(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137849
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】露光方法および露光装置
(51)【国際特許分類】
G03F 9/00 20060101AFI20220914BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20220914BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
G03F9/00 A
G01B11/00 H
H01L21/68 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037542
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】酒井 恵介
(72)【発明者】
【氏名】川島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】磯 大介
(72)【発明者】
【氏名】中井 由起子
(72)【発明者】
【氏名】水端 稔
【テーマコード(参考)】
2F065
2H197
5F131
【Fターム(参考)】
2F065AA03
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2F065CC17
2F065FF01
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2H197AA22
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5F131KB53
(57)【要約】
【課題】ステージを駆動機構で主走査方向に駆動する際の真直度を担保して、ステージに載置された基板の適切な位置に露光ヘッドから光を照射することを可能とする。
【解決手段】ステージ2をステージ駆動機構3によりY方向へ駆動することで、ステージ2がY方向における露光移動範囲Yeを移動するとともに、基板Weが照射範囲ReをY方向に通過する。そして、第1主走査駆動と並行して、露光ヘッド41から照射範囲Reに光を照射することで、基板WeにおいてY方向に延びるストライプ領域Rsが露光される。特に、露光移動範囲Yeにおけるステージ2のY方向への位置に応じてステージ2のX方向への位置を補正するためのX方向補正量を示す真直補正テーブルTsに基づき、第1主走査駆動の実行中におけるステージ2のX方向への位置がステージ駆動機構3によって補正される。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が載置されるステージおよび照射範囲に光を照射する露光ヘッドのうちの一方の駆動対象を駆動機構により主走査方向へ駆動することで、前記駆動対象が前記主走査方向における第1移動範囲を移動するとともに、前記基板が前記照射範囲を相対的に前記主走査方向に通過する第1主走査駆動を実行する工程と、
前記第1移動範囲における前記駆動対象の前記主走査方向への位置に応じて前記駆動対象の副走査方向への位置を補正するための第1補正量を示す第1真直補正情報に基づき、前記第1主走査駆動の実行中に前記駆動対象の前記副走査方向への位置を前記駆動機構によって補正する第1真直補正動作を実行する工程と、
前記第1主走査駆動の実行中に前記露光ヘッドから前記照射範囲に光を照射することで、前記基板において前記主走査方向に延びる領域を露光する露光動作を実行する工程と
を備えた露光方法。
【請求項2】
前記駆動機構によって前記第1移動範囲を前記主走査方向に移動する前記駆動対象の前記副走査方向における位置を求めた結果に基づき前記第1真直補正情報を作成する補正情報作成動作を実行する工程をさらに備え、
前記第1真直補正動作では、前記補正情報作成動作で作成された前記第1真直補正情報に基づき、前記駆動対象の前記副走査方向への位置を補正する請求項1に記載の露光方法。
【請求項3】
前記補正情報作成動作では、前記第1移動範囲を前記主走査方向に移動する前記駆動対象の前記副走査方向への位置をレーザ干渉計によって測定した結果に基づき前記第1真直補正情報を作成する請求項2に記載の露光方法。
【請求項4】
基準マークが付されたテスト基板が載置された前記ステージを前記駆動対象として、前記駆動機構により前記主走査方向へ駆動することで、前記ステージが前記主走査方向における第2移動範囲を移動するとともに、前記テスト基板がカメラの撮像範囲を前記主走査方向に通過する第2主走査駆動を実行する工程と、
前記第2主走査駆動の実行中に前記撮像範囲を通過する前記基準マークを前記カメラによって撮像して基準マーク画像を取得する工程と、
前記第2移動範囲における前記ステージの前記主走査方向への位置に応じて前記ステージの前記副走査方向への位置を補正するための第2補正量を示す第2真直補正情報を、前記基準マーク画像が示す前記基準マークの前記副走査方向への位置に基づき作成する工程と、
前記第1主走査駆動を実行しつつ、前記照射範囲を通過する前記テスト基板に前記露光ヘッドから光を照射することで、前記テスト基板に露光マークを描画する工程と、
前記第2真直補正情報に基づき前記ステージの前記副走査方向への位置を補正しつつ前記第2主走査駆動を実行して、前記撮像範囲を通過する前記露光マークを前記カメラで撮像して露光マーク画像を取得する工程と、
前記露光マーク画像が示す前記露光マークの前記副走査方向への位置に基づき、前記第1移動範囲を移動する前記ステージの前記副走査方向の位置を求めた結果に基づき前記第1真直補正情報を作成する工程と
を、前記補正情報作成動作において実行する請求項2に記載の露光方法。
【請求項5】
前記駆動対象の前記主走査方向への位置を位置検出部によって検出して、カメラによる撮像の実行タイミングを制御する撮像タイミング制御部に送信する工程と、
前記撮像タイミング制御部が、前記位置検出部から受信した前記駆動対象の前記主走査方向への位置に応じたタイミングで、前記カメラに撮像を実行させることで、前記基板のアライメントマークを撮像する工程と
を備え、
前記位置検出部と前記撮像タイミング制御部とは、同一の集積回路内に設けられている請求項1ないし4のいずれか一項に記載の露光方法。
【請求項6】
前記駆動対象の前記主走査方向への位置を位置検出部によって検出して、前記駆動機構による前記第1真直補正動作の実行タイミングを制御する補正タイミング制御部に送信する工程をさらに備え、
前記補正タイミング制御部が、前記位置検出部から受信した前記駆動対象の前記主走査方向への位置に応じたタイミングで、前記駆動機構に前記第1真直補正動作を実行させ、
前記位置検出部と前記補正タイミング制御部とは、同一の集積回路内に設けられている請求項1ないし5のいずれか一項に記載の露光方法。
【請求項7】
前記基板に対しては、前記副走査方向において異なる複数の露光位置が設定され、前記複数の露光位置にそれぞれ対応する、前記副走査方向において異なる複数の副走査位置の間で、前記駆動対象の位置を前記駆動機構によって変更しつつ、前記第1主走査駆動、前記第1真直補正動作および前記露光動作を繰り返す請求項1ないし6のいずれか一項に記載の露光方法であって、
前記第1真直補正情報は、前記複数の副走査位置のそれぞれについて設けられ、
前記第1真直補正動作では、前記駆動対象が位置する前記副走査位置について設けられた前記第1真直補正情報に基づき前記駆動対象の前記副走査方向への位置を補正する露光方法。
【請求項8】
前記基板に対しては、前記副走査方向において異なる複数の露光位置が設定され、前記複数の露光位置にそれぞれ対応する、前記副走査方向において異なる複数の副走査位置の間で、前記駆動対象の位置を前記駆動機構によって変更しつつ、前記第1主走査駆動、前記第1真直補正動作および前記露光動作を繰り返す請求項1ないし6のいずれか一項に記載の露光方法であって、
前記第1真直補正情報は、前記副走査方向において異なる複数の設定位置のそれぞれについて設けられ、
前記複数の設定位置は、前記複数の副走査位置よりも少なく、
前記第1真直補正動作では、前記複数の設定位置のうち、前記駆動対象が位置する前記副走査位置に最も近い前記設定位置について設けられた前記第1真直補正情報に基づいて、または前記駆動対象が位置する前記副走査位置に最も近い前記設定位置について設けられた前記第1真直補正情報および前記駆動対象が位置する前記副走査位置に二番目に近い前記設定位置について設けられた前記第1真直補正情報を用いた線形補間によって、前記駆動対象の前記副走査方向への位置を補正する露光方法。
【請求項9】
基板が載置されるステージと、
照射範囲に光を照射する露光ヘッドと、
