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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137846
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】注出口具
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/38 20060101AFI20220914BHJP
【FI】
B65D33/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037537
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】391003794
【氏名又は名称】押尾産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正昭
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正和
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064BA17
3E064BA26
3E064BA29
3E064BA30
3E064BA46
3E064BA55
3E064EA18
3E064FA04
3E064FA05
3E064HM01
3E064HN65
3E064HS04
(57)【要約】
【課題】ガスバリア部材の切り口が綺麗な注出口具を提供する。
【解決手段】注出口具1は、内部に流体を収容する袋状容器の開口部分に取り付けられるものである。注出口具1は、流体の流路を形成する注出部2と、注出部2との螺合により脱着可能に装着されるとともに注出部2の内周面に挿入される有底の蓋本体部41を有する蓋部4と、注出部2の下面32aから蓋本体部41の底面45aにかけて貼り付けられるシート体5とを備えている。注出部2及び蓋本体部41は、注出部2の下面32aの内周端Eiと蓋本体部41の底面45aの外周端Epとの間に隙間Gが形成されるように設けられている。第1方向の隙間Gの大きさは、第2方向の隙間Gの大きさよりも小さく設定されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体を収容する容器の開口部分に取り付けられる注出口具であって、
前記流体の流路を形成する筒状の注出部と、前記注出部との螺合により脱着可能に装着されるとともに前記注出部の内周面に挿入される有底の蓋本体部を有する蓋部と、前記注出部の下面から前記蓋本体部の底面にかけて貼り付けられるガスバリア部材とを備え、
前記注出部及び前記蓋本体部は、前記注出部の下面の内周端と前記蓋本体部の底面の外周端との間に隙間が形成されるように設けられていて、
前記注出部の下面及び前記蓋本体部の底面を見た場合に、前記蓋本体部の中心を含む仮想直線の延びる方向を第1方向とし、前記蓋本体部の中心を含む仮想直線の延びる方向であって前記第1方向とは異なる方向を第2方向とするとき、
前記第1方向の前記隙間の大きさは、前記第2方向の前記隙間の大きさよりも小さく設定されている注出口具。
【請求項2】
前記第1方向において、前記注出部の下面の内周端と前記蓋本体部の底面の外周端とは接触している請求項1に記載の注出口具。
【請求項3】
前記注出部は、筒本体部と、前記筒本体部の下部に前記筒本体部と一体に連なった取付部とを有し、
前記取付部は、前記筒本体部と一体に連なった取付本体部と、前記取付本体部から径方向の外側に突出する2つの張出部とを有し、
前記第1方向は、前記張出部が突出する方向と直交する方向である請求項1または2に記載の注出口具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に流体を収容する容器の開口部分に取り付けられる注出口具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装袋等の容器の開口部分に取り付けられる注出口具が知られている。注出口具は、容器内へ酸素等の外気が流入しないように構成されている。
例えば、特許文献1には、内部に流体の流路を形成するスパウトと、スパウトとの螺合により脱着自在に装着されたキャップとを備えた注出口具が開示されている。スパウトは、円筒状本体と、円筒状本体の下部に一体に連なった容器接合用筒とを有している。容器接合用筒は、円筒状本体に一体に連なった筒状基部と、筒状基部の外面から径方向外方に張り出している張出片を備えている。円筒状本体及び筒状基部の内部は、流体の流路を構成している。また、キャップは、円筒状本体及び筒状基部の内部に挿入されてスパウト内部の流路を閉塞する有底筒状の栓体を有している。
【0003】
こうした構造の注出口具では、円筒状本体の外面から内部へと流入した酸素は、円筒状本体の内部を軸方向に流れて容器内に流入する。特許文献1に記載される注出口具では、こうした酸素の流入を抑制するために、キャップの栓体の外周面とスパウトの筒状基部の内周面とを密着させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-90271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の注出口具に付与されたガスバリア機能は、注出口具を透過して容器内へ酸素が流入するおそれがあるため、十分とは言い難い。そこで、本発明者らは、栓体の下端及び容器接合用筒の下端にシート状のガスバリア部材を貼り付けた注出口具を開発した。
【0006】
