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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137907
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】充放電制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20220914BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220914BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20220914BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20220914BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20220914BHJP
【FI】
B60L3/00 J
H02J7/00 P
B60L53/30
B60L53/14
B60L53/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037629
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小鮒 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】大川内 亮平
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB02
5G503CC02
5G503DA08
5G503FA06
5G503GB01
5G503GB06
5G503GD04
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BB00
5H125BC21
5H125BE02
5H125CC04
5H125CC07
5H125DD02
5H125DD08
5H125EE08
5H125EE52
(57)【要約】
【課題】イグニッションオフかつ充電中であっても、余分な電力を消費することなく衝突を検知して、高電圧バッテリを電気的に切り離すことができる充放電制御装置を提供すること。
【解決手段】主電源である高電圧バッテリ4と、高電圧バッテリ4から電力を供給され、モータ2を駆動させるインバータ3と、高電圧バッテリ4とインバータ3との間の電気的接続を断接する負極側コンタクタ41及び正極側コンタクタ42と、高電圧バッテリ4と普通充電コネクタ6との間の電気的接続を断接する普通充電コンタクタ62と、高電圧バッテリ4と急速充電コネクタ7との間の電気的接続を断接する負極側急速充電コンタクタ71及び正極側急速充電コンタクタ72と、外部電源から高電圧バッテリ4に電力が供給されているときに、車両1の速度が第1の車速以上の場合には、コンタクタをオフ状態とするコンタクタ切替制御部5と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電源である高電圧バッテリと、
外部電源の充電コネクタを接続されて前記高電圧バッテリに電力を供給する充電口と、
前記高電圧バッテリから電力を供給され、モータを駆動させるインバータと、
前記高電圧バッテリと前記インバータ及び前記充電口との間の電気的接続を断接するコンタクタと、を備える車両の充放電制御装置であって、
前記コンタクタの断接を切り替えるコンタクタ切替制御部を備え、
前記コンタクタ切替制御部は、前記外部電源から前記充電口を介して前記高電圧バッテリに電力が供給されているときに、前記車両の速度が第1の車速以上の場合には、前記コンタクタをオフ状態とする充放電制御装置。
【請求項2】
前記モータは、前記車両を駆動する駆動輪と直結されており、
前記コンタクタ切替制御部は、前記外部電源から前記充電口を介して前記高電圧バッテリに電力が供給されているときに、前記モータの回転速度が第1の回転速度以上の場合には、前記コンタクタをオフ状態とする請求項1に記載の充放電制御装置。
【請求項3】
前記インバータの正極と負極の間に平滑化コンデンサが接続され、
前記コンタクタ切替制御部は、前記コンタクタがオフ状態に切り替わると、前記平滑化コンデンサの電力を前記インバータにより単相で前記モータへ放電させる請求項1または請求項2に記載の充放電制御装置。
【請求項4】
外部サーバーと通信可能な外部通信部を備え、
