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特開2022-138022印刷装置、印刷制御装置、印刷方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138022
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷制御装置、印刷方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/23 20060101AFI20220914BHJP
   B41J 19/76 20060101ALI20220914BHJP
   B41J 19/96 20060101ALI20220914BHJP
   B41J 2/505 20060101ALI20220914BHJP
   B41J 2/51 20060101ALI20220914BHJP
   B41J 2/30 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
B41J2/23 101E
B41J19/76
B41J19/96 A
B41J2/505 101U
B41J2/51
B41J2/30 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037789
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】302069930
【氏名又は名称】NECエンベデッドプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】山口 敬
【テーマコード(参考)】
2C062
2C480
【Fターム(参考)】
2C062AA56
2C062KA03
2C062QA09
2C480CA02
2C480ED03
2C480ED08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】どのような印刷データであっても、簡便に印刷ピンの負荷を分散させる印刷装置を提供する。
【解決手段】複数の印刷ピンによる印刷範囲のなかに一の印刷ピンによって印刷される頻度が高い高頻度印刷部分があるか否かを判断し、高頻度印刷部分がある場合に、高頻度印刷部分を特定し、複数の印刷ピンのなかから高頻度印刷部分を印刷する印刷ピンを特定印刷ピンとして決定する際に、高頻度印刷部分毎に前回決定した印刷ピンとは異なる印刷ピンを特定印刷ピンとして決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の印刷ピンによる印刷範囲のなかに一の印刷ピンによって印刷される頻度が高い高頻度印刷部分があるか否かを判断する判断手段と、
前記高頻度印刷部分がある場合に、前記高頻度印刷部分を特定する特定手段と、
複数の印刷ピンのなかから前記高頻度印刷部分を印刷する印刷ピンを特定印刷ピンとして決定する決定手段と、
備え、
前記決定手段は、
前記高頻度印刷部分毎に前回決定した印刷ピンとは異なる印刷ピンを前記特定印刷ピンとして決定することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記決定手段は、
複数の印刷ピンの決定割合が均等になるように順番に前記特定印刷ピンを決定することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
印刷媒体の送り方向に対して複数の印刷ピンを備える印刷ヘッドを相対的に移動させる駆動制御手段を備え、
前記決定手段は、
複数の印刷ピンのなかからいずれの印刷ピンを前記特定印刷ピンとして決定した場合であっても前記印刷ヘッドを一定方向に移動させる移動量を決定することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記高頻度印刷部分は、テキストデータにおける文字の上側又は下側に付される線であって、
前記判断手段は、
テキストデータにおいて文字の上側又は下側に線が付されているか否かを判断し、
前記特定手段は、
文字の上側又は下側に線が付されている場合に、線が文字の上側であるか下側であるかを特定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記高頻度印刷部分は、画像データにおける一の印刷ピンによって印刷される頻度が所定の閾値よりも高い部分であって、
前記判断手段は、
画像データにおいて一の印刷ピンによって印刷される頻度が所定の閾値よりも高い部分があるか否かを判断し、
前記特定手段は、
画像データにおいて一の印刷ピンによって印刷される頻度が所定の閾値よりも高い部分がある場合に、当該部分の印刷ピンの配列方向における位置を特定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記判断手段は、
印刷データがテキストデータであるか画像データであるかを判断し、
印刷データがテキストデータである場合には、当該テキストデータにおいて文字の上側又は下側に線が付されているか否かを判断し、
印刷データが画像データである場合には、当該画像データにおける一の印刷ピンによって印刷される頻度が所定の閾値よりも高い部分があるか否かを判断する
前記特定手段は、
印刷データがテキストデータであって文字の上側又は下側に線が付されている場合には、線が文字の上側であるか下側であるかを特定し、
印刷データが画像データであって当該画像データにおいて一の印刷ピンによって印刷される頻度が所定の閾値よりも高い部分がある場合には、当該部分の印刷ピンの配列方向における位置を特定する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項7】
複数の印刷ピンによる印刷範囲のなかに一の印刷ピンによって印刷される頻度が高い高頻度印刷部分があるか否かを判断する判断手段と、
前記高頻度印刷部分がある場合に、前記高頻度印刷部分を特定する特定手段と、
複数の印刷ピンのなかから前記高頻度印刷部分を印刷する印刷ピンを特定印刷ピンとして決定する決定手段と、
備え、
前記決定手段は、
前記高頻度印刷部分毎に前回決定した印刷ピンとは異なる印刷ピンを前記特定印刷ピンとして決定することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項8】
複数の印刷ピンによる印刷範囲のなかに一の印刷ピンによって印刷される頻度が高い高頻度印刷部分があるか否かを判断し、
前記高頻度印刷部分がある場合に、前記高頻度印刷部分を特定し、
複数の印刷ピンのなかから前記高頻度印刷部分を印刷する印刷ピンを特定印刷ピンとして決定し、