容器の開封処理をする際には、キャップを回動操作することで、シート状のガスバリア部材を所定の位置で切り裂くことで、容器を開封する。容器の開封処理をするためにキャップの回動操作が開始されるタイミングに対して、ガスバリア部材の切り裂きが開始されるタイミングが遅くなると、ガスバリア部材が切り裂かれる前にガスバリア部材が伸び過ぎることがある。この場合、栓体や容器接合用筒のガスバリア部材の切り口に繊維状に伸びる切り裂かれ片が形成されることになる。これにより、伸び過ぎてから切り裂かれたガスバリア部材を有する注出口具では、そのガスバリア部材の切り口が綺麗ではなくなるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、内部に流体を収容する容器の開口部分に取り付けられる注出口具であって、前記流体の流路を形成する筒状の注出部と、前記注出部との螺合により脱着可能に装着されるとともに前記注出部の内周面に挿入される有底の蓋本体部を有する蓋部と、前記注出部の下面から前記蓋本体部の底面にかけて貼り付けられるガスバリア部材とを備え、前記注出部及び前記蓋本体部は、前記注出部の下面の内周端と前記蓋本体部の底面の外周端との間に隙間が形成されるように設けられていて、前記注出部の下面及び前記蓋本体部の底面を見た場合に、前記蓋本体部の中心を含む仮想直線の延びる方向を第1方向とし、前記蓋本体部の中心を含む仮想直線の延びる方向であって前記第1方向とは異なる方向を第2方向とするとき、前記第1方向の前記隙間の大きさは、前記第2方向の前記隙間の大きさよりも小さく設定されている。
【0008】
容器の開封処理をする際には、蓋部は注出部に対して回動操作されることによって上側に移動する。蓋部が注出部に対して上側に移動する場合、蓋部に貼り付けられたガスバリア部材は、注出部に貼り付けられたガスバリア部材に対して引き上げられることになる。この場合、ガスバリア部材には、注出部の下面の内周端を作用点として力が作用する。上記の構成によれば、第1方向の隙間の大きさが第2方向の隙間の大きさよりも小さく設定されている。このため、容器の開封処理をする際には、第1方向における蓋本体部の底面の外周端は、第2方向における蓋本体部の底面の外周端よりも、注出部の下面の内周端に対してより直上に位置することになる。したがって、第1方向における注出部の下面の内周端に貼り付けられたガスバリア部材は、第2方向における注出部の下面の内周端に貼り付けられたガスバリア部材よりも、より直上に向けて引き上げられつつ回動操作による捩れが作用することになる。この場合、容器の開封処理をする際に、注出部の下面の内周端を作用点としてガスバリア部材に作用する力を、当該内周端の周方向において異ならせることができる。これによって、容器の開封処理をするために蓋部の回動操作が開始されるタイミングに対して、ガスバリア部材の切り裂きが開始されるタイミングの遅延が抑えられるため、ガスバリア部材が切り裂かれる前にガスバリア部材が伸び過ぎることを抑えられる。ガスバリア部材が伸び過ぎる前にガスバリア部材を好適に切り裂くことができるため、切り裂かれたガスバリア部材の切り口を綺麗にすることができる。
【0009】
なお、容器の内部に収容される流体は、液体、粘性体に限らず、固体(固形物、顆粒、粉体等)も含む。
上記の構成において、前記第1方向において、前記注出部の下面の内周端と前記蓋本体部の底面の外周端とは接触していることが好ましい。
【0010】
上記の構成によれば、容器の開封処理をする際には、第1方向における蓋本体部の底面の外周端は、注出部の下面の内周端に対して直上に位置することになる。したがって、第1方向における注出部の下面の内周端に貼り付けられたガスバリア部材には、直上に向けて引き上げられつつ回動操作による捩れが作用することになる。
【0011】
上記の構成において、前記注出部は、筒本体部と、前記筒本体部の下部に前記筒本体部と一体に連なった取付部とを有し、前記取付部は、前記筒本体部と一体に連なった取付本体部と、前記取付本体部から径方向の外側に突出する2つの張出部とを有し、前記第1方向は、前記張出部が突出する方向と直交する方向であることが好ましい。
【0012】
上記の構成によれば、張出部が突出する方向と直交する方向では、張出部が突出する方向と比べて、取付部の厚みは薄くなる。このため、張出部が突出する方向と直交する方向では、張出部が突出する方向と比べて、容器の開封処理をする者が取付部を把持し易くなる。そして、第1方向を張出部が突出する方向と直交する方向としていることから、第1方向において取付部が大型化することを抑えられる。これにより、容器の開封処理をする者の取付部に対する把持のし易さが維持しやすくなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ガスバリア部材の切り口が綺麗な注出口具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態の注出口具の斜視図。
図2】注出口具の縦断面図。
図3】シート体を取り外した状態の注出口具の下面図。
図4】他の実施形態において、シート体を取り外した状態の注出口具の下面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した注出口具について説明する。
本実施形態の注出口具1は、合成樹脂製の袋状容器の開口部分に取り付けられている。注出口具1は、袋状容器の内部に収容された流体を注出するための流路を形成する。袋状容器は、互いに対向する2つのシート部材が貼り合わされることで袋状に構成されている。注出口具1は、袋状容器の開口部分、すなわち互いに対向する2つのシート部材の間でヒートシールにより接着固定される。本実施形態の袋状容器は、ポリエチレン製の薄膜状の複数層のシートの間にアルミニウム箔層が積層された多層構造シートにより成形されている。なお、以下の説明では、図1に示す上下、左右を、注出口具1の上下、左右として説明する。
