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特開2022-138014半導体装置の製造方法、半導体製造システム、及び半導体装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138014
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、半導体製造システム、及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20220914BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20220914BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
H01L23/12 501P
G03F7/20 521
H01L21/66 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037778
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】志摩 真也
【テーマコード(参考)】
2H197
4M106
【Fターム(参考)】
2H197AA05
2H197AA21
2H197CD12
2H197CD13
2H197CE01
2H197CE10
4M106AA01
4M106AD23
4M106BA01
4M106DA15
4M106DD03
4M106DJ38
(57)【要約】
【課題】一つの実施形態は、半導体装置の製造歩留まりを容易に向上できる半導体装置の製造方法、半導体製造システム、及び半導体装置を提供することを目的とする。
【解決手段】一つの実施形態によれば、半導体装置の製造方法が提供される。半導体装置の製造方法は、基板における複数のチップ領域のそれぞれを検査し、検査されたチップ領域を良チップ領域又は不良チップ領域と判定することを含む。基板は、複数のチップ領域が平面方向に並ぶ。複数のチップ領域は、1つのシステムとして構成される。半導体装置の製造方法は、複数のチップ領域のうち良チップ領域の電極に接続され不良チップ領域の電極に接続されないラインを含む再配線層を形成することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのシステムとして構成される複数のチップ領域が平面方向に並ぶ基板における前記複数のチップ領域のそれぞれを検査し、検査されたチップ領域を良チップ領域又は不良チップ領域と判定することと、
前記複数のチップ領域のうち良チップ領域の電極に接続され不良チップ領域の電極に接続されない配線を形成すること、
を備えた半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記配線を形成することは、
前記複数のチップ領域の電極の上に複数のビア開口を形成することと、
前記ビア開口の上方であり、良チップ領域のビア開口を介し電極と接続され、不良チップ領域のビア開口を迂回して延びるラインを形成することと、
を含む
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記配線を形成することは、
前記複数のチップ領域のうち、良チップ領域の電極の上にビア導体を形成し、不良チップ領域の電極の上にビア導体を形成しないことと、
前記ビア導体の上端に対応した高さに配され、前記ビア導体を通って延びるラインを形成することと、
を含む
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記ラインを形成することは、
前記複数のビア開口を覆うレジストを形成することと、
良チップ領域を第1のマスクで露光して前記ビア開口の上方を通る第1の潜像パターンをレジストに形成することと、
不良チップ領域を第2のマスクで露光して前記ビア開口の上方を迂回する第2の潜像パターンを前記レジストに形成することと、
前記第1の潜像パターン及び前記第2の潜像パターンを現像し第1の溝パターン及び第2の溝パターンを前記レジストに形成することと、
前記第1の溝パターン及び前記第2の溝パターンに導電物質を埋め込んで、前記ラインを形成することと、
を含む
請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
良チップ領域の電極の上にビア導体を形成し、不良チップ領域の電極の上にビア導体を形成しないことは、
前記複数のチップ領域の電極を覆う絶縁膜を形成することと、
良チップ領域を第3のマスクで露光して前記電極の表面を選択的に覆う第3の潜像パターンを形成することと、
不良チップ領域を露光しないことと、
良チップ領域の前記第3の潜像パターンを現像しホールパターンを前記絶縁膜に形成することと、
前記ホールパターンに導電物質を埋め込んで、良チップ領域の電極の上にビア導体を形成することと、
を含む
請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
良チップ領域の電極の上にビア導体を形成し、不良チップ領域の電極の上にビア導体を形成しないことは、
前記複数のチップ領域の電極を覆う絶縁膜を形成することと、
各チップ領域を第3のマスクで露光して前記電極の周囲を選択的に覆う第3の潜像パターンを形成することと、
不良チップ領域を第4のマスクで露光して前記第3の潜像パターンを打ち消すことと、
良チップ領域の前記第3の潜像パターンを現像しビアを前記絶縁膜に形成することと、
前記ビアに導電物質を埋め込んで、良チップ領域の電極の上に選択的にビア導体を形成することと、
を含む
請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
1つのシステムとして構成される複数のチップ領域が平面方向に並ぶ基板における前記複数のチップ領域のそれぞれの機能を検査する検査装置と、
前記複数のチップ領域のそれぞれを前記検査装置による検査の結果に応じたマスクで露光する露光装置と、
を備えた半導体製造システム。
【請求項8】
前記検査装置で検査されたチップ領域を良チップ領域又は不良チップ領域と判定するコントローラをさらに備え、
前記露光装置は、前記複数のチップ領域の電極の上に複数のビア導体が形成される場合、前記複数のチップ領域のうち良チップ領域のビア導体を通り不良チップ領域のビア導体を迂回して延びるラインに対応するパターンを含むマスクで露光対象のチップ領域を露光する
請求項7に記載の半導体製造システム。
【請求項9】
前記検査装置で検査されたチップ領域を良チップ領域又は不良チップ領域と判定するコントローラをさらに備え、
前記露光装置は、前記複数のチップ領域のうち良チップ領域の電極の上にビア導体を形成し不良チップ領域の電極の上にビア導体を形成しないレイアウトに対応するパターンを含むマスクで露光対象のチップ領域を露光し、その後、前記複数のチップ領域のうち良チップ領域のビア導体を通って延びるラインに対応するパターンを含むマスクで露光対象のチップ領域を露光する
請求項7に記載の半導体製造システム。
【請求項10】
1つのシステムとして構成される複数のチップ領域が平面方向に並ぶ基板と、
前記複数のチップ領域に跨って配される配線と、
を備え、
前記複数のチップ領域は、第1のチップ領域及び第2のチップ領域を含み、
前記配線は、
前記第1のチップ領域の電極の上に配され、前記第1のチップ領域の電極に電気的に接続された第1のビア導体と、
前記第2のチップ領域の電極の上に配され、前記第2のチップ領域の電極に電気的に接続された第2のビア導体と、
前記第1のビア導体及び前記第2のビア導体の上方に配され、前記第1のビア導体を介して前記第1のチップ領域の電極に接続され、前記第2のビア導体を迂回して延び前記第2のチップ領域の電極から絶縁されたラインと、
を含む
半導体装置。
【請求項11】
1つのシステムとして構成される複数のチップ領域が平面方向に並ぶ基板と、
前記複数のチップ領域に跨って配される配線と、
を備え、
前記複数のチップ領域は、第1のチップ領域及び第2のチップ領域を含み、
前記配線は、
前記第1のチップ領域の電極の上に配され、前記第1のチップ領域の電極に電気的に接続された第1のビア導体と、
前記第2のチップ領域の電極の上に配された絶縁膜と、
前記第1のビア導体及び前記絶縁膜の上方に配され、前記第1のビア導体を介して前記第1のチップ領域の電極に接続され、前記絶縁膜を介して前記第2のチップ領域の電極から絶縁されたラインと、
を含む
