IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メモリ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-半導体製造装置及び半導体製造方法 図1
  • 特開-半導体製造装置及び半導体製造方法 図2
  • 特開-半導体製造装置及び半導体製造方法 図3
  • 特開-半導体製造装置及び半導体製造方法 図4
  • 特開-半導体製造装置及び半導体製造方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138017
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】半導体製造装置及び半導体製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20220914BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20220914BHJP
   B05D 1/40 20060101ALI20220914BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20220914BHJP
   B05D 3/14 20060101ALI20220914BHJP
   B05C 11/08 20060101ALI20220914BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
H01L21/30 564C
B05D1/26 Z
B05D1/40 A
B05D7/00 P
B05D3/14
B05C11/08
B05C5/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037784
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水谷 卓也
(72)【発明者】
【氏名】小峰 信洋
【テーマコード(参考)】
4D075
4F041
4F042
5F146
【Fターム(参考)】
4D075AC06
4D075AC09
4D075AC64
4D075AC88
4D075AC91
4D075BB81Z
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA06
4D075DA08
4D075DA34
4D075DB14
4D075DC21
4D075DC22
4D075EA05
4D075EA45
4F041AA06
4F041AB01
4F041BA56
4F042AA07
4F042AB00
4F042BA05
4F042CA01
4F042DC03
4F042DD45
4F042DF09
4F042DF32
4F042EB09
4F042EB13
4F042EB17
4F042EB19
4F042EB27
5F146JA01
5F146JA02
5F146JA04
(57)【要約】
【課題】プロセスの安定化を図ることができる半導体製造装置及び半導体製造方法を提供することである。
【解決手段】実施形態の半導体製造装置は、回転部と、ノズルと、第1電極と、第2電極とを持つ。回転部は、外周部を有する基板を保持して、基板を回転させる。ノズルは、基板の外周部にレジスト液を供給する。第1電極は、ノズルから吐出されるレジスト液に電荷を付加する第2電極は、第1電極とは異なる位置に配置され、レジスト液の少なくとも一部が基板の外周側に向かうようにレジスト液にクーロン力を作用させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部を有する基板を保持し、前記基板を回転させる回転部と、
前記基板の前記外周部にレジスト液を供給するノズルと、
前記ノズルから吐出される前記レジスト液に電荷を付加する第1電極と、
前記第1電極とは異なる位置に配置され、前記レジスト液の少なくとも一部が前記基板の外周側に向かうように前記レジスト液にクーロン力を作用させる第2電極と、
を有する半導体製造装置。
【請求項2】
前記第2電極は、前記基板の前記外周側に位置する、
請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記第2電極は、前記基板の外周を囲む円環形状を有する、
