(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137839
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】半導体発光装置
(51)【国際特許分類】
H01S 5/042 20060101AFI20220914BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20220914BHJP
【FI】
H01S5/042 630
H01L33/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037524
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中小原 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】近藤 宙太
【テーマコード(参考)】
5F173
5F241
【Fターム(参考)】
5F173SA17
5F173SE02
5F173SG07
5F173SJ13
5F241AA21
5F241BB07
5F241BC03
5F241BC44
5F241BD13
(57)【要約】
【課題】出力立ち上がり特性を向上させること。
【解決手段】半導体発光装置10は、ループ状に直列に接続された半導体発光素子22、スイッチング素子24、および第1キャパシタ26と、半導体発光素子22に並列に接続された第2キャパシタ32とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループ状に直列に接続された半導体発光素子、スイッチング素子、および第1キャパシタと、
前記半導体発光素子に並列に接続された第2キャパシタと、
を備える半導体発光装置。
【請求項2】
前記第1キャパシタは、前記半導体発光素子と前記スイッチング素子との直列回路に並列に接続されている、請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記半導体発光素子に並列に逆接続された保護ダイオードを備える請求項1または2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記スイッチング素子は、前記半導体発光素子と前記第1キャパシタとの直列回路に並列に接続されており、
前記半導体発光素子に並列に逆接続された保護ダイオードを備える請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記第2キャパシタの容量値が前記第1キャパシタの容量値の1/100以下に設定されている、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記第1キャパシタの容量値が10nF以上10μF以下に設定されており、
前記第2キャパシタの容量値が50pF以上10nF以下に設定されている、請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記第2キャパシタに並列に接続された抵抗をさらに備える請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記抵抗の抵抗値が200Ω以上10kΩ以下に設定されている、請求項7に記載の半導体発光装置。
【請求項9】
前記半導体発光素子および前記第2キャパシタによって形成される電流ループ内の寄生インダクタンスの値が、前記半導体発光素子、前記スイッチング素子、および前記第1キャパシタによって形成される電流ループ内の寄生インダクタンスの値の2倍以下に設定されている、請求項1~8のうちのいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項10】
前記半導体発光素子が垂直共振器型面発光レーザである、請求項1~9のうちのいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項11】
複数の配線部を含む基板を備え、
前記半導体発光素子、前記スイッチング素子、前記第1キャパシタ、および前記第2キャパシタは前記複数の配線部によって互いに電気的に接続される、請求項1~10のうちのいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項12】
前記複数の配線部は、
互いに連続した第1アイランドおよび第2アイランドを含む第1配線部と、
前記第1アイランドに隣接して配置された第3アイランドを含む第2配線部と、
前記第2アイランドに隣接して配置されるとともに前記第3アイランドに隣接して配置された第4アイランドを含む第3配線部と、を含み、
前記半導体発光素子は、前記第1アイランド上に配置され、
前記スイッチング素子は、前記第2アイランド上に配置され、
前記第2キャパシタは、前記第1アイランドと前記第3アイランドとに跨がって配置され、
前記第1キャパシタは、前記第3アイランドと前記第4アイランドとに跨がって配置されている、請求項11に記載の半導体発光装置。
【請求項13】
前記複数の配線部は、第5アイランドを含む第4配線部を含み、前記第5アイランドは、前記第4アイランドと前記第5アイランドとの間に前記第2アイランドが位置するように前記第2アイランドに隣接して配置されており、
前記半導体発光素子は、第1ワイヤによって前記第3アイランドに接続された第1電極と、第1接合部によって前記第1アイランドに接合された第2電極とを含み、
前記第2キャパシタは、第2接合部によって前記第3アイランドに接合された第1電極と、第3接合部によって前記第1アイランドに接合された第2電極とを含み、
前記第1キャパシタは、第4接合部によって前記第3アイランドに接合された第1電極と、第5接合部によって前記第4アイランドに接合された第2電極とを含み、
前記スイッチング素子は、第6接合部によって前記第2アイランドに接合された第1電極と、第1ワイヤによって前記第4アイランドに接続された第2電極と、第2ワイヤによって前記第5アイランドに接続された第3電極とを含む、請求項12に記載の半導体発光装置。
【請求項14】
前記半導体発光素子、前記スイッチング素子、前記第1キャパシタ、および前記第2キャパシタを収容し、前記基板の厚さ方向に開口するケースと、
前記ケースの開口を覆う透光性の光拡散板と、
を備える請求項11~13のうちいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光装置は、半導体発光素子を光源として備えている。半導体発光素子の代表的な例は、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)などのレーザダイオード、および発光ダイオード(LED)などである。特許文献1は、LEDを基板上に搭載した半導体発光装置を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体発光装置は、半導体発光素子を駆動する例えばスイッチング素子およびキャパシタなどを含む。このため、半導体発光素子を含む回路の配線経路上には寄生インダクタンスが存在する。寄生インダクタンスは、半導体発光素子の出力特性、特に出力立ち上がり特性に影響を及ぼし得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による半導体発光装置は、ループ状に直列に接続された半導体発光素子、スイッチング素子、および第1キャパシタと、前記半導体発光素子に並列に接続された第2キャパシタとを備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示の半導体発光装置によれば、出力立ち上がり特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態にかかる例示的な半導体発光装置の概略回路図である。
【
図2】
図2は、
図1の半導体発光装置の第1動作モードを説明する概略回路図である。
【
図3】
図3は、
図1の半導体発光装置の第1動作モードと第2動作モードを説明する概略回路図である。
【
図4】
図4は、
図1の半導体発光装置の第3動作モードを説明する概略回路図である。
【
図5】
図5は、
図1の半導体発光装置における半導体発光装置の出力波形を比較例とともに概略的に示すグラフである。
【
図6】
図6は、第2実施形態にかかる例示的な半導体発光装置の概略回路図である。
【
図7】
