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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137954
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220914BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037699
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】秋枝 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 龍史
(72)【発明者】
【氏名】小池 保
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB02
5G503FA03
(57)【要約】
【課題】電流の逆流を保護するための回路を不要にすることができ、且つ互いに異なる端子構造を有する複数の電源の同時使用を回避できる電子機器を提供する。
【解決手段】ビーコン端末100は、USBコネクタ152に挿し込まれたUSBケーブル181を収容するケーブル収容部166と、スプリング145及び150に接触する電池180を収容する電池収容部165とを有するインナーケース160を備え、ケーブル収容部166は電池収容部165と重なるように設けられている。これにより、USBケーブル181をUSBコネクタ152に差し込んだときに、USBケーブル181が電池180の位置と重なるので電池180と外部電源との同時使用を回避できる。電池180と外部電源との選択的接続が物理的に担保されているので、逆流保護素子が不要になっている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電ケーブル又は電池から供給される電流により動作可能な電子機器であって、
前記給電ケーブルから電流を供給する第1端子と、
前記電池から電流を供給する第2端子と、
前記第1端子に挿し込まれた前記給電ケーブルを収容する第1収容部と、前記第2端子に接触する前記電池を収容する第2収容部とを有する第1ケースとを備え、
前記第1収容部は前記第2収容部と重なるように設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1端子の位置は、前記第2収容部の位置と前記電子機器の高さ方向において異なることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1端子は、前記第2収容部に対して第1の角度だけ傾斜するように設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記給電ケーブルを前記第1端子に接続するための開口が、前記第2収容部の内壁に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
外部装置と無線通信を行う無線通信部を有する基板を備え、
前記無線通信部が前記電池から離れるように、前記基板は前記第2収容部に収容された前記電池に対して第2の角度だけ傾けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1端子、前記第2端子及び前記第1ケースを覆う第2ケースと、
前記第2ケースに装着されるブラケットとを備え、
前記ブラケットの各側面には突起が設けられており、
前記第2ケースの外周縁の対向する2辺には、前記突起と係合する爪部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1端子、前記第2端子及び前記第1ケースを覆う第2ケースと、
前記電池を前記第2収容部内に固定するキャップとを備え、
前記第2ケースの外周縁には、爪部が設けられており、
前記キャップの外周縁には、凸部が設けられており、
前記凸部の高さは、前記爪部の高さよりも高いことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリパックおよびACアダプタのいずれか一方を収容するバッテリ収納部を有するノートパソコンが知られている(例えば特許文献1参照)。ノートパソコンはバッテリパックおよびACアダプタのいずれか一方からの電力で動作可能である。特許文献1では、バッテリパック及びACアダプタは端子構造を共通化している。つまり、バッテリパック及びACアダプタは同様な形状であり、バッテリパックの本体接続用端子とACアダプタの本体接続用端子は、それぞれ同様な箇所に設けられており、いずれもノートパソコンの接続用端子に接続されている。
【0003】
また、バッテリパックから供給される電力を利用してモータを駆動する電動工具が知られている(例えば、特許文献2参照)。電動工具からバッテリパックを取り外すと、電動工具内のコントローラから延びるケーブル及びコネクタが外部に露出する。コネクタには、アダプタ及びUSBケーブルを介して外部のPCが接続可能である。電動工具に搭載されるコントローラに対して外部のPCからUSBケーブルを介してデータ通信が行える。特許文献2では、USB接続は、電動工具のモータを動作させる電源を供給することはできず、データ転送のために補助的に利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-325343号公報