【0016】
図1及び図2に示すように、注出口具1は、内部に流体の流路Cを形成する注出部2と、注出部2との螺合により注出部2に脱着可能に装着された蓋部4と、ガスバリア部材としてのシート体5とを備えている。
【0017】
<注出部2>
図2に示すように、注出部2は、内部に流路Cを形成している。注出部2は、注出部2の全長に亘って形成された円筒状の筒本体部20と、筒本体部20の下部に筒本体部20と一体に形成された取付部30とを備えている。筒本体部20の内周面は、上下方向に径が変化しないストレート形状に形成されている。筒本体部20の内周面は、凹凸の存在しない平坦面として形成されている。なお、上下方向は筒本体部20の軸方向であり、左右方向は筒本体部20の径方向である。
【0018】
筒本体部20の上部の外周面には、雄螺子21が周方向に延びるように形成されている。また、筒本体部20の上下方向中間部の外周面には、径方向に突出する環状突部22が周方向全体に形成されている。さらに、環状突部22の上部には、複数のラチェット23が形成されている。
【0019】
図1及び図2に示すように、取付部30は、筒本体部20の下部において筒本体部20と一体に連なった取付本体部30aと、取付本体部30aから径方向外方へ突出する2つの張出部30bとを有している。2つの張出部30bは、左右方向に突出している。すなわち、2つの張出部30bのうちの一方の張出部は、取付本体部30aを挟んで、2つの張出部30bのうちの他方の張出部と反対側に突出している。取付部30は、上面視で略菱形状をなしている。
【0020】
2つの張出部30bのうち一方の張出部は、取付本体部30aから左右方向のうち一方に突出する略三角板状の4つの板部と、各板部の間を連結する3つの連結部とを有している。
【0021】
4つの板部は、上側に設けられた上側板部31と、下側に設けられた下側板部32と、上側板部31及び下側板部32の間に設けられた2つの中間板部33とにより構成されている。上側板部31と、下側板部32と、2つの中間板部33とは、上下方向において互いに平行に設けられている。上側板部31、下側板部32、及び2つの中間板部33の各側面は、袋状容器の開口部分が接着固定される部分である。上側板部31、下側板部32、及び2つの中間板部33の各側面は、凹凸のない平坦面として形成されている。下側板部32と2つの中間板部33とは、互いに同一形状かつ同じ大きさをなしている。一方、上側板部31は、下側板部32と2つの中間板部33とに比べて、一回り大きい形状をなしている。上側板部31、下側板部32、及び2つの中間板部33は、取付本体部30aから離れるほど、すなわち取付本体部30aと反対側の先端に近付くほど、先細りになっている。上側板部31における取付本体部30aと反対側の先端は、端面をなしている。下側板部32における取付本体部30aと反対側の先端は、上下方向に延びる端辺をなしている。これは、下側板部32と同一形状をなしている中間板部33についても同様である。
【0022】
3つの連結部は、上側板部31と中間板部33との間に設けられる連結部34と、2つの中間板部33の間に設けられる連結部35と、中間板部33と下側板部32との間に設けられる連結部36とにより構成されている。各連結部34,35,36は、同一形状をなしている。連結部34は、取付本体部30aから径方向外方、すなわち左右方向のうち一方に突出している。連結部34は、長方形板状をなしている。連結部34の上面は、上側板部31の下面と連結されている。連結部34の下面は、中間板部33の上面と連結されている。連結部34の板厚方向は、上下方向及び左右方向と直交する方向である。連結部34における取付本体部30aと反対側の先端は、上下方向に延びる端辺をなしている。連結部34の先端の端辺は、上側板部31の先端の端面と、中間板部33の先端の端辺とに連なっている。これは、連結部34と同一形状をなしている連結部35,36についても同様である。また、2つの張出部30bのうち他方の張出部についても、2つの張出部30bのうち一方の張出部と同様に、取付本体部30aから左右方向のうち他方に突出する略三角板状の4つの板部と、各板部の間を連結する3つの連結部とを有している。
【0023】
下側板部32の下面32aは、後に説明する蓋部4の蓋本体部41の底面45aとともにシート体5が貼り付けられる面である。下側板部32の下面32aは、左右方向に水平で凹凸のない平坦面として形成されている。
【0024】
2つの張出部30bの先端には、左右方向に突出する接着シート片37がそれぞれ設けられている。接着シート片37は、長方形板状をなしている。接着シート片37の板厚は、上側板部31、下側板部32、及び2つの中間板部33の板厚よりも小さく設定されている。接着シート片37の左右方向の一端は、2つの中間板部33及び3つの連結部34の先端に接続されている。接着シート片37は、その板厚方向において袋状容器を構成する2つのシート部材と互いに対向した状態で介在されている。接着シート片37は、袋状容器を構成する2つのシート部材がヒートシールにより接着固定する際の接着強度を高めるために設けられている。下側板部32、及び2つの中間板部33の各外周面と、接着シート片37の板厚方向の両側面とは、袋状容器の開口部分がヒートシールにより接着固定される部分である。
【0025】
<蓋部4>
蓋部4は、注出部2の内側に挿入される有底円筒状の蓋本体部41と、蓋本体部41の上端部から径方向外方へ延びるフランジ部42と、フランジ部42の外方端部から下方へ延びる外筒部43とを備えている。
【0026】
