IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コベルコ建機株式会社の特許一覧

特開2022-137843クローラユニット、下部走行体及び建設機械
<>
  • 特開-クローラユニット、下部走行体及び建設機械 図1
  • 特開-クローラユニット、下部走行体及び建設機械 図2
  • 特開-クローラユニット、下部走行体及び建設機械 図3
  • 特開-クローラユニット、下部走行体及び建設機械 図4
  • 特開-クローラユニット、下部走行体及び建設機械 図5
  • 特開-クローラユニット、下部走行体及び建設機械 図6
  • 特開-クローラユニット、下部走行体及び建設機械 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137843
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】クローラユニット、下部走行体及び建設機械
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/74 20060101AFI20220914BHJP
   B62D 55/06 20060101ALI20220914BHJP
   B62D 55/10 20060101ALI20220914BHJP
   B60R 3/02 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
B66C23/74 C
B62D55/06
B62D55/10 Z
B60R3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037529
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(72)【発明者】
【氏名】山本 大二郎
【テーマコード(参考)】
3D022
3F205
【Fターム(参考)】
3D022AA02
3D022AC10
3D022AD01
3D022AE10
3D022AE21
3F205AA07
3F205GA02
(57)【要約】
【課題】本発明は、クローラウエイトの取扱性に優れるクローラユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一態様に係るクローラユニットは、クローラと、このクローラが装着されているクローラフレームと、このクローラフレームの側面に配置されるクローラウエイトとを備え、上記クローラウエイトが、平面視で上記クローラと重なり合う位置に収まるように上記クローラフレームの側面から水平方向に突出する第1部材と、上記第1部材の先端側に、上記第1部材に対して揺動可能に接続される第2部材とを有し、上記第2部材が、平面視で上記クローラよりも外側に突出する第1位置と、平面視で上記クローラと重なり合う第2位置とで保持可能に構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローラと、このクローラが装着されているクローラフレームと、このクローラフレームの側面に配置されるクローラウエイトとを備え、
上記クローラウエイトが、
平面視で上記クローラと重なり合う位置に収まるように上記クローラフレームの側面から水平方向に突出する第1部材と、
上記第1部材の先端側に、上記第1部材に対して揺動可能に接続される第2部材と
を有し、
上記第2部材が、平面視で上記クローラよりも外側に突出する第1位置と、平面視で上記クローラと重なり合う第2位置とで保持可能に構成されているクローラユニット。
【請求項2】
上記第2部材が上記第1位置に保持されている状態で、上記クローラウエイトの重心が平面視で上記クローラよりも外側に位置する請求項1に記載のクローラユニット。
【請求項3】
上記第2部材が昇降用のステップ台を兼ねる請求項1又は請求項2に記載のクローラユニット。
【請求項4】
上記第1部材及び上記第2部材がそれぞれ板状であり、上記第2位置において上記第2部材が上記第1部材に折り重ねられる請求項1、請求項2又は請求項3に記載のクローラユニット。
【請求項5】
上記クローラウエイトが、吊り上げによって上記クローラフレームから取り外し可能に設けられている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のクローラユニット。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のクローラユニットを備える下部走行体。
【請求項7】
請求項6に記載の下部走行体を備える建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローラユニット、下部走行体及び建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