図7は、第2キャパシタの容量値に応じた半導体発光装置の出力波形を示すグラフである。
【
図8】
図8は、第3電流ループ内の寄生インダクタンスの値と半導体発光装置の出力立ち上がり特性との関係を示すグラフである。
【
図9】
図9は、第3実施形態にかかる例示的な半導体発光装置の概略斜視図である。
【
図12】
図12は、ケースを取り除いた状態の
図9の半導体発光装置の平面図である。
【
図17】
図17は、変更例の半導体発光装置の概略回路図である。
【
図18】
図18は、他の変更例の半導体発光装置の概略回路図である。
【
図19】
図19は、さらに他の変更例の半導体発光装置の概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本開示における半導体発光装置の実施形態を説明する。
なお、説明を簡単かつ明確にするために、図面に示される構成要素は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。また、理解を容易にするために、断面図ではハッチングが省略されている場合がある。添付の図面は、本開示の実施形態を例示するに過ぎず、本開示を制限するものとみなされるべきではない。
【0009】
以下の詳細な記載は、本開示の例示的な実施形態を具体化する装置、システム、および方法を含む。この詳細な記載は本来説明のためのものに過ぎず、本開示の実施形態またはこのような実施形態の適用および使用を限定することを意図しない。
【0010】
[第1実施形態]
図1~
図5を参照して第1実施形態にかかる半導体発光装置10について説明する。
図1は、第1実施形態にかかる例示的な半導体発光装置10を示す概略回路図である。
【0011】
半導体発光装置10は、第1電流回路20と、第2電流回路30とを備えている。第1電流回路20は、半導体発光素子22、スイッチング素子24、および第1キャパシタ26を含む。第2電流回路30は、半導体発光素子22に並列に接続された第2キャパシタ32を含む。半導体発光素子22、スイッチング素子24、および第1キャパシタ26はループ状に直列に接続されている。第1実施形態では、半導体発光素子22とスイッチング素子24とが直列に接続されて直列回路を形成し、この直列回路に第1キャパシタ26が並列に接続されている。
【0012】
第1電流回路20は、スイッチング素子24のスイッチング制御と第2キャパシタ32の電圧レベルとに基づいて、半導体発光素子22、スイッチング素子24、および第1キャパシタ26による第1電流ループ20L(
図3参照)を形成する。第1電流回路20と第2電流回路30は、スイッチング素子24のスイッチング制御と第2キャパシタ32の電圧レベルとに基づいて、第1キャパシタ26、第2キャパシタ32、およびスイッチング素子24による第2電流ループ30L1(
図2および
図3参照)を形成する。また、第1電流回路20と第2電流回路30は、スイッチング素子24のスイッチング制御に基づいて、半導体発光素子22と第2キャパシタ32とによる第3電流ループ30L2(
図4参照)を形成する。
【0013】
第1電流ループ20Lを形成する半導体発光素子22、スイッチング素子24、および第1キャパシタ26は互いに配線で接続されている。したがって、第1電流ループ20L内には寄生インダクタンス42が存在する。寄生インダクタンス42は、第1電流ループ20Lを構成する素子および配線のインダクタンスを含む。例えば、配線のインダクタンスは、半導体発光素子22とスイッチング素子24とを接続する配線に生じるインダクタンス、スイッチング素子24と第1キャパシタ26とを接続する配線に生じるインダクタンス、および第1キャパシタ26と半導体発光素子22とを接続する配線に生じるインダクタンスを含む。なお、配線とは、半導体発光素子22、スイッチング素子24、および第1キャパシタ26を互いに電気的に接続する導電部材である。この導電部材は、例えば、半導体発光素子22、スイッチング素子24、第1キャパシタ26、および第2キャパシタ32を搭載する金属板(例えば、リードフレームなど)であってもよい。また、導電部材は、半導体発光素子22およびスイッチング素子24を、第1キャパシタ26および第2キャパシタ32と電気的に接続するワイヤであってもよい。
【0014】
同様に、第3電流ループ30L2を形成する半導体発光素子22および第2キャパシタ32は互いに配線(導電部材)で接続されている。したがって、第3電流ループ30L2内には寄生インダクタンス44が存在する。寄生インダクタンス44は、第3電流ループ30L2を構成する素子および配線のインダクタンスを含む。寄生インダクタンス42の値および寄生インダクタンス42の値は特に限定されない。第1実施形態において、寄生インダクタンス44の値は、例えば、寄生インダクタンス42の値の2倍以下となるように設定されている。
【0015】
半導体発光素子22は、例えば、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)などのレーザダイオードまたは発光ダイオード(LED)であり、第1実施形態では、半導体発光素子22はVCSELである。半導体発光素子22は、アノード端子22Aとカソード端子22Bとを含む。
【0016】
スイッチング素子24は、例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)またはバイポーラトランジスタであり、第1実施形態では、スイッチング素子24はMOSFETである。スイッチング素子24は、半導体発光素子22のカソード端子22Bに接続された第1端子24Aと、第2端子24Bと、スイッチング素子24をオンオフする制御電圧が印加される制御端子24Cとを含む。MOSFETの場合、第1端子24Aはドレイン端子であり、第2端子24Bはソース端子であり、制御端子24Cはゲート端子である。スイッチング素子24は、制御端子24Cに供給される例えばパルス状の制御電圧によってオンオフされる。第1実施形態では、スイッチング素子24の第1端子24Aは、半導体発光素子22のカソード端子22Bに接続されている。
【0017】
第1キャパシタ26は、半導体発光素子22のアノード端子22Aに接続された第1端子26Aと、スイッチング素子24の第2端子24Bに接続された第2端子26Bとを含む。第1キャパシタ26には並列に定電圧源12が接続されている。定電圧源12は外部電源とされ得る。
図1に示された例では、定電圧源12の正極端子12Aが第1キャパシタ26の第1端子26Aに接続され、定電圧源12の負極端子12Bが第1キャパシタ26の第1端子26Bに接続されている。したがって、第1キャパシタ26には、定電圧源12から印加された電圧に基づく電荷が蓄積される。第1キャパシタ26の容量値は、半導体発光素子22に流す電流の大きさを考慮して設定され得る。また、第1キャパシタ26の容量値は、半導体発光装置10の出力立ち上がり特性を改善する観点により設定され得る。第1キャパシタ26の容量値は特に限定されない。第1実施形態では、例えば、第1キャパシタ26の容量値は、10nF以上10μF以下に設定される。第1キャパシタ26の作用については後述する。
【0018】
第1実施形態では、第2キャパシタ32は、半導体発光素子22のアノード端子22Aに接続された第1端子32Aと、半導体発光素子22のカソード端子22Bに接続された第2端子32Bとを含む。第2キャパシタ32の容量値は特に限定されない。例えば、第2キャパシタ32の容量値は、第1キャパシタ26の容量値を考慮して設定され得る。第1実施形態では、第2キャパシタ32の容量値は、第1キャパシタ26と第2キャパシタ32との組み合わせにより半導体発光装置10の出力立ち上がり特性を改善する観点により設定され得る。さらに、第2キャパシタ32の容量値は、半導体発光装置10の出力立ち下がり特性を考慮して設定され得る。第1実施形態では、例えば、第2キャパシタ32の容量値は、50pF以上10nF以下に設定される。第2キャパシタ32の作用については後述する。
【0019】
次に、
図2~
図4を参照して半導体発光装置10の動作について説明する。
図2~
図4は、半導体発光装置10の種々の動作モードを説明する概略回路図である。第1実施形態では、スイッチング素子24は、制御端子24Cにハイレベルの制御電圧が供給されるとオンされ、制御端子24Cにローレベルの制御電圧が供給されるとオフされる。上記のとおり、第1キャパシタ26には定電圧源12から印加された電圧に基づく電荷が蓄積される。
【0020】
