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特開2022-13787建築用気密材および木造建築物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013787
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】建築用気密材および木造建築物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/66 20060101AFI20220111BHJP
   E04B 1/26 20060101ALI20220111BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
E04B1/66 A
E04B1/26 E
E04B1/58 505L
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104799
(22)【出願日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】P 2020111125
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520235209
【氏名又は名称】株式会社福介屋・巴創建
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】特許業務法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 高史
【テーマコード(参考)】
2E001
2E125
【Fターム(参考)】
2E001DC02
2E001EA09
2E001FA01
2E001FA02
2E001FA12
2E001GA12
2E001GA24
2E001GA63
2E001HD11
2E001HE01
2E125AA03
2E125AA13
2E125AA18
2E125AA57
2E125AB12
2E125AC23
2E125AG03
2E125AG12
2E125AG23
2E125AG25
2E125AG41
2E125BB16
2E125BB17
2E125BE01
2E125BE07
2E125BF03
2E125CA79
2E125CA91
(57)【要約】
【課題】木造建築物の屋内と床下との間に空気の流路ができることを抑制する。
【解決手段】建築用気密材は、土台と、土台上に配置される柱材と、土台上に配置されるとともに柱材の外周の一部が挿入される切り欠きが形成された下地床材と、を備える木造建築物に使用される。建築用気密材は、土台と柱材との間に配置される第1のシート部分と、第1のシート部分の周縁から立ち上がる第2のシート部分と、第2のシート部分の上端から張り出して下地床材の上面を覆う第3のシート部分、とを有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土台と、前記土台上に配置される柱材と、前記土台上に配置されるとともに前記柱材の外周の一部が挿入される切り欠きが形成された下地床材と、を備える木造建築物に使用される建築用気密材であって、
前記土台と前記柱材との間に配置される第1のシート部分と、前記第1のシート部分の周縁から立ち上がる第2のシート部分と、前記第2のシート部分の上端側から張り出して前記下地床材の上面を覆う第3のシート部分、とを有している、
建築用気密材。
【請求項2】
土台と、前記土台上に配置される柱材と、前記土台上に配置されるとともに前記柱材の外周の一部が挿入される切り欠きが形成された下地床材と、を備える木造建築物に使用される建築用気密材であって、
前記柱材の側面に接触するように配置される第5のシート部分と、前記第5のシート部分の下端側から張り出して前記下地床材の上面を覆う第6のシート部分と、を有している、
建築用気密材。
【請求項3】
土台と、前記土台上に配置される柱材と、前記土台上に配置されるとともに前記柱材の外周の一部が挿入される切り欠きが形成された下地床材と、を備える木造建築物に使用される建築用気密材であって、
前記土台と前記柱材との間に配置される第1のシート部分と、前記第1のシート部分の周縁から張り出して前記下地床材の下面を覆うとともに透明材料により形成されている第4のシート部分と、を有している、
建築用気密材。
【請求項4】
請求項3に記載の建築用気密材であって、
前記土台は、梁受け金物が設けられた第1の木材と、前記梁受け金物が挿入されるスリットが形成された第2の木材とを備えており、
前記第4のシート部分は、前記スリットより外側まで張り出している、
建築用気密材。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の建築用気密材であって、
前記建築用気密材には、前記土台または前記柱材に形成された突起部が挿入される貫通孔が形成されており、かつ、前記貫通孔を通過する基準線が示されている、
建築用気密材。
【請求項6】
請求項5に記載の建築用気密材であって、
前記建築用気密材には、前記基準線に平行であり、かつ、前記基準線の側方に位置する調整線が示されている、
建築用気密材。
【請求項7】
請求項6に記載の建築用気密材であって、
前記調整線は、第1の調整線と第2の調整線とを含んでおり、
前記第1の調整線と前記第2の調整線とは、互いに直交し、かつ、前記基準線との離間距離が互いに異なる、