前記特定印刷ピンの決定に際し、前記高頻度印刷部分毎に前回決定した印刷ピンとは異なる印刷ピンを前記特定印刷ピンとして決定することを特徴とする印刷方法。
【請求項9】
印刷装置のコンピュータを、
複数の印刷ピンによる印刷範囲のなかに一の印刷ピンによって印刷される頻度が高い高頻度印刷部分があるか否かを判断する判断手段、
前記高頻度印刷部分がある場合に、前記高頻度印刷部分を特定する特定手段、
複数の印刷ピンのなかから前記高頻度印刷部分を印刷する印刷ピンを特定印刷ピンとして決定する決定手段、
として機能させ、
前記決定手段は、
前記高頻度印刷部分毎に前回決定した印刷ピンとは異なる印刷ピンを前記特定印刷ピンとして決定することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷制御装置、印刷方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ヘッドに組み込まれた24本のピンのなかから、テーブルに従って下線を印刷するピン番号を設定する技術について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-2056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1で開示されている技術では、ピンの負荷を分散させる対策が施されているものの、その対策が十分ではない。例えば、線の位置が特定されていないような印刷データでは、依然として、ピンの負荷を分散させることができないといった問題がある。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決する印刷装置、印刷制御装置、印刷方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第1の態様にかかる印刷装置は、複数の印刷ピンによる印刷範囲のなかに一の印刷ピンによって印刷される頻度が高い高頻度印刷部分があるか否かを判断する判断手段と、前記高頻度印刷部分がある場合に、前記高頻度印刷部分を特定する特定手段と、複数の印刷ピンのなかから前記高頻度印刷部分を印刷する印刷ピンを特定印刷ピンとして決定する決定手段と、備え、前記決定手段は、前記高頻度印刷部分毎に前回決定した印刷ピンとは異なる印刷ピンを前記特定印刷ピンとして決定する。
【0007】
本発明の第2の態様にかかる印刷制御装置は、複数の印刷ピンによる印刷範囲のなかに一の印刷ピンによって印刷される頻度が高い高頻度印刷部分があるか否かを判断する判断手段と、前記高頻度印刷部分がある場合に、前記高頻度印刷部分を特定する特定手段と、複数の印刷ピンのなかから前記高頻度印刷部分を印刷する印刷ピンを特定印刷ピンとして決定する決定手段と、備え、前記決定手段は、前記高頻度印刷部分毎に前回決定した印刷ピンとは異なる印刷ピンを前記特定印刷ピンとして決定する。
【0008】
本発明の第3の態様にかかる印刷方法は、複数の印刷ピンによる印刷範囲のなかに一の印刷ピンによって印刷される頻度が高い高頻度印刷部分があるか否かを判断し、前記高頻度印刷部分がある場合に、前記高頻度印刷部分を特定し、複数の印刷ピンのなかから前記高頻度印刷部分を印刷する印刷ピンを特定印刷ピンとして決定し、前記特定印刷ピンの決定に際し、前記高頻度印刷部分毎に前回決定した印刷ピンとは異なる印刷ピンを前記特定印刷ピンとして決定する。
【0009】
本発明の第4の態様にかかるプログラムは、印刷装置のコンピュータを、複数の印刷ピンによる印刷範囲のなかに一の印刷ピンによって印刷される頻度が高い高頻度印刷部分があるか否かを判断する判断手段、前記高頻度印刷部分がある場合に、前記高頻度印刷部分を特定する特定手段、複数の印刷ピンのなかから前記高頻度印刷部分を印刷する印刷ピンを特定印刷ピンとして決定する決定手段、として機能させ、前記決定手段は、前記高頻度印刷部分毎に前回決定した印刷ピンとは異なる印刷ピンを前記特定印刷ピンとして決定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高頻度印刷部分がある場合に高頻度印刷部分が特定され、高頻度印刷部分毎に前回決定した印刷ピンとは異なる印刷ピンを特定印刷ピンとして決定するため、すなわち、線等がどこにあっても特定印刷ピンが決定されるため、どのような印刷データであっても、印刷ピンの負荷を分散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る印刷装置に係る機能ブロック図である。
図2】下線、上線の位置等を説明する説明図である。
図3】実施形態に係る印刷装置の動作内容を示すフローチャートである。
図4】実施形態に係る印刷装置の動作内容を示すフローチャートである。
図5】実施形態に係る印刷装置の動作内容を説明する概念図である。
図6】実施形態に係る印刷装置の動作内容を説明する概念図である。
図7】実施形態に係る印刷装置の動作内容を示すフローチャートである。
図8】実施形態に係る印刷装置の動作内容を示すフローチャートである。
図9】実施形態に係る印刷装置の動作内容を説明する概念図である。
図10】実施形態に係る印刷装置の動作内容を説明する概念図である。
図11】実施形態に係る印刷装置の動作内容を説明する概念図である。
図12】発明の実施形態に係る装置の最小構成の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る印刷装置1は、複数の印刷ピンを有する印刷ヘッド(非図示)によって印刷するドットインパクト方式の印刷装置(プリンタ)である。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る印刷装置1に係る機能ブロック図である。印刷装置1は、入力部10、バッファ部11、判断部12、特定部13、決定部14、記憶部15、駆動制御部16を備える。
【0014】
入力部10は、PC(Personal Computer)などの他の装置から印刷データを入力する。
バッファ部11は、入力部10によって入力された印刷データを一時的に記憶する。
【0015】
判断部12は、バッファ部11から供給される印刷データの内容について判断する。具体的には、判断部12は、複数の印刷ピンによる印刷範囲のなかに一の印刷ピンによって印刷される頻度が高い高頻度印刷部分があるか否かを判断する。高頻度印刷部分は、例えば、印刷データ内の文字に付された下線(アンダーライン)や上線(オーバーライン)に相当する部分である。以下、下線や上線を罫線と称する場合がある。
【0016】
