(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137911
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】光周波数コムの周波数掃引量測定装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01M 11/00 20060101AFI20220914BHJP
G02F 2/00 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
G01M11/00 T
G02F2/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037634
(22)【出願日】2021-03-09
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和元年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業「マイクロ光周波数コムの新規制御技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】久世 直也
【テーマコード(参考)】
2G086
2K102
【Fターム(参考)】
2G086EE03
2G086EE07
2G086EE12
2K102BA40
2K102BC01
2K102BD09
2K102DA04
2K102DB04
2K102EB06
2K102EB20
2K102EB22
(57)【要約】
【課題】サイズを抑え、低コストで、全てのコムモード周波数掃引量の測定を可能にする光周波数コムの周波数掃引量測定装置及び方法を提供する。
【解決手段】光周波数コムと、時間τだけ遅延した光周波数コムとを干渉させた出力光を出力するアンバランスマッハツェンダ―干渉計と、N番目のコムモード及びM番目のコムモードをそれぞれ透過する2つのバンドパスフィルタと、2つのバンドパスフィルタから出力される光をそれぞれ検出する2つの光検出器と、2つの光検出器からの信号からコムモード周波数掃引量を算出する信号処理装置とを備え、干渉の波形の位相の、N番目及びM番目のコムモードにおける変化量δφ
N及びδφ
Mを用いて、δν
N=1/τ×(δφ
N/2π)、δν
M=1/τ×(δφ
M/2π)の関係によりN番目及びM番目のコムモード周波数の変化量δν
N及びδν
Mを算出し、任意のコムモード周波数の掃引量δν
Kを算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数掃引される光周波数コムを入力し、前記光周波数コムと、時間τの遅延を受けた前記光周波数コムとを干渉させた出力光を出力するアンバランスマッハツェンダ―干渉計と、
前記出力光のN番目のコムモードのみを透過する第1光バンドパスフィルタ及びM番目のコムモードのみを透過する第2光バンドバスフィルタと(ただし、N≠M)、
前記第1光バンドバスフィルタ及び前記第2光バンドパスフィルタから出力される光をそれぞれ検出する2つの光検出器と、
前記2つの光検出器からの信号から、前記光周波数コムのコムモード周波数掃引量を算出する信号処理装置と
を備え、前記信号処理装置は、前記2つの光検出器からの信号によって得られた干渉の波形の位相の、前記N番目のコムモードにおける変化量δφ
N及び前記M番目のコムモードにおけるδφ
Mを用いて、
【数1】
【数2】
の関係により前記光周波数コムの前記N番目のコムモード及び前記M番目のコムモードのコムモード周波数の変化量δν
N及びδν
Mを算出し、前記算出した変化量δν
N及びδν
Mから任意のコムモード周波数の掃引量δν
Kを算出することを特徴とする光周波数コムの周波数掃引量測定装置。
【請求項2】
前記信号処理装置は、算出した前記N番目のコムモード及び前記M番目のコムモードのコムモード周波数の変化量δν
N及びδν
Mを用いて、
【数3】
の関係により前記任意のコムモード周波数の掃引量δν
Kを算出することを特徴とする請求項1に記載の光周波数コムの周波数掃引量測定装置。
【請求項3】
光周波数コムをアンバランスマッハツェンダ―干渉計に入力し、前記光周波数コムと、時間τの遅延を受けた前記光周波数コムとを干渉させた出力光を出力するステップと、
前記出力光のN番目のコムモードとM番目のコムモードをそれぞれ独立に出力するステップと、
前記N番目のコムモードと前記M番目のコムモードを検出し電気信号に変換するステップと、