【特許文献2】特開2012-157924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電子機器において、1次電池による電源供給と、USBケーブルによる外部からの電源供給とを併用できる場合、安全対策(漏液・発火の防止)のために、1次電池および外部電源の同時電源供給に対して、電流の逆流を保護するための回路構成が必要である。しかし、電流の逆流を保護するための回路が必要なため、電子機器の製造コストが上昇する。
【0006】
本発明の目的は、電流の逆流を保護するための回路を不要にすることができ、且つ互いに異なる端子構造を有する複数の電源の同時使用を回避できる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、明細書に開示された電子機器は、給電ケーブル又は電池から供給される電流により動作可能な電子機器であって、前記給電ケーブルから電流を供給する第1端子と、前記電池から電流を供給する第2端子と、前記第1端子に挿し込まれた前記給電ケーブルを収容する第1収容部と、前記第2端子に接触する前記電池を収容する第2収容部とを有する第1ケースとを備え、前記第1収容部は前記第2収容部と重なるように設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電流の逆流を保護するための回路を不要にすることができ、且つ互いに異なる端子構造を有する複数の電源の同時使用を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(A)は、逆流保護素子を備えた電子機器の回路図である。(B)は、本実施形態に係る電子機器の回路図である。
図2】本実施形態に係るビーコン端末の分解斜視図である。
図3】(A)は、電池を搭載するビーコン端末の断面図である。(B)は、USBケーブルが接続されたビーコン端末の断面図である。
図4】(A)はプリント基板のおもて面の構成図である。(B)はプリント基板の裏面の構成図である。
図5】(A)は、インナーケースの平面図である。(B)は、インナーケースの第1変形例の平面図である。(C)は、インナーケースの第2変形例の平面図である。
図6】USBケーブルを使用する場合のビーコン端末の斜視図である。
図7】(A)は、トップケースをブラケットに取り付ける前の状態を示す図である。(B)は、トップケースをブラケットに取り付けた後の状態を示す図である。
図8】電池を使用する場合のビーコン端末の斜視図である。
図9】バッテリーキャップがトップケースに取り付けられた状態を示す図である。
図10】電池とプリント基板との位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1(A)は、逆流保護素子を備えた電子機器の回路図である。図1(B)は、本実施形態に係る電子機器の回路図である。
【0012】
図1(A)の電子機器1aは、給電コネクタ2、負荷要素3、電池4、及び逆流保護素子5a,5bを備えている。本実施形態に係る電子機器1bは、給電コネクタ2、負荷要素3、及び電池4を備えているが、逆流保護素子5a,5bを備えていない。
【0013】
電子機器1a,1bの各々は、給電コネクタ2及び電池4のような2種類以上の電源供給源を備えている装置であり、例えば、ビーコン端末、モバイルプリンタ、スマートフォン、ノートパソコン又は電動工具などである。
【0014】
給電コネクタ2は、DC(Direct Current)コネクタ、又はUSB(Universal Serial Bus)コネクタなどである。負荷要素3は、プロセッサ、メモリ、各種のセンサ、無線モジュール、又はモータなどの負荷である。電池4は、例えば、直流電力の放電のみができる1次電池、又は充電及び放電を繰り返す2次電池である。1次電池は、乾電池、ボタン電池などである。2次電池は、リチウムイオン電池、ニッケル・水素蓄電池、又はニッケル・カドミウム蓄電池などである。なお、電池4の個数は、必ずしも4本必要ではなく、2つの電池4を並列に接続する必要もない。例えば、電子機器1a,1bの各々は、1つの電池4で駆動してもよい。
【0015】
逆流保護素子5a,5bは、例えばダイオードである。逆流保護素子5aは、給電コネクタ2からの電流が負荷要素3に流れ、電池4からの電流が給電コネクタ2に流れないように給電コネクタ2と負荷要素3との間に接続されている。逆流保護素子5bは、電池4からの電流が負荷要素3に流れ、給電コネクタ2からの電流が電池4に流れないように電池4と負荷要素3との間に接続されている。
【0016】
電池4による電源供給での駆動と、給電コネクタ2からの外部電源供給による駆動を併用する場合、従来の電子機器1aでは、安全対策(漏液・発火の防止)のために、電池4および給電コネクタ2(外部電源)の同時電源供給に対して、電流の逆流を防止する回路構成が必要であった。つまり、電流が電池4又は給電コネクタ2に逆流すると、電池4、給電コネクタ2、又は給電コネクタ2に接続される外部電源が故障するので、これを防止するために逆流保護素子5a,5bが設けられている。