特定部13は、高頻度印刷部分があると判断部12が判断した場合に、当該高頻度印刷部分を特定する。例えば、文字に線が付されていると判断部12が判断した場合、特定部13は、付されている線の部分(文字の下側であるか上側であるか)を特定する。つまり、この場合、特定部13は、文字に下線が付されているのか上線が付されているのか、換言すれば、下線が付された文字であるのか上線が付された文字であるのかを特定する。
【0017】
決定部14は、高頻度印刷部分の位置を特定部13が特定した場合に、複数の印刷ピンのなかから当該高頻度印刷部分を印刷する印刷ピンを特定印刷ピンとして決定する。例えば、高頻度印刷部分の位置が文字の下側であると特定部13が特定した場合(文字に下線が付されている場合)、決定部14は、複数の印刷ピンのなかから文字の下側の高頻度印刷部分(下線)を印刷する印刷ピンを特定印刷ピンとして決定する。また、高頻度印刷部分の位置が文字の上側であると特定部13が特定した場合(文字に上線が付されている場合)、決定部14は、複数の印刷ピンのなかから文字の上側の高頻度印刷部分(上線)を印刷する印刷ピンを特定印刷ピンとして決定する。
【0018】
ここで、決定部14は、特定印刷ピンの決定する際には、高頻度印刷部分毎に前回決定した印刷ピンとは異なる印刷ピンを特定印刷ピンとして決定する。また、決定部14は、 複数の印刷ピンのなかからいずれの印刷ピンを特定印刷ピンとして決定した場合であっても印刷ヘッドを一定方向(正方向)に移動(印刷媒体に対して相対的に移動)させる移動量を決定する。詳細は後述する。
【0019】
記憶部15は、種々の制御情報を記憶する。例えば、記憶部15は、決定部14が特定印刷ピンを決定する際に更新又は参照する情報(パラメータ等)を記憶する。なお、図1では矢印を省略したが、記憶部15は、判断部12や特定部13や駆動制御部16が更新又は参照する情報を記憶してもよい。
【0020】
駆動制御部16は、印刷媒体への印刷を制御する。例えば、駆動制御部16は、印刷ヘッドの複数の印刷ピンの選択的な駆動を制御する。また、駆動制御部16は、印刷ヘッドの水平方向(図2の矢印A-B方向)の移動を制御する。また、駆動制御部16は、印刷媒体の紙送り方向(図2の矢印M方向)の移動を制御する。つまり、駆動制御部16は、印刷ヘッドの印刷媒体に対する相対的な移動(矢印Mの逆方向に移動)を制御する。なお、駆動制御部16は、印刷ピンの選択的な駆動を制御する印刷ヘッド制御部(非図示)と、スペーシングモータ(非図示)を駆動制御して印刷ヘッドの水平方向の移動を制御するスペーシングモータ制御部(非図示)と、プラテンローラ(非図示)を駆動させる紙送りモータを駆動制御して印刷媒体の紙送り方向の移動を制御する紙送りモータ制御部(非図示)とを含むものであってもよい。なお、駆動制御部16は、印刷ヘッドの印刷媒体の厚さ方向の移動を制御してもよい。
【0021】
図2は、下線、上線の位置等を説明する説明図である。下線や上線は、上述したように、高頻度印刷部分の一例である。なお、以下の説明において、印刷装置1が備える印刷ヘッドは、24個(1番~24番の印刷ピン)の印刷ピンを有しているものとする。また、1つの文字には、下線か上線のいずれかが付される場合があるが、下線も上線も付される場合はないものとする。
【0022】
図2は、印刷データに基づく印刷範囲(領域)の一部を模式的に示したものである。図中の矢印A-B方向は、印刷ヘッドの走査方向である。矢印M方向は、紙送り方向である。図中の格子は、1つの印刷ピンによって印刷される領域(ドット)を示している。
【0023】
1つの文字(1行の文字)の印刷には、高さ方向(矢印M方向)としては22ドットが割り当てられ、各文字は最大22ドット分の高さで印刷される。図2に示した例では、文字に2ドット目~23ドット目の22ドットが割り当てられ、「亜」の文字が2ドット目~22ドット目の21ドット分の高さで印刷されている。
【0024】
文字に割り当てられる領域の1つ下の領域は、下線を印刷する領域である。図2に示した例では、2ドット目~23ドット目(文字に割り当てられる領域)の1つ下の24ドット目が下線を印刷する領域(塗り潰した領域)である。
【0025】
文字に割り当てられる領域の1つ上の領域は、上線を印刷する領域である。図2に示した例では、2ドット目~23ドット目(文字に割り当てられる領域)の1つ上の1番が上線を印刷する領域(塗り潰した領域)である。
【0026】
印刷装置1では、下線を印刷する印刷ピン(特定印刷ピン)は、1つの印刷ピン(例えば、24個の印刷ピンのうち24番の印刷ピン)に固定されない。印刷装置1では、上線を印刷する印刷ピン(特定印刷ピン)は、1つの印刷ピン(例えば、24個の印刷ピンのうち1番の印刷ピン)に固定されない。
【0027】
以下、図3及び図4を用いて印刷装置1の動作例を説明する。図3及び図4は、実施形態に係る印刷装置1の動作内容を示すフローチャートである。図4のフローチャートは、図3のフローチャートの続きである。図3及び図4のフローチャートは、1行(24ドット分)を印刷する動作内容を示している。なお、印刷データは、罫線(下線、上線)を含むテキストデータ(文字データ)であるものとする。
【0028】
図3及び図4において、αは、罫線を印刷する印刷ピン(特定印刷ピン)を示した変数である。βは、次改行補正量を示した変数である。faは、印刷ヘッドの正方向への移動を担保(負方向への移動を回避)する処理(ステップS4の処理)が実行された旨を示したフラグである。これらは、電源投入時に初期化され、初期値は、α=24、β=0、fa=0である。α、β、faの値は、例えば、記憶部15に記憶される。
【0029】
(ステップS1)印刷装置1(判断部12)は、罫線が含まれているか否かを判断する。罫線が含まれていると判断した場合(ステップS1:YES)、ステップS2に進む。罫線が含まれていないと判断した場合(ステップS1:NO)、ステップS21に進む。
【0030】
(ステップS2)印刷装置1(特定部13)は、罫線が上線(オーバーライン)であるか否かを判断する。上線であると判断した場合(ステップS2:YES)、ステップS3に進む。上線でないと判断した場合、つまり下線(アンダーライン)であると判断した場合(ステップS2:NO)、ステップS11に進む。
【0031】
(ステップS3)印刷装置1(決定部14)は、「(25-α-β)≧0」であるか否かを判断する。「(25-α-β)」は、ステップS6において移動させる印刷ヘッドの移動量である。「(25-α-β)」がプラスの場合には正方向の移動量を示し、マイナスの場合には負方向の移動量を示している。「(25-α-β)≧0」であると判断した場合(ステップS3:YES)、ステップS6に進む。「(25-α-β)≧0」でないと判断した場合(ステップS3:NO)、ステップS4に進む。
(ステップS4)印刷装置1(決定部14)は、αを1減算する(α=α-1)。続いてステップS5に進む。