前記ステージおよび前記露光ヘッドのうちの一方の駆動対象を主走査方向へ駆動する駆動機構と、
前記主走査方向における第1移動範囲での前記駆動対象の前記主走査方向への位置に応じて前記駆動対象の副走査方向への位置を補正するための第1補正量を示す第1真直補正情報を記憶する記憶部と、
前記駆動機構により前記駆動対象を前記主走査方向へ駆動することで、前記駆動対象が前記第1移動範囲を移動するとともに、前記基板が前記照射範囲を相対的に前記主走査方向に通過する第1主走査駆動を実行しつつ、前記露光ヘッドから前記照射範囲に光を照射することで、前記基板において前記主走査方向に延びる領域を露光する露光動作を実行する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記第1真直補正情報に基づき、前記第1主走査駆動の実行中に前記駆動対象の前記副走査方向への位置を前記駆動機構によって補正する第1真直補正動作を実行する露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば半導体ウエハあるいはガラス基板等の基板にパターンを形成するために基板を露光する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2では、基板(感光材料、露光対象基板)が載置されたステージを主走査方向に移動させつつ、露光ヘッドから感光材料へ光を照射することで、主走査方向に延びるパターンを基板に描画する露光装置が記載されている。かかる露光装置では、ステージと露光ヘッドとの間に位置ずれが発生して、感光材料の適切な位置に光を照射できない場合があった。そこで、特許文献1、2では、露光ヘッドから照射する光のパターンを調整することで、これに対応している。
【0003】
また、特許文献2では、ステージのヨーイングに注目している。特に、レーザ変位計でステージのヨーイングを計測した結果に基づきステージの位置を制御してヨーイングの影響を排除する手法では、高価なレーザ変位計を装置に具備する必要があるといった課題が指摘されている。そこで、特許文献2では、ステージの位置を制御するといったハードウェア的な方法ではなく、露光ヘッドに与えるデータを補正して光のパターンを調整するといったソフトウェア的な手法が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-114468号公報
【特許文献2】特開2010-113001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただし、ステージと露光ヘッドとの位置ずれによる露光位置への影響を確実に排除するには、上記のようなソフトウェア的な手法では限界があり、ステージと露光ヘッドとの位置ずれそのものをハードウェア的に抑えることが求められる。特に、本願の発明者による研究・開発によれば、主走査方向へのステージの真直度を担保することが重要となる。また、かかる事情は、例えば露光ヘッドを主走査方向に駆動しつつ、固定されたステージ上の基板を露光する装置においても同様である。これに対して、特許文献1、2では、真直度については何ら考慮されていない。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、ステージあるいは露光ヘッドといった駆動対象を駆動機構で主走査方向に駆動する際の真直度を担保して、ステージに載置された基板の適切な位置に露光ヘッドから光を照射することを可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る露光方法は、基板が載置されるステージおよび照射範囲に光を照射する露光ヘッドのうちの一方の駆動対象を駆動機構により主走査方向へ駆動することで、駆動対象が主走査方向における第1移動範囲を移動するとともに、基板が照射範囲を相対的に主走査方向に通過する第1主走査駆動を実行する工程と、第1移動範囲における駆動対象の主走査方向への位置に応じて駆動対象の副走査方向への位置を補正するための第1補正量を示す第1真直補正情報に基づき、第1主走査駆動の実行中に駆動対象の副走査方向への位置を駆動機構によって補正する第1真直補正動作を実行する工程と、第1主走査駆動の実行中に露光ヘッドから照射範囲に光を照射することで、基板において主走査方向に延びる領域を露光する露光動作を実行する工程とを備える。
【0008】
本発明に係る露光装置は、基板が載置されるステージと、照射範囲に光を照射する露光ヘッドと、ステージおよび露光ヘッドのうちの一方の駆動対象を主走査方向へ駆動する駆動機構と、主走査方向における第1移動範囲での駆動対象の主走査方向への位置に応じて駆動対象の副走査方向への位置を補正するための第1補正量を示す第1真直補正情報を記憶する記憶部と、駆動機構により駆動対象を主走査方向へ駆動することで、駆動対象が第1移動範囲を移動するとともに、基板が照射範囲を相対的に主走査方向に通過する第1主走査駆動を実行しつつ、露光ヘッドから照射範囲に光を照射することで、基板において主走査方向に延びる領域を露光する露光動作を実行する制御部とを備え、制御部は、第1真直補正情報に基づき、第1主走査駆動の実行中に駆動対象の副走査方向への位置を駆動機構によって補正する第1真直補正動作を実行する。
【0009】
このように構成された本発明(露光方法および露光装置)では、ステージおよび露光ヘッドのうちの一方の駆動対象を駆動機構により主走査方向へ駆動することで、駆動対象が主走査方向における第1移動範囲を移動するとともに、基板が照射範囲を相対的に主走査方向に通過する(第1主走査駆動)。そして、第1主走査駆動と並行して、露光ヘッドから照射範囲に光を照射することで、基板において主走査方向に延びる領域が露光される(露光動作)。特に、第1移動範囲における駆動対象の主走査方向への位置に応じて駆動対象の副走査方向への位置を補正するための第1補正量を示す第1真直補正情報に基づき、第1主走査駆動の実行中における駆動対象の副走査方向への位置が駆動機構によって補正される(第1真直補正動作)。その結果、ステージあるいは露光ヘッドといった駆動対象を駆動機構で主走査方向に駆動する際の真直度を担保して、ステージに載置された基板の適切な位置に露光ヘッドから光を照射することが可能となっている。
【0010】
また、駆動機構によって第1移動範囲を主走査方向に移動する駆動対象の副走査方向における位置を求めた結果に基づき第1真直補正情報を作成する補正情報作成動作を実行する工程をさらに備え、第1真直補正動作では、補正情報作成動作で作成された第1真直補正情報に基づき、駆動対象の副走査方向への位置を補正するように、露光方法を構成してもよい。かかる構成では、駆動機構によって第1移動範囲を主走査方向に移動する駆動対象の副走査方向における位置を求めた結果、すなわち予め真直度を求めた結果に基づき、第1真直補正情報が作成される(補正情報作成動作)。そして、第1主走査駆動を実行しつつ露光動作を実行する際には、こうして作成された第1真直補正情報に基づき駆動対象の真直度を担保することができる。
【0011】
また、補正情報作成動作では、第1移動範囲を主走査方向に移動する駆動対象の副走査方向への位置をレーザ干渉計によって測定した結果に基づき第1真直補正情報を作成するように、露光方法を構成してもよい。かかる構成では、レーザ干渉計の計測によって、駆動対象の真直度を簡単に求めることができる。
【0012】
また、基準マークが付されたテスト基板が載置されたステージを駆動対象として、駆動機構により主走査方向へ駆動することで、ステージが主走査方向における第2移動範囲を移動するとともに、テスト基板がカメラの撮像範囲を主走査方向に通過する第2主走査駆動を実行する工程と、第2主走査駆動の実行中に撮像範囲を通過する基準マークをカメラによって撮像して基準マーク画像を取得する工程と、第2移動範囲におけるステージの主走査方向への位置に応じてステージの副走査方向への位置を補正するための第2補正量を示す第2真直補正情報を、基準マーク画像が示す基準マークの副走査方向への位置に基づき作成する工程と、第1主走査駆動を実行しつつ、照射範囲を通過するテスト基板に露光ヘッドから光を照射することで、テスト基板に露光マークを描画する工程と、第2真直補正情報に基づきステージの副走査方向への位置を補正しつつ第2主走査駆動を実行して、撮像範囲を通過する露光マークをカメラで撮像して露光マーク画像を取得する工程と、露光マーク画像が示す露光マークの副走査方向への位置に基づき、第1移動範囲を移動するステージの副走査方向の位置を求めた結果に基づき第1真直補正情報を作成する工程とを、補正情報作成動作において実行するように、露光方法を構成してもよい。かかる構成では、高価なレーザ干渉計を用いることなく、駆動対象の真直度を求めることができる。
【0013】