前記コンタクタ切替制御部は、前記コンタクタがオフ状態に切り替わると、異常発生の情報を前記外部サーバーを介して、前記車両の所有者の情報受信機器に送信する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の充放電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、イグニッションオフかつ充電中の電気自動車では、充電に用いる以外のECU(Electronic Control Unit)には給電していないため、衝突検出センサを有するECUに給電されておらず、衝突を検知できない。
【0003】
特許文献1には、イグニッションオフかつ充電中でもECUに給電し、衝突を検知すると、高電圧バッテリとパワードライブユニットとの間のスイッチをオフすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-217544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような制御装置では、充電に寄与しないECUに給電する必要があるため、電力を余分に消費してしまい、充電効率が低下してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、イグニッションオフかつ充電中であっても、余分な電力を消費することなく衝突を検知して、高電圧バッテリを電気的に切り離すことができる充放電制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明は、主電源である高電圧バッテリと、外部電源の充電コネクタを接続されて前記高電圧バッテリに電力を供給する充電口と、前記高電圧バッテリから電力を供給され、モータを駆動させるインバータと、前記高電圧バッテリと前記インバータ及び前記充電口との間の電気的接続を断接するコンタクタと、を備える車両の充放電制御装置であって、前記コンタクタの断接を切り替えるコンタクタ切替制御部を備え、前記コンタクタ切替制御部は、前記外部電源から前記充電口を介して前記高電圧バッテリに電力が供給されているときに、前記車両の速度が第1の車速以上の場合には、前記コンタクタをオフ状態とするものである。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明によれば、イグニッションオフかつ充電中であっても、余分な電力を消費することなく衝突を検知して、高電圧バッテリを電気的に切り離すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1実施例に係る充放電制御装置の概略構成図である。
図2図2は、本発明の第1実施例に係る充放電制御装置の処理の手順を示すフローチャートである。
図3図3は、本発明の第2実施例に係る充放電制御装置の概略構成図である。
図4図4は、本発明の第2実施例に係る充放電制御装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態に係る充放電制御装置は、主電源である高電圧バッテリと、外部電源の充電コネクタを接続されて高電圧バッテリに電力を供給する充電口と、高電圧バッテリから電力を供給され、モータを駆動させるインバータと、高電圧バッテリとインバータ及び充電口との間の電気的接続を断接するコンタクタと、を備える車両の充放電制御装置であって、コンタクタの断接を切り替えるコンタクタ切替制御部を備え、コンタクタ切替制御部は、外部電源から充電口を介して高電圧バッテリに電力が供給されているときに、車両の速度が第1の車速以上の場合には、コンタクタをオフ状態とするよう構成されている。
【0011】
これにより、本発明の一実施の形態に係る充放電制御装置は、イグニッションオフかつ充電中であっても、余分な電力を消費することなく衝突を検知して、高電圧バッテリを電気的に切り離すことができる。
【実施例0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係る充放電制御装置について詳細に説明する。
【0013】
(第1実施例)
図1において、本発明の第1実施例に係る充放電制御装置を搭載した車両1は、モータ2と、インバータ3と、高電圧バッテリ4と、コンタクタ切替制御部5とを含んで構成される。
【0014】
モータ2は、例えば、複数の永久磁石が埋め込まれたロータと、ステータコイルが巻きつけられたステータと、を備えた同期型モータで構成される。モータ2は、ステータコイルに三相交流電力が印加されることでステータに回転磁界が形成され、この回転磁界によりロータが回転して駆動力を生成する。
【0015】
また、モータ2は、発電時における回転抵抗を車両1の制動に利用するように駆動される。これにより、モータ2は、回生によって発電できる機能を有する。このように、モータ2は、発電機としても機能し、高電圧バッテリ4を充電するための電力を生成できるようになっている。