(ステップS5)印刷装置1(例えば、決定部14)は、faをセットする(fa=1)。続いてステップS3に戻る。
つまり、印刷装置1は、印刷ヘッドの正方向への移動が担保される迄(負方向への移動が回避される迄)、ステップS3~S5の処理を繰り返す。
【0032】
(ステップS6)印刷装置1(駆動制御部16)は、印刷ヘッドを(25-α-β)ドット移動させる。続いてステップS7に進む。
(ステップS7)印刷装置1は、上線を印刷する(駆動制御部16は、上線の印刷を制御する)。続いてステップS8に進む。
(ステップS8)印刷装置1(駆動制御部16)は、印刷ヘッドを(α-1)ドット移動させる。続いてステップS9に進む。
(ステップS9)印刷装置1は、文字(罫線以外)を印刷する(駆動制御部16は、文字(罫線以外)の印刷を制御する)。続いてステップS10に進む。
(ステップS10)印刷装置1(決定部14)は、βを初期化する(β=0)。続いて図4のステップS16に進む。
【0033】
(ステップS11)印刷装置1(駆動制御部16)は、印刷ヘッドを(24-β)ドット移動させる。続いてステップS12に進む。
(ステップS12)印刷装置1は、文字(罫線以外)を印刷する(駆動制御部16は、文字(罫線以外)の印刷を制御する)。続いてステップS13に進む。
(ステップS13)印刷装置1(駆動制御部16)は、印刷ヘッドを(24-α)ドット移動させる。続いてステップS14に進む。
(ステップS14)印刷装置1は、下線を印刷する(駆動制御部16は、下線の印刷を制御する)。続いてステップS15に進む。
(ステップS15)印刷装置1(決定部14)は、βに(24-α)を代入する(β=24-α)。続いて図4のステップS16に進む。
【0034】
(ステップS16)印刷装置1(決定部14)は、αを1減算する(α=α-1)。ここでは、決定部14は、前回決定した印刷ピンとは異なる印刷ピンを特定印刷ピンとして決定するため、αを1減算している。つまり、αを1減算することによって、前回決定した印刷ピンとは異なる印刷ピンが特定印刷ピンとして決定されるようになる。ステップS17に進む。
【0035】
(ステップS17)印刷装置1(例えば、決定部14)は、「fa=1」であるか否かを判断する。つまり、印刷装置1は、faがセットされているか否かを判断する。「fa=1」であると判断した場合(ステップS17:YES)、ステップS19に進む。「fa=1」でないと判断した場合(ステップS17:NO)、ステップS18に進む。
【0036】
(ステップS18)印刷装置1(決定部14)は、「α=0」であるか否かを判断する。つまり、印刷装置1は、ステップS16における1減算後のαの値が、印刷ピンの範囲(1~24)外となったか否かを判断する。「α=0」であると判断した場合(ステップS18:YES)、ステップS19に進む。「α=0」でないと判断した場合(ステップS18:NO)、本フローチャートを終了する(次の行がある場合にはステップS1に戻る)。
【0037】
(ステップS19)印刷装置1(決定部14)は、αに24(初期値)を代入する(α=24)。続いてステップS20に進む。
(ステップS20)印刷装置1(決定部14)は、faをクリアする(fa=0)。そして本フローチャートは終了する(次の行がある場合にはステップS1に戻る)。
【0038】
(ステップS21)印刷装置1(駆動制御部16)は、印刷ヘッドを(24-β)ドット移動させる。続いてステップS22に進む。
(ステップS22)印刷装置1は、文字を印刷する(駆動制御部16は、文字の印刷を制御する)。続いてステップS23に進む。
(ステップS23)印刷装置1(決定部14)は、βを初期化する(β=0)。そして本フローチャートは終了する(次の行がある場合にはステップS1に戻る)。
【0039】
図5及び図6は、実施形態に係る印刷装置1の動作内容を説明する概念図である。図5及び図6は、テキストデータに基づいて印刷する場面であり、下線を印刷し、次に上線を印刷する場面における印刷例である。図3及び図4のフローチャートの流れに従って、図5及び図6に示した印刷例を説明する。なお、図5(A)の印刷前の状態として、α=19、β=0であるものとする。
【0040】
図3のフローチャートが開始され、下線が存在するため、ステップS1(YES)→ステップS2(NO)→ステップS11と処理が進行する。
【0041】
ステップS11において、印刷装置1は、印刷ヘッドを(24-β)ドット移動させるのだが、β=0であるため、24ドット移動させる。続くステップS12において、印刷装置1は、文字(下線以外)を印刷する。図5(A)は、この印刷後の状態を示している。
【0042】
続くステップS13において、印刷装置1は、印刷ヘッドを(24-α)ドット移動させるのだが、α=19であるため、5ドット移動させる。続くステップS14において、印刷装置1は、下線を印刷する。図5(B)は、この印刷後の状態を示している。図5(B)の矢印は5ドット分の印刷ヘッドの移動を示している。図5(B)に示すように、19番の印刷ピンが特定印刷ピン(α=19)であり、下線を印刷している。
【0043】
続くステップS15において、印刷装置1は、βに(24-α)を代入するのだが、α=19であるため、βは5となる。続くステップS16において、印刷装置1は、αを1減算するため、αは18となる。以下、ステップS17(NO)→ステップS18(NO)となり、フローチャートは終了する。
【0044】
再度、図3のフローチャートが開始され、上線が存在するため、ステップS1(YES)→ステップS2(YES)→ステップS3と処理が進行する。ステップS3において、印刷装置1は、「(25-α-β)≧0」であるかを判断するのだが、α=18、β=5であるため、ステップS3(YES)→ステップS6と処理が進行する。
【0045】
ステップS6において、印刷装置1は、印刷ヘッドを(25-α-β)ドット移動させるのだが、α=18、β=5であるため、2ドット移動させる。続くステップS7において、印刷装置1は、上線を印刷する。図6(A)は、この印刷後の状態を示している。図6(A)の矢印は2ドット分の印刷ヘッドの移動を示している。図6(A)に示すように、18番の印刷ピンが特定印刷ピン(α=18)であり、上線を印刷している。
【0046】
続くステップS8において、印刷装置1は、印刷ヘッドを(α-1)ドット移動させるのだが、α=18であるため、17ドット移動させる。続くステップS9において、印刷装置1は、文字(上線以外)を印刷する。図6(B)は、この印刷後の状態を示している。図6(B)の矢印は17ドット分の印刷ヘッドの移動を示している。
【0047】
