(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138001
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】ポリオール組成物、難燃性ウレタン樹脂組成物、及びポリウレタン発泡体
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20220914BHJP
C08G 18/09 20060101ALI20220914BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20220914BHJP
【FI】
C08G18/00 J
C08G18/09 020
C08G101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037760
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】玉井 裕介
(72)【発明者】
【氏名】梶田 倫生
(72)【発明者】
【氏名】村山 智
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA07
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4J034RA12
(57)【要約】
【課題】良好な難燃性を維持しつつ、赤色化が抑制されたポリウレタン発泡体を形成可能なポリオール組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】ポリオール化合物、リン系固体難燃剤、触媒、及び発泡剤を含有するポリオール組成物であって、前記リン系固体難燃剤が赤燐を含有しない、ポリオール組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール化合物、リン系固体難燃剤、触媒、及び発泡剤を含有するポリオール組成物であって、
前記リン系固体難燃剤が赤燐を含まない、ポリオール組成物。
【請求項2】
前記ポリオール組成物中のリン濃度が2.5質量%以上である、請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項3】
前記リン系固体難燃剤が、リン酸塩、ホスファゼン化合物、リン酸エステル化合物、及びホスフィン酸金属塩からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のポリオール組成物。
【請求項4】
前記リン系固体難燃剤が、前記リン酸塩を含有し、前記リン酸塩中のリン濃度が25質量%以上である、請求項3に記載のポリオール組成物。
【請求項5】
前記リン系固体難燃剤が、ポリリン酸塩を含む、請求項3又は4に記載のポリオール組成物。
【請求項6】
前記ポリリン酸塩の平均粒径が50μm以下である、請求項5に記載のポリオール組成物。
【請求項7】
前記ポリオール化合物の、加重平均芳香族濃度が10質量%以上である、請求項1~6いずれか1項に記載のポリオール組成物。
【請求項8】
前記触媒が三量化触媒を含む、請求項1~7いずれか1項に記載のポリオール組成物。
【請求項9】
前記触媒がビスマス化合物及びスズ化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1~8いずれか1項に記載のポリオール組成物。
【請求項10】
前記ポリオール組成物が液状難燃剤を含有し、
前記リン系固体難燃剤に対する液状難燃剤の含有量比が0.2~3である、請求項1~9いずれか1項に記載のポリオール組成物。
【請求項11】
難燃剤由来のハロゲン原子の含有量が、前記ポリオール組成物中において20質量%以下である、請求項1~10いずれか1項に記載のポリオール組成物。
【請求項12】
請求項1~11いずれか1項に記載のポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物とを含む難燃性ウレタン樹脂組成物であって、
前記難燃性ウレタン樹脂組成物が赤燐を含有しない、難燃性ウレタン樹脂組成物。
【請求項13】
難燃性ウレタン樹脂組成物から形成されるポリウレタン発泡体のISO-5660の試験方法に準拠して、放射熱強度50kW/m2にて10分間加熱したときの総発熱量が8MJ/m2以下である、請求項12に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
【請求項14】
吹き付け用途に用いられる、請求項12又は13に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
【請求項15】
請求項12~14いずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物から形成される、ポリウレタン発泡体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオール組成物、難燃性ウレタン樹脂組成物、及びポリウレタン発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン発泡体は、その優れた断熱性を利用して、マンション等の集合住宅、戸建住宅、商業ビル等の建築物の天井、屋根、壁面などの建築部材の断熱や結露防止に実用されている。ポリウレタン発泡体は、各構造物の表面に、ポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物を含む難燃性ウレタン樹脂組成物を吹き付け、発泡及び硬化させることにより形成される。
【0003】
ポリウレタン発泡体は、軽量であるものの、有機物であるため燃えやすい。これを改善するため、難燃性の高いポリウレタン発泡体が必要とされている。ポリウレタン発泡体の難燃性を高める為の手段として、例えば、特許文献1のように、発泡性ウレタン樹脂組成物に赤燐を使用することが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、赤燐は、消防法上の危険物であるため、発泡性ウレタン樹脂組成物を製造する際、取扱いを注意する必要がある。また、赤燐を使用した発泡性ウレタン樹脂組成物から形成されたポリウレタン発泡体は、赤燐によって赤く変色し、意匠性が損なわれる問題もあった。
そこで本発明は、良好な難燃性を維持しつつ、赤色になることが抑制されたポリウレタン発泡体を形成可能なポリオール組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリオール化合物、リン系固体難燃剤、触媒、及び発泡剤を含有するポリオール組成物であって、前記ポリオール組成物が赤燐を含有しないポリオール組成物により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
本発明は、下記[1]~[15]を要旨とする。
[1]ポリオール化合物、リン系固体難燃剤、触媒、及び発泡剤を含有するポリオール組成物であって、前記リン系固体難燃剤が赤燐を含まない、ポリオール組成物。
[2]前記ポリオール組成物中のリン濃度が2.5質量%以上である、[1]に記載のポリオール組成物。
[3]前記リン系固体難燃剤が、リン酸塩、ホスファゼン化合物、リン酸エステル化合物、及びホスフィン酸金属塩からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]又は[2]に記載のポリオール組成物。
[4]前記リン系固体難燃剤が、前記リン酸塩を含有し、前記リン酸塩中のリン濃度が25質量%以上である、[3]に記載のポリオール組成物。
