(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137890
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】積層体、成形体及び成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20220914BHJP
B32B 15/085 20060101ALI20220914BHJP
B29C 51/14 20060101ALI20220914BHJP
B29C 51/10 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
B32B27/32 Z
B32B15/085 Z
B29C51/14
B29C51/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037598
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】500163366
【氏名又は名称】出光ユニテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松浦 辰郎
(72)【発明者】
【氏名】荒木 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】竹村 英祥
(72)【発明者】
【氏名】近藤 要
【テーマコード(参考)】
4F100
4F208
【Fターム(参考)】
4F100AB00E
4F100AB01E
4F100AB10E
4F100AB13E
4F100AB16E
4F100AB17E
4F100AB18E
4F100AB21E
4F100AB24E
4F100AB25E
4F100AK00E
4F100AK03B
4F100AK07A
4F100AK25B
4F100AK25C
4F100AK51B
4F100AK51C
4F100AR00B
4F100AR00D
4F100AT00C
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
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4F100GB07
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4F100GB41
4F100JA11A
4F100JK09A
4F100JK12C
4F100JK20A
4F100JL11
4F100JL11B
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4F100YY00A
4F100YY00C
4F208AA11
4F208AC03
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4F208AG03
4F208MA03
4F208MB01
4F208MB11
4F208MC01
4F208MC10
4F208MG04
4F208MH06
(57)【要約】
【課題】優れた耐摩耗性又は耐傷付き性を有し、かつ、高い密着性と成形性とを併せ持つ積層体を提供する。
【解決手段】アイソタクチックペンダット分率が85モル%~99モル%であり、130℃での結晶化速度が2.5min-1以下であるポリプロピレンを含む樹脂層と、易接着層と、表面保護層と、を含む積層体であって、前記表面保護層側から微小硬度計を用いて下記条件で測定したマルテンス硬さが5~12MPaであり、復元率が75%以上である積層体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイソタクチックペンダット分率が85モル%~99モル%であり、130℃での結晶化速度が2.5min-1以下であるポリプロピレンを含む樹脂層と、易接着層と、表面保護層と、を含む積層体であって、
前記表面保護層側から微小硬度計を用いて下記条件で測定したマルテンス硬さが5~12MPaであり、復元率が75%以上である
積層体。
(マルテンス硬さ及び復元率の測定条件)
・圧子:対面角136°のビッカーズ四角錐圧子
・最大押込み荷重:96mN
・試験方法:押込み荷重を変化させて15秒圧子の押込みを行い、圧子最大押込み状態を5秒保持して圧子押込み量を測定し、15秒かけて除荷し、除荷後、25秒後の戻り量を測定した。
・復元率の計算方法:復元率=(圧子最大押込み位置からの戻り量(μm)/圧子最大押込み量(μm))×100
・試験温度:24℃
・微小硬度計のベースプレート温度:60℃
【請求項2】
前記表面保護層の厚さが8μm以上である請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記表面保護層が、アクリル樹脂及びウレタン樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂を含む請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記易接着層が、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びポリエステル樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂を含む請求項1~3のいずれかに記載の積層体。
【請求項5】
前記易接着層がウレタン樹脂及びアクリル樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂を含む請求項1~4のいずれかに記載の積層体。
【請求項6】
前記樹脂層のポリプロピレンが、示差走査熱量測定で得られる曲線において、最大吸熱ピークの低温側に1J/g以上の発熱ピークを有する請求項1~5のいずれかに記載の積層体。
【請求項7】
前記樹脂層が造核剤を含まない、請求項1~6のいずれかに記載の積層体。
【請求項8】
前記樹脂層の前記易接着層と反対側の面に第2の易接着層を含む、請求項1~7のいずれかに記載の積層体。
【請求項9】
前記第2の易接着層の前記樹脂層と反対側の面の一部又は全面に金属層を含む、請求項8に記載の積層体。
【請求項10】
前記金属層に含まれる金属元素が、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金及び亜鉛からなる群から選択される1以上である請求項9に記載の積層体。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の積層体を用いて製造された成形体。
【請求項12】
請求項1~10のいずれかに記載の積層体を成形することを含む、成形体の製造方法。
【請求項13】
前記積層体を金型の上に配置すること、及び
成形用樹脂を前記積層体に向けて供給することで、前記積層体を金型に合致するように賦形しつつ、前記成形用樹脂と、前記積層体と、を一体化させること
を含む、請求項12に記載の成形体の製造方法。
【請求項14】
前記積層体を金型に合致するよう賦形すること、及び
成形用樹脂を前記賦形された積層体に向けて供給することで、前記成形用樹脂と、前記賦形された積層体と、を一体化させること
を含む、請求項12に記載の成形体の製造方法。
【請求項15】
