶縁層174及び半導体層175の形成は、例えば、CVD等の方法によって行う。レジスト173、ハードマスク172、及び絶縁層170を除去する工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0062】
次に、図19に示す様に、トレンチATTの内部から、カーボン膜171の一部を除去する。この工程により、カーボン膜171の上面は、絶縁層103の上面よりも下方の位置となる。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0063】
次に、図20に示す様に、図19に示す構造の上面に、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層180を成膜する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0064】
次に、図21に示す様に、絶縁層180の一部を、絶縁層160が露出する位置まで除去し、絶縁層151を形成する。この工程は、Z方向へエッチング速度が速い、例えば、RIE等の方法によって行う。
【0065】
次に、図22に示す様に、絶縁層151のY方向の隙間を介して、トレンチATTの内部からカーボン膜171を除去する。この工程は、例えば、アッシング等によって行う。
【0066】
次に、図23及び図24に示す様に、トレンチATTの内部に、絶縁層151のY方向の隙間を介して、絶縁層176を成膜する。
絶縁層176は、トレンチATTの側面及び底面に成膜される。また、絶縁層176は、絶縁層151の下面、Y方向の隙間、及び上面、並びに、絶縁層160の上面を覆う。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0067】
次に、図25に示す様に、絶縁層176の一部を、絶縁層160が露出する位置まで除去する。この工程により、空隙150を囲む絶縁層155を形成する。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。
【0068】
次に、図26及び図27に示す様に、開口AHa内部の半導体層175を除去する。また、開口AHa底面に位置する絶縁層174、半導体層115、及び絶縁層101を除去し、半導体層116を露出させる。また、開口AHa側壁の絶縁層174、及び絶縁層103上面の絶縁層160を除去する。半導体層175を除去する工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。絶縁層174、半導体層115、及び絶縁層101、及び絶縁層160を除去する工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0069】
次に、図28及び図29に示す様に、開口AHaを介して、犠牲層110Aの一部を除去し、開口AHbを形成する。この工程により、絶縁層101の上面及び下面のうち、開口AHaの近傍に位置する部分が露出する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0070】
次に、図30及び図31に示す様に、開口AHbを介して、開口AHbの側面に、絶縁層133´及び電荷蓄積層132を順に形成する。絶縁層133´は、図示しない、絶縁層136、高誘電率層135、及び絶縁層134を順に成膜して形成する。また、開口AHbを介して、開口AHbの側面に電荷蓄積層132と同材料の、例えば、多結晶シリコン(Si)等からなる半導体層を成膜し、その後半導体層の一部を除去することで、犠牲層110Aに対応してZ方向に並ぶ、複数の電荷蓄積層132を形成する。この工程は、例えば、CVD、ウェットエッチング等によって行う。
【0071】
次に、図32及び図33に示す様に、開口AHbの内周面に、トンネル絶縁層131を形成する。この工程は、例えば、CVD等によって行う。また、トンネル絶縁層131のうち、開口AHbの底面を覆う部分を除去する。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0072】
次に、図34及び図35に示す様に、開口AHbの内部に、半導体層120´及び絶縁層177を形成する。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0073】
次に、図36及び図37に示す様に、開口AHbの内部において、絶縁層177の一部を、絶縁層103の上面より下方の位置まで除去して、絶縁層125を形成する。また、開口AHbの内部において、半導体層120´の一部を除去し、その上部に、半導体層120の上面に接続する半導体層121を形成する。この工程は、例えば、RIE、CVD等によって行う。
【0074】
次に、図示しない開口を介して、複数の犠牲層110Aを除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0075】
次に、図示しない開口を介して、図6に示す様に、絶縁層101の上面及び下面、並びに絶縁層136のY方向の側面に、金属酸化層113、バリア導電層111を形成する。また、図4及び図6に示す様に、複数の犠牲層110Aを除去して形成された空洞を埋めるように、導電層110を形成する。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0076】