【0016】
モータ2の回転軸は、図示しない減速機、駆動軸等を介して駆動輪8に連結されている。モータ2は、減速機、駆動軸等を介して駆動輪8を駆動する。
【0017】
モータ2には、モータ2の回転速度を検出する回転速度センサ21が設けられている。回転速度センサ21は、車両1が前進する場合の回転方向の回転を正の回転速度として出力する。
【0018】
インバータ3は、三相交流電力をモータ2に供給する。また、インバータ3は、モータ2が発電した三相交流電力を直流電力に変換して高電圧バッテリ4を充電する。
【0019】
インバータ3と高電圧バッテリ4を接続する入力端子の正極と負極の間には、平滑化コンデンサ31が接続されている。平滑化コンデンサ31は、正極と負極との間に生じた直流電力の電圧を平滑化する。
【0020】
高電圧バッテリ4は、例えば、ニッケル蓄電池やリチウム蓄電池等からなり、複数のセルを直列に接続して構成されている。高電圧バッテリ4は、インバータ3を介してモータ2に電力を供給する。高電圧バッテリ4の充放電電流、電圧及びバッテリ温度は、コンタクタ切替制御部5で検出できるようになっている。
【0021】
インバータ3と高電圧バッテリ4の間の負極側にはコンタクタとしての負極側コンタクタ41が設けられている。インバータ3と高電圧バッテリ4の間の正極側にはコンタクタとしての正極側コンタクタ42が設けられている。正極側コンタクタ42には、正極側コンタクタ42と並列に、プリチャージコンタクタ43とプリチャージ抵抗44が直列に接続された回路が接続されている。
【0022】
負極側コンタクタ41及び正極側コンタクタ42は、コンタクタ切替制御部5の制御に応じて、インバータ3と高電圧バッテリ4とを電気的に接続するオン状態と、インバータ3と高電圧バッテリ4とを電気的に遮断するオフ状態とのいずれか一方の状態をとるようになっている。
【0023】
プリチャージコンタクタ43は、コンタクタ切替制御部5の制御に応じて、プリチャージ抵抗44を正極側コンタクタ42に並列に接続するオン状態と、プリチャージ抵抗44を正極側コンタクタ42から電気的に遮断するオフ状態とのいずれか一方の状態をとるようになっている。
【0024】
例えば、プリチャージコンタクタ43は、モータ2が作動する前にオン状態をとり、正極側コンタクタ42がオン状態をとったあとにオフ状態をとるように制御される。
【0025】
高電圧バッテリ4には、インバータ3と並列に、普通充電コネクタ6と急速充電コネクタ7が接続されている。
【0026】
高電圧バッテリ4と普通充電コネクタ6との間には、変換器61が接続されている。変換器61は、交流の外部電源の充電口としての普通充電コネクタ6に供給される交流の電力を直流の電力に変換する。
【0027】
高電圧バッテリ4と普通充電コネクタ6との接続経路の一方には、コンタクタとしての普通充電コンタクタ62が設けられている。普通充電コンタクタ62は、コンタクタ切替制御部5の制御に応じて、高電圧バッテリ4と普通充電コネクタ6とを電気的に接続するオン状態と、高電圧バッテリ4と普通充電コネクタ6とを電気的に遮断するオフ状態とのいずれか一方の状態をとるようになっている。
【0028】
普通充電コネクタ6は、交流の外部電源の充電コネクタが接続されているか否かを検出してコンタクタ切替制御部5に通知するようになっている。
【0029】
高電圧バッテリ4と急速充電コネクタ7との間の負極側には、コンタクタとしての負極側急速充電コンタクタ71が設けられている。高電圧バッテリ4と急速充電コネクタ7との間の正極側には、コンタクタとしての正極側急速充電コンタクタ72が設けられている。
【0030】
負極側急速充電コンタクタ71及び正極側急速充電コンタクタ72は、コンタクタ切替制御部5の制御に応じて、高電圧バッテリ4と急速充電コネクタ7とを電気的に接続するオン状態と、高電圧バッテリ4と急速充電コネクタ7とを電気的に遮断するオフ状態とのいずれか一方の状態をとるようになっている。
【0031】
高電圧バッテリ4は、車両1外部に設置された充電設備の直流の外部電源の充電コネクタが充電口としての急速充電コネクタ7に接続されることにより、直流の外部電源から供給された電力により充電される。急速充電コネクタ7は、直流の外部電源の充電コネクタが接続されているか否かを検出してコンタクタ切替制御部5に通知するようになっている。
【0032】
コンタクタ切替制御部5は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0033】