建築用気密材。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の建築用気密材であって、
前記下地床材の切り欠きは矩形状であり、かつ、前記切り欠きの角部に機械加工用のルータ孔が形成されており、
前記建築用気密材は、前記ルータ孔よりも外側まで張り出している、
建築用気密材。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の建築用気密材であって、
前記建築用気密材のうち、前記柱材の軸方向視で前記柱材の周縁から張り出した部分には、前記柱材の全周にわたって外側シール材が配置されている、
建築用気密材。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の建築用気密材であって、
前記建築用気密材のうち、前記柱材の軸方向視で前記柱材の周縁から張り出した部分には、前記柱材の軸方向の一方の面が凸部であり、かつ、他方の面が凹部である変形部が、前記柱材の全周にわたって形成されている、
建築用気密材。
【請求項11】
請求項10に記載の建築用気密材であって、
前記変形部は、第1の変形部と、前記第1の変形部を囲むように形成された第2の変形部と、を含んでおり、
前記第1の変形部における前記凸部の突出方向および前記凹部の凹み方向と、前記第2の変形部における前記凸部の突出方向および前記凹部の凹み方向とは、互いに逆である、
建築用気密材。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の建築用気密材であって、
前記建築用気密材には、前記土台または前記柱材に形成された突起部が挿入される貫通孔が形成されており、
前記建築用気密材のうち、前記土台と前記柱材との間に位置し、かつ、前記貫通孔の周囲部分には、前記貫通孔の全周にわたって内側シール材が配置されている、
建築用気密材。
【請求項13】
土台と、前記土台上に配置される柱材と、前記土台上に配置されるとともに前記柱材の外周の一部が挿入される切り欠きが形成された下地床材と、を備える木造建築物の製造方法であって、
シート状または袋状の建築用気密材を準備する工程と、
前記建築用気密材を、前記土台と前記柱材との間に配置される第1のシート部分と、前記第1のシート部分の周縁から立ち上がる第2のシート部分と、前記第2のシート部分の上端側から張り出して前記下地床材の上面を覆う第3のシート部分と、を有するように配置する工程と、
前記下地床材の上面を覆う前記第3のシート部分の上に上地床材を配置する工程と、
を含む、木造建築物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、建築用気密材に関する。
【背景技術】
【0002】
木造建築物では、土台上に配置された柱と床材との間に隙間が生じることにより、木造建築物の屋内と床下との間に空気の流路が形成されて木造建築物の気密性が低下し易い。これに対して、従来、気密性の低下を抑制するための建築用気密材が知られている(下記特許文献1参照)。この建築用気密材は、シート状であって、土台と柱との間に介在する部分と、柱の周縁から突出するとともに床材の端部が載置される部分とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-64443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の建築用気密材では、種々の問題があり、改善の余地があった。
【0005】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される技術は、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本明細書に開示される建築用気密材は、土台と、前記土台上に配置される柱材と、前記土台上に配置されるとともに前記柱材の外周の一部が挿入される切り欠きが形成された下地床材と、を備える木造建築物に使用される建築用気密材であって、前記土台と前記柱材との間に配置される第1のシート部分と、前記第1のシート部分の周縁から立ち上がる第2のシート部分と、前記第2のシート部分の上端から張り出して前記下地床材の上面を覆う第3のシート部分、とを有している。本建築用気密材によれば、柱材と床材(下地床材)との間の隙間が建築用気密材によって塞がれるため、木造建築物の気密性を向上させることができる。しかも、建築用気密材の周縁(第3のシート部分)が下地床材の上面を覆うように配置されるため、建築用気密材の周縁が下方に垂れて隙間が形成されることを抑制することができる。
【0008】
(2)本明細書に開示される建築用気密材は、土台と、前記土台上に配置される柱材と、前記土台上に配置されるとともに前記柱材の外周の一部が挿入される切り欠きが形成された下地床材と、を備える木造建築物に使用される建築用気密材であって、前記柱材の側面に接触するように配置される第5のシート部分と、前記第5のシート部分の下端側から張り出して前記下地床材の上面を覆う第6のシート部分と、を有している。本建築用気密材によれば、例えば改築工事等において、既に土台上に柱材が配置された木造建築物に対して、後付けで建築用気密材を配置することにより、柱材と床材(下地床材)との間の隙間が塞がれるため、木造建築物の気密性を向上させることができる。
【0009】