請求項2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記基板の厚さ方向における前記第2電極の位置を調整する電極移動部を備える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記基板の厚さ方向において、前記第2電極は、前記基板の前記厚さ方向の中心よりも前記レジスト液が供給される前記基板の表面の近くに配置される、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半導体製造装置。
【請求項6】
前記第2電極は、前記ノズルから吐出されて前記基板の前記外周部に届くまでの前記レジスト液の吐出経路に面するように配置されており、
前記第2電極は、前記レジスト液が前記ノズルから吐出されてから前記外周部に届く前に、前記基板の前記外周部に対する前記吐出経路の入射角に作用するように前記レジスト液に前記クーロン力を作用させる、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の半導体製造装置。
【請求項7】
前記ノズルから吐出されて前記基板の前記外周部に届くまでの前記レジスト液の吐出経路に面するように配置された静電偏向部を備え、
前記静電偏向部は、
第1極性を有する第1偏向電極と、
前記第1極性とは反対の第2極性を有し、前記第2電極を構成する第2偏向電極と、
を備え、
前記第1偏向電極及び前記第2偏向電極は、前記吐出経路を挟むように配置され、
前記静電偏向部は、前記レジスト液が前記ノズルから吐出されてから前記外周部に届く前に、前記基板の前記外周部に対する前記吐出経路の入射角に作用するように前記レジスト液に前記クーロン力を作用させる、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の半導体製造装置。
【請求項8】
回転部によって、外周部を有する基板を保持しつつ前記基板を回転させ、
ノズルから前記基板の前記外周部にレジスト液を供給し、
第1電極によって、前記ノズルから吐出される前記レジスト液に電荷を付加し、
前記第1電極とは異なる位置に配置された第2電極によって、前記レジスト液の少なくとも一部が前記基板の外周側に向かうように前記レジスト液にクーロン力を作用させる、
半導体製造方法。
【請求項9】
前記第2電極によって、前記レジスト液の少なくとも一部が前記基板の外周側に向かうように前記レジスト液に前記クーロン力を作用させながら、前記レジスト液を乾燥させる、
請求項8に記載の半導体製造方法。
【請求項10】
前記第2電極によって、前記レジスト液の少なくとも一部が前記基板の外周側に向かうように前記レジスト液に前記クーロン力を作用させながら、前記レジスト液の供給を終了させる、
請求項8又は請求項9に記載の半導体製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体製造装置及び半導体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程においては、レジストを基板の外周部に塗布するレジスト塗布方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-62436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、プロセスの安定化を図ることができる半導体製造装置及び半導体製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体製造装置は、回転部と、ノズルと、第1電極と、第2電極とを持つ。前記回転部は、外周部を有する基板を保持して、前記基板を回転させる。前記ノズルは、前記基板の前記外周部にレジスト液を供給する。前記第1電極は、前記ノズルから吐出される前記レジスト液に電荷を付加する。前記第2電極は、前記第1電極とは異なる位置に配置され、前記レジスト液の少なくとも一部が前記基板の外周側に向かうように前記レジスト液にクーロン力を作用させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態に係るレジスト塗布装置の全体構成を示す模式構成図。
図2】第1の実施形態に係るレジスト塗布装置の要部及びシリコン基板の構成を示す模式断面図。
図3】第1の実施形態に係るレジスト塗布装置の要部を示す斜視図。
図4】第2の実施形態に係るレジスト塗布装置の要部を示す斜視図。