また、駆動対象の主走査方向への位置を位置検出部によって検出して、カメラによる撮像の実行タイミングを制御する撮像タイミング制御部に送信する工程と、撮像タイミング制御部が、位置検出部から受信した駆動対象の主走査方向への位置に応じたタイミングで、カメラに撮像を実行させることで、基板のアライメントマークを撮像する工程とを備え、位置検出部と撮像タイミング制御部とは、同一の集積回路内に設けられているように、露光方法を構成してもよい。かかる構成では、位置検出部と撮像タイミング制御部とが同一の集積回路内に設けられているため、位置検出部から撮像タイミング制御部への通信遅延を抑えつつ、駆動対象の主走査方向への位置を撮像タイミング制御部へ送信できる。したがって、駆動対象の位置に応じた適切なタイミングでカメラによる撮像を実行できる。
【0014】
また、駆動対象の主走査方向への位置を位置検出部によって検出して、駆動機構による第1真直補正動作の実行タイミングを制御する補正タイミング制御部に送信する工程をさらに備え、補正タイミング制御部が、位置検出部から受信した駆動対象の主走査方向への位置に応じたタイミングで、駆動機構に第1真直補正動作を実行させ、位置検出部と補正タイミング制御部とは、同一の集積回路内に設けられているように、露光方法を構成してもよい。かかる構成では、位置検出部と補正タイミング制御部とが同一の集積回路内に設けられているため、位置検出部から補正タイミング制御部への通信遅延を抑えつつ、駆動対象の主走査方向への位置を補正タイミング制御部へ送信できる。したがって、駆動対象の位置に応じた適切なタイミングで駆動対象の副走査方向への位置を補正できる。
【0015】
ところで、基板に対しては、副走査方向において異なる複数の露光位置が設定され、複数の露光位置にそれぞれ対応する、副走査方向において異なる複数の副走査位置の間で、駆動対象の位置を駆動機構によって変更しつつ、第1主走査駆動、第1真直補正動作および露光動作を繰り返すことで、広範な範囲を露光することができる。ただし、副走査方向において駆動対象の位置(副走査位置)が変化すると、ステージから駆動機構に加わる重量のバランスが変動する。そのため、複数の副走査位置それぞれにおける駆動対象の真直度を、単一の第1真直補正情報により担保するのが困難となる可能性がある。
【0016】
そこで、第1真直補正情報は、複数の副走査位置のそれぞれについて設けられ、第1真直補正動作では、駆動対象が位置する副走査位置について設けられた第1真直補正情報に基づき駆動対象の副走査方向への位置を補正するように、露光方法を構成してもよい。かかる構成では、複数の副走査位置それぞれにおける駆動対象の真直度を担保することが可能となる。
【0017】
あるいは、第1真直補正情報は、副走査方向において異なる複数の設定位置のそれぞれについて設けられ、複数の設定位置は、複数の副走査位置よりも少なく、第1真直補正動作では、複数の設定位置のうち、駆動対象が位置する副走査位置に最も近い設定位置ついて設けられた第1真直補正情報に基づき、または、駆動対象が位置する副走査位置に最も近い設定位置について設けられた第1真直補正情報および駆動対象が位置する副走査位置に二番目に近い設定位置について設けられた第1真直補正情報を用いた線形補間によって、駆動対象の副走査方向への位置を補正するように、露光方法を構成してもよい。かかる構成では、第1真直補正情報の記憶に要するメモリ資源を抑制しつつ、複数の副走査位置それぞれにおける駆動対象の真直度を担保することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
上記のように、本発明によれば、ステージあるいは露光ヘッドといった駆動対象を駆動機構で主走査方向に駆動する際の真直度を担保して、ステージに載置された基板の適切な位置に露光ヘッドから光を照射することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は本発明にかかる露光装置の概略構成を模式的に示す正面図。
【
図2】
図1の露光装置が備える電気的構成の一例を示すブロック図。
【
図3】ステージの位置をレーザ干渉計により計測する位置計測器の一例を模式的に示す斜視図。
【
図4】アライメントマーク取得動作および露光動作を実行する制御部の詳細構成の一例を示すブロック図。
【
図6】アライメントマーク取得動作および露光動作の一例を示すフローチャート。
【
図7】
図6のフローチャートに従って実行される露光装置の動作を模式的に示す側面図。
【
図8】
図6のフローチャートの実行対象である基板の一例を模式的に示す図。
【
図9】ヨーイング補正テーブルの作成方法の一例を示すフローチャート。
【
図10】真直補正テーブルの作成方法の一例を示すフローチャート。
【
図11A】
図10の真直補正テーブル作成で実行される動作を模式的に示す図。
【
図11B】
図10の真直補正テーブル作成で実行される動作を模式的に示す図。
【
図12】
図10の真直補正テーブル作成で実行される動作を模式的に示す図。
【
図13】真直補正テーブルの作成方法の別の例を実行する構成を示すブロック図。
【
図14】真直補正テーブルの作成方法の別の例を実行する構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明にかかる露光装置の概略構成を模式的に示す正面図であり、
図2は
図1の露光装置が備える電気的構成の一例を示すブロック図である。
図1および以下の図では、水平方向であるX方向、X方向に直交する水平方向であるY方向、鉛直方向であるZ方向およびZ方向に平行な回転軸を中心とする回転方向θ(ヨー方向)を適宜示す。
【0021】
露光装置1は、レジストなどの感光材料の層が形成された基板We(露光対象基板)に所定のパターンのレーザ光を照射することで、感光材料にパターンを描画する。基板Weとしては、半導体基板、プリント基板、カラーフィルタ用基板、液晶表示装置やプラズマ表示装置に具備されるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板などの各種基板を適用可能である。
【0022】
露光装置1は本体11を備え、本体11は、本体フレーム111と、本体フレーム111に取り付けられたカバーパネル(図示省略)とで構成される。そして、本体11の内部と外部とのそれぞれに、露光装置1の各種の構成要素が配置されている。
【0023】
露光装置1の本体11の内部は、処理領域112と受け渡し領域113とに区分されている。処理領域112には、主として、ステージ2、ステージ駆動機構3、露光ユニット4およびアライメントユニット5が配置される。また、本体11の外部には、アライメントユニット5に照明光を供給する照明ユニット6が配置されている。受け渡し領域113には、処理領域112に対して基板Weの搬出入を行う搬送ロボット等の搬送装置7が配置される。さらに、本体11の内部には制御部8が配置されており、制御部8は、露光装置1の各部と電気的に接続されて、これら各部の動作を制御する。
【0024】
なお、露光装置1の本体11の外部で、受け渡し領域113に隣接する位置には、カセットCを載置するためのカセット載置部114が配置される。このカセット載置部114に対応して、本体11の内部の受け渡し領域113に配置された搬送装置7は、カセット載置部114に載置されたカセットCに収容された未処理の基板Weを取り出して処理領域112に搬入(ローディング)するとともに、処理領域112から処理済みの基板Weを搬出(アンローディング)してカセットCに収容する。カセット載置部114に対するカセットCの受け渡しは、図示しない外部搬送装置によって行われる。この未処理基板Weのローディングおよび処理済基板Weのアンローディングは制御部8からの指示に応じて搬送装置7により実行される。
【0025】
ステージ2は、平板状の外形を有し、その上面に載置された基板Weを水平に保持する。ステージ2の上面には、複数の吸引孔(図示省略)が形成されており、この吸引孔に負圧(吸引圧)を付与することによって、ステージ2上に載置された基板Weをステージ2の上面に固定する。このステージ2はステージ駆動機構3により駆動される。
【0026】
ステージ駆動機構3は、ステージ2をY方向(主走査方向)、X方向(副走査方向)、Z方向および回転方向θ(ヨー方向)に移動させるX-Y-Z-θ駆動機構である。ステージ駆動機構3は、Y方向に延設された単軸ロボットであるY軸ロボット31と、Y軸ロボット31によってY方向に駆動されるテーブル32と、テーブル32の上面においてX方向に延設された単軸ロボットであるX軸ロボット33と、X軸ロボット33によってX方向に駆動されるテーブル34と、テーブル34の上面に支持されたステージ2をテーブル34に対して回転方向θに駆動するθ軸ロボット35とを有する。
【0027】
