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特開2022-137919誤差判別システム、誤差判別方法、誤差判別プログラムおよび当該誤差判別プログラムを記録した記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137919
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】誤差判別システム、誤差判別方法、誤差判別プログラムおよび当該誤差判別プログラムを記録した記録媒体
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/00 20060101AFI20220914BHJP
   G05B 19/18 20060101ALI20220914BHJP
   B23Q 3/155 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
B23Q17/00 B
G05B19/18 X
B23Q3/155 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】31
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037646
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000141738
【氏名又は名称】株式会社宮園製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】宮園 正則
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 剛丈
【テーマコード(参考)】
3C002
3C029
3C269
【Fターム(参考)】
3C002HH06
3C002KK04
3C029EE13
3C029EE14
3C269AB03
3C269AB05
3C269AB06
3C269BB12
3C269EF69
3C269MN07
3C269MN41
3C269PP02
3C269QD01
3C269QD05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】工具を主軸部に取り付ける際に起こる人為的過誤の発生を、ワークの加工を行う前に判明させ、当該人為的過誤が発生した状態でワークを加工することによる不都合な事態の発生を防止すること。
【解決手段】工作機械に取り付けられた工具2の誤差を判別する誤差判別システムであって、工作機械は、主軸部と、ホルダ4と、コンピュータと、報知部と、を備え、コンピュータは、記憶部と、演算部と、判断部と、を有し、記憶部は、理論ホルダ長A1と、理論突き出し長B1と、第1許容範囲と、実測工具長と、を記憶し、演算部は、第1誤差を演算し、判断部は、第1誤差が第1許容範囲に含まれるか否かを判断し、第1誤差は第1許容範囲に含まれないと判別された場合に、報知部が、第1誤差は第1許容範囲に含まれないことを報知することを特徴とする誤差判別システム。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械に取り付けられた工具の誤差を判別する誤差判別システムであって、
前記工作機械は、主軸部と、前記主軸部に装着され、前記工具を取り付けるホルダと、コンピュータと、報知部と、を備え、
前記コンピュータは、記憶部と、演算部と、判断部と、を有し、
前記記憶部は、
前記ホルダが前記主軸部に装着された際に、当該ホルダの情報から計算される、当該ホルダが当該主軸部から延出する長さである理論ホルダ長と、
前記工具が前記ホルダに取り付けられた際に、当該工具の情報および当該ホルダの情報から計算される、当該工具が当該ホルダから延出する長さである理論突き出し長と、
第1許容範囲と、
前記ホルダが前記主軸部に装着され、前記工具が前記ホルダに取り付けられた状態で測定された当該ホルダが当該主軸部から延出する実際の長さと当該工具が当該ホルダから延出する実際の長さとの和である実測工具長と、を記憶し、
前記演算部は、前記実測工具長と、前記理論ホルダ長と前記理論突き出し長との和と、の差である第1誤差を演算し、
前記判断部は、前記第1誤差が前記第1許容範囲に含まれるか否かを判断し、
前記判断部が前記第1誤差は前記第1許容範囲に含まれないと判別した場合に、前記報知部が、前記第1誤差が前記第1許容範囲に含まれないことを報知することを特徴とする誤差判別システム。
【請求項2】
前記判断部が、前記記憶部が前記実測工具長を記憶したか否かを判断する請求項1に記載の誤差判別システム。
【請求項3】
前記記憶部が、前記工具の情報から得られる工具径である理論工具径と、第2許容範囲と、前記ホルダが前記主軸部に装着され、前記工具が当該ホルダに取り付けられた状態で測定された当該工具の実際の工具径である実測工具径と、をさらに記憶し、
前記演算部が、前記実測工具径と前記理論工具径との差である第2誤差を演算し、
前記判断部が、前記第2誤差が前記第2許容範囲に含まれるか否かを判断し、
前記判断部が前記第2誤差は前記第2許容範囲に含まれないと判断した場合に、前記報知部が、前記第2誤差が前記第2許容範囲に含まれないことを報知する請求項1または2に記載の誤差判別システム。
【請求項4】
前記判断部が、前記記憶部が前記実測工具径を記憶したか否かを判断する請求項3に記載の誤差判別システム。
【請求項5】
前記記憶部が、前記理論工具径および前記実測工具径に替えて、前記工具の情報から得られる、当該工具の軸方向の任意の位置における直径である理論直径、および前記工具が当該ホルダに取り付けられた状態で測定された、当該工具の前記理論直径と同一の軸方向の位置における直径である実測直径を記憶し、
前記演算部が、前記実測工具径と前記理論工具径との差に替えて、前記実測直径と前記理論直径との差を前記第2誤差として演算する請求項3に記載の誤差判別システム。
【請求項6】
前記判断部が、前記記憶部が前記実測直径を記憶したか否かを判断する請求項5に記載の誤差判別システム。
【請求項7】
前記記憶部が、前記理論工具径および前記実測工具径に替えて、前記工具の情報から得られる、当該工具の軸方向に対する直径の変化率である理論変化率、および前記工具が当該ホルダに取り付けられた状態で測定された、当該工具の軸方向に対する直径の変化率である実測変化率を記憶し、
前記演算部が、前記実測工具径と前記理論工具径との差に替えて、前記実測変化率と前記理論変化率との差を前記第2誤差として演算する請求項3に記載の誤差判別システム。
【請求項8】
前記判断部が、前記記憶部が前記実測変化率を記憶したか否かを判断する請求項7に記載の誤差判別システム。
【請求項9】
前記記憶部が、前記理論工具径および前記実測工具径に替えて、前記工具の情報から得られる、当該工具の中心軸に対する側面の角度である理論角度、および前記工具が当該ホルダに取り付けられた状態で測定された、当該工具の中心軸に対する側面の角度である実測角度を記憶し、
前記演算部が、前記実測工具径と前記理論工具径との差に替えて、前記実測角度と前記理論角度との差を前記第2誤差として演算する請求項3に記載の誤差判別システム。
【請求項10】
前記判断部が、前記記憶部が前記実測角度を記憶したか否かを判断する請求項9に記載の誤差判別システム。
【請求項11】
工作機械に取り付けられた工具の誤差を判別する誤差判別方法であって、
前記工作機械が有する主軸部に、前記工具を取り付けるホルダが装着された際に、当該ホルダの情報から計算される、当該ホルダが当該主軸部から延出する長さである理論ホルダ長と、
前記工具が前記ホルダに取り付けられた際に、当該工具の情報および当該ホルダの情報から計算される、当該工具が当該ホルダから延出する長さである理論突き出し長と、
第1許容範囲と、を記憶する第1の記憶ステップと、
前記工具を前記ホルダに取り付け、当該工具が取り付けられた当該ホルダを前記主軸部に装着する取り付けステップと、
前記ホルダが前記主軸部から延出する実際の長さと、前記工具が当該ホルダから延出する実際の長さとの和である実測工具長を測定する第1の測定ステップと、
前記実測工具長を記憶する第2の記憶ステップと、
前記実測工具長と、前記理論ホルダ長と前記理論突き出し長との和と、の差である第1誤差を演算する第1の演算ステップと、
前記第1誤差が前記第1許容範囲に含まれるか否かを判断する第1の判断ステップと、
前記第1誤差は前記第1許容範囲に含まれないと判断した場合に、前記第1誤差が前記第1許容範囲に含まれないことを報知する第1の報知ステップと、を備えることを特徴とする誤差判別方法。
【請求項12】
前記第2の記憶ステップにおいて前記実測工具長を記憶したか否かを判断する第1の記憶判断ステップを備える請求項11に記載の誤差判別方法。
【請求項13】
前記第1の記憶ステップにおいて、前記工具の情報から得られる工具径である理論工具径と、第2許容範囲と、をさらに記憶し、
前記工具の実際の工具径である実測工具径を測定する第2の測定ステップと、
前記実測工具径を記憶する第3の記憶ステップと、
前記実測工具径と前記理論工具径との差である第2誤差を演算する第2の演算ステップと、
前記第2誤差が前記第2許容範囲に含まれるか否かを判別する第2の判断ステップと、
前記第2誤差は前記第2許容範囲に含まれないと判別した場合に、前記第2誤差が前記第2許容範囲に含まれないことを報知する第2の報知ステップと、を備える請求項11または12に記載の誤差判別方法。
【請求項14】
前記第3の記憶ステップにおいて前記実測工具径を記憶したか否かを判断する第2の記憶判断ステップを備える請求項13に記載の誤差判別方法。
【請求項15】
前記第1の記憶ステップにおいて、前記理論工具径に替えて、前記工具の情報から得られる、当該工具の軸方向の任意の位置における直径である理論直径を記憶し、
前記第2の測定ステップにおいて、前記実測工具径に替えて、前記工具の前記理論直径と同一の軸方向の位置における直径である実測直径を測定し、
前記第3の記憶ステップにおいて、前記実測工具径に替えて、前記実測直径を記憶し、
前記第2の演算ステップにおいて、前記実測工具径と前記理論工具径との差に替えて、前記実測直径と前記理論直径との差を前記第2誤差として演算する請求項13に記載の誤差判別方法。
【請求項16】
前記第3の記憶ステップにおいて前記実測直径を記憶したか否かを判断する第2の記憶判断ステップを備える請求項15に記載の誤差判別方法。
【請求項17】
前記第1の記憶ステップにおいて、前記理論工具径に替えて、前記工具の情報から得られる、当該工具の軸方向に対する直径の変化率である理論変化率を記憶し、
前記第2の測定ステップにおいて、前記実測工具径に替えて、前記工具の軸方向に対する直径の変化率である実測変化率を測定し、
前記第3の記憶ステップにおいて、前記実測工具径に替えて、前記実測変化率を記憶し、
前記第2の演算ステップにおいて、前記実測工具径と前記理論工具径との差に替えて、前記実測変化率と前記理論変化率との差を前記第2誤差として演算する請求項13に記載の誤差判別方法。
【請求項18】
前記第3の記憶ステップにおいて前記実測変化率を記憶したか否かを判断する第2の記憶判断ステップを備える請求項17に記載の誤差判別方法。
【請求項19】
前記第1の記憶ステップにおいて、前記理論工具径に替えて、前記工具の情報から得られる、当該工具の中心軸に対する側面の角度である理論角度を記憶し、
前記第2の測定ステップにおいて、前記実測工具径に替えて、前記工具の中心軸に対する側面の角度である実測角度を測定し、
前記第3の記憶ステップにおいて、前記実測工具径に替えて、前記実測角度を記憶し、
前記第2の演算ステップにおいて、前記実測工具径と前記理論工具径との差に替えて、前記実測角度と前記理論角度との差を前記第2誤差として演算する請求項13に記載の誤差判別方法。
【請求項20】
前記第3の記憶ステップにおいて前記実測角度を記憶したか否かを判断する第2の記憶判断ステップを備える請求項19に記載の誤差判別方法。
【請求項21】
工作機械に取り付けられた工具の誤差を判別する誤差判別プログラムであって、
前記工作機械は、主軸部と、前記主軸部に装着され、前記工具を取り付けるホルダと、コンピュータと、報知部と、を備え、