前記積層体を加熱して金型のキャビティ面上に配置し、前記積層体を前記金型の形状に合致するように賦形すること、及び
成形用樹脂を前記賦形された積層体に向けて供給することで、前記成形用樹脂と、前記賦形された積層体と、を一体化させること
を含む、請求項12に記載の成形体の製造方法。
【請求項16】
チャンバーボックス内に芯材を配設し、前記芯材の上方に前記積層体を配置し、前記積層体を加熱軟化し、前記チャンバーボックス内を減圧して前記加熱軟化させた積層体を前記芯材に押圧して被覆させる、請求項12に記載の成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体、成形体及び成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や家電、建材、日用品、情報通信機器等様々な分野にて、外観の意匠性を向上させる方法として、塗装が用いられている。しかし、塗装は、大量のVOCを排出するため、環境負荷が大きい方法である。さらに、塗装ブースの温度・湿度コントロールや焼き付け工程にて、多量のエネルギーを消費し、大量の二酸化炭素を排出している。特に、新車の生産では、排出する二酸化炭素のうち、塗装が2割を占めている。これらの環境負荷を低減させるため、塗装を代替する工法が、積極的に開発されている。
【0003】
成形品の塗装を代替する方法としては、顔料や染料の添加による樹脂の着色や水圧転写、加飾シートを成形品表面に貼合する方法等が挙げられる。これらの工法は、成形品に用いられる樹脂の種類や形状、コスト等に応じて適切な方法が選択される。成形品に用いられる樹脂が発色性に優れる非晶性樹脂である場合は、樹脂着色が積極的に検討される。一方、発色性や密着性に劣るポリプロピレンを用いる場合は、材料着色では意匠性に劣るため、加飾シートを成形品表面に積層する方法が好適である。ポリプロピレンを用いた成形品では、加飾シートとして溶着性や同一の線膨張係数を持つポリプロピレンからなる加飾シートを使用するのが好ましい。しかし、一般にポリプロピレンは耐摩耗性や耐傷付き性に劣るため、成形品の意匠を長期間にわたり維持することが難しい問題がある。
【0004】
耐摩耗性や耐傷付き性を向上するための技術として、例えば、特許文献1には、ウレタン(メタ)アクリルアミドを主成分とする自己修復性塗料とこれを塗工した自己修復性フィルムに関する発明が開示されている。しかしながら、フィルム基材がポリプロピレン系樹脂である場合、このような塗料を直接塗工しても密着性が低く、成形等の二次加工によって剥離する恐れがある。
この点、特許文献2には、基材、プライマー層、及び表面保護層を順に有し、層間の凹凸形状や表面粗さ(Ra値)に特徴を持たせた鏡面化粧シートの技術が開示されている。しかしながら、当該文献に開示されるような一般的なシートは、成形を行うと白化や偏肉等の成形不良が発生しやすいという不具合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-100821号公報
【特許文献2】特開2014-69505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、優れた耐摩耗性又は耐傷付き性を有し、かつ、高い密着性と成形性とを併せ持つ積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが鋭意検討した結果、特定の材料を用い、かつ、特定の物性を有する層構成を採用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、以下の積層体等が提供される。
1.アイソタクチックペンダット分率が85モル%~99モル%であり、130℃での結晶化速度が2.5min-1以下であるポリプロピレンを含む樹脂層と、易接着層と、表面保護層と、を含む積層体であって、
前記表面保護層側から微小硬度計を用いて下記条件で測定したマルテンス硬さが5~12MPaであり、復元率が75%以上である
積層体。
(マルテンス硬さ及び復元率の測定条件)
・圧子:対面角136°のビッカーズ四角錐圧子
・最大押込み荷重:96mN
・試験方法:押込み荷重を変化させて15秒圧子の押込みを行い、圧子最大押込み状態を5秒保持して圧子押込み量を測定し、15秒かけて除荷し、除荷後、25秒後の戻り量を測定した。
・復元率の計算方法:復元率=(圧子最大押込み位置からの戻り量(μm)/圧子最大押込み量(μm))×100
・試験温度:24℃
・微小硬度計のベースプレート温度:60℃
2.前記表面保護層の厚さが8μm以上である1に記載の積層体。
3.前記表面保護層が、アクリル樹脂及びウレタン樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂を含む1又は2に記載の積層体。
4.前記易接着層が、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びポリエステル樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂を含む1~3のいずれかに記載の積層体。
5.前記易接着層がウレタン樹脂及びアクリル樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂を含む1~4のいずれかに記載の積層体。
6.前記樹脂層のポリプロピレンが、示差走査熱量測定で得られる曲線において、最大吸熱ピークの低温側に1J/g以上の発熱ピークを有する1~5のいずれかに記載の積層体。
7.前記樹脂層が造核剤を含まない、1~6のいずれかに記載の積層体。
8.前記樹脂層の前記易接着層と反対側の面に第2の易接着層を含む、1~7のいずれかに記載の積層体。
9.前記第2の易接着層の前記樹脂層と反対側の面の一部又は全面に金属層を含む、8に記載の積層体。
10.前記金属層に含まれる金属元素が、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金及び亜鉛からなる群から選択される1以上である9に記載の積層体。
11.1~10のいずれかに記載の積層体を用いて製造された成形体。
12.1~10のいずれかに記載の積層体を成形することを含む、成形体の製造方法。
13.前記積層体を金型の上に配置すること、及び
成形用樹脂を前記積層体に向けて供給することで、前記積層体を金型に合致するように賦形しつつ、前記成形用樹脂と、前記積層体と、を一体化させること
を含む、12に記載の成形体の製造方法。
14.前記積層体を金型に合致するよう賦形すること、及び
成形用樹脂を前記賦形された積層体に向けて供給することで、前記成形用樹脂と、前記賦形された積層体と、を一体化させること
を含む、12に記載の成形体の製造方法。
15.前記積層体を加熱して金型のキャビティ面上に配置し、前記積層体を前記金型の形状に合致するように賦形すること、及び
成形用樹脂を前記賦形された積層体に向けて供給することで、前記成形用樹脂と、前記賦形された積層体と、を一体化させること
を含む、12に記載の成形体の製造方法。