したがって、ステージ駆動機構3は、Y軸ロボット31が有するY軸サーボモータ311によってステージ2をY方向に駆動し、X軸ロボット33が有するX軸サーボモータ331によってステージ2をX方向に駆動し、θ軸ロボット35が有するθ軸サーボモータ351によってステージ2を回転方向θに駆動することができる。また、ステージ駆動機構3は、
図1において省略するZ軸ロボットによってステージ2をZ方向に駆動することができる。かかるステージ駆動機構3は、制御部8からの指令に応じて、Y軸ロボット31、X軸ロボット33、θ軸ロボット35およびZ軸ロボットを動作させることで、ステージ2に載置された基板Weを移動させる。
【0028】
露光ユニット4は、ステージ2上の基板Weより上方に配置された露光ヘッド41と、露光ヘッド41に対してレーザ光を照射する光照射部43とを有する。光照射部43は、レーザ駆動部431、レーザ発振器432および照明光学系433を有する。そして、レーザ駆動部431の作動によりレーザ発振器432から射出されたレーザ光が、照明光学系433を介して露光ヘッド41へと照射される。露光ヘッド41は、光照射部43から照射されたレーザ光を空間光変調器によって変調して、その直下を移動する基板Weに対して落射する。こうして基板Weをレーザ光によって露光することで、パターンが基板Weに描画される(露光動作)。
【0029】
アライメントユニット5は、ステージ2上の基板Weより上方に配置されたアライメントカメラ51を有する。このアライメントカメラ51は、鏡筒、対物レンズおよびCCDイメージセンサを有し、その直下を移動する基板Weの上面に設けられたアライメントマークを撮像する。アライメントカメラ51が備えるCCDイメージセンサは、例えばエリアイメージセンサ(二次元イメージセンサ)により構成される。
【0030】
照明ユニット6は、アライメントカメラ51の鏡筒とファイバ61を介して接続され、アライメントカメラ51に対して照明光を供給する。照明ユニット6から延びるファイバ61によって導かれる照明光は、アライメントカメラ51の鏡筒を介して基板Weの上面に導かれ、基板Weでの反射光が、対物レンズを介してCCDイメージセンサに入射する。これによって、基板Weの上面が撮像されて撮像画像が取得されることになる。アライメントカメラ51は制御部8と電気的に接続されており、制御部8からの指示に応じて撮像画像を取得して、この撮像画像を制御部8に送信する。
【0031】
制御部8は、アライメントカメラ51により撮像された撮像画像が示すアライメントマークの位置を取得する(アライメントマーク取得動作)。また、制御部8は、アライメントマークの位置に基づき露光ユニット4を制御することで、露光動作において露光ヘッド41から基板Weに照射するレーザ光のパターンを調整する。そして、制御部8は、描画すべきパターンに応じて変調されたレーザ光を、露光ヘッド41から基板Weに照射することで、基板Weにパターンを描画する。
【0032】
また、露光装置1に対しては、メインPC(Personal Computer)91が設けられており、アライメントマークへの画像処理は、メインPC91により実行される。つまり、制御部8は、メインPC91がアライメントマークの撮像画像から算出したアライメントマークの位置をメインPC91から取得する。さらに、露光装置1の本体11に対しては、レーザ干渉計によってステージ2の位置を計測する位置計測器92が着脱可能に取り付けることができる。
【0033】
図3はステージの位置をレーザ干渉計により計測する位置計測器の一例を模式的に示す斜視図である。ステージ2は、Y方向における可動範囲Ytを移動し、可動範囲Ytはアライメント移動範囲Yaおよび露光移動範囲Yeを含む。ここで、アライメント移動範囲Yaは、アライメントマーク取得動作のためにステージ2がY方向に移動する範囲であり、露光移動範囲Yeは、露光動作のためにステージ2がY方向に移動する範囲である。ここの例では、アライメント移動範囲Yaと露光移動範囲Yeとは部分的に重複する。ただし、これらが重複する必要は必ずしもない。
【0034】
位置計測器92は、可動範囲YtをY方向に移動するステージ2の位置を測定することができる。この位置計測器92は、2個のレーザ干渉計921、922と、ステージ2のY方向の側面に取り付けられた2枚のミラー923、924とを有する。レーザ干渉計921、922はY方向に平行にレーザ光を射出し、ミラー923、924はY方向に垂直な鏡面であり、2個のレーザ干渉計921、922と2枚のミラー923、924とがそれぞれY方向において対向する。そして、レーザ干渉計921は、ミラー923へ向けてレーザ光を射出するとともに、ミラー923で反射されたレーザ光を検知した結果に基づき、ステージ2のY方向の位置を計測し、レーザ干渉計922は、ミラー924へ向けてレーザ光を射出するとともに、ミラー924で反射されたレーザ光を検知した結果に基づき、ステージ2のY方向の位置を計測する。
【0035】
かかる位置計測器92では、Y軸レーザ測長器92yがレーザ干渉計921により構成され、Y軸レーザ測長器92yはレーザ干渉計921の計測結果をステージ2のY方向の位置として制御部8に出力する。また、ΔY軸レーザ測長器92dがレーザ干渉計921とレーザ干渉計922とで構成され、ΔY軸レーザ測長器92dは、レーザ干渉計921が計測したステージ2のY方向の位置と、レーザ干渉計922が計測したステージ2のY方向の位置との傾き(換言すれば、差)を、ステージ2の回転方向θへの回転量として制御部8に出力する。そして、後に詳述述するように、制御部8は、位置計測器92によってステージ2の位置を測定した結果に基づき、ヨーイング補正テーブルTyを作成する(テーブル作成動作)。
【0036】
図4はアライメントマーク取得動作および露光動作を実行する制御部の詳細構成の一例を示すブロック図である。制御部8は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)である集積回路81と、例えばCPU(Central Processing Unit)やメモリにより構成された制御ボード85とを有する。
【0037】
集積回路81は、Y軸サーボモータ311に設けられたY軸エンコーダ312の出力をカウントするY軸カウンタ811を有する。さらに、集積回路81は、撮像タイミング出力部812、露光タイミング出力部813および割込み生成部814を有する。撮像タイミング出力部812は、Y軸カウンタ811から受信したステージ2のY方向の位置に応じて生成した撮像タイミングをアライメントカメラ51に与え、アライメントカメラ51はこの撮像タイミングにおいて撮像を行う。露光タイミング出力部813は、Y軸カウンタ811が示すステージ2のY方向の位置に応じて生成した露光タイミングを露光ヘッド41に与え、露光ヘッド41は、この露光タイミングにおいて露光を行う。割込み生成部814は、真直補正テーブルTsおよびヨーイング補正テーブルTyによる補正タイミングを与え、後述するステージ2の位置補正は、この補正タイミングで行われる。
【0038】
さらに、集積回路81は、Y軸位置情報出力部817を有する。このY軸位置情報出力部817には、Y軸レーザ測長器92yが測定したステージ2のY方向の位置、ΔY軸レーザ測長器92dが測定したステージ2の回転方向θの回転量およびY軸カウンタ811のカウント値が入力される。そして、Y軸位置情報出力部817は、これらの入力を制御ボード85へ出力する。
【0039】
制御ボード85は、撮像タイミング制御部851を有する。この撮像タイミング制御部851は、ステージ2のY方向の位置を示すY軸カウンタ811のカウント値と撮像タイミングとの対応関係を記憶し、集積回路81の撮像タイミング出力部812は、撮像タイミング制御部851から取得したこの対応関係に基づく撮像タイミングでアライメントカメラ51に撮像を実行させる。
【0040】
また、制御ボード85は、Y軸エンコーダ312が出力するステージ2のY方向の位置の誤差を補正するY軸スケール補正テーブル部852を有する。具体的には、ステージ2の位置補正のための較正動作が予め実行される。この較正動作では、Y軸サーボモータ311によってステージ2をY方向に移動させつつ、Y軸レーザ測長器92yが測定するステージ2のY方向の位置と、Y軸エンコーダ312の出力のY軸カウンタ811によるカウント値とが、Y軸位置情報出力部817を介してY軸スケール補正テーブル部852に送信され、Y軸スケール補正テーブル部852は、Y軸レーザ測長器92yの測定位置に対するY軸エンコーダ312のカウント値の誤差をテーブル(Y軸スケール補正テーブル)として記憶する。そして、露光動作の際には、集積回路81の露光タイミング出力部813は、Y軸カウンタ811から受け取ったY軸エンコーダ312の出力のカウント値を、当該テーブルに基づき補正して、露光ヘッド41による露光タイミングを生成する。