前記コンピュータは、記憶部と、演算部と、判断部と、命令部と、を有し、
前記記憶部が、
前記ホルダが前記主軸部に装着された際に、当該ホルダの情報およびから計算される、当該ホルダが当該主軸部から延出する長さである理論ホルダ長と、
前記工具が前記ホルダに取り付けられた際に、当該工具の情報および当該ホルダの情報から計算される、当該工具が当該ホルダから延出する長さである理論突き出し長と、
第1許容範囲と、を記憶する第1の記憶ステップと、
前記記憶部が、前記ホルダが前記主軸部に装着され、前記工具が前記ホルダに取り付けられた状態で測定された当該ホルダが当該主軸部から延出する実際の長さと当該工具が当該ホルダから延出する実際の長さとの和である実測工具長を記憶する第2の記憶ステップと、
前記演算部が、前記実測工具長と、前記理論ホルダ長と前記理論突き出し長との和と、の差である第1誤差を演算する第1の演算ステップと、
前記判断部が、前記第1誤差が前記第1許容範囲に含まれるか否かを判断する第1の判断ステップと、
前記判断部が前記第1誤差は前記第1許容範囲に含まれないと判断した場合に、前記命令部が、前記報知部に対して、前記第1誤差が前記第1許容範囲に含まれないことを報知するように命令する第1の報知ステップと、を前記コンピュータに実行させることを特徴とする誤差判別プログラム。
【請求項22】
前記判断部が、前記第2の記憶ステップにおいて前記記憶部が前記実測工具長を記憶したか否かを判断する第1の記憶判断ステップを前記コンピュータに実行させる請求項21に記載の誤差判別方法。
【請求項23】
前記第1の記憶ステップにおいて、前記記憶部が、前記工具の情報から得られる工具径である理論工具径と、第2許容範囲と、をさらに記憶し、
前記記憶部が、前記ホルダが前記主軸部に装着され、前記工具が当該ホルダに取り付けられた状態で測定された当該工具の実際の工具径である実測工具径を記憶する第3の記憶ステップと、
前記演算部が、前記実測工具径と前記理論工具径との差である第2誤差を演算する第2の演算ステップと、
前記判断部が、前記第2誤差が前記第2許容範囲に含まれるか否かを判断する第2の判断ステップと、
前記判断部が前記第2誤差は前記第2許容範囲に含まれないと判断した場合に、前記命令部が、前記報知部に対して、前記第2誤差が前記第2許容範囲に含まれないことを報知するように命令する第2の報知ステップと、を前記コンピュータに実行させる請求項21または22に記載の誤差判別プログラム。
【請求項24】
前記判断部が、前記第3の記憶ステップにおいて前記記憶部が前記実測工具径を記憶したか否かを判断する第2の記憶判断ステップを前記コンピュータに実行させる請求項23に記載の誤差判別方法。
【請求項25】
前記第1の記憶ステップにおいて、前記記憶部が、前記理論工具径に替えて、前記工具の情報から得られる、当該工具の軸方向の任意の位置における直径である理論直径を記憶し、
前記第3の記憶ステップにおいて、前記記憶部が、前記実測工具径に替えて、前記工具が当該ホルダに取り付けられた状態で測定された、当該工具の前記理論直径と同一の軸方向の位置における直径である実測直径を記憶し、
前記第2の演算ステップにおいて、前記演算部が、前記実測工具径と前記理論工具径との差に替えて、前記実測直径と前記理論直径との差を前記第2誤差として演算する請求項23に記載の誤差判別プログラム。
【請求項26】
前記判断部が、前記第3の記憶ステップにおいて前記記憶部が前記実測直径を記憶したか否かを判断する第2の記憶判断ステップを前記コンピュータに実行させる請求項25に記載の誤差判別方法。
【請求項27】
前記第1の記憶ステップにおいて、前記記憶部が、前記理論工具径に替えて、前記工具の情報から得られる、当該工具の軸方向に対する直径の変化率である理論変化率を記憶し、
前記第3の記憶ステップにおいて、前記記憶部が、前記実測工具径に替えて、前記工具が当該ホルダに取り付けられた状態で測定された、前記工具の軸方向に対する直径の変化率である実測変化率を記憶し、
前記第2の演算ステップにおいて、前記演算部が、前記実測工具径と前記理論工具径との差に替えて、前記実測変化率と前記理論変化率との差を前記第2誤差として演算する請求項23に記載の誤差判別プログラム。
【請求項28】
前記判断部が、前記第3の記憶ステップにおいて前記記憶部が前記実測直径を記憶したか否かを判断する第2の記憶判断ステップを前記コンピュータに実行させる請求項27に記載の誤差判別方法。
【請求項29】
前記第1の記憶ステップにおいて、前記記憶部が、前記理論工具径に替えて、前記工具の情報から得られる、当該工具の中心軸に対する側面の角度である理論角度を記憶し、
前記第3の記憶ステップにおいて、前記記憶部が、前記実測工具径に替えて、前記工具が当該ホルダに取り付けられた状態で測定された、前記工具の中心軸に対する側面の角度である実測角度を記憶し、
前記第2の演算ステップにおいて、前記演算部が、前記実測工具径と前記理論工具径との差に替えて、前記実測角度と前記理論角度との差を前記第2誤差として演算する請求項23に記載の誤差判別プログラム。
【請求項30】
前記判断部が、前記第3の記憶ステップにおいて前記記憶部が前記実測直径を記憶したか否かを判断する第2の記憶判断ステップを前記コンピュータに実行させる請求項29に記載の誤差判別方法。
【請求項31】
請求項21~30のいずれか1項に記載の誤差判別プログラムを記録した記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誤差判別システム、誤差判別方法、誤差判別プログラムおよび当該誤差判別プログラムを記録した記録媒体に関し、より詳細には工作機械に取り付けられた工具の誤差を判別する誤差判別システム、誤差判別方法、誤差判別プログラムおよび当該誤差判別プログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から工作機械を用いたワークの加工が行われている。近年では、正確性、効率性等の観点から、事前に工作機械に記憶させた加工プログラムに沿って工作機械に取り付けられた工具またはワークを移動させ、自動的にワークの加工を行うコンピュータ数値制御を利用可能な工作機械の使用が主流である。
【0003】
コンピュータ数値制御を用いる際には、工作機械の主軸部に取り付けた工具の長さ、直径等の工具情報を工作機械に記憶させ、記憶させた工具情報と加工前後のワークの形状の情報とに基づいて加工プログラムを作成する。したがって、実際に工作機械の主軸部に取り付けられた工具の工具情報と工作機械に記憶させた工具情報との間にずれがないことが重要である。
【0004】
特許文献1では、自動工具交換装置の工具マガジンの各ポットに装着保管されている各工具の工具長もしくは工具径または工具長補正値もしくは工具径補正値等のデータを記憶する第1記憶手段、前記各工具のデータの変動範囲の許容値を記憶する第2記憶手段、新たに前記工具マガジンの各ポットに装着保管される工具のデータを入力する入力手段、前記入力手段により工具のデータが入力されたとき、入力されたデータと、対応する前記第1記憶手段に記憶された工具のデータと、を比較して、その差が前記第2記憶手段に記憶された許容値内にあるか否かを判定する判定手段、及び前記判定手段により前記許容値内にないと判定されたとき、警告信号の出力または再入力の指示を行う警告手段、を備えたことを特徴とする工具管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-42534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の発明では、工具を主軸部に取り付ける前に、機外において工具長等の工具のデータ(工具情報)を測定して工具管理装置に入力し、工具管理装置に記憶させた工具のデータとの差が記憶された許容値内にあるか否かを判定している。そのため、主軸部に工具を取付け忘れた、または工具情報を測定した工具とは別の工具を主軸部に取り付けた等の工具を主軸部に取り付ける際に起こる人為的過誤の発生を防止することができない。これらの人為的過誤により、工作機械に記憶させた工具情報と、工作機械の主軸部に実際に取り付けられた工具の工具情報と、の間にずれが生じる。そのずれに起因して、ワークの加工しない部分が加工されてしまう、ワークの加工する部分が加工されていない、ワークと主軸部とが衝突し、これらが損傷する、または工具がワークに届かず加工が行われないという不都合な事態が生じ、その結果、金銭的または時間的な損失が発生してしまう。
【0007】
そこで本発明では、主軸部に工具を取付け忘れた、または工具情報を測定した工具とは別の工具を主軸部に取り付けた等の工具を主軸部に取り付ける際に起こる人為的過誤の発生を、ワークの加工を行う前に判明させ、当該人為的過誤が発生した状態でワークを加工することによる、ワークの加工しない部分が加工されてしまう、ワークの加工する部分が加工されていない、ワークと主軸部とが衝突し、これらが損傷する、または工具がワークに届かず加工が行われないという不都合な事態の発生を防止することが可能な誤差判別システム、誤差判別方法、誤差判別プログラムおよび当該誤差判別プログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、工作機械に取り付けられた工具の誤差を判別する誤差判別システムであって、前記工作機械は、主軸部と、前記主軸部に装着され、前記工具を取り付けるホルダと、コンピュータと、報知部と、を備え、前記コンピュータは、記憶部と、演算部と、判断部と、を有し、前記記憶部は、前記ホルダが前記主軸部に装着された際に、当該ホルダの情報から計算される、当該ホルダが当該主軸部から延出する長さである理論ホルダ長と、前記工具が前記ホルダに取り付けられた際に、当該工具の情報および当該ホルダの情報から計算される、当該工具が当該ホルダから延出する長さである理論突き出し長と、第1許容範囲と、前記ホルダが前記主軸部に装着され、前記工具が前記ホルダに取り付けられた状態で測定された当該ホルダが当該主軸部から延出する実際の長さと当該工具が当該ホルダから延出する実際の長さとの和である実測工具長と、を記憶し、前記演算部は、前記実測工具長と、前記理論ホルダ長と前記理論突き出し長との和と、の差である第1誤差を演算し、前記判断部は、前記第1誤差が前記第1許容範囲に含まれるか否かを判断し、前記判断部が前記第1誤差は前記第1許容範囲に含まれないと判別した場合に、前記報知部が、前記第1誤差が前記第1許容範囲に含まれないことを報知することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、前記記憶部が、前記工具が前記ホルダに取り付けられた状態で測定された実測工具長を記憶し、前記演算部が、当該実測工具長を用いて前記第1誤差を演算し、前記判断部が、前記第1誤差が前記第1許容範囲に含まれるか否かを判断する。そのため、前記判断部による上記の判断は、前記工具を前記主軸部に取り付ける際に起こる人為的過誤を加味した前記第1誤差を用いて行われる。さらに、前記人為的過誤の発生により、前記第1誤差が前記第1許容範囲に含まれない場合には、前記報知部が、前記第1誤差が前記第1許容範囲に含まれないことを作業者に対して報知する。これにより、前記人為的過誤の発生を、ワークの加工を行う前に判明させることができ、その結果、当該人為的過誤が発生した状態でワークを加工することによる、ワークの加工しない部分が加工されてしまう、ワークの加工する部分が加工されていない、ワークと主軸部とが衝突し、これらが損傷する、または工具がワークに届かず加工が行われないという不都合な事態を防止することができる。
【0010】
本発明は、前記判断部が、前記記憶部が前記実測工具長を記憶したか否かを判断することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、前記記憶部に実測工具長を記憶させる作業が確実に行われたか否かを確認することが可能である。
【0012】