【0017】
本実施の形態に係る電子機器1bは、電池4の全部又は一部(図1(B)の例では領域X内の2つの電池4)を取り外さないと、給電コネクタ2に外部電源からのDCケーブル又はUSBケーブルを接続できないように構成している。このように、電池4と外部電源との選択的接続が物理的に担保されているので、逆流保護素子5a,5bが不要になっている。そして、電子機器1bの物理的な構造により電池4と外部電源とが同時に使用できないので、安全対策を図ることができ、同時に電子機器1bに搭載される基板の小型化、電子機器1bの軽量化、及び逆流保護素子5a,5bの減少によるコストダウンの効果を得ることができる。
【0018】
以下、本実施形態に係る電子機器1bの例としてビーコン端末100を説明する。なお、本実施形態に係る電子機器はビーコン端末100に限定されるものではなく、モバイルプリンタ、スマートフォン、ノートパソコン又は電動工具などでよい。
【0019】
図2は、本実施形態に係るビーコン端末100の分解斜視図である。図3(A)は、電池を搭載するビーコン端末100の断面図である。図3(B)は、USBケーブルが接続されたビーコン端末100の断面図である。
【0020】
ビーコン端末100は、電池180およびUSBケーブル181のいずれか一方からの電流で動作可能である。ビーコン端末100では、電池180の一部(真ん中の2本)を取り外さないと、USBケーブル181を接続できないように構成されている。電池180は、1次電池又は2次電池である。USBケーブル181に代えて直流(DC)を供給する外部電源のケーブルが接続されるようにしてもよい。USBケーブル181、DCケーブル又はACケーブルのような外部電源ケーブルは、給電ケーブルの一例である。本体内に変換器を備えている場合は、AC電源が接続されても構わない。本実施の形態では、4つの電池180が使用されており、2つの電池180の直列接続を2ラインの並列接続で使用されている。これにより、電池を入れ替えずに長期間(例えば約5年)の使用が可能である。
【0021】
図2に示すように、ビーコン端末100は、QR(Quick Response)ラベル101、トップケース110(第2ケース)、防水透湿シート120、LEDレンズ130、プリント基板140、スプリング150、インナーケース160(第1ケース)、ゴムパッキン170a,170b(第1防水部材、第2防水部材)、バッテリーキャップ190、及びブラケット200を備えている。さらに、図3(A)(B)に示すように、ビーコン端末100は、ストッパーアンカー151、USBコネクタ152及びフレキシブルケーブル153を備えている。
【0022】
QRラベル101は、ビーコン端末100を識別するためのラベルであり、トップケース110の上面の中央に張り付けられる。
【0023】
トップケース110は、開口を有する箱状であり(図6参照)、プリント基板140やインナーケース160などの各要素を覆う防水用ケースである。トップケース110の上面は、外気を取り込むための開口111と、LEDレンズ130を露出するための開口112とを備えている。
【0024】
防水透湿シート120は、環状であり、空気や水蒸気は透過するが水は通さないシートである。防水透湿シート120の内周及び外周には、防水性能のある両面テープ121が設けられている。防水透湿シート120は、両面テープ121で開口111を塞ぐようにトップケース110の裏面(図3(A)の電池180と対向する面)に固定されている。これにより、プリント基板140に搭載された温湿度センサ242(図4(A)参照)が防水透湿シート120を透過した空気の温度及び湿度を測定することができる。
【0025】
LEDレンズ130は、プリント基板140に実装されている照度センサ244(図4(A)参照)が外部の明るさを測定するための透明な窓として機能するレンズであり、さらに、プリント基板140に実装されているLED245(図4(A)参照)の発光を視認するための透明な窓として機能するレンズである。LEDレンズ130の一部は、トップケース110の開口112から突出している。LEDレンズ130は、不図示の防水用両面テープでトップケース110の裏面に固定されている。
【0026】
図4(A)はプリント基板140のおもて面の構成図であり、図4(B)は、プリント基板140の裏面の構成図である。プリント基板140のおもて面141は、図2のプリント基板140の上面(トップケース110に対向する面)であり、プリント基板140の裏面142はプリント基板140のおもて面141の裏側である。
【0027】
プリント基板140のおもて面141には、無線モジュール240、アンテナ241、温湿度センサ242、騒音センサ243、照度センサ244、LED245及びケーブル接続端子250が搭載されている。無線モジュール240及びアンテナ241は、外部装置に対してBluetooth(登録商標)又はワイヤレスLANなどの無線通信を実行する無線通信部として機能する。プリント基板140の裏面142には加速度ジャイロセンサ246及びタクトスイッチ247が搭載されている。プリント基板140は、インナーケース160の突起162、163(図2参照)をそれぞれ貫通させる開口248,249を有する。
【0028】