図2に示されるように、スイッチング素子24がオンされると、半導体発光装置10は第1動作モードで動作する。第1動作モードでは、第1キャパシタ26の蓄積電荷に基づいて、第1キャパシタ26、第2キャパシタ32、およびスイッチング素子24によって形成される第2電流ループ30L1内(
図2において点線の矢印で示される方向)において第1キャパシタ26から第2キャパシタ32に向けて電流が流れる。第1動作モードの期間は、スイッチング素子24がオンされた直後において半導体発光素子22に電流が実質的に流れない期間として定義される。
【0021】
第1動作モードでは、半導体発光素子22の抵抗値が大きいため、半導体発光素子22に電流はほとんど流れず、半導体発光素子22は発光しない。このため、第2電流ループ30L1内において第1キャパシタ26から第2キャパシタ32に向けて優先的に電流が流れて、第2キャパシタ32に電荷が蓄積される。これにより、第2キャパシタ32の第1端子32Aと第2端子32Bとの間の電圧が上昇し、その結果、半導体発光素子22のアノード端子22Aとカソード端子22Bとの間の電圧が上昇する。
【0022】
図3に示されるように、第2キャパシタ32の第1および第2端子32A,32B間の電圧に基づく半導体発光素子22の順方向電圧が、半導体発光素子22の閾値電圧以上となると、半導体発光素子22に電流が流れ始める。半導体発光装置10は、第2動作モードに移行する。第2動作モードでは、第1キャパシタ26、半導体発光素子22、およびスイッチング素子24によって形成される第1電流ループ20L内(
図3において点線の矢印で示される方向)において半導体発光素子22に電流が流れ、半導体発光素子22が発光する。第2動作モードの期間は、半導体発光素子22に流れる電流によって半導体発光素子22が発光する期間として定義される。
【0023】
第2動作モードでは、第1キャパシタ26の蓄積電荷に応じた電流が、第1電流ループ20L内において半導体発光素子22に流れる。半導体発光素子22に電流が流れ始めると、半導体発光素子22の抵抗値が減少して、半導体発光素子22の順方向電圧が低下する。このとき、半導体発光素子22に並列に接続された第2キャパシタ32の第1および第2端子32A,32B間の電圧により半導体発光素子22が順方向にバイアスされる。すなわち、第1キャパシタ26の電圧に加えて第2キャパシタ32の電圧によって半導体発光素子22が順方向にバイアスされる。これにより、第2キャパシタ32がない場合に比べて、半導体発光素子22に流れる電流を素早く増加させて、半導体発光装置10の光出力の立ち上がり時間を短くすることができる。なお、第2動作モードでは、第2電流ループ30L1でも電流はわずかに流れ続ける。
【0024】
図4に示されるように、スイッチング素子24がオフされると、第1電流ループ20Lと第2電流ループ30L1が遮断され、半導体発光装置10は第3動作モードに移行する。この第3動作モードでは、第2キャパシタ32および半導体発光素子22によって形成される第3電流ループ30L2内(
図4において点線の矢印で示される方向)において、第2キャパシタ32の蓄積電荷に応じた電流が半導体発光素子22に流れて消費される。第3動作モードの期間は、スイッチング素子24のオフ後に第2キャパシタ32の電圧が放電される期間として定義される。
【0025】
図5を参照して、半導体発光装置10の出力立ち上がり特性について説明する。
図5は、半導体発光装置10の光出力の波形を、比較例とともに概略的に示すグラフである。
図5において、横軸は時刻(ns)を表し、縦軸は半導体発光装置10の光出力(W)を表している。実線のグラフは、第2キャパシタ32を有する第1実施形態の半導体発光装置10の光出力の波形L1を示している。一点鎖線のグラフは、第2キャパシタ32を有していない比較例の半導体発光装置の光出力の波形L2を示している。ここでは、半導体発光装置10の光出力の立ち上がり特性を、例えば、最大光出力PMAXの10%に相当する光出力PLが得られた時点から最大光出力PMAXの90%の光出力PHが得られた時点までの出力波形の傾きによって評価する。
【0026】
まず、比較例の半導体発光装置で得られる波形L2について説明する。比較例の半導体発光装置は、第2キャパシタ32を有していないことを除いて、
図1の半導体発光装置10と同じ構成である。以下では、分かり易さのため、
図1の半導体発光装置10の構成と同じ比較例の構成については、同じ参照符号を用いて説明する。
【0027】
時刻t1において、スイッチング素子24がオンされる。第2キャパシタ32を有していない比較例の半導体発光装置では、時刻t1で半導体発光素子22に順方向電流が流れ始める。その後、時刻t2で光出力PLが得られ、時刻t6で光出力PHが得られる。このため、比較例の半導体発光装置では、時刻t2~t6までの時間が立ち上がり時間に相当する。時刻t7において、スイッチング素子24がオフされる。これにより、半導体発光素子22に流れる電流が遮断されて半導体発光装置の光出力が減少する。
【0028】
次に、第1実施形態の半導体発光装置10で得られる波形L1について説明する。
時刻t1において、スイッチング素子24がオンされる。第2キャパシタ32を有する第1実施形態の半導体発光装置10では、第2電流ループ30L1内(
図2参照)において第1キャパシタ26から第2キャパシタ32に向けて電流が流れ始める。したがって、時刻t1では、半導体発光素子22に電流は流れない。
【0029】
時刻t3において、第2キャパシタ32の第1および第2端子32A,32B間の電圧が、半導体発光素子22の閾値電圧に達する。これにより、第1電流ループ20L(
図3参照)において半導体発光素子22に電流が流れ始める。
図5の例では、時刻t1~t3が第1動作モードの期間T1に相当する。
【0030】
その後、時刻t4で光出力PLが得られ、時刻t5で光出力PHが得られる。このため、第1実施形態の半導体発光装置10では、時刻t4~t5までの時間が立ち上がり時間に相当する。その後、時刻t7において、スイッチング素子24がオフされる。
図5の例では、時刻t3~t7が第2動作モードの期間T2に相当する。
【0031】
スイッチング素子24がオフされると、第3電流ループ30L2(
図4参照)において第2キャパシタ32の蓄積電荷に応じた電流が半導体発光素子22に流れて消費されることにより、半導体発光装置10の光出力が減少する。すなわち、第3電流ループ30L2内で第2キャパシタ32の電圧が放電されることにより、半導体発光装置10の光出力が減少する。時刻t8は、第2キャパシタ32の電圧が完全に放電された時点を示している。
図5の例では、時刻t7~t8が第3動作モードの期間T3に相当する。
【0032】
ここで、第2キャパシタ32の放電時間は、第2キャパシタ32の容量値に依存する。第2キャパシタ32の容量値が大きいほど、第2キャパシタ32の放電時間が長くなり、光出力の立ち下がり時間が長くなる。このため、第2キャパシタ32の容量値は、立ち下がり時間が増加しないように考慮される。第1実施形態では、第2キャパシタ32の容量値は、第1キャパシタ26の容量値よりも十分小さな値、例えば、第1キャパシタ26の容量値の1/100以下に設定される。言い換えれば、第1キャパシタ26の容量値は、第2キャパシタ32の容量値の100倍以上に設定される。
【0033】
図5に示されるように、波形L1,L2を比較すると、波形L1で示される光出力の立ち上がり時間(時刻t4~t5)は、波形L2で示される光出力の立ち上がり時間(時刻t2~t6)よりも短い。このため、時刻t4~t5間における波形L1の傾きは、時刻t2~t6間における波形L2の傾きよりも急峻である。したがって、半導体発光装置10の出力立ち上がり特性(立ち上がり速度)が向上している。
【0034】
次に、第1および第2キャパシタ26,32の作用について説明する。
第1キャパシタ26は、半導体発光素子22に順方向電圧を印加して半導体発光装置10の出力立ち上がり特性を改善する役割を果たす。半導体発光装置10では、半導体発光素子22に電流が流れることにより光が出力される。このとき、半導体発光装置10の光出力(出力電力波形)の立ち上がり時間が短いほど、立ち上がりエッジが急峻となる。そして、急峻な立ち上がりエッジを持つ光出力を用いることで、例えば、半導体発光装置10を利用した光センサで光出力による検出時間を短くして外乱の影響を受け難くすることができる。第1電流ループ20Lにおける寄生インダクタンス42は、半導体発光装置10の光出力の立ち上がり時間に影響を及ぼす。寄生インダクタンス42の値が大きくなると、半導体発光装置10の光出力の立ち上がり時間が長くなり、急峻な立ち上がりエッジを得ることが難しくなる。
