(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137851
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】ターボチャージャ
(51)【国際特許分類】
F02B 39/00 20060101AFI20220914BHJP
【FI】
F02B39/00 T
F02B39/00 D
F02B39/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037544
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】上村 章仁
(72)【発明者】
【氏名】樹杉 剛
【テーマコード(参考)】
3G005
【Fターム(参考)】
3G005EA05
3G005EA14
3G005FA51
3G005GB86
(57)【要約】
【課題】タービン流路形成プレートをハウジングに対して適正に保持しつつも、タービン流路形成プレートの熱伸びを許容すること。
【解決手段】弾性部材52は、タービンハウジング13の外部に配置されるとともにタービン流路形成プレート40をハウジング11に対して保持するための弾性力を発生させる。押付部53は、タービンハウジング13の内部に配置されるとともに弾性部材52の弾性力によってタービン流路形成プレート40をハウジング11に対して押し付ける。伝達部材54は、押付部53に弾性部材の弾性力を伝達する。タービン流路形成プレート40は、ハウジング11に対して、押付部53がタービン流路形成プレート40をハウジング11に対して押し付ける押付方向に対して交差する方向へ相対移動可能に構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンホイールを収容するタービンハウジングを有するハウジングと、
前記タービンハウジング内に前記タービンホイールを囲繞するように形成されるとともにエンジンから排出される排ガスが流れるタービン流路と、
前記タービンハウジングの内部に配置されるとともに前記タービン流路の内壁を形成するタービン流路形成プレートと、を備えたターボチャージャであって、
前記タービンハウジングの外部に配置されるとともに前記タービン流路形成プレートを前記ハウジングに対して保持するための弾性力を発生させる弾性部材と、
前記タービンハウジングの内部に配置されるとともに前記弾性部材の弾性力によって前記タービン流路形成プレートを前記ハウジングに対して押し付ける押付部と、
前記押付部に前記弾性部材の弾性力を伝達する伝達部材と、を備え、
前記タービン流路形成プレートは、前記ハウジングに対して、前記押付部が前記タービン流路形成プレートを前記ハウジングに対して押し付ける押付方向に対して交差する方向へ相対移動可能に構成されていることを特徴とするターボチャージャ。
【請求項2】
前記ハウジングは、インペラシャフトを回転可能に支持するベアリングハウジングを有し、
前記ベアリングハウジングには、前記弾性部材を収容する収容室が形成されており、
前記タービンハウジング内には、
前記タービンホイールが収容されるタービン室と、
前記タービン流路と前記タービン室とを連通する連通流路と、が形成され、
前記タービンハウジングの内部には、前記連通流路における前記ベアリングハウジングとは反対側の内壁を形成するシュラウド部が配置されており、
前記タービン流路形成プレートは、前記タービン流路よりも内周側で前記インペラシャフトの回転軸線に対して交差する方向へ延びるとともに前記シュラウド部を介して前記ハウジングに保持される保持部を有し、
前記保持部は、前記シュラウド部における前記連通流路とは反対側の面である被押付面に対して前記押付部によって押し付けられており、
前記保持部には、前記伝達部材が挿通される挿通孔が形成されており、
前記伝達部材は、前記収容室から前記ベアリングハウジング及び前記シュラウド部を少なくとも貫通するとともに前記被押付面から突出して前記挿通孔の内側を通過しており、
前記押付部は、前記伝達部材における前記挿通孔の内側を通過した部位に設けられ、
前記挿通孔と前記伝達部材との間の空間は、前記押付方向に対して交差する方向への前記タービン流路形成プレートの移動を許容することを特徴とする請求項1に記載のターボチャージャ。
【請求項3】
前記押付部と前記伝達部材とは一体形成されていることを特徴とする請求項2に記載のターボチャージャ。
【請求項4】
前記伝達部材における前記被押付面から突出した部位は雄ねじ部であり、
前記押付部は、前記雄ねじ部に螺合されるナットであることを特徴とする請求項2に記載のターボチャージャ。
【請求項5】
前記保持部と前記押付部との間には、ワッシャが介在されており、
前記ワッシャの外周部は、前記押付部よりも外方へ突出していることを特徴とする請求項2~請求項4のいずれか一項に記載のターボチャージャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボチャージャに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボチャージャのハウジングは、タービンハウジングを有している。タービンハウジングは、タービンホイールを収容する。タービンハウジング内には、タービン流路が形成されている。タービン流路は、タービンホイールを囲繞するように形成されている。タービン流路には、エンジンから排出される排ガスが流れる。
【0003】