コンタクタ切替制御部5のROMには、各種制御定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットをコンタクタ切替制御部5として機能させるためのプログラムが記憶されている。すなわち、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータユニットは、コンタクタ切替制御部5として機能する。
【0034】
コンタクタ切替制御部5の入力ポートには、前述のインバータ3と、回転速度センサ21に加え、車速センサ51を含む各種センサ類が接続されている。車速センサ51は、車両1の速度を検出する。
【0035】
一方、コンタクタ切替制御部5の出力ポートには、前述の負極側コンタクタ41、正極側コンタクタ42、プリチャージコンタクタ43、普通充電コンタクタ62、負極側急速充電コンタクタ71、正極側急速充電コンタクタ72を含む各種制御対象類が接続されている。
【0036】
第1実施例において、コンタクタ切替制御部5は、外部電源から普通充電コネクタ6または急速充電コネクタ7を介して高電圧バッテリ4に電力が供給されているときに、車両1の速度が所定の第1の車速以上となった場合、負極側コンタクタ41、正極側コンタクタ42、普通充電コンタクタ62、負極側急速充電コンタクタ71及び正極側急速充電コンタクタ72をオフ状態とする。第1の車速は、衝突を検出可能な車両1の速度で、実験等により求められる値であり、例えば1km/hである。
【0037】
コンタクタ切替制御部5は、外部電源から普通充電コネクタ6または急速充電コネクタ7を介して高電圧バッテリ4に電力が供給されているときに、モータ2の回転速度が所定の第1の回転速度以上となった場合、負極側コンタクタ41、正極側コンタクタ42、普通充電コンタクタ62、負極側急速充電コンタクタ71及び正極側急速充電コンタクタ72をオフ状態とする。第1の回転速度は、衝突を検出可能なモータ2の回転速度で、実験等により求められる値であり、例えば100rpmである。
【0038】
コンタクタ切替制御部5は、負極側コンタクタ41、正極側コンタクタ42、普通充電コンタクタ62、負極側急速充電コンタクタ71及び正極側急速充電コンタクタ72がオフ状態に切り替わると、平滑化コンデンサ31の電力をインバータ3により単相でモータ2へ放電させる。
【0039】
以上のように構成された第1実施例に係る充放電制御装置による充電制御処理について、図2を参照して説明する。なお、以下に説明する充電制御処理は、普通充電コネクタ6または急速充電コネクタ7に外部電源の充電コネクタが接続されたことを検出すると開始される。
【0040】
ステップS101において、コンタクタ切替制御部5は、負極側コンタクタ41及び正極側コンタクタ42をオン状態とし、普通充電コネクタ6に外部電源の充電コネクタが接続されている場合には、普通充電コンタクタ62をオン状態とし、急速充電コネクタ7に外部電源の充電コネクタが接続されている場合には、負極側急速充電コンタクタ71及び正極側急速充電コンタクタ72をオン状態として、高電圧バッテリ4への充電を開始させる。ステップS101の処理を実行した後、コンタクタ切替制御部5は、ステップS102の処理を実行する。
【0041】
ステップS102において、コンタクタ切替制御部5は、高電圧バッテリ4の充電が完了したか否かを判定する。コンタクタ切替制御部5は、例えば、高電圧バッテリ4の推定SOC(State of Charge)や電圧値、内部抵抗値などを用いて高電圧バッテリ4の充電が完了したか否かを判定する。
【0042】
高電圧バッテリ4の充電が完了したと判定した場合には、コンタクタ切替制御部5は、充電制御処理を終了する。高電圧バッテリ4の充電が完了していないと判定した場合には、コンタクタ切替制御部5は、ステップS103の処理を実行する。
【0043】
ステップS103において、コンタクタ切替制御部5は、車両1の車速が第1の車速以上である、または、モータ2の回転速度が第1の回転速度以上である、か否かを判定する。
【0044】
車両1の車速が第1の車速以上である、または、モータ2の回転速度が第1の回転速度以上である、と判定した場合には、コンタクタ切替制御部5は、ステップS104の処理を実行する。車両1の車速が第1の車速以上でない、かつ、モータ2の回転速度が第1の回転速度以上でない、と判定した場合には、コンタクタ切替制御部5は、ステップS102の処理を実行する。
【0045】
ステップS104において、コンタクタ切替制御部5は、負極側コンタクタ41、正極側コンタクタ42、普通充電コンタクタ62、負極側急速充電コンタクタ71及び正極側急速充電コンタクタ72をオフ状態とする。ステップS104の処理を実行した後、コンタクタ切替制御部5は、ステップS105の処理を実行する。
【0046】