続くステップS10において、印刷装置1は、βを初期化する(β=0)。続くステップS16において、印刷装置1は、αを1減算するため、αは17となる。つまり、図示はしていないが、次は、17番の印刷ピンが特定印刷ピン(α=17)となり、罫線(下線又は上線)を印刷することとなる。以下、ステップS17(NO)→ステップS18(NO)となり、フローチャートは終了する。
【0048】
上記では、特定印刷ピンを1ドット毎移動させる例を説明したが(ステップS16)、特定印刷ピンを移動させる量は1ドット毎に限定されない。例えば、2ドット毎、3ドット毎移動させてもよい。つまり、印刷装置1(決定部14は)、複数の印刷ピンの決定割合が均等になるように順番に特定印刷ピンを決定すればよく、必ずしも、1ドットずつずらして決定しなくてもよい。但し、1ドット毎移動させる方法によれば、2ドット毎、3ドット毎移動させる方法に比べ、印刷ピンの負荷分散を簡便かつ好適に実施することができる。
【0049】
また、印刷装置1は、印刷ヘッドの1ドット単位の移動が可能であるが、印刷ヘッドの1ドット単位の移動ができない印刷装置も存在し得る。例えば、印刷解像度160DPIに対し、360DPIステップのモータが接続されている場合、最小単位は4/160ステップ(=9/360ステップ)となる。つまり、4ドット単位となる。上記構成において下線(アンダーライン)/上線(オーバーライン)の分散印刷を実現する為の手段は例えば、下記となる。
・「α=α-1」の処理(ステップS4、S16)を「α=α-4」に変更する。
・上線の印刷に係る「(25-α-β)ドット移動」の処理(ステップS6)において、3ドット多く移動させる。
・上線を印刷する印刷ピンの番号を「α-3」にする。
・上線の印刷に係る「(α-1)ドット移動」の処理(ステップS8)において、3ドット少なく移動させる。
上記の結果、上線は1番、5番、9番、13番、17番、21番の印刷ピンが特定印刷ピンとなり、上線を印刷することになり、下線は、4番、8番、12番、16番、20番、24番の印刷ピンが特定印刷ピンとなり、下線を印刷することになる。
【0050】
続いて、画像データの場合について説明する。
図3図6では、テキストデータの印刷(文字印刷)として、下線(24ドット目)と上線(1ドット目)とに注目したが、最近の印刷事情では画像データの印刷(イメージ印刷)が主流となっている。このため、2ドット目から23ドット目でも罫線(連続した印刷)が行われる場合がある。
【0051】
そこで、印刷装置1は、画像データが入力された場合には、各位置(1ドット目、2ドット目、…24ドット目)の夫々について、印刷有(ドット)の数を計算し、ドット数がある閾値を超えた位置を特定し、罫線と同様に(罫線と見做して)、特定印刷ピンで印刷するようにしている。つまり、印刷装置1は、画像データ内の印刷有のデューティが高い位置について、テキストデータにおける下線等と同様に、特定印刷ピンで印刷するようにしている。
【0052】
つまり、判断部12は、画像データである印刷データにおいて一の印刷ピンによって印刷される頻度が所定の閾値よりも高い部分があるか否かを判断する。つまり、特定印刷ピンで印刷するべきデューティが高い位置(高頻度印刷部分)があるか否かを判断する。例えば、70%~80%を閾値としてもよい。
【0053】
特定部13は、画像データである印刷データにおいて一の印刷ピンによって印刷される頻度が所定の閾値よりも高い部分(高頻度印刷部分)がある場合には、当該部分の印刷ピンの配列方向における位置(例えば、10ドット目、14ドット目等)を特定する。
【0054】
決定部14は、画像データにおけるデューティが高い位置(高頻度印刷部分)毎に前回決定した印刷ピンとは異なる印刷ピンを前記特定印刷ピンとして決定する。また、決定部14は、複数の印刷ピンのなかからいずれの印刷ピンを特定印刷ピンとして決定した場合であっても印刷ヘッドを一定方向(正方向)に移動(印刷媒体に対して相対的に移動)させる移動量を決定する。
【0055】
以下、図7及び図8を用いて印刷装置1の動作例を説明する。図7及び図8は、実施形態に係る印刷装置1の動作内容を示すフローチャートである。図8のフローチャートは、図7のフローチャートの続きである。図7及び図8のフローチャートは、24ドット分を印刷する動作内容を示している。なお、印刷データは、画像データであるものとする。また、図7及び図8の説明において「線」は、線と見做したものである。
【0056】
図7及び図8において、αは、線を印刷する印刷ピン(特定印刷ピン)を示した変数である。βは、次改行補正量を示した変数である。faは、印刷ヘッドの正方向への移動を担保(負方向への移動を回避)する処理(ステップS44の処理)が実行された旨を示したフラグである。fbは、文字(線以外)を印刷する処理(ステップS52の処理)が実行された旨を示したフラグである。これらは、電源投入時に初期化され、初期値は、α=24、β=0、fa=0、fb=0である。α、β、fa、fbの値は、例えば、記憶部15に記憶される。また、図7及び図8において、γnは、線の位置(何ドット目であるか)を示したものである(n=1、2、…)。例えば、10ドット目、14ドット目が線の位置である場合、γ1=10、γ2=14である。γnは、電源投入時や24ドット分の印刷毎に初期化される(γnは全て消去される)。γnは、例えば、記憶部15に記憶される。
【0057】
(ステップS40)印刷装置1(判断部12)は、線が含まれているか否かを判断する。具体的には、印刷装置1は、特定印刷ピンで印刷するべきデューティが高い位置が1つ以上存在するか否かを判断する。線が含まれていると判断した場合(ステップS40:YES)、ステップS41に進む。線が含まれていないと判断した場合(ステップS40:NO)、ステップS67に進む。
【0058】
(ステップS41)印刷装置1(特定部13)は、線の位置を特定し、夫々を格納する。例えば、特定部13は、デューティが高い位置として、10ドット目、14ドット目を特定した場合、記憶部15にγ1=10、γ2=14を記憶する。続いてステップS42に進む。
【0059】
(ステップS42)印刷装置1(決定部14)は、「fb=0 かつ γn≧α」であるか否かを判断する。γnは、nの数分、γ1、γ2、…と順番に取り出される1つであって最初はγ1である。「fb=0」で、線以外が未印刷であるか印刷済であるかを判断する。fb=0は未印刷、fb=1は印刷済である。「γn≧α」で、はみだしが発生するか否か(換言すれば、線を印刷した後に線以外を印刷するとしたならば印刷ヘッドを負方向に移動させることになるか否か)を判断する。γn≧αであればはみだしが発生する。「fb=0 かつ γn≧α」であると判断した場合(ステップS42:YES)、つまり、線以外が未印刷であり、かつ、はみだしが発生すると判断した場合、ステップS51に進む。「fb=0 かつ γn≧α」でないと判断した場合(ステップS42:NO)、ステップS43に進む。