【0035】
この点、第1実施形態では、定電圧源12から印加された電圧に基づいて第1キャパシタ26に電荷が蓄積され、この第1キャパシタ26の蓄積電荷に応じた電流が、第1電流ループ20Lにおいて半導体発光素子22に流れる。これにより、半導体発光素子22に電流を流れ易くすることができる。その結果、半導体発光装置10の光出力の立ち上がり時間を短くすることができる。この立ち上がり時間は、第1キャパシタ26の容量値を大きくするほど短くすることができる。
【0036】
第2キャパシタ32は、第1キャパシタ26との組み合わせにより半導体発光装置10の出力立ち上がり特性をさらに改善する役割を果たす。第2キャパシタ32は、半導体発光素子22に並列に接続されている。したがって、スイッチング素子24がオンされた直後、第1電流ループ20L(すなわち、半導体発光素子22)に電流は流れず、第2電流ループ30L1に優先的に電流が流れて、第2キャパシタ32に電荷が蓄積される。そして、第2キャパシタ32の第1および第2端子32A,32B間の電圧が半導体発光素子22の閾値電圧に達すると、半導体発光素子22に電流が流れ始める。その後は、第1キャパシタ26の電圧に加えて第2キャパシタ32の電圧によって半導体発光素子22が順方向にバイアスされる。これにより、半導体発光素子22に電流が流れ始めた後、半導体発光素子22に流れる電流を素早く増加させることができる。その結果、半導体発光装置10の光出力の立ち上がり時間を短くすることができる。
【0037】
この立ち上がり時間は、第2キャパシタ32の容量値を大きくするほど短くことができる。したがって、第2キャパシタ32の容量値は、上記のように立ち下がり時間が増加しないよう考慮しながら、立ち上がり時間の短縮に寄与する値に設定される。
【0038】
第1実施形態の半導体発光装置10は、以下の利点を有する。
(1-1)半導体発光装置10は、ループ状に直列に接続された半導体発光素子22、スイッチング素子24、および第1キャパシタ26を含む。この構成では、第1キャパシタ26を含む第1電流ループ20Lによって、半導体発光素子22に電流を流れ易くすることができる。これにより、半導体発光装置10の光出力の立ち上がり時間を短くすることができる。
【0039】
(1-2)半導体発光装置10は、半導体発光素子22に並列に接続された第2キャパシタ32を含む。第1キャパシタ26、第2キャパシタ32、およびスイッチング素子24は、ループ状に直列に接続されて第2電流ループ30L1を形成する。この構成では、第1キャパシタ26と第2キャパシタ32とを含む第2電流ループ30L1によって、半導体発光素子22を閾値電圧以上にバイアスする電圧が第2キャパシタ32に生成される。そして、半導体発光素子22に電流が流れた後は、第2キャパシタ32の電圧によって半導体発光素子22に流れる電流を素早く増加させることができる。これにより、半導体発光装置10の光出力の立ち上がり時間をさらに短くすることができる。
【0040】
(1-3)半導体発光素子22および第2キャパシタ32は、ループ状に直列に接続されて第3電流ループ30L2を形成する。この第3電流ループ30L2により、スイッチング素子24のオフ後に第2キャパシタ32の電圧を放電させることができる。
【0041】
[第2実施形態]
図6および
図7を参照して第2実施形態にかかる半導体発光装置10Aについて説明する。第2実施形態では、第1実施形態で説明した第2電流回路30が第2電流回路30Aに置き換えられている。その他の構成は、第1実施形態の構成と同じである。したがって、第1実施形態と同じ構成には同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0042】
図6は、第2実施形態にかかる例示的な半導体発光装置10Aの概略回路図である。
図6に示されるように、第2電流回路30Aは、半導体発光素子22に並列に接続された第2キャパシタ32と、第2キャパシタ32に並列に接続された抵抗34とを含む。したがって、第2電流回路30Aは、第1実施形態の第2電流回路30に抵抗34を加えた構成である。抵抗34は、スイッチング素子24がオフされた後、第2キャパシタ32の電圧の放電時間を短くする役割を果たす。この抵抗34の機能を中心に以下に説明する。
【0043】
図7は、第2キャパシタ32の容量値に応じた半導体発光装置10の光出力の波形を示すグラフである。
図7では、第2キャパシタ32の容量値が1pFの場合、1nFの場合、5nFの場合、10nFの場合の4つの例が示されている。
【0044】
図7に示されるように、第2キャパシタ32の容量値が5nFの場合には、1pFの場合および1nFの場合に比べて立ち上がりエッジが急峻となる。また、第2キャパシタ32の容量値が10nFの場合には、5nFの場合に比べて立ち上がりエッジがさらに急峻となる。したがって、第2キャパシタ32の容量値が大きいほど、立ち上がり時間は短くなる。
【0045】
一方、第2キャパシタ32の容量値が5nFの場合には、1pFの場合および1nFの場合に比べて立ち下がりエッジが緩やかとなる。また、第2キャパシタ32の容量値が10nFの場合には、5nFの場合に比べて立ち下がりエッジがさらに緩やかとなる。したがって、第2キャパシタ32の容量値が大きくなるほど、立ち下がり時間は長くなる。
【0046】
第1実施形態で説明したように、この立ち下がり時間は、スイッチング素子24がオフされた後、第2キャパシタ32の電圧が放電される時間に依存する。第1実施形態と同様に、第2実施形態においても、スイッチング素子24がオフされた後、第3動作モードにおいて、第2キャパシタ32の電圧は、第2キャパシタ32および半導体発光素子22によって形成される第3電流ループ30L2において放電される。
【0047】
ここで、このような放電動作により第2キャパシタ32の電圧が半導体発光素子22の順方向降下電圧よりも低くなると、半導体発光素子22に電流が流れ難くなり、放電時間が長くなる。そして、第2キャパシタ32の容量値が大きくなるほど、第2キャパシタ32に蓄積される電荷の量が多くなり、放電時間は長くなる。その結果、立ち下がり時間が長くなる。例えば、高周波駆動または高デューティ駆動によってスイッチング素子24がオンオフされる場合には、スイッチング素子24のオフ時間が短い。このような状況下で立ち下がり時間が長くなると、スイッチング素子24が次にオンされるまでに第2キャパシタ32の電圧が完全に放電されないことが起こり得る。その場合、第2キャパシタ32に電荷が残った状態でスイッチング素子24がオンされることとなるため、第2電流ループ30L1(
図3参照)に優先的に電流が流れ難くなる。これにより、第1動作モードの期間T1(
図5参照)が相対的に短くなることが生じ得る。結果として、立ち上がり改善効果(立ち上がり時間の短縮)が期待どおり得られなくなる可能性がある。
【0048】
この点、第2実施形態では、第2キャパシタ32に並列に抵抗34が接続されている。この抵抗34は、第2キャパシタ32の蓄積電荷に応じた電流を第3電流ループ30L2において半導体発光素子22に流れ易くするために設けられており、比較的大きな抵抗値に設定されている。例えば、抵抗34の抵抗値は、200Ω以上10kΩ以下に設定される。このような抵抗34を設けることにより、第2キャパシタ32の電圧の放電時間を全体として短くすることができる。
【0049】
第2実施形態の半導体発光装置10Aは、第1実施形態の利点(1-1)~(1-3)に加えて、以下の利点を有する。
(2-1)第2電流回路30Aがさらに、第2キャパシタ32に並列に接続された抵抗34を含む。これにより、第3電流ループ30L2において半導体発光素子22に電流が流れ易くなり、第2キャパシタ32の電圧の放電時間を短くすることができる。結果として、半導体発光素子22の立ち下がり時間を短くすることができる。
【0050】
[第3実施形態]
図8~
図16を参照して第3実施形態にかかる半導体発光装置10について説明する。第3実施形態の半導体発光装置10は、
図1で説明した第1実施形態の半導体発光装置10と回路構成は同じであり、半導体発光装置10を単一パッケージ内にモジュールとして構成する際の配線レイアウトに特徴を有している。したがって、第1実施形態と同じ構成には同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0051】
なお、本開示において使用される「平面視」という用語は、
図9に示される互いに直交するXYZ軸のZ軸方向に半導体発光装置10を視ることをいう。また、
