(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137794
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 11/16 20060101AFI20220914BHJP
G11C 13/00 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
G11C11/16 230
G11C13/00 270F
G11C13/00 400E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037466
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 明
(72)【発明者】
【氏名】初田 幸輔
(57)【要約】
【課題】 読み出し動作を確実に行うことが可能な記憶装置を提供する。
【解決手段】 実施形態に係る記憶装置は、第1の配線10と、第2の配線20と、第1の配線と第2の配線との間に接続され、その抵抗状態に基づくデータを記憶する抵抗変化記憶素子及び抵抗変化記憶素子に対して直列に接続されたスイッチング素子を含むメモリセル30と、抵抗変化記憶素子に記憶されているデータの読み出し動作を制御する制御回路とを備え、制御回路は、第1の電位に充電された第1の配線及び第2の電位に充電された第2の配線をフローティング状態に設定し、フローティング状態に設定された第2の配線を放電してメモリセルに印加される電圧を増加させることでスイッチング素子をオン状態に設定し、スイッチング素子がオン状態に設定されている状態で抵抗変化記憶素子に記憶されているデータを読み出すように制御を行う。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延びる第1の配線と、
前記第1の方向と交差する第2の方向に延びる第2の配線と、
前記第1の配線と前記第2の配線との間に接続され、その抵抗状態に基づくデータを記憶する抵抗変化記憶素子及び前記抵抗変化記憶素子に対して直列に接続されたスイッチング素子を含むメモリセルと、
前記抵抗変化記憶素子に記憶されているデータの読み出し動作を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、第1の電位に充電された第1の配線及び第2の電位に充電された第2の配線をフローティング状態に設定し、前記フローティング状態に設定された第2の配線を放電して前記メモリセルに印加される電圧を増加させることで前記スイッチング素子をオン状態に設定し、前記スイッチング素子がオン状態に設定されている状態で前記抵抗変化記憶素子に記憶されているデータを読み出すように制御を行う
ことを特徴とする記憶装置。
【請求項2】
前記スイッチング素子は、前記メモリセルに印加される電圧がVth以上になるとオン状態に移行し、前記メモリセルに印加される電圧がVholdよりも小さくなるとオフ状態に移行する
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項3】
前記第1の電位と前記第2の電位との差は、前記Vthよりも小さい
ことを特徴とする請求項2に記載の記憶装置。
【請求項4】
前記抵抗変化記憶素子に記憶されているデータを読み出す際に、前記第1の配線に印加されている電圧と前記第2の配線に印加されている電圧との差は、前記Vholdに対応する
ことを特徴とする請求項2に記載の記憶装置。
【請求項5】
前記第1の電位と前記第2の電位とは、互いに等しい
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項6】
前記第1の電位と前記第2の電位とは、互いに異なる
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項7】
前記制御回路は、前記スイッチング素子がオン状態に設定された後に前記スイッチング素子にオン電流が流れ続けるように制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項8】
前記スイッチング素子にオン電流を供給する定電流源をさらに備える
ことを特徴とする請求項7に記載の記憶装置。
【請求項9】
前記スイッチング素子に流れるオン電流に基づいて前記抵抗変化記憶素子の抵抗状態を検出する検出回路をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項10】
前記検出回路は、前記オン電流が一定値に維持されている状態で前記抵抗変化記憶素子の抵抗状態を検出する
ことを特徴とする請求項9に記載の記憶装置。
【請求項11】
前記抵抗変化記憶素子は、磁気抵抗効果素子である