無線モジュール240はアンテナ241を介してビーコン信号を出力する。温湿度センサ242は空気の温度及び湿度を測定する。騒音センサ243は騒音レベルを測定する。照度センサ244は入射した光を電流に変換し、明るさを測定する。LED245は各種の発光条件に従って発光する。LED245によりビーコン端末100の動作を発光で確認することができる。加速度ジャイロセンサ246はビーコン端末100の動き(速度の変化)や回転を測定する。タクトスイッチ247は、各種の設定の切替などを指示する。ケーブル接続端子250はフレキシブルケーブル153(図3(A)(B)参照)をプリント基板140に電気的に接続する端子である。
【0029】
図2に戻り、スプリング150(第2端子)は電池180の一端と接触する電極であり、インナーケース160に固定され、プリント基板140には接続していない。電池180の他端と接触する電極であるスプリング145(第2端子)はプリント基板140に固定されている。
【0030】
プッシュボタン161は、プリント基板140に実装されているタクトスイッチ247をオンオフするボタンであり、インナーケース160に取り付けられる。
【0031】
インナーケース160はプリント基板140を固定する爪部164を備えている。インナーケース160は電池180を収納する。インナーケース160は、トップケース110とねじで固定される。
【0032】
ゴムパッキン170aは、トップケース110とインナーケース160との間に設けられている。ゴムパッキン170aは、インナーケース160の側面1周に取付けて、トップケース110とインナーケース160との間に水が入るのを防ぐ。ゴムパッキン170bは、インナーケース160とバッテリーキャップ190との間に設けられている。ゴムパッキン170bは、インナーケース160の側面1周に取付けて、インナーケース160とバッテリーキャップ190との間の水が入るのを防ぐ。つまり、ゴムパッキン170a、170bにより、プリント基板140への水の侵入を防いでいる。
【0033】
バッテリーキャップ190は、電池180を使用する場合に、防水性能を確保するために装着される。電池180で電源を供給する場合には、バッテリーキャップ190を取付けるため、防水性能を確保することができる(図3(A)参照)。
【0034】
ブラケット200は、ユーザが壁又は天井にビーコン端末100をねじ210で固定するために使用される。ブラケット200は壁又は天井に固定されるが、ブラケット200以外のビーコン端末100の構造はスライドすることによりブラケット200から取り外し可能及び取付可能である。
【0035】
ストッパーアンカー151(図3(A)(B)参照)は、USBコネクタ152(第1端子)を固定するためのブロックであり、USBケーブル181を接続する際の押し込みでUSBコネクタ152が移動しないようにしている。フレキシブルケーブル153は、USBコネクタ152をプリント基板140に電気的に接続する。
【0036】
図5(A)は、インナーケース160の平面図である。図5(B)は、インナーケース160の第1変形例の平面図であり、図5(C)は、インナーケース160の第2変形例の平面図である。図5(A)~図5(C)は図2の下側から(ブラケット200側から)見た場合のインナーケース160の構造を示す。
【0037】
図5(A)では、インナーケース160は、4つの電池180を収容する4つの電池収容部165(第2収容部)と、USBケーブル181を収容するケーブル収容部166(第1収容部)を備えている。電池収容部165の個数は4つに限定されず、1つ以上あればよい。ケーブル収容部166は、平面視で2つの電池収容部165と重なるように形成されている。この場合、USBケーブル181を使用する場合には、少なくとも真ん中の2つの電池収容部165から電池を取り外す必要がある。ケーブル収容部166は、USBケーブル181を接続した際に、少なくとも電池による電源供給を遮断できる位置に設けられていればよい。ケーブル収容部166の一端には、USBケーブル181をUSBコネクタ152に挿し込むための開口167が形成されている。また、図3(A)に示すように、電池収容部165は、水平に設けられているが、ケーブル収容部166は水平に対して角度α(第1の角度:例えば5度以上45度以下)だけ傾斜するように設けられている。つまり、ケーブル収容部166の位置は電池収容部165の位置と水平方向(X方向及びY方向)だけでなく高さ方向(Z方向)においても異なる。
【0038】
図5(A)では、ケーブル収容部166がX方向に沿って形成されているが、図5(B)に示すように、ケーブル収容部166がY方向に沿って形成されていてもよい。この場合、開口167は、最も外側に位置する電池収容部165の内壁に設けられており、USBケーブル181は開口167を介してY方向に沿ってUSBコネクタ152に挿し込まれる。この構造のため、図5(B)の例では、USBケーブル181を接続するためには、4つの電池すべてを電池収容部165から取り外す必要がある。さらに、図5(C)に示すように、開口167が、中央に位置する2つの電池収容部165の境界部分に跨るように電池収容部165の内壁に設けられてもよい。この場合、開口167がUSBケーブル181の先端を収容するので、ケーブル収容部166は開口167の周囲に形成される。USBケーブル181はZ方向に沿ってUSBコネクタ152に挿し込まれる。この構造の場合、USBケーブル181を接続するためには少なくとも中央に位置する2つの電池を取り外す必要がある。