図5】第3の実施形態に係るレジスト塗布装置の要部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態のレジスト塗布装置(半導体製造装置)及びレジスト塗布方法(半導体製造方法)を、図面を参照して説明する。
以下の説明では、同一又は類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。図面は模式的又は概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率等は、必ずしも現実のものと同一とは限らない。
【0008】
先に、X方向、Y方向、及びZ方向について定義する。X方向及びY方向は、後述するシリコン基板5の表面に沿う方向である。Z方向は、X方向及びY方向とは交差する(例えば、直交する)方向である。換言すると、Z方向は、シリコン基板5の厚さ方向であり、シリコン基板5に対して垂直な方向である。Z方向において、後述するノズル21からシリコン基板5に向かう方向を平面視と称する場合ある。
【0009】
(第1の実施形態)
<レジスト塗布装置の全体構成>
まず、第1の実施形態のレジスト塗布装置1の全体構成について説明する。
図1は、レジスト塗布装置1の構成を示す模式構成図である。図2は、レジスト塗布装置1の要部及びシリコン基板5の構成を示す模式断面図である。
【0010】
レジスト塗布装置1は、例えば、回転部10と、吐出部20と、第1電極30と、第2電極40と、レジスト液供給源50と、電源60と、電極移動部70と、制御部80とを含む。レジスト塗布装置1は、シリコン基板5を回転させながら、シリコン基板5の外周部6にレジスト液51を塗布し、レジスト液51を乾燥させることで、外周部6にレジスト膜を形成する構成を有する。
【0011】
<シリコン基板>
シリコン基板5を構成する基材5Wは、円盤状の公知の半導体ウエハで構成されている。シリコン基板5は、シリコン基板5の中央を含む中央領域7と、X方向及びY方向において中央領域7の外側に位置する外周部6とを有する。外周部6は、基材5Wの外縁を面取りすることで形成された曲面を有する。
【0012】
シリコン基板5の基材5W上には、第1層5A、第2層5B、及び第3層5Cが積層されている。第1層5A、第2層5B、及び第3層5Cの層の種類としては、例えば、金属層、半導体層、絶縁層、カーボン層等が挙げられる。なお、シリコン基板5上に積層される積層構造を構成する層の種類は限定されない。また、積層構造を構成する層の数は、本実施形態に限定されない。
【0013】
<回転部>
回転部10は、回転部10上に載置されるシリコン基板5(基板)を保持するスピンチャック11と、スピンチャック11を回転させるモータ12とを含む。スピンチャック11は、例えば、シリコン基板5の裏面を吸引することによってシリコン基板5を保持する。さらに、スピンチャック11は、接地されており、シリコン基板5の電位を接地電位とする。
【0014】
モータ12は、スピンチャック11を回転させることで、スピンチャック11によって保持されたシリコン基板5を回転させる。
シリコン基板5の回転数は、特に限定されないが、シリコン基板5の外周部6に塗布されるレジスト液51の種類、粘性、要求されるレジスト膜の膜厚等の公知の塗布条件に基づいて設定される。
【0015】
<レジスト液供給源>
レジスト液供給源50は、レジスト塗布装置1に使用されるレジスト液51を貯留する。レジスト液供給源50は、吐出部20にレジスト液51を供給する。レジスト液51の種類は、特に限定されない。
【0016】
<吐出部>
吐出部20は、ノズル21と、ノズル位置調整部22とを含む。
ノズル21は、レジスト液供給源50に接続されており、レジスト液供給源50から供給されたレジスト液51をシリコン基板5の外周部6を供給する。例えば、ノズル21は、Z方向でシリコン基板5と面する位置(すなわち、シリコン基板5の上方)に配置されている。
【0017】
ノズル位置調整部22は、X方向及びY方向にノズル21を移動することが可能である。
さらに、ノズル位置調整部22は、シリコン基板5に対するノズル21の角度を調整することが可能である。すなわち、ノズル位置調整部22は、シリコン基板5に対して、ノズル21から吐出されるレジスト液51の吐出方向(吐出角度)を変更することが可能である。ノズル位置調整部22が駆動することによって、シリコン基板5に対する所望の吐出角度で、ノズル21がレジスト液51を吐出することが可能である。
【0018】
<第1電極>