(3)本明細書に開示される建築用気密材は、土台と、前記土台上に配置される柱材と、前記土台上に配置されるとともに前記柱材の外周の一部が挿入される切り欠きが形成された下地床材と、を備える木造建築物に使用される建築用気密材であって、前記土台と前記柱材との間に配置される第1のシート部分と、前記第1のシート部分の周縁から張り出して前記下地床材の下面を覆うとともに透明材料により形成されている第4のシート部分と、を有している。本建築用気密材によれば、建築用気密材は透明であるため、建築用気密材を土台上に配置した状態で、建築用気密材の直下に位置する土台の位置を確認することができる。
【0010】
(4)上記建築用気密材において、前記土台は、梁受け金物が設けられた第1の木材と、前記梁受け金物が挿入されるスリットが形成された第2の木材とを備えており、前記第4のシート部分は、前記スリットより外側まで張り出している構成としてもよい。本建築用気密材によれば、建築用気密材によって梁受け金物とスリットとの間に形成された隙間が塞がれるため、木造建築物の気密性をより効果的に向上させることができる。
【0011】
(5)上記建築用気密材において、前記建築用気密材には、前記土台または前記柱材に形成された突起部が挿入される貫通孔が形成されており、かつ、前記貫通孔を通過する基準線が示されている構成としてもよい。本建築用気密材によれば、基準線を用いて、土台の芯の位置を確認することができる。
【0012】
(6)上記建築用気密材において、前記建築用気密材には、前記基準線に平行であり、かつ、前記基準線の側方に位置する調整線が示されている構成としてもよい。本建築用気密材によれば、調整線を用いることにより、基準線が土台の芯に沿うように建築用気密材の向きを容易に調整することができる。
【0013】
(7)上記建築用気密材において、前記調整線は、第1の調整線と第2の調整線とを含んでおり、前記第1の調整線と前記第2の調整線とは、互いに直交し、かつ、前記基準線との離間距離が互いに異なる構成としてもよい。本建築用気密材によれば、第1の調整線と第2の調整線とが平行である構成に比べて、第1の調整線と第2の調整線とのそれぞれを見間違えることが抑制される。
【0014】
(8)上記建築用気密材において、前記下地床材の切り欠きは矩形状であり、かつ、前記切り欠きの角部に機械加工用のルータ孔が形成されており、前記建築用気密材は、前記ルータ孔よりも外側まで張り出している構成としてもよい。本建築用気密材によれば、下地床材に形成されたルータ孔による隙間が確実に塞がれるため、木造建築物の気密性をより効果的に向上させることができる。
【0015】
(9)上記建築用気密材において、前記建築用気密材のうち、前記柱材の軸方向視で前記柱材の周縁から張り出した部分には、前記柱材の全周にわたって外側シール材が配置されている構成としてもよい。本建築用気密材によれば、建築用気密材の張り出し部分には、前記柱材の全周にわたって外側シール材が配置されているから、木造建築物の屋内と床下との間に空気の流路ができることを、より確実に抑制することができる。
【0016】
(10)上記建築用気密材において、前記建築用気密材のうち、前記柱材の軸方向視で前記柱材の周縁から張り出した部分には、前記柱材の軸方向の一方の面が凸部であり、かつ、他方の面が凹部である変形部が、前記柱材の全周にわたって形成されている構成としてもよい。本建築用気密材によれば、建築用気密材の張り出し部分には、変形部が柱材の全周にわたって形成されているから、木造建築物の屋内と床下との間に空気の流路ができることを、より確実に抑制することができる。
【0017】
(11)上記建築用気密材において、前記変形部は、第1の変形部と、前記第1の変形部を囲むように形成された第2の変形部と、を含んでおり、前記第1の変形部における前記凸部の突出方向および前記凹部の凹み方向と、前記第2の変形部における前記凸部の突出方向および前記凹部の凹み方向とは、互いに逆である構成としてもよい。本建築用気密材によれば、第1の変形部と第2の変形部とにより、建築用気密材の張り出し部分の両面側において、木造建築物の屋内と床下との間に空気の流路ができることを、より確実に抑制することができる。
【0018】
(12)上記建築用気密材において、前記建築用気密材には、前記土台または前記柱材に形成された突起部が挿入される貫通孔が形成されており、前記建築用気密材のうち、前記土台と前記柱材との間に位置し、かつ、前記貫通孔の周囲部分には、前記貫通孔の全周にわたって内側シール材が配置されている構成としてもよい。本建築用気密材によれば、建築用気密材の貫通孔の周囲部分には、前記貫通孔の全周にわたって内側シール材が配置されている。内側シート材は、土台と柱材との間で高い圧力を受けることにより、土台や柱材との密着性が向上するため、木造建築物の屋内と床下との間に空気の流路ができることを、より確実に抑制することができる。
【0019】
(13)本明細書に開示される木造建築物の製造方法は、土台と、前記土台上に配置される柱材と、前記土台上に配置されるとともに前記柱材の外周の一部が挿入される切り欠きが形成された下地床材と、を備える木造建築物の製造方法であって、シート状または袋状の建築用気密材を準備する工程と、前記建築用気密材を、前記土台と前記柱材との間に配置される第1のシート部分と、前記第1のシート部分の周縁から立ち上がる第2のシート部分と、前記第2のシート部分の上端側から張り出して前記下地床材の上面を覆う第3のシート部分と、を有するように配置する工程と、前記下地床材の上面を覆う前記第3のシート部分の上に上地床材を配置する工程と、を含む。本建築用気密材によれば、柱材と床材(下地床材)との間の隙間が建築用気密材によって塞がれるため、木造建築物の気密性を向上させることができる。しかも、建築用気密材の周縁(第3のシート部分)が下地床材の上面を覆うように配置されるため、建築用気密材の周縁が下方に垂れて隙間が形成されることを抑制することができる。