また、ターボチャージャのタービンハウジングよりも排ガスの流れ方向の下流には、排ガスを浄化する触媒が設けられている。触媒は、活性化温度以上に温度が上昇することで、排ガスの浄化能力を発揮する。そのため、タービンハウジングの内部を通過した排ガスの温度が低いときには、触媒の温度が活性化温度以上に上昇せず、触媒による排ガスの浄化が十分に行われない虞がある。
【0004】
一般的に、タービンハウジングは、剛性を確保する必要があることから、例えば、鋳造により肉厚に形成されているため、質量が大きく、熱容量が大きい。このため、タービンハウジングの内部を流れる排ガスは、タービンハウジングの内部を流れる間にタービンハウジングによって熱が奪われて、温度が低下し易い。その結果、触媒の温度が活性化温度以上に上昇するまでの時間が長くなる。よって、例えば、エンジンの冷間始動時などの触媒の早期暖機が要求される運転条件のときに、触媒の温度を早期に活性化温度以上に上昇させることができない。
【0005】
そこで、例えば特許文献1のターボチャージャのように、タービン流路の内壁を形成するタービン流路形成プレートを、タービンハウジングの内部に配置することが考えられている。タービン流路形成プレートは、タービンハウジングへの排ガスの熱の伝達を抑制する。その結果、排ガスがタービンハウジングの内部を流れる間に生じる排ガスの温度の低下が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、タービン流路形成プレートは、ハウジングに対して保持されている必要がある。ここで、例えば、タービン流路形成プレートとタービンハウジングとに熱膨張差が生じる場合、タービン流路形成プレートが、例えば、ハウジングに対して相対移動不能な状態で保持されていると、タービン流路形成プレートが排ガスの熱によって暖められたときに生じるタービン流路形成プレートの熱伸びが許容され難い。タービン流路形成プレートの熱伸びが許容されなくなると、タービン流路形成プレートに過大な応力が局所的に作用してしまうため、タービン流路形成プレートが変形してしまう虞がある。したがって、タービン流路形成プレートは、排ガスの熱によって暖められたときに熱伸びが許容される程度にハウジングに対して保持されていることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するターボチャージャは、タービンホイールを収容するタービンハウジングを有するハウジングと、前記タービンハウジング内に前記タービンホイールを囲繞するように形成されるとともにエンジンから排出される排ガスが流れるタービン流路と、前記タービンハウジングの内部に配置されるとともに前記タービン流路の内壁を形成するタービン流路形成プレートと、を備えたターボチャージャであって、前記タービンハウジングの外部に配置されるとともに前記タービン流路形成プレートを前記ハウジングに対して保持するための弾性力を発生させる弾性部材と、前記タービンハウジングの内部に配置されるとともに前記弾性部材の弾性力によって前記タービン流路形成プレートを前記ハウジングに対して押し付ける押付部と、前記押付部に前記弾性部材の弾性力を伝達する伝達部材と、を備え、前記タービン流路形成プレートは、前記ハウジングに対して、前記押付部が前記タービン流路形成プレートを前記ハウジングに対して押し付ける押付方向に対して交差する方向へ相対移動可能に構成されている。
【0009】
これによれば、伝達部材を介して押付部に伝達される弾性部材の弾性力を調整することで、タービン流路形成プレートをハウジングに対して押し付ける押付部の押付力を調整することができる。ここで、弾性部材は、タービンハウジングの外部に配置されているため、排ガスの熱の影響を受け難くなっている。よって、弾性部材が排ガスの熱の影響を受けて、弾性部材の弾性力が意図せず変化してしまうといった問題を回避することができる。したがって、押付部の押付力を、タービン流路形成プレートをハウジングに対して適正に保持しつつも、タービン流路形成プレートが排ガスの熱によって暖められたときには、タービン流路形成プレートの熱伸びを許容することができる程度の押付力にすることができる。そして、タービン流路形成プレートが、ハウジングに対して、押付部がタービン流路形成プレートをハウジングに対して押し付ける押付方向に対して交差する方向へ相対移動可能に構成されている。したがって、タービン流路形成プレートが排ガスの熱によって暖められたときに、タービン流路形成プレートの熱伸びを許容することができる。以上により、タービン流路形成プレートをハウジングに対して適正に保持しつつも、タービン流路形成プレートの熱伸びを許容することができる。
【0010】
上記ターボチャージャにおいて、前記ハウジングは、インペラシャフトを回転可能に支持するベアリングハウジングを有し、前記ベアリングハウジングには、前記弾性部材を収容する収容室が形成されており、前記タービンハウジング内には、前記タービンホイールが収容されるタービン室と、前記タービン流路と前記タービン室とを連通する連通流路と、が形成され、前記タービンハウジングの内部には、前記連通流路における前記ベアリングハウジングとは反対側の内壁を形成するシュラウド部が配置されており、前記タービン流路形成プレートは、前記タービン流路よりも内周側で前記インペラシャフトの回転軸線に対して交差する方向へ延びるとともに前記シュラウド部を介して前記ハウジングに保持される保持部を有し、前記保持部は、前記シュラウド部における前記連通流路とは反対側の面である被押付面に対して前記押付部によって押し付けられており、前記保持部には、前記伝達部材が挿通される挿通孔が形成されており、前記伝達部材は、前記収容室から前記ベアリングハウジング及び前記シュラウド部を少なくとも貫通するとともに前記被押付面から突出して前記挿通孔の内側を通過しており、前記押付部は、前記伝達部材における前記挿通孔の内側を通過した部位に設けられ、前記挿通孔と前記伝達部材との間の空間は、前記押付方向に対して交差する方向への前記タービン流路形成プレートの移動を許容するとよい。