車幅方向に離間して配置される一対のクローラユニットを有する下部走行体と、この下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、この上部旋回体に取り付けられるアタッチメントとを備える建設機械が広く用いられている。
【0003】
上記クローラユニットは、前後方向に延びるクローラフレームと、クローラフレームの前後方向の一方側の端部に配置される駆動ローラと、クローラフレームの前後方向の他方側の端部に配置される従動ローラと、クローラフレームの下端側で前後方向に間隔を空けて配置される複数の下部ローラと、クローラフレームの上端側で前後方向に間隔を空けて配置される複数の上部ローラと、駆動ローラ、従動ローラ、下部ローラ及び上部ローラに掛け渡されるクローラとを有する。駆動ローラには、この駆動ローラに駆動力を伝達するための駆動機構が接続されている。
【0004】
この建設機械は、下部走行体に対して上部旋回体を所望の角度で旋回させた状態で作業を行うよう構成されている。一方で、上記駆動機構は、油圧モータ、減速機等の重量物を含んでいるため、下部走行体の重心位置は、前後方向の中央よりも上記駆動機構が配置されている側にシフトする。そのため、この建設機械は、上記駆動機構が配置されている側にアタッチメントが位置する状態で作業を行うと、重量バランスが損なわれる。
【0005】
このような観点から、下部走行体の重心が前後方向の中央に位置するように、クローラフレームに重心調整用のクローラウエイトを取り付ける技術が発案されている(特開2018-70339号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-70339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記公報に記載されているクローラウエイトは、全体として直方体状である。このクローラウエイトは、クローラフレームに着脱可能に構成されており、作業前に装着することで、建設機械の作業時における下部走行体の重心位置を調整することができる。
【0008】
しかしながら、本発明者が鋭意検討したところ、上記公報に記載されているクローラウエイトは、装着時等における取扱性の観点でさらなる改良の余地があることが分かった。
【0009】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、クローラウエイトの取扱性に優れるクローラユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係るクローラユニットは、クローラと、このクローラが装着されているクローラフレームと、このクローラフレームの側面に配置されるクローラウエイトとを備え、上記クローラウエイトが、平面視で上記クローラと重なり合う位置に収まるように上記クローラフレームの側面から水平方向に突出する第1部材と、上記第1部材の先端側に、上記第1部材に対して揺動可能に接続される第2部材とを有し、上記第2部材が、平面視で上記クローラよりも外側に突出する第1位置と、平面視で上記クローラと重なり合う第2位置とで保持可能に構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様に係るクローラユニットは、クローラウエイトの取扱性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る建設機械を示す模式的側面図である。
図2図2は、図1の建設機械の下部走行体を示す模式的斜視図である。
図3図3は、図2の下部走行体における第2部材が第1位置に保持された状態でのクローラとクローラウエイトとの位置関係を示すIII-III線断面図である。
図4図4は、図2の下部走行体における第2部材が第1位置に保持された状態でのクローラとクローラウエイトとの位置関係を示す模式的平面断面図である。
図5図5は、クローラウエイトの第2部材が第2位置に保持された状態におけるクローラとクローラウエイトとの位置関係を示す図3に対応する断面図である。
図6図6は、クローラウエイトの第2部材が第2位置に保持された状態におけるクローラとクローラウエイトとの位置関係を示す図4に対応する模式的平面断面図である。
図7図7は、クローラフレームからクローラウエイトを取り外す手順を示す図3に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0014】
本発明の一態様に係るクローラユニットは、クローラと、このクローラが装着されているクローラフレームと、このクローラフレームの側面に配置されるクローラウエイトとを備え、上記クローラウエイトが、平面視で上記クローラと重なり合う位置に収まるように上記クローラフレームの側面から水平方向に突出する第1部材と、上記第1部材の先端側に、上記第1部材に対して揺動可能に接続される第2部材とを有し、上記第2部材が、平面視で上記クローラよりも外側に突出する第1位置と、平面視で上記クローラと重なり合う第2位置とで保持可能に構成されている。
【0015】