【0041】
また、制御ボード85は、X方向および回転方向θについて同様に設けられたX軸スケール補正テーブル部853およびθ軸スケール補正テーブル部854を有する。つまり、X軸スケール補正テーブル部853は、X軸サーボモータ331に設けられたX軸エンコーダの出力値と、ステージ2のX方向の位置との誤差を補正するテーブル(X軸スケール補正テーブル)を記憶し、この誤差を補正するための補正値を出力する。また、θ軸スケール補正テーブル部854は、θ軸サーボモータ351に設けられたθ軸エンコーダの出力値と、ステージ2の回転方向θの回転量との誤差を補正するテーブル(θ軸スケール補正テーブル)を記憶し、この誤差を補正するための補正値を出力する。
【0042】
さらに、制御ボード85は、真直補正テーブルTs(
図5A)を記憶するY軸真直補正テーブル部855を有する。
図5Aは真直補正テーブルの一例を示す図である。
図5Aの例において、真直補正テーブルTsの左の列は、Y軸カウンタ811が示すステージ2のY方向の位置(換言すれば、Y軸カウンタ811によるY軸エンコーダ312のカウント値)を可動範囲Ytに渡って1カウントずつ示し、真直補正テーブルTsの右の列は、ステージ2の位置をX方向に補正するための補正量(X方向補正量)を示す。つまり、真直補正テーブルTsは、Y軸カウンタ811が示すステージ2のY方向の位置と、X方向へのステージ2の位置の補正量との対応関係を示す。したがって、Y軸真直補正テーブル部855は、真直補正テーブルTsがステージ2のY方向の位置に対応付けて示す補正量だけ、ステージ駆動機構3によってステージ2をX方向に駆動する。これによって、Y方向に移動するステージ2の真直度が担保される。なお、後述するように、真直補正テーブルTsは、制御ボード85が備える真直補正テーブル作成部856と、メインPC91が備えるCPU911との協働によって作成される。
【0043】
このように、制御ボード85では、ステージ2の位置をX方向に補正する機能として、X軸スケール補正テーブル部853とY軸真直補正テーブル部855とが設けられている。そこで、制御ボード85は、両補正テーブル853、855それぞれの補正量を合成するX軸移動量算出部857を備える。つまり、X軸移動量算出部857は、X軸スケール補正テーブル部853が出力する補正量と、Y軸真直補正テーブル部855が出力する補正量とを加算した総補正量をX軸サーボモータ331に出力し、X軸サーボモータ331は、当該総補正量だけステージ2をX方向に駆動する。
【0044】
また、制御ボード85は、ヨーイング補正テーブルTy(
図5B)を記憶するXYヨーイング補正テーブル部858を有する。
図5Bはヨーイング補正テーブルの一例を示す図である。
図5Bの例において、ヨーイング補正テーブルTyの左の列は、Y軸カウンタ811が示すステージ2のY方向の位置(換言すれば、Y軸カウンタ811によるY軸エンコーダ312のカウント値)を可動範囲Ytに渡って1カウントずつ示し、ヨーイング補正テーブルTyの右の列は、ステージ2の位置を回転方向θに補正するための補正量(θ方向補正量)を示す。つまり、ヨーイング補正テーブルTyは、Y軸カウンタ811が示すステージ2のY方向の位置と、回転方向θへのステージ2の位置の補正量との対応関係を示す。したがって、XYヨーイング補正テーブル部858は、ヨーイング補正テーブルTyがステージ2のY方向の位置に対応付けて示す補正量だけ、ステージ駆動機構3によってステージ2を回転方向θに駆動する。これによって、Y方向に移動するステージ2のヨーイングを抑制できる。なお、後述するように、ヨーイング補正テーブルTyは、XYヨーイング補正テーブル部858によって作成される。
【0045】
このように、制御ボード85では、ステージ2の位置を回転方向θに補正する機能として、θ軸スケール補正テーブル部854とXYヨーイング補正テーブル部858とが設けられている。そこで、制御ボード85は、両補正テーブル854、858それぞれの補正量を合成するθ軸移動量算出部859を備える。つまり、θ軸移動量算出部859は、θ軸スケール補正テーブル部854が出力する補正量と、XYヨーイング補正テーブル部858が出力する補正量とを加算した総補正量をθ軸サーボモータ351に出力し、θ軸サーボモータ351は、当該総補正量だけステージ2を回転方向θに駆動する。
【0046】
図6はアライメントマーク取得動作および露光動作の一例を示すフローチャートであり、
図7は
図6のフローチャートに従って実行される露光装置の動作を模式的に示す側面図であり、
図8は
図6のフローチャートの実行対象である基板の一例を模式的に示す図である。
【0047】
図6に示すフローチャートの実行中は、Y軸真直補正テーブル部855によるステージ2の位置補正(真直補正)およびXYヨーイング補正テーブル部858によるステージ2の位置補正(ヨーイング補正)が実行される。上述の通り、これらの位置補正の実行タイミングは、割込み生成部814によって制御される。具体的には、Y軸カウンタ811が所定の複数のカウント数(例えば、10)をカウントする度に、割込み生成部814は実行指令をX軸移動量算出部857およびθ軸移動量算出部859に送信し、X軸移動量算出部857およびθ軸移動量算出部859は、実行指令を受信する度に担当する位置補正を実行する。このように、ステージ2の位置補正は1カウント毎に行われるのではない。ただし、1カウント毎にステージ2の位置補正を行っても構わない。
【0048】
ステップS101では、ステージ駆動機構3は、ステージ2のY方向への駆動を開始する。これによって、ステージ2がアライメント移動範囲Yaを移動し、ステージ2に載置された基板Weがアライメントカメラ51の撮像範囲Rc(
図7)を通過する(ステップS102)。一方、
図8に示すように、基板WeにはアライメントマークMaが付されている。したがって、アライメントカメラ51は、撮像範囲Rcを移動するアライメントマークMaを撮像して、アライメントマーク画像Iaを取得する(ステップS103、アライメントマーク取得動作)。こうして、ステージ2の先端がアライメント移動範囲Yaの一端に到達してから(
図7の「アライメントマーク取得開始時」)、ステージ2の先端がアライメント移動範囲Yaの他端に到達する(
図7の「アライメントマーク取得終了時」)間に、アライメントマーク画像Iaが撮像される。
【0049】
さらに、アライメントマーク取得動作(ステップS103)では、アライメントマーク画像Iaがアライメントカメラ51からメインPC91に送信される(
図4)。メインPC91のCPU911は、アライメントマーク画像Iaに画像処理を実行することでアライメントマークMaの位置を抽出して、制御部8に送信する。こうして、制御部8は、CPU911からアライメントマークMaの位置を取得する(アライメントマーク取得動作)。そして、制御部8は、アライメントマーク取得動作により取得したアライメントマークMaの位置に基づき、基板Weへ照射する光のパターンを調整する。
【0050】
また、ステージ2がアライメント移動範囲Yaの他端に到達する少し前に、ステージ2が露光移動範囲Yeの一端に到達する。これによって、ステージ2が露光移動範囲Yeを移動し、ステージ2に載置された基板Weが露光ヘッド41の照射範囲Re(
図7)を通過する(ステップS104)。また、基板Weの照射範囲Reの通過と並行して、露光ヘッド41は、照射範囲Reにレーザ光を照射することで、基板WeにおいてY方向に延びるストライプ領域Rsを露光する(露光動作)。この際、照射範囲Reに照射されるレーザ光は、上述の通り、アライメントマークMaの位置に基づき調整されている。こうして、ステージ2の先端が露光移動範囲Yeの一端に到達してから(
図7の「露光動作開始時」)、ステージ2の先端が露光移動範囲Yeの他端に到達する(
図7の「露光動作終了時」)間に、露光動作が実行される。
【0051】
露光動作が終了すると、ステージ駆動機構3はステージ2のY方向への移動を停止する(ステップS106)。なお、
図8に示すように、基板Weに対しては、Y方向に並ぶ複数のストライプ領域Rsが設定されており、1回の露光動作では、1つのストライプ領域Rsにレーザ光が照射される。そこで、ステップS107では、全てのストライプ領域Rsに対して露光動作が実行されたかが確認される。露光動作が未実行(すなわち、未露光)のストライプ領域Rsが存在する場合には、ステージ駆動機構3は、ステージ2をX方向に駆動することで、露光ヘッド41の照射範囲Reを未露光のストライプ領域Rsに位置させて(ステップS108)、ステップS104~S106を繰り返す。ただし、この露光動作でステージ2が露光移動範囲Yeを通過する方向は、先の露光動作のそれと逆となる。こうして、ステージ2をY方向に往復させつつ複数の露光動作を実行することで、全てのストライプ領域Rsを露光することができる。