【0011】
ベアリングハウジングに形成される収容室に弾性部材が収容されている構成は、弾性部材が排ガスの熱の影響を受け難くする構成として好適である。また、タービン流路形成プレートの保持部を、シュラウド部の被押付面に対して押付部によって押し付ける構成は、タービン流路形成プレートをハウジングに保持する構成として好適である。そして、伝達部材が挿通される挿通孔と伝達部材との間の空間が、押付部がタービン流路形成プレートをハウジングに対して押し付ける押付方向に対して交差する方向へのタービン流路形成プレートの移動を許容する。したがって、このような構成において、タービン流路形成プレートが排ガスの熱によって暖められたときに、タービン流路形成プレートの熱伸びを許容することができる。
【0012】
上記ターボチャージャにおいて、前記押付部と前記伝達部材とは一体形成されているとよい。
これによれば、例えば、押付部と伝達部材とがそれぞれ別部材である場合に比べると、部品点数を削減することができる。したがって、ターボチャージャの構成を簡素化することができる。
【0013】
上記ターボチャージャにおいて、前記伝達部材における前記被押付面から突出した部位は雄ねじ部であり、前記押付部は、前記雄ねじ部に螺合されるナットであるとよい。
これによれば、例えば、組み付け作業の際に、タービン流路形成プレートをタービンハウジングの内部に配置する前に、伝達部材を組み付けることができるため、組み付け作業性を向上させることができる。
【0014】
上記ターボチャージャにおいて、前記保持部と前記押付部との間には、ワッシャが介在されており、前記ワッシャの外周部は、前記押付部よりも外方へ突出しているとよい。
これによれば、押付部が保持部に直接接触した状態で保持部を押し付ける場合に比べると、保持部に作用する面圧を下げることができるため、タービン流路形成プレートに作用する荷重を低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、タービン流路形成プレートをハウジングに対して適正に保持しつつも、タービン流路形成プレートの熱伸びを許容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態におけるターボチャージャを示す側断面図。
【
図2】ターボチャージャの一部を拡大して示す側断面図。
【
図3】別の実施形態におけるターボチャージャの一部を拡大して示す側断面図。
【
図4】別の実施形態におけるターボチャージャの一部を拡大して示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、ターボチャージャを具体化した一実施形態を
図1及び
図2にしたがって説明する。本実施形態のターボチャージャは、車両に搭載されている。ターボチャージャは、車両のエンジンへの吸気の過給を行う。
【0018】
(ターボチャージャ10の全体構成)
図1に示すように、ターボチャージャ10は、ハウジング11を備えている。ハウジング11は、ベアリングハウジング12、タービンハウジング13、及びコンプレッサハウジング14を有している。ベアリングハウジング12、タービンハウジング13、及びコンプレッサハウジング14は、鋳造製である。タービンハウジング13の内部には、エンジン15から排出された排ガスが流れる。コンプレッサハウジング14の内部には、エンジン15へ導かれる吸気が流れる。
【0019】
ベアリングハウジング12は、シャフト挿通孔12aを有している。シャフト挿通孔12aには、インペラシャフト16が挿通されている。そして、ベアリングハウジング12は、シャフト挿通孔12aに挿通されたインペラシャフト16を回転可能に支持している。なお、図示は省略するが、ベアリングハウジング12には、インペラシャフト16のスラスト方向の荷重を受けるスラストベアリング、及びインペラシャフト16のラジアル方向の荷重を受けるラジアルベアリングが設けられている。
【0020】
タービンハウジング13は、インペラシャフト16の回転軸線が延びる方向におけるベアリングハウジング12の第1端に連結されている。なお、以下の説明では、「インペラシャフト16の回転軸線が延びる方向」を単に「インペラシャフト16の回転軸線方向」と記載する。コンプレッサハウジング14は、インペラシャフト16の回転軸線方向におけるベアリングハウジング12の第2端に連結されている。したがって、ベアリングハウジング12、タービンハウジング13、及びコンプレッサハウジング14は、一体的に組み付けられている。タービンハウジング13及びコンプレッサハウジング14は、ベアリングハウジング12に対して、インペラシャフト16の回転軸線方向の両側にそれぞれ位置している。
【0021】
インペラシャフト16の回転軸線方向の第1端には、タービンホイール17が連結されている。タービンホイール17は、インペラシャフト16と一体的に回転可能である。インペラシャフト16の回転軸線方向の第2端には、コンプレッサインペラ18が連結されている。コンプレッサインペラ18は、インペラシャフト16と一体的に回転可能である。
【0022】