ステップS105において、コンタクタ切替制御部5は、平滑化コンデンサ31を放電する。ステップS105の処理を実行した後、コンタクタ切替制御部5は、充電制御処理を終了する。
【0047】
このように、第1実施例では、コンタクタ切替制御部5は、外部電源から普通充電コネクタ6または急速充電コネクタ7を介して高電圧バッテリ4に電力が供給されているときに、車両1の速度が所定の第1の車速以上となった場合、負極側コンタクタ41、正極側コンタクタ42、普通充電コンタクタ62、負極側急速充電コンタクタ71及び正極側急速充電コンタクタ72をオフ状態とする。
【0048】
衝突検出センサを備えたECUが機能しない充電中であっても、車速により衝突があったと判定し、イグニッションオフかつ充電中であっても、余分な電力を消費することなく衝突を検知して、高電圧経路を遮断することができる。これにより、衝突後に人が高電圧部品に触れた際の感電リスクを低減させることができる。また、パーキングロック機能が無く、サイドブレーキの制動力により駆動輪を停止させる車両では、衝突以外の要素、例えば、勾配が大きな坂路であったり、サイドブレーキによる制動力が不十分であったりする場合でも駆動輪が動くおそれがあり、そういった状況においても、高電圧経路を遮断することができる。
【0049】
また、コンタクタ切替制御部5は、外部電源から普通充電コネクタ6または急速充電コネクタ7を介して高電圧バッテリ4に電力が供給されているときに、モータ2の回転速度が所定の第1の回転速度以上となった場合、負極側コンタクタ41、正極側コンタクタ42、普通充電コンタクタ62、負極側急速充電コンタクタ71及び正極側急速充電コンタクタ72をオフ状態とする。
【0050】
モータ2と駆動輪8が直結していることから、車速だけでなくモータ2の回転速度からも衝突の有無を判定することが可能であり、イグニッションオフかつ充電中であっても、余分な電力を消費することなく、モータ2の回転速度が第1の回転速度以上であれば衝突を検知して、コンタクタを非接続状態に切り替えることで、衝突後に人が高電圧部品に触れた際の感電リスクを低減させることができる。
【0051】
また、コンタクタ切替制御部5は、負極側コンタクタ41、正極側コンタクタ42、普通充電コンタクタ62、負極側急速充電コンタクタ71及び正極側急速充電コンタクタ72がオフ状態に切り替わると、平滑化コンデンサ31の電力をインバータ3により単相でモータ2へ放電させる。
【0052】
衝突判定され、コンタクタがオフ状態に切り替わった後、平滑化コンデンサ31に溜まった電力が、インバータ3により単相でモータ2へ速やかに放電される。これにより、モータ2を回転させずに速やかに平滑化コンデンサ31を放電させることができ、衝突後に人が高電圧部品に触れた際の感電リスクを低減させることができる。また、モータ2を回転させずに放電させているため、衝突後に車両1がさらに動いてしまうことを抑えることができる。
【0053】
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例について説明する。ここで、第2実施例は第1実施例と略同様に構成されているので、同様な構成には同一の符号を付して特徴部分を説明する。
【0054】
図3において、本発明の第1実施例に係る充放電制御装置を搭載した車両100は、外部通信部9を備えている。
【0055】
外部通信部9は、所定の無線ネットワークなどの通信媒体を介して車外の外部サーバー110等と通信して情報の送受信を行なう。
【0056】
外部サーバー110は、所定の無線ネットワークなどの通信媒体を介して車両100の所有者のスマートフォン等の情報受信機器111に、メールやメッセージ等により情報を送信する。
【0057】
第2実施例において、コンタクタ切替制御部5は、外部電源から普通充電コネクタ6または急速充電コネクタ7を介して高電圧バッテリ4に電力が供給されているときに、車両100の速度が前述の第1の車速以上となった、または、モータ2の回転速度が前述の第1の回転速度以上となった、などで負極側コンタクタ41、正極側コンタクタ42、普通充電コンタクタ62、負極側急速充電コンタクタ71及び正極側急速充電コンタクタ72がオフ状態に切り替わると、異常発生の情報を、外部サーバー110を介して、車両100の所有者の情報受信機器111に送信する。コンタクタ切替制御部5は、例えば、「異常により充電が中断した」という情報を、外部サーバー110を介して、車両100の所有者の情報受信機器111に送信する。
【0058】
以上のように構成された第2実施例に係る充放電制御装置による充電制御処理について、図4を参照して説明する。なお、以下に説明する充電制御処理は、普通充電コネクタ6または急速充電コネクタ7に外部電源の充電コネクタが接続されたことを検出すると開始される。