[5]前記リン系固体難燃剤が、ポリリン酸塩を含む、[3]又は[4]に記載のポリオール組成物。
[6]前記ポリリン酸塩の平均粒径が50μm以下である、[5]に記載のポリオール組成物。
[7]前記ポリオール化合物の、加重平均芳香族濃度が10質量%以上である、[1]~[6]いずれか1項に記載のポリオール組成物。
[8]前記触媒が三量化触媒を含む、[1]~[7]いずれか1項に記載のポリオール組成物。
[9]前記触媒がビスマス化合物及びスズ化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、[1]~[8]いずれか1項に記載のポリオール組成物。
[10]前記ポリオール組成物が液状難燃剤を含有し、前記リン系固体難燃剤に対する液状難燃剤の含有量比が0.2~3である、[1]~[9]いずれか1項に記載のポリオール組成物。
[11]難燃剤由来のハロゲン原子の含有量が、前記ポリオール組成物中において20質量%以下である、[1]~[10]いずれか1項に記載のポリオール組成物。
[12][1]~[11]いずれか1項に記載のポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物とを含む難燃性ウレタン樹脂組成物であって、前記難燃性ウレタン樹脂組成物が赤燐を含有しない、難燃性ウレタン樹脂組成物。
[13]難燃性ウレタン樹脂組成物から形成されるポリウレタン発泡体のISO-5660の試験方法に準拠して、放射熱強度50kW/m2にて10分間加熱したときの総発熱量が8MJ/m2以下である、[12]に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[14]吹き付け用途に用いられる、[12]又は[13]に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[15][12]~[14]いずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物から形成される、ポリウレタン発泡体。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、良好な難燃性を維持しつつ、赤色に変色することが抑制されるポリウレタン発泡体を形成可能なポリオール組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
[ポリオール組成物]
本発明のポリオール組成物は、ポリオール化合物、リン系固体難燃剤、触媒、及び発泡剤を含有するポリオール組成物であって、前記リン系固体難燃剤が赤燐を含まないポリオール組成物である。
【0010】
本発明のポリオール組成物中に含有されるリン系固体難燃剤は、赤燐を含まない。赤燐を含まないことにより、該組成物から形成されるポリウレタン発泡体が赤色に変色して、ポリウレタン発泡体の意匠性が損なわれることを防止できる。
【0011】
(リン系固体難燃剤)
本発明のポリオール組成物は、上記した赤燐以外のリン系固体難燃剤を含有する。リン系固体難燃剤は、常温(23℃)、常圧(1気圧)にて固体となるものである。赤燐以外のリン系固体難燃剤を含有することにより、赤燐を含有せずとも、ポリウレタン発泡体の難燃性を向上させることができる。リン系固体難燃剤としては、リン酸塩、ホスファゼン化合物、リン酸エステル化合物、及びホスフィン酸金属塩からなる群から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。
【0012】
<リン酸塩>
リン酸塩の具体例としては、例えば、モノリン酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられる。なお、ここでいうリン酸塩は、正リン酸塩のみならず、亜リン酸塩、次亜リン酸塩なども含む概念である。ポリリン酸塩も同様である。
モノリン酸塩としては、例えば、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素ニアンモニウム等のアンモニウム塩、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩、リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩、リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩、リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩、リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、次亜リン酸亜鉛等の亜鉛塩、第一リン酸アルミニウム、第二リン酸アルミニウム、第三リン酸アルミニウム、亜リン酸アルミニウム、次亜リン酸アルミニウム等のアルミニウム塩等が挙げられる。この中では、リン酸アンモニウム、亜リン酸アルミニウムが好ましく、リン酸アンモニウムがより好ましい。
ポリリン酸塩としては、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられ、これらの中でもポリリン酸アンモニウムが好ましい。ポリリン酸アンモニウムは、結晶構造によって、I型、II型などの様々な種類があるが、難燃性の観点から、I型のポリリン酸アンモニウム及びII型のポリリン酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、II型のポリリン酸アンモニウムがより好ましい。
【0013】
<イントメッセント系難燃剤>
リン酸塩としては、イントメッセント系難燃剤も使用できる。イントメッセント系難燃剤としては、例えば、炭化を促進するリン系成分と、消火及び発泡を促進する窒素系成分を含有するリン酸塩が挙げられる。イントメッセント系難燃剤は、燃焼が始まり加熱されると材料表面に泡が吹き出し、泡状の断熱膨張層ができることによって材料表面の熱が内部に伝わらないようにすると共に、酸素の供給を遮断することによって熱分解と酸化反応を抑止することで、難燃剤としての役割を果たすことができる。
【0014】
イントメッセント系難燃剤を構成するリン系成分としては、例えばピロリン酸、三リン酸などのポリリン酸や、オルトリン酸(正リン酸)などのモノリン酸が挙げられる。
【0015】
イントメッセント系難燃剤を構成する窒素系成分としては、例えば、N,N,N',N'-テトラメチルジアミノメタン、エチレンジアミン、N,N'-ジメチルエチレンジアミン、N,N'-ジエチルエチレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'-テトラエチルエチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7-ジアミノへプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン及び1,10-ジアミノデカンなどの脂肪族ジアミン、ピペラジン、trans-2,5-ジメチルピペラジン、1,4-ビス(2-アミノエチル)ピペラジン、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジンなどのピペラジン環を含むアミン化合物、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、アクリルグアナミン、2,4-ジアミノ-6-ノニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシ-1,3,5-トリアジン、2-アミノ-4,6-ジヒドロキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-メトキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-エトキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-プロポキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-イソプロポキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-メルカプト-1,3,5-トリアジン及び2-アミノ-4,6-ジメルカプト-1,3,5-トリアジンなどのトリアジン環を含むアミン化合物などが挙げられる。