16.チャンバーボックス内に芯材を配設し、前記芯材の上方に前記積層体を配置し、前記積層体を加熱軟化し、前記チャンバーボックス内を減圧して前記加熱軟化させた積層体を前記芯材に押圧して被覆させる、12に記載の成形体の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、優れた耐摩耗性又は耐傷付き性を有し、かつ、高い密着性と成形性とを併せ持つ積層体が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一態様に係る積層体の概略断面図である。
【
図2】本発明の積層体を製造するための製造装置の一例の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る積層体、成形体、及び成形体の製造方法について説明する。本明細書において、「x~y」は「x以上、y以下」の数値範囲を表すものとする。数値範囲に関して記載された上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
また、以下に記載される本発明の個々の形態を2つ以上組み合わせた形態もまた、本発明の形態である。
【0011】
1.積層体
本発明の一態様に係る積層体は、アイソタクチックペンダット分率が85モル%~99モル%であり、130℃での結晶化速度が2.5min-1以下であるポリプロピレン(以下、「ポリプロピレンX」ともいう)を含む樹脂層と、易接着層と、表面保護層とを含む。当該積層体は、表面保護層側から測定したマルテンス硬さが5~12MPaであり、表面保護層側から測定した復元率が75%以上である。
【0012】
本発明の一態様に係る積層体は、上述した物性を有することで、表面保護層に受けた衝撃を容易に吸収することができるため傷が付きにくく、傷が付いたとしても自己修復が可能である。すなわち、本発明の一態様に係る積層体は耐摩耗性又は耐傷付き性に優れるため、成形品の意匠を長期間にわたり維持することが可能となる。また、易接着層を用いることで、樹脂層と表面保護層とを強固に密着させることができ、熱成形時のクラック発生や偏肉、さらには表面保護層の割れや剥がれ等の発生を抑制できる。さらに、特定構造のポリプロピレンを採用することで、成形性を高めることができ、白化や偏肉等の成形不良が発生しにくい。
【0013】
本発明の一態様に係る積層体の概略断面図を
図1に示す。積層体Aは、樹脂層1、易接着層2、及び表面保護層3がこの順に積層されたものである。なお、
図1における縦横比や膜厚比は必ずしも正確ではない。
本発明の一態様において、上記各層の各界面は、凹凸形状が実質的に存在せず、平滑であり、上記各層の各界面の表面粗さ(Ra)は、通常、0.6未満である。
以下、本発明の一態様に係る積層体の各構成について説明する。
【0014】
[樹脂層]
樹脂層に含まれるポリプロピレンXは、少なくともプロピレンをモノマー単位として含む重合体である。具体的には、ホモポリプロピレン、プロピレンとオレフィンとの共重合体等が挙げられる。耐熱性及び硬度に優れることから、ホモポリプロピレンが好ましい。
プロピレンとオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体であってもランダム共重合体であってもよく、これらの混合物でもよい。オレフィンとしては、エチレン、ブチレン、シクロオレフィン等が挙げられる。
【0015】
ポリプロピレンXの130℃での結晶化速度は2.5min-1以下である。
一実施形態において、上記結晶化速度は、2.0min-1以下、1.5min-1以下、1.0min-1以下、0.8min-1以下又は0.6min-1以下である。下限は格別限定されず、例えば、0.05min-1以上である。
上記結晶化速度が2.5min-1以下であることによって、成形に伴う樹脂層の白化が防止される。また、加熱軟化された樹脂層を金型等により冷却して硬化させる際に、硬化の進行度合いにムラが生じにくくなるため、延展性が向上する。その結果、成形の精度が向上し、積層体に複雑な形状や微細な凹凸を附形することが容易になる。
結晶化速度は実施例に記載の方法により測定する。
【0016】
ポリプロピレンXのアイソタクチックペンタッド分率は85モル%以上99モル%以下であることが好ましい。
一実施形態において、ポリプロピレンXのアイソタクチックペンタッド分率は、86モル%以上、87モル%以上、88モル%以上、89モル%以上、90モル%以上又は91モル%以上であり、また、99モル%以下又は98モル%以下である。
アイソタクチックペンタッド分率が85モル%以上であることによって、積層体を成形して得られる成形体に優れた剛性が付与される。一方、アイソタクチックペンタッド分率が99モル%以下であることによって、成形に伴う樹脂層の白化がさらに防止される。
アイソタクチックペンタッド分率とは、樹脂組成の分子鎖中のペンタッド単位(プロピレンモノマーが5個連続してアイソタクチック結合したもの)でのアイソタクチック分率である。この分率の測定法は、例えばマクロモレキュールズ(Macromolecules)第8巻(1975年)687頁に記載されており、13C-NMRにより測定できる。
アイソタクチックペンタッド分率は実施例に記載の方法により測定する。
【0017】
一実施形態において、ポリプロピレンXは、結晶構造としてスメチカ晶を含む。
ポリプロピレンは結晶性樹脂であり、α晶、β晶、γ晶、スメチカ晶等の結晶形をとることができる。これら結晶形のうち、スメチカ晶は、ポリプロピレンを溶融状態から80℃/秒以上の速度で冷却することで、非晶質と結晶質の中間体として生成させることができる。スメチカ晶は、結晶のような規則的構造を有する安定構造ではなく、微細な構造が寄り集まった準安定的な構造である。そのため、分子鎖間の相互作用が弱く、安定構造であるα晶等と比較して、低い熱量で樹脂層を軟化させることができ、成形性に優れる。
また、樹脂層にこのような性質を有するスメチカ晶を含めることで、上述したマルテンス硬さと復元率の条件を満たしやすくなるため、積層体の耐摩耗性又は耐傷付き性の向上を期待し得る。
【0018】
ポリプロピレンXは、スメチカ晶の他に、β晶、γ晶、非晶部等他の結晶形を含んでもよい。例えば、ポリプロピレンXの30質量%以上、50質量%以上、70質量%以上又は90質量%以上がスメチカ晶であってもよい。
スメチカ晶は、積層体を成形して成形体を得る際に、スメチカ晶由来の微細構造を維持したままα晶に転移し得る。この転移により、表面硬度や透明性をさらに向上できる。
小角X線散乱解析法により散乱強度分布と長周期を算出することにより、樹脂層が80℃/秒以上で冷却して得られたものか、そうでないかを判断することができる。即ち、この解析により樹脂層がスメチカ晶を含むか否か(スメチカ晶由来の微細構造を有しているか否か)を判断することが可能である。
測定は以下の条件で行う。
X線発生装置はultraX 18HF(株式会社リガク製)を用い、散乱の検出にはイメージングプレートを使用する。
・光源波長:0.154nm
・電圧/電流:50kV/250mA
・照射時間:60分
・カメラ長:1.085m
・試料厚み:1.5~2.0mmになるように積層体を重ねる。また、製膜(MD)方向がそろうように積層体を重ねる。
【0019】
一実施形態において、ポリプロピレンXは、好ましくは示差走査熱量測定曲線において最大吸熱ピークの低温側に1.0J/g以上(より好ましくは1.5J/g以上)の発熱ピークを有する。上限値は特に限定されないが、通常10J/g以下である。発熱ピークは、示差走査熱量測定器を用いて測定する。
【0020】