当該クローラユニットは、上記第2部材を揺動することで、上記クローラウエイトが平面視で上記クローラよりも外側に突出する状態と、上記クローラウエイトが平面視で上記クローラと重なり合う位置に収まっている状態とに容易に変形することができる。そのため、当該クローラユニットは、クローラウエイトの取扱性に優れる。
【0016】
上記第2部材が上記第1位置に保持されている状態で、上記クローラウエイトの重心が平面視で上記クローラよりも外側に位置するとよい。このように、上記第2部材が上記第1位置に保持されている状態で、上記クローラウエイトの重心が平面視で上記クローラよりも外側に位置することによって、上記クローラウエイトを吊り上げる際に上記クローラが吊り上げ作業の妨げとなり難い。また、この構成によると、当該クローラユニットの車幅方向における安定性を高めやすい。
【0017】
上記第2部材が昇降用のステップ台を兼ねるとよい。上記第2部材は、上記第1位置において上記クローラの端縁を超えて水平方向外側に突出するので、昇降用のステップ台として機能するよう設けることが好ましい。
【0018】
上記第1部材及び上記第2部材がそれぞれ板状であり、上記第2位置において上記第2部材が上記第1部材に折り重ねられるとよい。このように、上記第1部材及び上記第2部材がそれぞれ板状であり、上記第2位置において上記第2部材が上記第1部材に折り重ねられることによって、上記第2部材を上記第1部材に対して容易に揺動することができると共に、上記第2部材を上記第2位置で容易かつ確実に保持することができる。
【0019】
上記クローラウエイトが、吊り上げによって上記クローラフレームから取り外し可能に設けられているとよい。このように、上記クローラウエイトが、吊り上げによって上記クローラフレームから取り外し可能に設けられていることによって、上記クローラウエイトを上記クローラフレームに対して容易に着脱することができる。
【0020】
本発明の他の一態様に係る下部走行体は、当該クローラユニットを備える。
【0021】
当該下部走行体は、当該クローラユニットを備えるので、クローラウエイトの取扱性に優れる。
【0022】
本発明の他の一態様に係る建設機械は、当該下部走行体を備える。
【0023】
当該建設機械は、当該下部走行体を備えるので、クローラウエイトの取扱性に優れる。
【0024】
なお、本発明において、「水平方向」とは、クローラユニットを水平面に接地した状態における水平方向を意味する。「クローラフレームの側面」とは、クローラフレームの車幅方向における内側の面又は外側の面を意味する。「平面視でクローラよりも外側に突出する」とは、平面視でクローラと重なり合わない位置まで突出することを意味する。「車幅方向」とは、通常の走行時(前進時)の走行方向を「前」とし、その反対方向を「後」とした場合における前後方向に対する左右方向を意味する。
【0025】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0026】
[建設機械]
図1の建設機械10は、下部走行体1と、下部走行体1上に水平回転可能に搭載される上部旋回体2と、上部旋回体2に取り付けられるアタッチメント3とを備える。アタッチメント3の具体的な構成としては、特に限定されるものではない。図1では、アタッチメント3は、上部旋回体2に起伏可能に取り付けられている起伏部材3aと、吊りロープ3bを介して起伏部材3aの先端側から吊り下げられるフック3cとを有する。図1において、当該建設機械10は、クローラクレーンである。
【0027】
[下部走行体]
図2に示すように、下部走行体1は、カーボディ11と、カーボディ11の車幅方向の両側に配置される一対のクローラユニット12とを有する。また、下部走行体1は、カーボディ11に対してクローラユニット12を車幅方向に拡縮する伸縮シリンダ13と、伸縮シリンダ13の前後に配置され、カーボディ11とクローラユニット12とを接続するアクスル14とを有する(図2では、一方のクローラユニット12のみが縮幅している状態を示している)。伸縮シリンダ13としては、例えば油圧シリンダが挙げられる。伸縮シリンダ13は、車幅方向に延びている。伸縮シリンダ13は、その長手方向に伸縮することで、クローラユニット12を車幅方向に拡縮させる。伸縮シリンダ13は、平面視で上部旋回体2の旋回中心から車幅方向外側に突出するように構成されている。伸縮シリンダ13は、クローラユニット12の前後方向の中央部分に接続されている。
【0028】
[クローラユニット]