図9に示される半導体発光装置10において、+Z方向を上、-Z方向を下、+X方向を右、-X方向を左と定義する。特に断りが無い場合、「平面視」とは、半導体発光装置10をZ軸に沿って上方から視ることを指す。
【0052】
第1実施形態で説明したように、第3電流ループ30L2(
図4参照)には寄生インダクタンス44が存在する。半導体発光装置10の出力立ち上がり特性は、第1電流ループ20L(
図3参照)内の寄生インダクタンス42だけでなく第3電流ループ30L2内の寄生インダクタンス44によっても影響を受ける。
【0053】
図8は、第3電流ループ30L2の寄生インダクタンス44の値と半導体発光装置10の出力立ち上がり特性との関係を示すグラフである。
図8では、寄生インダクタンス44の値が0.1nHの場合、1nHの場合、2nHの場合の3つの例が示されている。
【0054】
図8に示されるように、寄生インダクタンス44の値が1nHの場合は、2nHの場合に比べて立ち上がりエッジが急峻となる。また、寄生インダクタンス44の値が0.1nFの場合は、1nHの場合に比べて立ち上がりエッジがさらに急峻となる。したがって、寄生インダクタンス44の値が小さいほど、立ち上がり時間は短くなる。第3実施形態にかかる半導体発光装置10の配線レイアウトは、寄生インダクタンス42,44を低減するよう考慮されている。
【0055】
図9は、第3実施形態にかかる半導体発光装置10の概略斜視図である。
図10は、
図9の半導体発光装置10の平面図であり、
図11は、
図9の半導体発光装置10の側面図である。
【0056】
図9に示されるように、半導体発光装置10は、基板50と、ケース60と、光拡散板70と、を備えている。基板50は、例えば矩形状である。例えば、基板50は、X方向の長さLXが4.5mm程度、Y方向の長さLYが4.5mm程度の正方形状である。基板50は、基板表面52と基板裏面54とを含む。
【0057】
ケース60は、半導体発光素子22、スイッチング素子24、第1キャパシタ26、および第2キャパシタ32を収容する。ケース60は、基板50上に取り付けられている。ケース60は、例えば中空であるが、ケース60内に何らかの部材が充填されてもよい。
【0058】
ケース60は、枠62と蓋64とを含む。枠62と蓋64は一体に形成された単一部品とすることができる。枠62は、例えば遮光性材料によって形成されており、半導体発光素子22からの光は、枠62によって遮られる。枠62は、平面視において、基板50よりも若干小さく形成された正方形状である。枠62は、4つの側壁部、すなわち、第1~第4側壁部62A~62Dを含む。蓋64は、例えば板状であり、透明材料(例えばガラス)で形成されている。蓋64は、半導体発光素子22からの光を透過する。基板50の厚さ方向、すなわちZ方向における半導体発光装置10の高さLZ(光拡散板70を除く寸法)は、例えば1.83mm程度である。
【0059】
図10および
図11に示されるように、蓋64には、半導体発光素子22からの光を透過させる開口部64Aが形成されている。開口部64Aは、半導体発光素子22、スイッチング素子24、第1キャパシタ26、および第2キャパシタ32を収容するケース60の収容空間66(
図14~
図16参照)とケース60の外部とを連通している。開口部64Aは、Z方向において半導体発光素子22の少なくとも発光領域80を露出するように構成されている。第3実施形態では、開口部64Aは、例えば半導体発光素子22の素子上面22SAの全体を露出するように構成されている。
【0060】
光拡散板70は平板状であり、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリルなどの透光性の樹脂材料によって形成されている。光拡散板70のサイズは、開口部64Aの全体を覆うことが可能な範囲で任意に変更可能である。例えば、光拡散板70は、蓋64の全体を覆うサイズでもよい。
【0061】
【0062】
図12に示されるように、基板50は、導電性材料、例えば銅(Cu)などの金属板によって形成されている。第3実施形態では、基板50はリードフレームである。基板50は、複数(第3実施形態では、例えば4つ)の配線部、すなわち、第1配線部110、第2配線部120、第3配線部130、および第4配線部140を含む。また、基板50は、第1~第4配線部110,120,130,140を互いに絶縁しつつ仕切る複数の絶縁部56を含む。絶縁部56は、絶縁性材料、例えばエポキシ樹脂によって形成されている。
図12および
図13に示されるように、第1~第4配線部110,120,130,140は、基板表面52および基板裏面54のいずれにも露出している。
【0063】
図12および
図13に示されるように、第1配線部110は、互いに連続した第1アイランド112および第2アイランド114と、複数のリード116とを含む。第1アイランド112は、表面112SA(
図12参照)と裏面112SB(
図13参照)を含み、裏面112SBは、平面視において表面112SAよりもわずかに小さいサイズで形成されている。第2アイランド114は、表面114SA(
図12参照)と裏面114SB(
図13参照)を含み、裏面114SBは、平面視において表面114SAよりもわずかに小さいサイズで形成されている。第1アイランド112の表面112SAと第2アイランド114の表面114SAとは連続しており、それら2つの表面112SA,114SAの間に物理的な境界はない。第1アイランド112の裏面112SBと第2アイランド114の裏面114SBとの間には、第1配線部110のほぼ半分の厚みに相当する深さで凹部118が設けられている(
図16参照)。したがって、第1アイランド112と第2アイランド114は互いに連続している。絶縁部56は、凹部118内にも充填されている。
【0064】
第2配線部120は、第1アイランド112に隣接して配置された第3アイランド122と、複数のリード124とを含む。第3アイランド122は、表面122SA(
図12参照)と裏面122SB(
図13参照)を含み、裏面122SBは、平面視において表面122SAよりもわずかに小さいサイズで形成されている。
【0065】
第3配線部130は、第2アイランド114に隣接して配置されるとともに第3アイランド122に隣接して配置された第4アイランド132と、複数のリード134とを含む。第4アイランド132は、表面132SA(
図12参照)と裏面132SB(
図13参照)を含み、裏面132SBは、平面視において表面132SAよりもわずかに小さいサイズで形成されている。
【0066】
第4配線部140は、第5アイランド142と、複数のリード144とを含む。第5アイランド142は、第4アイランド132と第5アイランド142との間に第2アイランド114が位置するように第2アイランド114に隣接して配置されている。第5アイランド142は、表面142SA(
図12参照)と裏面142SB(
図13参照)を含み、裏面142SBは、平面視において表面142SAよりもわずかに小さいサイズで形成されている。
【0067】
図12、
図14、および
図16に示されるように、半導体発光素子22は、第1配線部110の第1アイランド112上に配置されている。半導体発光素子22は、第1ワイヤ150によって第2配線部120の第3アイランド122に接続された第1電極82と、第1接合部152によって第1アイランド112に接合された第2電極84とを含む。第1電極82は、半導体発光素子22の表面22SAに設けられ、第2電極84は、半導体発光素子22の裏面22SBに設けられている。第1電極82は、半導体発光素子22のアノード端子22A(
図1参照)として機能し、第2電極84は、半導体発光素子22のカソード端子22B(
図1参照)として機能する。
【0068】
図12、
図14、および
図15に示されるように、第2キャパシタ32は、第1配線部110の第1アイランド112と第2配線部120の第3アイランド122とに跨がって配置されている。第2キャパシタ32は、第2接合部160によって第3アイランド122に接合された第1電極92と、第3接合部162によって第1アイランド112に接合された第2電極94とを含む。第1電極92は、第2キャパシタ32の第1端子32A(
図1参照)として機能し、第2電極94は、第2キャパシタ32の第2端子32B(
図1参照)として機能する。
【0069】
図12、
図14、および
図15に示されるように、第1キャパシタ26は、第2配線部120の第3アイランド122と第3配線部130の第4アイランド132とに跨がって配置されている。第1キャパシタ26は、第4接合部170によって第3アイランド122に接合された第1電極96と、第5接合部172によって第4アイランド132に接合された第2電極98とを含む。第1電極96は、第1キャパシタ26の第1端子26A(