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置の製造方法、半導体製造システム、及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造方法では、複数のチップ領域が基板に形成され、半導体装置が製造される。このとき、半導体装置の製造歩留まりを向上することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-41896号公報
【特許文献2】特開2008-306105号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0311684号明細書
【特許文献4】特開2012-142576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、半導体装置の製造歩留まりを容易に向上できる半導体装置の製造方法、半導体製造システム、及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態によれば、半導体装置の製造方法が提供される。半導体装置の製造方法は、基板における複数のチップ領域のそれぞれを検査し、検査されたチップ領域を良チップ領域又は不良チップ領域と判定することを含む。基板は、複数のチップ領域が平面方向に並ぶ。複数のチップ領域は、1つのシステムとして構成される。半導体装置の製造方法は、複数のチップ領域のうち良チップ領域の電極に接続され不良チップ領域の電極に接続されないラインを含む再配線層を形成することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の概略を示す平面図及び断面図。
図2】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法が適用される半導体製造システムの構成を示す図。
図3】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャート。
図4】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
図5】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
図6】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図。
図7】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図。
図8】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図。
図9】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図。
図10】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図。
図11】第1の実施形態の第1の変形例におけるシステムウェハを示す平面図。
図12】第1の実施形態の第2の変形例におけるシステムチップを示す平面図。
図13】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図。
図14】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャート。
図15】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図。
図16】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図。
図17】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図。
図18】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図。
図19】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャート。
図20】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図。
図21】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図。
図22】第3の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図。
図23】他の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
図24】他の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図。
図25】他の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
図26】他の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体装置の製造方法を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法では、複数のチップ領域が基板に形成され、半導体装置が製造される。複数のチップ領域を連結する配線を形成し1つの大きなシステムとして機能する半導体装置が製造されることがある。複数のチップ領域が1つのシステムとして連結される半導体装置を製造する際、1つのチップ領域の不良により、システム全体が不良となると、半導体装置の製造歩留まりが低下しやすい。例えば、複数のチップ領域を連結する電源線のリーク及び/又はショートが発生すると、システム全体が不良となることを回避しにくい。
【0009】
そこで、本実施形態では、複数のチップ領域が平面方向に並ぶ基板をチップ領域ごとに検査して良チップ領域又は不良チップ領域と判定し、良チップ領域の電極に接続され不良チップ領域の電極に接続されない配線を形成することで、半導体装置の製造歩留まりの向上を目指す。
【0010】
具体的には、半導体装置1は、図1に示すように、製造され得る。図1は、半導体装置1の製造方法の概略を示す平面図及び断面図である。以下では、基板2の表面に垂直な方向をZ方向とし、Z方向に垂直な面内で互いに直行する2方向をX方向及びY方向とする。図1(a)、図1(c)は、半導体装置1の製造方法の概略を示すXY平面図である。図1(b)、図1(d)は、半導体装置1の製造方法の概略を示すYZ断面図であり、それぞれ、図1(a)、図1(c)をA-A線、B-B線で切った場合の断面を示す。
【0011】
半導体装置1は、図1(a)に示すように、複数のチップ領域CR1~CR3が連結されて1つのシステムとして機能する。半導体装置1は、例えば、複数のチップ領域が1つのシステムとして搭載されたシステムウェハであってもよいし、複数のチップ領域が1つのシステムとして搭載されたシステムチップであってもよい。各チップ領域CR1~CR3は、互いに同様な機能を有し得る。
【0012】
半導体装置1の製造において、基板2にデバイス構造3が形成され、デバイス構造3の上に電極4が形成された後、図1(a)、図1(b)に示すように、動作テスト等の検査が行われる。そして、チップ領域CRごとに、良チップ領域又は不良チップ領域と判定され、その判定結果を含む検査結果が生成される。図1(a)、図1(b)では、チップ領域CR2が不良チップ領域と判定され、チップ領域CR1,CR3が良チップ領域と判定される場合が例示されている。
【0013】
ビア導体5が形成された後、図1(c)、図1(d)に示すように、検査結果がフィードフォワードされて、その後に形成すべき再配線層RDLの配線方法が変えられる。例えば、複数のチップ領域のうち良チップ領域の電極に接続され不良チップ領域の電極に接続されないラインを含む再配線層RDLが形成される。図1(c)、図1(d)では、良チップ領域CR1,CR3の電極4に接続され不良チップ領域CR2の電極4に接続されないライン7,8が例示されている。ライン7,8は、それぞれ、Z方向から透視した場合に、良チップ領域CR1,CR3の電極4及びビア導体5を通り不良チップ領域CR2の電極4及びビア導体5を迂回するパターンで形成される。ライン7は、例えば電源ラインであり、ライン8は、例えばグランドラインである。
【0014】
より具体的には、半導体装置1は、図2に示す半導体製造システム100を用いて、図3に示すように製造され得る。図2は、半導体製造システム100の構成を示す図である。図3は、半導体装置1の製造方法を示すフローチャートである。