【0060】
(ステップS43)印刷装置1(決定部14)は、「(24-α-β+γn)≧0」であるか否かを判断する。「(24-α-β+γn)」は、ステップS46において移動させる印刷ヘッドの移動量である。「(24-α-β+γn)」がプラスの場合には正方向の移動量を示し、マイナスの場合には負方向の移動量を示している。「(24-α-β+γn)≧0」であると判断した場合(ステップS43:YES)、ステップS46に進む。「(24-α-β+γn)≧0」でないと判断した場合(ステップS43:NO)、ステップS44に進む。
(ステップS44)印刷装置1(決定部14)は、αを1減算する(α=α-1)。続いてステップS45に進む。
(ステップS45)印刷装置1(例えば、決定部14)は、faをセットする(fa=1)。続いてステップS43に戻る。
つまり、印刷装置1は、印刷ヘッドの正方向への移動が担保される迄(負方向への移動が回避される迄)、ステップS43~S45の処理を繰り返す。
【0061】
(ステップS46)印刷装置1(駆動制御部16)は、印刷ヘッドを(24-α-β+γn)ドット移動させる。続いてステップS47に進む。
(ステップS47)印刷装置1は、線を印刷する(駆動制御部16は、線の印刷を制御する)。続いてステップS48に進む。
(ステップS48)印刷装置1(決定部14)は、βに(24-α+γn)を代入する(β=24-α+γn)。続いてステップS49に進む。
(ステップS49)印刷装置1(決定部14)は、αを1減算する(α=α-1)。ここでは、決定部14は、前回決定した印刷ピンとは異なる印刷ピンを特定印刷ピンとして決定するため、αを1減算している。つまり、αを1減算することによって、前回決定した印刷ピンとは異なる印刷ピンが特定印刷ピンとして決定されるようになる。ステップS50に進む。
(ステップS50)印刷装置1(例えば、決定部14)は、nを1加算する(n=n+1)。つまり、印刷装置1は、次の線の位置(γn)を取り出すため、nを1加算している。続いて図8のステップS55に進む。
【0062】
(ステップS51)印刷装置1(駆動制御部16)は、印刷ヘッドを(24-β)ドット移動させる。続いてステップS52に進む。
(ステップS52)印刷装置1は、線以外を印刷する(駆動制御部16は、線以外の印刷を制御する)。続いてステップS53に進む。
(ステップS53)印刷装置1(決定部14)は、βに24を代入する(β=24)。続いてステップS54に進む。
(ステップS54)印刷装置1(例えば、決定部14)は、fbをセットする(fb=1)。続いて図8のステップS55に進む。
【0063】
(ステップS55)印刷装置1(例えば、決定部14)は、「fa=1」であるか否かを判断する。つまり、印刷装置1は、faがセットされているか否かを判断する。「fa=1」であると判断した場合(ステップS55:YES)、ステップS57に進む。「fa=1」でないと判断した場合(ステップS55:NO)、ステップS56に進む。
【0064】
(ステップS56)印刷装置1(決定部14)は、「α=0」であるか否かを判断する。つまり、印刷装置1は、ステップS49における1減算後のαの値が、印刷ピンの範囲(1~24)外となったか否かを判断する。「α=0」であると判断した場合(ステップS56:YES)、ステップS57に進む。「α=0」でないと判断した場合(ステップS56:NO)、ステップS59に進む。
【0065】
(ステップS57)印刷装置1(決定部14)は、αに24(初期値)を代入する(α=24)。続いてステップS58に進む。
(ステップS58)印刷装置1(決定部14)は、faをクリアする(fa=0)。続いてステップS59に進む。
【0066】
(ステップS59)印刷装置1(例えば、決定部14)は、残りのγnが有るか否かを判断する。つまり、印刷装置1は、ステップS41において特定した全部の線について、ステップS47において印刷したか否かを判断する。残りのγnが有ると判断した場合(ステップS59:YES)、ステップS60に進む。残りのγnがないと判断した場合(ステップS59:NO)、図7のステップS42に戻る。
つまり、印刷装置1は、特定した全部の線を印刷する迄、ステップS42~S59の処理を繰り返す。
【0067】
(ステップS60)印刷装置1(例えば、決定部14)は、「fb=0」であるか否かを判断する。なお、線以外の印刷が未だ終わっていない場合には「fb=0」であり、線以外の印刷が既に終わっている場合には「fb=1」である(ステップS54参照)。「fb=0」であると判断した場合(ステップS60:YES)、ステップS61に進む。「fb=0」でないと判断した場合(ステップS60:NO)、ステップS64に進む。
【0068】
(ステップS61)印刷装置1(駆動制御部16)は、印刷ヘッドを(24-β)ドット移動させる。続いてステップS62に進む。
(ステップS62)印刷装置1は、線以外を印刷する(駆動制御部16は、線以外の印刷を制御する)。続いてステップS63に進む。
(ステップS63)印刷装置1(決定部14)は、βに24を代入する(β=24)。続いてステップS64に進む。
【0069】
(ステップS64)印刷装置1(決定部14)は、「β≧24」であるか否かを判断する。「β≧24」であると判断した場合(ステップS64:YES)、ステップS65に進む。「β≧24」でないと判断した場合(ステップS64:NO)、ステップS60に進む。
【0070】
(ステップS65)印刷装置1(決定部14)は、βを24減算する(β=β-24)。続いてステップS66に進む。
(ステップS66)印刷装置1(決定部14)は、fbをクリアする(fb=0)。そして本フローチャートは終了する(画像データ分を全部印刷していない場合にはステップS1に戻る)。
【0071】
(ステップS67)印刷装置1(駆動制御部16)は、印刷ヘッドを(24-β)ドット移動させる。続いてステップS68に進む。
(ステップS68)印刷装置1は、文字を印刷する(駆動制御部16は、文字の印刷を制御する)。続いてステップS69に進む。
(ステップS69)印刷装置1(決定部14)は、βを初期化する(β=0)。そして本フローチャートは終了する(画像データ分を全部印刷していない場合にはステップS1に戻る)。
【0072】
図9図11は、実施形態に係る印刷装置1の動作内容を説明する概念図である。図9図11は、画像データに基づいて印刷する場合であり、画像データに線(デューティが高い部分)が含まれている場面における印刷例である。図7及び図8のフローチャートの流れに従って、図9図11に示した印刷例を説明する。なお、図9(A)の印刷後の状態として、fa=0、fb=0、α=19、β=0、10ドット目、14ドット目、21ドット目が、デューティが高い部分であるものとする。