【0016】
イントメッセント系難燃剤を構成するリン系成分としては、ポリウレタン発泡体についてより高い難燃性を得られるようにする観点から、ポリリン酸を含むことが好ましい。
【0017】
イントメッセント系難燃剤は、オルトリン酸メラミン塩、ピロリン酸メラミン塩、ポリリン酸メラミン塩、オルトリン酸ピペラジン塩、ピロリン酸ピペラジン塩、及びポリリン酸ピペラジン塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
中でも、オルトリン酸メラミン塩、ピロリン酸メラミン塩、及びポリリン酸メラミン塩からなる群から選択されるメラミン塩と、オルトリン酸ピペラジン塩、ピロリン酸ピペラジン塩、及びポリリン酸ピペラジン塩からなる群から選択されるピペラジン塩との混合物であることがより好ましい。また、上記メラミン塩としては、中でも難燃性の点からピロリン酸メラミンがより好ましく、上記ピペラジン塩としては、中でも難燃性の点から、ピロリン酸ピペラジンがより好ましい。
【0018】
<ホスファゼン化合物>
ホスファゼン化合物は、リン原子と窒素原子が交互に結合した有機化合物である。ホスファゼン化合物は、例えば、環状ホスファゼン化合物、鎖状ホスファゼン化合物、架橋基で架橋した架橋ホスファゼン化合物等が挙げられる。ホスファゼン化合物としては、具体的には、下記一般式(1)で示す構成単位を含有するものが挙げられる。
【0019】
【化1】
上記一般式(1)中、Xは、それぞれ独立に炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数6~12の置換又は無置換のアリール基、炭素数6~12の置換又は無置換のアリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。
一般式(1)において、アリール基における置換基としては、アルキル基、アミノ基、ハロゲン原子などが挙げられる。
Xはそれぞれ独立にフェニル基、置換フェニル基、フェニルオキシ基、又は置換フェニル基のいずれかであることが好ましく、より好ましくはフェニル基又はフェニルオキシ基のいずれかである。
【0020】
本発明のポリオール組成物に含有するホスファゼン化合物としては、ポリウレタン発泡体により良好な難燃性を付与する観点から、環状ホスファゼン化合物が好ましく、環状フェノキシホスファゼン化合物がより好ましい。
【0021】
<リン酸エステル化合物>
リン酸エステル化合物としては、常温(23℃)で固体のものであれば特に限定されず、例えば、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等が挙げられる。これらのリン酸エステル化合物は、市販品であってもよい。
モノリン酸エステルとしては、トリフェニルホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートが挙げられる。また、モノリン酸エステルは、市販品として、「TPP」、「CR-900」、「DAIGUARD-1000」(以上、大八化学工業社製)等が挙げられる。
縮合リン酸エステルはハロゲンを含有する含ハロゲン縮合リン酸エステルでもよいし、ハロゲンを含有しない非ハロゲン縮合リン酸エステルなどでもよい。より具体的には、1,3-フェニレンビス(ジ-2,6-キシレニルホスフェート)などのアルキル置換芳香族系縮合リン酸エステルなどが挙げられる。また、縮合リン酸エステル類としては市販品も使用できる。具体的には、「DAIGUARD-850」、「PX200」などの非ハロゲン縮合リン酸エステル(以上、大八化学工業社製)が挙げられる。
【0022】
本発明のポリオール組成物に含有するリン酸エステル化合物としては、ポリウレタン発泡体により良好な難燃性を付与する観点から、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートを使用することが好ましい。トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートはハロゲン原子を含有するものであるため、リン酸エステル化合物として使用するとで、ポリオール組成物中のハロゲン量をある程度担保することができ、ポリウレタン発泡体の難燃性を高めることができる。
【0023】
<ホスフィン酸金属塩>
ホスフィン酸金属塩は、有機ホスフィン酸の金属塩である。ホスフィン酸金属塩の具体例としては、例えば、トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ビスジエチルホスフィン酸亜鉛、ビスメチルエチルホスフィン酸亜鉛、ビスジフェニルホスフィン酸亜鉛、ビスジエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスジエチルホスフィン酸チタン、ビスメチルエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスメチルエチルホスフィン酸チタン、ビスジフェニルホスフィン酸チタニル、テトラキスジフェニルホスフィン酸チタンなどが挙げられる。これらの中では、トリスジエチルホスフィン酸アルミニウムを使用することが好ましい。
【0024】
また、リン系固体難燃剤中のリン濃度は、赤燐を使用しなくてもポリウレタン発泡体の難燃性を十分高める観点から、リン系固体難燃剤全量基準で、10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましい。
【0025】
本発明のポリオール組成物は、ポリウレタン発泡体の難燃性を高める観点から、ポリオール組成物中のリン濃度が2.5質量%以上であることが好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。また、リン濃度は、ポリオール化合物などの難燃剤以外の化合物を一定量含有させる観点から、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、12質量%以下がさらに好ましい。
なお、ポリオール組成物中のリン濃度は、組成物を構成する各成分のリン濃度、及び各成分の配合量に基づいて算出できるが、ポリオール組成物を蛍光X線(XRF)や誘導結合プラズマ(ICP)、原子吸光(AAS)などによって分析することによっても測定できる。
【0026】
リン系固体難燃剤としては、上記の中では、リン酸塩が好ましく、中でもリン酸塩中のリン濃度が25質量%以上であるリン酸塩がより好ましい。また、リン酸塩は、より好ましくはポリリン酸塩であり、さらに好ましくはポリリン酸アンモニウムであり、よりさらに好ましくはI型のポリリン酸アンモニウム及びII型のポリリン酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、II型のポリリン酸アンモニウムが特に好ましい。