【0015】
半導体製造システム100は、搬送系101、塗布装置102、露光装置103、現像装置104、露光装置105、エッチング装置106、成膜装置107、検査装置108、及びホストコントローラ109を有する。搬送系101、塗布装置102、露光装置103、現像装置104、露光装置105、エッチング装置106、成膜装置107、検査装置108は、搬送系101を介して互いに基板を搬送可能に構成されている。
【0016】
ホストコントローラ109は、通信線(図示せず)を介して搬送系101、搬送系101、塗布装置102、露光装置103、現像装置104、露光装置105、エッチング装置106、成膜装置107、検査装置108に通信可能に接続されている。ホストコントローラ109は、搬送系101、搬送系101、塗布装置102、露光装置103、現像装置104、露光装置105、エッチング装置106、成膜装置107、検査装置108のそれぞれを制御する。
【0017】
なお、露光装置103は、マスクを用いた露光装置であり、露光装置105は、マスクを用いない直描型の露光装置である。露光装置103は、マスクを照明して得られた露光光を基板に照射して原版のパターンを基板に転写する。露光装置105は、パターンデータに応じて基板に露光光を照射し感光材にパターンを描画する。
【0018】
半導体装置1の製造方法では、成膜装置107による基板2への成膜、塗布装置102による感光材の塗布、露光装置103、105により感光材への潜像パターンの形成、現像装置104による潜像パターンの現像、現像された感光材のパターンを介した膜の加工等が繰り返し行われる。
【0019】
これにより、図4(a)に示すように、複数のチップ領域CR1~CR3にデバイス構造3が形成される。図4は、半導体装置1の製造方法を示す断面図である。各チップ領域CR1~CR3のデバイス構造3は、例えばメモリデバイスの構造であり、互いに同様な構造を有し得る。各チップ領域CR1~CR3において、デバイス構造3は導電パターンを含み、その+Z側の面に電極4が形成される。電極4は、デバイス構造3の導電パターンに電気的に接続される。なお、テスト用の電極4’(図示せず)がさらに形成されてもよい。テスト用の電極4’は、デバイス構造3の導電パターンに電気的に接続される。
【0020】
搬送系101は、基板2を検査装置108へ搬送する。検査装置108は、そのステージに基板2が載置され、基板2における各チップ領域CR1~CR3を検査する(S1)。テスト用の電極4’が形成されている場合、検査装置108は、各チップ領域CR1~CR3の電極4’にプローバを接触させ、テスト信号をプローバ及び電極4’経由でデバイス構造3に供給し、デバイス構造3の動作テスト等を行う。テスト用の電極4’が形成されていない場合、電極4がテスト用の電極として兼用されてもよい。すなわち、検査装置108は、各チップ領域CR1~CR3の電極4にプローバを接触させ、テスト信号をプローバ及び電極4経由でデバイス構造3に供給し、デバイス構造3の動作テスト等を行う。
【0021】
ホストコントローラ109は、検査結果を検査装置108から取得する。ホストコントローラ109は、検査結果に応じて、図4(a)に示すように、チップ領域CRごとに、良チップ領域又は不良チップ領域と判定し、その判定結果を含む検査結果情報を生成し保持する。図4(a)では、ホストコントローラ109がチップ領域CR2を不良チップ領域と判定し、チップ領域CR1,CR3を良チップ領域と判定する場合が例示されている。ホストコントローラ109は、記憶部を有し、検査結果情報を基板2の識別子に関連付けて記憶部に格納する。検査結果情報は、チップ領域CRの識別情報と良チップ領域又は不良チップ領域を示す情報とが対応付けられた情報である。検査結果情報は、テーブル形式の情報であってもよい。検査結果情報は、チップ領域CRのウェハ内の位置の情報と良チップ領域又は不良チップ領域を示す情報とが対応付けられたウェハマップのような2次元的な情報であってもよい。
【0022】
検査(S1)が完了すると、層間絶縁膜6iが形成される(S2)。搬送系101は、基板2を検査装置108から塗布装置102へ搬送する。塗布装置102は、そのステージに基板2が載置されると、絶縁材を基板2に塗布する。絶縁材は、層間絶縁膜6iとなるべき溶液であり、ポジ型感光材又はネガ型感光材で形成され得る。ポジ型感光材は、ノボラック系の樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ゴム系樹脂、アクリル系樹脂等を含む。ネガ型感光材は、ノボラック系の樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ゴム系樹脂、アクリル系樹脂等を含む。これにより、図4(b)に示すように、各チップ領域CR1~CR3のデバイス構造3及び電極4を覆う層間絶縁膜6iが形成される。
【0023】
次に、ビア導体5のパターンが形成される(S3)。搬送系101は、基板2を塗布装置102から露光装置103へ搬送する。
【0024】
露光装置103では、搬送された基板2が基板ステージにセットされる。露光装置103は、基板2上方の層間絶縁膜6iをビア開口パターン用のマスクMK0により露光する。これにより、層間絶縁膜6iには、マスクデータに応じた潜像パターンが形成される。搬送系101は、露光後の基板2を現像装置104へ搬送する。
【0025】
現像装置104は、層間絶縁膜6iに形成された潜像パターンを現像し、基板2に図4(c)に示すような開口パターン6i1を層間絶縁膜6に形成する。開口パターン6i1は、各チップ領域CR1~CR3に形成され、各チップ領域CR1~CR3の複数の電極4のうち形成すべきライン7,8に対応する電極4の+Z側の面を露出する。搬送系101は、開口パターン6i1が形成された基板2を現像装置104から成膜装置107へ搬送する。
【0026】
成膜装置107は、CVD法又はメッキ法などにより、開口パターン6i1に導電物質を埋め込む。導電物質は、タングステン、銅などの金属を主成分とする材料であってもよい。これにより、図5(a)に示すように、各チップ領域CR1~CR3において、電極4の+Z側にビア導体5が形成される。
【0027】
次に、配線パターンが形成される(S4)。具体的には、S41~S47の処理が行われる。
【0028】
搬送系101は、基板2を成膜装置107から塗布装置102へ搬送する。塗布装置102は、そのステージに基板2が載置されると、レジスト9iを基板2に塗布する(S41)。レジスト9iは、配線を形成しない領域に形成し配線形成後除去する。レジスト9iは、ポジ型感光材又はネガ型感光材で形成され得る。ポジ型感光材は、ノボラック系の樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ゴム系樹脂、アクリル系樹脂等を含む。ネガ型感光材は、ノボラック系の樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ゴム系樹脂、アクリル系樹脂等を含む。
【0029】
露光装置103では、搬送された基板2が基板ステージにセットされる。露光装置103は、基板2の検査結果情報を取得する。検査結果情報は、ホストコントローラ109から通信回線経由で取得されてもよいし、露光装置103に直接的に入力されることで取得されてもよい。露光装置103は、基板2における複数のチップ領域のうち露光対象のチップ領域を決定すると、検査結果情報を参照して、露光対象のチップ領域が不良チップ領域であるのか否かを判断する(S42)。
【0030】
露光装置103は、露光対象のチップ領域が良チップ領域である場合(S42でNo)、次の動作を行う。露光装置103は、マスクステージにマスクがセットされていない場合、良チップ領域用のマスクMK1をマスクステージにセットする。露光装置103は、マスクステージにマスクMK1がセットされている場合、その状態を維持する。露光装置103は、マスクステージにマスクMK2がセットされている場合、マスクMK2をマスクステージから退避させて、マスクMK1をマスクステージにセットする。露光装置103は、基板2上方のレジスト9iをマスクMK1により露光する(S43)。露光装置103は、マスクステージ上のマスクMK1を照明光学系により照明し、その照明光を投影光学系により基板ステージ上の基板2へ投影し、基板2を露光する。これにより、レジスト9iには、良チップ領域用のマスクデータに応じた潜像パターンが形成される。
【0031】