本発明は、前記記憶部が、前記工具の情報から得られる工具径である理論工具径と、第2許容範囲と、前記ホルダが前記主軸部に装着され、前記工具が当該ホルダに取り付けられた状態で測定された当該工具の実際の工具径である実測工具径と、をさらに記憶し、前記演算部が、前記実測工具径と前記理論工具径との差である第2誤差を演算し、前記判断部が、前記第2誤差が前記第2許容範囲に含まれるか否かを判断し、前記判断部が前記第2誤差は前記第2許容範囲に含まれないと判断した場合に、前記報知部が、前記第2誤差が前記第2許容範囲に含まれないことを報知することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、前記判断部が、前記第2誤差が前記第2許容範囲に含まれないと判断した場合には、前記報知部が、前記第2誤差が前記第2許容範囲に含まれないことを報知する。これにより、本来取り付ける予定であった工具と比較して、その長さは等しいが、その径が異なる関係にある工具を誤って取り付けたという人為的過誤もワークの加工を行う前に判明させることが可能である。
【0014】
本発明は、前記判断部が、前記記憶部が前記実測工具径を記憶したか否かを判断することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、前記記憶部に実測工具径を記憶させる作業が確実に行われたか否かを確認することが可能である。
【0016】
本発明は、前記記憶部が、前記理論工具径および前記実測工具径に替えて、前記工具の情報から得られる、当該工具の軸方向の任意の位置における直径である理論直径、および前記工具が当該ホルダに取り付けられた状態で測定された、当該工具の前記理論直径と同一の軸方向の位置における直径である実測直径を記憶し、前記演算部が、前記実測工具径と前記理論工具径との差に替えて、前記実測直径と前記理論直径との差を前記第2誤差として演算してもよい。
【0017】
上記構成である場合には、前記判断部が、前記記憶部が前記実測直径を記憶したか否かを判断する。前記工具の軸方向の任意の位置における直径の点から、本来取り付ける予定であった工具とは異なる工具を誤って取り付けたという人為的過誤もワークの加工を行う前に判明させることが可能である。
【0018】
本発明は、前記記憶部が、前記理論工具径および前記実測工具径に替えて、前記工具の情報から得られる、当該工具の軸方向に対する直径の変化率である理論変化率、および前記工具が当該ホルダに取り付けられた状態で測定された、当該工具の軸方向に対する直径の変化率である実測変化率を記憶し、前記演算部が、前記実測工具径と前記理論工具径との差に替えて、前記実測変化率と前記理論変化率との差を前記第2誤差として演算してもよい。
【0019】
上記構成である場合には、前記判断部が、前記記憶部が前記実測変化率を記憶したか否かを判断する。前記工具の軸方向に対する直径の変化率の点から、本来取り付ける予定であった工具とは異なる工具を誤って取り付けたという人為的過誤もワークの加工を行う前に判明させることが可能である。
【0020】
本発明は、前記記憶部が、前記理論工具径および前記実測工具径に替えて、前記工具の情報から得られる、当該工具の中心軸に対する側面の角度である理論角度、および前記工具が当該ホルダに取り付けられた状態で測定された、当該工具の中心軸に対する側面の角度である実測角度を記憶し、前記演算部が、前記実測工具径と前記理論工具径との差に替えて、前記実測角度と前記理論角度との差を前記第2誤差として演算してもよい。
【0021】
上記構成である場合には、前記判断部が、前記記憶部が前記実測角度を記憶したか否かを判断する。前記工具の中心軸に対する側面の角度の点から、本来取り付ける予定であった工具とは異なる工具を誤って取り付けたという人為的過誤もワークの加工を行う前に判明させることが可能である。
【0022】
本発明は、工作機械に取り付けられた工具の誤差を判別する誤差判別方法であって、前記工作機械が有する主軸部に、前記工具を取り付けるホルダが装着された際に、当該ホルダの情報および当該主軸部の情報から計算される、当該ホルダが当該主軸部から延出する長さである理論ホルダ長と、前記工具が前記ホルダに取り付けられた際に、当該工具の情報および当該ホルダの情報から計算される、当該工具が当該ホルダから延出する長さである理論突き出し長と、第1許容範囲と、を記憶する第1の記憶ステップと、前記工具を前記ホルダに取り付け、当該工具が取り付けられた当該ホルダを前記主軸部に装着する取り付けステップと、前記ホルダが前記主軸部から延出する実際の長さと、前記工具が当該ホルダから延出する実際の長さとの和である実測工具長を測定する第1の測定ステップと、前記実測工具長を記憶する第2の記憶ステップと、前記実測工具長と、前記理論ホルダ長と前記理論突き出し長との和と、の差である第1誤差を演算する第1の演算ステップと、前記第1誤差が前記第1許容範囲に含まれるか否かを判断する第1の判断ステップと、前記第1誤差は前記第1許容範囲に含まれないと判断した場合に、前記第1誤差が前記第1許容範囲に含まれないことを報知する第1の報知ステップと、を備えることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、前記工具が前記ホルダに取り付けられた状態で測定された実測工具長を記憶し、当該実測工具長を用いて前記第1誤差を演算し、前記第1誤差が前記第1許容範囲に含まれるか否かを判断する。そのため、前記第1の判断ステップは、前記工具を前記主軸部に取り付ける際に起こる人為的過誤を加味した前記第1誤差を用いて行われる。さらに、前記人為的過誤の発生により、前記第1誤差が前記第1許容範囲に含まれない場合には、前記第1の報知ステップにおいて、前記第1誤差が前記第1許容範囲に含まれないことが作業者に対して報知される。これにより、前記人為的過誤の発生を、ワークの加工を行う前に判明させることができ、その結果、当該人為的過誤が発生した状態でワークを加工することによる、ワークの加工しない部分が加工されてしまう、ワークの加工する部分が加工されていない、ワークと主軸部とが衝突し、これらが損傷する、または工具がワークに届かず加工が行われないという不都合な事態を防止することができる。
【0024】
本発明は、前記第2の記憶ステップにおいて前記実測工具長を記憶したか否かを判断する第1の記憶判断ステップを備えることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、前記第2の記憶ステップが確実に行われたか否かを確認することが可能である。
【0026】
本発明は、前記第1の記憶ステップにおいて、前記工具の情報から得られる工具径である理論工具径と、第2許容範囲と、をさらに記憶し、前記工具の実際の工具径である実測工具径を測定する第2の測定ステップと、前記実測工具径を記憶する第3の記憶ステップと、前記実測工具径と前記理論工具径との差である第2誤差を演算する第2の演算ステップと、前記第2誤差が前記第2許容範囲に含まれるか否かを判別する第2の判断ステップと、前記第2誤差は前記第2許容範囲に含まれないと判別した場合に、前記第2誤差が前記第2許容範囲に含まれないことを報知する第2の報知ステップと、を備えることが好ましい。
【0027】
この構成によれば、前記第2判断ステップにおいて、前記第2誤差が前記第2許容範囲に含まれないと判断された場合には、前記第2の判断ステップにおいて、前記第2誤差が前記第2許容範囲に含まれないことが作業者に対して報知される。これにより、本来取り付ける予定であった工具と比較して、その長さは等しいが、その径が異なる関係にある工具を誤って取り付けたという人為的過誤もワークの加工を行う前に判明させることが可能である。
【0028】
本発明は、前記第3の記憶ステップにおいて前記実測工具径を記憶したか否かを判断する第2の記憶判断ステップを備えることが好ましい。
【0029】
この構成によれば、前記第3の記憶ステップが確実に行われたか否かを確認することが可能である。
【0030】
本発明は、前記第1の記憶ステップにおいて、前記理論工具径に替えて、前記工具の情報から得られる、当該工具の軸方向の任意の位置における直径である理論直径を記憶し、前記第2の測定ステップにおいて、前記実測工具径に替えて、前記工具の前記理論直径と同一の軸方向の位置における直径である実測直径を測定し、前記第3の記憶ステップにおいて、前記実測工具径に替えて、前記実測直径を記憶し、前記第2の演算ステップにおいて、前記実測工具径と前記理論工具径との差に替えて、前記実測直径と前記理論直径との差を前記第2誤差として演算してもよい。
【0031】
上記構成である場合には、前記第3の記憶ステップにおいて前記実測直径を記憶したか否かを判断する第2の記憶判断ステップを備えることが好ましい。前記工具の軸方向の任意の位置における直径の点から、本来取り付ける予定であった工具とは異なる工具を誤って取り付けたという人為的過誤もワークの加工を行う前に判明させることが可能である。
【0032】
本発明は、前記第1の記憶ステップにおいて、前記理論工具径に替えて、前記工具の情報から得られる、当該工具の軸方向に対する直径の変化率である理論変化率を記憶し、前記第2の測定ステップにおいて、前記実測工具径に替えて、前記工具の軸方向に対する直径の変化率である実測変化率を測定し、前記第3の記憶ステップにおいて、前記実測工具径に替えて、前記実測変化率を記憶し、前記第2の演算ステップにおいて、前記実測工具径と前記理論工具径との差に替えて、前記実測変化率と前記理論変化率との差を前記第2誤差として演算してもよい。
【0033】
上記構成である場合には、前記第3の記憶ステップにおいて前記実測変化率を記憶したか否かを判断する第2の記憶判断ステップを備えることが好ましい。前記工具の軸方向に対する直径の変化率の点から、本来取り付ける予定であった工具とは異なる工具を誤って取り付けたという人為的過誤もワークの加工を行う前に判明させることが可能である。
【0034】
本発明は、前記第1の記憶ステップにおいて、前記理論工具径に替えて、前記工具の情報から得られる、当該工具の中心軸に対する側面の角度である理論角度を記憶し、前記第2の測定ステップにおいて、前記実測工具径に替えて、前記工具の中心軸に対する側面の角度である実測角度を測定し、前記第3の記憶ステップにおいて、前記実測工具径に替えて、前記実測角度を記憶し、前記第2の演算ステップにおいて、前記実測工具径と前記理論工具径との差に替えて、前記実測角度と前記理論角度との差を前記第2誤差として演算してもよい。
【0035】
上記構成である場合には、前記第3の記憶ステップにおいて前記実測角度を記憶したか否かを判断する第2の記憶判断ステップを備えることが好ましい。前記工具の中心軸に対する側面の角度の点から、本来取り付ける予定であった工具とは異なる工具を誤って取り付けたという人為的過誤もワークの加工を行う前に判明させることが可能である。
【0036】
本発明は、工作機械に取り付けられた工具の誤差を判別する誤差判別プログラムであって、前記工作機械は、主軸部と、前記主軸部に装着され、前記工具を取り付けるホルダと、コンピュータと、報知部と、を備え、前記コンピュータは、記憶部と、演算部と、判断部と、命令部と、を有し、前記記憶部が、前記ホルダが前記主軸部に装着された際に、当該ホルダの情報および当該主軸部の情報から計算される、当該ホルダが当該主軸部から延出する長さである理論ホルダ長と、前記工具が前記ホルダに取り付けられた際に、当該工具の情報および当該ホルダの情報から計算される、当該工具が当該ホルダから延出する長さである理論突き出し長と、第1許容範囲と、を記憶する第1の記憶ステップと、前記記憶部が、前記ホルダが前記主軸部に装着され、前記工具が前記ホルダに取り付けられた状態で測定された当該ホルダが当該主軸部から延出する実際の長さと当該工具が当該ホルダから延出する実際の長さとの和である実測工具長を記憶する第2の記憶ステップと、前記演算部が、前記実測工具長と、前記理論ホルダ長と前記理論突き出し長との和と、の差である第1誤差を演算する第1の演算ステップと、前記判断部が、前記第1誤差が前記第1許容範囲に含まれるか否かを判断する第1の判断ステップと、前記判断部が前記第1誤差は前記第1許容範囲に含まれないと判断した場合に、前記命令部が、前記報知部に対して、前記第1誤差が前記第1許容範囲に含まれないことを報知するように命令する第1の報知ステップと、を前記コンピュータに実行させることを特徴とする。
【0037】