【0073】
図7のフローチャートが開始され、デューティが高い部分があるため、ステップS40(YES)→ステップS41と処理が進行する。ステップS41において、デューティが高い位置として、10ドット目、14ドット目、21ドット目が特定され、記憶部15に、γ1=10、γ2=14、γ3=21が記憶される。
【0074】
続くステップS42において、印刷装置1は、「fb=0 かつ γn≧α」であるかを判断するのだが、fb=0、γ1=10、α=19であるため、ステップS42(NO)→ステップS43と処理が進行する。
【0075】
ステップS43において、印刷装置1は、「(24-α-β+γn)≧0」であるかを判断するのだが、α=19、β=0、γ1=10であるため、ステップS43(YES)→ステップS46と処理が進行する。
【0076】
ステップS46において、印刷装置1は、印刷ヘッドを(24-α-β+γn)ドット移動させるのだが、α=19、β=0、γ1=10であるため、15ドット移動させる。続くステップS47において、印刷装置1は、γ1の線を印刷する。図9(B)は、この印刷後の状態を示している。図9(B)の矢印は15ドット分の印刷ヘッドの移動を示している。図9(B)に示すように、19番の印刷ピンが特定印刷ピン(α=19)であり、γ1の線を印刷している。
【0077】
続くステップS48において、印刷装置1は、βに(24-α+γn)を代入するのだが、α=19、γ1=10であるため、βは15となる。続くステップS49において、印刷装置1は、αを1減算するため、αは18となる。続くステップS50において、印刷装置1は、nを1加算するため、nは2となる。以下、ステップS55(NO)→ステップS56(NO)→ステップS59と処理が進行する。ステップS59において、残りのγn(γ2=14、γ3=21)があるため、ステップS42に戻る。
【0078】
ステップS42において、印刷装置1は、「fb=0 かつ γn≧α」であるかを判断するのだが、fb=0、γ2=14、α=18であるため、ステップS42(NO)→ステップS43と処理が進行する。
【0079】
ステップS43において、印刷装置1は、「(24-α-β+γn)≧0」であるかを判断するのだが、α=18、β=15、γ2=14であるため、ステップS43(YES)→ステップS46と処理が進行する。
【0080】
ステップS46において、印刷装置1は、印刷ヘッドを(24-α-β+γn)ドット移動させるのだが、α=18、β=15、γ2=14であるため、5ドット移動させる。続くステップS47において、印刷装置1は、γ2の線を印刷する。図10(A)は、この印刷後の状態を示している。図10(A)の矢印は5ドット分の印刷ヘッドの移動を示している。図10(A)に示すように、18番の印刷ピンが特定印刷ピン(α=18)であり、γ2の線を印刷している。
【0081】
続くステップS48において、印刷装置1は、βに(24-α+γn)を代入するのだが、α=18、γ2=14であるため、βは20となる。続くステップS49において、印刷装置1は、αを1減算するため、αは17となる。続くステップS50において、印刷装置1は、nを1加算するため、nは3となる。以下、ステップS55(NO)→ステップS56(NO)→ステップS59と処理が進行する。ステップS59において、残りのγn(γ3=21)があるため、ステップS42に戻る。
【0082】
ステップS42において、印刷装置1は、「fb=0 かつ γn≧α」であるかを判断するのだが、fb=0、γ3=21、α=17であるため、ステップS42(YES)→ステップS51と処理が進行する。
【0083】
ステップS51において、印刷装置1は、印刷ヘッドを(24-β)ドット移動させるのだが、β=20であるため、4ドット移動させる。続くステップS52において、印刷装置1は、線以外を印刷する。図10(B)は、この印刷後の状態を示している。図10(B)の矢印は4ドット分の印刷ヘッドの移動を示している。図10(B)に示すように、γ3の線以外を印刷している。
【0084】
続くステップS53において、印刷装置1は、βは24となる。続くステップS49において、fbがセットされる(fb=1)。以下、ステップS55(NO)→ステップS56(NO)→ステップS59と処理が進行する。ステップS59において、残りのγn(γ3=21)があるため、ステップS42に戻る。
【0085】
ステップS42において、印刷装置1は、「fb=0 かつ γn≧α」であるかを判断するのだが、fb=1、γ3=21、α=17であるため、ステップS42(NO)→ステップS43と処理が進行する。
【0086】
ステップS43において、印刷装置1は、「(24-α-β+γn)≧0」であるかを判断するのだが、α=17、β=24、γ3=21であるため、ステップS43(YES)→ステップS46と処理が進行する。
【0087】
ステップS46において、印刷装置1は、印刷ヘッドを(24-α-β+γn)ドット移動させるのだが、α=17、β=24、γ3=21であるため、4ドット移動させる。続くステップS47において、印刷装置1は、γ3の線を印刷する。図11は、この印刷後の状態を示している。図11の矢印は4ドット分の印刷ヘッドの移動を示している。図10に示すように、17番の印刷ピンが特定印刷ピン(α=17)であり、γ3の線を印刷している。
【0088】
続くステップS48において、印刷装置1は、βに(24-α+γn)を代入するのだが、α=17、γ3=21であるため、βは28となる。続くステップS49において、印刷装置1は、αを1減算するため、αは16となる。続くステップS50において、印刷装置1は、nを1加算するため、nは4となる。以下、ステップS55(NO)→ステップS56(NO)→ステップS59と処理が進行する。ステップS59において、残りのγn(γ4はなし)はないため、ステップS60に進む。以下、ステップS60(NO)→ステップS64(YES)→ステップS65と処理が進行する。ステップS64において、印刷装置1は、βを24減算するため、βは4となる。続くステップS66において、印刷装置1は、fbを初期化し(fb=0)、フローチャートは終了する。
【0089】
上記では、主に図3図6を用いて印刷データがテキストデータである場合の文字印刷について説明し、主に図7図11を用いて印刷データが画像データである場合のイメージ印刷について説明した。つまり、文字印刷とイメージ印刷とを別々に説明したが、入力した印刷データに応じて、処理が切り分けられるようにしてもよい。すなわち、印刷装置1は、印刷データがテキストデータであるか画像データであるかを判断し、テキストデータであると判断した場合には図5及び図6に示した処理を実行し、画像データであると判断した場合には図7及び図8に示した処理を実行してもよい。