【0020】
なお、本明細書によって開示される技術は、種々の形態で実現することが可能である。例えば、建築用気密材、該建築用気密材を用いた木造建築物の気密方法、木造建築物の製造方法等の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態における上側気密材100の外観構成を概略的に示すXY平面図
図2】上側気密材100の外観構成を概略的に示すXZ側面図
図3】下側気密材200の外観構成を概略的に示すXY平面図
図4】下地床材400の配置過程を示す説明図
図5】下地床材400の配置後の状態を示す説明図
図6】上側気密材100および柱材500の配置後の状態を示す説明図
図7】上地床材600の配置後の状態を示す説明図
図8】変形例1における上側気密材100Aの外観構成を概略的に示すXY平面図
図9】変形例2における上側気密材100Bの外観構成を概略的に示すXY平面図
図10】上側気密材100Bの配置後の状態を示す説明図
図11】変形例3における気密材100Cの外観構成を概略的に示す斜視図
図12】4つの分割気密材101C~104Cを組み合わせた状態を示すXY平面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
A.実施形態:
A-1.上側気密材100と下側気密材200の構成:
図1は、本実施形態における上側気密材100の外観構成を概略的に示すXY平面図であり、図2は、上側気密材100の外観構成を概略的に示すXZ側面図であり、図3は、下側気密材200の外観構成を概略的に示すXY平面図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとする。図4以降についても同様である。
【0023】
上側気密材100と下側気密材200とは、例えば在来工法(木造軸組工法)または金物工法により建造される木造建築物の気密性の向上のために使用される(後述の図4から図7参照)。在来工法は、木材同士を仕口加工により接合する工法であり、金物工法は、木材同士を、金属製の金物312,314(後述の図4参照)を介して接合する工法である。上側気密材100と下側気密材200とは、特許請求の範囲における建築用気密材の一例である。以下、金物工法による木造建築物を例に挙げて説明する。
【0024】
A-1-1.上側気密材100の構成:
図1および図2に示すように、上側気密材100は、内側シート部分110と、外側シート部分120と、連結シート部分130と、を備える。上側気密材100は、例えば、1枚のシート状部材を折り曲げ加工して作製することができる。上側気密材100は、例えば気密性が高い材料により形成されており、例えばプラスチック、樹脂、ゴム(エチレンプロピレンゴムなど)により形成されている。なお、上側気密材100は、さらに断熱性、非吸水性の高い材料が好ましい。上側気密材100は、透明な材料により形成されたものでもよいし、不透明な材料により形成されたものでもよい。
【0025】
内側シート部分110は、上側気密材100の内、土台300と柱材500との間に配置される部分である(後述の図6および図7参照)。内側シート部分110は、水平方向(XY平面方向)に沿って広がるシート状であり、上下方向(Z軸方向)視での形状は、柱材500の横断面(柱材500の軸方向に垂直な断面)の形状と略同一である。本実施形態では、柱材500の横断面の形状は略矩形であるため、上側気密材100の上下方向視での形状も略矩形(例えば正方形)である。内側シート部分110の中央部分には、後述の土台300から突出する柱脚金物312(「ホゾパイプ」ともいう)が挿入される貫通孔112が形成されている。内側シート部分110は、特許請求の範囲における第1のシート部分の一例であり、上下方向(Z軸方向)は、特許請求の範囲における柱材の軸方向の一例である。
【0026】
外側シート部分120は、上側気密材100の内、下地床材400の上面上に配置される部分である(後述の図6および図7参照)。外側シート部分120は、水平方向(XY平面方向)に沿って広がるシート状であり、上下方向視での形状は、内側シート部分110の周囲を囲む枠状である(図1参照)。外側シート部分120における内縁の形状は、内側シート部分110(柱材500)の形状と略同一である。外側シート部分120における外縁の形状は、内縁の形状と略同一であるが、内縁の形状とは異なる形状であってもよい。外側シート部分120は、上下方向において、内側シート部分110よりも上側に位置している(図2参照)。外側シート部分120の下面には、接合材140(例えば両面テープ、接着剤)が配置されている。なお、外側シート部分120の外側への張り出し範囲について後述する。外側シート部分120は、特許請求の範囲における第3のシート部分と伏臥部分との一例である。
【0027】
連結シート部分130は、下地床材400と柱材500との間に配置される部分である(図7参照)。連結シート部分130は、略上下方向に沿って広がるシート状であり、内側シート部分110の外縁と外側シート部分120の内縁とを、全周にわたって連結する部分である。すなわち、連結シート部分130は、内側シート部分110の周縁の全周にわたって立ち上がるように形成されており、外側シート部分120は、連結シート部分130の上端側から全周にわたって外周側に向かって張り出している。本実施形態では、外側シート部分120の内縁のサイズは、全周にわたって内側シート部分110の外縁のサイズよりも大きくなっており、連結シート部分130は、外側シート部分120から内側シート部分110に向かって内側に傾斜している(図2参照)。連結シート部分130とは、特許請求の範囲における第2のシート部分の一例である。