露光装置103は、露光対象のチップ領域が不良チップ領域である場合(S42でYes)、次の動作を行う。露光装置103は、マスクステージにマスクがセットされていない場合、不良チップ領域用のマスクMK2をマスクステージにセットする。露光装置103は、マスクステージにマスクMK2がセットされている場合、その状態を維持する。露光装置103は、マスクステージにマスクMK1がセットされている場合、マスクMK1をマスクステージから退避させて、マスクMK2をマスクステージにセットする。露光装置103は、基板2上方のレジスト9iをマスクMK2により露光する(S44)。露光装置103は、マスクステージ上のマスクMK2を照明光学系により照明し、その照明光を投影光学系により基板ステージ上の基板2へ投影し、基板2を露光する。これにより、レジスト9iには、不良チップ領域用のマスクデータに応じた潜像パターンが形成される。
【0032】
露光装置103は、S43又はS44の露光処理が完了すると、他に露光すべきチップ領域が存在するか否かを判断する(S45)。露光装置103は、他に露光すべきチップ領域が存在する場合(S45でYes)、処理をS42へ戻す。露光装置103は、再び、露光対象のチップ領域が不良チップ領域であるのか否かを判断する(S42)。すなわち、露光装置103は、チップ領域ごとに、検査結果情報に応じて、良チップ領域用のマスクMK1と不良チップ領域用のマスクMK2とを切り替えながら、露光処理を行う。
【0033】
例えば、露光対象がチップ領域CR1である場合、良チップ領域用のマスクMK1を用いて、図6(a)~図6(c)に示す潜像パターンLI71,LI81がレジスト9iに形成される。図6は、半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図であり、露光対象のチップ領域CR1が良チップ領域である場合を例示している。図6(a)は、XY平面図であり、Z方向から透視した場合に、チップ領域CR1のビア導体5を通る潜像パターンLI71,LI81が例示される。図6(b)は、図6(a)のXY平面図をC-C線で切った場合のYZ断面図であり、複数のビア導体5間の領域に潜像パターンが形成されないことを示す。図6(c)は、図6(a)のXY平面図をD-D線で切った場合のYZ断面図であり、ビア導体5の近傍領域に例えば潜像パターンLI81が形成されることを示す。
【0034】
露光対象がチップ領域CR2である場合、不良チップ領域用のマスクMK2を用いて、図7(a)~図7(c)に示す潜像パターンLI72,LI82がレジスト9iに形成される。図7は、半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図であり、露光対象のチップ領域CR2が不良チップ領域である場合を例示している。図7(a)は、XY平面図であり、Z方向から透視した場合に、チップ領域CR2のビア導体5を迂回する潜像パターンLI72,LI82が例示される。図7(b)は、図7(a)のXY平面図をE-E線で切った場合のYZ断面図であり、複数のビア導体5間の領域に潜像パターンLI82が形成されることを示す。図7(c)は、図7(a)のXY平面図をF-F線で切った場合のYZ断面図であり、ビア導体5の近傍領域を避けて潜像パターンLI82が形成されることを示す。
【0035】
露光対象がチップ領域CR3である場合、図8(a)に示す潜像パターンLI71,LI81が、図8(c)に示すように、レジスト9iに形成される。図8は、半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図であり、露光対象のチップ領域CR3が良チップ領域である場合を例示している。図8(a)は、XY平面図であり、Z方向から透視した場合に、チップ領域CR3のビア導体5を通る潜像パターンLI71,LI81が例示される。図8(b)は、図8(a)のXY平面図をG-G線で切った場合のYZ断面図であり、複数のビア導体5間の領域に潜像パターンが形成されないことを示す。図8(c)は、図8(a)のXY平面図をH-H線で切った場合のYZ断面図であり、ビア導体5の近傍領域に例えば潜像パターンLI81が形成されることを示す。
【0036】
露光装置103が他に露光すべきチップ領域が存在しないと判断すると(S45でNo)、搬送系101は、露光後の基板2を現像装置104へ搬送する。現像装置104は、基板2が搬送されると、基板2を現像する(S46)。現像装置104は、基板2のレジスト9iに形成された潜像パターンを現像する。これにより、レジスト9に溝パターンが形成された基板2が得られる。
【0037】
例えば、基板2に図9に示すような溝パターン9i71,9i72,9i81,9i82をレジスト9に形成する。図9は、半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図であり、チップ領域CR2が不良チップ領域であり、チップ領域CR1,CR2が良チップ領域である場合が例示されている。図9(a)は、XY平面図であり、チップ領域CR2に溝パターン9i72,9i82が形成され、チップ領域CR1,CR2に溝パターン9i71,9i81が形成されることが示されている。溝パターン9i72,9i82は、不良チップ領域用の溝パターンであり、Z方向から透視した場合に、チップ領域CR2のビア導体5を迂回する。溝パターン9i72,9i82は、チップ領域CR2のビア導体5の+Z側の面を露出しない。溝パターン9i71,9i81は、良チップ領域用の溝パターンであり、Z方向から透視した場合に、チップ領域CR1,CR3のビア導体5を通る。溝パターン9i71,9i81は、チップ領域CR1,CR3のビア導体5の+Z側の面を露出する。図9(b)は、図9(a)のXY平面図をI-I線で切った場合のYZ断面図であり、複数のビア導体5間の領域に溝パターンが形成されないことを示す。図9(c)は、図9(a)のXY平面図をJ-J線で切った場合のYZ断面図であり、ビア導体5の近傍領域に例えば溝パターン9i81が形成されることを示す。
【0038】
現像(S46)が完了すると、搬送系101は、溝パターンが形成された基板2を現像装置104から成膜装置107へ搬送する。
【0039】
成膜装置107は、CVD法又はメッキ法などにより、溝パターンに導電物質を埋め込む成膜処理を行う(S47)。導電物質は、タングステン、銅などの金属を主成分とする材料であってもよい。これにより、ビア導体5の上端に対応した高さに配され、複数のチップ領域CRのうち良チップ領域CRのビア導体5を通り不良チップ領域のビア導体5を迂回して延びるラインを形成することができる。すなわち、複数のチップ領域CRのうち良チップ領域CRの電極4に接続され不良チップ領域CRの電極4に接続されない配線を形成することができる。これにより、複数のチップ領域CRを1つのシステムとして含む半導体装置1において、複数のチップ領域CRのうち一部のチップ領域が不良チップ領域である場合に、半導体装置1を良品として救済することができる。
【0040】
例えば、基板2に図10に示すようなライン7,8を形成する。図10は、半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図であり、チップ領域CR2が不良チップ領域でありチップ領域CR1,CR2が良チップ領域である場合のライン7,8が例示されている。図10(a)は、XY平面図であり、Z方向から透視した場合に、チップ領域CR2のビア導体5を迂回しチップ領域CR1,CR3のビア導体5を通るライン7,8が例示される。ライン7,8は、チップ領域CR2のビア導体5の+Z側の面に接触せず、チップ領域CR1,CR3のビア導体5の+Z側の面に接触する。図10(b)は、図10(a)のXY平面図をK-K線で切った場合のYZ断面図であり、チップ領域CR2で複数のビア導体5間の領域にライン8のパターンが形成されることを示す。図10(c)は、図10(a)のXY平面図をL-L線で切った場合のYZ断面図であり、チップ領域CR1,CR3でビア導体5の近傍領域にライン8が形成されることを示す。
【0041】
以上のように、第1の実施形態では、複数のチップ領域CRが平面方向に並ぶ基板2をチップ領域CRごとに検査して良チップ領域又は不良チップ領域と判定し、良チップ領域CRの電極4に接続され不良チップ領域CRの電極4に接続されない配線を形成する。例えば、ビア導体5の上端に対応した高さに配され、良チップ領域のビア導体5を通り不良チップ領域のビア導体5を迂回して延びるライン7,8を形成する。これにより、複数のチップ領域CRを1つのシステムとして含む半導体装置1において、複数のチップ領域CRのうち一部のチップ領域が不良チップ領域である場合に、半導体装置1を良品として救済することができる。この結果、半導体装置1の製造歩留まりを向上できる。