樹脂層は、造核剤の含量が少ないことが好ましく、造核剤を含まないことがより好ましい。樹脂層の造核剤の含有量は、樹脂層の総量に対して、好ましくは1.0質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下、0.1質量%以下、0.01質量%以下、又は0.001質量%以下である。また、ポリプロピレンの量に対して、例えば、1.0質量%以下、0.5質量%以下、0.1質量%以下、0.01質量%以下、又は0.001質量%以下である。
造核剤としては、例えば、ソルビトール系造核剤等が挙げられ、市販品としてはゲルオールMD(新日本理化学株式会社)やリケマスターFC-1(理研ビタミン株式会社)等が挙げられる。
【0021】
結晶性樹脂であるポリプロピレンを透明にする方法として、造核剤の添加によって強制的に微細結晶を生成する方法がある。当該方法では、造核剤により結晶化速度を速め、結晶を多数発生させて高充填状態とし、各結晶が物理的に成長するスペースを制限することで結晶を微細化する。しかしながら、造核剤には核となる物質が存在するため、通常、若干の白味を帯びる。また、造核剤によって130℃での結晶化速度を2.5min-1を超える速度まで速めれば、成形に伴う樹脂層の白化を生じる。
これに対して、造核剤の含量が少ないか又は含まなくても、ポリプロピレンXの130℃での結晶化速度が2.5min-1以下であることによって、白化が防止され、意匠性(外観)に優れた成形体を得ることができる。
【0022】
樹脂層には、ポリプロピレンX以外の他の成分を含めてもよい。他の成分としては、その他の樹脂成分、金属箔粉、パール調顔料、着色剤、その他の添加剤等が挙げられる。
【0023】
その他の樹脂成分としては、例えば、エラストマー等が挙げられる。エラストマーとしては、例えば、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等のような熱可塑性エラストマーが挙げられる。一実施形態において、熱可塑性エラストマーはオレフィン系エラストマーである。オレフィン系エラストマーとしては、例えばダウケミカル株式会社製「エンゲージ8200」等のような市販品を用いてもよい。
樹脂層におけるその他の樹脂成分の含有量は、ポリプロピレンX100質量部に対して、例えば、1質量部以上であり、また、10質量部以下である。
【0024】
金属箔粉としては、例えば、金属薄膜層の両面を透明薄膜層で被覆したシートを破砕して得られる破砕非定型偏平片等が挙げられる。パール調顔料としては、例えば、マイカ(雲母)を主成分とした非定型扁平片等が挙げられる。
樹脂層における金属箔粉又はパール調顔料の含有量は、ポリプロピレンX100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上であり、また、例えば、5質量部以下である。
【0025】
着色剤としては、例えば、有機顔料、無機顔料、染料等の一般的な着色剤を使用できるが、この限りではない。
樹脂層における着色剤の含有量は、ポリプロピレンX100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上であり、また、例えば、30質量部以下である。
【0026】
その他の添加剤としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系耐候剤、帯電防止剤、酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、目ヤニ防止剤、滑剤、上述した造核剤等が挙げられるが、この限りではない。
樹脂層におけるその他の添加剤の含有量は、ポリプロピレンX100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下である。尚、造核剤の含有量については上述した通りである。
【0027】
一実施形態において、樹脂層は、ポリプロピレンXのみからなるか、又は、実質的にポリプロピレンXのみからなる。後者の場合、樹脂層は不可避不純物を含んでもよい。
一実施形態において、樹脂層は、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上、99.9質量%以上又は100質量%が、
ポリプロピレンXであるか、
ポリプロピレンX及び上記の他の成分から選択される1以上の成分である。
【0028】
樹脂層の厚さは格別限定されない。
一実施形態において、樹脂層の厚さは、10μm以上、20μm以上又は30μmであり、また、1000μm以下、800μm以下、500μm以下又は400μm以下である。
【0029】
樹脂層の形成方法は格別限定されず、例えば押出法等が挙げられる。押出法等において、溶融状態からの冷却は、好ましくは80℃/秒以上で行い、樹脂層の内部温度がポリプロピレンの結晶化温度以下となるまで行う。これにより、樹脂層に含まれるポリプロピレンの130℃での結晶化速度を2.5min-1以下にすることができる。冷却は、90℃/秒以上、100℃/秒以上、110℃/秒以上、120℃/秒以上、130℃/秒以上、140℃/秒以上又は150℃/秒以上であり得る。
【0030】
一実施形態において、樹脂層は、延伸されていない(延伸工程を経ていない)。樹脂層が未延伸であることによって、成形への適性に優れる。
【0031】
[易接着層]
易接着層に使用できる樹脂は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びポリエステル樹脂からなる群から選択される1種以上を含むことが好ましい。これらの樹脂であれば、積層体が複雑な非平面状に成形される場合であっても、樹脂層と表面保護層とを強固に密着させることができ、易接着層が樹脂層に追従して積層構造が保持されるため、ひび割れや剥離の発生を防止できる。また、このような機能を有する易接着層を設けることで、上述したマルテンス硬さと復元率の条件を満たしやすくなるため、積層体の耐摩耗性又は耐傷付き性の向上を期待し得る。
【0032】
ウレタン樹脂は格別限定されず、例えば、ジイソシアネート、高分子量ポリオール及び鎖延長剤を反応させて得られるウレタン樹脂等が挙げられる。高分子量ポリオールとして、ポリエーテルポリオール又はポリカーボネートポリオールを用いてもよい。市販品としては、例えば、ハイドランWLS-202(DIC株式会社製)等が挙げられる。
【0033】
アクリル樹脂は格別限定されず、市販品としては、例えば、アクリット8UA-366(大成ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
【0034】
ポリオレフィン樹脂は格別限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン等が挙げられる。市販品としては、例えば、アローベースDA-1010(ユニチカ株式会社製)等が挙げられる。
【0035】
ポリエステル樹脂は格別限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
【0036】
易接着層に用いる樹脂は、易接着層上に積層される塗工層(例えば印刷層、塗装層、コーティング層等)に対する密着性、及び成形性の観点から、ウレタン樹脂又はアクリル樹脂を含むことが好ましい。
【0037】
易接着層には、架橋剤を含めてもよい。