コンプレッサハウジング14は、吸気口14aを有している。吸気口14aは、インペラシャフト16の回転軸線方向に延びている。また、コンプレッサハウジング14内には、コンプレッサインペラ室19、ディフューザ流路20、及びコンプレッサスクロール流路21が形成されている。コンプレッサインペラ室19は、吸気口14aに連通している。コンプレッサインペラ室19は、コンプレッサインペラ18を収容する。コンプレッサスクロール流路21は、コンプレッサインペラ室19の外周を渦巻状に周回している。ディフューザ流路20は、コンプレッサインペラ室19の周囲で環状に延びている。ディフューザ流路20は、コンプレッサインペラ室19とコンプレッサスクロール流路21とを連通する。
【0023】
(タービンハウジング13に関する構成)
タービンハウジング13内には、タービン室22が形成されている。タービン室22内には、タービンホイール17が収容されている。したがって、タービンハウジング13は、タービンホイール17を収容する。
【0024】
ターボチャージャ10は、タービン流路23を備えている。タービン流路23は、タービンハウジング13内に形成されている。タービン流路23は、タービンホイール17を囲繞するように形成されている。タービン流路23は、タービン室22の外周を渦巻状に周回している。タービン流路23には、エンジン15から排出される排ガスが流れる。
【0025】
タービンハウジング13内には、連通流路24が形成されている。連通流路24は、タービン室22の周囲で環状に延びている。連通流路24は、タービン流路23とタービン室22とを連通する。
【0026】
タービンハウジング13は、吐出口13aを有している。吐出口13aは、インペラシャフト16の回転軸線方向に延びている。吐出口13aは、配管25を介して触媒26に接続されている。触媒26は、タービンハウジング13よりも排ガスの流れ方向の下流に設けられている。触媒26は、排ガスを浄化する。触媒26は、活性化温度以上に温度が上昇することで、排ガスの浄化能力を発揮する。
【0027】
図2に示すように、ターボチャージャ10は、複数のノズルベーン27、第1プレート28、及び第2プレート29を備えている。複数のノズルベーン27は、連通流路24の流路面積を可変とし、タービン室22に導かれる排ガスの流速を調整する。複数のノズルベーン27は、連通流路24の周方向において互いに間隔を置いてそれぞれ配置されている。なお、複数のノズルベーン27は、図示しないリンク部材によって駆動する。
【0028】
第1プレート28は、環状である。第1プレート28は、連通流路24におけるベアリングハウジング12側の内壁を形成している。第1プレート28は、複数のノズルベーン27を回動可能に支持する。第1プレート28には、第1貫通孔28aが複数形成されている。各第1貫通孔28aは、第1プレート28の周方向に間隔をあけて配置されている。
【0029】
第2プレート29は、インペラシャフト16の回転軸線方向に延びる筒部30と、筒部30に連続するとともにインペラシャフト16の径方向に延びる環状部31と、を有している。第2プレート29の環状部31は、インペラシャフト16の回転軸線方向で第1プレート28と対向配置され、第1プレート28と協働して複数のノズルベーン27を回動可能に支持する。環状部31は、連通流路24におけるベアリングハウジング12とは反対側の内壁を形成している。したがって、第2プレート29は、連通流路24におけるベアリングハウジング12とは反対側の内壁を形成するシュラウド部として、タービンハウジング13の内部に配置されている。
【0030】
インペラシャフト16の回転軸線方向での第1プレート28と第2プレート29の環状部31との間隔は、柱状の複数のスペーサ32により保持されている。複数のスペーサ32は、連通流路24の周方向において互いに間隔を置いてそれぞれ配置されている。
【0031】
第2プレート29の環状部31には、第2貫通孔29aが複数形成されている。各第2貫通孔29aは、第2プレート29の周方向に間隔をあけて配置されている。各第2貫通孔29aの中心軸線は、第1プレート28の各第1貫通孔28aの中心軸線に一致している。
【0032】
(タービン流路形成プレート40の構成)
ターボチャージャ10は、タービン流路形成プレート40を備えている。タービン流路形成プレート40は、タービンハウジング13の内部に配置されている。タービン流路形成プレート40は、板金製である。したがって、タービン流路形成プレート40は、タービンハウジング13よりも熱膨張し易い。
【0033】
タービン流路形成プレート40は、タービン室22の外周を渦巻状に周回している。タービン流路形成プレート40は、流路外周壁41、流路内周壁42、流路連繋壁43、及び保持用内周壁44を有している。
【0034】
流路外周壁41は、筒状である。流路外周壁41は、タービン流路23の外周側の内壁を形成している。流路外周壁41は、第2プレート29よりもインペラシャフト16の径方向外側でタービン室22の外周を取り囲んでいる。流路外周壁41は、タービンハウジング13の内周面から離間している。
【0035】
流路内周壁42は、流路外周壁41の内側に位置している。流路内周壁42は、タービン流路23の内周側の内壁を形成している。流路内周壁42の内周面は、第2プレート29の環状部31の外周縁よりもインペラシャフト16の径方向外側に位置している。
【0036】
流路連繋壁43は、流路外周壁41におけるベアリングハウジング12とは反対側の端縁と流路内周壁42におけるベアリングハウジング12とは反対側の端縁とを繋ぐ。流路連繋壁43は、タービン流路23におけるベアリングハウジング12とは反対側に位置する内壁を形成している。流路連繋壁43の外周面は、タービンハウジング13の内周面から離間している。
【0037】
