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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138030
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/04 20060101AFI20220914BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220914BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220914BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20220914BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20220914BHJP
   H05B 33/06 20060101ALI20220914BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220914BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
H05B33/04
H01L27/32
H05B33/14 A
H05B33/02
H05B33/22 Z
H05B33/06
G09F9/30 365
G09F9/30 308Z
G09F9/30 309
G09F9/30 339Z
G09F9/00 308E
G09F9/00 342
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037800
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】514188173
【氏名又は名称】株式会社JOLED
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】藤吉 純
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC23
3K107CC25
3K107DD17
3K107DD38
3K107DD39
3K107DD90
3K107DD96
3K107EE04
3K107EE42
3K107EE46
3K107EE48
3K107FF15
5C094AA36
5C094AA38
5C094BA03
5C094BA29
5C094CA19
5C094CA24
5C094DA06
5C094DA07
5C094DA13
5C094EA04
5C094EA10
5C094FA01
5C094FA02
5C094FB01
5C094FB02
5C094FB12
5C094GB01
5C094JA01
5G435AA09
5G435AA13
5G435BB05
5G435CC09
5G435CC12
5G435EE12
5G435FF11
5G435GG42
5G435HH12
5G435HH20
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】発光層への水分の浸入を抑制し、かつ、積層構造において生じる応力を抑制できる表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置1は、フレキシブルな第1基板21と、第1基板21の上方に配置される薄膜トランジスタ層40と、薄膜トランジスタ層40の上方に配置され、有機材料で形成される第1平坦化層51と、第1平坦化層51の上方に配置され、無機材料で形成される第1バリア層61と、第1バリア層61の上方に配置される第1電極71とを備え、第1平坦化層51には、第1平坦化層51を貫通する第1貫通部51hが形成されており、第1バリア層61には、第1バリア層61を貫通し、少なくとも一部が第1貫通部51hと接続される第2貫通部61hが形成されており、第1貫通部51h及び第2貫通部61hには、第1電極71の一部が充填されており、平面視において、第2貫通部61hの面積は、第1電極71の面積の30%以上である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルな第1基板と、
前記第1基板の一方の主面の上方に配置され、無機材料で形成される第1下方バリア層と、
前記第1下方バリア層の上方に配置される薄膜トランジスタを含む薄膜トランジスタ層と、
前記薄膜トランジスタ層の上方に配置され、有機材料で形成される第1平坦化層と、
前記第1平坦化層の上方に配置され、無機材料で形成される第1バリア層と、
前記第1バリア層の上方に配置される第1電極と、
前記第1電極の上方に配置される第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極の間に配置され、前記第1電極及び前記第2電極を介して電流が供給されることによって発光する発光層とを備え、