この構成によれば、前記記憶部が、前記工具が前記ホルダに取り付けられた状態で測定された実測工具長を記憶し、前記演算部が、当該実測工具長を用いて前記第1誤差を演算し、前記判断部が、前記第1誤差が前記第1許容範囲に含まれるか否かを判断する。そのため、前記第1の判断ステップは、前記工具を前記主軸部に取り付ける際に起こる人為的過誤を加味した前記第1誤差を用いて行われる。さらに、前記人為的過誤の発生により、前記第1誤差が前記第1許容範囲に含まれない場合には、前記第1の報知ステップにおいて、前記第1誤差が前記第1許容範囲に含まれないことが作業者に対して報知される。これにより、前記人為的過誤の発生を、ワークの加工を行う前に判明させることができ、その結果、当該人為的過誤が発生した状態でワークを加工することによる、ワークの加工しない部分が加工されてしまう、ワークの加工する部分が加工されていない、ワークと主軸部とが衝突し、これらが損傷する、または工具がワークに届かず加工が行われないという不都合な事態を防止することができる。
【0038】
本発明は、前記判断部が、前記第2の記憶ステップにおいて前記記憶部が前記実測工具長を記憶したか否かを判断する第1の記憶判断ステップを前記コンピュータに実行させることが好ましい。
【0039】
この構成によれば、前記第2の記憶ステップが確実に実行されたか否かを確認することが可能である。
【0040】
本発明は、前記第1の記憶ステップにおいて、前記記憶部が、前記工具の情報から得られる工具径である理論工具径と、第2許容範囲と、を記憶し、前記記憶部が、前記ホルダが前記主軸部に装着され、前記工具が当該ホルダに取り付けられた状態で測定された当該工具の実際の工具径である実測工具径を記憶する第3の記憶ステップと、前記演算部が、前記実測工具径と前記理論工具径との差である第2誤差を演算する第2の演算ステップと、前記判断部が、前記第2誤差が前記第2許容範囲に含まれるか否かを判断する第2の判断ステップと、前記判断部が前記第2誤差は前記第2許容範囲に含まれないと判断した場合に、前記命令部が、前記報知部に対して、前記第2誤差が前記第2許容範囲に含まれないことを報知するように命令する第2の報知ステップと、を前記コンピュータに実行させることが好ましい。
【0041】
この構成によれば、前記第2判断ステップにおいて、前記第2誤差が前記第2許容範囲に含まれないと判断された場合には、前記第2の判断ステップにおいて、前記第2誤差が前記第2許容範囲に含まれないことが作業者に対して報知される。これにより、本来取り付ける予定であった工具と比較して、その長さは等しいが、その径が異なる関係にある工具を誤って取り付けたという人為的過誤もワークの加工を行う前に判明させることが可能である。
【0042】
本発明は、前記判断部が、前記第3の記憶ステップにおいて前記記憶部が前記実測工具径を記憶したか否かを判断する第2の記憶判断ステップを前記コンピュータに実行させることが好ましい。
【0043】
この構成によれば、前記第3の記憶ステップが確実に実行されたか否かを確認することが可能である。
【0044】
本発明は、前記第1の記憶ステップにおいて、前記記憶部が、前記理論工具径に替えて、前記工具の情報から得られる、当該工具の軸方向の任意の位置における直径である理論直径を記憶し、前記第3の記憶ステップにおいて、前記記憶部が、前記実測工具径に替えて、前記工具が当該ホルダに取り付けられた状態で測定された、前記理論直径と同一の軸方向の位置における前記工具の直径である実測直径を記憶し、前記第2の演算ステップにおいて、前記演算部が、前記実測工具径と前記理論工具径との差に替えて、前記実測直径と前記理論直径との差を前記第2誤差として演算してもよい。
【0045】
上記構成である場合には、前記判断部が、前記第3の記憶ステップにおいて前記記憶部が前記実測直径を記憶したか否かを判断する第2の記憶判断ステップを前記コンピュータに実行させることが好ましい。前記工具の軸方向の任意の位置における直径の点から、本来取り付ける予定であった工具とは異なる工具を誤って取り付けたという人為的過誤もワークの加工を行う前に判明させることが可能である。
【0046】
本発明は、前記第1の記憶ステップにおいて、前記記憶部が、前記理論工具径に替えて、前記工具の情報から得られる、当該工具の軸方向に対する直径の変化率である理論変化率を記憶し、前記第3の記憶ステップにおいて、前記記憶部が、前記実測工具径に替えて、前記工具が当該ホルダに取り付けられた状態で測定された、前記工具の軸方向に対する直径の変化率である実測変化率を記憶し、前記第2の演算ステップにおいて、前記演算部が、前記実測工具径と前記理論工具径との差に替えて、前記実測変化率と前記理論変化率との差を前記第2誤差として演算してもよい。
【0047】
上記構成である場合には、前記判断部が、前記第3の記憶ステップにおいて前記記憶部が前記実測直径を記憶したか否かを判断する第2の記憶判断ステップを前記コンピュータに実行させることが好ましい。前記工具の軸方向に対する直径の変化率の点から、本来取り付ける予定であった工具とは異なる工具を誤って取り付けたという人為的過誤もワークの加工を行う前に判明させることが可能である。
【0048】
本発明は、前記第1の記憶ステップにおいて、前記記憶部が、前記理論工具径に替えて、前記工具の情報から得られる、当該工具の中心軸に対する側面の角度である理論角度を記憶し、前記第3の記憶ステップにおいて、前記記憶部が、前記実測工具径に替えて、前記工具が当該ホルダに取り付けられた状態で測定された、前記工具の中心軸に対する側面の角度である実測角度を記憶し、前記第2の演算ステップにおいて、前記演算部が、前記実測工具径と前記理論工具径との差に替えて、前記実測角度と前記理論角度との差を前記第2誤差として演算してもよい。
【0049】
上記構成である場合には、前記判断部が、前記第3の記憶ステップにおいて前記記憶部が前記実測直径を記憶したか否かを判断する第2の記憶判断ステップを前記コンピュータに実行させることが好ましい。前記工具の中心軸に対する側面の角度の点から、本来取り付ける予定であった工具とは異なる工具を誤って取り付けたという人為的過誤もワークの加工を行う前に判明させることが可能である。
【0050】
本発明は、上記の誤差判別プログラムを記録した記録媒体である。
【0051】
本明細書において、字句の解釈は次の通りである。
【0052】
「ホルダ長」とは、ホルダが主軸部に装着された際に、当該ホルダが当該主軸部から延出する長さを意味する。
【0053】
「突き出し長」とは、工具がホルダに取り付けられた際に、当該工具が当該ホルダから延出する長さを意味する。
【0054】
「工具長」とは、ホルダ長と突き出し長との和を意味する。
【0055】
「ホルダの情報」および「工具の情報」とは、それぞれホルダおよび工具の各所の長さおよび径を示す情報を意味する。
【0056】
「理論」とは、既知の値から計算される値であることを意味する。例えば、理論ホルダ長とは、使用するホルダの情報から計算されるホルダ長を意味し、理論突き出し長とは使用する工具およびホルダの情報から計算される突き出し長を意味する。
【0057】
「実際の」または「実測」とは、実際に測定された値であることを意味する。例えば、実測工具長とは、工具がホルダに取り付けられ、かつ当該ホルダが主軸部に装着された際に、実際に測定をして得た工具長を意味する。
【0058】
「報知」とは、光、文字、画像もしくは映像等により視覚的に、または音もしくは音声等により聴覚的に作業者に対して知らせることを意味する。
【0059】
「記憶部が実測工具長を記憶した」とは、記憶部が実測工具長の値として新たな値を記憶したことを意味する。記憶部が実測工具長を記憶する際に、既に実測工具長を記憶している場合には、記憶部は、新たな値を実測工具長として記憶し、既に記憶している値を上書き(更新)する。同様に「記憶部が実測工具径を記憶した」とは、記憶部が実測工具径の値として新たな値を記憶したことを意味し、記憶部が実測工具径を記憶する際に、既に実測工具径を記憶している場合には、記憶部は、新たな値を実測工具径として記憶し、既に記憶している値を上書き(更新)する。
【0060】
「工具径」とは、工具の直径を意味する。工具の軸方向の位置によってその直径が異なる場合、例えばワークの加工に使用する部分である工具の先端部が、他の部分よりも太い形状の工具である場合には、ワークの加工に使用される部分の直径を意味する。
【0061】
「工具の軸方向に対する直径の変化率」とは、工具の形状がテーパー状であり、先端部等の特定の場所からの軸方向の位置に対して一定の割合でその直径が変化する工具における、その割合を意味する。
【0062】
「工具の中心軸に対する側面の角度」とは、工具の形状がテーパー状であり、先端部等の特定の場所からの軸方向の位置に対して一定の割合でその直径が変化する工具における、工具の中心軸と側面のなす角度を意味する。
【発明の効果】
【0063】
本発明によれば、主軸部への工具の取付け忘れた、または工具情報を測定した工具とは別の工具を主軸部に取り付けた等の工具を主軸部に取り付ける際に起こる人為的過誤の発生をワークの加工を行う前に判明させることができ、当該人為的過誤が発生した状態でワークを加工することによる、ワークの加工しない部分が加工されてしまう、ワークの加工する部分が加工されていない、ワークと主軸部とが衝突する、または工具がワークに届かず加工が行われないという不都合な事態の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】第1の実施形態における工作機械の主軸部付近を示す概略図である。
図2】第1の実施形態における工作機械の構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態におけるコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】CAD/CAMプログラムにより読み取った工具およびホルダの情報を表示部に表示させた一例を示す図である。
図5】第1の実施形態における工作機械の主軸部に取り付けられた工具の誤差を判別する流れを示すフローチャートである。
図6】第2の実施形態における工作機械の主軸部付近を示す概略図である。
図7】第2の実施形態における工作機械の構成を示すブロック図である。
図8】第2の実施形態におけるコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
図9】第2の実施形態における工作機械の主軸部に取り付けられた工具の誤差を判別する流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0065】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について図1~5を参照して説明する。
【0066】
[誤差判別システム]
本実施形態の誤差判別システムは、工作機械1に取り付けられた工具2の誤差を判別するものである。
【0067】
本実施形態の工作機械1は、主軸部3と、主軸部3に装着され、工具2を取り付けるホルダ4と、工具交換装置5と、工具測定装置6と、入力部7と、表示部8と、コンピュータ9と、報知部10と、を備える(図2参照)。コンピュータ9は、数値、文字、画像、プログラム等を記憶し、記憶した情報を使用して演算を行う。コンピュータ9は、さらに、工具交換装置5および工具測定装置6の駆動の制御も行う。
【0068】
工具2は、工作機械1によるワークWの加工をする際に用いる道具である。ワークWの加工は、回転する工具2をワークWに接触させることにより行われる。工具2は、行う加工の種類に応じてさまざまな種類のものを使用可能であり、例えば、ドリル、タップ、カッター、エンドミル等が挙げられる。
【0069】
主軸部3は、略円筒状の形状であり、その軸を中心として回転する。主軸部3の先端部は、ホルダ4を装着することができる。
【0070】
ホルダ4は、一方の先端部は主軸部3に装着可能であり、他方の先端部は工具2を取り付けることが可能である。したがって、ホルダ4を介して工具2を主軸部3に取り付けることができる(図1参照)。主軸部3を回転させることにより工具2も同時に回転させることができる。また、主軸部3は、工作機械1の内部であり、ワークWの加工を行うことが可能な加工領域の内部に位置し、当該加工領域の内部を移動可能である。
【0071】