その後、ビット線コンタクトBLC、ビット線BL等を形成することにより、第1実施形態に係る半導体記憶装置が製造される。
【0077】
[読出動作]
次に、図38を参照して、本実施形態に係る半導体記憶装置の読出動作について説明する。図38は、同読出動作について説明するための模式的な断面図である。尚、図38では、メモリストリングMSaに含まれる所定のメモリセルMCaに対して読出動作を実行する例について説明する。
【0078】
図38に示す様に、読出動作においては、選択ワード線WLとして機能する導電層110aに読出電圧VCGXRを供給し、非選択ワード線WLとして機能する導電層110aに読出パス電圧VREADを供給し、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する導電層110aに電圧VSGを供給する。また、読出動作においては、ワード線WLとして機能する複数の導電層110bに読出遮断電圧VOFFを供給し、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する導電層110bに接地電圧VSSを供給する。また、読出動作においては、ソース側選択ゲート線SGSとして機能する半導体層115に電圧VSGを供給し、ソース線SLとして機能する半導体層116にソース電圧VSRCを供給する。
【0079】
読出電圧VCGXRは、メモリセルMCaに記録されたデータに応じてメモリセルMCaがON状態又はOFF状態となる程度の電圧である。例えば、メモリセルMCaのしきい値電圧がn(nは2以上の整数)通りのステートに制御される場合、読出電圧VCGXRは、少なくともn-1通りの大きさに制御される。読出パス電圧VREADは、メモリセルMCaに記録されたデータに拘わらずメモリセルMCaがON状態となる程度の電圧であり、読出電圧VCGXRの最大値よりも大きい。読出遮断電圧VOFFは、メモリセルMCaに記録されたデータに拘わらずメモリセルMCaがOFF状態となる程度の電圧であり、読出電圧VCGXRの最小値よりも小さい。読出遮断電圧VOFFは、例えば、接地電圧VSSより小さくても良い。即ち、読出遮断電圧VOFFは、負の極性を有していても良い。電圧VSGは、ドレイン側選択トランジスタSTD及びソース側選択トランジスタSTSがON状態となる程度の電圧であり、接地電圧VSSよりも大きい。ソース電圧VSRCは、接地電圧VSSと同程度の大きさの電圧であり、接地電圧VSSよりも大きい。
【0080】
これにより、半導体層120の第1領域120aに、電子のチャネルが形成される。電子のチャネルにより、ビット線BLから選択メモリセルMCaまでのチャネル領域が導通する。また、電子のチャネルにより、選択メモリセルMCaからソース線SLまでのチャネル領域が導通する。選択メモリセルMCaは、選択メモリセルMCaの電荷蓄積層132aに蓄積された電荷量に応じて、ON状態又はOFF状態となる。ON状態又はOFF状態は、周辺回路PC(図1)により判定される。判定は、例えば、ビット線BLの電圧の高低、又は、ビット線BLに流れる電流の大小を検出することにより行われる。この様にメモリセルMCaに記録されたデータを判定する。
【0081】
尚、図38では、ワード線WLとして機能する全ての導電層110bに読出遮断電圧VOFFを供給している。しかしながら、この様な方法は例示に過ぎず、具体的な方法は適宜調整可能である。例えば、選択ワード線WLとして機能する導電層110aとY方向において隣り合う導電層110bのみに読出遮断電圧VOFFを供給し、ワード線WLとして機能するそれ以外の導電層110bに接地電圧VSS、読出パス電圧VREAD又はその他の電圧を供給しても良い。
【0082】
[書込動作]
次に、図39を参照して、本実施形態に係る半導体記憶装置の書込動作について説明する。図39は、同書込動作について説明するための模式的な断面図である。尚、図39では、メモリストリングMSaに含まれる所定のメモリセルMCaに対して書込動作を実行する例について説明する。
【0083】
書込動作においては、選択ワード線WLとして機能する導電層110aにプログラム電圧VPGMを供給し、非選択ワード線WLとして機能する導電層110a,導電層110bに書込パス電圧VPASSを供給する。また、書込動作においては、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する導電層110a,導電層110bに電圧VSGDを供給し、ソース側選択ゲート線SGSとして機能する導電層110a,導電層110bに接地電圧VSSを供給する。
【0084】
プログラム電圧VPGMは、選択メモリセルMCaの電荷蓄積層132aに電子を蓄積させる程度の電圧であり、上述の読出パス電圧VREADよりも大きい。書込パス電圧VPASSは、メモリセルMCaに記録されたデータに拘わらずメモリセルMCa及びメモリセルMCbがON状態となる程度の電圧であり、上述の読出パス電圧VREADと同じかそれよりも大きく、プログラム電圧VPGMよりも小さい。電圧VSGDは、ビット線BLにソース電圧VSRCが供給されている場合にはドレイン側選択トランジスタSTDがON状態となり、ビット線BLに所定の駆動電圧が供給されている場合にはドレイン側選択トランジスタSTDがOFF状態となる程度の電圧である。電圧VSGDは、接地電圧VSSよりも大きく、上述の電圧VSGよりも小さい。
【0085】