【0042】
なお、第1の実施形態の製造方法で製造される半導体装置1は、図11に示すようなシステムウェハWFであってもよい。図11は、第1の実施形態の第1の変形例におけるシステムウェハを示す平面図である。
【0043】
システムウェハWFには、複数のチップ領域CR1~CRn(nは、任意の5以上の整数)がXY平面方向に並ぶ。図11では、複数のチップ領域CR1~CRnが行列状に2次元的に配列される構成が例示されている。各チップ領域CRは、NAND型フラッシュメモリ等の不揮発性メモリのチップ領域であってもよい。この場合、システムウェハWFは、ウェハ全体でSSD(Solid State Drive)として又はそのメモリ部分として機能するウェハレベルSSDであってもよい。
【0044】
図11では、複数のチップ領域CR1~CRnのうち、チップ領域CRk(kはnより小さい任意の3以上の整数)が不良チップ領域と判定され、チップ領域CR1~CR(k-1),CR(k+1)~CRnが良チップ領域と判定された場合が例示されている。複数のチップ領域CR1~CRnは、共通のライン7で連結される。ライン7は、電源ラインであり、良チップ領域CR1~CR(k-1),CR(k+1)~CRnの電源用の電極4を通り不良チップ領域CRkの電源用の電極4を迂回するように延びる。また、複数のチップ領域CR1~CRnは、共通のライン8で連結される。ライン8は、グランドラインであり、良チップ領域CR1~CR(k-1),CR(k+1)~CRnの電源用の電極4を通り不良チップ領域CRkの電源用の電極4を迂回するように延びる。これにより、複数のチップ領域CR1~CRnを1つのシステムとして含む半導体装置1において、複数のチップ領域CR1~CRnのうち一部のチップ領域CRkが不良チップ領域である場合に、半導体装置1を良品として救済することができる。
【0045】
あるいは、第1の実施形態の製造方法で製造される半導体装置1は、図12に示すようなシステムチップCHであってもよい。図12は、第1の実施形態の第2の変形例におけるシステムチップCHを示す平面図である。
【0046】
システムチップCHには、複数のチップ領域CR1~CRn(nは、任意の5以上の整数)がXY平面方向に並ぶ。図12では、複数のチップ領域CR1~CRnがY方向に配列される構成が例示されている。各チップ領域CRは、NAND型フラッシュメモリ等の不揮発性メモリのチップ領域であってもよい。この場合、システムチップCHは、チップ全体でSSD(Solid State Drive)として又はそのメモリ部分として機能するSSDオンチップであってもよい。
【0047】
図12では、複数のチップ領域CR1~CRnのうち、チップ領域CRk(kはnより小さい任意の3以上の整数)が不良チップ領域と判定され、チップ領域CR1~CR(k-1),CR(k+1)~CRnが良チップ領域と判定された場合が例示されている。複数のチップ領域CR1~CRnは、共通のライン7で連結される。ライン7は、電源ラインであり、良チップ領域CR1~CR(k-1),CR(k+1)~CRnの電源用の電極4を通り不良チップ領域CRkの電源用の電極4を迂回するように延びる。また、複数のチップ領域CR1~CRnは、共通のライン8で連結される。ライン8は、グランドラインであり、良チップ領域CR1~CR(k-1),CR(k+1)~CRnの電源用の電極4を通り不良チップ領域CRkの電源用の電極4を迂回するように延びる。これにより、複数のチップ領域CR1~CRnを1つのシステムとして含む半導体装置1において、複数のチップ領域CR1~CRnのうち一部のチップ領域CRkが不良チップ領域である場合に、半導体装置1を良品として救済することができる。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態にかかる半導体装置の製造方法について説明する。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0049】
第1の実施形態では、不良チップの電極を迂回するラインを形成することで不良チップ領域の電極に接続されない配線を形成する方法を例示するが、第2の実施形態では、不良チップの電極の上にビア導体を形成しないことで不良チップ領域の電極に接続されない配線を形成する方法を例示する。
【0050】
具体的には、半導体装置1は、図13に示すように、製造され得る。図13は、第2の実施形態にかかる半導体装置1の製造方法の概略を示す平面図及び断面図である。図13(a)、図13(c)は、半導体装置1の製造方法の概略を示すXY平面図である。図31(b)、図13(d)は、半導体装置1の製造方法の概略を示すYZ断面図であり、それぞれ、図1(a)、図1(c)をM-M線、N-N線で切った場合の断面を示す。
【0051】
半導体装置1の製造において、基板2にデバイス構造3が形成され、デバイス構造3の上に電極4が形成された後、図13(a)、図13(b)に示すように、動作テスト等の検査が行われる点は、第1の実施形態と同様である。図13(a)、図13(b)では、チップ領域CR2が不良チップ領域と判定され、チップ領域CR1,CR3が良チップ領域と判定される場合が例示されている。
【0052】
図13(c)、図13(d)に示すように、検査結果がフィードフォワードされて、その後に形成すべきビア導体5のレイアウトが変えられる。例えば、複数のチップ領域のうち良チップ領域の電極の上にビア導体5を形成し不良チップ領域の電極の上にビア導体5を形成しない。図13(c)、図13(d)では、良チップ領域CR1,CR3の電極4の上にビア導体5が形成され不良チップ領域CR2の電極4の上にビア導体5が形成されないレイアウトが例示されている。これにより、その後に、Z方向から透視した場合に各チップ領域CR1,CR2,CR3の電極4を通るライン7,8が形成されることで、良チップ領域CR1,CR3の電極4にライン7,8が接続され不良チップ領域CR2の電極4にライン7,8が接続されない配線が構成される。ライン7は、例えば電源ラインであり、ライン8は、例えばグランドラインである。
【0053】
より具体的には、半導体装置1は、図2に示す半導体製造システム100を用いて、図14に示すように製造され得る。図14は、半導体装置1の製造方法を示すフローチャートである。
【0054】
検査(S1)が第1の実施形態と同様に行われ、完了すると、ポジ型感光材で層間絶縁膜16iが形成される(S12)。搬送系101は、基板2を検査装置108から塗布装置102へ搬送する。塗布装置102は、そのステージに基板2が載置されると、絶縁材を基板2に塗布する。絶縁材は、層間絶縁膜6iとなるべき溶液であり、ポジ型感光材で形成され得る。ポジ型感光材は、ノボラック系の樹脂、ポリイミド(PI)樹脂等を含む。
【0055】
これにより、図15(a)~図15(b)に示すように、各チップ領域CR1~CR3のデバイス構造3及び電極4を覆う層間絶縁膜16iが形成される。図15は、半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図である。図15(a)は、XY平面図であり、各チップ領域CRでデバイス構造3及び電極4を覆う層間絶縁膜16iが形成されることを示す。図15(b)は、図15(a)のXY平面図をO-O線で切った場合のYZ断面図であり、各チップ領域CRでデバイス構造3及び電極4を覆う層間絶縁膜16iが形成されることを示す。
【0056】
層間絶縁膜16iが形成されると、搬送系101は、基板2を塗布装置102から露光装置103へ搬送する。
【0057】
次に、ビア導体5のパターンが形成される(S13)。具体的には、S131~S135の処理が行われる。
【0058】
ホストコントローラ109は、処理対象のレイヤー(すなわち、層間絶縁膜16i)に対するレイアウトデータとして良チップ領域用のレイアウトデータを取得する。良チップ領域用のレイアウトデータは、良チップ領域の電極4に対応した位置にビア導体5のパターンを含み、不良チップ領域の電極4に対応した位置にビア導体5のパターンを含まない。
【0059】
露光装置103では、搬送された基板2が基板ステージにセットされる。露光装置103は、基板2の検査結果情報を取得する。検査結果情報は、ホストコントローラ109から通信回線経由で取得されてもよいし、露光装置103に直接的に入力されることで取得されてもよい。露光装置103は、基板2における複数のチップ領域のうち露光対象のチップ領域を決定すると、検査結果情報を参照して、露光対象のチップ領域が不良チップ領域であるのか否かを判断する(S131)。