【0052】
図9はヨーイング補正テーブルの作成方法の一例を示すフローチャートである。ステップS201では、作業者あるいは作業ロボットが、位置計測器92を露光装置1の本体11に取り付ける。ステップS202では、ステージ駆動機構3がステージ2のY方向への駆動を開始する。これによって、アライメント移動範囲Yaおよび露光移動範囲Yeを含む可動範囲Ytを、ステージ2が移動する。この段階では、真直補正テーブルTsおよびヨーイング補正テーブルTyが未作成であるため、真直補正およびヨーイング補正は実行できない。したがって、ステージ駆動機構3のうち、Y軸サーボモータ311が動作する一方、X軸サーボモータ331およびθ軸サーボモータ351は停止しており、真直補正およびヨーイング補正は機能していない。
【0053】
こうして、Y軸サーボモータ311がステージ2をY方向に駆動している状態において、XYヨーイング補正テーブル部858は、ΔY軸レーザ測長器92dからの出力値(回転方向θへの回転量)と、Y軸カウンタ811からの出力値(Y方向への位置)とを互いに対応付けて、Y軸カウンタ811の1カウント毎に取得する(ステップS204)。なお、これらは、Y軸位置情報出力部817を介して取得される。これによって、Y軸カウンタ811のカウント値と、当該カウント値が示す位置に位置するステージ2の回転方向θの回転量との対応関係を示すヨーイング測定結果が得られる。
【0054】
可動範囲Ytの全域について、ヨーイング測定結果が取得されると、ステージ2のY方向の移動が停止する(ステップS205)。そして、XYヨーイング補正テーブル部858は、回転方向θにおける基準回転量θ0と、測定されたステージ2の回転方向θの回転量との誤差を求め、かかる誤差の解消に必要となる回転方向θの補正量を求めることで、ヨーイング補正テーブルTyを作成して、記憶する(ステップS206)。
【0055】
ちなみに、ステージ2のY方向への移動が停止した後に、作業者あるいは作業ロボットによって、位置計測器92を露光装置1の本体11から取り外す工程を設けてもよい。一方、
図10等を用いて説明する真直補正テーブル作成動作を続けて行う場合には、当該工程を実行しなくてもよい。
【0056】
図10は真直補正テーブルの作成方法の一例を示すフローチャートであり、
図11A、
図11Bおよび
図12は
図10の真直補正テーブル作成で実行される動作を模式的に示す図である。
図10のフローチャートの開始の前に、位置計測器92が露光装置1の本体11に取り付けられていない場合には、作業者あるいは作業ロボットによって位置計測器92が本体11に取り付けられる。
【0057】
ステップS301では、テスト基板Wtがステージ2に載置される。テスト基板Wtは、例えばガラス基板であり、テスト基板Wtの上面では、
図12に示されるように、複数のテストマークMtがY方向に配列されている。X方向における各テストマークMtの位置関係は、予め計測されて、真直補正テーブル作成部856に記憶されている。ここでは、各テストマークMtは、X方向に互いに同じ位置に設けられ、複数のテストマークMtはY方向に平行に並んでいる。さらに、テスト基板Wtのガラス基板の上面にはレジスト等の感光材料が塗布されているおり、アライメントカメラ51は、この感光材料を透過してテストマークMtを撮像することができる。
【0058】
ステップS302では、ステージ駆動機構3がステージ2のY方向への駆動を開始する。これによって、ステージ2がアライメント移動範囲Yaを移動して、テスト基板Wtがアライメントカメラ51の撮像範囲Rcを通過する。この段階では、真直補正テーブルTsが未作成であるため、真直補正は実行できない。一方、ヨーイング補正テーブルTyは作成済みであるため、ヨーイング補正は実行できる。したがって、ステージ駆動機構3のうち、Y軸サーボモータ311がステージ2をY方向に駆動している間、θ軸サーボモータ351がヨーイング補正テーブルTyに基づきステージ2を回転方向θに駆動してヨーイング補正を実行する。一方、X軸サーボモータ331は停止しており、真直補正は実行されない。
【0059】
ステップS304では、アライメントカメラ51は、撮像範囲Rcを移動するテストマークMtを撮像して、テストマーク画像Itを取得する(
図12)。こうして、ステージ2の先端がアライメント移動範囲Yaの一端に到達してから(
図11Aの「テストマーク取得開始時」)、ステージ2の先端がアライメント移動範囲Yaの他端に到達する(
図11Aの「テストマーク取得終了時」)間に、テストマーク画像Itが撮像される。
【0060】
さらに、テストマーク画像Itは、当該テストマーク画像Itが撮像された際のY軸カウンタ811のカウント値と対応付けて、アライメントカメラ51からメインPC91に送信される(
図4)。メインPC91のCPU911は、テストマーク画像Itに画像処理を実行することでテストマークMtのX方向の位置を抽出する。そして、テストマークMtのX方向の位置と、当該テストマークMtが撮像された際のY軸カウンタ811のカウント値が対応付けられて、メインPC91から制御ボード85の真直補正テーブル作成部856に送信される。
【0061】
これによって、アライメント移動範囲Yaの全域に渡るカウント値について、テストマークMtのX方向の位置、すなわちステージ2のX方向の位置を測定することができる(ステップS305)。そして、真直補正テーブル作成部856は、X方向における基準位置X0と、測定されたステージ2のX方向の位置との誤差を各カウント値について求め、かかる誤差の解消に必要となるX方向の補正量を求めることで、アライメント移動範囲Yaに対する真直補正テーブルTsを作成して、Y軸真直補正テーブル部855に記憶する(ステップS306)。
【0062】
さらに、ステージ2のY方向への駆動に伴って、ステージ2が露光移動範囲Yeを移動して、テスト基板Wtが露光ヘッド41の照射範囲Reを通過する。(ステップS307)。ステップS308では、露光ヘッド41は、照射範囲Reを移動するテスト基板Wtに光ビームを照射することで、テスト基板Wtの各テストマークMtに対して露光マークMeを描画する(
図12)。こうして、ステージ2の先端が露光移動範囲Yeの一端に到達してから(
図11Aの「露光動作開始時」)、ステージ2の先端が露光移動範囲Yeの他端に到達する(
図11Aの「露光動作終了時」)間に、露光動作が実行される。
【0063】
ステージ駆動機構3は、ステップS309でY方向へのステージ2の移動を停止させて(ステップS309)、ステップS310でアライメント移動範囲Yaの始点(一端)にステージ2を移動させる(
図11Bの「露光マーク取得開始時」)。続いて、Y軸真直補正テーブル部855は、ステップS306で作成されたアライメント移動範囲Yaに対する真直補正テーブルTsを用いた真直補正をオンにする(ステップSS311)。
【0064】
ステップS312では、ステージ駆動機構3がステージ2のY方向への駆動を開始する。これによって、ステージ2がアライメント移動範囲Yaを移動して、テスト基板Wtがアライメントカメラ51の撮像範囲Rcを通過する。この際、ステージ2に対しては、ステップS306で作成された真直補正テーブルTsに基づく真直補正が実行されている。
【0065】
ステップS314では、アライメントカメラ51は、撮像範囲Rcを移動する露光マークMeを撮像して、露光マーク画像Ieを取得する(
図12)。こうして、ステージ2の先端がアライメント移動範囲Yaの一端に到達してから(
図11Bの「露光マーク取得開始時」)、ステージ2の先端がアライメント移動範囲Yaの他端に到達する(
図11Bの「露光マーク取得終了時」)間に、露光マーク画像Ieが撮像される。
【0066】
さらに、露光マーク画像Ieは、当該露光マーク画像Ieが撮像された際のY軸カウンタ811のカウント値と対応付けて、アライメントカメラ51からメインPC91に送信される(
図4)。メインPC91のCPU911は、露光マーク画像Ieに画像処理を実行することで露光マークMeのX方向の位置を抽出する。そして、露光マークMeのX方向の位置と、当該露光マークMeが撮像された際のY軸カウンタ811のカウント値が対応付けられて、メインPC91から制御ボード85の真直補正テーブル作成部856に送信される。
【0067】
上述の通り、露光移動範囲Yeを通過するステージ2に載置されたテスト基板Wtに露光ヘッド41が光ビームを照射することで、露光マークMeが描画される。また、ステージ2に真直補正を実行しつつステージ2がアライメント移動範囲Yaを通過している際に、アライメントカメラ51が撮像した露光マークMeの画像に基づき、露光マークMeのX方向の位置が取得される。こうして取得された各露光マークMeのX方向の位置は、露光移動範囲Yeにおけるステージ2の真直度を表したものとなる。