また、ポリリン酸塩は、ポリオール組成物を使用する際の機械への負荷(摩耗や詰まり)低減の観点から平均粒径が小さいものが好ましく、具体的には平均粒径50μm以下のものが好ましく、平均粒径40μm以下のものがより好ましい。また、ポリリン酸塩の平均粒径は、特に限定されないが、例えば1μm以上である。なお、平均粒径は、粒子径分布測定装置などにより測定できる。
【0027】
リン系固体難燃剤は、上記したものの中からいずれか1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。
【0028】
本発明のポリオール組成物において、リン系固体難燃剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対し、10~120質量部が好ましく、15~110質量部がより好ましく、25~100質量部がさらに好ましい。リン系固体難燃剤の含有量を上記下限値以上とすることで、ポリウレタン発泡体の難燃性を高めることができる。他方、リン系固体難燃剤の含有量を上記上限値以下とすることで、ポリオール組成物の粘度が過度に高まることを防止でき、後述の難燃性ウレタン樹脂組成物を作製する際に、良好な取り扱い性を担保できる。また、ウレタン発泡体の発泡性、成形性なども良好にできる。
【0029】
(ポリオール化合物)
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物はポリウレタン発泡体の原料としてポリオール化合物を含有する。
本発明に用いるポリオール化合物としては、例えば、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、及びポリエーテルポリオール等が挙げられる。
【0030】
ポリラクトンポリオールとしては、例えば、ポリプロピオラクトングリコール、ポリカプロラクトングリコール、及びポリバレロラクトングリコール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、及びノナンジオール等の水酸基含有化合物と、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等との脱アルコール反応により得られるポリオール等が挙げられる。
【0031】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合して得られる重合体、及びヒドロキシカルボン酸と前記多価アルコール等との縮合物が挙げられる。
多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸(m-フタル酸)、テレフタル酸(p-フタル酸)、o-フタル酸(フタル酸)、ナフタレンジカルボン酸及びコハク酸等が挙げられる。また、多価アルコールとしては、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサングリコール、及びネオペンチルグリコール等が挙げられる。
また、ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、ひまし油、ひまし油とエチレングリコールの反応生成物等が挙げられる。
【0032】
ポリマーポリオールとしては、例えば、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、及びポリエステルポリオール等に対し、アクリロニトリル、スチレン、メチルアクリレート、及びメタクリレート等のエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させた重合体、ポリブタジエンポリオール、又はこれらの水素添加物等が挙げられる。
【0033】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、多価アルコールなどの活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物等の少なくとも1種の存在下に、炭素数2~6のアルキレンオキサイド、具体的にはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等の少なくとも1種を開環重合させて得られる重合体が挙げられる。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの少なくとも一種が挙げられる。
活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物としては、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール等のジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール類、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクト-ス、メチルグルコシド及びその誘導体等の四~八価のアルコール、フロログルシノール、クレゾール、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1,3,6,8-テトラヒドロキシナフタレン、及び1,4,5,8-テトラヒドロキシアントラセン等のポリオール、ひまし油ポリオール、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体及びポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2~100)ポリオール、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)、エチレンジアミン、及びブチレンジアミン等のアミン類等が挙げられる。
【0034】
本発明に使用するポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール、及びポリエーテルポリオールが好ましい。また、水酸基を2個有するポリオール化合物が好ましい。中でも、ポリウレタン発泡体の難燃性を高める観点から、芳香族環を有するポリエステルポリオールである芳香族ポリエステルポリオールが好ましい。その場合、ポリオール化合物の加重平均芳香族濃度が10質量%以上であることが好ましく、12質量%以上であることがより好ましい。
ここで、芳香族濃度とは、ポリオール化合物中の芳香環を構成する炭素原子及び水素原子の合計の質量%により得られたものであり、加重平均芳香族濃度は、前記芳香環の炭素原子及び水素原子の各含有量から加重平均により求めた芳香族濃度である。
芳香族ポリエステルポリオールは、o-フタル酸(フタル酸)、m-フタル酸(イソフタル酸)、p-フタル酸(テレフタル酸)、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸とグリコールの縮合物であることが好ましい。中でも、ポリウレタン発泡体の難燃性、特に燃え拡がらない性能を高める観点から、芳香族ポリエステルポリオールは、フタル酸とグリコールとの縮合物である、フタル酸系ポリエステルポリオールを含むことがより好ましく、p-フタル酸とグリコールの縮合物である、p-フタル酸系ポリエステルポリオール、及び、о-フタル酸とグリコールの縮合物である、о-フタル酸系ポリエステルポリオールから選択される少なくとも1種を含むことがさらに好ましい。
【0035】
ポリオール化合物が芳香族ポリエステルポリオールを含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、難燃性ウレタン樹脂組成物中のポリオール化合物100質量部に対して、50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることがより好ましく、100質量部であることがさらに好ましい。