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気抵抗効果素子等の抵抗変化記憶素子とスイッチング素子との直列接続によってメモリセルが構成された不揮発性の記憶装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0090723号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
読み出し動作を確実に行うことが可能な記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る記憶装置は、第1の方向に延びる第1の配線と、前記第1の方向と交差する第2の方向に延びる第2の配線と、前記第1の配線と前記第2の配線との間に接続され、その抵抗状態に基づくデータを記憶する抵抗変化記憶素子及び前記抵抗変化記憶素子に対して直列に接続されたスイッチング素子を含むメモリセルと、前記抵抗変化記憶素子に記憶されているデータの読み出し動作を制御する制御回路と、を備え、前記制御回路は、第1の電位に充電された第1の配線及び第2の電位に充電された第2の配線をフローティング状態に設定し、前記フローティング状態に設定された第2の配線を放電して前記メモリセルに印加される電圧を増加させることで前記スイッチング素子をオン状態に設定し、前記スイッチング素子がオン状態に設定されている状態で前記抵抗変化記憶素子に記憶されているデータを読み出すように制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る記憶装置の全体的な概略構成を示したブロック図である。
【
図2A】実施形態に係る記憶装置のメモリセルアレイ部の構成を模式的に示した斜視図である。
【
図2B】実施形態に係る記憶装置におけるメモリセルアレイ部の変形例の構成を模式的に示した斜視図である。
【
図3】実施形態に係る記憶装置における磁気抵抗効果素子の構成を模式的に示した断面図である。
【
図4】実施形態に係る記憶装置におけるセレクタの構成を模式的に示した断面図である。
【
図5】実施形態に係る記憶装置において、メモリセルの両端間に印加される電圧とメモリセルに流れる電流との関係を模式的に示した図である。
【
図6】実施形態に係る記憶装置の読み出し動作を説明するための回路図である。
【
図7】実施形態に係る記憶装置の読み出し動作の一例を説明するためのタイミング図である。
【
図8】実施形態に係る記憶装置の読み出し動作の他の例を説明するためのタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0008】
図1は、実施形態に係る記憶装置(不揮発性の記憶装置)の全体的な概略構成を示したブロック図である。なお、以下の説明では、記憶装置として磁気記憶装置を例に説明を行う。
【0009】
本実施形態の磁気記憶装置は、メモリセルアレイ部100と、制御回路200と、検出回路300とを備えている。
【0010】
図2Aは、メモリセルアレイ部100の構成を模式的に示した斜視図である。
【0011】
メモリセルアレイ部100は、半導体基板(図示せず)を含む下地領域(図示せず)上に設けられており、それぞれがX方向に延伸する複数のワード線(第1の配線)10と、それぞれがY方向に延伸する複数のビット線(第2の配線)20と、複数のワード線10と複数のビット線20との間に接続された複数のメモリセル30とを備えている。
【0012】
なお、図に示されたX方向、Y方向及びZ方向は、互いに交差する方向である。より具体的には、X方向、Y方向及びZ方向は、互いに直交している。
【0013】
ワード線10及びビット線20は、メモリセル30に対して書き込み或いは読み出しを行う際にメモリセル30に対して所定の信号を供給するものである。なお、
図2Aでは、ワード線10が下層側に位置し、ビット線20が上層側に位置しているが、ワード線10が上層側に位置し、ビット線20が下層側に位置していてもよい。
【0014】
メモリセル30は、不揮発性の抵抗変化記憶素子である磁気抵抗効果素子40と、磁気抵抗効果素子40に対して直列に接続され、磁気抵抗効果素子40を選択するためのセレクタ(スイッチング素子)50とを含んでいる。
【0015】
なお、
図2Aでは、磁気抵抗効果素子40が下層側に位置し、セレクタ50が上層側に位置しているが、
図2Bに示すように、磁気抵抗効果素子40が上層側に位置し、セレクタ50が下層側に位置していてもよい。
【0016】
図3は、磁気抵抗効果素子40の構成を模式的に示した断面図である。
【0017】
本実施形態では、磁気抵抗効果素子40としてMTJ(magnetic tunnel junction)素子を用いる。この磁気抵抗効果素子40は、記憶層(第1の磁性層)41と、参照層(第2の磁性層)42と、トンネルバリア層(非磁性層)43とを含んでいる。
【0018】