前記第1平坦化層には、前記第1平坦化層を貫通する第1貫通部が形成されており、
前記第1バリア層には、前記第1バリア層を貫通し、少なくとも一部が前記第1貫通部と接続される第2貫通部が形成されており、
前記第1貫通部及び前記第2貫通部には、前記第1電極の一部が充填されており、
前記第1基板の前記主面の平面視において、前記第2貫通部の面積は、前記第1電極の面積の30%以上である
表示装置。
【請求項2】
フレキシブルな第1基板と、
前記第1基板の一方の主面の上方に配置され、無機材料で形成される第1下方バリア層と、
前記第1下方バリア層の上方に配置される薄膜トランジスタを含む薄膜トランジスタ層と、
前記薄膜トランジスタ層の上方に配置され、有機材料で形成される第1平坦化層と、
前記第1平坦化層の上方に配置され、無機材料で形成される第1バリア層と、
前記第1バリア層の上方に配置される第1電極と、
前記第1電極の上方に配置される第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極の間に配置され、前記第1電極及び前記第2電極を介して電流が供給されることによって発光する発光層と、
前記薄膜トランジスタ層及び前記第1平坦化層の間に配置され、有機材料で形成される第2平坦化層と、
前記第2平坦化層及び前記第1平坦化層の間に配置され、無機材料で形成される第2バリア層と、
前記第2バリア層及び前記第1平坦化層の間に配置される中継電極とを備え、
前記第1平坦化層には、前記第1平坦化層を貫通する第1貫通部が形成されており、
前記第1バリア層には、前記第1バリア層を貫通し、少なくとも一部が第1貫通部と接続される第2貫通部が形成されており、
前記第2平坦化層には、前記第2平坦化層を貫通する第3貫通部が形成されており、
前記第2バリア層には、前記第2バリア層を貫通し、少なくとも一部が第3貫通部と接続される第4貫通部が形成されており、
前記第1貫通部及び前記第2貫通部には、前記第1電極の一部が充填されており、
前記第3貫通部及び前記第4貫通部には、前記中継電極の一部が充填されており、
前記第1基板の前記主面の平面視において、前記第4貫通部の少なくとも一部は、前記第2貫通部と異なる位置に配置され、
前記中継電極は、前記第1電極と、前記第1貫通部において電気的に接続される
表示装置。
【請求項3】
前記第2バリア層には、前記第1貫通部の下方に配置され、前記第2バリア層を貫通し、前記中継電極が充填されない第5貫通部が形成されている
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1基板の主面の平面視において、前記第2貫通部は、前記第1電極の長手方向に沿って延びる長尺状の複数の貫通孔を含む
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1基板の主面の平面視において、前記第2貫通部は、千鳥格子状に配置された複数の貫通孔を含む
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1下方バリア層及び前記薄膜トランジスタ層の間に配置されるフレキシブルな第2基板と、
前記第2基板及び前記薄膜トランジスタ層の間に配置され、無機材料で形成される第2下方バリア層とをさらに備える
請求項1~5のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチックなどの有機材料で形成されるフレキシブルな基板を用いた表示装置が提案されている。このような表示装置においては、発光素子として、例えば、有機EL(Electro-Luminescence)素子が用いられる。このような有機EL素子は、水分の浸入により劣化し得る。特に、有機材料で形成される基板を用いる場合には、ガラスなどの無機材料で形成される基板を用いる場合より、基板における水分の浸入を抑制しにくい。このため、基板側から、有機EL素子に水分が浸入するおそれがある。
【0003】
特許文献1に記載された画像表示装置においては、有機EL素子に含まれる発光層と、薄膜トランジスタを覆う有機平坦化膜との間に無機絶縁膜を配置することで、有機平坦化膜から発光層への水分の浸入を抑制しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-24887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された画像表示装置においては、無機絶縁膜の上面に配置される電極膜を形成する際に、有機平坦化膜が熱せられることにより、有機平坦化膜においてガスが発生する。このガスが無機絶縁膜を透過できずに有機平坦化膜に留まることで、無機絶縁膜に応力が加わる。このため、無機絶縁膜が有機平坦化膜から剥がれるおそれがある。
【0006】