第1電極30は、例えば、ノズル21及び電源60に接続されている。電源60から直流電圧が第1電極30に供給されると、第1電極30の電圧はノズル21に印加され、ノズル21から吐出されるレジスト液51に電荷が付加される。これにより、レジスト液51が帯電する。
第1電極30によってレジスト液51に付加される電荷は、電源60によって選択され、第1極性の電荷(例えば、マイナス電荷)であってもよいし、第1極性とは反対の第2極性の電荷(例えば、プラス電荷)であってもよい。
【0019】
第1電極30は、ノズル21と別体に設けられてもよく、ノズル21と一体に設けられてもよい。第1電極30とノズル21とが一体に設けられる場合、ノズル21の外形を形成した外形部材(金属部材)が第1電極30として機能してもよい。
【0020】
<第2電極>
第2電極40は、第1電極30とは異なる位置に配置され、レジスト液51の少なくとも一部がシリコン基板5の外周側5Eに向かって流動するようにレジスト液51にクーロン力を作用させる。換言すると、第2電極40は、シリコン基板5の外周側5Eに向かってレジスト液51の少なくとも一部を導くように、レジスト液51にクーロン力を作用させる。
ここで、「レジスト液51の少なくとも一部」とは、例えば、シリコン基板5に塗布されたレジスト液51のうち、シリコン基板5の上方の空間に露出するレジスト液51の露出部分(表層部)のうちの少なくとも一部であってもよい。
【0021】
第2電極40は、例えば、電源60に接続されている。電源60から直流電圧が第2電極40に供給されると、第2電極40に電荷が付加される。第2電極40に付加される電荷は、第1極性とは反対の第2極性の電荷(例えば、プラス電荷)である。後述するように、第2電極40は、レジスト液51と第2電極40との間にクーロン力を発生させる。
【0022】
第2電極40は、平面視において、シリコン基板5の外周部6の外側、すなわち、シリコン基板5の外周側5Eに位置する。
本実施形態において、第2電極40は、平面視において、シリコン基板5の外周を囲む円環形状を有する。
【0023】
なお、第2電極40の形状は、レジスト液51の少なくとも一部がシリコン基板5の外周側5Eに向かって流動するようにレジスト液51にクーロン力を作用させることができれば、円環形状に限定されない。例えば、第2電極40は、シリコン基板5の周方向において、円環形状の一部が切り欠かれた切欠部を有してもよい。換言すると、平面視において、第2電極40は、略C型形状を有してよい。
【0024】
また、シリコン基板5の周方向において等間隔(等角度)に配置された複数の分割電極によって第2電極40が構成されてもよい。この場合、例えば、シリコン基板5の周方向において45度ピッチで8個の分割電極が配置されてもよい。なお、第2電極40を構成する複数の分割電極の個数は8個に限定されない。
また、レジスト液51の少なくとも一部がシリコン基板5の外周側5Eに向かって流動するようにレジスト液51にクーロン力を作用させることができれば、複数の分割電極は、等間隔で配置されていなくてもよい。
【0025】
<電極移動部>
電極移動部70は、Z方向における第2電極40の位置を調整する。
したがって、電極移動部70は、第2電極40がレジスト液51にクーロン力を作用させるZ方向の位置を調整することができる。
電極移動部70は、第2電極40をZ方向におけるシリコン基板5の中心Pよりも、レジスト液51が供給されるシリコン基板5の表面の近くに配置することが可能である。また、シリコン基板5に形成されている第1層5A、第2層5B、及び第3層5Cのいずれかの層の位置に対応するように、Z方向における第2電極40の位置を設定することも可能である。
【0026】
<電源>
電源60は、高圧直流電源であり、第1電極30及び第2電極40に対して直流電圧を印加する。電源60の直流電圧としては、例えば、10~1kV程度の電圧が挙げられる。電源60は、第1電極30及び第2電極40に対して、独立に、正或いは負の直流電圧を印加することが可能である。電源60は、第1電極30に印加する電圧、及び、第2電極40に印加する電圧を互いに同じにしたり、互いに異ならせたりすることが可能である。
【0027】
<制御部>
制御部80は、回転部10、吐出部20、レジスト液供給源50、電源60、及び電極移動部70の各々に電気的に接続されており、レジスト塗布装置1の動作を制御する。制御部80は、電源60を制御することで、第1電極30及び第2電極40の各々の電圧値、極性、電圧印加のタイミングを制御することが可能である。さらに、制御部80は、吐出部20を制御することで、ノズル21の移動、ノズル21の角度、ノズル21がレジスト液51を吐出するタイミング等を制御することが可能である。