工具2を工作機械1に取り付けた際には、主軸部3の先端部に装着されたホルダ4は、その一部が主軸部3から延出し、ホルダ4の主軸部3に接続された側とは反対側の先端部に取り付けられた工具2は、その一部がホルダ4から延出する。本明細書において、主軸部3から延出するホルダ4の長さをホルダ長Aとし、ホルダ4から延出する工具2の長さを突き出し長Bとし、ホルダ長Aと突き出し長Bの和を工具長Cとする(図1参照)。このとき、これらの長さ(ホルダ長A、突き出し長Bおよび工具長C)は、工具2の情報とホルダ4の情報とから計算することが可能であり、計算により得られたものにはそれぞれの字句の先頭に「理論」という語を付け加えて、それぞれを理論ホルダ長A1、理論突き出し長B1および理論工具長C1と表す。一方、ホルダ4を介して工具2を主軸部3に取り付けた状態での測定により得られた工具長Cを、字句の先頭に「実測」という語を付け加えて、実測工具長C2と表す。
【0072】
工具交換装置5は、工具2を取り付けたホルダ4を収納可能な工具マガジン(図示略)と、交換アーム(図示略)と、を有し、後述するコンピュータ9の有する制御部95による駆動の制御により、工具2が取り付けられ、主軸部3に装着されているホルダ4と、他の工具2が取り付けられた別のホルダ4と、を自動的に交換する。したがって、工具交換装置5は、主軸部3に取り付けられる工具2を交換することが可能である。
【0073】
工具マガジンは、複数のポットを有しており、当該ポットに工具2を取り付けたホルダ4を収納することができる。
【0074】
交換アームは、主軸部3に装着されたホルダ4を主軸部3から取り外し、そのホルダ4をポットに収納すること、およびポットに収納されたホルダ4をポットから取り外し、そのホルダ4を主軸部3に装着することができる。したがって、交換アームにより主軸部3に装着されたホルダ4と、ポットに収納された他のホルダ4と、を交換することにより、主軸部3に取り付けられた工具2を別の工具2と交換することができる。
【0075】
工具測定装置6は、後述する制御部95による駆動の制御により、実測工具長C2を自動的に測定する装置である。本実施形態の工具測定装置6は、接触式のツールプリセッタを用いたものである。工具測定装置6としては特に限定されず、実測工具長C2を測定可能な公知のものを採用可能である。
【0076】
入力部7は、コンピュータ9に実測工具長C2等の数値や文字等を入力可能なものである。本実施形態の入力部7は、キーボードであるが、特に限定はされず、数値や文字等を入力可能な公知のものを採用可能である。例えばタッチパネルが挙げられる。
【0077】
表示部8は、コンピュータ9が記憶する数値、文字、画像等を表示するものである。本実施形態の表示部8は、モニタであるが、特に限定はされず、上記の情報等を表示可能な公知のものを採用可能である。
【0078】
コンピュータ9は、記憶部91と、演算部92と、判断部93と、命令部94と、制御部95と、を有している(図2参照)。記憶部91は、後述する誤差判別プログラム11と、CAD/CAM(Computer aided design/Computer aided manufacturing)プログラム12と、を記憶している。
【0079】
記憶部91は、ホルダ4が主軸部3に装着された際に、ホルダ4の情報から計算される、ホルダ4が主軸部3から延出する長さである理論ホルダ長A1と、工具2がホルダ4に取り付けられた際に、工具2の情報およびホルダ4の情報から計算される、工具2がホルダ4から延出する長さである理論突き出し長B1と、を記憶する。
【0080】
工具2およびホルダ4の情報がCAD/CAMプログラム12により読み取り可能なデータである場合には、これらのデータを、後述する通信インターフェース915を介してコンピュータ9に読み込ませることにより、理論ホルダ長A1および理論突き出し長B1を記憶部91に記憶させることが可能である。これにより、複数の工具2およびホルダ4の理論ホルダ長A1および理論突き出し長B1を記憶部91に記憶させる作業を簡便に行うことができる。
【0081】
図4は、CAD/CAMプログラム12により読み取った工具2およびホルダ4の情報を表示部8に表示させた一例を示す図である。この例において、理論ホルダ長A1は120mm、理論突き出し長B1は160mmであり、理論ホルダ長A1と理論突き出し長B1との和である理論工具長C1は、280mmである。
【0082】
記憶部91がCAD/CAMプログラム12を記憶していない場合や、工具2およびホルダ4の情報がCAD/CAMプログラム12により読み取り可能なデータでない場合であっても、理論ホルダ長A1および理論突き出し長B1を記憶部91に記憶させることが可能である。その場合には、工具2およびホルダ4の情報から計算された理論ホルダ長A1および理論突き出し長B1を入力部7により入力し、記憶部91に記憶させる。
【0083】
複数の工具2の理論ホルダ長A1および理論突き出し長B1を記憶部91に記憶させる場合には、複数の工具2およびホルダ4の情報から、それぞれの理論ホルダ長A1および理論突き出し長B1を計算し、コンピュータ9に入力するプログラムを作成し、このプログラムを使用して記憶部91に複数の工具2の理論ホルダ長A1および理論突き出し長B1を記憶させてもよい。この場合は、複数の工具2の理論ホルダ長A1および理論突き出し長B1を1つずつコンピュータ9に入力する必要がないため、入力操作が簡便になり、入力回数の多さに伴う入力ミスを防止することができる。
【0084】
記憶部91は、さらにホルダ4が主軸部3に装着され、工具2がホルダ4に取り付けられた状態で測定されたホルダ4が主軸部3から延出する実際の長さと工具2がホルダ4から延出する実際の長さとの和である実測工具長C2と、を記憶する。そのため、工具2を主軸部3に取り付ける際に、主軸部3に工具2を取付け忘れた、または主軸部3に取り付ける予定の工具2とは別の工具2を主軸部3に取り付けた等の人為的過誤が発生した場合には、記憶部91は、これらの人為的過誤が発生した状態で測定した実測工具長C2を記憶する。
【0085】
記憶部91は、さらに第1許容範囲を記憶する。第1許容範囲は、実測工具長C2と、理論ホルダ長A1と理論突き出し長B1との和である理論工具長C1と、の差として許容できる数値範囲である。第1許容範囲は、入力部7を使用してコンピュータ9に入力され、記憶部91に記憶される。
【0086】
第1許容範囲としては、例えば-5mm~+5mmという様に0mmを基準としてプラス方向とマイナス方向とに一定の大きさの幅を有する数値範囲を採用することができるが、0mm~+5mmという様に0mmを基準としてプラス方向のみに一定の大きさの幅を有する数値範囲を採用することが好ましい。このような数値範囲を採用することにより、後述する第1誤差(実測工具長C2と理論工具長C1との差)として許容される値は必ず正の数となり、実測工具長C2が理論工具長C1よりも長い場合のみが許容される。ワークWの加工を行う際、その加工を行うために必要な工具長Cよりも長い理論工具長C1を有する工具2を使用するため、実測工具長C2が理論工具長C1よりも長いことにより、実測工具長C2が、加工を行うために必要な工具長Cよりも短いという事態を防止することができる。
【0087】
第1許容範囲は、取り付ける工具2によって適した数値範囲が増減するが、通常は0mm~+5mmの範囲が好ましい。第1許容範囲が0mm~+5mmよりも広い場合には、上記の人為的過誤が発生した場合であっても第1誤差が第1許容範囲に含まれると判断される可能性がある。一方、第1許容範囲が0mm~+5mmよりも狭い場合には、工具2を取り付ける際に、工具2がわずかにずれた場合であっても、第1誤差が第1許容範囲に含まれないと判断されるため、工具2の取り付けを完了することが難しくなる。
【0088】
演算部92は、実測工具長C2と、理論ホルダ長A1と理論突き出し長B1との和である理論工具長C1と、の差である第1誤差を演算する。
【0089】
記憶部91が、ホルダ4が主軸部3に装着され、工具2がホルダ4に取り付けられた状態で測定された実測工具長C2を記憶しているため、工具2を主軸部3に取り付ける際に起こる人為的過誤が発生した場合には、演算部92により演算される第1誤差は、この人為的過誤によるずれを加味した値である。
【0090】
判断部93は、第1誤差が第1許容範囲に含まれるか否かを判断する。例えば、第1許容範囲として0mm~+5mmという数値範囲が記憶部91に記憶されている場合に、第1誤差が+3mmであるときは、判断部93が、第1誤差が第1許容範囲に含まれると判断する。一方、第1許容範囲の数値範囲が上記の数値範囲と同様である場合に、第1誤差が+7mmであるときは、判断部93が、第1誤差が第1許容範囲に含まれないと判断する。
【0091】
判断部93は、さらに、記憶部91が実測工具長C2を記憶したか否かを判断する。すなわち、記憶部91が新たな値を実測工具長C2として記憶したか否かを判断する。これにより、記憶部91に実測工具長C2を記憶させる作業を行う際に、この作業が確実に行われたか否かを確認することができる。
【0092】
命令部94は、後述する報知部10に対して、第1誤差が第1許容範囲に含まれないことを報知するように命令する。
【0093】
制御部95は、工具交換装置5および工具測定装置6の駆動の制御を行う。
【0094】
本実施形態のコンピュータ9は、具体的なハードウェアとして、CPU(Central processing unit)911と、RAM(Random access memory)912と、ROM(Read only memory)913と、入出力インターフェース914と、通信インターフェース915と、バス916と、を有する構成である(図3参照)。
【0095】
CPU911は、演算処理を行う。RAM912は、書き込み可能な揮発性のメモリであり、実行中のプログラムやデータ等を一時的に記憶する。ROM913は、読み出し専用の不揮発性メモリであり、各種プログラムを記憶する。
【0096】
入出力インターフェース914は、コンピュータ9に対して情報を入力する、またはコンピュータ9から情報を出力するためのものであり、これを介して工具交換装置5と、工具測定装置6と、入力部7と、表示部8と、後述する報知部10と、がコンピュータ9に接続される。
【0097】
通信インターフェース915は、情報を記憶する端末または記憶装置等と、コンピュータ9と、を接続するためのインターフェースである。本実施形態の通信インターフェース915は、USB(Universal serial bus)ポートであり、USBケーブルを介して、コンピュータ9と、パーソナルコンピュータ等の端末と、を接続することができる。接続した相互間で通信を行うことにより、情報の送受信が可能である。通信インターフェース915としては特に限定されず、例えばLAN(Local area network)ポート、RS-232(Recommended standard - 232)ポート等が挙げられる。通信インターフェース915は、無線接続用のインターフェースであってもよい。
【0098】
バス916は、CPU911と、RAM912と、ROM913と、入出力インターフェース914と、通信インターフェース915と、を接続するものであり、これらがバス916で接続されることにより相互に通信可能である。
【0099】
記憶部91は、具体的なハードウェアとして、RAM912およびROM913で構成される。理論ホルダ長A1、理論突き出し長B1、第1許容範囲、実測工具長C2および第1誤差の値は、RAM912に記憶される。後述する誤差判別プログラム11と、CAD/CAMプログラム12と、はROM913に記憶されている。
【0100】
演算部92、判断部93、命令部94および制御部95は、具体的なハードウェアとして、CPU911と、RAM912と、ROM913と、で構成される。CPU911が、RAM912を作業領域として、ROM913に記憶された誤差判別プログラム11またはCAD/CAMプログラム12を読み出し、各種処理を実行することにより、上記の演算、判断、命令および制御を行う。
【0101】