前記光周波数コムのコムモード周波数を掃引することにより、前記電気信号によって得られた干渉の波形の位相の、前記N番目のコムモードにおける変化量δφ
N及び前記M番目のコムモードにおける変化量δφ
Mを測定するステップと、
前記測定した変化量δφ
N及び変化量δφ
Mを用いて、
【数4】
【数5】
の関係により前記光周波数コムの前記N番目のコムモード及び前記M番目のコムモードのコムモード周波数の変化量δν
N及びδν
Mを算出するステップと
前記算出した変化量δν
N及びδν
Mから任意のコムモード周波数の掃引量δν
Kを算出するステップと
を備えたことを特徴とする光周波数コムの周波数掃引量測定方法。
【請求項4】
算出した前記N番目のコムモード及び前記M番目のコムモードのコムモード周波数の変化量δν
N及びδν
Mを用いて、
【数6】
の関係により前記任意のコムモード周波数の掃引量δν
Kを算出するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の光周波数コムの周波数掃引量測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光周波数コムの周波数掃引量測定装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光周波数コムは、超短パルスモード同期レーザの一種であり、離散的かつ等間隔に並んだ櫛(コム)状のスペクトルを有する。光周波数コムの各コムモードをCWレーザ光源とみなし、コムモード周波数を掃引することによって、光を用いた距離測定(Light Detection and Ranging,LiDAR)や形状測定等が可能となる(例えば、非特許文献2参照)。
【0003】
コムモード周波数の掃引は、例えば、CWレーザからの励起光を掃引する方法(非特許文献1)、光周波数コムを発生させる微小共振器に取り付けたマイクロヒーターによる方法(非特許文献3参照)、共振器に取り付けた圧電素子による方法(非特許文献4参照)、電気光学変調器によりコムモード周波数の制御を行う方法(非特許文献5参照)、あるいはそれらの組み合わせ等によって可能である。コムモード周波数掃引量を測定する方法としては、CWレーザと、コムモードを干渉させ、その周波数差を光検出器で測定することによってコムモード周波数掃引量を測定する方法等が挙げられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】N.Kuse,et al.,Optics Letters,45,pp.927-930(2020)
【非特許文献2】J.Riemensberger.et al.,Nature,581,164(2020)
【非特許文献3】C.Joshi,et al.,Optics Letters,41,pp.2565-2568(2016)
【非特許文献4】J.Liu,et al.,Nature,583,pp.385-390(2020)
【非特許文献5】C.Wang,et al.,Nature,562,pp.101-104(2018)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LiDARや形状測定等の測定を行う際、利用する全てのコムモードのコムモード周波数掃引量を測定する必要がある。CWレーザと、コムモードを干渉させ、その周波数差を測定する方法等による、従来のコムモード周波数掃引量の測定方法によれば、単一のコムモードの周波数掃引量のみの測定が可能である。利用する全てのコムモードのコムモード周波数掃引量を測定するためには、従来のコムモード周波数掃引量の測定装置であれば複数用意する必要があり、サイズが大きく、かつコストがかかる。
【0006】
上記問題点を鑑み、本発明は、サイズを抑え、かつ低コストで、全てのコムモード周波数掃引量の測定を可能にする光周波数コムの周波数掃引量測定装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、光周波数コムの周波数掃引量測定装置であって、周波数掃引される光周波数コムを入力し、光周波数コムと、時間τの遅延を受けた光周波数コムとを干渉させた出力光を出力するアンバランスマッハツェンダ―干渉計と、出力光のN番目のコムモードのみを透過する第1光バンドパスフィルタ及びM番目のコムモードのみを透過する第2光バンドパスフィルタと(ただし、N≠M)、第1光バンドパスフィルタ及び第2光バンドパスフィルタから出力される光をそれぞれ検出する2つの光検出器と、2つの光検出器からの信号から、光周波数コムのコムモード周波数掃引量を算出する信号処理装置とを備え、信号処理装置は、2つの光検出器からの信号によって得られた干渉の波形の位相の、N番目のコムモードにおける変化量δφN及びM番目のコムモードにおけるδφMを用いて、δνN=1/τ×(δφN/2π)、δνM=1/τ×(δφM/2π)の関係により光周波数コムのN番目のコムモード及びM番目のコムモードのコムモード周波数の変化量δνN及びδνMを算出し、算出した変化量δνN及びδνMから任意のコムモード周波数の掃引量δνKを算出することを要旨とする。