当該クローラユニット12は、クローラ21と、クローラ21が装着されているクローラフレーム22と、クローラフレーム22の側面に配置されるクローラウエイト23とを備える。また、当該クローラユニット12は、クローラフレーム22の前後方向の一方側の端部に配置される駆動ローラ24aと、クローラフレーム22の前後方向の他方側の端部に配置される従動ローラ24bと、クローラフレーム22の下端側で前後方向に間隔を空けて配置される複数の下部ローラ24cと、クローラフレーム22の上端側で前後方向に間隔を空けて配置される複数の上部ローラ24dと、駆動ローラ24aを駆動する駆動機構25とを有する。クローラ21は、駆動ローラ24a、従動ローラ24b、複数の下部ローラ24c及び複数の上部ローラ24dの周囲に掛け渡されている。クローラ21は、複数のクローラシューが無端状に接続されて構成されている。駆動機構25は、走行モータ及びこの走行モータの回転力を減速する減速機を含む。駆動機構25は、駆動ローラ24aに近接して又は駆動ローラ24aと一体的に配置されている。
【0029】
(クローラウエイト)
図3から図7を参照して、クローラウエイト23について説明する。クローラウエイト23は、建設機械10のクレーン作業の安定化を図るためのカーボディウエイトとして機能する。また、クローラウエイト23は、クローラユニット12の重心がクローラユニット12の前後方向の中央部分に位置するように重心位置を調整するための重心調整装置として機能させることもできる。上述のように、クローラユニット12は、駆動ローラ24aを駆動するための駆動機構25を有している。この駆動機構25は、走行モータ、減速機等の重量物を含んでいる。そのため、クローラユニット12の前後方向における重心位置は、前後方向の中央を基準として駆動機構25側にシフトしやすい。クローラウエイト23を上記重心調整装置として機能させる場合、クローラウエイト23は、駆動機構25側にシフトした重心位置をクローラユニット12の前後方向中央部分に戻すよう、クローラユニット12の前後方向中央を基準として駆動機構25が配置される側と反対側に配置される。
【0030】
当該クローラユニット12が上記重心調整装置として機能する場合、クローラウエイト23によって重心位置が前後方向の中央部分に調整される結果、伸縮シリンダ13による拡縮を安全かつ確実に行うことができる。つまり、クローラユニット12の重心が前後方向中央部分から離れていると、伸縮シリンダ13を伸縮させた際にクローラユニット12を車幅方向に精度よく拡縮し難くなる。この場合、クローラフレーム22とアクスル14とが干渉して、クローラフレーム22及びアクスル14が破損するおそれが高くなる。また、クローラユニット12の重心が前後方向中央部分から離れている場合に、仮に伸縮シリンダ13をクローラユニット12の重心に対応する位置に接続すると、クローラユニット12が前方又は後方に大きく突出することになり、当該建設機械10の作業の効率性や安全性が損なわれるおそれが高くなる。これに対し、当該クローラユニット12は、クローラウエイト23によって重心位置が前後方向の中央部分に調整され、かつこの中央部分に伸縮シリンダ13が接続されていることで、作業の効率性や安全性を確保しつつ、伸縮シリンダ13による拡縮を安全かつ確実に行うことができる。
【0031】
クローラウエイト23は、クローラユニット12の重心位置を調整できるだけの重量を有する錘である。クローラウエイト23の重さとしては、クローラユニット12の具体的な構成にもよるが、例えば100kg以上であり、200kg以上であってもよい。
【0032】
クローラウエイト23は、平面視でクローラ21と重なり合う位置に(本実施形態においてはクローラ21の車幅方向外側の端縁21aよりも内側に収まるように)クローラフレーム22の側面22aから水平方向に突出する第1部材31と、第1部材31の先端側に、第1部材31に対して揺動可能に接続される第2部材32とを有する。第2部材32は、第1部材31に対して上下方向に揺動可能に構成されている。図3及び図4に示すように、第2部材32は、平面視でクローラ21よりも外側(本実施形態においてはクローラ21の車幅方向外側の端縁21aよりも外側)に突出する第1位置P1に保持可能に構成されている。第1位置P1において、第2部材32は、水平方向に突出している。また、図5及び図6に示すように、第2部材32は、平面視でクローラ21と重なり合う第2位置P2に保持可能に構成されている。第2部材32は、第1位置P1と第2位置P2との間を揺動可能に構成されている。図3に示すように、クローラウエイト23は、第2部材32を第1位置P1で固定するための固定部材40を有する。
【0033】
図4に示すように、クローラウエイト23は、第2部材32が第1位置P1に保持されている状態で、全体の重心Gが平面視でクローラ21よりも外側に位置する。より詳しくは、第2部材32が第1位置P1に保持されている状態で、クローラウエイト23の重心Gは第2部材32の基端側(第1部材31と接続される側)に位置している。当該クローラユニット12は、クローラウエイト23全体の重心Gが平面視でクローラ21よりも外側に位置することで、クローラウエイト23を吊り上げる際にクローラ21が吊り上げ作業の妨げとなり難い。より詳しくは、クローラウエイト23を吊り上げる際には、吊り上げ時のバランスを保てるように重心Gを挟む位置にワイヤロープ等の紐部材を接続して吊り上げることが望まれる。一方で、重心Gの上方にクローラ21が存在していると、クローラ21が妨げとなって上記紐部材を所望の位置に接続し難い。これに対し、クローラウエイト23全体の重心Gが平面視でクローラ21よりも外側に位置していることで、重心Gを挟む位置で上記紐部材を容易に接続することができる。また、クローラウエイト23全体の重心Gが平面視でクローラ21よりも外側に位置することで、当該クローラユニット12の車幅方向における安定性を高めることができる。