報知部10は、作業者に対して報知を行うものである。報知部10は、判断部93が第1誤差は第1許容範囲に含まれないと判別した場合には、命令部94の命令により、第1誤差は第1許容範囲に含まれないことを報知する。本実施形態の報知部10は、スピーカであり、警告音により聴覚的に報知を行う。報知部10としては特に限定されず、作業者に対して第1誤差が第1許容範囲に含まれないことを報知可能なものであればよく、報知部10による報知の方法も特に限定されない。例えばランプ、回転灯、またはモニタ等であってもよく、これらの場合には、第1誤差が第1許容範囲に含まれないことを作業者に対して視覚的に報知することが可能である。また、報知部10としてスピーカを採用する場合であっても、警告音による報知に替えて音声による報知を採用してもよい。さらに、これらを組み合わせたものを採用してもよい。
【0102】
以上のことから、本実施形態の誤差判別システムは、工具2を主軸部3に取り付ける際に起こる人為的過誤が発生した場合には、その人為的過誤を加味した第1誤差を用いて、第1誤差が第1許容範囲に含まれるか否かの判断を行う。第1誤差が第1許容範囲に含まれないと判断された場合には、第1誤差が第1許容範囲に含まれないこと、が報知されるため、発生した人為的過誤を、ワークWの加工を行う前に判明させることができ、その結果、当該人為的過誤が発生した状態でワークWを加工することによる、ワークWの加工しない部分が加工されてしまう、ワークWの加工する部分が加工されていない、ワークWと主軸部3とが衝突し、これらが損傷する、または工具2がワークWに届かず加工が行われないという不都合な事態を防止することができる。
【0103】
[誤差判別方法]
続いて、本実施形態の誤差判別システムを用いた誤差判別方法について図5を参照して説明する。図5は、第1の実施形態における工作機械1に取り付けられた工具2の誤差を判別する流れを示すフローチャートである。本実施形態の誤差判別方法は、後述する8つのステップ(S101~S107およびS121)を備える。
【0104】
(第1の記憶ステップS101)
まず、記憶部91が、ホルダ4が主軸部3に装着された際に、ホルダ4の情報から計算される、ホルダ4が主軸部3から延出する長さである理論ホルダ長A1と、工具2がホルダ4に取り付けられた際に、工具2の情報およびホルダ4の情報から計算される、工具2がホルダ4から延出する長さである理論突き出し長B1と、第1許容範囲と、を記憶する。
【0105】
第1の記憶ステップS101は、コンピュータ9に理論ホルダ長A1と、理論突き出し長B1と、第1許容範囲と、を入力し、これらを記憶部91が記憶することにより行われる。コンピュータ9への理論ホルダ長A1と、理論突き出し長B1と、第1許容範囲と、の入力は、本実施形態の誤差判別システムの説明において記載した方法を採用可能である。
【0106】
(取り付けステップS102)
次に、工具2をホルダ4に取り付け、工具2が取り付けられたホルダ4を主軸部3に装着する。
【0107】
取り付けステップS102における主軸部3に工具2が取り付けられたホルダ4を装着する作業は、工具2が取り付けられたホルダ4をポットに収納し、工具交換装置5を使用して行ってもよく、作業者が直接行ってもよい。
【0108】
(第1の測定ステップS103)
続いて、ホルダ4が主軸部3から延出する実際の長さと、工具2がホルダ4から延出する実際の長さとの和である実測工具長C2を測定する。
【0109】
取り付けステップS102に続いて第1の測定ステップS103を行うため、実測工具長C2は、ホルダ4が主軸部3に装着され、工具2がホルダ4に取り付けられた状態で測定される。そのため、主軸部3に工具2を取付け忘れた、または主軸部3に取り付ける予定の工具2とは別の工具2を主軸部3に取り付けた等の工具2を主軸部3に取り付ける際に起こる人為的過誤が発生した場合には、これらの人為的過誤が発生した状態での実測工具長C2の値を測定する。
【0110】
本実施形態において、第1の測定ステップS103における実測工具長C2の測定は、工具測定装置6により自動的に行われるが、作業者により手動的に行われてもよい。実測工具長C2の測定を手動的に行う場合には、その測定方法については、実測工具長C2の値を測定可能な方法であれば特に限定されず、例えば接触式のツールプリセッタまたはブロックゲージを使用する測定方法が挙げられる。
【0111】
(第2の記憶ステップS104)
続いて、記憶部91が、実測工具長C2を記憶する。
【0112】
記憶部91による実測工具長C2の記憶は、第1の測定ステップS103において測定により得られた値をコンピュータ9に入力し、その値を記憶部91が実測工具長C2として記憶する。この入力は、第1の測定ステップS103おける実測工具長C2の測定を工具測定装置6により自動的に行った場合には、自動的に行われる。一方、手動的に行った場合には、入力部7により手動的に行われる。
【0113】
(第1の記憶判断ステップS121)
続いて、判断部93が、第2の記憶ステップS104において記憶部91が実測工具長C2を記憶したか否かを判断する。すなわち、第2の記憶ステップS104において実測工具長C2の入力が行われ、記憶部91が新たな値を実測工具長C2として記憶したか否かを判断する。本実施形態の誤差判別方法は第1の記憶判断ステップS121を備えるが、当該ステップは任意のステップであるため、誤差判別方法としては、当該ステップを備えていなくてもよい。
【0114】
記憶部91が実測工具長C2を記憶したと判断された場合には、下記の次のステップにすすむ。一方、記憶部91が実測工具長C2を記憶していないと判断された場合には、第1の測定ステップS103と、第2の記憶ステップS104と、を再度行う。
【0115】
第1の記憶判断ステップS121を行うことにより、第1の測定ステップS103で得られたものではない値を実測工具長C2として用いて以後に続くステップを行うことを防ぐことができる。
【0116】
記憶部91が実測工具長C2を記憶していないと判断される場合としては、例えば、実測工具長C2の測定を作業者が手作業で行ったが、その値の入力をし忘れた場合や、工具測定装置6を用いて実測工具長C2を測定する際に、その測定を中断してしまった場合等が考えられる。
【0117】
(第1の演算ステップS105)
続いて、演算部92が、実測工具長C2と、理論ホルダ長A1と理論突き出し長B1との和である理論工具長C1と、の差である第1誤差を演算する。
【0118】
第1の測定ステップS103において、ホルダ4が主軸部3に装着され、工具2がホルダ4に取り付けられた状態で実測工具長C2の測定をするため、第1の演算ステップS105では、上記の人為的過誤を加味した第1誤差を演算する。
【0119】
(第1の判断ステップS106)
続いて、判断部93が、第1誤差が第1許容範囲に含まれるか否かを判断する。
【0120】
第1の判断ステップS106において、判断部93が第1誤差は第1許容範囲に含まれると判断した場合には、実測工具長C2と理論工具長C1とのずれ(第1誤差)は許容可能な範囲内であるため、本実施形態の誤差判別が完了する。このとき、表示部8に第1誤差および第1許容範囲の値を表示してもよい。これにより、作業者が第1誤差および第1許容範囲の値を確認することができ、安心してワークWの加工を行うことができる。
【0121】
(第1の報知ステップS107)
一方、第1の判断ステップS106において、判断部93が第1誤差は第1許容範囲に含まれないと判断した場合には、命令部94が報知部10対して、第1誤差が第1許容範囲に含まれないことを報知するように命令し、報知部10が、第1誤差が第1許容範囲に含まれないことを報知する。
【0122】
この報知により、実測工具長C2と理論工具長C1とにずれ(第1誤差)は許容可能な範囲を超えており、主軸部3への工具2の取り付けの際に人為的過誤が発生したことが判明する。第1誤差が第1許容範囲に含まれないことが報知された後は、取り付けステップS102に戻り、取り付けステップS102以後のステップを再度行う。したがって、第1の判断ステップS106において判断部93が、第1誤差は第1許容範囲に含まれると判断するまで、取り付けステップS102から第1の報知ステップS107までのステップを繰り返す。これにより、主軸部3への工具2の正常な状態(工具2の取り付けの際に人為的過誤が発生していない状態)での取り付けを達成することができる。
【0123】
上記の報知を行う際に、表示部8に第1誤差および第1許容範囲の値を表示してもよい。これにより、作業者が、実測工具長C2と理論工具長C1とのずれを確認することができ、どのような人為的過誤が発生したかを推測するための情報を得ることができる。
【0124】
本実施形態において第1の記憶ステップS101は、取り付けステップS102の前に行うが、第1の演算ステップS105よりも前に行えばよく、本実施形態の順序に限定されない。例えば、第2の記憶ステップS104の後に第1の記憶ステップS101を行い、その後に第1の演算ステップS105を行ってもよい。その場合には、第1の判断ステップS106において、第1誤差が第1許容範囲に含まれないと判断され取り付けステップS102以後のステップを再度行う際に、第1の記憶ステップS101を省略してもよい。
【0125】
以上のことから、本実施形態の誤差判別方法は、取り付けステップS102において工具2を主軸部3に取り付ける際に起こる人為的過誤が発生した場合には、第1の判断ステップS106において、工具2を主軸部3に取り付ける際に起こる上記の人為的過誤を加味した第1誤差を用いて、第1誤差が第1許容範囲に含まれるか否かの判断が行われる。第1誤差が第1許容範囲に含まれないと判断された場合には、第1の報知ステップS107において、第1誤差が第1許容範囲に含まれないことが報知されるため、工具2を主軸部3に取り付ける際に起こる人為的過誤をワークWの加工を行う前に判明させることができ、その結果、当該人為的過誤による、ワークWの加工しない部分が加工されてしまう、ワークWの加工する部分が加工されていない、ワークWと主軸部3とが衝突し、これらが損傷する、または工具2がワークWに届かず加工が行われないという不都合な事態を防止することができる。さらに、第1誤差が第1許容範囲に含まれないこと、が報知された後は、取り付けステップS102まで戻り、取り付けステップS102以後のステップを再度行うため、主軸部3への正常な状態での工具2の取り付けを確実に行うことができる。
【0126】
[誤差判別プログラム]
本実施形態の誤差判別プログラム11は、上記の誤差判別システムにおいて用いられる工作機械1の記憶部91に記憶されており、上記の第1の記憶ステップS101と、第2の記憶ステップS104と、第1の記憶判断ステップS121と、第1の演算ステップS105と、第1の判断ステップS106と、第1の報知ステップS107と、をコンピュータ9に実行させるものである。各ステップは、上記の誤差判別方法と同様であるため、その説明を援用する。第1の記憶判断ステップS121は任意のステップであるため、誤差判別プログラム11は、第1の記憶判断ステップS121をコンピュータ9に実行させないものであってもよい。
【0127】
[記録媒体]
本実施形態の記録媒体は、誤差判別プログラム11を記憶した記録媒体であり、具体的には、DVD-ROMである。記録媒体としては特に限定されず、フロッピーディスク、CD-ROM、フラッシュメモリ等の公知の記録媒体を採用可能である。
【0128】
(第2の実施形態)
第2の実施形態ついて図4および図6~9を参照して説明する。本実施形態に用いる工作機械21は基本的には工作機械1と同様の構成を備えるので、共通する説明は第1の実施形態の図示及び記載を援用するとともに、相違点を説明する。
【0129】
[誤差判別システム]
本実施形態の誤差判別システムは、工作機械21に取り付けられた工具2の誤差を判別する。
【0130】
本明細書において、工作機械21の主軸部3に取り付けられた工具2の直径を工具径Dとする(図6参照)。工具2の直径が、長さ方向の位置によって異なる場合、例えばワークの加工に使用する部分である工具の先端部が、他の部分よりも太い形状の工具である場合には、ワークの加工に使用される部分の直径を工具径Dとする。このとき、工具2の情報から得られる工具径Dを理論工具径D1と表し、工具2を工作機械21に取り付けた際に実際に測定した工具径Dを実測工具径D2と表す。
【0131】
本実施形態の工作機械21は、工具測定装置6と、コンピュータ9と、報知部10と、に替えて、工具測定装置26と、コンピュータ29と、報知部210と、を備える。
