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  • 特開-美容効果を備えた衛生マスク 図1
  • 特開-美容効果を備えた衛生マスク 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137970
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】美容効果を備えた衛生マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220914BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037719
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】302060568
【氏名又は名称】株式会社カナエテクノス
(74)【代理人】
【識別番号】100089152
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】越智 和志
(72)【発明者】
【氏名】金光 祐子
(72)【発明者】
【氏名】中野 智和
(57)【要約】
【課題】 長時間着用していても、美容効果を十分に発揮しうる衛生マスクを提供する。
【解決手段】 この衛生マスクは、マスク本体1と耳掛け紐2とよりなる。マスク本体1は、肌側から内層3、中層4及び外層5の順に積層された三層構造の不織体で形成されている。中層4は極細繊維で構成された不織布であり、メルトブローン不織布よりなる。内層3及び外層5は、極細繊維よりも繊度の高い太繊度繊維で構成された不織布であり、スパンボンド不織布又はサーマルボンド不織布よりなる。内層3は、美容成分を含む美容剤が付着されてなる。美容成分としては、ジプロピレングリコール、L-グルタミン酸誘導体、リンゴ果実培養細胞エキス又はヒアルロン酸等が用いられる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク本体と耳掛け紐を具えた衛生マスクにおいて、
前記マスク本体は、肌側から内層、中層及び外層の順に積層された少なくとも三層構造の不織体で形成されており、
前記中層は極細繊維で構成された不織布であり、前記内層及び外層は該極細繊維よりも繊度の高い太繊度繊維で構成された不織布であり、
前記内層は、美容成分を含む美容剤(但し、美容剤中にグリセリンを含まない。)が付着されてなることを特徴とする美容効果を備えた衛生マスク。
【請求項2】
中層はメルトブローン不織布であり、内層及び外層はスパンボンド不織布又はサーマルボンド不織布である請求項1記載の美容効果を備えた衛生マスク。
【請求項3】
美容成分は、ジプロピレングリコール、ソルビトール、L-グルタミン酸誘導体、ヒアルロン酸、リンゴ果実培養細胞エキス、キサンタンガム及びポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルよりなる群から選ばれた化合物である請求項1記載の美容効果を備えた衛生マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用又は医療用として用いられる、ウイルス感染防止等のために口及び鼻を覆う衛生マスクに関し、特に美容効果を備えた衛生マスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
衛生マスクは、ウイルス、細菌、花粉又は埃等が吸気に伴い体内に侵入するのを防止するため、又はウイルスや飛沫等が呼気に伴い体外に拡散するのを防止するために着用されるものである。従来、家庭用の衛生マスクは主として外出時に着用されることが多く、また医療用の衛生マスクは手術時等に着用されることが多く、使用時間も比較的短いものであった。
【0003】
しかるに、2019年末に発生した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は全世界に蔓延し、人から人に感染して新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こし、多数の重傷者及び死者を出している。このため、ウイルスの体内への侵入及び体外への拡散を防止するために、外出時等の必要なときの他、室内に居るときも、また就寝時にも、衛生マスクを着用することが行われている。すなわち、衛生マスクの使用時間が非常に長くなっているのである。衛生マスクの使用時間が長くなると、肌とマスク本体の接触時間が長くなって、肌荒れ等が生じやすくなり、肌の美容に悪いという欠点があった。
【0004】
このため、肌とマスク本体の間に挿入しやすい形状の美容成分を含むシート状ゲルパックが提案されている(特許文献1)。かかるゲルパックが肌に当接していると、肌荒れ等を防止しうると共に肌への美容効果も奏することになる。しかしながら、ゲルパックは単に肌とマスク本体の間に挿入されているだけであるので、長時間使用していると、脱落したり、ずれたりするということがあった。また、ゲルパックの美容成分がマスク本体にも浸透し、肌への美容成分の供給量が低下するということもあった。したがって、特許文献1記載の技術では、美容効果が十分に発揮できないという憾みがあった。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3229913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、衛生マスクを長時間着用していても、美容効果を十分に発揮しうるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、マスク本体と耳掛け紐を具えた衛生マスクにおいて、前記マスク本体は、肌側から内層、中層及び外層の順に積層された少なくとも三層構造の不織体で形成されており、前記中層は極細繊維で構成された不織布であり、前記内層及び外層は該極細繊維よりも繊度の高い太繊度繊維で構成された不織布であり、前記内層は、美容成分を含む美容剤(但し、美容剤中にグリセリンを含まない。)が付着されてなることを特徴とする美容効果を備えた衛生マスクに関するものである。