【0034】
(第1部材)
第1部材31は板状である。より詳しくは、第1部材31は、板状かつ平面視矩形状の本体31aと、クローラフレーム22に接続される接続部33と、本体31aを水平方向に保持する保持部34と、第2部材32に連結される第1連結部35とを有する。
【0035】
接続部33は、本体31aの基端側の端面に配置されている。接続部33は、本体31aの幅方向の両側(前後方向の両側)に設けられている。接続部33の具体的な構成としては、特に限定されるものではないが、例えばフック、リング片等が挙げられる。接続部33は、例えばクローラフレーム22の側面22aに配置された軸部材22bに係合されることで、本体31aをクローラフレーム22に対して揺動可能に接続する。より詳しくは、接続部33は、クローラフレーム22の側面22aと離間して前後方向に延びる軸部材22bに係合されることで、本体31aをクローラフレーム22に対して上下方向に揺動可能に接続する。
【0036】
保持部34は、本体31aがクローラフレーム22の側面22aに対して揺動するのを防止する。保持部34は本体31aと一体的に設けられていてもよく、本体31aに着脱可能に設けられていてもよい。保持部34は、本体31aの基端側の端面から突出している。より具体的には、保持部34は、本体31aの基端側の端面における一対の接続部33に挟まれる位置から突出している。保持部34の突出方向先端側の端面は、クローラフレーム22の側面22aと当接する当接面34aである。保持部34は、当接面34aでクローラフレーム22の側面22aと面接触することで、本体31aがクローラフレーム22に対して揺動することを防止する。
【0037】
第1連結部35は、本体31aの先端側(クローラフレーム22に接続される側の反対側)の端面に配置されている。第1連結部35は、本体31aの幅方向の両側に設けられている。各第1連結部35は、本体31aの幅方向に並列に配置される一対の第1ブラケット35aを有する。一対の第1ブラケット35aには、同軸上に配置される第1貫通孔35bが設けられている。第1貫通孔35bの中心軸は、本体31aの幅方向と平行である。第1貫通孔35bには、軸部材38が挿入されている。また、一対の第1ブラケット35aには、第2部材32が第1位置P1に配置されている状態で固定部材40が挿入される第1係止孔35cが設けられている。
【0038】
第1部材31は、クローラフレーム22に着脱不能に構成されていてもよく、着脱可能に構成されていてもよい。第1部材31がクローラフレーム22に着脱可能に構成される場合、クローラウエイト23をクローラフレーム22から取り外すことで、クローラユニット12の重量を低減することができる。そのため、クローラウエイト23をクローラフレーム22から取り外しておくことで、クローラユニット12のトラック等による輸送が容易となる。
【0039】
第1部材31がクローラフレーム22に着脱可能に構成されている場合、第1部材31は、接続部33と軸部材22bとの係合を解除することで、第2部材32と共にクローラフレーム22に対して取り外し可能に構成されることが好ましい。接続部33が上述のフックである場合、第1部材31は、フックを軸部材22bから抜き出すことでクローラフレーム22から取り外される。なお、接続部33が上記フックである場合、接続部33は、軸部材22bに接続されている状態での意図しない外れを抑制するための抜け止め機構を有していることが好ましい。
【0040】
(第2部材)
第2部材32は板状である。より詳しくは、第2部材32は、板状かつ平面視矩形状の本体32aと、第1部材31に連結される第2連結部36と、本体32aの側面の対向位置から幅方向の外側に突出する複数の突出部(本体32aの基端側の対向位置から突出する一対の第1突出部37a及び本体32aの先端側の対向位置から突出する一対の第2突出部37b)とを有する。当該クローラユニット12は、第2部材32が板状であるので、第2部材32を第1部材31に対して容易に揺動することができる。
【0041】
第2連結部36は、本体32aの基端側の端面に配置されている。第2連結部36は、本体32aの幅方向の両側に設けられている。第2連結部36は、第1連結部35の一対の第1ブラケット35a間に配置される第2ブラケット36aを有する。第2ブラケット36aには、一対の第1ブラケット35a間に配置された状態で、一対の第1ブラケット35aに設けられている第1貫通孔35bと同軸上に配置される第2貫通孔(不図示)が設けられている。上記第2貫通孔には、上述の軸部材38が挿入されている。また、第2連結部36には、第2部材32が第1位置P1に配置されている状態で第1係止孔35cと同軸上に配置される第2係止孔(不図示)が設けられている。第1部材31と第2部材32とは、第1貫通孔35bと第2貫通孔とに軸部材38が挿入されることで、互いに接続されている。第2部材32は、軸部材38を揺動中心として、第1部材31に対して揺動可能に接続されている。