架橋剤は、樹脂を架橋するための架橋性官能基を分子内に2以上有することができ、そのような架橋性官能基として、カルボジイミド基、オキサゾリン基及びアジリジン基からなる群から選択される1種以上の官能基を含むことができ、周知の架橋剤が使用可能である。
【0038】
易接着層は、以上に説明した架橋体以外の他の成分を含んでもよい。
他の成分として、例えば、未架橋の樹脂、未架橋の架橋剤、添加剤、無機粒子、有機粒子、有機-無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
添加剤としては、例えば、帯電防止剤、ヒンダードアミン系耐候剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0039】
一実施形態において、易接着層は、樹脂成分のみからなるか、実質的に樹脂成分のみからなるか(不可避不純物を含んでもよい)、樹脂成分と架橋剤との架橋体のみからなるか、又は、実質的に樹脂成分と架橋剤との架橋体のみからなる(不可避不純物を含んでもよい)。
一実施形態において、易接着層は、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上、99.9質量%以上又は100質量%が、
樹脂成分であるか、
樹脂成分及び上記の他の成分から選択される1以上の成分であるか、
樹脂成分と架橋剤との架橋体であるか、又は
樹脂成分と架橋剤との架橋体及び上記の他の成分から選択される1以上の成分である。
【0040】
一実施形態において、易接着層の引張破断伸度は、150%以上、200%以上又は300%以上であり、また、900%以下、850%以下又は750%以下である。
易接着層の引張破断伸度が150%以上であると、熱成形時の樹脂層の伸びに易接着層が問題なく追従できるため、易接着層のひび割れ、印刷層のひび割れや剥離を抑制することができる。引張破断伸度が900%以下であると耐水性が良好である。
易接着層の引張破断伸度は、実施例に記載の方法により測定する。
【0041】
易接着層は、1層単独でもよく、又は、2層以上の積層構造でもよい。
一実施形態において、易接着層の厚さ(2層以上の場合は積層構造の厚さ)は、10nm以上、20nm以上又は30nm以上であり、例えば、50nm以上又は100nm以上としてもよい。また、3000nm以下、2000nm以下、1000nm以下、800nm以下、500nm以下、300nm以下又は200nm以下である。
【0042】
易接着層の形成方法は格別限定されず、例えば塗布法等によって形成できる。
塗布法を用いる場合は、例えば、樹脂層上に、架橋剤と樹脂とを含む塗液を塗布し、架橋剤により樹脂を架橋させて、易接着層を形成できる。塗液は任意に溶剤を含むことができ、塗布後に溶剤を乾燥させることができる。塗液の塗布には、例えば、グラビアコーター、キスコーター、バーコーター等を用いることができる。
【0043】
[表面保護層]
表面保護層は積層体を保護する層であり、上述した通り、傷が付きにくく、傷が付いたとしても自己修復可能な層である。自己修復とは、一度付いた傷が分子運動に起因する弾性回復等により時間の経過とともに自然に修復される機能である。本発明の一態様に係る積層体が上述したマルテンス硬さと復元率の条件を満たすことに関連し、表面保護層が高い弾性回復性を有することから、上述した自己修復が可能となる。
【0044】
表面保護層に用いる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂及びウレタン樹脂等が挙げられる。なお、表記上、材料種が易接着層と重複する場合があるが、表面保護層の組成は易接着層とは異なるものである。
【0045】
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー等のアクリル系モノマー又はオリゴマー等が挙げられるがこれらに限定されない。また、これらを単独で、又は2種以上を併用してもよい。
【0046】
ウレタン樹脂としては、イソシアネート、高分子量ポリオール及び鎖延長剤を反応させて得られるウレタン樹脂等が挙げられる。高分子量ポリオールとして、ポリエーテルポリオール又はポリカーボネートポリオールを用いてもよい。ウレタン樹脂として、上記以外の樹脂を用いてもよい。また、これらを単独で、又は2種以上を併用してもよい。
【0047】
上記以外の成分として、例えば、硬化剤(例えば、イソシアネート化合物)、ポリオール、ポリシロキサン、光開始剤、熱重合開始剤、架橋剤、帯電防止剤、ヒンダードアミン系耐候剤、紫外線吸収剤等を含んでもよい。
【0048】
表面保護層材料として、例えば、樹脂成分(アクリル樹脂及びウレタン樹脂からなる群から選択される1以上を含む成分)60~95質量%と、上記他の成分から選択される1以上を含む成分5~40質量%と、を含む組成物を用いてもよい。
【0049】
上記樹脂は、溶剤を加えた樹脂組成物(塗液)として、コーティング法によって表面保護層を形成することができる。
コーティング法としては、バーコーター法、スピンコート法、スプレーコート法、ディッピング法、グラビアロール法、ナイフコート法、リバースコート法、ダイコート法、カーテンコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法等通常の塗膜形成法を用いることが可能である。
【0050】
表面保護層の硬化方法は特に制限はないが、活性エネルギー線照射により硬化して膜を形成してもよいし、加熱により硬化して膜を形成してもよい。
表面保護層に用いる材料としては、例えば、ナトコ株式会社製の自己修復塗膜用塗液「HMK-001/HMK硬化剤1」等が挙げられる。
【0051】
表面保護層の層の厚さに特に制限はないが、8μm以上であると好ましく、10μm以上であるとより好ましく、例えば、12μm以上、15μm以上、又は20μm以上であってもよく、また、例えば、50μm以下、40μm以下、30μm以下であってもよい。
表面保護層の厚さが8μm以上であれば、十分な弾性効果が得られ、高い耐摩耗性又は耐傷付き性が得られる。
【0052】
[積層体の物性]
本発明の一態様に係る積層体は、表面保護層側から測定したマルテンス硬さが5~12MPaであり、表面保護層側から測定した復元率が75%以上である。マルテンス硬さと復元率の測定方法は実施例に記載の通りである。
当該物性は、積層体全体の層構成と表面保護層に起因するものであり、各層の材料組成や厚さ、樹脂層の結晶状態、表面保護層の材料組成や成膜方法等を調整することで適宜制御することができる。
【0053】
表面保護層のマルテンス硬さは、7~10MPaであるとより好ましい。
表面保護層の復元率は、80%以上であるとより好ましい。
マルテンス硬さ及び復元率が上記のような範囲であると、柔軟性と弾性回復性に優れるため、より高い耐摩耗性又は耐傷付き性が得られる。
【0054】
[第2の易接着層]
本発明の一態様に係る積層体は、樹脂層における易接着層と反対側の面に第2の易接着層を設けてもよい。第2の易接着層を含む場合、その上(樹脂層と反対側の面)に塗工を施すことができる。塗工が施された積層体は、塗工層/第2の易接着層/樹脂層/易接着層/表面保護層の積層構造を有する。このような場合でも、第2の易接着層の効果により、塗工層によって付与される意匠性が塗工や成形に伴って損なわれることを防止できる。第2の易接着層としては、上述した易接着層と同様の構成を採用できる。