記憶層41は、可変の磁化方向を有する強磁性層である。可変の磁化方向とは、所定の書き込み電流に対して磁化方向が変わることを意味する。参照層42は、固定された磁化方向を有する強磁性層である。固定された磁化方向とは、所定の書き込み電流に対して磁化方向が変わらないことを意味する。トンネルバリア層43は、記憶層41と参照層42との間に設けられた絶縁層である。
【0019】
記憶層41の磁化方向が参照層42の磁化方向に対して平行である場合には、磁気抵抗効果素子40は相対的に抵抗が低い低抵抗状態である。記憶層41の磁化方向が参照層42の磁化方向に対して反平行である場合には、磁気抵抗効果素子40は相対的に抵抗が高い高抵抗状態である。したがって、磁気抵抗効果素子40は、抵抗状態(低抵抗状態、高抵抗状態)に応じて、2値データを記憶することが可能である。また、磁気抵抗効果素子40には、書き込み電流の方向に応じて、低抵抗状態又は高抵抗状態を設定することが可能である。
【0020】
なお、
図3に示した磁気抵抗効果素子40は、記憶層41が下層側に位置し、参照層42が上層側に位置するボトムフリー型の構造を有しているが、記憶層41が上層側に位置し、参照層42が下層側に位置するトップフリー型の構造を有する磁気抵抗効果素子を用いてもよい。
【0021】
図4は、セレクタ50の構成を模式的に示した断面図である。
【0022】
セレクタ50は、下部電極51と、上部電極52と、下部電極51と上部電極52との間に設けられたセレクタ材料層(スイッチング材料層)53とを含んでいる。セレクタ50は、非線形な電流-電圧特性を有する2端子型のスイッチング素子である。セレクタ50は、2端子間に印加される電圧が閾値未満の場合には高抵抗状態、例えば電気的に非導通状態であり、2端子間に印加される電圧が閾値以上になると低抵抗状態、例えば電気的に導通状態となる。
【0023】
図5は、メモリセル30の両端間に印加される電圧とメモリセル30に流れる電流との関係を模式的に示した図である。
【0024】
メモリセル30に印加される電圧が増加して閾電圧Vth以上になるとセレクタ50が低抵抗状態(オン状態)へと移行し、メモリセル30に印加される電圧が減少してホールド電圧Vholdよりも小さくなるとセレクタ50が高抵抗状態(オフ状態)へと移行する。メモリセル30に印加されている電圧がホールド電圧Vholdのときに、メモリセル30にはホールド電流Iholdが流れる。ワード線10とビット線20との間にVth以上の電圧を印加することでセレクタ50がオン状態へと移行し、セレクタ50に直列に接続された磁気抵抗効果素子40に対して書き込み或いは読み出しを行うことが可能となる。
【0025】
次に、本実施形態に係る記憶装置の読み出し動作について、
図6に示した回路図及び
図7に示したタイミング図を参照して説明する。
【0026】
記憶装置の動作は、主として
図1に示した制御回路200によって制御される。すなわち、磁気抵抗効果素子40へのデータの書き込み動作及び磁気抵抗効果素子40に記憶されているデータの読み出し動作は、主として制御回路200によって制御される。
【0027】
図6に示されるように、ワード線10にはスイッチ回路61の一端及びスイッチ回路62の一端が接続されており、スイッチ回路61の他端にはグローバルワード線63が接続され、スイッチ回路62の他端には電圧供給線64が接続されている。ビット線20にはスイッチ回路71の一端及びスイッチ回路72の一端が接続されており、スイッチ回路71の他端にはグローバルビット線73が接続され、スイッチ回路72の他端には電圧供給線74が接続されている。電圧供給線64及び74にはいずれも、固定電圧Vdd/2が印加されている。
【0028】
グローバルワード線63にはグローバルワード線(GWL)制御回路210が接続されており、グローバルビット線73にはグローバルビット線(GBL)制御回路220が接続されている。グローバルワード線制御回路210及びグローバルビット線制御回路220は、
図1に示した制御回路200に含まれている。
【0029】
検出回路300には、定電流源310及びセンスアンプ(S/A)320が含まれており、検出回路300とグローバルワード線63との間には、リードイネーブル用のトランジスタ81及びクランプ用のトランジスタ82が接続されている。
【0030】
以下、
図7を参照して、具体的な読み出し動作を説明する。
図7(a)は、グローバルワード線63の電圧VGWL及びグローバルビット線73の電圧VGBLを示している。
図7(b)は、トランジスタ81のゲートに印加されるリードイネーブル信号RENを示している。
図7(c)は、メモリセル30に流れる電流Icell、すなわち磁気抵抗効果素子40及びセレクタ50の直列接続に流れる電流を示している。
【0031】
読み出し動作が開始されるまでは、グローバルワード線63の電位(電圧)VGWL及びグローバルビット線73の電位(電圧)VGBLは、いずれもVdd/2に維持されている。また、リードイネーブル信号RENはオフ状態であり、メモリセル30に流れる電流Icellはゼロである。
【0032】