【0060】
露光装置103は、露光対象のチップ領域が良チップ領域である場合(S131でNo)、次の動作を行う。露光装置103は、マスクステージにマスクがセットされていない場合、良チップ領域用のマスクMK3をマスクステージにセットする。露光装置103は、マスクステージにマスクMK3がセットされている場合、その状態を維持する。露光装置103は、基板2上方の層間絶縁膜16iをマスクMK3により露光する(S132)。露光装置103は、マスクステージ上のマスクMK3を照明光学系により照明し、その照明光を投影光学系により基板ステージ上の基板2へ投影し、基板2を露光する。これにより、層間絶縁膜16iには、良チップ領域用のマスクデータに応じた潜像パターンが形成される。
【0061】
露光装置103は、露光対象のチップ領域が不良チップ領域である場合(S131でYes)、チップ領域の露光を行わない。
【0062】
例えば、露光対象がチップ領域CR1である場合、良チップ領域用のマスクMK3を用いて、図16(a)、図16(b)に示す潜像パターンLI171,LI181が層間絶縁膜16iにおけるチップ領域CR1の部分に形成される。図16は、半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図であり、露光対象のチップ領域CR1が良チップ領域である場合を例示している。図16(a)は、XY平面図であり、Z方向から透視した場合に、チップ領域CR1の電極4に重なる潜像パターンLI171,LI181が例示される。図16(b)は、図16(a)のXY平面図をP-P線で切った場合のYZ断面図であり、チップ領域CR1の電極4の上に潜像パターンLI181が形成されることを示す。
【0063】
露光対象がチップ領域CR2である場合、露光処理がスキップされ、潜像パターンが形成されない。
【0064】
露光対象がチップ領域CR3である場合、図16(a)に示す潜像パターンLI171,LI181が、層間絶縁膜16iに形成される。図16(a)は、Z方向から透視した場合に、チップ領域CR3の電極4に重なる潜像パターンLI171,LI181を例示する。図16(b)は、チップ領域CR3の電極4の上に潜像パターンLI181が形成されることを示す。
【0065】
露光装置103は、他に露光すべきチップ領域が存在すると判断すると(S133でYes)、処理をS131へ戻す。露光装置103が他に露光すべきチップ領域が存在しないと判断すると(S133でNo)、搬送系101は、露光後の基板2を現像装置104へ搬送する。現像装置104は、基板2が搬送されると、基板2を現像する(S134)。現像装置104は、基板2の層間絶縁膜16iに形成された潜像パターンを現像する。これにより、層間絶縁膜16における良チップ領域の部分にホールパターン161が選択的に形成された基板2が得られる。
【0066】
例えば、図17に示すようなホールパターン161を層間絶縁膜16に形成する。図17は、半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図であり、チップ領域CR2が不良チップ領域であり、チップ領域CR1,CR2が良チップ領域である場合が例示されている。図17(a)は、XY平面図であり、チップ領域CR2の電極4に重なるホールパターンが形成されず、チップ領域CR1,CR2の電極4に重なるホールパターン161が形成されることが示されている。図17(b)は、図17(a)のXY平面図をQ-Q線で切った場合のYZ断面図であり、チップ領域CR2の電極4の上にホールパターンが形成されず、チップ領域CR1,CR3の電極4の上にホールパターン161が形成されることを示す。
【0067】
現像(S134)が完了すると、搬送系101は、ホールパターンが形成された基板2を現像装置104から成膜装置107へ搬送する。
【0068】
成膜装置107は、CVD法又はメッキ法などにより、ホールパターンに導電物質を埋め込む成膜処理を行う(S135)。導電物質は、タングステン、銅などの金属を主成分とする材料であってもよい。これにより、電極4の上端に対応した高さに配され、複数のチップ領域CRのうち良チップ領域CRの電極4に重なるビア導体5を形成し、不良チップ領域の電極4に重なるビア導体5を形成しないようにすることができる。
【0069】
例えば、基板2に図18に示すようなビア導体5を形成する。図18は、半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図であり、チップ領域CR2が不良チップ領域でありチップ領域CR1,CR2が良チップ領域である場合のビア導体5が例示されている。図18(a)は、XY平面図であり、チップ領域CR2の電極4に重なるビア導体が形成されず、チップ領域CR1,CR2の電極4に重なるビア導体5が形成されることが示されている。図18(b)は、図18(a)のXY平面図をR-R線で切った場合のYZ断面図であり、チップ領域CR2の電極4の上にビア導体が形成されず、チップ領域CR1,CR3の電極4の上にビア導体5が形成されることを示す。
【0070】
次に、配線パターンが形成される(S14)。搬送系101は、基板2を成膜装置107から塗布装置102へ搬送する。塗布装置102は、そのステージに基板2が載置されると、ポジ型感光材又はネガ型感光材等を含む絶縁材を基板2に塗布する。塗布が完了すると、搬送系101は、基板2を塗布装置102から露光装置103へ搬送する。露光装置103では、搬送された基板2が基板ステージにセットされ、基板2上方のレジスト9iをマスクMK1により露光する。これにより、レジスト9iには、マスクデータに応じた潜像パターンが形成される。露光処理が完了すると、搬送系101は、露光後の基板2を現像装置104へ搬送する。現像装置104は、基板2が搬送されると、基板2を現像する。現像装置104は、基板2のレジスト9iに形成された潜像パターンを現像する。これにより、レジスト9に溝パターンが形成された基板2が得られる。現像が完了すると、搬送系101は、溝パターンが形成された基板2を現像装置104から成膜装置107へ搬送する。成膜装置107は、CVD法又はメッキ法などにより、溝パターンに導電物質を埋め込む成膜処理を行う。
【0071】
これにより、図13(c)、図13(d)に示すように、ビア導体5の上端に対応した高さに配され、各チップ領域CRの電極4の上方を通るライン7,8を形成することができる。このライン7,8は、良チップ領域においてビア導体5経由で電極4に接続され、不良チップ領域において層間絶縁膜6を介して電極4から絶縁される。すなわち、複数のチップ領域CRのうち良チップ領域CRの電極4に接続され不良チップ領域CRの電極4に接続されない配線を形成することができる。これにより、複数のチップ領域CRを1つのシステムとして含む半導体装置1において、複数のチップ領域CRのうち一部のチップ領域CRが不良チップ領域である場合に、半導体装置1を良品として救済することができる。
【0072】
以上のように、第2の実施形態では、良チップ領域の電極4の上にビア導体5を形成し、不良チップ領域の電極4の上にビア導体5を形成しない。そして、ビア導体5の上端に対応した高さに配され、良チップ領域のビア導体5を通って延びるライン7,8を形成する。これによっても、良チップ領域CRの電極4に接続され不良チップ領域CRの電極4に接続されない配線を形成することができる。
【0073】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態にかかる半導体装置の製造方法について説明する。以下では、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0074】
第2の実施形態では、層間絶縁膜がポジ型感光材である場合において不良チップの電極の上にビア導体を形成しない方法を例示するが、第3の実施形態では、層間絶縁膜がネガ型感光材である場合において不良チップの電極の上にビア導体を形成しない方法を例示する。
【0075】
具体的には、半導体装置1は、図2に示す半導体製造システム100を用いて、図19に示すように製造され得る。図19は、半導体装置1の製造方法を示すフローチャートである。
【0076】
検査(S1)が第1の実施形態と同様に行われ、完了すると、ネガ型感光材で層間絶縁膜16iが形成される(S22)。搬送系101は、基板2を検査装置108から塗布装置102へ搬送する。塗布装置102は、そのステージに基板2が載置されると、絶縁材を基板2に塗布する。絶縁材は、層間絶縁膜16iとなるべき溶液であり、ネガ型感光材で形成され得る。ネガ型感光材は、ゴム系、アクリル系の樹脂等を含む。これにより、各チップ領域CR1~CR3のデバイス構造3及び電極4を覆う層間絶縁膜16iが形成される。