【0090】
つまり、判断部12や特定部13は、以下のように動作してもよい。
判断部12は、印刷データがテキストデータであるか画像データであるかを判断する。判断部12は、印刷データがテキストデータであると判断した場合には、当該テキストデータにおいて文字の上側又は下側に線が付されているか否か(つまり高頻度印刷部分である下線や上線があるか否か)を判断する。例えば、判断部12は、印刷コマンドに基づいて文字の上側又は下側に線が付されているか否かを判断する。一例として、他の装置が印刷装置1に対し、テキスト送信の前に印刷コマンドを送信する態様である場合、判断部12は、印刷コマンド若しくは印刷コマンドの内容を特定する情報を取得(例えば、入力部10、バッファ部11を介して取得)し、当該印刷コマンドが、下線指示(これからの文字は下線を伴う文字である旨の印刷コマンド)又は上線指示(これからの文字は上線を伴う文字である旨の印刷コマンド)であった場合には、文字の上側又は下側に線が付されていると判断する。なお、一の文字に下線指示と上線指示の両方が同時に適用されない。また、後から指示された印刷コマンドが有効になる。
【0091】
判断部12は、印刷データが画像データであると判断した場合には、当該画像データにおける一の印刷ピンによって印刷される頻度が所定の閾値よりも高い部分(高頻度印刷部分であるデューティが高い位置)があるか否かを判断する。例えば、判断部12は、展開(描画)された画像データ(イメージ)を走査して、連続した直線箇所を見つけ、その連続した長さが所定の閾値を超えている部分(高頻度印刷部分)があるか否かを判断する。なお、他の装置が印刷装置1に対し、印刷コマンドとして印刷されるイメージを送信する態様である場合、該イメージが印刷装置1のメモリ空間(例えばバッファ部11)に一旦イメージ展開(描画)されるため、判断部12は、メモリ空間に展開されたイメージを走査する。
【0092】
特定部13は、印刷データがテキストデータであって文字の上側又は下側に線が付されている場合(つまり高頻度印刷部分である下線や上線があるか場合)には、線が文字の上側であるか下側であるかを特定する。例えば、特定部13は、印刷コマンドに基づいて線が文字の上側であるか下側であるかを特定する。一例として、他の装置が印刷装置1に対し、テキスト送信の前に印刷コマンドを送信する態様である場合、特定部13は、印刷コマンド若しくは印刷コマンドの内容を特定する情報を取得(例えば、入力部10、バッファ部11、判断部12を介して取得)し、当該印刷コマンドが、下線指示であった場合には線が文字の下側であると特定し、上線指示であった場合には線が文字の上側であると特定する。
なお、印刷コマンドが「AB 下線指示 CDE 復帰改行(CRLF)」であった場合には、その行には、「A(下線も上線も無)」「B(下線も上線も無)」「C(下線有)」「D(下線有)」「E(下線有)」と印刷される。
【0093】
特定部13は、印刷データが画像データであって当該画像データにおいて一の印刷ピンによって印刷される頻度が所定の閾値よりも高い部分(高頻度印刷部分であるデューティが高い位置)がある場合には、当該部分の印刷ピンの配列方向における位置を特定する。例えば、特定部13は、判断部12がイメージを走査して高頻度印刷部分があると判断した場合に、当該高頻度印刷部分であると判断した部分の印刷ピンの配列方向における位置を特定する。
【0094】
なお、決定部14は、高頻度印刷部分が、テキストデータにおける下線や上線であっても、画像データにおけるデューティが高い位置であっても、高頻度印刷部分毎に前回決定した印刷ピンとは異なる印刷ピンを前記特定印刷ピンとして決定する。また、決定部14は、複数の印刷ピンのなかからいずれの印刷ピンを特定印刷ピンとして決定した場合であっても印刷ヘッドを一定方向(正方向)に移動(印刷媒体に対して相対的に移動)させる移動量を決定する。
【0095】
判断部12と特定部13は、判断部12の機能と特定部13の機能を有する1つの部材(判断特定部)であってもよい。すなわち、判断特定部は、印刷データがテキストデータであるか画像データであるかを判断する。判断特定部は、印刷データがテキストデータであると判断した場合には、当該テキストデータにおいて文字の上側又は下側に線が付されているか否かを判断し、文字の上側又は下側に線が付されていると判断した場合には線が文字の上側であるか下側であるかを特定する。判断特定部は、印刷データが画像データであると判断した場合には、当該画像データにおける一の印刷ピンによって印刷される頻度が所定の閾値よりも高い部分があるか否かを判断し、高い部分があると判断した場合には当該部分の印刷ピンの配列方向における位置を特定する。
【0096】
図12は、発明の実施形態に係る装置の最小構成の機能ブロック図である。図11に示した装置2は、判断部22、特定部23、決定部24を備える。なお、装置2の判断部22は、印刷装置1の判断部12と同様の機能を有し、装置2の特定部23は、印刷装置1の特定部13と同様の機能を有し、装置2の決定部24は、印刷装置1の決定部14と同様の機能を有するため、説明を省略する。装置2は、印刷装置であってもよいし、他の印刷装置を制御する印刷制御装置であってもよい。また、判断部22と特定部23は、判断部22の機能と特定部23の機能を有する1つの部材(判断特定部)であってもよい。
【0097】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述の実施形態によれば、どのような印刷データであっても、高頻度印刷部分が特定され、高頻度印刷部分を印刷する印刷ピンを決定するため、どのような印刷データであっても、簡便に印刷ピンの負荷を分散させることができる。
なお、印刷ピンの負荷を分散させることにより、特定の印刷ピンだけ寿命到達が早くなるといった状況を回避することができる。
【0098】
また、上述の実施形態によれば、いずれの印刷ピンを前記特定印刷ピンとして決定した場合であっても印刷ヘッドを一定方向(正方向)に移動させる移動量を決定するため、例えば、印刷の速度を維持しつつ、印刷ピンの負荷を分散させることができる。
【0099】
上述の印刷装置1(装置2も同様)は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0100】
1…印刷装置
2…印刷装置(印刷制御装置)
10…入力部
11…バッファ部
12…判断部
13…特定部
14…決定部
15…記憶部
16…駆動制御部
22…判断部
23…特定部
24…決定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12