保持用内周壁44は、流路内周壁42におけるベアリングハウジング12側の端縁からインペラシャフト16の径方向内側に向けて延びている。保持用内周壁44は、環状である。保持用内周壁44は、タービン流路23よりも内周側でインペラシャフト16の回転軸線に対して直交する方向へ延びている。保持用内周壁44は、第2プレート29の環状部31における連通流路24とは反対側の面に沿って延びている。第2プレート29の環状部31における連通流路24とは反対側の面は、インペラシャフト16の回転軸線に対して直交する方向へ延びている。保持用内周壁44は、第2プレート29の環状部31における連通流路24とは反対側の面である被押付面45に対して押し付けられている。
【0038】
保持用内周壁44には、挿通孔44aが複数形成されている。各挿通孔44aは、保持用内周壁44の周方向に間隔をあけて配置されている。各挿通孔44aの中心軸線は、第2プレート29の各第2貫通孔29aの中心軸線に一致している。各挿通孔44aの孔径は、各第2貫通孔29aの孔径よりも大きい。
【0039】
ターボチャージャ10は、閉塞プレート46を備えている。閉塞プレート46は、タービンハウジング13の内部に配置されている。閉塞プレート46は、板金製である。閉塞プレート46は、環状である。閉塞プレート46は、連通流路24の外周側に位置している。閉塞プレート46は、タービン流路23におけるベアリングハウジング12側に位置する内壁を形成している。
【0040】
タービン流路23は、タービン流路形成プレート40及び閉塞プレート46によって区画されている。したがって、タービン流路形成プレート40は、タービン流路23の内壁を形成する。
【0041】
エンジン15から排出された排ガスは、タービン流路23に導入され、タービン流路23を流れて、連通流路24、タービン室22、吐出口13a、及び配管25を通過して触媒26へ流れる。タービン室22に排ガスが導入されると、タービンホイール17は、タービン室22に導入された排ガスによって回転する。そして、タービンホイール17に回転に伴って、コンプレッサインペラ18がインペラシャフト16を介してタービンホイール17と一体的に回転する。コンプレッサインペラ18が回転すると、吸気口14aを介してコンプレッサインペラ室19に導入された吸気が、コンプレッサインペラ18の回転によって圧縮されるとともに、ディフューザ流路20を通過する際に減速され、吸気の速度エネルギーが圧力エネルギーに変換される。そして、高圧となった吸気がコンプレッサスクロール流路21に吐出され、エンジン15に供給される。このようなターボチャージャ10によるエンジン15への吸気の過給が行われることで、エンジン15の吸気効率が高まり、エンジン15の性能が向上する。
【0042】
(収容室50に関する構成)
ベアリングハウジング12には、収容室50が複数形成されている。複数の収容室50は、ベアリングハウジング12におけるコンプレッサハウジング14側の端面において、インペラシャフト16の周方向に間隔を置いた位置にそれぞれ凹設されている。各収容室50は、ベアリングハウジング12に取り付けられた板状の蓋部材47によって閉塞されている。ベアリングハウジング12は、各収容室50に連通する第3貫通孔51を複数有している。各第3貫通孔51の一端は、各収容室50に連通している。各第3貫通孔51の他端は、第1プレート28の各第1貫通孔28aに連通している。
【0043】
各第3貫通孔51の中心軸線は、各第1貫通孔28aの中心軸線及び各第2貫通孔29aの中心軸線に一致している。したがって、各第1貫通孔28a、各挿通孔44a、及び各第2貫通孔29aそれぞれは、インペラシャフト16の回転軸線方向で、各収容室50に対応する位置にそれぞれ配置されている。
【0044】
(弾性部材52、押付部53、及び伝達部材54の構成)
ターボチャージャ10は、弾性部材52を複数備えている。各収容室50は、各弾性部材52を収容する。したがって、各弾性部材52は、タービンハウジング13の外部に配置されている。各弾性部材52は、例えば、コイルスプリングである。
【0045】
また、ターボチャージャ10は、押付部53と、伝達部材54と、をそれぞれ複数備えている。各押付部53と各伝達部材54とは一体形成されている。各伝達部材54は、円柱状である。各伝達部材54は、保持用内周壁44の各挿通孔44a、第2プレート29の各第2貫通孔29a、第1プレート28の各第1貫通孔28a、ベアリングハウジング12の各第3貫通孔51を通過して、各収容室50内に突出している。したがって、各挿通孔44aには、各伝達部材54が挿通されている。各伝達部材54の軸線方向は、インペラシャフト16の回転軸線方向に一致する。そして、各伝達部材54は、各収容室50からベアリングハウジング12及び第2プレート29を少なくとも貫通するとともに第2プレート29の被押付面45から突出して各挿通孔44aの内側を通過している。
【0046】
各収容室50の底面には、筒状の第1バネ受け部55が配置されている。第1バネ受け部55は、収容室50内に嵌め込まれている。伝達部材54は、第1バネ受け部55の内側を通過している。また、各伝達部材54における各収容室50に突出している部位の先端部には、筒状の第2バネ受け部56が取り付けられている。第1バネ受け部55と第2バネ受け部56とは、伝達部材54の軸線方向で対向している。第1バネ受け部55及び第2バネ受け部56は、各収容室50内において、伝達部材54の軸線方向で間隔をおいて配置されている。
【0047】
弾性部材52は、第1バネ受け部55と第2バネ受け部56との間に介在されている。弾性部材52の弾性力は、第2バネ受け部56を第1バネ受け部55から離間する方向へ付勢している。これにより、各伝達部材54が各弾性部材52の弾性力によってタービンハウジング13から離間する方向へ引っ張られている。なお、第2バネ受け部56は、伝達部材54の先端部に装着された円環状の抜け止め部材57によって、伝達部材54から抜けてしまうことが防止されている。