【0039】
図6は、USBケーブル181を使用する場合のビーコン端末100の斜視図である。図6図2の下側から(ブラケット200側から)見た場合のビーコン端末100の構造を示す。
【0040】
図6では、図5(A)で示したインナーケース160が使用されている。つまり、インナーケース160は4つの電池収容部165と、ケーブル収容部166とを備えている。トップケース110の開口側(上面と反対側)の外周縁116には、ブラケット200と係合する4つの爪部115が設けられている。4つの爪部115は外周縁116の対向する2辺に2つずつ設けられている。
【0041】
ブラケット200は、爪部115と係合する複数の突起201と、ケーブルなどを通過させる複数の貫通孔202、203と、USBケーブル181を通過させる切り欠き部204と、ブラケット200をねじ止めするための複数の貫通孔205とを備えている。USBケーブル181は切り欠き部204に代えて貫通孔202、203のいずれかを通してもよい。また、複数の貫通孔202、203は、後述するバッテリーキャップ190の凸部191がブラケット200に接触しないようにする逃げ部として機能する。さらに、ブラケット200を壁又は天井に取り付けた場合に、複数の貫通孔202、203は、壁又は天井から引き出されたケーブルをUSBコネクタ152又はプリント基板140に接続するための配線用開口部として機能する。
【0042】
複数の突起201はブラケット200の4つの側面206の内壁の各々に設けられている。これにより、トップケース110は、ブラケット200に対して90度、180度又は270度回転させてもブラケット200に取り付けることができる。
【0043】
図7(A)は、トップケース110をブラケット200に取り付ける前の状態を示し、図7(B)は、トップケース110をブラケット200に取り付けた後の状態を示す。トップケース110を図7(A)の左方向にスライドさせることで、爪部115が突起201に係合するので、トップケース110をブラケット200に取り付けることができる。このように、トップケース110をブラケット200に取り付けるのに、特殊な工具などは不要である。トップケース110をブラケット200から取り外す場合には、トップケース110を図7(A)の右方向にスライドさせる。これにより、爪部115が突起201から解除されるので、トップケース110をブラケット200から取り外すことができる。
【0044】
図8は、電池180を使用する場合のビーコン端末100の斜視図である。図8図2の下側から(ブラケット200側から)見た場合のビーコン端末100の構造を示す。図9は、バッテリーキャップ190がトップケース110に取り付けられた状態を示す。
【0045】
図8でも、図5(A)で示したインナーケース160が使用されている。トップケース110及びブラケット200の構造は、図6と同様である。
【0046】
バッテリーキャップ190は電池180をインナーケース160内に固定するために使用される。バッテリーキャップ190の外周縁192には、4つの凸部191が設けられている。4つの凸部191は外周縁192の対向する2辺に2つずつ設けられている。
【0047】
図9に示すように、4つの凸部191は、4つの爪部115とそれぞれ対向するように配置される。バッテリーキャップ190がトップケース110に取り付けられた場合、トップケース110の外周縁116とバッテリーキャップ190の外周縁192の高さは略同一である。そして、バッテリーキャップ190の凸部191の高さh1は、トップケース110の爪部115の高さh2よりもわずかに(例えば約1mm)高く設定している。
【0048】
電池180が装着されていない場合には、ビーコン端末100の重量は軽量である。このため、誤ってトップケース110を落とした場合でも、トップケース110の爪部115が床に当たり、折れたり又は曲がることが少ない。一方、電池180が装着されている場合にはビーコン端末100の重量は重くなる。この状態でトップケース110を落とすと、トップケース110の爪部115が床に当たり、折れたり又は曲がる可能性が高くなる。トップケース110の爪部115が床に当たり、折れたり又は曲がる可能性を減らすために、凸部191の高さh1を爪部115の高さh2よりもわずかに高く設定している。
【0049】
図10は、電池180とプリント基板140との位置関係を示す図である。図10では、インナーケース160が省略されている。
【0050】
図10に示すように、プリント基板140に搭載されている無線モジュール240及びアンテナ241が電池180から離れるように、プリント基板140は電池180に対して角度θ(第2の角度:例えば5度以上)だけ傾けられている。導体である電池180が無線モジュール240及びアンテナ241に近づきすぎると、無線のアンテナ特性を悪化させるので、プリント基板140を電池180に対して角度θだけ傾けて、無線モジュール240及びアンテナ241を電池180(導体)から離すように構成している。これにより、無線のアンテナ特性の悪化を抑制することができる。