【0028】
<レジスト塗布方法>
次に、第1の実施形態のレジスト塗布装置1を用いたレジスト塗布方法について説明する。図3は、第1の実施形態に係るレジスト塗布装置1を用いたレジスト塗布方法を説明する図である。
【0029】
まず、公知の搬送装置によってシリコン基板5は、レジスト塗布装置1に搬送され、回転部10のスピンチャック11上に載置される。スピンチャック11は、シリコン基板5を保持する。回転部10のモータ12は、シリコン基板5を回転させる。
【0030】
シリコン基板5の回転数が安定すると、吐出部20のノズル位置調整部22は、ノズル21がシリコン基板5の外周部6に対向するように、ノズル21を移動させる。ノズル位置調整部22は、例えば、ノズル21を傾かせて、ノズル21から吐出されるレジスト液51の吐出方向を調整する。
【0031】
電源60は、第1電極30に直流電圧を印加する。ノズル21は、シリコン基板5の外周部6にレジスト液51を供給する。第1電極30からノズル21に対する直流電圧の印加により、ノズル21から吐出されるレジスト液51にはプラス電荷が付加される。
【0032】
シリコン基板5の電位は接地電位であるため、レジスト液51がシリコン基板5に塗布されると、レジスト液51の極性がプラスからマイナスに変わる。
シリコン基板5の外周部6に塗布されたレジスト液51は、シリコン基板5の回転に伴う遠心力の作用により、シリコン基板5の外周側5Eに向けて流動する。
【0033】
電源60は、第2電極40に直流電圧を印加し、第2電極40の極性はプラスになる。したがって、マイナス電荷を有するレジスト液51とプラス極性を有する第2電極40との間において、レジスト液51にクーロン力が生じる。すなわち、レジスト液51の少なくとも一部がシリコン基板5の外周側5Eに向かって流動するようにレジスト液51にクーロン力が生じる。
【0034】
このようなクーロン力がレジスト液51に作用している状態でシリコン基板5が回転することで、シリコン基板5の周囲の空気とレジスト液51との接触しながら、レジスト液51が乾燥する。レジスト液51が乾燥すると、外周部6にはレジスト膜が形成される。
【0035】
このようなレジスト塗布装置1によれば、回転部10の回転によってシリコン基板5の外周部6に塗布されたレジスト液51に遠心力を作用させるだけでなく、シリコン基板5の外周側5Eに位置する第2電極40によってレジスト液51にクーロン力を作用させることができる。レジスト液51にクーロン力を作用させた状態で、シリコン基板5の外周部6においてレジスト液51を乾燥させることができる。
【0036】
これにより、シリコン基板5の外周部6に形成されるレジスト膜の形状及びプロファイルを制御することができる。また、レジスト液51の乾燥によって得られるレジスト膜の膜厚が局所的に大きい部分(Hump)の位置や高さ(厚さ)を制御することができる。
【0037】
なお、本実施形態では、シリコン基板5の外周部6にレジスト液51を塗布する前に、電極移動部70によってZ方向における第2電極40の位置が設定されている。例えば、本実施形態では、Z方向におけるシリコン基板5の中心Pよりもシリコン基板5の表面(第3層5Cの表面)の近くに第2電極40を配置している。これにより、シリコン基板5の表面の近くにおいて、クーロン力を生じさせることができ、シリコン基板5の表面におけるレジスト液51の平坦化をより精度よく促すことができる。
【0038】
本実施形態では、レジスト液51を塗布する前に電極移動部70が第2電極40の位置が設定されているが、本実施形態は、この設定方法に限定されない。ノズル21がレジスト液51をシリコン基板5に塗布しながら、電極移動部70が第2電極40の位置を調整してもよい。換言すると、シリコン基板5に塗布されたレジスト液51が外周部6上を流動しながら、第2電極40の位置を調整してもよい。
これにより、流動するレジスト液51に対してクーロン力を与えることができ、レジスト膜の形状及びプロファイルを制御することができる。
【0039】
さらに、本実施形態では、モータ12によってシリコン基板5を回転させた状態でのノズル21から外周部6へのレジスト液51の供給開始から、レジスト液51の供給終了までのレジスト塗布過程においては、第2電極40によって、レジスト液51の少なくとも一部がシリコン基板5の外周側5Eに向かって流動するようにレジスト液51にクーロン力を作用させながら、レジスト液51の供給を終了させている。