【0048】
押付部53は、伝達部材54における収容室50とは反対側の端部から外方に突出する円環状の鍔部である。押付部53は、タービンハウジング13の内部に配置されている。押付部53は、伝達部材54における挿通孔44aの内側を通過した部位に設けられている。押付部53は、保持用内周壁44に対して、第2プレート29の環状部31とは反対側に位置している。保持用内周壁44と押付部53との間には、環状のワッシャ58が介在されている。ワッシャ58の外周部は、押付部53よりも外方へ突出している。
【0049】
押付部53は、弾性部材52の弾性力によって伝達部材54がタービンハウジング13から離間する方向へ引っ張られることにより、保持用内周壁44を第2プレート29の被押付面45に対して押し付ける。したがって、保持用内周壁44は、第2プレート29の被押付面45に対して押付部53によって押し付けられている。そして、保持用内周壁44は、第2プレート29、各スペーサ32、及び第1プレート28を介してベアリングハウジング12に保持されている。したがって、保持用内周壁44は、第2プレート29を介してハウジング11に保持される保持部である。そして、タービン流路形成プレート40は、保持用内周壁44が被押付面45に対して押し付けられることにより、ハウジング11に保持されている。
【0050】
このように、弾性部材52は、タービン流路形成プレート40をハウジング11に対して保持するための弾性力を発生させる。伝達部材54は、押付部53に弾性部材52の弾性力を伝達する。そして、押付部53は、弾性部材52の弾性力によってタービン流路形成プレート40をハウジング11に対して押し付ける。
【0051】
弾性部材52の弾性力は、押付部53がタービン流路形成プレート40をハウジング11に対して押し付ける押付方向に対して直交する方向へのタービン流路形成プレート40の移動を、挿通孔44aと伝達部材54との間の空間分だけ移動可能な弾性力に予め設定されている。すなわち、押付部53の押付力は、押付部53がタービン流路形成プレート40をハウジング11に対して押し付ける押付方向に対して直交する方向へのタービン流路形成プレート40の移動を、挿通孔44aと伝達部材54との間の空間分だけ移動可能な押付力に予め設定されている。よって、挿通孔44aと伝達部材54との間の空間は、押付部53がタービン流路形成プレート40をハウジング11に対して押し付ける押付方向に対して直交する方向へのタービン流路形成プレート40の移動を許容する。したがって、タービン流路形成プレート40は、ハウジング11に対して、押付部53がタービン流路形成プレート40をハウジング11に対して押し付ける押付方向に対して直交する方向へ相対移動可能に構成されている。
【0052】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
タービン流路形成プレート40及び閉塞プレート46は、タービンハウジング13への排ガスの熱の伝達を抑制する。このため、排ガスは、タービンハウジング13内を流れる間に熱が奪われ難く、温度が低下し難くなっている。その結果として、触媒26の温度が活性化温度以上に上昇するまでの時間が短くなる。よって、例えば、エンジン15の冷間始動時などの触媒26の早期暖機が要求される運転条件の時に、触媒26の温度が早期に活性化温度以上に上昇し易くなる。
【0053】
ところで、タービン流路形成プレート40及びハウジング11は、熱膨張差が生じる。例えば、タービン流路形成プレート40は、タービン流路23を流れる排ガスの熱によって暖められる。このとき、弾性部材52の弾性力が、押付部53がタービン流路形成プレート40をハウジング11に対して押し付ける押付方向に対して直交する方向へのタービン流路形成プレート40の移動を、挿通孔44aと伝達部材54との間の空間分だけ移動可能な弾性力に予め設定されている。したがって、タービン流路形成プレート40が排ガスの熱によって暖められたときに、タービン流路形成プレート40が、ハウジング11に対して、押付部53がタービン流路形成プレート40をハウジング11に対して押し付ける押付方向に対して直交する方向へ熱伸びしていく。その結果、タービン流路形成プレート40に過大な応力が局所的に作用してしまうことが抑制され、タービン流路形成プレート40の変形が抑制される。
【0054】
また、弾性部材52が、タービンハウジング13の外部に配置されているため、排ガスの熱の影響を受け難くなっている。したがって、弾性部材52が排ガスの熱の影響を受けて、弾性部材52の弾性力が意図せず変化してしまうといった問題が回避されている。したがって、押付部53の押付力が、タービン流路形成プレート40をハウジング11に対して適正に保持しつつも、タービン流路形成プレート40が排ガスの熱によって暖められたときには、タービン流路形成プレート40の熱伸びを許容することができる程度の押付力に維持されている。
【0055】
(効果)