これにより、半導体層120の第1領域120aに、ビット線BLと選択メモリセルMCaのチャネル領域とを導通させる電子のチャネルが形成される。また、選択メモリセルMCaのチャネル領域の電子がトンネル絶縁層131をトンネルして電荷蓄積層132aに蓄積される。
【0086】
本実施形態に係る半導体記憶装置に対して上述の書込動作を複数回実行すると、電荷蓄積層132に徐々に電荷が蓄積されて、メモリセルMCのしきい値電圧が徐々に増大する。本実施形態では、この様な方法によってメモリセルMCのしきい値電圧を2通り以上のステートに制御し、これによってデータを記憶している。
【0087】
[第1実施形態の効果]
比較例に係る半導体記憶装置の構成を図40に示す。図40は、図5に対応する部分の構成を示す模式的な断面図である。
【0088】
比較例に係る半導体記憶装置は、第1実施形態と異なり、X方向に隣り合う半導体層120の間に、空隙150を備えていない。比較例に係る半導体記憶装置は、X方向に隣り合う半導体層120の間に、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層300を備える。
【0089】
ここで、例えば、本実施形態の様に空隙150を配置せず、絶縁層300を設けた比較例においては、上述の様な書込動作に対して、メモリセルMCのしきい値電圧が好適に増大しない場合があった。これは、次の様な現象に起因するものであると考えられる。
【0090】
即ち、図39を参照して説明した書込動作の実行後には、図38を参照して説明した読出動作が実行され、ビット線BLに電流が流れた場合には、メモリセルMCのしきい値電圧が目標値に到達していない、と判定される。また、ビット線BLに電流が流れなかった場合には、メモリセルMCのしきい値電圧が目標値に到達した、と判定される。ここで、比較例に係る半導体記憶装置において読出動作を実行すると、半導体層120の第3領域120c及び第4領域120dのY方向両端付近の部分に電子のチャネルが形成され、これがリークパスとなって電流が流れてしまう場合があった。この様な場合、もし仮に書込動作において選択メモリセルMCの電荷蓄積層142に十分な電荷量の電子が蓄積されていた場合でも、メモリセルMCのしきい値電圧が目標値に到達しない場合がある。
【0091】
また、半導体記憶装置の高集積化に伴い、トレンチ構造ATのY方向幅の縮小化が進んでいる。この様なY方向幅の縮小化に伴い、仮想線L1(図40)で示す経路により、対向する導電層110a及び導電層110bの間でリークが生じやすくなる場合があった。
【0092】
そこで、本実施形態においては、例えば図3図5に示す様に、X方向に隣り合う半導体層120の間に、比誘電率の低い領域である空隙150を配置する。これにより、例えば、書込動作を行った後で読出動作を実行する際、仮想線L2で示す経路の途中に空隙150があることにより、第3領域120c及び第4領域120dに対して、高強度の電界がかかることを抑止することができる。これにより、書込動作において第3領域120c及び第4領域120dにリークパスが形成されてしまうことを抑制して、メモリセルMCのしきい値電圧を好適に制御し、好適に動作する半導体記憶装置を提供可能である。
【0093】
また、本実施形態においては、仮想線L1で示す経路の途中に空隙150があることにより、対向する導電層110a及び導電層110bの間で発生するリークを抑制することができる。これにより好適に高集積化ができる半導体記憶装置を提供可能である。
【0094】
[第2実施形態]
[構成]
次に、図41図43を参照して第2実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。図41は、メモリセルアレイ領域RMCAの一部の構成を示す模式的なXY断面図である。図42は、メモリセルアレイ領域RMCAの一部の構成を示す模式的なYZ断面図である。図43は、図41の一部の構成を示す模式的な拡大図である。
【0095】
第2実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。ただし、第2実施形態に係る半導体記憶装置は、第1実施形態と異なり、第1領域120aと、第2領域120bとの間に、空隙150bを備える。また、第2実施形態に係る半導体記憶装置は、絶縁層125のかわりに、絶縁層125bを備える。
【0096】
空隙150bは、図41図43に示す様に、トレンチ構造ATのY方向中央部に設けられる。また、図43に示す様に、空隙150bは、Y方向において隣り合う一対の第1領域120aと、第2領域120bと、の間に設けられる。空隙150bは、空隙150bの在る部分の周囲に配置された固体材料に囲まれた、いわゆる空間を指し、空隙150bの在る部分はいずれの固体材料も含まない。空隙150bは、例えば、窒素、酸素及び希ガス等の複数の気体の混合物からなる空気等を含む空間である。尚、空隙150bはいずれの気体も含まぬ様に脱気されていても良い。
【0097】
また、空隙150bは、図42に示す様に、Z方向に延伸する。空隙150bは、絶縁層125bの内部に設けられている。絶縁層125bは、例えば、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層である。
【0098】
空隙150bの上方には、例えば図42に示す様に、半導体層121a及び半導体層121bが設けられている。半導体層121a及び半導体層121bは、トレンチ構造ATのY方向の両側面部からY方向中央部に向かって伸び、Y方向中央部において、それぞれ離間して隙間を有するように設けられる。