これにより、レジスト液51の供給が終了するまで、レジスト液51にクーロン力を作用させることができ、シリコン基板5の表面におけるレジスト液51の平坦化をより精度よく促すことができる。
【0040】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係るレジスト塗布装置2を用いたレジスト塗布方法を説明する図である。図4は、第2の実施形態に係るレジスト塗布装置2において、図3に対応する斜視図である。本実施形態では、第2電極の構造に関する点で、上述した第1の実施形態と相違している。
【0041】
<第2電極>
図4に示す第2電極41は、ノズル21から吐出されてシリコン基板5の外周部6に届くまでのレジスト液51の吐出経路52(吐出液、吐出液柱)に面するように配置されている。例えば、第2電極41は、Z方向でシリコン基板5と面する位置(すなわち、シリコン基板5の上方)に配置されている。本実施形態では、第2電極41は、吐出経路52に対して外周側の上方に配置されている。
【0042】
第2電極41は、レジスト液51がノズル21から吐出されてから外周部6に届く前に、シリコン基板5の外周側5Eに対する吐出経路52の入射角に作用するようにレジスト液51にクーロン力を作用させる。電源60から第2電極41に供給される直流電圧の制御によって、第2電極41から生じるクーロン力の大きさが調整され、吐出経路52の入射角の増減が制御される。
【0043】
つまり、第2電極41とレジスト液51との間に生じるクーロン力は、吐出経路52の入射角に作用し、レジスト液51の少なくとも一部がシリコン基板5の外周側5Eに向かって流動するようにレジスト液51の流動を促進させる。換言すると、第2電極41から生じるクーロン力は、シリコン基板5の外周側5Eに向かってレジスト液51の少なくとも一部を導くように、レジスト液51の流動を促進させる。
【0044】
<レジスト塗布方法>
次に、レジスト塗布装置2を用いたレジスト塗布方法について説明する。
上述した第1の実施形態と同様に、ノズル21は、シリコン基板5の外周部6にレジスト液51を供給する。ただし、上述した第1の実施形態とは異なり、電源60によって第1電極30からノズル21にはマイナスの直流電圧が印加され、ノズル21から吐出されるレジスト液51には第1極性の電荷(例えば、マイナス電荷)が付加される。
一方、電源60が第2電極41に直流電圧を印加することで、第2電極41には第2極性の電荷(例えば、プラス電荷)が付加される。
【0045】
したがって、吐出経路52において第1極性の電荷(例えば、マイナス電荷)を有するレジスト液51と第2極性(例えば、プラス極性)を有する第2電極41との間において、レジスト液51にクーロン力が生じる。すなわち、レジスト液51の少なくとも一部がシリコン基板5の外周側5Eに向かって流動するようにレジスト液51にクーロン力が生じる。
【0046】
このようなレジスト塗布装置2によれば、上述した第1の実施形態と同様又は類似の効果が得られるだけでなく、第2電極41とレジスト液51との間に生じるクーロン力の作用によって、シリコン基板5の外周側5Eに対する吐出経路52(レジスト液51)の入射角を制御することができる。これによって、レジスト液51がシリコン基板5に塗布された際に、レジスト液51がシリコン基板5から跳ね返ることを抑制することができ、シリコン基板5上におけるレジスト液51のプロファイルをより精度よく制御することができる。
【0047】
(第3の実施形態)
図5は、第3の実施形態に係るレジスト塗布装置3を用いたレジスト塗布方法を説明する図である。図5は、第3の実施形態に係るレジスト塗布装置3において、図3に対応する斜視図である。本実施形態では、静電偏向部が第2電極を備える点で、上述した第1の実施形態と相違している。
【0048】
レジスト塗布装置3は、静電偏向部90を備える。静電偏向部90は、ノズル21から吐出されてシリコン基板5の外周部6に届くまでのレジスト液51の吐出経路52に面するように配置されている。
【0049】
<静電偏向部>
図5に示すように、静電偏向部90は、第1偏向電極91及び第2偏向電極92によって構成されている。第1偏向電極91及び第2偏向電極92は、電源60に接続されており、電源60は、第1偏向電極91及び第2偏向電極92の極性を設定する。第1偏向電極91及び第2偏向電極92の少なくとも一方は、「第2電極」の一例である。
【0050】