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)伝達部材54を介して押付部53に伝達される弾性部材52の弾性力を調整することで、タービン流路形成プレート40をハウジング11に対して押し付ける押付部53の押付力を調整することができる。ここで、弾性部材52は、タービンハウジング13の外部に配置されているため、排ガスの熱の影響を受け難くなっている。したがって、弾性部材52が排ガスの熱の影響を受けて、弾性部材52の弾性力が意図せず変化してしまうといった問題を回避することができる。したがって、押付部53の押付力を、タービン流路形成プレート40をハウジング11に対して適正に保持しつつも、タービン流路形成プレート40が排ガスの熱によって暖められたときには、タービン流路形成プレート40の熱伸びを許容することができる程度の押付力にすることができる。そして、タービン流路形成プレート40が、ハウジング11に対して、押付部53がタービン流路形成プレート40をハウジング11に対して押し付ける押付方向に対して直交する方向へ相対移動可能に構成されている。したがって、タービン流路形成プレート40が排ガスの熱によって暖められたときに、タービン流路形成プレート40の熱伸びを許容することができる。以上により、タービン流路形成プレート40をハウジング11に対して適正に保持しつつも、タービン流路形成プレート40の熱伸びを許容することができる。
【0056】
(2)ベアリングハウジング12に形成される収容室50に弾性部材52が収容されている構成は、弾性部材52が排ガスの熱の影響を受け難くする構成として好適である。また、タービン流路形成プレート40の保持用内周壁44を、第2プレート29の被押付面45に対して押付部53によって押し付ける構成は、タービン流路形成プレート40をハウジング11に保持する構成として好適である。そして、伝達部材54が挿通される挿通孔44aと伝達部材54との間の空間が、押付部53がタービン流路形成プレート40をハウジング11に対して押し付ける押付方向に対して直交する方向へのタービン流路形成プレート40の移動を許容する。したがって、このような構成において、タービン流路形成プレート40が排ガスの熱によって暖められたときに、タービン流路形成プレート40の熱伸びを許容することができる。
【0057】
(3)押付部53と伝達部材54とは一体形成されている。これによれば、例えば、押付部53と伝達部材54とがそれぞれ別部材である場合に比べると、部品点数を削減することができる。したがって、ターボチャージャ10の構成を簡素化することができる。
【0058】
(4)保持用内周壁44と押付部53との間には、環状のワッシャ58が介在されており、ワッシャ58の外周部は、押付部53よりも外方へ突出している。これによれば、押付部53が保持用内周壁44に直接接触した状態で保持用内周壁44を押し付ける場合に比べると、保持用内周壁44に作用する面圧を下げることができるため、タービン流路形成プレート40に作用する荷重を低減することができる。
【0059】
(5)一般的に、タービンハウジング13は、剛性を確保する必要があることから、鋳造により肉厚に形成されているため、質量が大きく、熱容量が大きい。そこで、本実施形態のタービンハウジング13の内部にタービン流路形成プレート40を配置し、タービン流路形成プレート40により、タービンハウジング13への排ガスの熱の伝達を抑制するようにした。これによれば、排ガスがタービンハウジング13の内部を流れる間に、排ガスの温度が低下してしまうことが抑制されるため、触媒26の温度が活性化温度以上に上昇するまでの時間を短くすることができる。よって、例えば、エンジン15の冷間始動時などの触媒26の早期暖機が要求される運転条件の時に、触媒26の温度を早期に活性化温度以上に上昇させることができる。
【0060】
(変更例)
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0061】
○
図3に示すように、伝達部材54における被押付面45から突出した部位が雄ねじ部60であり、押付部53Aは、雄ねじ部60に螺合されるナットであってもよい。これによれば、例えば、組み付け作業の際に、タービン流路形成プレート40をタービンハウジング13の内部に配置する前に、伝達部材54を組み付けることができるため、組み付け作業性を向上させることができる。また、押付部53Aにおける雄ねじ部60に対する螺合度合を調整することによって、タービン流路形成プレート40をハウジング11に対して押し付ける押付部53Aの押付力を調整することができる。
【0062】
○
図4に示すように、保持用内周壁44が、第2プレート29の環状部31における連通流路24側の面に沿って延びていてもよい。第2プレート29の環状部31における連通流路24側の面は、段差面61を有している。保持用内周壁44は、段差面61と各スペーサ32との間に配置されている。そして、押付部53は、弾性部材52の弾性力によって伝達部材54がタービンハウジング13から離間する方向へ引っ張られることにより、保持用内周壁44を、第2プレート29の環状部31を介して各スペーサ32に対して押し付ける。これにより、保持用内周壁44が、第2プレート29の環状部31と各スペーサ32との間で挟持された状態で、各スペーサ32及び第1プレート28を介してベアリングハウジング12に保持されている。このようにして、タービン流路形成プレート40がハウジング11に対して保持されていてもよい。
【0063】
○ 実施形態において、保持用内周壁44が、例えば、第1プレート28における連通流路24側の面に沿って延びていてもよい。保持用内周壁44は、第1プレート28と各スペーサ32との間に配置されている。そして、押付部53は、弾性部材52の弾性力によって伝達部材54がタービンハウジング13から離間する方向へ引っ張られることにより、保持用内周壁44を、第2プレート29及び各スペーサ32を介して第1プレート28に対して押し付ける。これにより、保持用内周壁44が、第1プレート28と各スペーサ32との間で挟持された状態で、第1プレート28を介してベアリングハウジング12に保持されている。このようにして、タービン流路形成プレート40がハウジング11に対して保持されていてもよい。なお、この場合、連通流路24を通過した排ガスがタービン流路23に流入されるようにするために、タービン流路形成プレート40の流路内周壁42に、連通流路24とタービン流路23とを連通する連通孔を形成する必要がある。