図2に示すように、蓋本体部41は、円筒状の周壁44と、周壁44の下端縁に設けられた底壁45とを備えた中空体として形成されている。蓋本体部41の上面は開放されている。蓋本体部41が注出部2の内側に挿入されていることにより、蓋本体部41の底壁45が筒本体部20及び取付部30の流路Cを閉塞している。
【0027】
蓋本体部41の周壁44の内周面は、上下方向に径が変化しないストレート形状に形成されている。また、周壁44の外周面の上部には、径方向に突出する突部46が全周に亘って形成されている。突部46の下端部は、下方ほど縮径するテーパ面46aとして形成されている。周壁44の外周面は、突部46が形成されていない部分では、上下方向に径が変化しないストレート形状に形成されている。上下方向から見た場合に、周壁44の外周面は、円形状をなしている。周壁44の内周面は、凹凸の存在しない平坦面として形成されている。底壁45の底面45aは、左右方向に水平で凹凸のない平坦面として形成されている。
【0028】
蓋本体部41の周壁44の外径は、注出部2の筒本体部20及び取付部30の内径より少し小さく形成されている。これにより、蓋部4が注出部2に取り付けられた状態では、蓋本体部41の周壁44の外周面と、注出部2の筒本体部20及び取付部30の内周面との間に隙間Gが形成されている。すなわち、図3に示すように、注出部2の下面32a及び蓋本体部41の底面45aを下方から見た場合に、注出部2の下面32aの内周端Eiと蓋本体部41の底面45aの外周端Epとの間に隙間Gが形成されている。また、図2に示すように、周壁44の上部に形成された突部46の突出長は、隙間Gの大きさに略等しい。なお、隙間Gの大きさは適宜に変更可能である。隙間Gの大きさは、注出部2の下面32aの内周端Eiによるシート体5の切り裂き易さを考慮して設定することができる。また、突部46の突出長は、隙間Gの大きさと異なっていてもよく、適宜に変更可能である。取付本体部30aの内周面は、凹凸の存在しない面として形成されている。隙間Gの大きさは、全周にわたって約0~0.1mm程度に設定されている。本実施形態では、隙間Gの大きさは、全周にわたって一様ではなく、周方向において大きさは異なっている。
【0029】
図3に示すように、注出部2の下面32a及び蓋本体部41の底面45aを下方から見た場合に、蓋本体部41の中心を含む仮想直線の延びる方向を第1方向D1とする。第1方向D1は、左右方向と直交する方向であり、張出部30bが突出する方向と直交する方向である。また、注出部2の下面32a及び蓋本体部41の底面45aを下方から見た場合に、蓋本体部41の中心を含む仮想直線の延びる方向であって第1方向D1とは異なる方向を第2方向D2とする。第2方向D2は、左右方向であり、張出部30bが突出する方向である。第1方向D1と第2方向D2とは、直交している。
【0030】
注出部2の軸方向から見た場合に、第1方向D1において、注出部2の下面32aの内周端Eiと蓋本体部41の底面45aの外周端Epとは接触している。つまり、第1方向D1における注出部2の下面32aの内周端Eiと蓋本体部41の底面45aの外周端Epとの間の一方の隙間Gの大きさ、及び第1方向D1における注出部2の下面32aの内周端Eiと蓋本体部41の底面45aの外周端Epとの間の他方の隙間Gの大きさは、「ゼロ(零値)」である。
【0031】
注出部2の軸方向から見た場合に、第2方向D2において、注出部2の下面32aの内周端Eiと蓋本体部41の底面45aの外周端Epとは離間している。つまり、第2方向D2における注出部2の内周面と蓋本体部41の外周面との間の一方の隙間Gの大きさ、及び第2方向D2における注出部2の内周面と蓋本体部41の外周面との間の他方の隙間Gの大きさは、「ゼロ(零値)」よりも大きい値である。本実施形態では、第2方向D2における注出部2の下面32aの内周端Eiと蓋本体部41の底面45aの外周端Epとの間の一方の隙間Gの大きさ、及び第2方向D2における注出部2の下面32aの内周端Eiと蓋本体部41の底面45aの外周端Epとの間の他方の隙間Gの大きさは、略同一に設定されている。このため、第1方向D1の隙間Gの大きさは、第2方向D2の隙間Gの大きさよりも小さく設定されている。本実施形態では、注出部2の下面32a及び蓋本体部41の底面45aを下方から見た場合に、蓋本体部41の外周面の形状は略円形状をなし、注出部2の内周面の形状は蓋本体部41よりも左右方向に大きい略楕円形状をなしている。なお、注出部2の内周面の形状や蓋本体部41の外周面の形状は、適宜に変更可能である。
【0032】
図2に示すように、蓋本体部41の上下方向の長さは、注出部2の筒本体部20及び取付部30の上下方向の長さに合わせて設定されている。具体的には、蓋本体部41において、フランジ部42の下面から底壁45の底面45aまでの長さは、筒本体部20の上端面から取付部30の下側板部32の下面32aまでの長さと等しくなっている。これにより、蓋部4が注出部2に取り付けられた状態では、注出部2の筒本体部20の上端面が蓋部4のフランジ部42の下面に当接するとともに、底壁45の底面45aが下側板部32の下面32aと面一になっている。
【0033】
外筒部43は、蓋本体部41の外周面との間に所定の間隔を形成した状態で、蓋本体部41を取り囲むような形状に形成されている。外筒部43は、蓋本体部41と同一中心の円筒状をなしている。外筒部43の内周面には、注出部2の筒本体部20の雄螺子21と螺合する雌螺子47が周方向に延びるように設けられている。
【0034】