図1参照)として機能し、第2電極98は、第1キャパシタ26の第2端子26B(
図1参照)として機能する。
【0070】
図12、
図15、および
図16に示されるように、スイッチング素子24は、第1配線部110の第2アイランド114上に配置されている。スイッチング素子24は、第6接合部180によって第2アイランド114に接合された第1電極102と、第1ワイヤ182によって第4アイランド132に接続された第2電極104と、第2ワイヤ184によって第5アイランド142に接続された第3電極106とを含む。第1電極102は、スイッチング素子24の裏面24SBに設けられている。第2電極104は、スイッチング素子24の表面24SAの一部に設けられている。第3電極106は、スイッチング素子24の表面24SAの他の一部に設けられている。第2電極104は、第3電極106よりも大きなサイズで形成されている。第1電極102は、スイッチング素子24の第1端子24A(例えばMOSFETのドレイン端子:
図1参照)として機能し、第2電極104は、スイッチング素子24の第2端子24A(例えばMOSFETのソース端子:
図1参照)として機能する。第3電極106は、スイッチング素子24の制御端子24C(例えばMOSFETのゲート端子:
図1参照)として機能する。
【0071】
このように構成された配線レイアウトでは、半導体発光素子22、スイッチング素子24、第1キャパシタ26、および第2キャパシタ32が、第1~第3配線部110,120,130によって互いに電気的に接続される。第3実施形態では、半導体発光素子22、スイッチング素子24、第1キャパシタ26、および第2キャパシタ32が、第1~第3配線部110,120,130およびワイヤ150,182によって電気的に接続される。また、第4配線部140およびワイヤ184を通じて供給される制御電圧によって、スイッチング素子24がスイッチング制御される。また、互いに隣接する第1~第3配線部110,120,130およびワイヤ150,182によって、半導体発光素子22、スイッチング素子24、および第1キャパシタ26がループ接続されて第1電流ループ20L(
図3参照)の配線経路が形成される。また、互いに隣接する第1~第3配線部110,120,130およびワイヤ182によって、第1電流回路20のスイッチング素子24および第1キャパシタ26と、第2電流回路30の第2キャパシタ32とがループ接続されて第2電流ループ30L1(
図2参照)の配線経路が形成される。さらには、互いに隣接する第1および第2配線部110,120とワイヤ150との組み合わせによって、第1電流回路20の半導体発光素子22と第2電流回路30の第2キャパシタ32とがループ接続されて第3電流ループ30L2(
図4参照)の配線経路が形成される。
【0072】
このような配線レイアウトによれば、単一パッケージ内に半導体発光装置10をモジュールとして構成することができる。これにより、スイッチング素子24、第1キャパシタ26、および第2キャパシタ32を相互に接続する配線の総配線長を短くすることができる。さらには、第1~第4配線部110,120,130,140は基板50内において互いに隣接する状態でレイアウトされているため、配線間隔も短くすることができる。その結果、第1電流ループ20L内の寄生インダクタンス42の値および第3電流ループ30L2内の寄生インダクタンス44の値を小さくすることができる。
【0073】
第3実施形態の半導体発光装置10は、第1実施形態の利点(1-1)~(1-3)に加えて、以下の利点を有する。
(3-1)半導体発光素子22、スイッチング素子24、第1キャパシタ26、および第2キャパシタ32が、第1~第4配線部110,120,130,140を含む基板50上に実装されている。半導体発光素子22、スイッチング素子24、第1キャパシタ26、および第2キャパシタ32は、第1~第3配線部110,120,130およびワイヤ150,182によって互いに電気的に接続されている。これにより、単一パッケージ内に半導体発光装置10をモジュールとして構成することができるため、半導体発光素子22、スイッチング素子24、第1キャパシタ26、および第2キャパシタ32を相互に接続する配線の総配線長を短くすることができる。その結果、第1電流ループ20L内の寄生インダクタンス42の値および第3電流ループ30L2内の寄生インダクタンス44の値を小さくすることができる。
【0074】
(3-2)第1~第4配線部110,120,130,140は基板50内において互いに隣接する状態でレイアウトされている。これにより、半導体発光素子22、スイッチング素子24、第1キャパシタ26、および第2キャパシタ32を相互に接続する配線の配線間隔を短くすることができる。その結果、第1電流ループ20L内の寄生インダクタンス42の値および第3電流ループ30L2内の寄生インダクタンス44の値をより小さくすることができる。
【0075】
[変更例]
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、上記各実施形態および以下の各変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0076】
・
図17は、変更例の半導体発光装置10Bの概略回路図である。
図17の半導体発光装置10Bは、半導体発光素子22に並列に逆接続された保護ダイオード36を備えている。その他の構成は、第1実施形態の半導体発光装置10(
図1参照)と同じである。
【0077】
図17の構成では、保護ダイオード36は還流ダイオードとして機能する。保護ダイオード36のアノード端子36Aは半導体発光素子22のカソード端子22Bに接続されており、保護ダイオード36のカソード端子36Bは半導体発光素子22のアノード端子22Aに接続されている。このような保護ダイオード36は、半導体発光素子22に逆方向電流が流れて半導体発光素子22が破損することを抑制する。なお、この保護ダイオード36は、
図6に示される半導体発光装置10Aに設けられてもよいし、以下で説明する
図18に示される半導体発光装置10Cに設けられてもよい。
【0078】
・
図18は、他の変更例の半導体発光装置10Cの概略回路図である。
図18の半導体発光装置10Cは、第1実施形態の半導体発光装置10(
図1参照)と比較すると、第1電流回路20においてループ状に直列に接続される半導体発光素子22、スイッチング素子24、および第1キャパシタ26の配置(接続順序)が変更されている。このような配置の変更を除くその他の構成は、第1実施形態の半導体発光装置10と同じである。
【0079】
図18の構成では、半導体発光素子22のアノード端子22Aは、スイッチング素子24の第2端子24B(
図18の例ではMOSFETのソース端子)に接続されている。スイッチング素子24の第1端子24A(
図18の例ではMOSFETのドレイン端子)は、第1キャパシタ26の第1端子26Aに接続されている。半導体発光素子22のカソード端子22Bは、第1キャパシタ26の第2端子26Bに接続されている。このように、半導体発光素子22、スイッチング素子24、および第1キャパシタ26が第1電流回路20においてループ状に直列に接続される構成であれば、その配置(接続順序)は限定されない。このような
図18の構成でも、上記第1実施形態と同様な利点が得られる。
【0080】
・
図19は、他の変更例の半導体発光装置10Dの概略回路図である。
図18の場合と同様に、
図19の半導体発光装置10Dでも、第1電流回路20においてループ状に直列に接続される半導体発光素子22、スイッチング素子24、および第1キャパシタ26の配置(接続順序)が変更されている。これに加えて、半導体発光装置10Dは、半導体発光素子22に並列に逆接続された保護ダイオード38をさらに備えている。この保護ダイオード38は、半導体発光素子22に逆方向電流が流れることを抑制する役割を果たす。加えて、保護ダイオード38は、スイッチング素子24がオフ状態にあるときに定電圧源12の電圧に基づいた電流を第1キャパシタ26に流して第1キャパシタ26を充電する充電ダイオードとしての役割を果たす。その他の構成は、第1実施形態の半導体発光装置10(
図1参照)と同じである。
【0081】