本開示は、上記の問題を解決するためになされたものであり、発光層への水分を抑制し、かつ、積層構造において生じる応力を抑制できる表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る表示装置は、フレキシブルな第1基板と、前記第1基板の一方の主面の上方に配置され、無機材料で形成される第1下方バリア層と、前記第1下方バリア層の上方に配置される薄膜トランジスタを含む薄膜トランジスタ層と、前記薄膜トランジスタ層の上方に配置され、有機材料で形成される第1平坦化層と、前記第1平坦化層の上方に配置され、無機材料で形成される第1バリア層と、前記第1バリア層の上方に配置される第1電極と、前記第1電極の上方に配置される第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に配置され、前記第1電極及び前記第2電極を介して電流が供給されることによって発光する発光層とを備え、前記第1平坦化層には、前記第1平坦化層を貫通する第1貫通部が形成されており、前記第1バリア層には、前記第1バリア層を貫通し、少なくとも一部が前記第1貫通部と接続される第2貫通部が形成されており、前記第1貫通部及び前記第2貫通部には、前記第1電極の一部が充填されており、前記第1基板の前記主面の平面視において、前記第2貫通部の面積は、前記第1電極の面積の30%以上である。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本開示の他の一態様に係る表示装置は、フレキシブルな第1基板と、前記第1基板の一方の主面の上方に配置され、無機材料で形成される第1下方バリア層と、前記第1下方バリア層の上方に配置される薄膜トランジスタを含む薄膜トランジスタ層と、前記薄膜トランジスタ層の上方に配置され、有機材料で形成される第1平坦化層と、前記第1平坦化層の上方に配置され、無機材料で形成される第1バリア層と、前記第1バリア層の上方に配置される第1電極と、前記第1電極の上方に配置される第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に配置され、前記第1電極及び前記第2電極を介して電流が供給されることによって発光する発光層と、前記薄膜トランジスタ層及び前記第1平坦化層の間に配置され、有機材料で形成される第2平坦化層と、前記第2平坦化層及び前記第1平坦化層の間に配置され、無機材料で形成される第2バリア層と、前記第2バリア層及び前記第1平坦化層の間に配置される中継電極とを備え、前記第1平坦化層には、前記第1平坦化層を貫通する第1貫通部が形成されており、前記第1バリア層には、前記第1バリア層を貫通し、少なくとも一部が第1貫通部と接続される第2貫通部が形成されており、前記第2平坦化層には、前記第2平坦化層を貫通する第3貫通部が形成されており、前記第2バリア層には、前記第2バリア層を貫通し、少なくとも一部が第3貫通部と接続される第4貫通部が形成されており、前記第1貫通部及び前記第2貫通部には、前記第1電極の一部が充填されており、前記第3貫通部及び前記第4貫通部には、前記中継電極の一部が充填されており、前記第1基板の前記主面の平面視において、前記第4貫通部の少なくとも一部は、前記第2貫通部と異なる位置に配置され、前記中継電極は、前記第1電極と、前記第1貫通部において電気的に接続される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、発光層への水分の浸入を抑制し、かつ、積層構造において生じる応力を抑制できる表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態1に係る表示装置の全体構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態1に係るサブ画素の構成の一例を示す模式的な平面図である。
図3図3は、実施の形態1に係るサブ画素の積層構造を示す模式的な断面図である。
図4図4は、実施の形態1に係る表示装置の製造方法の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、実施の形態2に係る表示装置のサブ画素の積層構造を示す模式的な断面図である。
図6図6は、実施の形態3に係る表示装置のサブ画素の構成の一例を示す模式的な平面図である。
図7図7は、実施の形態3に係る表示装置のサブ画素の積層構造を示す模式的な断面図である。
図8図8は、実施の形態4に係る表示装置のサブ画素の構成の一例を示す模式的な平面図である。
図9図9は、実施の形態4に係る表示装置のサブ画素の積層構造を示す模式的な断面図である。
図10図10は、実施の形態5に係る表示装置のサブ画素の構成の一例を示す模式的な平面図である。
図11図11は、実施の形態5に係る表示装置のサブ画素の積層構造を示す模式的な断面図である。