図1及び図2に示すように、外筒部43の下端には、蓋部4の開閉履歴を証明する公知のタンパーエビデント機能を構成するキャップリング48が連結されている。キャップリング48は、注出部2の筒本体部20に設けられたラチェット23の位置に対応するように、外筒部43の下端縁と筒本体部20の環状突部22との間の位置に取り付けられており、蓋部4を開栓方向に回動させて開栓する際に破断される。これにより、袋状容器が開栓された状態であることが示される。
【0035】
注出部2及び蓋部4は、従来公知の合成樹脂材料で成形されている。公知の合成樹脂材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0036】
<シート体5>
図2及び図3に示すように、シート体5は、取付部30の下側板部32の下面32a及び蓋本体部41の底壁45の底面45aに貼り付けられている。シート体5は、下面32aの外周形状よりも一回り大きい形状に形成されている。シート体5の周縁部分には、取付部30の外周面に沿って上方に折り曲げられた状態で取付部30の外周面に接着固定される折曲部50が設けられている。本実施形態では、折曲部50は、下側板部32の外周面のうち下側の部分に対して、全周にわたって接着固定されている。折曲部50は、シート体5の周縁全体に設けられている。これにより、シート体5は、注出口具1の下面全体を覆うような態様で貼り付けられている。
【0037】
シート体5は、薄膜状の複数層のシートからなる多層構造シートにより構成されている。シート体5は、基材層と、基材層の下面側に積層されたガスバリア層と、基材層の上面側に積層された熱融着層を備えている。シート体5の材質は特に限定されないが、例えば、ポリエチレン層、ポリプロピレン層、ポリエチレンテレフタレート層、エチレンビニル-アルコール共重合体層、アクリル層等の熱可塑性樹脂層や、アルミニウム箔層、セラミック蒸着フィルム層等が積層された多層構造シートを用いることができる。シート体5の材質として、ポリエチレン層を採用する場合には、ポリエチレン層のなかに高密度ポリエチレンを含有させることが好ましい。高密度ポリエチレンが含有されている場合には、低密度ポリエチレンが含有される場合よりも、袋状容器の開封処理時にシート体5が伸び過ぎることを抑制できる。なお、図1及び図2では、シート体5の厚みを誇張して図示している。
【0038】
注出口具1の下面に対してシート体5を貼り付ける方法について、その一例を以下に記載する。
注出口具1の下面に対してシート体5を貼り付けるにあたっては、接着工程と、切出工程と、折曲工程とを順に行う。接着工程は、シート体5を構成する多層構造シートを注出口具1に対して接着する工程である。切出工程は、接着工程において接着された多層構造シートから注出口具1に対する接着部分を切り出す工程である。折曲工程は、シート体5に折曲部50を形成する工程である。
【0039】
接着工程においては、シールバー等の加熱装置を用いて、多層構造シートを加熱しつつ、多層構造シートを注出口具1の下面32a及び底面45aに向けて押圧する。これにより、注出口具1の下面32a及び底面45aに対して多層構造シートが熱溶着される。
【0040】
切出工程においては、レーザーや刃物等の切断装置を用いて、取付部30の外周面に沿って多層構造シートを切断して、多層構造シートにおけるシート体5に相当する部位を切り出す。切出工程において多層構造シートから切り出されたシート体5に相当する部位は、取付部30の外周形状よりも一回り大きい形状に切り出される。
【0041】
折曲工程においては、折曲型をヒータにより加熱することで、シート体5を取付部30の外周面に沿った形状に折り曲げる。そして、折曲型をヒータにより加熱することで、取付部30の外周面に対してシート体5の周縁部分が熱溶着される。これにより、折曲部50が形成される。このようにして、下面32a及び底面45aにシート体5が貼り付けられた注出口具1が得られる。
【0042】
<本実施形態の作用及び効果>
本実施形態の注出口具1の作用について説明する。
容器の開封処理をする際には、蓋部4は注出部2に対して回動操作されることによって上側に移動する。蓋部4が注出部2に対して上側に移動する場合、蓋部4の蓋本体部41の底面45aに貼り付けられたシート体5は、注出部2の下面32aに貼り付けられたシート体5に対して上側に引き上げられることになる。ここで、注出部2の下面32a及び蓋本体部41の底面45aでは、注出部2の下面32aの内周端Eiと蓋本体部41の底面45aの外周端Epとの間に隙間Gが形成されている。隙間Gの幅は、約0~0.1mm程度と狭い。このため、隙間Gの幅が比較的に大きい場合と比べて、蓋本体部41の底面45aの外周端Epが注出部2の下面32aの内周端Eiに対してより直上に向けて引き上げられることになる。この場合、シート体5には、注出部2の下面32aの内周端Eiを作用点として力が作用する。
【0043】
ここで、比較例として、注出部2の下面32aの内周端Eiと蓋本体部41の底面45aの外周端Epとの間に全周にわたって均一な大きさの隙間が設けられる場合を想定する。比較例の場合、蓋本体部41の底面45aの外周端Epは、その周方向におけるどの部分であっても、注出部2の下面32aの内周端Eiに対する位置関係が同じになる。容器の開封処理をする際に、注出部2の下面32aの内周端Eiを作用点として比較例のシート体5に作用する力は、当該内周端Eiの周方向におけるどの部分であっても同じになる。このため、比較例のシート体5では、どの部分から切り裂きが開始されるのかが特定しにくく、容器の開封処理をするために蓋部4の回動操作が開始されるタイミングに対して、シート体5の切り裂きが開始されるタイミングが遅くなりやすい。
【0044】