【0042】
一対の第1突出部37aは、第2部材32が第1位置P1に配置された状態でクローラウエイト23全体の重心Gを挟む位置に配置されている。一対の第1突出部37aは、クローラウエイト23を吊り上げによってクローラフレーム22から取り外す際にワイヤロープ等の紐部材が接続される被係止部である。第1突出部37aの具体的な構成としては、特に限定されるものではないが、例えば本体32aの幅方向外側に突出するピンとすることができる。
【0043】
図7を参照して、クローラウエイト23を吊り上げによってクローラフレーム22から取り外す手順について説明する。クローラウエイト23は、第2部材32が第1位置P1に保持された状態でクローラフレーム22から取り外される。クローラウエイト23の取り外しにあたっては、まず、一対の第1突出部37aにそれぞれ紐部材Xを接続する。そして、補助クレーン(不図示)等によって紐部材Xを鉛直上方に引き上げ、軸部材22bから接続部33を抜き出す。続いて、紐部材Xを車幅方向外側に移動させ、クローラウエイト23をクローラフレーム22の外側に移動する。
【0044】
従来のクローラウエイトは、全体として直方体状であり、クローラフレームの側面に沿うように配置される。そのため、従来のクローラウエイトをクローラフレームから取り外す際には、クローラウエイトが平面視でクローラよりも外側に突出するようにクローラウエイト全体を略90°揺動したうえで取り外すことを要する。これに対し、当該クローラユニット12は、第2部材32が第1位置P1に保持されている状態で、クローラウエイト23全体の重心Gが平面視でクローラ21よりも外側に位置しているので、クローラウエイト23を吊り上げによってクローラフレーム22から容易に取り外すことができる。また、当該クローラユニット12は、取り外し手順と逆の手順によって、クローラウエイト23をクローラフレーム22に容易に取り付けることができる。なお、クローラウエイト23を吊り上げる際には、紐部材Xをクローラウエイト23の幅方向の両側に2点ずつ接続してもよい。この場合、紐部材Xの接続部分を頂点とする四角形の重心とクローラウエイト23の全体の重心Gとが一致することが好ましい。
【0045】
一対の第2突出部37bは、第2部材32を第1位置P1と第2位置P2との間で揺動する際に紐部材Xに接続される被係止部である。第2突出部37bの具体的な構成としては、特に限定されるものではないが、例えば本体32aの幅方向外側に突出するピンとすることができる。第2部材32は、紐部材Xが一対の第2突出部37bに接続された状態で紐部材Xを車幅方向に移動させることで、第1位置P1と第2位置P2との間で揺動することができる。第2部材32は、第1位置P1から90°を超えて揺動すると、自重によって第1部材31側に折り畳まれる。この際、紐部材Xは、第2部材32を適度に支えていればよい。当該クローラユニット12によると、紐部材Xの位置を制御して第2部材32の配置を調整すること等を要しないので、第2部材32を第1位置P1と第2位置P2との間で揺動させることが容易である。
【0046】
第2部材32、より詳しくは第2部材32の本体32aは、昇降用のステップ台を兼ねている。従来のクローラウエイトは、全体として直方体状であり、クローラフレームの側面に沿うように配置される。そのため、従来のクローラウエイトは、昇降用のステップ台として機能し難い。これに対し、当該クローラユニット12では、第1位置P1に配置されている状態で、第2部材32がクローラ21の端縁21aを超えて水平方向外側に突出している。そのため、第2部材32は、昇降用のステップ台として好適に機能する。
【0047】
(固定部材)
図3に示すように、固定部材40は、第2部材32を第1位置P1に固定する。固定部材40は、第2部材32が第1位置P1に配置された状態で、第1連結部35の第1係止孔35c及び第2連結部36の第2係止孔を貫通するピンである。クローラウエイト23は、固定部材40を第1係止孔35c及び上記第2係止孔に挿入することで、第2部材32を第1位置P1で容易に固定することができる。また、クローラウエイト23は、第1係止孔35c及び上記第2係止孔から固定部材40を抜き出すことで、第2部材32を第1部材31に対して容易に揺動することができる。なお、第2連結部36には、第2部材32が第2位置P2に配置された状態で第1係止孔35cと重なる第3係止孔を設けていてもよい。この構成によると、第2部材32を第2位置P2に揺動した後に、第1係止孔35c及び上記第3係止孔に固定部材40を挿入することで、第2部材32を第2位置P2で固定することができる。また、固定部材40を第1係止孔35c及び上記第3係止孔に挿入しておくことで、固定部材40の紛失を抑制することができる。