図19の構成では、半導体発光素子22と第1キャパシタ26が直列に接続されて直列回路を形成し、この直列回路にスイッチング素子24が並列に接続されている。第1キャパシタ26の第1端子26Aは、半導体発光素子22のアノード端子22Aに接続されている。半導体発光素子22のカソード端子22Bは、スイッチング素子24の第1端子24A(
図19の例ではMOSFETのドレイン端子)に接続されている。スイッチング素子24の第2端子24B(
図19の例ではMOSFETのソース端子)は、第1キャパシタ26の第2端子26Bに接続されている。保護ダイオード38のアノード端子38Aは半導体発光素子22のカソード端子22Bに接続されており、保護ダイオード38のカソード端子38Bは半導体発光素子22のアノード端子22Aに接続されている。この構成では、スイッチング素子24がオフ状態にあるとき、定電圧源12の電圧に応じた電流が保護ダイオード38を介して第1キャパシタ26に流れることで、第1キャパシタ26が充電される。また、
図17の保護ダイオード36と同様に、保護ダイオード38は、半導体発光素子22に逆方向電流が流れて半導体発光素子22が破損することを抑制する。したがって、
図19の構成では、上記第1実施形態と同様な利点とともに
図17の構成の利点が得られる。
【0082】
・
図6に示される半導体発光装置10Aに設けられる抵抗34を、
図17~
図19に示される半導体発光装置10B~10Dに設けてもよい。
・第3実施形態で説明した配線レイアウト(第1~第4配線部110,120,130,140の配置)、各配線部110,120,130,140の配線形状、および配線部の数は、
図12~
図16に示されたものに必ずしも限定されない。例えば、第4配線部140の第5アイランド142は、第1配線部110の第2アイランド114にのみ隣接し、第1配線部110の第1アイランド112に隣接しないような配線形状および配線レイアウトでもよい。さらには、半導体発光素子22、スイッチング素子24、第1キャパシタ26、および第2キャパシタ32の搭載位置についても、
図12~
図16に示されたものに必ずしも限定されない。
【0083】
・第3実施形態では、半導体発光素子22、スイッチング素子24、第1キャパシタ26、および第2キャパシタ32のすべてを単一パッケージ内において基板50上に搭載したが、これらの電子部品のうちの一部を外付けとしてもよい。例えば、第1キャパシタ26を外付けとしたり、第2キャパシタ32を外付けとしたり、または第1キャパシタ26および第2キャパシタ32の双方を外付けとしたりしてもよい。第2キャパシタ32を外付けとする場合は、第3電流ループ30L2内の寄生インダクタンス44の値が第1電流ループ20L内の寄生インダクタンス42の値の2倍以下となるように第3電流ループ30L2の配線経路(例えば、配線長さなど)を考慮する。寄生インダクタンス42,44がこのような関係を満たすことで、第2キャパシタ32を設けることによる出力立ち上がり特性の改善効果を良好に維持することができる。
【0084】
・上記各実施形態および上記各変形例において、半導体発光素子22は、VCSELに限定されず、他の半導体レーザダイオードであってもよいし、LEDであってもよい。
・上記各実施形態および上記各変形例において、スイッチング素子24は、MOSFETに限定されず、バイポーラトランジスタであってもよい。
【0085】
本開示で使用される「~上に」という用語は、文脈によって明らかにそうでないことが示されない限り、「~上に」と「~の上方に」の意味を含む。したがって、例えば、「第1要素が第2要素上に実装される」という表現は、或る実施形態では第1要素が第2要素に接触して第2要素上に直接配置され得るが、他の実施形態では第1要素が第2要素に接触することなく第2要素の上方に配置され得ることが意図される。すなわち、「~上に」という用語は、第1要素と第2要素との間に他の要素が形成される構造を排除しない。
【0086】
本開示で使用されるZ軸方向は必ずしも鉛直方向である必要はなく、鉛直方向に完全に一致している必要もない。したがって、本開示による種々の構造(例えば、
図9に示される構造)は、本明細書で説明されるZ軸方向の「上」および「下」が鉛直方向の「上」および「下」であることに限定されない。例えば、X軸方向が鉛直方向であってもよく、またはY軸方向が鉛直方向であってもよい。
【0087】
[付記]
上記各実施形態および各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。なお、各付記に記載された構成要素に対応する実施形態の構成要素の符号を括弧書きで示す。符号は、理解の補助のために例として示すものであり、各付記に記載された構成要素は、符号で示される構成要素に限定されるべきではない。
【0088】
(付記A1)
ループ状に直列に接続された半導体発光素子(22)、スイッチング素子(24)、および第1キャパシタ(26)と、
前記半導体発光素子(22)に並列に接続された第2キャパシタ(32)と、
を備える半導体発光装置(10;10A;10B;10C;10D)。
【0089】
(付記A2)
前記第1キャパシタ(26)は、前記半導体発光素子(22)と前記スイッチング素子(24)との直列回路に並列に接続されている、付記A1に記載の半導体発光装置(10;10A;10B;10C)。
【0090】
(付記A3)
前記半導体発光素子(22)は、アノード端子(22A)とカソード端子(22B)とを含み、
前記スイッチング素子(24)は、前記カソード端子(22B)に接続された第1端子(24A)と、第2端子(24B)と、前記スイッチング素子(24)をオンオフする制御電圧が印加される制御端子(24C)とを含み、
前記第1キャパシタ(26)は、前記半導体発光素子(22)の前記アノード端子(22A)に接続された第1端子(26A)と、前記スイッチング素子(24)の前記第2端子(24B)に接続された第2端子(26B)とを含み、
前記第2キャパシタ(32)は、前記半導体発光素子(22)の前記アノード端子(22A)に接続された第1端子(32A)と、前記半導体発光素子(22)の前記カソード端子(22B)に接続された第2端子(32B)とを含む、付記A2に記載の半導体発光装置(10;10A;10B)。
【0091】
(付記A4)
前記半導体発光素子(22)に並列に逆接続された保護ダイオード(36;38)をさらに備える付記A1~A3のうちのいずれか一つに記載の半導体発光装置(10B;10D)。
【0092】
(付記A5)
前記スイッチング素子(24)は、前記半導体発光素子(22)と前記第1キャパシタ(26)との直列回路に並列に接続されており、
前記半導体発光素子(22)に並列に逆接続された保護ダイオード(38)を備える付記A1に記載の半導体発光装置(10D)。
【0093】
(付記A6)
前記半導体発光素子(22)は、アノード端子(22A)とカソード端子(22B)とを含み、
前記第1キャパシタ(26)は、前記アノード端子(22A)に接続された第1端子(26A)と、第2端子(26B)とを含み、
前記スイッチング素子(24)は、前記半導体発光素子(22)の前記カソード端子(22B)に接続された第1端子(24A)と、前記第1キャパシタ(26)の前記第2端子(26B)に接続された第2端子(24B)と、前記スイッチング素子(24)をオンオフする制御電圧が印加される制御端子(24C)とを含み、
前記第2キャパシタ(32)は、前記半導体発光素子(22)の前記カソード端子(22B)に接続された第1端子(32A)と、前記半導体発光素子(22)の前記アノード端子(22A)に接続された第2端子(32B)とを含み、
前記保護ダイオード(38)は、前記半導体発光素子(22)の前記カソード端子(22B)に接続されたアノード端子(38A)と、前記半導体発光素子(22)の前記アノード端子(22A)に接続されたカソード端子(38B)とを含む、付記A5に記載の半導体発光装置(10D)。
【0094】
(付記A7)
前記半導体発光素子(22)は、アノード端子(22A)とカソード端子(22B)とを含み、
前記スイッチング素子(24)は、第1端子(24A)と、前記アノード端子(22A)に接続された第2端子(24B)と、前記スイッチング素子(24)をオンオフする制御電圧が印加される制御端子(24C)とを含み、
前記第1キャパシタ(26)は、前記スイッチング素子(24)の前記第1端子(24A)に接続された第1端子(26A)と、前記半導体発光素子(22)の前記カソード端子(22B)に接続された第2端子(26B)とを含み、
前記第2キャパシタ(32)は、前記半導体発光素子(22)の前記アノード端子(22A)に接続された第1端子(32A)と、前記半導体発光素子(22)の前記カソード端子(22B)に接続された第2端子(32B)とを含む、付記A1またはA2に記載の半導体発光装置(10C)。