t1の時点で読み出し動作が開始されると、制御回路200は、読み出しが行われるメモリセル(選択されたメモリセル)30に接続されたワード線(選択されたワード線)10及び読み出しが行われるメモリセル(選択されたメモリセル)30に接続されたビット線(選択されたビット線)20が充電されるように制御を行う。
【0033】
具体的には、グローバルワード線制御回路210によってグローバルワード線63が第1の電位に充電され、グローバルビット線制御回路220によってグローバルビット線73が第2の電位に充電される。本実施形態では、第1の電位(第1の電圧)及び第2の電位(第2の電圧)はいずれもVddであり、第1の電位及び第2の電位は互いに等しい。このとき、選択されたワード線10に接続されたスイッチ回路61及び選択されたビット線20に接続されたスイッチ回路71はオン状態に設定されている。一方、選択されたワード線10に接続されたスイッチ回路62はオフ状態に設定され、選択されたビット線20に接続されたスイッチ回路72はオフ状態に設定されている。その結果、選択されたワード線10及び選択されたビット線20は、いずれも電圧(電位)Vddに充電される。すなわち、選択されたワード線10に充電される電圧と選択されたビット線20に充電される電圧とは、互いに等しい。
【0034】
また、非選択のワード線10に接続されたスイッチ回路61はオフ状態に設定され、非選択のワード線10に接続されたスイッチ回路62はオン状態に設定されている。また、非選択のビット線20に接続されたスイッチ回路71はオフ状態に設定され、非選択のビット線20に接続されたスイッチ回路72はオン状態に設定されている。したがって、非選択のワード線10及び非選択のビット線20の電圧(電位)はVdd/2である。
【0035】
上記のようにして、選択されたワード線10及び選択されたビット線20が電圧Vddに充電された後、制御回路200は、選択されたワード線10及び選択されたビット線20がフローティング状態に設定されるように制御を行う。
【0036】
具体的には、t2の時点で、グローバルワード線制御回路210によってグローバルワード線63をフローティング状態に設定し、グローバルビット線制御回路220によってグローバルビット線73をフローティング状態に設定する。その結果、選択されたワード線10及び選択されたビット線20がフローティング状態に設定される。
【0037】
上記のようにして、選択されたワード線10及び選択されたビット線20をフローティング状態に設定した後、t3の時点で、制御回路200は、ビット線20の放電が開始されるように制御を行う。これにより、選択されたメモリセル30に印加される電圧が増加し、選択されたメモリセル30に含まれるセレクタ50がオン状態へと移行する。
【0038】
具体的には、グローバルビット線制御回路220によってグローバルビット線73を放電させることで、選択されたビット線20の電圧がVss(0ボルト)までしだいに減少してゆく。
【0039】
また、本実施形態では、t3の時点で、制御回路200からの制御信号によってリードイネーブル信号RENがオン状態に設定され、トランジスタ81がオン状態に移行する。これにより、定電流源310からメモリセル30に定電流を供給することが可能な状態になる。なお、リードイネーブル信号RENがオン状態に移行するタイミングは、ビット線20の放電が開始されるタイミングと一致していなくてもよく、検出回路300で磁気抵抗効果素子40に記憶されているデータを実際に検出するときまでにオン状態に移行すればよい。
【0040】
t4の時点で、グローバルワード線63の電圧とグローバルビット線73の電圧との電圧差が閾電圧Vthに達する、すなわち、選択されたワード線10の電圧と選択されたビット線20の電圧との電圧差が閾電圧Vthに達すると、選択されたメモリセル30に含まれるセレクタ50がオフ状態からオン状態へと移行する。その結果、定電流源310から選択されたメモリセル30に含まれる磁気抵抗効果素子40及びセレクタ50の直列接続にオン電流が供給され、選択されたワード線10の電圧、すなわちグローバルワード線63の電圧がしだいに減少してゆく。
【0041】
グローバルワード線63の電圧が減少してゆくと、t5の時点で、グローバルワード線63の電圧とグローバルビット線73の電圧との電圧差(選択されたワード線10の電圧と選択されたビット線20の電圧との電圧差)がホールド電圧Vholdに達する、すなわち、選択されたメモリセル30に印加される電圧がホールド電圧Vholdに達する。このとき、制御回路200からの制御信号によってリードイネーブル信号RENはオン状態に維持されており、トランジスタ81はオン状態に設定されている。そのため、選択されたメモリセル30に含まれるセレクタ50には、定電流源310からオン電流が供給され続けている。そのため、選択されたメモリセル30に含まれるセレクタ50はオフ状態にはならず、オン状態が維持されている。すなわち、t4の時点でセレクタ50がオン状態に設定された後、セレクタ50にはオン電流が流れ続けている。