【0068】
これによって、露光移動範囲Yeの全域に渡るカウント値について、露光マークMeのX方向の位置を測定することができる(ステップS315)。そして、真直補正テーブル作成部856は、X方向における基準位置X0と、測定されたステージ2のX方向の位置との誤差を各カウント値について求め、かかる誤差の解消に必要となるX方向の補正量を求めることで、露光移動範囲Yeに対する真直補正テーブルTsを作成して、Y軸真直補正テーブル部855に記憶する(ステップS316)。なお、上述の通り、アライメント移動範囲Yaと露光移動範囲Yeとは一部で重複する。この重複部分については、ステップS306で求めたデータおよびステップS316で求めたデータのいずれかを選択して採用すればよい。
【0069】
以上のように、ステージ2(駆動対象)をステージ駆動機構3(駆動機構)によりY方向(主走査方向)へ駆動することで、ステージ2がY方向における露光移動範囲Ye(第1移動範囲)を移動するとともに、基板Weが照射範囲ReをY方向に通過する(第1主走査駆動(ステップS104))。そして、第1主走査駆動(ステップS104)と並行して、露光ヘッド41から照射範囲Reに光を照射することで、基板WeにおいてY方向に延びるストライプ領域Rs(領域)が露光される(露光動作(ステップS105))。特に、露光移動範囲Yeにおけるステージ2のY方向への位置に応じてステージ2のX方向(副走査方向)への位置を補正するためのX方向補正量(第1補正量)を示す真直補正テーブルTs(第1真直補正情報)に基づき、第1主走査駆動(ステップS104)の実行中におけるステージ2のX方向への位置がステージ駆動機構3によって補正される(第1真直補正動作)。その結果、ステージ2をステージ駆動機構3でY方向に駆動する際の真直度を担保して、ステージ2に載置された基板Weの適切な位置に露光ヘッド41から光を照射することが可能となっている。
【0070】
また、ステージ駆動機構3によって露光移動範囲YeをY方向に移動するステージ2のX方向における位置を求めた結果に基づき真直補正テーブルTsを作成する補正情報作成動作(ステップS307~S316)を実行する工程が具備されている。そして、第1真直補正動作では、補正情報作成動作で作成された真直補正テーブルTsに基づき、ステージ2のX方向への位置が補正される。かかる構成では、ステージ駆動機構3によって露光移動範囲YeをY方向に移動するステージ2のX方向における位置を求めた結果、すなわち予め真直度を求めた結果に基づき、真直補正テーブルTsが作成される(補正情報作成動作)。そして、第1主走査駆動(ステップS104)を実行しつつ露光動作(ステップS105)を実行する際には、こうして作成された真直補正テーブルTsに基づきステージ2の真直度を担保することができる。
【0071】
特に、ステップS303では、テストマークMt(基準マーク)が付されたテスト基板Wtが載置されたステージ2をステージ駆動機構3によりY方向へ駆動することで、ステージ2がY方向におけるアライメント移動範囲Ya(第2移動範囲)を移動するとともに、テスト基板Wtがアライメントカメラ51の撮像範囲RcをY方向に通過する第2主走査駆動が実行される。また、ステップS304では、この第2主走査駆動の実行中に撮像範囲Rcを通過するテストマークMtをアライメントカメラ51によって撮像してテストマーク画像Itが取得される。そして、ステップS305、S306では、アライメント移動範囲Yaにおけるステージ2のY方向への位置に応じてステージ2のX方向への位置を補正するためのX方向補正量(第2補正量)を示す真直補正テーブルTs(第2真直補正情報)が、テストマーク画像Itが示すテストマークMtのX方向への位置に基づき作成される。さらに、ステージ2が露光移動範囲Yeを移動するとともに、基板Weが照射範囲ReをY方向へ通過する状態(第1主走査駆動)において、照射範囲Reを通過するテスト基板Wtに露光ヘッド41から光ビームを照射することで、テスト基板Wtに露光マークMeが描画される。そして、真直補正テーブルTsに基づきステージ2のX方向への位置を補正しつつ、ステージ2がアライメント移動範囲Yaを移動するとともに、テスト基板Wtがアライメントカメラ51の撮像範囲RcをY方向へ通過する状態(第2主走査駆動)において、撮像範囲Rcを通過する露光マークMeをアライメントカメラ51により撮像して露光マーク画像Ieが取得される(ステップS310~S314)。そして、露光マーク画像Ieが示す露光マークMeのX方向への位置に基づき、露光移動範囲Yeを移動するステージ2のX方向の位置を求めた結果に基づき真直補正テーブルTsが作成される(ステップS315、S316)。かかる構成では、高価なレーザ干渉計を用いることなく、ステージ2の真直度を求めることができる。
【0072】
また、ステージ2のY方向への位置がY軸カウンタ811(位置検出部)によって検出されて、撮像タイミング出力部812(撮像タイミング制御部)に送信される。そして、撮像タイミング出力部812は、Y軸カウンタ811から受信したステージ2のY方向への位置に応じたタイミングで、アライメントカメラ51に撮像を実行させることで、基板WeのアライメントマークMaを撮像する。ここで、Y軸カウンタ811と撮像タイミング出力部812とは、同一の集積回路81(FPGA)内に設けられている。そのため、Y軸カウンタ811から撮像タイミング出力部812への通信遅延を抑えつつ、ステージ2のY方向への位置を撮像タイミング出力部812へ送信できる。したがって、ステージ2の位置に応じた適切なタイミングでアライメントカメラ51による撮像を実行できる。
【0073】
また、ステージ2のY方向への位置がY軸カウンタ811(位置検出部)によって検出されて、割込み生成部814(補正タイミング制御部)に送信される。そして、割込み生成部814は、Y軸カウンタ811から受信したステージ2のY方向への位置に応じたタイミングで、真直補正テーブルTsに基づく真直補正(第1真直補正動作)をステージ駆動機構3に実行させる。ここで、Y軸カウンタ811と割込み生成部814とは、同一の集積回路81(FPGA)内に設けられている。そのため、Y軸カウンタ811から割込み生成部814への通信遅延を抑えつつ、ステージ2のY方向への位置を割込み生成部814へ送信できる。したがって、ステージ2の位置に応じた適切なタイミングでステージ2のX方向への位置を補正できる。
【0074】
以上に説明した実施形態では、露光装置1が本発明の「露光装置」の一例に相当し、ステージ2が本発明の「ステージ」および「駆動対象」の一例に相当し、ステージ駆動機構3が本発明の「駆動機構」の一例に相当し、露光ヘッド41が本発明の「露光ヘッド」の一例に相当し、アライメントカメラ51が本発明の「カメラ」の一例に相当し、制御部8が本発明の「制御部」および「記憶部」の一例に相当し、集積回路81が本発明の「集積回路」の一例に相当し、Y軸カウンタ811が本発明の「位置検出部」の一例に相当し、撮像タイミング出力部812が本発明の「撮像タイミング制御部」の一例に相当し、割込み生成部814が本発明の「補正タイミング制御部」の一例に相当し、アライメントマークMaが本発明の「アライメントマーク」の一例に相当し、露光マークMeが本発明の「露光マーク」の一例に相当し、テストマークMtが本発明の「基準マーク」の一例に相当し、アライメント移動範囲Yaに対する真直補正テーブルTsが本発明の「第2真直補正情報」の一例に相当し、露光移動範囲Yeに対する真直補正テーブルTsが本発明の「第1真直補正情報」の一例に相当し、撮像範囲Rcが本発明の「撮像範囲」の一例に相当し、照射範囲Reが本発明の「照射範囲」の一例に相当し、基板Weが本発明の「基板」の一例に相当し、テスト基板Wtが本発明の「テスト基板」の一例に相当し、X方向が本発明の「副走査方向」の一例に相当し、Y方向が本発明の「主走査方向」の一例に相当し、アライメント移動範囲Yaが本発明の「第2移動範囲」の一例に相当し、露光移動範囲Yeが本発明の「第1移動範囲」の一例に相当し、ステップS104あるいはステップS307が本発明の「第1主走査駆動」の一例に相当し、ステップS105が本発明の「露光動作」の一例に相当し、ステップS303が本発明の「第2主走査駆動」の一例に相当し、ステップS307~S316が本発明の「補正情報作成動作」の一例に相当し、露光移動範囲Yeを移動するステージ2対する真直補正が本発明の「第1真直補正動作」の一例に相当する。
【0075】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、真直補正テーブルTsを作成する方法は上記の例に限られない。