【0077】
層間絶縁膜16iが形成されると、搬送系101は、基板2を塗布装置102から露光装置103へ搬送する。
【0078】
次に、ビア導体5のパターンが形成される(S23)。具体的には、S231~S236の処理が行われる。
【0079】
ホストコントローラ109は、処理対象のレイヤー(すなわち、層間絶縁膜16i)に対するレイアウトデータとして良チップ領域用のレイアウトデータを取得する。良チップ領域用のレイアウトデータは、良チップ領域の電極4に対応した位置にビア導体5のパターンを含み、不良チップ領域の電極4に対応した位置にビア導体5のパターンを含まない。
【0080】
露光装置103では、搬送された基板2が基板ステージにセットされる。露光装置103は、マスクステージにマスクがセットされていない場合、良チップ領域用のマスクMK3をマスクステージにセットする。露光装置103は、マスクステージにマスクMK3がセットされている場合、その状態を維持する。露光装置103は、基板2上方の層間絶縁膜16iをマスクMK3により露光する(S231)。露光装置103は、マスクステージ上のマスクMK3を照明光学系により照明し、その照明光を投影光学系により基板ステージ上の基板2へ投影し、基板2を露光する。これにより、層間絶縁膜16iには、良チップ領域用のマスクデータに応じた潜像パターンが形成される。
【0081】
露光装置103は、基板2の検査結果情報を取得する。検査結果情報は、ホストコントローラ109から通信回線経由で取得されてもよいし、露光装置103に直接的に入力されることで取得されてもよい。露光装置103は、基板2における複数のチップ領域のうち露光対象のチップ領域を決定すると、検査結果情報を参照して、露光対象のチップ領域が不良チップ領域であるのか否かを判断する(S232)。
【0082】
露光装置103は、露光対象のチップ領域が不良チップ領域である場合(S232でYes)、チップ領域の追加露光を行う(S233)。露光装置103は、マスクステージにマスクブランクにセットする。露光装置103は、基板2上方の層間絶縁膜16iをマスクブランクにより露光する。露光装置103は、マスクステージ上のマスクMK3を照明光学系により照明し、その照明光を投影光学系により基板ステージ上の基板2へ投影し、基板2を露光する。これにより、層間絶縁膜16iには、不良チップ領域が全面露光され潜像パターンが打ち消される。
【0083】
露光装置103は、露光対象のチップ領域が良チップ領域である場合(S232でNo)、チップ領域の追加露光を行わない。
【0084】
例えば、露光対象がチップ領域CR1である場合、良チップ領域用のマスクMK3を用いて、図20(a)、図20(b)に示す潜像パターンLI171,LI181が層間絶縁膜16iにおけるチップ領域CR1の部分に形成される。図20は、半導体装置の製造方法を示す平面図及び断面図であり、露光対象のチップ領域CR1が良チップ領域である場合を例示している。図20(a)は、XY平面図であり、Z方向から透視した場合に、チップ領域CR1の電極4に重なる潜像パターンLI171,LI181が例示される。図20(b)は、図20(a)のXY平面図をS-S線で切った場合のYZ断面図であり、チップ領域CR1の電極4の上に潜像パターンLI181が形成されることを示す。
【0085】
そして、図21(a)、図21(b)に示すように、追加露光が行われない。図21(a)は、XY平面図であり、チップ領域CR1において潜像パターンLI171,LI181が維持されることを示す。図21(b)は、図21(a)のXY平面図をT-T線で切った場合のYZ断面図であり、チップ領域CR1の電極4の上の潜像パターンLI181が維持されることを示す。
【0086】
露光対象がチップ領域CR2である場合、良チップ領域用のマスクMK3を用いて、図20(a)、図20(b)に示す潜像パターンLI171,LI181が層間絶縁膜16iにおけるチップ領域CR2の部分に形成される。図20(a)は、Z方向から透視した場合に、チップ領域CR2の電極4に重なる潜像パターンLI171,LI181が例示される。図20(b)は、チップ領域CR2の電極4の上に潜像パターンLI181が形成されることを示す。
【0087】
そして、図21(a)、図21(b)に示すように、追加露光が行われる。図21(a)は、チップ領域CR2に追加露光として全面露光が行われ、潜像パターンLI171,LI181が消去されることを示す。図21(b)は、チップ領域CR2の電極4の上の潜像パターンLI181が消去されることを示す。
【0088】
露光対象がチップ領域CR3である場合、良チップ領域用のマスクMK3を用いて、図20(a)、図20(b)に示す潜像パターンLI171,LI181が層間絶縁膜16iにおけるチップ領域CR1の部分に形成される。図20(a)は、Z方向から透視した場合に、チップ領域CR1の電極4に重なる潜像パターンLI171,LI181が例示される。図20(b)は、チップ領域CR3の電極4の上に潜像パターンLI181が形成されることを示す。
【0089】
そして、図21(a)、図21(b)に示すように、追加露光が行われない。図21(a)は、チップ領域CR3において潜像パターンLI171,LI181が維持されることを示す。図21(b)は、チップ領域CR3の電極4の上の潜像パターンLI181が維持されることを示す。
【0090】
露光装置103は、他に露光すべきチップ領域が存在すると判断すると(S234でYes)、処理をS231へ戻す。露光装置103が他に露光すべきチップ領域が存在しないと判断すると(S234でNo)、搬送系101は、露光後の基板2を現像装置104へ搬送する。現像装置104は、基板2が搬送されると、基板2を現像する(S235)。現像装置104は、基板2の層間絶縁膜16iに形成された潜像パターンを現像する。これにより、層間絶縁膜16における良チップ領域の部分にホールパターン161が選択的に形成された基板2が得られる。
【0091】
現像(S235)が完了すると、搬送系101は、ホールパターンが形成された基板2を現像装置104から成膜装置107へ搬送する。
【0092】
成膜装置107は、CVD法又はメッキ法などにより、ホールパターンに導電物質を埋め込む成膜処理を行う(S236)。導電物質は、タングステン、銅などの金属を主成分とする材料であってもよい。これにより、電極4の上端に対応した高さに配され、複数のチップ領域CRのうち良チップ領域CRの電極4に重なるビア導体5を形成し、不良チップ領域の電極4に重なるビア導体5を形成しないようにすることができる。
【0093】
次に、配線パターンが形成される(S24)。搬送系101は、基板2を成膜装置107から塗布装置102へ搬送する。塗布装置102は、そのステージに基板2が載置されると、ポジ型感光材又はネガ型感光材等を含む絶縁材を基板2に塗布する。塗布が完了すると、搬送系101は、基板2を塗布装置102から露光装置103へ搬送する。露光装置103では、搬送された基板2が基板ステージにセットされ、基板2上方のレジスト9iをマスクMK1により露光する。これにより、レジスト9iには、マスクデータに応じた潜像パターンが形成される。露光処理が完了すると、搬送系101は、露光後の基板2を現像装置104へ搬送する。現像装置104は、基板2が搬送されると、基板2を現像する。現像装置104は、基板2のレジスト9iに形成された潜像パターンを現像する。これにより、レジスト9に溝パターンが形成された基板2が得られる。現像が完了すると、搬送系101は、溝パターンが形成された基板2を現像装置104から成膜装置107へ搬送する。成膜装置107は、CVD法又はメッキ法などにより、溝パターンに導電物質を埋め込む成膜処理を行う。
【0094】
これにより、図13(c)、図13(d)に示すように、ビア導体5の上端に対応した高さに配され、各チップ領域CRの電極4の上方を通るライン7,8を形成することができる。このライン7,8は、良チップ領域においてビア導体5経由で電極4に接続され、不良チップ領域において層間絶縁膜6を介して電極4から絶縁される。すなわち、複数のチップ領域CRのうち良チップ領域CRの電極4に接続され不良チップ領域CRの電極4に接続されない配線を形成することができる。これにより、複数のチップ領域CRを1つのシステムとして含む半導体装置1において、複数のチップ領域CRのうち一部のチップ領域CRが不良チップ領域である場合に、半導体装置1を良品として救済することができる。