図12図12は、実施の形態6に係る表示装置のサブ画素の積層構造を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示における一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、並びに、工程の順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示における最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺等は必ずしも一致していない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
また、本明細書において、「上方」及び「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。また、「上方」及び「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔をあけて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに接する状態で配置される場合にも適用される。
【0014】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る表示装置について説明する。
【0015】
[1-1.全体構成]
まず、本実施の形態に係る表示装置の全体構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る表示装置1の全体構成の一例を示すブロック図である。
【0016】
本実施の形態に係る表示装置1は、図1に示されるように、表示部12と、ゲートドライバ13と、データドライバ15と、コントローラ16と、電源17とを備える。本実施の形態では、表示装置1は、アクティブマトリクス型のカラー表示装置である。
【0017】
表示部12は、マトリクス状に配置される複数の画素10を有する画像表示部である。複数の画素10の各々は、少なくとも一つのサブ画素を有する。本実施の形態では、複数の画素10の各々は、R、G、Bの発光色にそれぞれ対応するサブ画素11R、11G、11Bを有する。複数の画素10の各々は、当該画素の発光を制御する画素回路を含む。各画素回路は、一つ以上のサブ画素回路を有する。サブ画素11R、11G、11Bの各々は、当該サブ画素の発光を制御するサブ画素回路を含む。
【0018】
表示部12は、マトリクスの各行に配置される複数の画素10に含まれる画素回路に接続される少なくとも1本の制御信号線cs(i)(iは1以上N以下の整数。Nはマトリクスの行数を示す1より大きい整数。)を有する。制御信号線cs(i)は、ゲートドライバ13から供給される制御信号を、画素10へ伝達する。
【0019】
表示部12は、マトリクスの各列に配置される複数の画素10の各々の画素回路に接続される3本のデータ信号線Ldr(j)、Ldg(j)、Ldb(j)(jは1以上M以下の整数。Mはマトリクスの列数を示す1より大きい整数。)を有する。データ信号線Ldr(j)、Ldg(j)、Ldb(j)は、それぞれデータドライバ15から供給されるR、G、Bの発光輝度に関連するデータ信号を、画素10の画素回路へ伝達する。
【0020】
コントローラ16は、外部から映像信号を受信し、当該映像信号に対応する各フレームの画像を表示部12において表示するための信号を、ゲートドライバ13及びデータドライバ15へ供給する。
【0021】
ゲートドライバ13は、コントローラ16からの信号に基づいて、表示部12に制御信号を出力する回路である。ゲートドライバ13は、1水平周期毎に一つの駆動パルスを順次出力する。
【0022】
データドライバ15は、コントローラ16からの信号に基づいて、表示部12にデータ信号を出力する回路である。
【0023】
電源17は、表示部12、ゲートドライバ13、データドライバ15、及びコントローラ16へ、電力などを供給する。
【0024】
[1-2.サブ画素の構成]
続いてサブ画素11Rの構成について図2及び図3を用いて説明する。図2は、本実施の形態に係るサブ画素11Rの構成の一例を示す模式的な平面図である。図2は、後述する第1基板21の主面21aの平面視におけるサブ画素11Rの平面図である。図2には、サブ画素11Rが備える第1電極71の輪郭、並びに、第1貫通部51h及び第2貫通部61hの輪郭が点線で示されている。図3は、本実施の形態に係るサブ画素11Rの積層構造を示す模式的な断面図である。図3には、図2のIII-III線における断面が示される。なお、図2以降の各図には、X軸、Y軸、及びZ軸が示されている。X軸、Y軸、及びZ軸は、右手系の直交座標系を示す。本実施の形態では、画素10が有するサブ画素11R、11G、11Bは、互いに同一の構成を有している。以下、画素10の構成について、サブ画素11Rに着目して説明する。
【0025】
図3に示されるように、本実施の形態に係る表示装置1のサブ画素11Rは、第1基板21と、第1下方バリア層31と、薄膜トランジスタ層40と、第1平坦化層51と、第1バリア層61と、第1電極71と、発光層74と、第2電極72とを備える。本実施の形態では、サブ画素11Rは、バンク80をさらに備える。