【0036】
ポリオール化合物の加重平均水酸基価は、20~350mgKOH/gが好ましく、30~300mgKOH/gがより好ましく、50~250mgKOH/gがさらに好ましい。ポリオールの水酸基価が前記上限値以下であるとポリオール組成物の粘度が下がりやすく、取り扱い性等の観点で好ましい。一方、ポリオールの水酸基価が前記下限値以上であるとポリウレタン発泡体の架橋密度が上がることにより強度が高くなり、かつ吹き付けの際の施工性が良好になる。
なお、ポリオール化合物の水酸基価は、JIS K 1557-1:2007に従って測定可能である。
【0037】
ここで、ポリオール化合物の加重平均水酸基価は、ポリオール化合物を構成する個々のポリオールの水酸基価と、該個々のポリオールのポリオール化合物中の重量分率との積の総和により求められる。例えば、ポリオール化合物として、2種類のポリオール(d1)、ポリオール(d2)を用いる場合、ポリオール(d1)の水酸基価をX1、配合量をm1、ポリオール(d2)の水酸基価をX2、配合量をm2とすると、加重平均水酸基価は、以下の式で表される。なお、配合量m1及びm2は、ポリオール化合物100質量部中の質量部数である。
加重平均水酸基価(mgKOH/g)=X1×(m1/(m1+m2))+X2×(m2/(m1+m2))
【0038】
(触媒)
本発明のポリオール組成物は、触媒を含有する。本発明で含有する触媒としては、三量化触媒を含有することが好ましい。
【0039】
<三量化触媒>
三量化触媒は、イソシアヌレート結合を形成する三量化を促進する触媒である。難燃性ウレタン樹脂組成物において、三量化が促進されることで、ポリウレタン発泡体の難燃性や燃え拡がりにくさが向上する。
三量化触媒としては、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等の芳香族化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸ナトリウム、ギ酸カリウム、オクチル酸カリウム、オクチル酸ナトリウム等のアルカリ金属塩、2-エチルアジリジン等のアジリジン類、ナフテン酸鉛、オクチル酸鉛等の鉛化合物、ナトリウムメトキシド等のアルコラート化合物、カリウムフェノキシド等のフェノラート化合物、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の第三級アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等を使用することができる。これらの中では、4級アンモニウム塩が好ましい。4級アンモニウム塩を使用すると、発泡剤にハイドロクロロフルオロオレフィンなどのハイドロフルオロオレフィン化合物を使用しても、触媒活性が良好に維持されることで、三量化が適切に進行し難燃性などが向上する。
三量化触媒は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用して使用してもよいが、ポリウレタン発泡体の難燃性を十分高める観点から、二種以上を併用して使用することが好ましい。二種以上を併用して使用する場合、アルカリ金属塩と4級アンモニウム塩を使用することが好ましく、2-エチルヘキサン酸カリウムとテトラメチルアンモニウム塩を使用することがより好ましい。
【0040】
三量化触媒の含有量は特に限定されないが、ポリオール化合物100質量部に対して、1~15質量部の範囲であることが好ましく、1.5~13質量部の範囲であることがより好ましく、2~10質量部の範囲であることがさらに好ましい。三量化触媒の含有量を上記範囲内とすることで、イソシアヌレート結合が適度に形成され、難燃性が向上する。
【0041】
<ウレタン化触媒>
本発明のポリオール組成物は、上記した三量化触媒に加え、ウレタン化触媒を含有してもよい。ウレタン化触媒は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応を促進させる触媒である。ウレタン化触媒としては、スズ化合物、ビスマス化合物等の金属触媒を含有することが好ましい。
【0042】
スズ化合物としては、例えば、オクチル酸第一スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート等が挙げられる。ビスマス化合物としては、ネオデカン酸ビスマス、オクチル酸ビスマスなどが挙げられる。
【0043】
本発明のポリオール組成物は、初期活性の観点から、金属触媒としてビスマス化合物及びスズ化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
また、ウレタン化触媒のうち、金属触媒の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対し、0.05~18質量部であることが好ましく、0.1~15質量部がより好ましく、1~13質量部がさらに好ましい。金属触媒の含有量が上記下限値以上であることにより、難燃性ウレタン樹脂組成物の初期活性が良好となり、それに伴い、該組成物の発泡性も良好になる。一方、金属触媒の含有量が上記上限値以下であることにより、難燃性ウレタン樹脂組成物が発泡する際、横方向に発泡することを有効に防止することが可能になる。
【0044】
ウレタン化触媒としては、上記した金属触媒に加え、アミノ化合物、アセチルアセトン金属塩等を含有してもよいが、中でもアミノ化合物が好ましい。
アミノ化合物としては、例えば1-メチルイミダゾール、1、2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2メチルイミダゾール、イミダゾール環中の第二級アミン官能基をシアノエチル基で置換したイミダゾール化合物などのイミダゾール系化合物等が挙げられる。イミダゾール系化合物としては、1、2-ジメチルイミダゾールが好ましい。
【0045】
ウレタン化触媒としてアミノ化合物を含有する場合、アミノ化合物の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対し、2~14質量部が好ましく、3~10質量部がより好ましく、3.5~9質量部がさらに好ましい。
【0046】
アセチルアセトン金属塩としては、例えば、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンベリリウム、アセチルアセトンクロム、アセチルアセトンインジウム、アセチルアセトンマンガン、アセチルアセトンモリブデン、アセチルアセトンチタン、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトンバナジウム、アセチルアセトンジルコニウム等が挙げられる。
【0047】
本発明のポリオール組成物に含有されるウレタン化触媒は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用して使用してもよい。ウレタン化触媒として、金属触媒を含有する場合、難燃性ウレタン樹脂組成物を吹き付けることによりポリウレタン発泡体を形成する際の発泡性を良好にする観点から、上記したビスマス化合物を含有することが好ましい。また、上記金属触媒に加え、金属触媒以外のウレタン化触媒を含有する場合は、ウレタン化触媒としてビスマス化合物とアミノ化合物の併用が好ましく、ビスマス化合物とイミダゾール化合物の併用がより好ましい。
【0048】