これに対して、本実施形態によれば、第1方向D1の隙間Gの大きさが第2方向D2の隙間Gの大きさよりも小さく設定されている。このため、容器の開封処理をする際には、第1方向D1における蓋本体部41の底面45aの外周端Epは、注出部2の下面32aの内周端Eiに対して直上に位置することになる。したがって、第1方向D1における注出部2の下面32aの内周端Eiに貼り付けられたシート体5は、第2方向D2における注出部2の下面32aの内周端Eiに貼り付けられたシート体5よりも、より直上に向けて引き上げられつつ回動操作による捩れが作用することになる。容器の開封処理をする際に、注出部2の下面32aの内周端Eiを作用点としてシート体5に作用する力を、当該内周端Eiの周方向において異ならせることができる。この場合、シート体5では、第1方向D1における注出部2の下面32aの内周端Eiを作用点として力が作用する部分から切り裂きが開始されやすくなる。これによって、容器の開封処理をするために蓋部4の回動操作が開始されるタイミングに対して、シート体5の切り裂きが開始されるタイミングの遅延が抑えられ、シート体5が切り裂かれる前にシート体5が伸び過ぎることを抑えられる。すなわち、比較例のシート体5と比べて、本実施形態のシート体5では、シート体5が切り裂かれる前にシート体5が伸び過ぎることを抑えられる。シート体5が伸び過ぎる前にシート体5を好適に切り裂くことができるため、切り裂かれたシート体5の切り口を綺麗にすることができる。
【0045】
蓋部4が注出部2に対して回動操作されることによってタンパーエビデント機能を構成するキャップリング48が分断される。雄螺子21と雌螺子47との係合が完全に解除されて、注出部2の筒本体部20及び取付部30から蓋本体部41を抜き出し、蓋部4を注出部2から取り外すと、注出口具1は開栓される。これにより、筒本体部20及び取付部30の流路Cから袋状容器内の流体を注出可能となる。
【0046】
袋状容器の流体を注出した後、閉栓する際には、注出部2の筒本体部20及び取付部30の内側に蓋部4の蓋本体部41を挿入し、蓋部4が注出部2に対して回動操作されることによって雄螺子21と雌螺子47とを係合させる。このとき、蓋本体部41の外周面に形成された突部46の下端部には、下方ほど縮径するテーパ面46aが形成されていることから、筒本体部20の上端部がテーパ面46aに誘導されながら蓋本体部41の外周面と外筒部43の内周面との間の隙間をスムーズに進んでいく。これにより、筒本体部20及び取付部30の流路Cから袋状容器内の流体の注出が遮断される。
【0047】
本実施形態の効果を説明する。
(1)シート体5では、シート体5が伸び過ぎる前にシート体5を好適に切り裂くことができるため、切り裂かれたシート体5の切り口を綺麗にすることができる。これにより、シート体5の切り口が綺麗な注出口具1が得られる。
【0048】
(2)本実施形態では、第1方向D1において、注出部2の下面32aの内周端Eiと蓋本体部41の底面45aの外周端Epとは接触している。このため、容器の開封処理をする際には、第1方向D1における蓋本体部41の底面45aの外周端Epは、注出部2の下面32aの内周端Eiに対して直上に位置することになる。したがって、第1方向D1における注出部2の下面32aの内周端Eiに貼り付けられたシート体5には、直上に引き上げられつつ回動操作による捩れが作用することになる。
【0049】
(3)張出部30bが突出する方向と直交する方向では、張出部30bが突出する方向と比べて、取付部30の厚みは薄くなる。このため、張出部30bが突出する方向と直交する方向では、張出部30bが突出する方向と比べて、容器の開封処理をする者が取付部30を把持し易くなる。そして、第1方向D1を張出部30bが突出する方向と直交する方向としていることから、第1方向D1において取付部30が大型化することを抑えられる。これにより、容器の開封処理をする者の取付部に対する把持のし易さが維持しやすくなる。
【0050】
<他の実施形態>
上記実施形態は次のように変更してもよい。また、以下の他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲において、互いに組み合わせることができる。
【0051】
・上記実施形態の注出口具1では、蓋本体部41の上下方向の長さは、注出部2の筒本体部20の上端面が蓋部4のフランジ部42の下面に当接した状態で、蓋本体部41の底面45aが注出部2の取付部30の下面32aと面一となるように設定したが、これに限らない。例えば、蓋本体部41におけるフランジ部42の下面から底壁45の底面45aまでの長さが、筒本体部20の上端面から取付部30の下面32aまでの長さより僅かに長くなるようにしてもよい。こうすると、蓋部4が注出部2に取り付けられた状態では、筒本体部20の上端面が蓋部4のフランジ部42の下面に当接するとともに、蓋本体部41の底壁45が注出部2の取付部30の下面32aより下方に突出する。この突出長は、約0.1~0.5mm程度であることが好ましい。
【0052】
このように、蓋本体部41の底壁45が取付部30の下面32aより下方に僅かに突出していると、多層構造シートを圧着して接合する際に、蓋本体部41の底面45aに対してのシール圧を高めることができる。これにより、多層構造シートが強固に接合され、シート体5の接合強度を向上させることができる。
【0053】
・上記実施形態の注出口具1では、筒本体部20の内周面は上下方向に径が変化しないストレート形状に形成されており、蓋本体部41の周壁44の外周面との間に、隙間Gが形成されていたが、これに限定されない。例えば、筒本体部20の内径は、上下方向に変化してもよい。
【0054】