【0026】
第1基板21は、サブ画素11Rの基台となるフレキシブルな板状部材である。第1基板21は、主面21a及び21bを有する。第1基板21として、例えば、芳香族ポリイミドやフッ化ポリイミドなどのポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂などの有機材料を含む基板を用いることができる。
【0027】
第1下方バリア層31は、第1基板21の一方の主面21aの上方に配置され、無機材料で形成される絶縁層である。第1下方バリア層31として、シリコン酸化物(SiO)、シリコン窒化物(SiN)などの無機材料膜を用いることができる。第1下方バリア層31により、第1基板21から発光層74へ水分が浸入することを抑制できる。
【0028】
薄膜トランジスタ層40は、第1下方バリア層31の上方に配置される層であり、薄膜トランジスタなどを含む回路が形成されている。薄膜トランジスタ層40は、サブ画素回路の主要部を含む。薄膜トランジスタ層40は、例えば、酸化物半導体などを含む半導体層、絶縁層、及び導電層を含む。
【0029】
第1平坦化層51は、薄膜トランジスタ層40の上方に配置され、有機材料で形成される絶縁層である。第1平坦化層51には、第1平坦化層51を貫通する第1貫通部51hが形成されている。第1平坦化層51は、例えば、フッ化ポリイミドなどのポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂などの有機材料で形成される。
【0030】
第1バリア層61は、第1平坦化層51の上方に配置され、無機材料で形成される絶縁層である。第1バリア層61として、シリコン酸化物、シリコン窒化物などの無機材料膜を用いることができる。第1バリア層61は、第1平坦化層51及びその下方の層から発光層74への水分の浸入を抑制する。
【0031】
第1バリア層61には、第1バリア層61を貫通し、少なくとも一部が第1貫通部51hと接続される第2貫通部61hが形成されている。このように、第1バリア層61には、第2貫通部61hが形成されているが、第2貫通部61hには、第1電極71の一部が充填されているため、第2貫通部61hを介して発光層74へ水分が浸入することを抑制できる。
【0032】
また、図2に示されるように、第1基板21の主面21aの平面視において、第2貫通部61hの面積は、第1電極71の面積の30%以上である。第2貫通部61hの面積は、第1電極71の面積の50%以上であってもよい。また、第2貫通部61hの面積は、第1電極71の面積の70%以上であってもよい。第2貫通部61hの面積と、第1電極71の面積との関係による効果については後述する。
【0033】
第1電極71は、第1バリア層61の上方に配置される導電層である。第1電極71と第2電極72とは、発光層74に電流を供給する電極として機能する。本実施の形態では、第1電極71は、第2電極72より高い電位が印加される陽極である。第1電極71は、第1貫通部51h及び第2貫通部61hにも配置される。言い換えると、第1貫通部51h及び第2貫通部62hには、第1電極71の一部が充填される。本実施の形態では、第1電極71は、第1貫通部51h及び第2貫通部61hを介して、薄膜トランジスタ層40に含まれる導電層と電気的に接続される。このように、第1貫通部51h及び第2貫通部61hは、コンタクトホールとして機能する。第1電極71は、例えば、Ag合金、Alなどの発光層74で発生する光に対する反射率が高い金属材料で形成される。これにより、発光層74で発生した光を効率よく利用することができる。
【0034】
第2電極72は、第1電極71の上方に配置される導電層である。第2電極72は、発光層74に電流を供給する電極として機能する。本実施の形態では、第2電極72は、第1電極71より低い電位が印加される陰極である。第2電極72は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)などの発光層74で発生する光に対して透光性を有する導電材料で形成される。
【0035】
発光層74は、第1電極71及び第2電極72の間に配置され、第1電極71及び第2電極72を介して電流が供給されることによって発光する層である。発光層74は、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、有機EL層、電子輸送層、電子注入層などを含む。これにより、発光層74と、第1電極71と、第2電極72とで有機EL素子を形成することができる。なお、発光層74は、無機材料層を含んでもよい。なお、本実施の形態では、発光層74は、バンク80で囲まれた領域内に配置されるが、バンク80の上方にも配置されてもよい。
【0036】