【0028】
A-1-2.下側気密材200の構成:
図3に示すように、下側気密材200は、全体として水平方向に沿って広がるシート状であり、上下方向視での形状は、略矩形である。下側気密材200は、例えば平板状のシートに切断加工を施すことにより作製することができる。下側気密材200は、例えば気密性が高い材料により形成されており、例えばプラスチック、樹脂、ゴム(エチレンプロピレンゴムなど)により形成されている。なお、下側気密材200は、さらに断熱性、非吸水性の高い材料が好ましい。また、下側気密材200は、有彩色であり、かつ、透明な材料により形成されている。
【0029】
下側気密材200の中央部分には、柱材500から突出する柱脚金物312が挿入される貫通孔202が形成されている。下側気密材200の内、貫通孔202を含む内側部分は、土台300と柱材500との間に配置される部分であり、下側気密材200の外側部分は、下地床材400の下面側に配置される部分である(後述の図4から図7参照)。下側気密材200の内側部分は、特許請求の範囲における第1のシート部分の一例であり、下側気密材200の外側部分は、特許請求の範囲における第4のシート部分の一例であり、柱脚金物312は、特許請求の範囲における突起部の一例である。
【0030】
下側気密材200には、基準線LMが示されている。基準線LMは、上記貫通孔202を通過する直線である。具体的には、基準線LMは、第1の基準線LM1と第2の基準線LM2とを含む。第1の基準線LM1と第2の基準線LM2とは、いずれも直線状であり、貫通孔202を中心に互いに直交している。
【0031】
下側気密材200には、調整線LNが示されている。調整線LNは、基準線LMに平行であり、かつ、基準線LMの側方(基準線LMに垂直な方向にずれた位置)に位置し、貫通孔202を通過しない直線である。具体的には、調整線LNは、第1の調整線LN1と、第2の調整線LN2とを含む。第1の調整線LN1と第2の調整線LN2とは、互いに直交し、かつ、基準線LMとの離間距離が互いに異なっている。より具体的には、調整線LNは、一対の第1の調整線LN1と、一対の第2の調整線LN2とを含む。一対の第1の調整線LN1は、互いに直交し、かつ、基準線LMからの離間距離が互いに同一(例えば105mm)である。すなわち、一方の第1の調整線LN1と第1の基準線LM1との離間距離と、他方の第1の調整線LN1と第2の基準線LM2との離間距離とは同一である。一対の第2の調整線LN2は、互いに直交し、かつ、基準線LMからの離間距離が互いに同一(例えば120mm)である。すなわち、一方の第2の調整線LN2と第1の基準線LM1との離間距離と、他方の第2の調整線LN2と第2の基準線LM2との離間距離とは同一である。各第1の調整線LN1と各第2の調整線LN2とは、基準線LMに対して互いに反対側に位置する。また、一対の第1の調整線LN1の交点P1と、一対の第2の調整線LN2の交点P2とは、貫通孔202に対して互いに反対側に位置する。なお、基準線LMと調整線LNとの離間距離は、金物工法に使用される複数種の角材のそれぞれの幅寸法の略1/2である。
【0032】
基準線LMと調整線LNとは、線種と線色との少なくとも一方が互いに異なることが好ましい。図3では、基準線LMが実線で示されており、調整線LNが点線で示されている。また、第1の調整線LN1と第2の調整線LN2とは、線種と線色との少なくとも一方が互いに異なることが好ましい。
【0033】
A-1-3.上側気密材100と下側気密材200との寸法関係:
図4は、下地床材400の配置過程を示す説明図である。図4には、土台300上に下側気密材200が配置され、その下側気密材200の上に下地床材400の一部が配置された状態が示されている。図4に示すように、土台300は、第1の木材310と第2の木材320とが互いに接合された組付体である。第1の木材310と一対の第2の木材320とは、いずれも、例えば角材である。第1の木材310には、柱脚金物312と、一対の梁受け金物314(例えば梁受け金物)が設けられている。柱脚金物312は、第1の木材310の上面から上方に突出する円筒状の部材である。各梁受け金物314は、第1の木材310の側面から突出するように設けられている。各第2の木材320の一端側には、梁受け金物314が挿入されるスリット322が形成されている。第1の木材310に設けられた梁受け金物314が各第2の木材320に形成されたスリット322に挿入され係止されることにより、第1の木材310と各第2の木材320とが互いに接合されている。
【0034】
下側気密材200は、下地床材400が配置される前に、土台300の上面上に配置される。第1の木材310から突出する柱脚金物312が下側気密材200の貫通孔202に挿入されている。上下方向視で、貫通孔202の輪郭線と柱脚金物312の外形とは、いずれも円形であり、かつ、貫通孔202の径と柱脚金物312の外径とは略同一である。このため、金物312が貫通孔202に挿入された状態で下側気密材200は金物312を中心に回転可能である。
【0035】