【0008】
特に、極細繊維で構成された不織布は、メルトブローン不織布が好ましく、これを中層とするのが好ましい。また、極細繊維よりも繊度の高い太繊度繊維で構成された不織布は、スパンボンド不織布又はサーマルボンド不織布が好ましく、これを内層及び外層とするのが好ましい。
【0009】
美容成分としては、ジプロピレングリコール、L-グルタミン酸誘導体、ヒアルロン酸、リンゴ果実培養細胞エキス、キサンタンガム及びポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルよりなる群から選ばれた化合物を用いるのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る衛生マスクは、内層に美容剤が付着されているので、長時間使用しても美容剤が脱落したりずれたりすることは殆どない。また、中層を形成している不織布は、極細繊維よりなるものであるため繊維間隙が狭く、内層の美容剤が外層に移行するのを防止し、肌への美容成分の供給量が低下するのを防止しうる。よって、本発明に係る衛生マスクは、長時間着用していても、美容効果を十分に発揮しうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一例に係る衛生マスクの斜視図である。
図2】本発明で用いるマスク本体の一例に係る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
衛生マスクは、マスク本体1と耳掛け紐2を具えている。マスク本体1の形状は、図1に示すとおりプリーツ型であってもよいし、平型や立体型等の従来公知の形状であればよい。
【0013】
マスク本体1は、少なくとも三層構造の不織体で形成されている。三層構造の不織体は、肌側から内層3、中層4及び外層5の順に積層されている。内層3、中層4及び外層5の各々の重量は、10~25g/m2程度である。また、マスク本体1の重量は、30~75g/m2程度である。
【0014】
中層4は、極細繊維で構成された不織布よりなる。中層4の不織布は、主として繊維径1μm以上10μm未満の極細繊維が多数集積されてなるものである。極細繊維相互間は、一般的に、熱又は分子間力によって自己接合されている。特に、中層4の不織布として、メルトブローン法で製造されたメルトブローン不織布を用いるのが好ましい。構成繊維が極細繊維であるので、繊維相互間の間隙が微細であり、通気性はあるが通水しにくいものである。なお、極細繊維の素材は、一般的にポリプロピレンが採用され、その他、ポリエステル等も採用される。
【0015】
内層3及び外層5は、極細繊維よりも繊度の高い太繊度繊維で構成された不織布よりなる。太繊維繊維は、極細繊維よりも繊維径の太いものであり、1~10デニール程度のものが用いられる。内層3及び外層5の不織布は、中層4の不織布の場合と比べて、太繊維繊維相互間の間隙が大きく、通気性及び通水性に優れたものである。特に、内層3及び外層5の不織布として、スパンボンド法で製造されたスパンボンド不織布又は太繊度繊維相互間を自己融着させたサーマルボンド不織布を用いるのが好ましい。なお、太繊度繊維の素材としても、ポリプロピレンやポリエステルが採用される。
【0016】
内層3には、美容成分を含む美容剤が付着してなる。すなわち、美容剤は、内層3を形成している不織布の太繊度繊維表面に付着しているか、又は太繊度繊維相互間の間隙中に包含されている。美容剤の形態は、固体、ゲル状又は液状であってもよい。美容成分としては、保湿剤、湿潤剤、美白剤及びアンチエイジング剤等として知られている従来公知のものが用いられる。たとえば、ジプロピレングリコール、ソルビトール、コラーゲン、ヒアルロン酸、プラセンタ、コンドロイチン、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、L-グルタミン酸誘導体、コエンザイムQ10、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、αリポ酸、レシチン、リンゴ果実培養細胞エキス又はキサンタンガム等が単独で又は混合して用いられる。特に、美容成分として、ジプロピレングリコール、ソルビトール、L-グルタミン酸誘導体、ヒアルロン酸、リンゴ果実培養細胞エキス、キサンタンガム及びポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルよりなる群から選ばれた化合物を用いるのが好ましい。
【0017】
衛生マスクを製造する方法としては、以下のような方法が挙げられる。美容成分を含む美容剤を、水及びエタノールの混合溶媒に溶解させた美容液を準備する。そして、この美容液を内層3の不織布に含浸した後、混合溶媒を乾燥除去して、美容剤が付着せしめられた内層3を製造する。その後、予め準備した中層4の不織布及び外層5の不織布と積層し、その周囲を縫着してマスク本体1を得ると共に耳掛け紐2を縫着して、衛生マスクを製造する。また、内層3の不織布、中層4の不織布及び外層5の不織布を積層した不織体の周囲を縫着する。そして、内層3の不織布に美容液をスプレー塗布した後、混合溶媒を乾燥除去し、内層3に美容剤を付着させてマスク本体1を得る。その後、耳掛け紐2を縫着して衛生マスクを製造するという方法も挙げられる。
【符号の説明】
【0018】
1 マスク本体
2 耳掛け紐
3 内層
4 中層
5 外層
図1
図2