バンク80は、画素10及びサブ画素11R、11G及び11Bを区画する壁状の絶縁層である。言い換えると、バンク80は、隣り合うサブ画素間の境界上に配置される。バンク80は、例えば、フッ化ポリイミド系材料、アクリル材料、フェノール樹脂などを用いて形成される。バンク80で囲まれた領域内に第1電極71及び発光層74が配置される。なお、図3に示されるように第2電極72は、発光層74及びバンク80の上方に配置される。つまり、第2電極72は、表示部12のうち、複数の画素10が配置される領域の全面に配置される。
【0037】
なお、第2電極72の上方に他の層などが形成されてもよい。例えば、第2電極72の上方に偏光板などが配置されてもよい。また、第2電極72と偏光板との間に樹脂膜、無機バリア膜などが配置されてもよい。また、偏光板と第2電極72との間に偏光板を接着するための粘着剤などが配置されてもよい。
【0038】
[1-3.製造方法]
次に、本実施の形態に係る表示装置1の製造方法について図4を用いて説明する。図4は、本実施の形態に係る表示装置1の製造方法の流れを示すフローチャートである。
【0039】
図4に示されるように、まず、第1基板21を準備する(S10)。
【0040】
続いて、第1基板21の主面21aの上方に配置される第1下方バリア層31を形成する(S12)。具体的には、第1下方バリア層31として、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜などを、第1基板21の主面21aの、少なくとも複数の画素10が対応する領域に成膜する。第1下方バリア層31は、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて形成することができる。
【0041】
続いて、第1下方バリア層31の上方に配置され、薄膜トランジスタを含む薄膜トランジスタ層40を形成する(S14)。具体的には、薄膜トランジスタ層40に含まれる各導電層、各絶縁層、及び、各半導体層を形成する。各導電層及び各半導体層は、例えば、スパッタ法などを用いて形成することができる。各絶縁層は、例えば、プラズマCVD法などを用いて形成することができる。また、各層のパターニングは、例えば、フォトリソグラフィ法、及び、エッチング法などを用いて行うことができる。
【0042】
続いて、薄膜トランジスタ層40の上方に配置される第1平坦化層51を形成する(S16)。例えば、ポリイミド系の樹脂を溶媒に溶解させた溶液を薄膜トランジスタ層40上に塗布し、その後、焼成することによって第1平坦化層51を成膜する。
【0043】
続いて、第1平坦化層51に、第1平坦化層51を貫通する第1貫通部51hを形成する(S18)。第1貫通部51hは、例えば、フォトリソグラフィ法、及び、エッチング法などを用いて形成できる。なお、第1貫通部51hは、第1平坦化層51を形成する際に同時に形成されてもよい。例えば、ポリイミド系の樹脂を露光及び現像することにより、第1平坦化層51を形成すると同時に、第1貫通部51hをパターニングしてもよい。
【0044】
続いて、第1平坦化層51の上方に第1バリア層61を形成する(S20)。具体的には、第1バリア層61として、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜などを、第1平坦化層51上に成膜する。第1バリア層61は、例えば、プラズマCVD法などを用いて形成することができる。
【0045】
続いて、第1バリア層61に、第1バリア層61を貫通する第2貫通部61hを形成する(S22)。第2貫通部61hは、例えば、フォトリソグラフィ法、及び、エッチング法などを用いて形成できる。
【0046】
続いて、第1バリア層61の上方に第1電極71を形成する(S24)。具体的には、第1バリア層61の上面及び第1貫通部51h及び第2貫通部61hの内部にスパッタ法などを用いてAg合金膜などの導電膜を形成した後、フォトリソグラフィ法及びエッチング法などを用いて当該導電膜を所定形状にパターニングすることで第1電極71を形成する。このような第1電極71を形成する際に、第2貫通部61hの近傍の第1平坦化層51が加熱される。これに伴い、第2貫通部61hの近傍における第1平坦化層51からガスが発生する。発生したガスは、第1バリア層61及び第1電極71によって閉じ込められるため、第2貫通部61hの近傍の第1バリア層61に応力が発生する。しかしながら、本実施の形態では、平面視における第2貫通部61hの面積が第1電極71の面積の30%以上であるため、応力を比較的広い範囲に分散させることができる。したがって、応力による第1バリア層61の剥がれ、及び、亀裂を抑制できる。また、第2貫通部61hに充填された第1電極71は、亀裂が発生しにくく、水分バリア性がSiNなどの無機膜よりも高い金属材料で形成されているため、第2貫通部61hから、発光層74へ水分が浸入することを抑制できる。
【0047】
続いて、第1バリア層61の上方にバンクを形成する(S26)。具体的には、第1バリア層61の上方の全面に、つまり、第1バリア層61上及び第1電極71上に、フェノール樹脂を溶媒に溶解させた溶液を一様に塗布した後、露光及び現像を行うことで所定形状のバンク80を形成する。
【0048】