ここで、下側気密材200は、透明であるため、下側気密材200を土台300上に配置した状態で、下側気密材200の直下に位置する土台300の位置を確認することができる。これにより、例えば、下側気密材200が不透明である構成に比べて、作業者が下側気密材200によって土台300を踏み外したりすることを抑制できる。また、下側気密材200は、有彩色の透明であるため、下側気密材200が無彩色の透明である構成に比べて視認性が高く、その結果、作業者は、下側気密材200の配置の有無を容易に確認できる。
【0036】
本実施形態では、各木材310,320の幅寸法は、基準線LMと第1の調整線LN1との離間距離の2倍である。このため、上下方向視で、下側気密材200の第1の調整線LN1を、各木材310,320の稜線に沿うように下側気密材200を配置することにより、基準線LMが各木材310,320の芯(中心軸線)に一致することになる。すなわち、下側気密材200の基準線LMが各木材310,320の芯の位置を意味する。
【0037】
下地床材400は、土台300上に配置された下側気密材200の上に配置される。下地床材400は、土台300の上面側に配置される平板状部材である。下地床材400には切り欠き410が形成されている。切り欠き410は、例えば下地床材400の1つの頂点側に位置する。切り欠き410は矩形状であり、かつ、切り欠き410の角部に機械加工用のルータ孔420が形成されている。下地床材400は、各辺が下側気密材200の基準線LMに一致するように配置される。これにより、下地床材400の各辺を各木材310,320の芯上に位置に精度良く配置できる。
【0038】
下側気密材200の外側部分は、上下方向視で、全周にわたって、下地床材400の切り欠き410よりも外側まで張り出して下地床材400に重なる位置まで延びている。また、下側気密材200の外側部分は、ルータ孔420よりも外側まで張り出している。すなわち、上下方向視で、下側気密材200は、ルータ孔420を覆っている。さらに、下側気密材200の外側部分は、第2の木材320のスリット322よりも外側まで張り出している。すなわち、上下方向視で、下側気密材200は、スリット322と梁受け金物314との間の隙間を覆っている。
【0039】
図5は、下地床材400の配置後の状態を示す説明図である。図5には、下側気密材200が点線で示されている。図5では、4枚の下地床材400が柱脚金物312を囲むように配置されており、4枚の下地床材400に形成された切り欠き410によって、矩形状の開口が形成されている。矩形状の開口の四隅のそれぞれには、ルータ孔420が形成されている。上側気密材100は、矩形状の開口と4つのルータ孔420と第2の木材320に形成されたスリット322とを覆い、それらによって形成される隙間を塞いでいる。
【0040】
図6は、上側気密材100および柱材500の配置後の状態を示す説明図である。図6では、上側気密材100における内側シート部分110および連結シート部分130が下地床材400の矩形状の開口内に配置されている。第1の木材310から下側気密材200の貫通孔202を介して突出する柱脚金物312が、上側気密材100の貫通孔112に挿入されている。そして、上側気密材100における内側シート部分110上に柱材500が配置されている。柱脚金物312は、柱材500に形成されたホゾ孔に挿入されている。
【0041】
上側気密材100における外側シート部分120は、下地床材400の切り欠き410の周囲部分の上面を覆うとともに、4つのルータ孔420を覆っている。これにより、各ルータ孔420は、上下方向の両側から上側気密材100と下側気密材200とによって覆われている。上側気密材100の外側シート部分120と下地床材400とを、接合材140によって接合することにより、上側気密材100と下地床材400との間の密閉性を向上させることができる。
【0042】
図7は、上地床材600の配置後の状態を示す説明図である。図7には、下地床材400の上に上地床材600が配置されている。上地床材600は、例えばフローリングなど、屋内に露出する床材である。上側気密材100における外側シート部分120は、下地床材400と上地床材600との間に挟まれる。以上の工程により、上側気密材100と下側気密材200とを配置することができる。
【0043】
A-2.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態では、柱材500と下地床材400との間の隙間が上側気密材100と下側気密材200とによって塞がれるため、木造建築物の気密性を向上させることができる(図7参照)。しかも、上側気密材100における外側シート部分120が下地床材400の上面を覆うように配置されるため、上側気密材100の周縁が下方に垂れて隙間が形成されることを抑制することができる(図6および図7参照)。
【0044】
本実施形態によれば、下側気密材200は透明であるため、下側気密材200を土台300上に配置した状態で、下側気密材200の直下に位置する土台300の位置を確認することができる(図4参照)。また、本実施形態によれば、下側気密材200によって梁受け金物314とスリット322との間に形成された隙間が塞がれるため、木造建築物の気密性をより効果的に向上させることができる。また、下側気密材200に、サイズが異なる複数種の土台300(角材)に対応し、互いに直交する複数の調整線LNが示されている。これにより、第1の調整線LN1と第2の調整線LN2とが平行である構成に比べて、第1の調整線LN1と第2の調整線LN2とのそれぞれを見間違えたり邪魔になったりすることが抑制される。