【0055】
塗工の工法は格別限定されず、例えば、印刷、塗装、コーティング等が挙げられる。印刷により塗工層として印刷層を形成できる。塗装により塗工層として塗装層を形成できる。コーティングにより塗工層としてコーティング層を形成できる。以下に各層について詳しく説明する。
【0056】
一実施形態において、積層体は印刷層を含む。印刷層は、樹脂層の表面保護層側の面と反対の面に設けることができる(好ましくは上記の第2の易接着層を設け、第2の易接着層における樹脂層と反対側の面に設ける)。印刷層は前記面の一部に設けてもよいし全面に設けてもよい。印刷層の形状としては、特に制限されないが、例えばベタ状、カーボン調、木目調等の様々な形状が挙げられる。
【0057】
印刷の方法としては、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、ロールコート法、スプレーコート法等の一般的な印刷方法が利用できる。特に、スクリーン印刷法はインキの膜厚を厚くできるため、複雑な形状に成形した際にインキ割れが発生しにくい。
例えば、スクリーン印刷の場合、成形時の伸びに優れたインキが好ましく、十条ケミカル株式会社製の「FM3107高濃度白」や「SIM3207高濃度白」等を例示できるが、この限りではない。
【0058】
一実施形態において、積層体は塗装層を含む。塗装層は、表面保護層と反対側の面に設けることができる(好ましくは上記の第2の易接着層を設け、第2の易接着層における樹脂層と反対側の面に設ける)。塗装層は前記面の一部に設けてもよいし全面に設けてもよい。塗装層の意匠としては、特に制限されないが、例えばクリア、パール調、メタリック調、着色等が挙げられる。
塗装の方法としては、スプレー塗装法、電着塗装、浸漬塗装、静電塗装等の一般的な塗装方法が利用できる。特に、スプレー塗装法と静電塗装法は塗膜効率や自動化が可能なことから、成形体への塗装に適している。
例えば、スプレー塗装の場合、成形品の傷付き防止に優れた塗料が好ましく、ナトコ株式会社製の「HMK-003」等を例示できるが、この限りではない。
【0059】
[金属層]
本発明の一態様に係る積層体は、樹脂層の易接着層と反対側の面に金属層を含めてもよく、好ましくは上記の第2の易接着層を設け、第2の易接着層における樹脂層と反対側の面に金属層を設ける。この場合、金属層/第2の易接着層/樹脂層/易接着層/表面保護層の積層構造を有する。
【0060】
金属層は、金属又は金属酸化物を含む層である。
金属層を形成する金属としては、積層体に金属調の意匠を付与できる金属であれば特に限定されないが、例えば、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金及び亜鉛が挙げられ、これらのうち少なくとも1種を含む合金を用いてもよい。
上記のうち、インジウム及びアルミニウムは伸展性と色調に特に優れるため好ましい。金属層が伸展性に優れると、積層体を三次元成形した際にひび割れが発生しにくい。
【0061】
金属層の形成方法は特に制限されないが、質感が高く高級感のある金属調の意匠を積層体に付与する観点から、例えば、上記の金属を用いた、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の蒸着法等を用いることができる。特に、真空蒸着法は低コストであり、かつ、被蒸着体へのダメージを少なくすることができる。真空蒸着法の条件は、用いる金属の溶融温度又は蒸発温度に応じて適宜設定すればよい。
【0062】
上記方法の他、上記の金属又は金属酸化物を含むペーストを塗工する方法、上記の金属を用いためっき法等を用いることもできる。
【0063】
金属層の厚さは、5nm以上80nm以下としてもよい。5nm以上であると所望の金属光沢が問題なく得られ、80nm以下であるとひび割れが発生しにくい。
【0064】
本発明の一態様に係る積層体の厚さは、例えば、15μm以上、20μm以上、又は30μm以上としてもよく、また、例えば、3000μm以下、2000μm以下、又は1000μm以下としてもよい。
【0065】
2.成形体
本発明の一態様に係る成形体は、本発明の一態様に係る積層体を用いて製造されたものである。
一実施形態において、成形体は、積層体を熱成形等の方法によって成形して製造されたものである。
一実施形態において、成形体には三次元曲面を含む形状が付与されている。
【0066】
3.成形体の製造方法
本発明の一態様に係る成形体の製造方法は、積層体を成形することを含む。成形方法としては、例えば、インモールド成形、インサート成形、金型内附形インサート成形、被覆成形等が挙げられる。
【0067】
インモールド成形は、金型内に積層体を設置して、金型内に供給される成形用樹脂の圧力で所望の形状に成形して成形体を得る方法である。
インモールド成形として、積層体を金型に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して行うことが好ましい。
【0068】
インサート成形では、金型内に設置する賦形体を予備賦形しておき、その形状に成形用樹脂を充填することで、成形体を得る方法である。より複雑な形状を形成することができる。
インサート成形として、積層体を金型に合致するよう賦形し、賦形した積層体を金型に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して行うことができる。
金型に合致するように行う賦形(予備賦形)は、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、プレス成形、プラグアシスト成形等で行うことができる。
【0069】
成形用樹脂は、成形可能な熱可塑性樹脂を用いることができる。具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、アセチレン-スチレン-ブタジエン共重合体、アクリル重合体等が例示できるが、この限りではない。熱可塑性樹脂には、ファイバーやタルク等の無機フィラーを添加してもよい。
供給は、射出で行うことが好ましく、圧力5MPa以上120MPa以下が好ましい。金型温度は20℃以上90℃以下であることが好ましい。
【0070】
また、インサート成形の一類型として、積層体の予備賦形を、射出成形を行う金型内で行う方法も挙げられる。
具体的には、積層体を加熱して金型のキャビティ面上に配置し、積層体を金型の形状に合致するように賦形すること、及び、成形用樹脂を賦形された積層体に向けて供給することで、成形用樹脂と、賦形された積層体と、を一体化させることを含む。
積層体の予備賦形の方法としては、例えば、積層体をヒーター等で予め加熱し、加熱された積層体を射出成形用の金型のキャビティ面上に配置し、キャビティ内部を吸引することで、積層体を金型の内部形状に合致するように賦形することができる。その後、キャビティ内に賦形された積層体を設置したまま、成形用樹脂を充填することで、成形体を得ることができる。
本方法によれば、より複雑な形状の成形体を、より簡易な方法により形成することができる。
【0071】
被覆成形では、チャンバーボックス内に芯材を配設し、芯材の上方に、積層体を配置し、チャンバーボックス内を減圧し、積層体を加熱軟化し、芯材の上面に、積層体を接触し、加熱軟化させた積層体を芯材に押圧して被覆させることができる。