【0064】
○ 実施形態において、タービン流路形成プレート40は、保持用内周壁44をハウジング11に保持される保持部として機能させたが、これに限らない。ターボチャージャ10は、例えば、タービン流路形成プレート40におけるタービン流路23よりも外周側に位置する部位を、ハウジング11に保持される保持部として機能させる構成であってもよい。さらには、タービン流路形成プレート40は、タービン流路形成プレート40におけるタービン流路23よりも内周側の部位、及びタービン流路形成プレート40におけるタービン流路23よりも外周側の部位の両方に保持部を有している構成であってもよい。
【0065】
○ 実施形態において、保持用内周壁44が、例えば、インペラシャフト16の回転軸線に対して斜めに交差する方向へ延びていてもよい。この場合、例えば、第2プレート29の被押付面45が、インペラシャフト16の回転軸線に対して斜めに交差する方向へ延びており、保持用内周壁44が被押付面45に沿って延びている。この場合、挿通孔44aと伝達部材54との間の空間は、押付部53がタービン流路形成プレート40をハウジング11に対して押し付ける押付方向に対して斜めに交差する方向へのタービン流路形成プレート40の移動を許容する。要は、タービン流路形成プレート40は、ハウジング11に対して、押付部53がタービン流路形成プレート40をハウジング11に対して押し付ける押付方向に対して交差する方向へ相対移動可能に構成されていればよい。
【0066】
○ 実施形態において、保持用内周壁44が、例えば、インペラシャフト16の回転軸線方向に延びていてもよい。この場合、伝達部材54は、弾性部材52の弾性力を、インペラシャフト16の回転軸線方向からインペラシャフト16の回転軸線に対して直交する方向へ変換する変換機構を有している。これにより、押付部53がタービン流路形成プレート40をハウジング11に対して押し付ける方向が、インペラシャフト16の回転軸線に対して直交する方向となる。このようにして、インペラシャフト16の回転軸線方向に延びる保持用内周壁44を押付部53によってハウジング11に押し付けて保持するようにしてもよい。
【0067】
○ 実施形態において、弾性部材52は、コイルスプリングに限らず、例えば、皿バネ、Cリング、ウェーブスプリング、又はウェーブワッシャ等であってもよい。要は、弾性部材52は、タービン流路形成プレート40をハウジング11に対して保持するための弾性力を発生させるものであればよい。
【0068】
○ 実施形態において、伝達部材54は、円柱状でなくてもよく、例えば、ワイヤであってもよい。要は、伝達部材54は、押付部53に弾性部材52の弾性力を伝達することが可能な構成であればよい。
【0069】
○ 実施形態において、ベアリングハウジング12に収容室50が形成されていなくてもよく、例えば、コンプレッサハウジング14に弾性部材52が収容される収容室が形成されていてもよい。要は、弾性部材52は、タービンハウジング13の外部に配置されていればよい。
【0070】
○ 実施形態において、押付部53と伝達部材54とが一体形成されていなくてもよく、例えば、押付部53に圧入凹部が形成されており、伝達部材54の端部が圧入凹部に圧入されることにより、押付部53と伝達部材54とが一体的に設けられていてもよい。
【0071】
○ 実施形態において、ワッシャ58の形状は環状に限定されるものではない。
○ 実施形態において、保持用内周壁44と押付部53との間にワッシャ58が介在されていなくてもよく、押付部53が保持用内周壁44に直接接触した状態で保持用内周壁44を押し付けるようにしてもよい。
【0072】
○
図4に示す実施形態において、弾性部材52が、伝達部材54をタービンハウジング13に向けて押し出す弾性力を発生するようにしてもよい。そして、伝達部材54の先端部で各スペーサ32を押圧し、各スペーサ32が、弾性部材52の弾性力によって保持用内周壁44を第2プレート29の環状部31に対して押し付けるようにしてもよい。この場合、各スペーサ32は、押付部として機能する。また、この場合、保持用内周壁44に挿通孔44aが形成されている必要は無い。
【0073】
○ 実施形態において、例えば、第2プレート29の環状部31が、複数のノズルベーン27を支持していなくてもよく、複数のノズルベーン27は、第1プレート28のみによって回動可能に支持されていてもよい。
【0074】
○ 実施形態において、タービン流路23は、タービン室22の外周を渦巻状に周回していなくてもよい。要は、タービン流路23は、タービンホイール17を囲繞するようにタービンハウジング13内に形成されていればよい。したがって、タービン流路23を流れる排ガスは、タービン室22の外周を渦巻状に流れるものに限定されない。
【0075】
○ 実施形態において、流路内周壁42の内周面が、第2プレート29の環状部31の外周縁よりもインペラシャフト16の径方向内側に位置していてもよい。
【符号の説明】
【0076】
10…ターボチャージャ、11…ハウジング、12…ベアリングハウジング、13…タービンハウジング、15…エンジン、16…インペラシャフト、17…タービンホイール、22…タービン室、23…タービン流路、24…連通流路、29…シュラウド部としての第2プレート、40…タービン流路形成プレート、44…保持部である保持用内周壁、44a…挿通孔、45…被押付面、50…収容室、52…弾性部材、53,53A…押付部、54…伝達部材、58…ワッシャ、60…雄ねじ部。