【0045】
本実施形態によれば、上側気密材100と下側気密材200とによって、下地床材400に形成されたルータ孔420による隙間が確実に塞がれるため、木造建築物の気密性をより効果的に向上させることができる(図5および図6参照)。
【0046】
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0047】
上記実施形態における上側気密材100、下側気密材200の構成はあくまで一例であり、種々変形可能である。例えば上記実施形態では、上側気密材100と下側気密材200とは、それぞれ、定形性を有する材料により形成されていたが、気密性を向上するものであればよく、例えば定形性を有しない材料(例えばビニール等)により形成されたものでもよい。上側気密材100における内側シート部分110や外側シート部分120の外形は、矩形に限らず、他の多角形や円形等でもよい。下側気密材200の外形は、矩形に限らず、他の多角形や円形等でもよい。
【0048】
上記実施形態において、下側気密材200は、一部分が不透明な材料により形成されたものでもよい。また、下側気密材200は、無彩色の透明な材料により形成されたものでもよい。また、上記実施形態において、下側気密材200における各調整線LNは、一対であったが、1本でもよい。
【0049】
上記実施形態では、外側シート部分120(第3のシート部分)は、連結シート部分130(第2のシート部分)の上端から張り出していたが、外側シート部分120は、連結シート部分130の上端よりも下側の位置から張り出した構成でもよい。要するに、第3のシート部分は、第2のシート部分の上端側から張り出して下地床材の上面を覆う構成であればよい。
【0050】
上記実施形態では、金物工法による木造建築物を例に挙げて説明したが、本発明は、在来工法による木造建築物にも適用可能である。この場合、柱材から突出するホゾが特許請求の範囲における突起部の一例である。また、建築用気密材は、土台における継手と仕口との間に形成される隙間を覆うサイズであることが好ましい。
【0051】
図8は、変形例1における上側気密材100Aの外観構成を概略的に示すXY平面図である。変形例1における上側気密材100Aは、上記実施形態の上側気密材100に対して、外側シール材150と内側シール材160とが設けられている点で異なる。すなわち、上側気密材100Aにおける外側シート部分120には、全周にわたって枠状の外側シール材150が配置されている。外側シール材150は、上側気密材100A本体よりも柔軟な材料(例えばシリコン樹脂)により形成されたシール材である。外側シール材150は、上下方向視で、上側気密材100A本体(外側シート部分120)に重なる位置に配置された重複部分154と、上側気密材100A本体から外側に張り出した張り出し部分152とを有する。これにより、上側気密材100Aと下地床材400との間の隙間を、より確実に塞ぐことができる。また、上側気密材100Aにおける貫通孔112の周囲部分には、全周にわたって環状の内側シール材160が配置されている。内側シール材160は、上側気密材100A本体よりも柔軟な材料(例えばシリコン樹脂)により形成されたシール材である。内側シール材160は、上下方向視で、上側気密材100A本体(内側シート部分110)に重なる位置に配置された重複部分164と、上側気密材100A本体から貫通孔112内に張り出した張り出し部分162とを有する。内側シール材160の重複部分164は、土台300と柱材500との間で高い圧力を受けることにより、土台300や柱材500との密着性が向上する。また、内側シール材160の張り出し部分162が変形しつつ柱材500の外周面に密着する。これにより、木造建築物の屋内と床下との間に空気の流路ができることを、より確実に抑制することができる。なお、下側気密材200に対して外側シール材150や内側シール材160を設けてもよい。
【0052】
図9は、変形例2における上側気密材100Bの外観構成を概略的に示すXY平面図であり、図10は、上側気密材100Bの配置後の状態を示す説明図である。変形例2における上側気密材100Bは、上記実施形態の上側気密材100に対して、凹状部分170と凸状部分180とが形成されている点で異なる。すなわち、上側気密材100Aの外側シート部分120には、凹状部分170と凸状部分180とが形成されている。凹状部分170と凸状部分180とは、いずれも、内側シート部分110(連結シート部分130、柱材500)の全周にわたって枠状に形成されている。図10に示すように、凹状部分170は、外側シート部分120の上面が凹部174になり、外側シート部分120の下面が凸部172になるように湾曲した部分である。凹状部分170は、下地床材400の上面と壁材610の下面との間に配置され、壁材610の自重によって凹状部分170の凸部172が下地床材400の上面に押圧される。この際、凹状部分170が弾性変形することにより、凹状部分170が下地床材400の上面に密着している。これにより、床下から下地床材400と柱材500との間の隙間を介して、壁材610と下地床材400との間の隙間に入り込む空気G1の進行を遮断することができる。また、凸状部分180は、上下方向視で、凹状部分170の外周側において該凹状部分170を囲むように形成されている。凸状部分180は、外側シート部分120の上面が凸部182になり、外側シート部分120の下面が凹部184になるように湾曲した部分である。凸状部分180は、下地床材400の上面と上地床材600の下面との間に配置され、上地床材600の自重によって凸状部分180の凸部182が上地床材600の下面に押圧される。この際、凸状部分180が弾性変形することにより、凸状部分180が上地床材600の下面に密着している。これにより、室内から壁材610と上地床材600との間の隙間を介して、上地床材600と下地床材400との間の隙間に漏れ出る空気G2の進行を遮断することができる。凹状部分170と凸状部分180とは、特許請求の範囲における変形部の一例である。なお、変形例2において、凹状部分170と凸状部分180とのいずれか一方が形成されていない構成でもよいし、変形部が3つ以上形成された構成でもよい。