加熱軟化後、芯材の上面に積層体を接触させてもよい。押圧は、チャンバーボックス内において、積層体の芯材と接する側を減圧したまま、積層体の芯材の反対側を加圧して行うことができる。
【0072】
芯材は、凸状でも凹状であってもよく、例えば三次元曲面を有する樹脂、金属、セラミック等が挙げられる。樹脂は格別限定されず、例えば上述の成形に用いる熱可塑性樹脂と同様のものが挙げられる。
【0073】
被覆成形には、例えば、互いに分離可能な上下2つの成形室から構成されるチャンバーボックスを用いることができる。
まず、下成形室内のテーブル上へ芯材を載せ、セットする。被成形物である積層体を下成形室上面にクランプで固定する。この際、上・下成形室内は大気圧である。
次に上成形室を降下させ、上・下成形室を接合させ、チャンバーボックス内を閉塞状態にする。上・下成形室内の両方を大気圧状態から、真空タンクによって真空吸引状態とする。
上・下成形室内を真空吸引状態にした後、ヒーターを点けて積層体の加熱を行なう。次に上・下成形室内は真空状態のまま下成形室内のテーブルを上昇させる。
次に、上成形室内の真空を開放し大気圧を入れることによって、積層体は芯材へ押し付けられてオーバーレイ(成形)される。尚、上成形室内に圧縮空気を供給することで、より大きな力で積層体を芯材へ密着させることも可能である。
オーバーレイが完了した後、ヒーターを消灯し、下成形室内の真空も開放して大気圧状態へ戻し、上成形室を上昇させ、積層体が表皮材として被覆された製品を取り出す。
【実施例0074】
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例により限定されない。
【0075】
実施例1
(1)樹脂シートの製造
図2に示す装置を用いて、下記の製造方法(以下、「製法1」と言う)により、ポリプロピレンからなる樹脂シート(樹脂層)を製造した。
当該装置の動作を説明する。押出機のTダイ12より押し出された溶融樹脂(ポリプロピレン)を第1冷却ロール13上で金属製エンドレスベルト17と第4冷却ロール16との間に挟み込む。この状態で、溶融樹脂を第1、第4冷却ロール13、16で圧接するとともに急冷する。
樹脂シートは、続いて、第4冷却ロール16の略下半周に対応する円弧部分で金属製エンドレスベルト17と第4冷却ロール16とに挟まれて面状圧接される。第4冷却ロール16で面状圧接及び冷却された後、金属製エンドレスベルト17に密着した樹脂シートは、金属製エンドレスベルト17の回動とともに第2冷却ロール14上に移動される。樹脂シートは、前述同様、第2冷却ロール14の略上半周に対応する円弧部分で金属製エンドレスベルト17により面状圧接され、再び冷却される。第2冷却ロール14上で冷却された樹脂シート11は、その後、金属製エンドレスベルト17から剥離される。尚、第1、第2冷却ロール13、14の表面には、ニトリル-ブタジエンゴム(NBR)製の弾性材22が被覆されている。また、第3冷却ロール15は、金属製エンドレスベルト17を下部で支えて回転する機能を果たしている。
【0076】
樹脂シートの製造条件は以下の通りである。
[製造条件]
ポリプロピレン:(株式会社プライムポリマー製「プライムポリプロF-133A」、メルトフローインデックス3g/10分、ホモポリプロピレン、以下、「PP-1」と言う)
押出機の直径:150mm
Tダイ12の幅:1400mm
厚み:300μm
樹脂シート11の引き取り速度:25m/分
第4冷却ロール16及び金属製エンドレスベルト17の表面温度:17℃
冷却速度:10,800℃/分(180℃/秒)
【0077】
得られた樹脂シートについて以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(結晶化速度)
示差走査熱量測定器(DSC)(パーキンエルマー社製「Diamond DSC」)を用いて樹脂層の結晶化速度を測定した。具体的には、樹脂シートを10℃/分にて50℃から230℃に昇温し、230℃にて5分間保持し、80℃/分で230℃から130℃に冷却し、その後130℃に保持して結晶化を行った。130℃になった時点から熱量変化について測定を開始し、DSC曲線を得た。得られたDSC曲線から、以下の手順(i)~(iv)により結晶化速度を求めた。
(i)測定開始からピークトップまでの時間の10倍の時点から、20倍の時点までの熱量変化を直線で近似したものをベースラインとした。
(ii)ピークの変曲点における傾きを有する接線とベースラインとの交点を求め、結晶化開始及び終了時間を求めた。
(iii)得られた結晶化開始時間から、ピークトップまでの時間を結晶化時間として測定した。
(iv)得られた結晶化時間の逆数から、結晶化速度を求めた。
【0078】
(アイソタクチックペンタッド分率)
樹脂シートに用いたポリプロピレンについて13C-NMRスペクトルを評価することでアイソタクチックペンタッド分率を測定した。具体的には、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,8,687(1975)」で提案されたピークの帰属に従い、下記の条件にて行った。測定の結果、ポリプロピレンのアイソタクチックペンタッド分率は98モル%であった。
(測定方法・条件)
装置:13C-NMR装置(日本電子株式会社製「JNM-EX400」型)
方法:プロトン完全デカップリング法(濃度:220mg/ml)
溶媒:1,2,4-トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
(計算式)
アイソタクチックペンタッド分率[mmmm]=m/S×100
S:全プロピレン単位の側鎖メチル炭素原子のシグナル強度
m:メソペンタッド連鎖:21.7~22.5ppm
【0079】
(示差走査熱量測定)
樹脂シートに用いたポリプロピレンについて、上記結晶化速度の測定と同じ示差走査熱量測定装置を用いて測定した。具体的には、ポリプロピレンを10℃/分にて50℃から230℃に昇温して吸熱ピーク及び発熱ピークを観察した。得られた吸熱発熱ピークを観察すると、最大吸熱ピークよりも低温側に2.3J/gの発熱ピークを有することが確認された。
【0080】
(結晶構造)
樹脂シートのポリプロピレンの結晶構造を、X線発生装置(株式会社リガク製「model ultra X 18HB」)を用いて、広角X線の散乱パターンを下記測定条件で測定し、同定した。その結果、ピーク分離してもスメチカ晶型のピークが見られたため、樹脂シート中にスメチカ晶が存在することが確認できた。
(測定条件)
・光源波長:300mAのCuKα線(波長=1.54Å)の単色光
・線源出力 電圧/電流:50kV/250mA
・照射時間:60分
・カメラ長:1.085m
・試料厚み:1.5~2.0mmになるようにシートを重ねる。製膜(MD)方向が揃うようにシートを重ねる。
なお、測定時間を短縮するため、1.5~2.0mmになるようにシートを重ねているが、測定時間を長くすれば、シートを重ねずに1枚でも測定可能である。
【0081】
(2)易接着層の形成
ウレタン樹脂(DIC株式会社製「ハイドランWLS-202」)を、易接着層形成用塗液として使用した(以下、「ウレタンA」と言う)。
「(1)樹脂層の製造」で得られた樹脂層にコロナ処理を施した後、上記の易接着層形成用塗液を乾燥後の膜厚が140nmとなるようにダイレクトグラビアコーターで塗布し、80℃にて1分間乾燥して易接着層を形成した。以上のようにして、樹脂層と易接着層とが積層された積層体を得た。