【0008】
本発明の第1の態様において、信号処理装置は、算出したN番目のコムモード及びM番目のコムモードのコムモード周波数の変化量δνN及びδνMを用いて、δνK=δνN+(K-N)/(N-M)×(δνN―δνM)の関係により任意のコムモード周波数の掃引量δνKを算出してもよい。
【0009】
本発明の第2の態様は、光周波数コムの周波数掃引量測定方法であって、光周波数コムをアンバランスマッハツェンダ―干渉計に入力し、光周波数コムと、時間τの遅延を受けた光周波数コムとを干渉させた出力光を出力するステップと、出力光のN番目のコムモードとM番目のコムモードをそれぞれ独立に出力するステップと、N番目のコムモードとM番目のコムモードを検出し電気信号に変換するステップと、光周波数コムのコムモード周波数を掃引することにより、電気信号によって得られた干渉の波形の位相の、N番目のコムモードにおける変化量δφN及びM番目のコムモードにおける変化量δφMを測定するステップと、測定した変化量δφN及び変化量δφMを用いて、δνN=1/τ×(δφN/2π)、δνM=1/τ×(δφM/2π)の関係により光周波数コムのN番目のコムモード及びM番目のコムモードのコムモード周波数の変化量δνN及びδνMを算出するステップと、算出した変化量δνN及びδνMから任意のコムモード周波数の掃引量δνKを算出するステップとを備えたことを要旨とする。
【0010】
本発明の第2の態様において、算出したN番目のコムモード及び記M番目のコムモードのコムモード周波数の変化量δνN及びδνMを用いて、δνK=δνN+(K-N)/(N-M)×(δνN―δνM)の関係により任意のコムモード周波数の掃引量δνKを算出するステップをさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、サイズを抑え、かつ低コストで全てのコムモード周波数掃引量の測定を可能にする光周波数コムの周波数掃引量測定装置及び方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る光周波数コムの周波数掃引量測定装置の構成の一例を示す模式図である。
【
図2】N番目のコムモード及びM番目のコムモードのMZIを経て、光検出器で観測される干渉信号の時間変化を示すグラフである。
【
図3】本実施形態に係る周波数掃引量測定装置を用いた実測によって得られた0番目と―16番目のコムモードの周波数掃引量を示すグラフである。
【
図4】本実施形態に係る周波数掃引量測定装置を用いた実測及び計算によって得られた―4番目のコムモードの周波数掃引量を示すグラフである。
【
図5】
図4に示す―4番目のコムモードの周波数掃引量の実測値と計算値の差を示すグラフである。
【
図6】本実施形態に係る光周波数コムの周波数掃引量測定方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。実施形態に係る図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0014】
又、実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、各構成要素の構成や配置、レイアウト等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
(実施形態)
本発明の実施形態に係る光周波数コムの周波数掃引量測定装置を図面を参照しながら説明する。
図1に本発明の実施形態に係る光周波数コムの周波数掃引量測定装置の構成の一例を示す。
図1に示すように、本実施形態に係る光周波数コムの周波数掃引量測定装置10は、干渉計101と、光バンドパスフィルタ(BPF)102、103と、光検出器104、105と、光方向性結合器106、107と、アナログデジタル変換器(ADC)117、118と、信号処理装置119とから構成される。