【0059】
ステップS201において、コンタクタ切替制御部5は、負極側コンタクタ41及び正極側コンタクタ42をオン状態とし、普通充電コネクタ6に外部電源の充電コネクタが接続されている場合には、普通充電コンタクタ62をオン状態とし、急速充電コネクタ7に外部電源の充電コネクタが接続されている場合には、負極側急速充電コンタクタ71及び正極側急速充電コンタクタ72をオン状態として、高電圧バッテリ4への充電を開始させる。ステップS201の処理を実行した後、コンタクタ切替制御部5は、ステップS202の処理を実行する。
【0060】
ステップS202において、コンタクタ切替制御部5は、高電圧バッテリ4の充電が完了したか否かを判定する。
【0061】
高電圧バッテリ4の充電が完了したと判定した場合には、コンタクタ切替制御部5は、充電制御処理を終了する。高電圧バッテリ4の充電が完了していないと判定した場合には、コンタクタ切替制御部5は、ステップS203の処理を実行する。
【0062】
ステップS203において、コンタクタ切替制御部5は、車両100の車速が第1の車速以上である、または、モータ2の回転速度が第1の回転速度以上である、か否かを判定する。
【0063】
車両100の車速が第1の車速以上である、または、モータ2の回転速度が第1の回転速度以上である、と判定した場合には、コンタクタ切替制御部5は、ステップS204の処理を実行する。車両100の車速が第1の車速以上でない、かつ、モータ2の回転速度が第1の回転速度以上でない、と判定した場合には、コンタクタ切替制御部5は、ステップS202の処理を実行する。
【0064】
ステップS204において、コンタクタ切替制御部5は、負極側コンタクタ41、正極側コンタクタ42、普通充電コンタクタ62、負極側急速充電コンタクタ71及び正極側急速充電コンタクタ72をオフ状態とする。ステップS204の処理を実行した後、コンタクタ切替制御部5は、ステップS205の処理を実行する。
【0065】
ステップS205において、コンタクタ切替制御部5は、平滑化コンデンサ31を放電する。ステップS205の処理を実行した後、コンタクタ切替制御部5は、ステップS206の処理を実行する。
【0066】
ステップS206において、コンタクタ切替制御部5は、車両100の所有者の情報受信機器111に、異常により充電が中断したことを外部サーバー110を介して報知する。ステップS206の処理を実行した後、コンタクタ切替制御部5は、充電制御処理を終了する。
【0067】
このように、第2実施例では、コンタクタ切替制御部5は、外部電源から普通充電コネクタ6または急速充電コネクタ7を介して高電圧バッテリ4に電力が供給されているときに、車両100の速度が前述の第1の車速以上となった、または、モータ2の回転速度が前述の第1の回転速度以上となった、などで負極側コンタクタ41、正極側コンタクタ42、普通充電コンタクタ62、負極側急速充電コンタクタ71及び正極側急速充電コンタクタ72がオフ状態に切り替わると、異常発生の情報を外部サーバー110を介して、車両100の所有者の情報受信機器111に送信する。
【0068】
これにより、車両100の所有者が車両100の近傍に不在でも、車両100への衝突などの異常が発生したことを車両100の所有者に認識させることができるため、衝突後の車両100に不用意に触れることを抑制させることができ、感電リスクを低減させることができる。
【0069】
前述の各実施例では、各種センサ情報に基づきコンタクタ切替制御部5が各種の判定や算出を行なう例について説明したが、これに限らず、車両が外部サーバー等の車外装置と通信可能な通信部を備え、該通信部から送信された各種センサの検出情報に基づき車外装置によって各種の判定や算出が行なわれ、その判定結果や算出結果を通信部で受信して、その受信した判定結果や算出結果を用いて各種制御を行なってもよい。
【0070】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0071】
1、100 車両
2 モータ
3 インバータ
4 高電圧バッテリ
5 コンタクタ切替制御部
6 普通充電コネクタ(充電口)
7 急速充電コネクタ(充電口)
8 駆動輪
9 外部通信部
21 回転速度センサ
31 平滑化コンデンサ
41 負極側コンタクタ(コンタクタ)
42 正極側コンタクタ(コンタクタ)
43 プリチャージコンタクタ
44 プリチャージ抵抗
51 車速センサ
62 普通充電コンタクタ(コンタクタ)
71 負極側急速充電コンタクタ(コンタクタ)
72 正極側急速充電コンタクタ(コンタクタ)
110 外部サーバー
111 情報受信機器
図1
図2
図3
図4