【0082】
(3)表面保護層の製造
主剤(アクリル含有材料、ナトコ株式会社製「HMK-001」)75質量%と、硬化剤(イソシアネート含有材料、ナトコ株式会社製「HMK硬化剤1」)25質量%とを混ぜ合わせ、2液硬化タイプの樹脂組成物とし、表面保護層形成用塗液とした(以下、「塗液A」と言う)。
「(2)易接着層の製造」で得られた積層体の易接着層面側に、上記で得られた塗液Aを乾燥後の膜厚が25μmとなるようにダイレクトグラビアコーターで塗布し、80℃にて2分間乾燥した後に60℃にて2日間乾燥させ、表面保護層を形成した。以上のようにして、樹脂層、易接着層及び表面保護層がこの順で積層された積層体1を得た。
【0083】
(4)積層体の評価
(易接着層の引張破断伸度)
易接着層の引張破断伸度は、ガラス基板上に、積層体1の易接着層形成時に用いたものと同一組成の塗液をバーコーターにて塗布し、80℃にて1分間乾燥し、その後、得られた易接着層をガラス基板から分離して厚み150μmの試料を作成し、JIS K7311:1995に準拠した方法で測定した。
【0084】
(成形性)
延伸倍率170%(面積比)となる金型にて、真空圧空成形機(株式会社ミノス製「FM-3M/H」)を用いて、積層体1を真空圧空成形した。この際樹脂シートの表面温度を150℃となるまで加熱して成形した。成形後、延伸によるシートの白化や破れ、表面保護層の剥がれや破れを目視観察し、下記基準により評価した。
A:積層体又は表面保護層において、白化、破れ及び剥がれのいずれも認められなかった。
B:積層体又は表面保護層において、白化、破れ及び剥がれのいずれか1つ以上が認められた。
【0085】
(マルテンス硬さ及び復元率)
積層体1の表面保護層側のマルテンス硬さと復元率を、微小硬度計(株式会社フィッシャー・インストルメンツ製「FischerScope HM2000Xyp」)を用いて測定した。測定条件を以下に示す。なお、これらの測定は同時に行った。
・圧子:ビッカーズ四角錐圧子(対面角136°)
・押込み荷重:0~96mN(最大押込み荷重96mN)
・試験方法:押込み荷重を変化させて15秒圧子の押込みを行い、圧子最大押込み状態を5秒保持して圧子押込み量を測定し、15秒かけて除荷し、除荷後、25秒後の戻り量を測定した。
・復元率の計算方法:復元率=(圧子最大押込み位置からの戻り量(μm)/圧子最大押込み量(μm))×100
・試験温度:室温(24℃制御環境)
・微小硬度計のベースプレート温度:60℃
【0086】
(5)インサート成形
積層体1を、真空圧空成形機(株式会社ミノス製「FM-3M/H」)を用いて真空圧空成形により予備附形した。この際樹脂シートの表面温度を150℃となるまで加熱して成形した。この予備附形体を射出成形機(東芝機械株式会社製「IS-80EPN」)へ予備附形体の表面保護層側が金型と接するように設置し、ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製「J-106G」)とインサート成形して、成形体1を作製した。
【0087】
(6)成形体の評価
成形体1について以下の評価を行った。結果を表1に示す。
【0088】
(耐摩耗性又は耐傷付き性)
成形体1の表面(表面保護層側)を、室温23℃、湿度50%の条件下、真鍮ブラシにより200gの荷重をかけて10往復擦った後の表面状態を目視観察し、下記基準により評価した。
A:傷が付かないか、又は付いたとしても2分以内に復元した。
B:傷が付き、2分後にも傷が認められたが、24時間以内に復元して傷が消えたか、又は60℃で8時間保持することで復元して傷が消えた。
C:傷が付き、2分後にも傷が認められ、60℃で8時間保持しても復元せず傷が消えなかった。
【0089】
(密着性)
成形体1の表面保護層側の面に、カッターナイフを用いて、1mm間隔で11本の切れ込みを入れた。さらに、その切れ込みと直行するように1mm間隔で11本の切れ込みを入れ、10×10のマスを作った。市販のセロハンテープ(ニチバン株式会社製「CT-24」(幅24mm))を、上記切れ込みの上に貼り、指の腹でよく密着させたのち、セロハンテープを剥離した。(残ったマスの数/全マス数(100マス))を百分率で表し、密着性を評価した。
A:表面保護層の剥離が全く生じなかった(剥離率0%)
B:表面保護層の少なくとも一部が剥離した(剥離率>0%)
【0090】
実施例2
表面保護層の厚さを10μmに変更した他は実施例1と同じ方法で積層体及び成形体を製造して評価した。結果を表1に示す。
【0091】
実施例3
樹脂層に用いるポリプロピレンを、日本ポリプロ株式会社製「EA9」(メルトフローインデックス0.5g/10分、ホモポリプロピレン、以下、「PP-2」と言う)に変更した他は、実施例1と同じ方法で積層体及び成形体を製造して評価した。結果を表1に示す。
【0092】
実施例4
易接着層に用いる樹脂を、ウレタン樹脂(DIC株式会社製「ハイドランWLS-202」、以下、「ウレタンB」と言う)に変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体及び成形体を製造し評価した。結果を表1に示す。
【0093】
実施例5
易接着層に用いる樹脂を、アクリル樹脂(大成ファインケミカル株式会社製「UW-550CS」、以下、「アクリルA」と言う)に変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体及び成形体を製造し評価した。結果を表1に示す。
【0094】
比較例1
表面保護層の厚さを5μmに変更した他は実施例1と同じ方法で積層体及び成形体を製造して評価した。結果を表1に示す。
【0095】
比較例2
樹脂層の総量に対して1.5質量%の造核剤(商品名「リケマスターFC-2」理研ビタミン株式会社製、ソルビトール系造核剤)を添加した以外は、実施例1と同じ方法で積層体及び成形体を製造し評価した。結果を表1に示す。
【0096】
比較例3
「(1)樹脂シートの製造」において、樹脂シート11の冷却速度を、1,154℃/分(≒19.2℃/秒)に変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体及び成形体を製造し評価した。当該製造方法を、以下、「製法2」と言う。結果を表1に示す。
【0097】
比較例4
表面保護層の材料を、ハードコート材料(アクリル樹脂含有材料、トーヨーケム株式会社製「リオデュラス MOL9000」、以下、「ハードコートA」と言う)に変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体及び成形体を製造し評価した。結果を表1に示す。
【0098】
比較例5
易接着層の製造を省略した以外は、実施例1と同じ方法で積層体及び成形体を製造し評価した。結果を表1に示す。塗工後の塗工層に密着性がないことを確認した。
【0099】
比較例6
易接着層及び表面保護層の製造を省略した以外は、実施例1と同じ方法で成形体を製造し評価した。結果を表1に示す。
【0100】
本発明の積層体から得られる成形体は、多岐にわたる種々の用途に使用することができ、例えば、輸送機器(自動車や二輪車等)、住宅設備、建築材料、家電等の多岐に渡る分野の筐体にて、塗装を代替する加飾シートとして使用することができる。