【0016】
干渉計101は、2波長アンバランスマッハツェンダ―型干渉計であり、互いに光路長の異なる第1光ファイバ108と、第2光ファイバ109と、第1光方向性結合器106と、第2光方向性結合器107とから構成される。第1光ファイバ108と、第2光ファイバ109の光路長差は既知であるとする。
図1には、干渉計101として光ファイバから構成されるものが示されているが、空間から構成されるものであってもよく、光導波路から構成されるものであってもよい。
【0017】
光周波数コム110は、光ファイバによって発生するもの、電気光学変調器により発生するもの、微小共振器により発生するもの等、いずれの種類の光周波数コムであっても構わない。また、光周波数コム110のコムモード周波数を掃引する方法は、CWレーザからの励起光による方法(非特許文献1)、マイクロヒーターによる方法(非特許文献3参照)、圧電素子による方法(非特許文献4参照)、電気光学変調器による方法(非特許文献5参照)、あるいはそれらの組み合わせ等、いずれの方法によるものでも構わない。
【0018】
光周波数コム110は光ファイバ116を伝搬し、干渉計101に入射されたのち、第1光方向性結合器106において2分岐し、干渉計101において光路長の異なる第1光ファイバ108と、第2光ファイバ109とを伝搬する。第2光ファイバ109を伝搬した光周波数コム112は、時間τの遅延を受けたのち、第1光ファイバ108を伝搬した光周波数コム111と、第2光方向性結合器107において合流し、出力光113として出力される。光周波数コム110と、光周波数コム111と、光周波数コム112とは、互いに同一の光であるが、光周波数コム112は、光周波数コム111と比較して時間τだけ遅延しており、出力光113は周波数コム111と光周波数コム112とが干渉した光である。
【0019】
第2光方向性結合器107において光路は2分岐しており、2分岐した光路のそれぞれに第1光バンドパスフィルタ(第1BPF)102、第2光バンドパスフィルタ(第2BPF)103が接続されている。第1光バンドパスフィルタ102及び第2光バンドパスフィルタ103は、出力光113の、互いに異なるコムモードのみを透過するように設定される。本実施形態において、出力光113は、第1光バンドパスフィルタ102によってN番目のコムモード114が、第2光バンドパスフィルタ103によってM番目のコムモード115が取り出されるものとする(ただし、N≠M)。つまり、第1光バンドパスフィルタ102は、N番目のコムモード114が対応する周波数帯の出力光のみを通過させる。また、第2光バンドパスフィルタ103は、M番目のコムモード115が対応する周波数帯の出力光のみを通過させる。
【0020】
第1光検出器104及び第2光検出器105によって、N番目のコムモード114及びM番目のコムモード115の干渉信号が検出される。第1光検出器104及び第2光検出器105によって得られた信号は、アナログデジタル変換器(ADC)117、118によってデジタル化され、信号処理装置119によって以下に述べる計算処理がなされる。
【0021】
第1光検出器104及び第2光検出器105によって、N番目のコムモード114及びM番目のコムモード115の干渉信号の時間変化を測定する。出力光113は、光周波数コム111と、時間τの遅延を受けた光周波数コム112との重ね合わせた光であり、従って、
図2のようにN番目のコムモード114及びM番目のコムモード115の干渉信号の時間変化をグラフに示すと、干渉が生じている様子が観測される。
【0022】
光周波数コム110のコムモード周波数をシフトさせると、光周波数コム110の全てのコムモードの周波数は同時にシフトし、コムモード周波数の変化に応答して、
図2に示す干渉の波形の位相が変化する。以下に述べるように、
図2に示す干渉波形の、光周波数コム110のコムモード周波数をシフトさせる前と、光周波数コム110のコムモード周波数をシフトさせた後の位相の変化を測定することによって、コムモード周波数のシフト量を算出することが出来る。
【0023】
N番目のコムモード114のコムモード周波数をνN、M番目のコムモード115のコムモード周波数をνMとする。光周波数コム110のコムモード周波数をシフトさせたときのN番目のコムモードのコムモード周波数の掃引量をδνN、M番目のコムモードのコムモード周波数の掃引量をδνMとすると、δνN、δνMは次の数式より算出することが出来る。
【0024】
【0025】