【0132】
工具測定装置26は、後述するコンピュータ29の有する制御部295による駆動の制御により、実測工具長C2に加えて、実測工具径D2を自動的に測定する装置である。本実施形態の工具測定装置26は、非接触式のレーザ式ツールプリセッタを用いたものである。工具測定装置26としては特に限定されず、実測工具径D2を測定可能な公知のものを採用可能である。
【0133】
コンピュータ29は、記憶部291と、演算部292と、判断部293と、命令部294と、制御部295と、を有する。記憶部291は、後述する誤差判別プログラム211と、CAD/CAMプログラム12と、を記憶している。
【0134】
記憶部291は、第1の実施形態の記憶部91と比較して、さらに、工具2の情報から得られる工具径Dである理論工具径D1と、第2許容範囲と、ホルダ4が主軸部3に装着され、工具2がホルダ4に取り付けられた状態で測定された工具2の実際の工具径Dである実測工具径D2と、を記憶する。
【0135】
記憶部291に理論工具径D1を記憶させる方法としては、第1の実施形態における理論ホルダ長A1および理論突き出し長B1を記憶部91に記憶させる場合と同様の方法を採用することができる。したがって、工具2の情報がCAD/CAMプログラム12により読み取り可能なデータである場合には、このデータを、通信インターフェース915を介してコンピュータ29に読み込ませることにより、理論工具径D1を記憶部291に記憶させることが可能である。これにより、複数の工具2の理論工具径D1を記憶部291に記憶させる作業を簡便に行うことができる。
【0136】
図4は、CAD/CAMプログラム12により読み取った工具2およびホルダ4の情報を表示部8に表示させた一例を示す図である。この例において、理論工具径D1は19mmである。
【0137】
第1の実施形態の場合と同様に、工作機械21がCAD/CAMプログラム12を備えていない場合や、工具2の情報がCAD/CAMプログラム12により読み取り可能なデータでない場合であっても、理論工具径D1を記憶部291に記憶させることが可能である。その場合には、理論工具径D1を入力部7によりコンピュータ29に入力し、記憶部291に記憶させる。複数の工具2の理論工具径D1を記憶部291に記憶させる場合には、第1の実施形態の場合と同様に、工具2の情報から理論工具径D1を得て、コンピュータ29に入力するプログラムを作成し、このプログラムを使用して複数の工具2の理論工具径D1をコンピュータ29に入力し、記憶部291に記憶させてもよい。この場合は、複数の工具2の理論工具径D1を1つずつコンピュータ29に入力する必要がないため、コンピュータ29への複数の工具2の情報の入力が簡便になり、入力回数の多さに伴う入力ミスを防止することができる。
【0138】
第2許容範囲は、実測工具径D2と、理論工具径D1と、の差として許容できる数値範囲である。第2許容範囲は入力部7によりコンピュータ29に入力することができる。
【0139】
第2許容範囲としては、例えば-0.2mm~+0.2mmという様に0mmを基準としてプラス方向とマイナス方向とに一定の大きさの幅を有する範囲を適用することができる。第2許容範囲は、取り付ける工具2によって変化するが、通常は-0.1mm~+0.1mmの範囲が好ましい。第2許容範囲が-0.1mm~+0.1mmよりも広い場合には、工具径Dが異なる工具2を主軸部3に取り付けたという人為的過誤が発生した場合であっても第2誤差が第2許容範囲に含まれると判断される可能性がある。一方、第2許容範囲が-0.1mm~+0.1mmよりも狭い場合には、工具2の使用による摩耗により実測工具径D2が未使用時よりもわずかに小さくなった場合であっても第2誤差が第2許容範囲に含まれないと判断されるため、工具2の取り付けを完了することが難しくなる。
【0140】
演算部292は、第1の実施形態の演算部92と比較して、さらに、実測工具径D2と理論工具径D1との差である第2誤差を演算する。
【0141】
判断部293は、第1の実施形態の判断部93と比較して、さらに、第2誤差が前記第2許容範囲に含まれるか否かを判断する。
【0142】
この判断は、第1の実施形態における第1誤差が前記第1許容範囲に含まれるか否かの判断の場合と同様であり、例えば、第2許容範囲として-0.1mm~+0.1mmという数値範囲が記憶部291に記憶されている場合に、第2誤差が-0.05mmであるときは、判断部293が、第2誤差が第2許容範囲に含まれると判断する。一方、第2許容範囲の数値範囲が上記の数値範囲と同様である場合に、第2誤差が+0.5mmであるときは、判断部293が、第2誤差が第2許容範囲に含まれないと判断する。
【0143】
判断部293は、さらに、記憶部291が実測工具径D2を記憶したか否かを判断する。すなわち、記憶部291が新たな値を実測工具径D2として記憶したか否かを判断する。これにより、記憶部291に実測工具径D2を記憶させる作業を行う際に、この作業が確実に行われたか否かを確認することができる。
【0144】
命令部294は、第1の実施形態の命令部94と比較して、さらに、報知部210に対して、第2誤差が第2許容範囲に含まれないことを報知するように命令する。
【0145】
制御部295は、工具交換装置5および工具測定装置26の駆動の制御を行う。
【0146】
本実施形態のコンピュータ29は、第1の実施形態のコンピュータ9と同様に、具体的なハードウェアとして、CPU911と、RAM912と、ROM913と、入出力インターフェース914と、通信インターフェース915と、バス916と、を有する構成である(図8参照)。
【0147】
記憶部291は、第1の実施形態の記憶部91と同様に、具体的なハードウェアとして、RAM912およびROM913で構成される。RAM912は、第1の実施形態と比較して、さらに、理論工具径D1、実測工具径D2、第2許容範囲および第2誤差の値を記憶する。ROM913は、後述する誤差判別プログラム211と、CAD/CAMプログラム12と、を記憶している。
【0148】
演算部292、判断部293、命令部294および制御部295は、第1の実施形態の演算部92、判断部93、命令部94および制御部95と同様に、具体的なハードウェアとして、CPU911と、RAM912と、ROM913と、で構成される。CPU911が、RAM912を作業領域として、ROM913に記憶された誤差判別プログラム211を読み出し、各種処理を実行することにより、上記の演算、判断、命令および制御を行う。
【0149】
報知部210は、第1の実施形態の報知部10と比較して、さらに、判断部293が第2誤差は第2許容範囲に含まれないと判断した場合に、命令部294の命令により、第2誤差が第2許容範囲に含まれないことを報知する。
【0150】
以上のことから、本実施形態の誤差判別システムは、第1の実施形態の誤差判別システムと比較して、さらに、判断部293が、第2誤差が第2許容範囲に含まれるか否かの判断を行う。第2誤差が第2許容範囲に含まれないと判断された場合には、第2誤差が第2許容範囲に含まれないことを報知するため、工具径Dの観点からも工具2を主軸部3に取り付ける際に起こる人為的過誤の発生を判明させることができる。具体的には、本来取り付ける予定の工具2と比較して、工具長Cは同程度であるが、工具径Dが異なる工具2を主軸部3に取り付けたという人為的過誤の発生を、ワークWの加工を行う前に判明させることができる。
【0151】
[誤差判別方法]
続いて、本実施形態の誤差判別システムを用いた誤差判別方法について図9を参照して説明する。図9は、第2の実施形態における工作機械21に取り付けられた工具2の誤差を判別する流れを示すフローチャートである。本実施形態の誤差判別方法は、第1の実施形態の7つのステップ(S102~S107およびS121)に加えて、後述する7つのステップ(S201、S208~S212およびS221)を備える(図9参照)。
【0152】
(第1の記憶ステップS201)
まず、第1の記憶ステップS201を行う。第1の記憶ステップS201では、第1の実施形態における第1の記憶ステップS101に加えて、記憶部291は、さらに工具2の情報から得られる工具径Dである理論工具径D1と、第2許容範囲と、を記憶する。第1の記憶ステップS201は、コンピュータ29に理論ホルダ長A1と、理論突き出し長B1と、第1許容範囲と、理論工具径D1と、第2許容範囲と、入力し、これらを記憶部291が記憶することにより行われる。コンピュータ29への理論ホルダ長A1と、理論突き出し長B1と、第1許容範囲と、の入力は第1の実施形態の誤差判別システムの説明において記載した方法を、理論工具径D1と、第2許容範囲と、の入力は、本実施形態の誤差判別システムの説明において記載した方法を採用可能である。
【0153】
続いて、第1の実施形態と同様に、6つのステップ(S102~S106およびS121)を行う。第1の判断ステップS106において、判断部293が、第1誤差は第1許容範囲に含まれると判断した場合には、第1の実施形態とは異なり、下記のステップ(第2の測定ステップS208)を続けて行う。
【0154】
第1の判断ステップS106において、判断部293が、第1誤差は第1許容範囲に含まれないと判断した場合には、第1の実施形態の場合と同様に、第1の報知ステップS107を行った後に取り付けステップS102に戻り、取り付けステップS102以後のステップを再度行う。
【0155】
(第2の測定ステップS208)
ホルダ4を介して主軸部3に取り付けられた工具2の実際の工具径Dである実測工具径D2を測定する。
【0156】
第2の測定ステップS208は、取り付けステップS102よりも後に行うステップであるため、ホルダ4が主軸部3に装着され、工具2がホルダ4に取り付けられた状態で、実測工具径D2が測定される。
【0157】
本実施形態において、第2の測定ステップS208における実測工具径D2の測定は、工具測定装置26により、自動的に行われるが、作業者により手動的に行われてもよい。実測工具径D2の測定を手動的に行う場合には、その測定方法については、実測工具径D2の値を測定可能な方法であれば特に限定されず、例えば非接触式のレーザ式ツールプリセッタを使用する測定方法が挙げられる。
【0158】
(第3の記憶ステップS209)
続いて、記憶部291が、実測工具径D2を記憶する。記憶部291による実測工具径D2の記憶は、第2の測定ステップS208において測定により得られた値をコンピュータ29に入力し、その値を記憶部291が実測工具径D2として記憶する。この入力は、第2の測定ステップS208おける実測工具径D2の測定を工具測定装置26により自動的に行った場合には、自動的に行われる。一方、手動的に行った場合には、入力部7により手動的に行われる。
【0159】
(第2の記憶判断ステップS221)
続いて、判断部293が、第3の記憶ステップS209において記憶部291が実測工具径D2を記憶したか否かを判断する。すなわち、第3の記憶ステップS209において実測工具径D2の入力が行われ、記憶部291が新たな値を実測工具径D2として記憶したか否かを判断する。本実施形態の誤差判別方法は第2の記憶判断ステップS221を備えるが、当該ステップは任意のステップであるため、誤差判別方法としては、当該ステップを備えていなくてもよい。
【0160】
記憶部291が実測工具径D2を記憶したと判断された場合には、下記の次のステップにすすむ。一方、記憶部291が実測工具径D2を記憶していないと判断された場合には、第2の測定ステップS208と、第3の記憶ステップS209と、を再度行う。
【0161】
第2の記憶判断ステップS221を行うことにより、第2の測定ステップS208で得られたものではない値を実測工具径D2として用いて以後に続くステップを行うことを防ぐことができる。
【0162】
記憶部291が実測工具径D2を記憶していないと判断される場合としては、例えば、実測工具径D2の測定を作業者が手作業で行ったが、その値の入力をし忘れた場合や、工具測定装置26を用いて実測工具径D2を測定する際に、その測定を中断してしまった場合等が考えられる。
【0163】
(第2の演算ステップS210)
続いて、演算部292が、実測工具径D2と理論工具径D1との差である第2誤差を演算する。
【0164】