続いて、第1電極71の上方に発光層74を形成する(S28)。具体的には、バンク80で囲まれた領域内に、発光層74を形成する。発光層74に含まれる各有機材料層は、例えば、インクジェットによる塗布法(言い換えると、印刷法)を用いて形成することができる。なお、発光層74の一部は、バンク80上にも形成されてもよい。
【0049】
続いて、発光層74及びバンク80の上方に第2電極72を形成する(S30)。具体的には、発光層74及びバンク80上の全面に、スパッタ法などを用いて第2電極72を形成する。
【0050】
以上のような製造方法によって、表示装置1の表示部12を製造することができる。
【0051】
[1-4.まとめ]
以上のように、本実施の形態に係る表示装置1は、フレキシブルな第1基板21と、第1基板21の一方の主面21aの上方に配置され、無機材料で形成される第1下方バリア層31と、第1下方バリア層31の上方に配置される薄膜トランジスタを含む薄膜トランジスタ層40と、薄膜トランジスタ層40の上方に配置され、有機材料で形成される第1平坦化層51と、第1平坦化層51の上方に配置され、無機材料で形成される第1バリア層61と、第1バリア層61の上方に配置される第1電極71と、第1電極71の上方に配置される第2電極72と、第1電極71及び第2電極72の間に配置され、第1電極71及び第2電極72を介して電流が供給されることによって発光する発光層74とを備える。第1平坦化層51には、第1平坦化層51を貫通する第1貫通部51hが形成されている。第1バリア層61には、第1バリア層61を貫通し、少なくとも一部が第1貫通部51hと接続される第2貫通部61hが形成されている。第1貫通部51h及び第2貫通部61hには、第1電極71の一部が充填されている。第1基板21の主面21aの平面視において、第2貫通部61hの面積は、第1電極71の面積の30%以上である。
【0052】
このように、発光層74の下方に第1バリア層61が配置され、第1バリア層61に形成された第2貫通部61hには、第1電極71が充填されるため、第1バリア層61より下方から発光層74への水分の浸入を抑制できる。また、第1電極71を形成する際に、第2貫通部61hの近傍の第1平坦化層51が加熱される。これに伴い、第2貫通部61hの近傍における第1平坦化層51からガスが発生する。発生したガスは、第1バリア層61によって閉じ込められるため、第2貫通部61hの近傍の第1バリア層61に応力が発生する。従来、平面視における第2貫通部61hのうち第1バリア層61を貫通する部分の面積は、要求されるコンタクト抵抗値を確保しつつ、水分バリアのためなるべく広い面積の第1バリア層61で覆う思想であったため、第1電極71の面積の数%程度とされたので、第1バリア層61の第2貫通部61h近傍に応力が加わり、第1バリア層61が剥がれる虞があった。しかしながら、本実施の形態では、平面視における第2貫通部61hのうち第1バリア層61を貫通する部分の面積が第1電極71の面積の30%以上であるため、応力を比較的広い範囲に分散させることができる。したがって、応力による第1バリア層61の剥がれ、及び、亀裂を抑制できる。
【0053】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る表示装置について説明する。本実施の形態に係る表示装置は、薄膜トランジスタ層40の下方に第1下方バリア層31に加えて、さらにもう一層のバリア層を備える点において実施の形態1に係る表示装置1と相違する。以下、本実施の形態に係る表示装置について、実施の形態1に係る表示装置1との相違点を中心に図5を用いて説明する。図5は、本実施の形態に係る表示装置のサブ画素111Rの積層構造を示す模式的な断面図である。
【0054】
図5に示されるように、本実施の形態に係るサブ画素111Rは、実施の形態1に係るサブ画素11Rと同様に、第1基板21と、第1下方バリア層31と、薄膜トランジスタ層40と、第1平坦化層51と、第1バリア層61と、第1電極71と、発光層74と、第2電極72と、バンク80とを備える。本実施の形態では、サブ画素111Rは、第2基板122と、第2下方バリア層132とをさらに備える。
【0055】
第2基板122は、第1下方バリア層31及び薄膜トランジスタ層40の間に配置されるフレキシブルな板状部材である。第2基板122として、例えば、フッ化ポリイミドなどのポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂などの有機材料を含む基板を用いることができる。
【0056】
第2下方バリア層132は、第2基板122及び薄膜トランジスタ層40の間に配置され、無機材料で形成される絶縁層である。第2下方バリア層132として、シリコン酸化物、シリコン窒化物などの無機材料膜を用いることができる。
【0057】
以上のように、本実施の形態に係る表示装置は、第1下方バリア層31に加えて、第2下方バリア層132を備える。これにより、第1下方バリア層31及び第2下方バリア層132の一方のバリア層に亀裂などが生じた場合にも、第1基板21から発光層74へ向かう水分の浸入を、他方のバリア層によって抑制できる。したがって、発光層74への水分の浸入をより一層確実に抑制できる。