本発明のポリオール組成物におけるウレタン化触媒の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、例えば2質量部以上であり、3質量部以上であることが好ましい。上記下限値以上とすることで、発泡性を良好にしつつ、適度な反応速度で、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応を促進できる。また、反応速度を向上させて、吹き付け用途に好適とするために、ウレタン化触媒の上記含有量は、4質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、触媒の含有量に見合った発泡性、反応性を得る観点から、ウレタン化触媒の上記含有量は、20質量部以下が好ましく、18質量部以下がより好ましく、15質量部以下がさらに好ましい。
【0049】
(発泡剤)
発泡剤の具体例としては、例えば、水、低沸点の炭化水素、塩素化脂肪族炭化水素化合物、フッ素化合物、ハイドロクロロフルオロカーボン化合物、ハイドロフルオロカーボン、エーテル化合物、ハイドロフルオロオレフィンなどが挙げられる。さらに、発泡剤としては、これらの化合物の混合物等の有機系物理発泡剤、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等の無機系物理発泡剤等が挙げられる。
上記低沸点の炭化水素としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等が挙げられる。
上記塩素化脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等が挙げられる。
上記フッ素化合物としては、例えば、CHF3、CH2F2、CH3F等が挙げられる。
上記ハイドロクロロフルオロカーボン化合物としては、例えば、トリクロルモノフルオロメタン、トリクロルトリフルオロエタン、ジクロロモノフルオロエタン(例えば、HCFC141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン)、HCFC22(クロロジフルオロメタン)、HCFC142b(1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン)等が挙げられる。
上記ハイドロフルオロカーボンとしては、HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-365mfc(1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン)等が挙げられる。
上記エーテル化合物としては、例えば、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。
上記ハイドロフルオロオレフィンとしては、例えば、HFO-1233zd(E)(トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)、HFO-1234yf(2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン)、HFO-1336mzz(Z)(シス―1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン)、HFO-1224yd(Z)等が挙げられる。
【0050】
上記した中でも、発泡剤としては、ハイドロフルオロオレフィン、水などが好ましく、ハイドロフルオロオレフィン及び水を併用することがより好ましい。
発泡剤の含有量は、発泡体の密度を所望の範囲に調整する観点から、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは5~70質量部であり、より好ましくは10~60質量部であり、さらに好ましくは20~50質量部である。
【0051】
発泡剤として使用するハイドロフルオロオレフィンの量は、ポリウレタン発泡体の密度を所望の範囲とする観点から、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは5~70質量部であり、より好ましくは8~60質量部であり、さらに好ましくは18~50質量部である。
【0052】
発泡剤として使用する水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水などを適宜用いることができる。この中では、イオン交換水を用いることが好ましい。ポリオール化合物100質量部に対する水の量は、好ましくは0.1~15質量部であり、より好ましくは0.2~5質量部であり、さらに好ましくは0.3~3質量部である。水の含有量を上記範囲内とすることで、難燃性及び発泡性がバランス良く良好となる。
【0053】
(液状難燃剤)
本発明のポリオール組成物に含有される難燃剤としては、上記したリン系固体難燃剤以外にも、液状難燃剤を使用してもよい。液状難燃剤としては、特に限定されないが、リン酸エステル系難燃剤が好ましい。リン酸エステル系難燃剤としては、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等が挙げられる。
モノリン酸エステルとしては、特に限定されないが、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート等が挙げられる。
縮合リン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(商品名CR-733S)、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート(商品名CR-741)、芳香族縮合リン酸エステル(商品名CR747)(商品名ADEKA PFR)等が挙げられる。
上記した中では、モノリン酸エステルが好ましく、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート等のハロゲン原子を有するモノリン酸エステルがより好ましい。液状難燃剤として、ハロゲン原子を有するリン酸エステルを使用すると、難燃性を向上させやすくなる。
液状難燃剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、20~150質量部が好ましく、30~120質量部がより好ましく、45~85質量部がさらに好ましい。
【0054】
本発明のポリオール組成物中に液状難燃剤を含有する場合、上記リン系固体難燃剤に対する液状難燃剤の含有量比が0.2~3であることが好ましく、0.3~2.5がより好ましく、0.4~2がさらに好ましい。液状難燃剤の含有量比を上記下限値以上とすることで、ポリウレタン発泡体の難燃性を高めると共に、ポリオール組成物の粘度を所望の数値に調整することができ、該組成物の取り扱い性に優れるようになる。他方、液状難燃剤の含有量比を上記上限値以下とすることで、ハロゲン原子の量を抑えることができる。
【0055】
本発明のポリオール組成物中に含有される難燃剤、即ち、リン系固体難燃剤及び液状難燃剤由来のハロゲン原子の含有量は、火災発生時に、ハロゲン原子由来の有毒ガスが発生することを防止する観点から、ポリオール組成物全量基準で、20質量%以下が好ましく、18質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。なお、ハロゲン原子の含有量は、下限について特に限定されるものではなく、0質量%以上であるとよいが、ポリウレタン発泡体の難燃性を高める観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。
ここで、ハロゲン原子の含有量は、難燃剤の含有量と、個々の難燃剤のハロゲン濃度との積の総和を、ポリオール組成物の合計量で除することにより求められる。例えば、難燃剤として、2種類の難燃剤(A1)、難燃剤(A2)を用いる場合、難燃剤(A1)のハロゲン濃度をa1(質量%)、含有量をb1、難燃剤(A2)のハロゲン濃度をa2(質量%)、含有量をb2、ポリオール組成物の合計量をMとすると、ハロゲン原子の含有量は、以下の式で表される。なお、含有量b1及びb2、並びに合計量Mは、ポリオール化合物100質量部あたりの質量部数である。