【0053】
図11は、変形例3における気密材100Cの外観構成を概略的に示す斜視図であり、図12は、4つの分割気密材101C~104Cを組み合わせた状態を示すXY平面図である。気密材100Cは、4つの分割気密材101C~104Cを組み合わせて構成されている。各分割気密材101C~104Cは、立ち上がりシート部分121Cと、外側シート部分111Cと、を備えている。立ち上がりシート部分121Cは、柱材500の側面に沿って延びており、該側面に接触するように配置される部分である。具体的には、立ち上がりシート部分121Cは、第1の立ち上がりシート部分122Cと、第2の立ち上がりシート部分124Cとを有している。上下方向視で、第1の立ち上がりシート部分122Cと第2の立ち上がりシート部分124Cとは互いに直交し、かつ、両者の一端同士が接合されており、立ち上がりシート部分121Cの形状は、全体としてL字状になっている。第1の立ち上がりシート部分122Cは、柱材500の一の側面に接触し、第2の立ち上がりシート部分124Cは、柱材500のうち、該一の側面に隣り合う他の側面に接触するように配置される。なお、本実施形態では、各立ち上がりシート部分122C,124Cの横幅は、柱材500の各側面の横幅と略同一である。外側シート部分111Cは、立ち上がりシート部分121Cの下端側から張り出して下地床材400の上面を覆うように配置される。具体的には、図11に示すように、外側シート部分111Cは、上下方向視で、立ち上がりシート部分121Cの外周全体を囲みつつ、立ち上がりシート部分121Cの外周側に向けて張り出している。また、外側シート部分111Cには、上記凹状部分170と凸状部分180とが、立ち上がりシート部分121Cの外周全体を囲むように形成されている。このような構成により、図12に示すように、4つの分割気密材101C~104Cを柱材500の周囲に配置することにより、気密材100Cが構成される。気密材100Cでは、柱材500の全周を覆うように配置される立ち上がりシート部分121Cと、立ち上がりシート部分121Cの下端側から全周にわたって外周側に向かって張り出している外側シート部分111Cと、から構成されている。4つの分割気密材101C~104Cのうち、互いに隣り合う2つの分割気密材は、外側シート部分111Cの一部が互いに重なり合うように配置され、外側シート部分111Cの上に上述の上地床材600が配置される。立ち上がりシート部分121Cによって、柱材500と上地床材600との間の隙間が塞がれ、外側シート部分111Cによって切り欠き410とルータ孔420とにより形成される隙間が塞がれる。これにより、例えば改築工事等において、既に土台300上に柱材500や下地床材400が配置された木造建築物に対して、後付けで気密材100Cを配置することにより、柱材500と上地床材600(下地床材400)との間の隙間が塞がれるため、木造建築物の気密性を向上させることができる。なお、立ち上がりシート部分121Cは、特許請求の範囲における第5のシート部分の一例であり、外側シート部分111Cは、特許請求の範囲における第6のシート部分の一例である。また、気密材100Cは、複数の分割気密材を組み合わせる構成に限らず、例えば、柱材500を囲む形状であり、かつ、一部に切断されており、その切断された端部同士が重ねられる構成でもよい。
【0054】
上記実施形態等の上側気密材100,100Bの連結シート部分130の全周にわたって、上記外側シール材150や内側シール材160のようなシール材や、凹状部分170や凸状部分180のような変形部が配置された構成でもよい。また、気密材100Cの外側シート部分111Cや立ち上がりシート部分121Cの全周にわたってシール材や変形部が配置された構成でもよい。
【0055】
上記実施形態における製造方法はあくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上側気密材100と下側気密材200とのいずれか一方だけを使用してもよい。
【符号の説明】
【0056】
100,100A,100B:上側気密材 100C:気密材 110:内側シート部分 112,202:貫通孔 120,111C:外側シート部分 121C:立ち上がりシート部分 130:連結シート部分 140:接合材 150:外側シール材 152,162:張り出し部分 154,164:重複部分 160:内側シール材 170:凹状部分 180:凸状部分 200:下側気密材 300:土台 310:第1の木材 312:柱脚金物 314:梁受け金物 320:第2の木材 322:スリット 400:下地床材 410:切り欠き 420:ルータ孔 500:柱材 600:上地床材 LM:基準線 LN:調整線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12