【0051】
なお、図3(A)及び図3(B)に示すように、プリント基板140と対向するインナーケース160の面168には、プリント基板140が電池180に対して角度θだけ傾けられるように、リブ169が設けられている。これによっても、無線のアンテナ特性の悪化を抑制することができる。プリント基板140は、角度θで傾くように面168の一部及びリブ169により下側から支持され、インナーケース160の爪部164(図2参照)により上側から固定されている。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態に係るビーコン端末100は、USBコネクタ152に挿し込まれたUSBケーブル181を収容するケーブル収容部166と、スプリング145及び150に接触する電池180を収容する電池収容部165とを有するインナーケース160を備え、平面視において、ケーブル収容部166は電池収容部165と重なるように形成されている。これにより、USBケーブル181をUSBコネクタ152に差し込んだときに、USBケーブル181が電池180の位置と重なる。このため、電池180の全部又は一部(図5(A)(C)の例では真ん中の2つの電池180。図5(B)の例では全ての電池180。)を取り外さないと、USBコネクタ152に外部電源からのUSBケーブル181を接続できないように構成している。このように、電池180と外部電源との選択的接続が物理的に担保されているので、逆流保護素子が不要になっている。そして、ビーコン端末100の物理的な構造により電池180と外部電源とが同時に使用できないので、安全対策(漏液・発火の防止)を図ることができ、同時にプリント基板140の小型化、ビーコン端末100の軽量化、及び逆流保護素子の減少によるコストダウンの効果を得ることができる。
【0053】
また、平面視においてケーブル収容部166は電池収容部165と重なるが、ケーブル収容部166又はUSBコネクタ152の位置は、電池収容部165の位置とビーコン端末100の高さ方向において異なる(図3(A)(B)参照)。この結果、USBケーブル181がUSBコネクタ152に接続されたときに電池収容部165を横切ることになるので、ビーコン端末100の物理的な構造により電池180と外部電源との同時使用を回避できる。同様に、平面視においてケーブル収容部166は電池収容部165と重なるが、ケーブル収容部166又はUSBコネクタ152は電池収容部165に対して第1の角度だけ傾斜するように設けられている(図3(A)(B)参照)。この結果、USBケーブル181がUSBコネクタ152に接続されたときに電池収容部165を横切ることになるので、ビーコン端末100の物理的な構造により電池180と外部電源との同時使用を回避できる。
【0054】
また、本実施の形態によれば、無線モジュール240及びアンテナ241が電池180から離れるように、プリント基板140は電池収容部165に収容された電池180に対して角度θだけ傾けられている。よって、無線のアンテナ特性の悪化を抑制することができる。
【0055】
さらに、プリント基板140と対向するインナーケース160の面168には、プリント基板140が電池180に対して角度θだけ傾けられるように、リブ169が設けられている。これによっても、無線のアンテナ特性の悪化を抑制することができる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、ブラケット200の各側面には突起201が設けられており、トップケース110の外周縁116の対向する2辺には、突起201と係合する爪部115が設けられている。これにより、トップケース110は、ブラケット200に対して90度、180度又は270度回転させてもブラケット200に取り付けることができる。
【0057】
また、本実施の形態によれば、トップケース110の外周縁116には、爪部115が設けられており、バッテリーキャップ190の外周縁192には、凸部191が設けられている。そして、凸部191の高さh1は、爪部115の高さh2よりも高い。このため、トップケース110が落下した場合に、トップケース110の爪部115が床に当たり、折れたり又は曲がる可能性を減らすことができる。
【0058】
さらに、本実施の形態によれば、インナーケース160とトップケース110との間にゴムパッキン170aを配置し、インナーケース160とバッテリーキャップ190との間にゴムパッキン170bを配置するので、インナーケース160とトップケース110との間及びインナーケース160とバッテリーキャップ190との間から水が侵入するのを抑制できる。
【0059】
尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
100 ビーコン端末
101 QRラベル
110 トップケース
120 防水透湿シート
130 LEDレンズ
140 プリント基板
145,150 スプリング
160 インナーケース
165 電池収容部
166 ケーブル収容部
170a,170b ゴムパッキン
190 バッテリーキャップ
200 ブラケット

図1
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