本実施形態では、第1偏向電極91はマイナス極性(第1極性)を有し、第2偏向電極92は、プラス極性(第1極性とは反対の第2極性)を有する。第1偏向電極91及び第2偏向電極92の各々は、電源60に接続されている。
制御部80が電源60を制御することで、第1偏向電極91及び第2偏向電極92の各々の電圧値、極性、電圧印加のタイミングを制御することが可能である。
【0051】
第1偏向電極91及び第2偏向電極92は、吐出経路52を挟むように配置されている。例えば、第1偏向電極91及び第2偏向電極92は、Z方向でシリコン基板5と面する位置(すなわち、シリコン基板5の上方)に配置されている。
【0052】
本実施形態では、第1偏向電極91は、吐出経路52に対して内周側の下方に配置されている。一方で、第2偏向電極92は、吐出経路52に対して外周側の上方に配置されている。
静電偏向部90は、レジスト液51がノズル21から吐出されてから外周部6に届く前に、シリコン基板5の外周側5Eに対する吐出経路52の入射角に作用するようにレジスト液51にクーロン力を作用させる。電源60から第1偏向電極91及び第2偏向電極92に供給される直流電圧や極性の制御によって、静電偏向部90から生じるクーロン力の大きさが調整され、吐出経路52の入射角の増減が制御される。
【0053】
つまり、静電偏向部90とレジスト液51との間に生じるクーロン力は、吐出経路52の入射角に作用し、レジスト液51の少なくとも一部がシリコン基板5の外周側5Eに向かって流動するようにレジスト液51の流動を促進させる。換言すると、静電偏向部90から生じるクーロン力は、シリコン基板5の外周側5Eに向かってレジスト液51の少なくとも一部を導くように、レジスト液51の流動を促進させる。
【0054】
<レジスト塗布方法>
次に、レジスト塗布装置3を用いたレジスト塗布方法について説明する。
上述した第1の実施形態と同様に、ノズル21は、シリコン基板5の外周部6にレジスト液51を供給する。上述した第2の実施形態と同様に、電源60によって第1電極30からノズル21にはマイナスの直流電圧が印加され、ノズル21から吐出されるレジスト液51にはマイナス電荷が付加される。
【0055】
静電偏向部90においては、電源60が第1偏向電極91にマイナス電荷を付与し、第2偏向電極92にプラス電荷を付与する。
したがって、吐出経路52においてマイナス電荷を有するレジスト液51とプラス極性を有する第2偏向電極92との間において、レジスト液51の少なくとも一部がシリコン基板5の外周側5Eに向かって流動するようにレジスト液51にクーロン力が生じる。
【0056】
このようなレジスト塗布装置3によれば、上述した第1の実施形態と同様または類似の効果が得られるだけでなく、静電偏向部90とレジスト液51との間に生じるクーロン力の作用によって、シリコン基板5の外周側5Eに対する吐出経路52(レジスト液51)の入射角を制御することができる。これによって、レジスト液51がシリコン基板5に塗布された際に、レジスト液51がシリコン基板5から跳ね返ることを抑制することができ、シリコン基板5上におけるレジスト液51のプロファイルをより精度よく制御することができる。
【0057】
なお、静電偏向部90は、レジスト液51の吐出方向を変化させるクーロン力を作用させることができればよく、第1偏向電極91及び第2偏向電極92のうちいずれか片方のみでクーロン力の作用を実現されてもよい。
【0058】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、ノズルから吐出されるレジスト液に電荷を付加する第1電極と、第1電極とは異なる位置に配置され、レジスト液の少なくとも一部が基板の外周側に向かうようにレジスト液にクーロン力を作用させる第2電極とを有することにより、プロセスの安定化を図ることができる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0060】
1、2、3…レジスト塗布装置(半導体製造装置)、5…シリコン基板(基板)、5A…第1層、5B…第2層、5C…第3層、5E…外周側、5W…基材、6…外周部、7…中央領域、10…回転部、11…スピンチャック(回転部)、12…モータ(回転部)、20…吐出部、21…ノズル(吐出部)、22…ノズル位置調整部(吐出部)、30…第1電極、40、41…第2電極、50…レジスト液供給源、51…レジスト液、52…吐出経路、60…電源、70…電極移動部、80…制御部、90…静電偏向部、91…第1偏向電極、92…第2偏向電極(第2電極)、P…中心
図1
図2
図3
図4
図5