図13は真直補正テーブルの作成方法の別の例を実行する構成を示すブロック図であり、
図14は真直補正テーブルの作成方法の別の例を実行する構成を示す斜視図である。
【0076】
かかる別の例では、ステージ2のX方向への位置をレーザ干渉計により計測する。つまり、この位置計測器92は、
図3に示す構成に加えて、ステージ2のX方向の側面に取り付けられたレーザ干渉計925と、Y方向においてステージ2の移動範囲に渡って延設されたミラー926とを有する。レーザ干渉計925はX方向に平行にレーザ光を射出し、ミラー926はX方向に垂直な鏡面であり、レーザ干渉計925とミラー926とがX方向において対向する。そして、レーザ干渉計925は、ミラー926へ向けてレーザ光を射出するとともに、ミラー926で反射されたレーザ光を検知した結果に基づき、ステージ2のX方向の位置を計測する。
【0077】
そして、X軸レーザ測長器92xがレーザ干渉計925により構成され、X軸レーザ測長器92xは、レーザ干渉計925が計測したステージ2のX方向の位置を制御部8に出力する。そして、制御部8は、位置計測器92によってステージ2の位置を測定した結果に基づき、真直補正テーブルTsを作成する。
【0078】
つまり、ステージ2がY方向に移動する間、制御部8の真直補正テーブル作成部856は、Y軸カウンタ811が出力するカウント値と、X軸レーザ測長器92xが出力するステージ2のX方向の位置とを対応付けて、Y軸カウンタ811の1カウント毎に取得する。これによって、Y軸カウンタ811のカウント値と、当該カウント値が示す位置に位置するステージ2のX方向の位置との対応関係を示す真直測定結果が得られる。
【0079】
可動範囲Ytの全域について、真直測定結果が取得されると、ステージ2のY方向の移動が停止する。そして、真直補正テーブル作成部856は、X方向における基準位置X0と、測定されたステージ2のX方向の位置との誤差を求め、かかる誤差の解消に必要となるX方向の補正量を求めることで、真直補正テーブルTsを作成して、Y軸真直補正テーブル部855に記憶する。
【0080】
つまり、この別の例では、補正情報作成動作において、露光移動範囲YeをY方向に移動するステージ2のX方向への位置をレーザ干渉計によって測定した結果に基づき真直補正テーブルTsを作成する。かかる構成では、レーザ干渉計の計測によって、ステージ2の真直度を簡単に求めることができる。
【0081】
ところで、
図8に示すように、基板Weに対しては、X方向(副走査方向)において異なる複数のストライプ領域Rs(露光位置)が設定されている。そこで、複数のストライプ領域Rsにそれぞれ対応する、X方向において異なる複数の副走査位置の間で、ステージ2の位置をステージ駆動機構3によって変更しつつ、第1主走査駆動、第1真直補正動作および露光動作を繰り返すことで、基板Weの全体が露光される。ただし、X方向においてステージ2の位置(副走査位置)が変化すると、ステージ2からステージ駆動機構3に加わる重量のバランスが変動する。そのため、複数の副走査位置それぞれにおけるステージ2の真直度を、単一の真直補正テーブルTsにより担保するのが困難となる可能性がある。
【0082】
そこで、複数の副走査位置(換言すれば、複数のストライプ領域Rs)のそれぞれについて、真直補正テーブルTsを設けてもよい。具体的には、複数の副走査位置でステージ2の位置を変更しつつ、上述した真直補正テーブルTsを作成する動作を各副走査位置について実行すればよい。かかる構成では、複数のストライプ領域Rsのうち、一のストライプ領域Rsに対応する一の副走査位置にステージ2が位置する場合には、Y方向に駆動されるステージ2のX方向の位置が、当該一の副走査位置(換言すれば、一のストライプ領域Rs)に対して設けられた真直補正テーブルTsに基づき補正される。これによって、複数の副走査位置それぞれにおけるステージ2のY方向への真直度を担保することが可能となる。
【0083】
あるいは、複数のストライプ領域Rsのそれぞれに真直補正テーブルTsを設けるのではなく、真直補正テーブルTsの個数を、ストライプ領域Rsの個数より少なく抑えてもよい。具体的には、真直補正テーブルTsは、X方向において異なる複数の設定位置のそれぞれについて設けられ、複数の設定位置は、複数の副走査位置(換言すれば、複数のストライプ領域Rs)よりも少ない。かかる構成では、複数のストライプ領域Rsのうち、一のストライプ領域Rsに対応する一の副走査位置にステージ2が位置する場合には、複数の設定位置のうち、当該一の副走査位置に最も近い設定位置に対して設けられた真直補正テーブルTsに基づき、Y方向に駆動されるステージ2のX方向の位置が補正される。これによって、真直補正テーブルTsの記憶に要するメモリ資源を抑制しつつ、複数の副走査位置それぞれにおけるステージ2のY方向への真直度を担保することが可能となる。なお、上記に代えて、複数の設定位置のうち、当該一の副走査位置に最も近い設定位置に対して設けられた真直補正テーブルTsと、当該一の副走査位置に二番目に近い設定位置に対して設けられた真直補正テーブルTsとからそれぞれ取得した補正量を用いた線形補間によって、Y方向に駆動されるステージ2のX方向の位置の補正量を算出してもよい。
【0084】
なお、ヨーイング補正テーブルTyについても、複数の副走査位置あるいは設定位置のそれぞれに対して設けるように構成することができる。
【0085】
さらに、上記以外の変形を加えることができる。例えば、
図10の例において真直補正テーブルTsを作成する際に、ステージ2のヨーイングの補正を行わなくてもよい。
【0086】
また、ステージ駆動機構3のX軸ロボット33によるステージ2の真直度、すなわち、ステージ2のX方向の真直度が十分に担保されない場合が想定される。このような場合、上述のように、複数の副走査位置でステージ2の位置を変更しつつ露光動作を行うことで、複数のストライプ領域Rsのそれぞれを露光する構成では、露光動作を開始する際のステージ2のY方向における位置(露光スタート位置)が、複数の副走査位置(換言すれば、複数のストライプ領域Rs)の間でばらつくおそれがある。そこで、複数の副走査位置の間におけるステージ2の露光スタート位置のばらつきを予め測定した結果に基づき、当該ばらつきを解消するための補正量を示す補正テーブルを作成してもよい。かかる構成では、この補正テーブルに基づきY方向におけるステージ2の位置を補正することで、露光スタート位置のばらつきを抑えつつ、基板Weに露光動作を実行することができる。
【0087】
また、真直補正を行うための情報は、真直補正テーブルTsのようなテーブル形式ではなく、数式によって保持してもよい。同様に、ヨーイング補正を行うための情報は、ヨーイング補正テーブルTyのようなテーブル形式ではなく、数式によって保持してもよい。その他のテーブルによって示された各種情報も同様である。
【0088】
また、ステージ2ではなく、アライメントカメラ51や露光ヘッド41を駆動することで、アライメントカメラ51および露光ヘッド41に対してステージ2を相対的に移動させてもよい。
【0089】
また、集積回路81と制御ボード85との間で各機能部811~817、851~859の配置を入れ換えてもよい。さらに言えば、制御部8を集積回路81と制御ボード85に分割して構成する必要はなく、一体的に構成してもよい。また、メインPC91は露光装置1に一体的に取り付けられていてもよい。
【0090】
また、テスト基板Wtに設けられたテストマークMtの態様は、
図12の例に限られない。例えば、Y方向に平行に延設された単一の直線を、テストマークMtとしてテスト基板Wtに設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
この発明は、例えば半導体ウエハあるいはガラス基板等の基板にパターンを形成するために基板を露光する技術分野に好適である。
【符号の説明】
【0092】
1…露光装置
2…ステージ(駆動対象)
3…ステージ駆動機構(駆動機構)
41…露光ヘッド
51…アライメントカメラ(カメラ)
8…制御部(制御部、記憶部)
81…集積回路
811…Y軸カウンタ(位置検出部)
812…撮像タイミング出力部(撮像タイミング制御部)
814…割込み生成部(補正タイミング制御部)
Ma…アライメントマーク
Me…露光マーク
Mt…テストマーク(基準マーク)
Ts…真直補正テーブル(第1・第2真直補正情報)
Rc…撮像範囲
Re…照射範囲
We…基板
Wt…テスト基板
X…X方向(副走査方向)
Y…Y方向(主走査方向)
Ya…アライメント移動範囲(第2移動範囲)
Ye…露光移動範囲(第1移動範囲)
S104、S307…ステップ(第1主走査駆動)
S105…ステップ(露光動作)
S303…ステップ(第2主走査駆動)
S307~S316…ステップ(補正情報作成動作)