【0042】
制御回路200は、選択されたメモリセル30に含まれるセレクタ50がオン状態に設定され、選択されたメモリセル30に対する印加電圧(選択されたワード線10に印加されている電圧と選択されたビット線20に印加されている電圧との差)がホールド電圧Vholdに維持されている状態で、選択されたメモリセル30に含まれる磁気抵抗効果素子40に記憶されているデータ(低抵抗状態に対応するデータ或いは高抵状態に対応するデータ)を読み出すように制御を行う。
【0043】
具体的には、メモリセル30に流れているセル電流Icell(ホールド電流Ihold)をセンスアンプ320で検出することで、磁気抵抗効果素子40に記憶されているデータを判別する。
図7(c)に示すように、磁気抵抗効果素子40が低抵抗状態のときにメモリセル30に流れるオン電流(ホールド電流Ihold1)の方が、磁気抵抗効果素子40が高抵抗状態のときにメモリセル30に流れるオン電流(ホールド電流Ihold2)よりも大きい。したがって、センスアンプ320を含む検出回路300により、セレクタ50に流れるオン電流(メモリセル30に流れるオン電流)に基づいて磁気抵抗効果素子40の抵抗状態を検出することで、磁気抵抗効果素子40に記憶されているデータが判別される。磁気抵抗効果素子40の抵抗状態は、セレクタ50に流れるオン電流が一定値に維持されている状態(メモリセル30に印加される電圧がホールド電圧Vholdに維持されている状態)で検出される。
【0044】
なお、磁気抵抗効果素子40に記憶されているデータを判別する方法は、上述した方法(メモリセル30に印加される電圧がホールド電圧Vholdに維持されている状態でメモリセル30に流れるホールド電流Iholdを検出する方法)に限定されるものではなく、他の判別方法を用いてもよい。
【0045】
以上のように、本実施形態では、ワード線10及びビット線20を充電しておき、フローティング状態に設定されたビット線20を放電してメモリセル30に印加される電圧を増加させることで、セレクタ50をオン状態に設定する。したがって、セレクタ50を確実にオン状態に設定することができ、セレクタ50がオン状態に設定されている状態で磁気抵抗効果素子40に記憶されているデータを確実に読み出すことができる。
【0046】
また、メモリセル30に印加される電圧、すなわちワード線10とビット線20との間に印加される電圧がホールド電圧Vholdに達する前から、定電流源310によってメモリセル30に定電流(オン電流)が供給されているため、セレクタ50がオフ状態に移行することなく、セレクタ50がオン状態に設定されている状態で磁気抵抗効果素子40に記憶されているデータを確実に読み出すことができる。
【0047】
図8は、本施形態に係る記憶装置の読み出し動作の他の例を説明するためのタイミング図である。
【0048】
基本的な読み出し動作は、上述した
図7の読み出し動作と同様である。ただし、
図7の読み出し動作では、グローバルワード線63及びグローバルビット線73がいずれもVddに充電された状態でグローバルワード線63及びグローバルビット線73がフローティング状態に移行するようにしたが、本読み出し動作例では、グローバルワード線63がVdd(第1の電位)に充電され且つグローバルビット線73がVdd/2(第2の電位)に充電された状態でグローバルワード線63及びグローバルビット線73がフローティング状態に移行する。すなわち、本読み出し動作例では、第1の電位と第2の電位とが互いに異なっている。なお、第1の電位と第2の電位は、
図7の読み出し動作例の値或いは
図8の読み出し動作例の値に限定されるものではなく、第1の電位と第2の電位との差が閾電圧Vthよりも小さければよい。
【0049】
本読み出し動作例でも、上述した実施形態と同様の効果を得ることが可能であり、セレクタ50がオン状態に設定されている状態で磁気抵抗効果素子40に記憶されているデータを確実に読み出すことができる。
【0050】
なお、上述した実施形態では、抵抗変化記憶素子として磁気抵抗効果素子を用いたが、他の抵抗変化記憶素子を用いてもよい。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
10…ワード線(第1の配線) 20…ビット線(第2の配線)
30…メモリセル
40…磁気抵抗効果素子(抵抗変化記憶素子)
41…記憶層 42…参照層 43…トンネルバリア層
50…セレクタ(スイッチング素子)
51…下部電極 52…上部電極 53…セレクタ材料層
61、62…スイッチ回路
63…グローバルワード線 64…電圧供給線
71、72…スイッチ回路
73…グローバルビット線 74…電圧供給線
81、82…トランジスタ
100…メモリセルアレイ部
200…制御回路
210…グローバルワード線制御回路 220…グローバルビット線制御回路
300…検出回路 310…定電流源 320…センスアンプ