【0099】
[製造方法]
次に、図44図52を参照して、第2実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法について説明する。図44及び図49は、同製造方法について説明するための模式的なXY断面図であり、図41に示す部分に対応している。図45図46図47図48図50図51,及び図52は、同製造方法について説明するための模式的なYZ断面図であり、図42に示す部分に対応している。
【0100】
第2実施形態に係る半導体記憶装置の製造に際しては、図7図35を参照して説明した工程を実行する。
【0101】
次に、図44及び図45に示す様に、図35に示す構造の上面から絶縁層177の一部を除去し、開口AHbの内部に絶縁層177´を形成する。絶縁層177´の上面位置は、絶縁層103の上面位置よりも下方となる様に形成する。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0102】
次に、図46に示す様に、図45に示す半導体層120´の上面に多結晶シリコン(Si)等を含む半導体層を成膜し、半導体層120´よりも膜厚が大きい多結晶シリコン(Si)等の半導体層120´´を形成する。これにより、開口AHbにおける半導体層120´´のY方向の開口幅は、半導体層120´´の形成前と比較して狭くなる。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0103】
次に、図47に示す様に、図46に示す構造の上面から、半導体層120´´の上面をエッチバックし、多結晶シリコン(Si)等の半導体層120´´´を形成する。これにより、開口AHbにおいて絶縁層177´の上面を露出させる。この工程では、開口AHbにおける半導体層120´´´のY方向の開口幅は、半導体層120´´´の形成前と比較して変化しない。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0104】
次に、図48に示す様に、開口AHbにおける半導体層120´´´のY方向の隙間を介して、開口AHb内部の絶縁層177´を除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0105】
次に、図49及び図50に示す様に、開口AHbの内部に、半導体層120´´´のY方向の隙間を介して、絶縁層125b´を成膜する。絶縁層125b´は、開口AHbの側面及び底面に成膜される。また、絶縁層125b´は、半導体層120´´´の底面、Y方向の隙間、及び上面を覆う。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0106】
次に、図51に示す様に、開口AHbを介して、開口AHb内部の絶縁層125b´の一部を除去し、絶縁層125b´の上面が、絶縁層103の上面よりも下方になるように形成する。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0107】
次に、図52に示す様に、図51に示す半導体層120´´´の上面に多結晶シリコン(Si)等を含む半導体層を成膜した後エッチバックを行い、半導体層120の上面に接続する半導体層121を形成する。この工程は、例えば、CVD、RIE等によって行う。
【0108】
次に、図示しない開口を介して、複数の犠牲層110Aを除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0109】
次に、図示しない開口を介して、図6に示す様に、絶縁層101の上面及び下面、並びに絶縁層136のY方向の側面に、金属酸化層113、バリア導電層111を形成する。また、図40に示す様に、複数の犠牲層110Aを除去して形成された空洞を埋めるように、導電層110を形成する。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0110】
その後、ビット線コンタクトBLC、ビット線BL等を形成することにより、第2実施形態に係る半導体記憶装置が製造される。
【0111】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態における効果について、図40に示す比較例を参照して説明する。比較例においては、図40に示す様に、半導体層120の内側に、絶縁層125を設けている。この様な構造では、絶縁層125を介して、対向するメモリセルMCaとメモリセルMCbとが容量結合し、互いに干渉し、メモリセルに対する高精度な読出及び書込動作の妨げになる場合があった。
【0112】
そこで、本実施形態においては、図41及び図43に示す様に、対向するメモリセルMCa及びメモリセルMCbの間に、比誘電率の低い領域である空隙150bを設ける。これにより、対向するメモリセルMCaとメモリセルMCbとの容量結合を抑止し、両セル間の干渉を抑止し好適に動作する半導体記憶装置を提供可能である。
【0113】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0114】
100…半導体基板、110…導電層、120…半導体層、130…ゲート絶縁層、131…トンネル絶縁層、132…電荷蓄積部、133…ブロック絶縁層、150…空隙、150b…空隙。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52