・取付部30は、左右方向に突出する2つの張出部30bを設けることにより上面視で略菱形状をなしていたが、これに限らない。例えば、全周にわたってフランジ状に突出する張出部を設けることにより上面視で略円筒状をなしていてもよい。また、例えば、取付部30は、張出部30bを設けないことにより上面視で略円筒状をなしていてもよい。なお、取付部30は、略菱形状等の左右方向に細長い形状である方がヒートシールによる接着強度は増す。
【0055】
・取付部30は、4つの板部によって構成されていたが、これに限らない。例えば、取付部30は、3つ以下の板部によって構成されていてもよいし、5つ以上の板部によって構成されていてもよい。また、取付部30は、複数の板部によって構成されるのではなく、単一の板部によって構成されていてもよい。
【0056】
・取付部30を構成する上側板部31、下側板部32、及び中間板部33の形状は適宜変更可能であり、例えば、これらは同一形状であってもよいし、互いに異なる形状であってもよい。
【0057】
・取付部30を構成する上側板部31、下側板部32、及び中間板部33の各側面は、凹凸のない平坦面として形成されているものに限らず、凹凸を有する面として形成されていてもよい。
【0058】
・筒本体部20の上下方向中間部の外周面に形成された環状突部22の形状は、適宜変更可能であり、例えば、円形状であってもよいし、六角形状であってもよい。また、筒本体部20の上下方向中間部の外周面に、環状突部22が形成されていなくてもよい。
【0059】
・筒本体部20には、ラチェット23が形成されていなくてもよい。
・注出口具1は、タンパーエビデント機能が設けられていなくてもよい。すなわち、外筒部43の下端には、タンパーエビデント機能を構成するキャップリング48が連結されていなくてもよい。
【0060】
・蓋部4の蓋本体部41の形状は、適宜変更可能である。蓋部4の蓋本体部41の形状は、例えば、中実状であってもよいし、有底円筒状の蓋本体部41においてその開口部分が閉塞されたものであってもよい。
【0061】
・蓋本体部41の周壁44の内周面は、上下方向に径が変化しないストレート形状に形成されていたが、これに限らない。例えば、周壁44の内周面は、テーパ面が形成されている等により内径が変化していてもよい。
【0062】
・蓋本体部41の周壁44の外周面は、上下方向に径が変化しないストレート形状に形成されていたが、これに限らない。例えば、周壁44の外周面は、テーパ面が形成されている等により外径が変化していてもよい。
【0063】
・蓋本体部41の底壁45の底面45aは、左右方向に水平で凹凸のない平坦面として形成されていたが、これに限らない。例えば、底面45aに蓋本体部41を射出成形する際のゲートの跡が設けられており、当該ゲートの跡によって底面45aに凹凸が形成されていてもよい。
【0064】
・蓋本体部41の外筒部43の形状は、円筒状に限らず、適宜変更可能である。例えば、外筒部43の外周面は、上面視で楕円形状をなしていてもよいし、上面視で六角形状をなしていてもよい。
【0065】
・取付本体部30aの内周面には、複数の突条を設けるようにしてもよい。この突条は、取付本体部30aの内周面において上下方向に延びている。なお、突条は、隙間Gの幅よりも小さく設定されている。この突条は、等間隔に設けるようにしてもよいし、隙間Gを考慮して互いに異なる間隔で設けるようにしてもよい。また、このような複数の突条は、例えば、蓋本体部41の周壁44の外周面に設けられてもよい。この突条の本数や高さや上下方向における長さは適宜変更可能である。
【0066】
・注出部2の下面32aの内周端Eiと蓋本体部41の底面45aの外周端Epとが接触している方向、すなわち第1方向D1を、左右方向と直交する方向としたが、左右方向としてもよいし、左右方向及び左右方向と直交する方向との間の方向としてもよい。これは、注出部2の下面32aの内周端Eiと蓋本体部41の底面45aの外周端Epとが離間している方向、すなわち第2方向D2についても同様である。すなわち、第1方向D1及び第2方向D2は適宜変更可能である。
【0067】
・第1方向D1において、注出部2の下面32aの内周端Eiと蓋本体部41の底面45aの外周端Epとは接触していたが、注出部2の下面32aの内周端Eiと蓋本体部41の底面45aの外周端Epとが離間していてもよい。この場合であっても、第1方向D1の隙間Gの大きさは、第2方向D2の隙間Gの大きさよりも小さい方が好ましいのは上記実施形態と同様である。
【0068】
・第1方向D1の隙間Gの大きさを第2方向D2の隙間Gの大きさよりも小さく設定したが、第1方向D1の隙間Gの大きさを第2方向D2の隙間Gの大きさよりも大きく設定してもよい。
【0069】
・第1方向D1において、注出部2の下面32aの内周端Eiと蓋本体部41の底面45aの外周端Epとの間の一方の隙間Gの大きさ、及び注出部2の下面32aの内周端Eiと蓋本体部41の底面45aの外周端Epとの間の他方の隙間Gの大きさは、ともに「ゼロ(零値)」、すなわち略等しく設定されていたが、これに限らない。
【0070】
図4に示すように、例えば、第1方向D1において、注出部2の下面32aの内周端Eiと蓋本体部41の底面45aの外周端Epとの間の一方の隙間Gの大きさを、注出部2の下面32aの内周端Eiと蓋本体部41の底面45aの外周端Epとの間の他方の隙間Gの大きさと異ならせてもよい。この場合、第1方向D1の隙間Gのうちの小さい隙間では、他方の隙間と比べて、蓋本体部41の底面45aの外周端Epを注出部2の下面32aの内周端Eiに対してより直上に位置させることができる。これは、第2方向D2の隙間Gについても同様である。
【0071】