ハロゲン原子の含有量(質量%)=(a1×b1+a2×b2)/M
【0056】
(整泡剤)
本発明のポリオール組成物は、整泡剤を含有してもよい。整泡剤としては、分子内に極性部分と非極性部分を有し界面活性効果を備える化合物を好適に使用することができる。
整泡剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤等の界面活性剤等が挙げられる。また、シリコーン整泡剤としては、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドの重合体であるポリオキシアルキレングリコールとポリジメチルシロキサンとのグラフト共重合体でもよい。また、市販品も使用でき、具体的にはSH-193(東レダウコーニング社製)、S-824-02(日本ユニカー社)、SZ-1704(日本ユニカー社)、F501(信越化学工業社)、SF-2937F(ダウ東レ社製)等の整泡剤を使用することができる。
整泡剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して0.1~15質量部であることが好ましく、0.5~12質量部であることがより好ましく、1~8質量部であることがさらに好ましい。
【0057】
(その他成分)
難燃性ウレタン樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、染料等から選択される1種以上を含むことができる。
【0058】
(製造方法)
本発明のポリオール組成物の製造方法に特に制限はなく、例えば、各成分を室温程度でホモディスパー等を用いて30秒~20分程度撹拌することにより製造することができる。本発明においては、ポリオール組成物が赤燐を含有しないので、製造時の取扱い性が良好である。
【0059】
[難燃性ウレタン樹脂組成物]
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、上記ポリオール組成物とポリイソシアネート化合物とを含む。難燃性ウレタン樹脂組成物は、上記ポリオール組成物とポリイソシアネート化合物を混合することにより得られる。難燃性ウレタン樹脂組成物も、ポリオール組成物と同様、赤燐を含有しないものである。
【0060】
(ポリイソシアネート化合物)
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物に含まれるポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を2個以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系などの各種ポリイソシアネート化合物を用いることができる。好ましくは、取扱の容易さ、反応の速さ、得られるポリウレタン発泡体の物理特性が優れていること、および低コストであることなどから、液状ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用いることが好ましい。液状MDIとしては、クルードMDI(ポリメリックMDIともいう)が挙げられる。液状MDIの具体的な市販品としては、「44V-10」,「44V-20」(住化コベストロウレタン株式会社製)、「ミリオネートMR-200」(日本ポリウレタン工業))などが挙げられる。また、ウレトンイミン含有MDI(例えば、市販品として「ミリオネートMTL」:日本ポリウレタン工業製)などでもよい。また、イソポリシアネート化合物内のイソシアネート活性基の一部を水酸基含有化合物と反応させ、予めポリオールとの親和性を高めた処置を施したものを使用してもよい。液状MDIに加えて、他のポリイソシアネート化合物を併用してもよく、併用するポリイソシアネート化合物としては、ポリウレタンの技術分野において公知のポリイソシアネート化合物は限定なく使用可能である。
【0061】
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物のイソシアネートインデックスは、好ましくは600以下であり、より好ましくは550以下であり、さらに好ましくは500以下である。イソシアネートインデックスがこれら上限値以下であると、発泡体形成時の2段発泡などが抑制されやすくなる。
また、難燃性ウレタン樹脂組成物のイソシアネートインデックスは、ポリウレタン発泡体を適切に形成させる観点から、100以上であることが好ましく、150以上であることがより好ましく、2000以上がさらに好ましい。
イソシアネートインデックス(INDEX)は、以下の方法にて算出される。
【0062】
INDEX=ポリイソシアネート化合物の当量数÷(ポリオール化合物の当量数+水の当量数)×100
ここで、
ポリイソシアネート化合物の当量数=ポリイソシアネート化合物の使用部数×NCO含有率(%)×100/NCO分子量
ポリオール化合物の当量数=OHV×ポリオール化合物の使用部数÷KOHの分子量、OHVはポリオールの水酸基価(mgKOH/g)、
水の当量数=水の使用部数×水のOH基の数/水の分子量
である。なお上記式において、使用部数の単位は重量(g)であり、NCO基の分子量は42、NCO含有率はポリイソシアネート化合物中のNCO基の割合を質量%で表したものであり、上記式の単位換算の都合上KOHの分子量は56100とし、水の分子量は18、水のOH基の数は2とする。
【0063】
(総発熱量)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体は、ISO-5660の試験方法に準拠して、放射熱強度50kW/m2にて10分間加熱したときの総発熱量が8MJ/m2以下であることが好ましい。総発熱量が8MJ/m2以下であることにより、本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体は、所定の難燃性を有する。
該発泡体の難燃性をより向上させる観点から、上記総発熱量は、7.8MJ/m2以下であることがより好ましく、7MJ/m2以下であることがさらに好ましい。
また、本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体は、上記と同様の方法にて20分間加熱したときにおいても総発熱量が8MJ/m2以下であることがよりさらに好ましく、6MJ/m2以下であることが特に好ましい。
【0064】
(最高発熱速度)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体を、ISO-5660の試験方法に準拠して、放射熱強度50kW/m2にて10分間加熱したときの最高発熱速度は150kW/m2以下であることが好ましい。最高発熱速度が150kW/m2以下であることにより、該組成物からなるポリウレタン発泡体は、所定の難燃性を有する。また、最高発熱速度及び総発熱量を共に上記のとおり調整することにより、より難燃性が向上する。
ポリウレタン発泡体の難燃性をより向上させる観点から、上記最高発熱速度は、130kW/m2以下であることがより好ましく、110kW/m2以下であることがさらに好ましい。
【0065】
上記総発熱量及び最高発熱速度は、コーンカロリーメーター試験により測定され、詳細には実施例に記載の方法で測定することができる。
なお、上記コーンカロリーメーター試験の際、試験に供したポリウレタン発泡体がコーンカロリーメーターのスパーク点火器に接触しない程度の形状安定性を有することが好ましい。