【0095】
以上のように、第3の実施形態では、層間絶縁膜をネガ型感光材で形成し、各チップ領域を良チップ領域のマスクで露光してビアパターンの潜像パターンを形成した後、不良チップ領域を選択的に追加露光して潜像パターンを消去する。これによっても、良チップ領域の電極4の上にビア導体5を形成し、不良チップ領域の電極4の上にビア導体5を形成しないようにすることができる。
【0096】
なお、図19に示す追加露光(S233)は、局所露光で行われてもよい。局所露光では、消去すべき潜像パターンを局所的に露光する。例えば、露光装置103に代えて露光装置(電子線描画装置)105を用いることで局所露光を容易に行うことができる。
【0097】
例えば、露光対象がチップ領域CR2である場合、良チップ領域用のマスクMK3を用いて、図20(a)、図20(b)に示す潜像パターンLI171,LI181が層間絶縁膜16iにおけるチップ領域CR2の部分に形成される。図20(a)は、Z方向から透視した場合に、チップ領域CR2の電極4に重なる潜像パターンLI171,LI181が例示される。図20(b)は、チップ領域CR2の電極4の上に潜像パターンLI181が形成されることを示す。
【0098】
そして、図22(a)、図22(b)に示すように、追加露光が局所露光で行われる。図22(a)は、チップ領域CR2に追加露光として潜像パターンLI171,LI181に対応した領域に対して局所露光が行われ、潜像パターンLI171,LI181が消去されることを示す。図22(b)は、チップ領域CR2の電極4の上の潜像パターンLI181が消去されることを示す。
【0099】
これによっても、良チップ領域の電極4の上にビア導体5を形成し、不良チップ領域の電極4の上にビア導体5を形成しないようにすることができる。
【0100】
(他の実施形態)
(a)上記実施形態では層間絶縁膜6i、レジスト9iの露光において、あらかじめ形成された良チップ領域用のマスクと、不良チップ領域用に形成されたマスクを用いた。しかし、これらのマスクに変えてマスクなしでも露光可能な露光装置105を用いて、層間絶縁膜6i、レジスト9iを露光することができる。
【0101】
例えば、第1実施形態のレジスト9iを露光する場合について説明する。
【0102】
ホストコントローラ109は、検査結果に応じて、チップ領域CR1~CR3のうち、不良チップ領域CR2においては、ビア開口の上方を迂回するようなパターンデータを使用し、良チップ領域CR1,CR3においてはビア開口の上方を通過するようなパターンデータを使用するように露光装置105を制御する。
【0103】
第2実施形態の層間絶縁膜6iを露光する場合は、ホストコントローラ109は、検査結果に応じて、チップ領域CR1~CR3のうち、不良チップ領域CR2においては、ビアを開口しないパターンデータを使用し、良チップ領域CR1,CR3においてはビアを開口するようなパターンデータを使用するように露光装置105を制御する。
このようにしても上記実施形態と同様に、良チップ領域のパッドは通過するが、不良チップ領域のパッドは迂回するライン7とライン8とを形成することができる。
【0104】
(b)第1の実施形態ではライン7と8との間にレジスト9が残置しているが、これに変えて、図23に示すように、レジスト9を剥離したあと、層間絶縁膜10を形成してもよい。このとき図24に示すように層間絶縁膜10には適宜開口部10Aが設けられ、外部装置と電気的接触が可能なようになっていてもよい。なお、電源ライン7及び接地ライン8以外のラインAにおいては、不良チップを回避しなくてもよい。ラインAは信号を送るラインであるとする。このとき電源ライン7と接地ライン8とが不良チップを迂回しているので、不良チップが動作することはない。ゆえに、ラインAが不良チップのパッドに接触して経由したとしてもラインAにより伝送される信号が不良チップの影響を受けることは少ないからである。しかし、もちろん、信号用のラインAも不良チップのパッドを迂回してもよい。
【0105】
(c)上記実施形態における、ほかの電極形成方法について説明する。
【0106】
図25(a)に示すように、例えば第1の実施形態において層間絶縁膜6iに開口を形成した後、成膜装置107にて層間絶縁膜6iと開口とに金属膜5Aを形成する。金属膜5AはたとえばTi/Cuの積層膜である。金属膜5Aは開口をすべて埋めない程度の厚みである。次に、図25(b)に示すようにレジスト9iを塗布する。次に図25(c)に示すように、第1の実施形態と同様に良チップ領域、不良チップ領域にわけて露光・現像して溝パターンを形成する。次に図25(d)に示すように例えばCuメッキにより、溝部にメッキ配線を形成する。このとき、開口もメッキで埋まり、ビア導体5が形成される。次に図25(e)に示すように、レジスト9iを剥離したのち、エッチングしてメッキ配線が形成されていない部分の金属膜5Aを剥離する。エッチングはウェットでもドライでもよい。このようにしても、第1の実施形態と同様に、良チップ領域のパッドは通過するが、不良チップ領域のパッドは迂回するライン7とライン8とを形成することができる。
【0107】
(d)上記実施形態における、ほかの電極形成方法について説明する。
【0108】
上記実施形態において、図26(a)のように、金属膜5Aを厚膜で形成する。このとき絶縁膜6iの開口も金属膜5Aで全部埋まり、ビア導体5となる。次に、図26(b)のように第1の実施形態と同様に良チップ領域、不良チップ領域にわけて露光・現像して、良チップ領域のパッドは通過するが、不良チップ領域のパッドは迂回するようなレジストパターン9を形成する。次に図26(c)のように金属5Aをエッチングしてレジスト9を剥離する。このようにしても、第1の実施形態と同様に、良チップ領域のパッドは通過するが、不良チップ領域のパッドは迂回するライン7とライン8を形成することができる。
【0109】
(e)上記実施形態では、良チップ領域用のマスクと不良チップ領域用のマスクとはあらかじめシステム100の外で形成されていた。しかし、良チップ領域用のマスクと不良チップ領域用のマスクとをシステム100においてインラインで形成し、そのマスクを用いて第1~第3の実施形態の露光を行ってもよい。
【0110】
例えば第1の実施形態の場合を例にとって説明すると以下のようになる。
【0111】
ステップS4において、ホストコントローラ109は、処理対象のレイヤー(すなわち、レジスト9i)に対するレイアウトデータとして良チップ領域用のレイアウトデータと不良チップ領域用のレイアウトデータとを取得する。良チップ領域用のレイアウトデータは、良チップ領域のビア導体5を通るラインのパターンを含む。不良チップ領域用のレイアウトデータは、不良チップ領域のビア導体5を迂回するラインのパターンを含む。
【0112】
ホストコントローラ109は、良チップ領域用のレイアウトデータに応じて第1のマスクデータを生成する。ホストコントローラ109は、第1のマスクデータを露光装置105へ供給する。
【0113】
露光装置105は、第1のマスクデータを受けると、第1のマスクデータに応じてマスクMK1を作成する。露光装置105は、マスクブランクに第1のマスクデータに応じたパターンを描画して、マスクMK1を作成する。作成されたマスクMK1は、良チップ領域用のマスクとして、露光装置103のマスクステージにセット可能な状態にされ得る。
【0114】
ホストコントローラ109は、不良チップ領域用のレイアウトデータに応じて第2のマスクデータを生成する。ホストコントローラ109は、第2のマスクデータを露光装置105へ供給する。
【0115】
露光装置105は、第2のマスクデータを受けると、第2のマスクデータに応じてマスクMK2を作成する。露光装置105は、マスクブランクに第2のマスクデータに応じたパターンを描画して、マスクMK2を作成する。作成されたマスクMK2は、不良チップ領域用のマスクとして、露光装置103のマスクステージにセット可能な状態にされ得る。
【0116】
このようにして形成されたマスクMK1、MK2を用いて第1の実施形態の配線パターン加工を行ってもよい。
【0117】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0118】
1 半導体装置、2 基板、4 電極、5 ビア導体、7,8 ライン、100 半導体製造システム、103,105 露光装置、108 検査装置、109 ホストコントローラ、CR,CR1~CRn チップ領域。
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