・容器の開封処理をする際には、シート体5では、第1方向D1における注出部2の下面32aの内周端Eiを作用点として力が作用する部分から切り裂きが開始されたが、これに限らない。例えば、内周端Eiと外周端Epとの位置関係、シート体5の材料、及び作用点における力の作用する状態等を含む各種の要因により、シート体5では、第2方向D2における注出部2の下面32aの内周端Eiを作用点として力が作用する部分から切り裂きが開始されるようにしてもよい。
【0072】
・折曲部50の構成は適宜変更可能である。例えば、シート体5を切り出す工程においてシート体5の周縁全体に取付部30から側方へ突出する突出部分を設けて、当該突出部分を折り曲げることで、当該周縁全体に折曲部50が形成されるように構成してもよい。また、例えば、シート体5を切り出す工程においてシート体5の周縁全体のうちの一部分に突出部分を形成してもよい。この場合、折曲部50は、取付部30の外周面の一部分に接着固定されている。また、折曲部50は、シート体5を切り出す工程において意図的に設けられた突出部分を折り曲げて形成されるものに限らず、シート体5の切り出し誤差や貼り付け誤差等により生じたシート体5の周縁の突出部分を折り曲げて形成されるものであってもよい。
【0073】
・折曲部50は、取付部30の外周面に接着固定されていたが、取付部30に対して折曲部50を固定する態様は適宜変更可能である。例えば、折曲部50は、取付部30に対してその一部分のみを接着する構成であってもよい。また、折曲部50は、取付部30に対して接着することなく、取付部30の外周面に沿って単に折り曲げたのみの構成であってもよい。
【0074】
・シート体5には、折曲部50が設けられなくてもよい。
・取付部30の外周面には、接着シート片37が設けられなくてもよい。
・シート体5の形状、大きさ、層構造は、適宜変更可能である。なお、シート体5の層構造は、少なくともガスバリア層を備えるものであればよい。例えば、シート体5の層構造は、ガスバリア層と、ガスバリア層の両面にそれぞれ積層された熱融着層とからなる3層構造のシートであってもよい。また、接着剤等によりシート体5を注出口具1の下面32a及び底面45aに貼り付ける構成とした場合には、熱融着層を省略することができる。
【0075】
・接着工程において、加熱装置を用いて、多層構造シートを加熱しつつ注出口具1の下面32a及び底面45aに向けて押圧することで、注出口具1の下面32a及び底面45aにシート体5を接着したが、これに限らない。例えば、接着工程において、注出口具1の一つずつに、枝葉状態の多層構造シートを接着してもよい。
【0076】
・切出工程において、多層構造シートは、各注出口具1の取付部30の周縁に沿ってレーザーを照射することで多層構造シートを切り出していたが、これに限らない。例えば、切出工程において、刃物で多層構造シートを切り出すようにしてもよい。
【0077】
・折曲工程において、折曲型をヒータにより加熱することで、シート体5の周縁部分を取付部30に熱溶着していたが、これに限らない。例えば、折曲工程において、折曲型で周縁部分を取付部30の外周面に沿った形状に折り曲げた後に折曲型を取り外し、シート体5が貼り付けられた注出口具1を熱板により筒本体部20の軸方向と直交する方向から挟み込むことで、突出部分を取付部30に熱溶着するようにしてもよい。
【0078】
・上記実施形態の袋状容器は、ポリエチレン製の薄膜状の複数層のシートの間にアルミニウム箔層が積層された多層構造シートにより成形されていたが、その層の構成や材質は適宜変更可能である。
【0079】
・注出口具1の袋状容器の開口部分への固定方法は、ヒートシールによる接着固定に限らず、適宜変更可能である。
・注出口具1は、合成樹脂製の袋状容器に限らず、様々な容器に適用することができる。この場合、取付部30については、袋状容器の形態に合わせて、例えば、単なるフランジ状にする等、適宜変更可能である。
【0080】
・袋状容器の内部に収容される流体は、液体、粘性体に限らず、固形物、顆粒、粉体等の固体であってもよい。
次に、上記実施形態及び変形例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
【0081】
(イ)前記注出部は、筒本体部と、前記筒本体部の下部に前記筒本体部と一体に連なった取付部とを有し、前記取付部は、前記筒本体部と一体に連なった取付本体部と、前記取付本体部から前記径方向の外側に突出する2つの張出部とを有し、前記第2方向は、前記張出部が突出する方向である注出口具。
【0082】
上記の構成によれば、張出部が突出する方向では、張出部が突出する方向と直交する方向と比べて、取付部の厚みは厚い。このため、第2方向を張出部が突出する方向とすることで、注出部の内周面と蓋本体部の外周面との間の隙間を比較的に大きくしたとしても、容器の開封処理をする者の取付部に対する把持のし易さが低下することを抑えられる。
【0083】
(ロ)前記第1方向において、前記第1方向における前記注出部の下面の内周端と前記蓋本体部の底面の外周端との間の隙間のうち、一方の隙間の大きさと他方の隙間の大きさとは異なっている注出口具。
【0084】
上記の構成によれば、第1方向における2つの隙間のうちの小さい隙間では、大きい隙間と比べて、蓋本体部の底面の外周端は、注出部の下面の内周端に対してより直上に位置することになる。
【0085】
(ハ)前記ガスバリア部材には、高密度ポリエチレンが含有されている注出口具。
上記の構成によれば、低密度ポリエチレンが含有される場合よりも、容器の開封処理時にガスバリア部材が伸び過ぎることを抑制できる。
【符号の説明】
【0086】
C…流路
1…注出口具
2…注出部
4…蓋部
5…シート体(ガスバリア部材)
20…筒本体部
30…取付部
30a…取付本体部
30b…張出部
32a…下面
41…蓋本体部
45a…底面
D1,D2…第1、第2方向
Ei…内周端
Ep…外周端
G…隙間
図1
図2
図3
図4