【0066】
[ポリウレタン発泡体]
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物から形成されるポリウレタン発泡体は、上記した難燃性ウレタン樹脂組成物から形成されてなるものであり、具体的には、難燃性ウレタン樹脂組成物を発泡及び硬化させて得られるものである。
本発明のポリウレタン発泡体は、該発泡体を得る為の難燃性ウレタン樹脂組成物中に赤燐を含まないため、赤色に変色することがなく、意匠性に優れたものとなる。また本発明のポリウレタン発泡体は白色やクリーム色系統のものであり、着色剤の添加により容易に色調を変化させることが可能となる。
【0067】
(用途)
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物、及び該組成物から形成されるポリウレタン発泡体の用途は、特に限定されないが、建築物、家具、自動車、電車、船等の構造物の空洞に充填する用途に用いたり、該構造物に対して吹き付ける用途に用いたりすることができる。中でも、構造物に対して吹き付ける用途、即ち、吹き付け用途に用いられることが好ましい。
吹き付けは、吹き付け装置(例えばGRACO社製:A-25)及びスプレーガン(例えばガスマー社製:Dガン)を利用して実施することができる。吹き付けは、別容器に入ったポリオール組成物とポリイソシアネート組成物を吹き付け装置内で温度調整し、スプレーガンの先端で両者を衝突混合させ、混合液をエア圧によりミスト化することで実施できる。吹き付け装置及びスプレーガンは公知であり、市販品を使用することができる。また原液温度設定・圧力等は一般的なウレタンフォームの吹き付け条件が適応できる。
【実施例0068】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0069】
各実施例及び比較例において使用した各成分の詳細は次の通りである。
(ポリオール化合物)
・芳香族ポリエステルポリオール p-フタル酸系ポリエステルポリオール(川崎化成工業社製、製品名「マキシモールRLK-087」、芳香族濃度8%、水酸基価=200mgKOH/g)
・芳香族ポリエステルポリオール p-フタル酸系ポリエステルポリオール(川崎化成工業社製、製品名「マキシモールRFK-505」、芳香族濃度22%、水酸基価=250mgKOH/g)
(整泡剤)
・シリコーン系整泡剤(ダウ・東レ社製、製品名「SH-193」)
(触媒)
三量化触媒
・アルカリ金属塩:2-エチルヘキサン酸カリウム(エボニック社製、製品名「DABCO K-15」)濃度70~80質量%
・4級アンモニウム塩:2,2-ジメチルプロパン酸テトラメチルアンモニウム塩(エボニック社製、製品名「DABCO TMR7」)濃度約45質量%
(2)ウレタン化触媒
・1,2-ジメチルイミダゾール(アミノ化合物:花王社製、製品名:KL No.390、濃度65~75質量%)
・2-エチルヘキサン酸ビスマス(ウレタン化金属触媒:日東化成社製、製品名:Bi28、濃度81~90質量%)
(液状難燃剤)
・リン酸エステル系難燃剤 トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート(大八化学社製、製品名「TMCPP」、ハロゲン原子の含有量32.5質量%、リン濃度9.5%)
(リン系固体難燃剤)
・赤燐(燐化学工業社製、製品名「ノーバエクセル140」、ハロゲン原子の含有量0質量%、リン濃度100質量%)
・II型ポリリン酸アンモニウム(太平化学産業社製、製品名「タイエンC2」、ハロゲン原子の含有量0質量%、リン濃度31質量%、平均粒径17μm)
・I型ポリリン酸アンモニウム(太平化学産業社製、製品名「タイエンK」、ハロゲン原子の含有量0質量%、リン濃度30質量%、平均粒径23μm)
・リン酸アンモニウム(太平化学産業社製、製品名「リン酸アンモニウムC」、ハロゲン原子の含有量0質量%、リン濃度27質量%)
・ホスフィン酸金属塩(クラリアントジャパン社製、製品名「OP930」、ハロゲン原子の含有量0質量%、リン濃度23質量%)
・イントメッセント系難燃剤(ADEKA社製、製品名「FP-2200」、ピロリン酸ジメラミン成分とピロリン酸ピペラジン成分の混合物、ハロゲン原子の含有量0質量%、リン濃度18.5質量%)
・亜リン酸アルミニウム(太平化学産業社製、製品名「APA-100」、ハロゲン原子の含有量0質量%、リン濃度29質量%)
・ホスファゼン化合物(伏見製薬所社製、製品名「FP-110」、ハロゲン原子の含有量0質量%、リン濃度14%)
・リン酸エステル化合物(大八化学社製、製品名「CR-900」、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、ハロゲン原子の含有量70.6質量%、リン濃度3質量%)
(発泡剤)
・イオン交換水
・HFO-1233zd<ハイドロフルオロオレフィン>(ハネウェル社製、製品名「ソルスティスLBA」)
(ポリイソシアネート化合物)
・MDI(住化コベストロウレタン社製、製品名:44V-20)
【0070】
ポリウレタン発泡体の各物性及び性状の測定方法は、以下のとおりである。
[総発熱量、最高発熱速度]
各実施例及び比較例で作製したポリウレタン発泡体の総発熱量、最高発熱速度は、以下の方法により評価した。
各実施例、比較例で得た石膏ボードを下地としたポリウレタン発泡体を、縦10cm、横10cmおよび厚み3.25cm(内石膏ボード12.5mm)に切断して、コーンカロリーメーター試験用サンプルを準備した。コーンカロリーメーター試験用サンプルを、ISO-5660の試験方法に準拠して、放射熱強度50kW/m2にて10分間加熱したときの総発熱量、最高発熱速度を測定した。
【0071】
また10分間試験の結果が6.0MJ/m2以下のものは同条件にて別途20分間試験も行った。
なお、総発熱量の評価基準は、以下の通りである。
◎:20分間試験において6.0MJ/m2以下
○:10分間試験において8.0MJ/m2以下
△:10分間試験において9.0MJ/m2以下
×:10分間試験において9.0MJ/m2超
【0072】
[色調]
各実施例及び比較例で作製したポリウレタン発泡体の外観を目視にて確認し、色調を評価した。評価基準は以下の通りである。
〇:発泡体が赤色に変色しなかった。
×:発泡体が赤色に変色していた。
【0073】
[実施例1~10、比較例1~3]
表1に示す配合で、ポリオール化合物、整泡剤、触媒、液状難燃剤、リン系固体難燃剤、発泡剤を混合して得たポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物を、合計200gとなるように、液温10℃で8000rpmで3秒間攪拌して得た液状混合物を、180mm×180mmで深さ100mmのサイズのボックス内に散布した。
ただし、コーンカロリーメーター試験用サンプルは、下地として厚み12.5mmの石膏ボードをボックスの底部にセットしその上に散布した。
【0074】
得られたポリウレタン発泡体を用いて、上記した各評価を実施した。各項目の評価結果を表1に示した。
【0075】
【0076】
なお、各触媒の質量部は製品としての質量部である。
【0077】
以上の通り、各実施例で作製した難燃性ウレタン樹脂組成物から得られたポリウレタン発泡体は、良好な難燃性を維持しつつ、赤色に変色することなく、色調にも優れていた。
一方、比較例1で作製した難燃性ウレタン樹脂組成物は、リン系固体難燃剤を含有しなかったため、該組成物から得られたポリウレタン発泡体は、難燃性が損なわれた。また、比較例2及び3で作製した難燃性ウレタン樹脂組成物は、赤燐を含有したため、該組成物から得られたポリウレタン発泡体は、赤色に変色し、意匠性が損なわれた。