【数2】
ここで、上式中のτは干渉計101の第2光ファイバ109を伝搬した光の遅延時間であり、既知の値である。δφ
M及びδφ
Nは
図2に示す干渉の波の位相変化量であり、光周波数コム110のコムモード周波数を掃引することによって変化する量である。
【0026】
ここで、光周波数コムのn番目のコムモードのコムモード周波数νnは、
【0027】
【数3】
で表される。f
CEOはキャリアエンベロープオフセット周波数、f
repはコムモード間の周波数間隔であり、コムモードの番号(上式においては、n番目)に依存しない値である。N番目及びM番目のコムモードのコムモード周波数の周波数掃引量δν
N、δν
Mは、コムモード周波数を掃引することによるf
CEO及びf
repの変化量をδf
CEO及びδf
repとすると、
【0028】
【0029】
【数5】
である。任意のコムモードのコムモード周波数の掃引量は、
【0030】
【数6】
であるから、K番目のコムモード周波数の掃引量は、
【0031】
【0032】
図3に、実測によって得られた0番目と―16番目のコムモードの周波数掃引量を示す。ここで、0番目と―16番目のコムモードとは、CWレーザからの励起光を基準として数えた場合のコムモードの次数である。
図4に、実測及び数式7を用いた計算によって得られた―4番目のコムモードの周波数掃引量を示す。
図3及び
図4に示すグラフの縦軸は周波数の掃引量、横軸は周波数を掃引し、その周波数に到達した時間を表している。
図4において、―4番目のコムモードの周波数掃引量の実測値と計算値の差は観られない。
図5に、
図4に示す―4番目のコムモードの周波数掃引量の実測値と計算値の差を示す。60GHz程度の周波数掃引量に対して、10MHz程度の誤差となっており、数式7を用いて任意のコムモード周波数の掃引量を得られたといえる。
【0033】
図6に示すフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る光周波数コムの周波数掃引量測定方法の一例を説明する。
【0034】
ステップS601において、光周波数コム110をアンバランスマッハツェンダ―干渉計101に入力し、光周波数コム111と、時間τの遅延を受けた光周波数コム112とを干渉させた出力光113を出力する。
【0035】
ステップS602において、光バンドパスフィルタ102,103を用いて、出力光113のN番目のコムモード114とM番目のコムモード115をそれぞれ独立に出力する。
【0036】
ステップS603において、光検出器104、105により、N番目のコムモードとM番目のコムモードを検出し電気信号に変換する。
【0037】
ステップS604において、光周波数コム110のコムモード周波数を掃引したことによる、N番目のコムモードにおける干渉の波形の位相の変化量δφN及びM番目のコムモードにおける干渉の波形の位相のδφMを測定する。
【0038】
ステップS605において、測定した変化量δφN及びδφMを用いて、数式1、数式2の関係により、光周波数コムのN番目のコムモード及びM番目のコムモードのコムモード周波数の変化量δνN及びδνMを算出する。
【0039】
ステップS606において、算出した前記N番目のコムモード及び前記M番目のコムモードのコムモード周波数の変化量δνN及びδνMを用いて、数式7の関係により任意のコムモード周波数の掃引量δνKを算出する。
【0040】
光周波数コムの任意のコムモードの周波数掃引量は、光周波数コムの複数のコムモードのうち、2つのコムモードの周波数掃引量を測定によって得ることにより算出することが出来る。周波数掃引量を測定する2つのコムモードはいずれのコムモードでも構わないが、2つのコムモードは周波数が互いに離れているほど、
図4に示すような、任意のコムモードの周波数掃引量の実測値と計算値の差は小さくなる。
【0041】
以上、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0042】
10 周波数掃引量測定装置
101 干渉計
102 第1光バンドパスフィルタ
103 第2光バンドパスフィルタ
104 第1光検出器
105 第2光検出器
106 第1光方向性結合器
107 第2光方向性結合器
108 第1光ファイバ
109 第2光ファイバ
110、111、112 光周波数コム
113 出力光
114 N番目のコムモード
115 M番目のコムモード
116 光ファイバ
117、118 アナログデジタル変換器
119 信号処理装置