【0095】
(付記A8)
前記第2キャパシタ(32)の容量値が前記第1キャパシタ(26)の容量値の1/100以下に設定されている、付記A1~A7のうちのいずれか一つに記載の半導体発光装置(10;10A;10B;10C;10D)。
【0096】
(付記A9)
前記第1キャパシタ(26)の容量値が10nF以上10μF以下に設定されており、
前記第2キャパシタ(32)の容量値が50pF以上10nF以下に設定されている、付記A1~A8のうちのいずれか一つに記載の半導体発光装置(10;10A;10B;10C;10D)。
【0097】
(付記A10)
前記第2キャパシタ(32)に並列に接続された抵抗(34)をさらに備える付記A1~A9のうちのいずれか一つに記載の半導体発光装置(10A)。
【0098】
(付記A11)
前記抵抗(34)の抵抗値が200Ω以上10kΩ以下に設定される、付記A10に記載の半導体発光装置(10A)。
【0099】
(付記A12)
前記半導体発光素子(22)および前記第2キャパシタ(32)によって形成される電流ループ(30L2)内の寄生インダクタンス(44)の値が、前記半導体発光素子(22)、前記スイッチング素子(24)、および前記第1キャパシタ(26)によって形成される電流ループ(20L)内の寄生インダクタンス(42)の値の2倍以下に設定されている、付記A1~A11のうちのいずれか一つに記載の半導体発光装置(10;10A;10B;10C;10D)。
【0100】
(付記A13)
前記半導体発光素子(22)が垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)である、付記A1~A12のうちのいずれか一つに記載の半導体発光装置(10;10A;10B;10C;10D)。
【0101】
(付記A14)
前記半導体発光素子(22)が発光ダイオード(LED)である、付記A1~A12のうちのいずれか一つに記載の半導体発光装置(10;10A;10B;10C;10D)。
【0102】
(付記A15)
前記スイッチング素子(24)が金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である、付記A1~A14のうちのいずれか一つに記載の半導体発光装置(10;10A;10B;10C;10D)。
【0103】
(付記A16)
前記スイッチング素子(24)がバイポーラトランジスタである、付記A1~A14のうちのいずれか一つに記載の半導体発光装置(10;10A;10B;10C;10D)。
【0104】
(付記A17)
複数の配線部(110,120,130,140)を含む基板(50)を備え、
前記半導体発光素子(22)、前記スイッチング素子(24)、前記第1キャパシタ(26)、および前記第2キャパシタ(32)は前記複数の配線部(110,120,130,140)によって互いに電気的に接続される、付記A1~A16のうちのいずれか一つに記載の半導体発光装置(10)。
【0105】
(付記A18)
前記複数の配線部(110,120,130,140)は、
互いに連続した第1アイランド(112)および第2アイランド(114)を含む第1配線部(110)と、
前記第1アイランド(112)に隣接して配置された第3アイランド(122)を含む第2配線部(120)と、
前記第2アイランド(114)に隣接して配置されるとともに前記第3アイランド(122)に隣接して配置された第4アイランド(132)を含む第3配線部(130)と、を含み、
前記半導体発光素子(22)は、前記第1アイランド(112)上に配置され、
前記スイッチング素子(24)は、前記第2アイランド(114)上に配置され、
前記第2キャパシタ(32)は、前記第1アイランド(112)と前記第3アイランド(122)とに跨がって配置され、
前記第1キャパシタ(26)は、前記第3アイランド(122)と前記第4アイランド(132)とに跨がって配置されている、付記A17に記載の半導体発光装置(10)。
【0106】
(付記A19)
前記複数の配線部(110,120,130,140)は、第5アイランド(142)を含む第4配線部(140)を含み、前記第5アイランド(142)は、前記第4アイランド(132)と前記第5アイランド(142)との間に前記第2アイランド(114)が位置するように前記第2アイランド(114)に隣接して配置されており、
前記半導体発光素子(22)は、第1ワイヤ(150)によって前記第3アイランド(122)に接続された第1電極(82)と、第1接合部(152)によって前記第1アイランド(112)に接合された第2電極(84)とを含み、
前記第2キャパシタ(32)は、第2接合部(160)によって前記第3アイランド(122)に接合された第1電極(92)と、第3接合部(162)によって前記第1アイランド(112)に接合された第2電極(94)とを含み、
前記第1キャパシタ(26)は、第4接合部(170)によって前記第3アイランド(122)に接合された第1電極(96)と、第5接合部(172)によって前記第4アイランド(132)に接合された第2電極(98)とを含み、
前記スイッチング素子(24)は、第6接合部(180)によって前記第2アイランド(114)に接合された第1電極(102)と、第1ワイヤ(182)によって前記第4アイランド(132)に接続された第2電極(104)と、第2ワイヤ(184)によって前記第5アイランド(142)に接続された第3電極(106)とを含む、付記A18に記載の半導体発光装置(10)。
【0107】
(付記A20)
前記半導体発光素子(22)、前記スイッチング素子(24)、前記第1キャパシタ(26)、および前記第2キャパシタ(32)を収容し、前記基板(50)の厚さ方向に開口する開口部(64A)を有するケース(60)と、
前記ケース(60)の前記開口部(64A)を覆う透光性の光拡散板(70)と、
を備える付記A11~A19のうちいずれか一つに記載の半導体発光装置(10;10A;10B;10C;10D)。
【0108】
(付記B1)
半導体発光素子(22)、スイッチング素子(24)、および第1キャパシタ(26)を含む第1電流回路(20)と、
前記半導体発光素子(22)に並列に接続された第2キャパシタ(32)を含む第2電流回路(30)と、を備え、
前記スイッチング素子(24)のオン状態で前記第2キャパシタ(32)の電圧が前記スイッチング素子(24)の閾値電圧以上のとき、前記第1電流回路(20)は、前記半導体発光素子(22)、前記スイッチング素子(24)、および前記第1キャパシタ(26)による第1電流ループ(20L)を形成し、
前記スイッチング素子(24)のオン状態で前記第2キャパシタ(32)の電圧が前記スイッチング素子(24)の閾値電圧未満のとき、前記第1電流回路(20)および前記第2電流回路(30)は、前記第1キャパシタ(26)、前記第2キャパシタ(32)、および前記スイッチング素子(24)による第2電流ループ(30L1)を形成し、
前記スイッチング素子(24)のオフ状態で、前記第1電流回路(20)および前記第2電流回路(30)は、前記半導体発光素子(22)および前記第2キャパシタ(32)による第3電流ループ(30L2)を形成する、半導体発光装置(10;10A;10B;10C;10D)。
【0109】
以上の説明は単に例示である。本開示の技術を説明する目的のために列挙された構成要素および方法(製造プロセス)以外に、より多くの考えられる組み合わせおよび置換が可能であることを当業者は認識し得る。本開示は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲内に含まれるすべての代替、変形、および変更を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0110】
10,10A,10B,10C,10D…半導体発光装置
20…第1電流回路
20L…第1電流ループ
22…半導体発光素子
24…スイッチング素子
26…第1キャパシタ
30…第2電流回路
30L1…第2電流ループ
30L2…第3電流ループ
32…第2キャパシタ
34…抵抗
36…保護ダイオード
38…保護ダイオード
42…寄生インダクタンス
44…寄生インダクタンス
50…基板
60…ケース
64A…開口部
70…光拡散板
110…第1配線部
112…第1アイランド
114…第2アイランド
120…第2配線部
122…第3アイランド
130…第3配線部
132…第4アイランド
140…第4配線部
142…第5アイランド