(第2の判断ステップS211)
続いて、判断部293が、第2誤差が第2許容範囲に含まれるか否かを判別する。
【0165】
第2の判断ステップS211において、判断部293が第2誤差は第2許容範囲に含まれると判断した場合には、実測工具径D2と理論工具径D1との間のずれ(第2誤差)は許容可能な範囲内であるため、本実施形態の誤差判別が完了する。このとき、表示部8に第1誤差、第2誤差、第1許容範囲および第2許容範囲の値を表示してもよい。これにより、作業者が第1誤差、第2誤差、第1許容範囲および第2許容範囲の値を確認することができ、安心してワークWの加工を行うことができる。
【0166】
(第2の報知ステップS212)
第2の判断ステップS211において、判断部293が第2誤差は第2許容範囲に含まれないと判別した場合には、命令部294が報知部210に対して、第2誤差が第2許容範囲に含まれないことを報知するように命令し、報知部210が、この命令により第2誤差が第2許容範囲に含まれないことを報知する。
【0167】
この報知により、実測工具径D2と理論工具径D1との間にずれがあり、工具2の取り付けの際に人為的過誤が発生したことが判明する。第2誤差が第2許容範囲に含まれないことが報知された後は、取り付けステップS102に戻り、取り付けステップS102以後のステップを再度行う。これにより、第1の判断ステップS106において第1誤差は第1許容範囲に含まれると判断され、かつ、第2の判断ステップS211において第2誤差は第2許容範囲に含まれると判断されるまで、取り付けステップS102から第1の報知ステップS107、または第2の報知ステップS212までのステップを繰り返す。これにより、主軸部3への正常な状態(工具2の取り付けの際に人為的過誤が発生していない状態)での工具2の取り付けを確実に行うことができる。
【0168】
上記の報知を行う際に、表示部8に第2誤差および第2許容範囲の値を表示してもよい。これにより、作業者が、実測工具径D2と、理論工具径D1と、の差を確認することができ、どのような人為的過誤が発生したかを推測するための情報を得ることができる。
【0169】
第2の判断ステップS211および第2の報知ステップS212は、第1の判断ステップS106において第1誤差は第1許容範囲に含まれると判断された後に行うステップであるため、第2の判断ステップS211において判明する具体的な人為的過誤としては、本来取り付ける予定の工具2と比較して、工具長Cは同程度であるが、工具径Dが異なる工具2を主軸部3に取り付けたというものが挙げられる。
【0170】
本実施形態において、第1の記憶ステップS201は、取り付けステップS102の前に行うが、第1の実施形態の場合と同様に、第1の演算ステップS105よりも前に行えばよく、本実施形態の順序に限定されない。例えば、第2の記憶ステップS104の後に第1の記憶ステップS201を行い、その後に第1の演算ステップS105を行ってもよい。その場合には、第1の報知ステップS107、または第2の報知ステップS212を行った後に、取り付けステップS102以後のステップを再度行う際に、第1の記憶ステップS201を省略してもよい。
【0171】
以上のことから、本実施形態の誤差判別方法は、第1の実施形態の誤差判別方法と比較して、さらに、第2の判断ステップS211において、第2誤差が第2許容範囲に含まれるか否かを判別し、第2誤差が第2許容範囲に含まれない場合には、第2の報知ステップS212において、第2誤差が第2許容範囲に含まれないことが報知され、取り付けステップS102以後のステップを再度行う。したがって、本実施形態は、工具長Cおよび工具径Dの両方の観点から工具2を主軸部3に取り付ける際に起こる人為的過誤の発生を判明させることができるため、主軸部3への正常な状態での工具2の取り付けをより確実に行うことができる。
【0172】
[誤差判別プログラム]
本実施形態の誤差判別プログラム211は、上記の誤差判別システムにおいて用いられる工作機械21の記憶部291に記憶されており、上記の第1の記憶ステップS201と、第2の記憶ステップS104と、第1の演算ステップS105と、第1の判断ステップS106と、第1の報知ステップS107と、第3の記憶ステップS209と、第2の演算ステップS210と、第2の判断ステップS211と、第2の報知ステップS212と、を実行させるものである。各ステップは、上記の誤差判別方法と同様であるため、その説明を援用する。第1の記憶判断ステップS121および第2の記憶判断ステップS221は任意のステップであるため、誤差判別プログラム211は、第1の記憶判断ステップS121および/または第2の記憶判断ステップS221をコンピュータ29に実行させないものであってもよい。
【0173】
[記録媒体]
本実施形態の記録媒体は、誤差判別プログラム211を記憶した記録媒体であり、具体的には、DVD-ROMである。第1の実施形態と同様に、記録媒体としては特に限定されず、フロッピーディスク、CD-ROM、フラッシュメモリ等の公知の記録媒体を採用可能である。
<第2の実施形態の変形形態>
【0174】
工具2の直径が、軸方向の位置によって異なる場合においても工具2の判別が可能な実施形態である、第2の実施形態の変形形態について説明する。
[誤差判別システム]
【0175】
工具2の直径が、軸方向の位置によって異なる場合には、記憶部291が、理論工具径D1に替えて、工具2の情報から得られる、工具2の軸方向の任意の位置における直径である理論直径を記憶してもよい。
【0176】
工具2の形状がテーパー状であり、工具2の軸方向に対して一定の割合でその直径が変化するものである場合には、記憶部291が、理論工具径D1に替えて、工具2の情報から得られる、工具2の軸方向に対する直径の変化率である理論変化率、または工具2の中心軸に対する側面の角度である理論角度を記憶してもよい。
【0177】
記憶部291が理論直径を記憶する場合には、工具測定装置26が、工具2がホルダ4に取り付けられた状態での、理論直径と同一の軸方向の位置における工具2の直径である実測直径の測定を行い、記憶部291が実測直径を記憶し、演算部292が、実測工具径D2と理論工具径D1との差に替えて、実測直径と理論直径との差を第2誤差として演算する。この場合には、判断部293は、記憶部291が実測直径を記憶したか否かを判断する。
【0178】
記憶部291が理論変化率を記憶する場合には、工具測定装置26が、工具2がホルダ4に取り付けられた状態での、工具2の軸方向に対する直径の変化率である実測変化率の測定を行い、記憶部291が実測変化率を記憶し、演算部292が、実測工具径D2と理論工具径D1との差に替えて、実測変化率と理論変化率との差を第2誤差として演算する。この場合には、判断部293は、記憶部291が実測変化率を記憶したか否かを判断する。
【0179】
記憶部291が理論角度を記憶する場合には、工具測定装置26が、工具2がホルダ4に取り付けられた状態での工具2の中心軸に対する側面の角度である実測角度の測定を行い、記憶部291が実測角度を記憶し、演算部292が、実測工具径D2と理論工具径D1との差に替えて、実測角度と理論角度との差を第2誤差として演算する。この場合には、判断部293は、記憶部291が実測角度を記憶したか否かを判断する。
[誤差判別方法]
【0180】
工具2の直径が、軸方向の位置によって異なる場合には、第1の記憶ステップS201において、理論工具径D1に替えて、理論直径を記憶してもよい。
【0181】
工具2の形状がテーパー状であり、工具2の軸方向に対して一定の割合でその直径が変化するものである場合には、第1の記憶ステップS201において、理論工具径D1に替えて、理論変化率または理論角度を記憶してもよい。
【0182】
第1の記憶ステップS201において、理論直径を記憶する場合には、第2の測定ステップS208において、実測工具径D2に替えて、実測直径を測定し、第3の記憶ステップS209において、実測直径を記憶し、第2の演算ステップS210において、実測工具径D2と理論工具径D1との差に替えて、実測直径と理論直径との差を第2誤差として演算する。この場合には、第2の記憶判断ステップS221において、実測工具径D2に替えて、実測直径を記憶したか否かを判断する。
【0183】
第1の記憶ステップS201において、理論変化率を記憶する場合には、第2の測定ステップS208において、実測工具径D2に替えて、実測変化率を測定し、第3の記憶ステップS209において、実測変化率を記憶し、第2の演算ステップS210において、実測工具径D2と理論工具径D1との差に替えて、実測変化率と理論変化率との差を第2誤差として演算する。この場合には、第2の記憶判断ステップS221において、実測工具径D2に替えて、実測変化率を記憶したか否かを判断する。
【0184】
第1の記憶ステップS201において、理論角度を記憶する場合には、第2の測定ステップS208において、実測工具径D2に替えて、実測角度を測定し、第3の記憶ステップS209において、実測角度を記憶し、第2の演算ステップS210において、実測工具径D2と理論工具径D1との差に替えて、実測角度と理論角度との差を第2誤差として演算する。この場合には、第2の記憶判断ステップS221において、実測工具径D2に替えて、実測角度を記憶したか否かを判断する。
[誤差判別プログラム]
本変形形態の誤差判別プログラム211は、同変形形態の誤差判別システムにおいて用いられる工作機械21の記憶部291に記憶されており、上記の各ステップを実行させるものである。
[記録媒体]
本変形形態の記録媒体は、同変形形態の誤差判別プログラム211を記憶した記録媒体であり、具体的には、DVD-ROMである。第1の実施形態と同様に、記録媒体としては特に限定されず、フロッピーディスク、CD-ROM、フラッシュメモリ等の公知の記録媒体を採用可能である。
【0185】
本変形形態においては、工具径Dに替えて、工具2の軸方向の任意の位置における直径、軸方向に対する直径の変化率または工具2の中心軸に対する工具2の側面の角度を用いて工具2の判別を行うが、これらのうちの複数を用いて工具2の判別を行ってもよく、その場合には、第2許容範囲、第2誤差と同様にして、第3許容範囲、第3誤差、第4許容範囲、第4誤差、第5許容範囲、第5誤差を設定、演算し、判断することができる。
【0186】
本変形形態では、工具2の軸方向の任意の位置における直径、軸方向に対する直径の変化率または工具2の中心軸に対する工具2の側面の角度の観点からも工具2を主軸部3に取り付ける際に起こる人為的過誤の発生を判明させることができる。
【0187】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0188】
1、21・・・工作機械
2・・・工具
3・・・主軸部
4・・・ホルダ
5・・・工具交換装置
6、26・・・工具測定装置
7・・・入力部
8・・・表示部
9、29・・・コンピュータ
91、291・・・記憶部
92、292・・・演算部
93、293・・・判断部
94、294・・・命令部
95、295・・・制御部
911・・・CPU
912・・・RAM
913・・・ROM
914・・・入出力インターフェース
915・・・通信インターフェース
916・・・バス
10、210・・・報知部
11、211・・・誤差判別プログラム
12・・・CAD/CAMプログラム
A・・・ホルダ長
A1・・・理論ホルダ長
B・・・突き出し長
B1・・・理論突き出し長
C・・・工具長
C1・・・理論工具長
C2・・・実測工具長
D・・・工具径
D1・・・理論工具径
D2・・・実測工具径
S101、S201・・・第1の記憶ステップ
S102・・・取り付けステップ
S103・・・第1の測定ステップ
S104・・・第2の記憶ステップ
S105・・・第1の演算ステップ
S106・・・第1の判断ステップ
S107・・・第1の報知ステップ
S121・・・第1の記憶判断ステップ
S208・・・第2の測定ステップ
S209・・・第3の記憶ステップ
S210・・・第2の演算ステップ
S211・・・第2の判断ステップ
S212・・・第2の報知ステップ
S221・・・第2の記憶判断ステップ
W・・・ワーク
図1
図2
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