【0048】
図5及び図6に示すように、第2位置P2において、第2部材32は第1部材31に折り重ねられている。より詳しくは、第2位置P2では、第2部材32の本体32aが第1部材31の本体31aの上面側に折り畳まれている。当該クローラユニット12は、第2部材32を第1部材31に折り重ねることで、第2部材32を第2位置P2で容易に保持することができる。
【0049】
<利点>
当該クローラユニット12は、第2部材32を揺動することで、クローラウエイト23が平面視でクローラ21よりも外側に突出している状態と、クローラウエイト23が平面視でクローラ21と重なり合う位置に収まっている状態とに容易に変形することができる。そのため、当該クローラユニット12は、クローラウエイト23の取扱性に優れる。
【0050】
従来のクローラウエイトは、全体として直方体状であり、クローラフレームの側面に沿うように配置されているため、クローラウエイトをクローラフレームから取り外す際には、まずクローラウエイト全体を略90°揺動することを要する。この際、紐部材による吊り上げによってクローラウエイト全体を揺動しようとすると、クローラが妨げとなってクローラウエイトの揺動を円滑に行い難い。これに対し、当該クローラユニット12をクローラフレーム22から取り外す際には、第2部材32を第1位置P1に保持しておけばよく、第1部材31及び第2部材32の両方を揺動させることを要しない。そのため、当該クローラユニット12は、クローラフレーム22に対する着脱性に優れている。
【0051】
当該下部走行体1は、当該クローラユニット12を備えるので、クローラウエイト23の取扱性に優れる。
【0052】
当該建設機械10は、当該クローラユニット12を備えるので、クローラウエイト23の取扱性に優れる。
【0053】
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0054】
例えば当該クローラユニットは、上記第1部材及び上記第2部材に加えて、上記第1部材と上記第2部材との間に配置され、又は上記第2部材の先端側に配置される他の部材を有していてもよい。
【0055】
当該クローラユニットの重心位置は特に限定されるものではない。当該クローラユニットは、上記第1部材と上記第2部材とに分割されているので、上記第1部材と上記第2部材とを同時に揺動させることを要しない。そのため、当該クローラユニットは、全体の重心位置が上記実施形態に記載の位置と相違している場合でも取扱性に優れる。
【0056】
上記第2部材は、昇降用のステップ台を兼ねていなくてもよい。また、上記第1部材及び上記第2部材の具体的な形状は、上記実施形態に記載の形状に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、第1部材の本体の基端側の端縁から突出する保持部によって第1部材が水平方向に保持される構成について説明した。但し、上記第1部材は、上記第2部材を上記第1位置で固定する固定部材と同様の部材を用いて水平方向に保持されるよう構成されてもよい。
【0057】
上記第2部材は、上記第2位置において、上記第1部材に折り重ねられていなくてもよい。例えば上記第2部材は、鉛直下方に垂れ下がった状態で保持されてもよい。
【0058】
上記クローラウエイトは、例えば上記第2部材が上記第1部材に対して着脱可能に設けられていてもよい。また、上記クローラウエイトが吊り上げによってクローラフレームから取り外し可能に設けられている場合であっても、上記紐部材に接続される被係止部の具体的な構成は特に限定されるものではない。上記被係止部は、例えば吊り孔であってもよい。
【0059】
上記クローラウエイトは、クローラフレームの車幅方向内側の側面に配置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の一態様に係るクローラユニットは、重心位置を調整するのに適している。
【符号の説明】
【0061】
1 下部走行体
2 上部旋回体
3 アタッチメント
3a 起伏部材
3b 吊りロープ
3c フック
10 建設機械
11 カーボディ
12 クローラユニット
13 伸縮シリンダ
14 アクスル
21 クローラ
21a 端縁
22 クローラフレーム
22a 側面
22b 軸部材
23 クローラウエイト
24a 駆動ローラ
24b 従動ローラ
24c 下部ローラ
24d 上部ローラ
25 駆動機構
31 第1部材
31a 本体
32 第2部材
32a 本体
33 接続部
34 保持部
34a 当接面
35 第1連結部
35a 第1ブラケット
35b 第1貫通孔
35c 第1係止孔
36 第2連結部
36a 第2ブラケット
37a 第1突出部
37b 第2突出部
38 軸部材
40 固定部材
P1 第1位置
P2 第2位置
G 重心
X 紐部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7