【0058】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る表示装置について説明する。本実施の形態に係る表示装置は、第1貫通部の形状において、実施の形態1に係る表示装置1と相違する。以下、本実施の形態に係る表示装置について、実施の形態1に係る表示装置1との相違点を中心に図6及び図7を用いて説明する。図6は、本実施の形態に係る表示装置のサブ画素211Rの構成の一例を示す模式的な平面図である。図6には、サブ画素211Rが備える第1電極271の輪郭、並びに、第1貫通部51h及び第2貫通部261hの輪郭が点線で示されている。図7は、本実施の形態に係る表示装置のサブ画素211Rの積層構造を示す模式的な断面図である。図7には、図6のVII-VII線における断面が示される。
【0059】
図7に示されるように、本実施の形態に係るサブ画素211Rは、第1基板21と、第1下方バリア層31と、薄膜トランジスタ層40と、第1平坦化層51と、第1バリア層261と、第1電極271と、発光層74と、第2電極72と、バンク80とを備える。
【0060】
本実施の形態に係る第1バリア層261は、実施の形態1に係る第1バリア層61と同様に、第1平坦化層51の上方に配置され、無機材料で形成される絶縁層である。本実施の形態に係る第1バリア層261には、第1バリア層261を貫通する第2貫通部261hが形成されている。第2貫通部261hは、図6及び図7に示されるように、第1電極271の長手方向(つまり、図6のY軸方向)に沿って延びる長尺状の複数の貫通孔261ha、261hb及び261hcを含む。
【0061】
本実施の形態に係る第1電極271は、図7に示されるように、第1バリア層261の上方に配置される導電層である。第1電極271の一部は、第1貫通部51h及び第2貫通部261hに充填される。
【0062】
上述したとおり、本実施の形態に係る第2貫通部261hは、第1電極271の長手方向に沿って延びる長尺状の複数の貫通孔261ha、261hb及び261hcを含む。これにより、第1電極271と、第1バリア層261及び第1平坦化層51との接触面積を、実施の形態1に係る第1電極71と、第1バリア層61及び第1平坦化層51との接触面積より増大させることができる。したがって、第1電極271と第1バリア層261及び第1平坦化層51との密着性(言い換えると接合強度)を高めることができるため、第1電極271の剥がれを抑制できる。なお、第2貫通部261hが含む複数の貫通孔のうち、一部の貫通孔は第1貫通部51hと接続されていなくてもよい。本実施の形態では、貫通孔261hbは、第1貫通部51hと接続されているが、貫通孔261ha及び261hcは、第1貫通部51hと接続されていない。
【0063】
また、貫通孔261ha、261hb及び261hcの各々は、第1電極271の長手方向に沿って延びる。第1電極271の上面のうち、各貫通孔の上方に位置する部分は、わずかに凹み得る。つまり、第1電極271の上面には、第1電極271の長手方向に沿って延びる凹みが形成され得る。このような第1電極271の上面にインクジェットによる塗布法を用いて発光層74を形成する場合、当該凹みの長手方向に交差する方向に沿って発光層74の原料となる溶液を塗布すると、当該凹みにおいて、溶液が塗布されない部分が発生し得る。
【0064】
本実施の形態では、各貫通孔が第1電極271の長手方向に沿って延びるため、当該凹みも第1電極271の長手方向に沿って延びる。一般に、サブ画素211Rの長手方向、つまり、第1電極271の長手方向に沿って溶液が塗布されるため、本実施の形態に係る発光層74の形成時には、凹みの長手方向に沿って、溶液が塗布される。したがって、凹みにおいて溶液の塗布が途切れることを低減できる。これにより、発光層74の膜厚の均一性を高めることができる。
【0065】
(実施の形態4)
実施の形態4に係る表示装置について説明する。本実施の形態に係る表示装置は、第1貫通部の形状において、実施の形態1に係る表示装置1と相違する。以下、本実施の形態に係る表示装置について、実施の形態1に係る表示装置1との相違点を中心に図8を用いて説明する。図8は、本実施の形態に係る表示装置のサブ画素311Rの構成の一例を示す模式的な平面図である。図8には、サブ画素311Rが備える第1電極371の輪郭、並びに、第1貫通部51h及び第2貫通部361hの輪郭が点線で示されている。図9は、本実施の形態に係る表示装置のサブ画素311Rの積層構造を示す模式的な断面図である。図9には、図8のIX-IX線における断面が示される。
【0066】
図9に示されるように、本実施の形態に係るサブ画素311Rは、第1基板21と、第1下方バリア層31と、薄膜トランジスタ層40と、第1平坦化層51と、第1バリア層361と、第1電極371と、発光層74と、第2電極72と、バンク80とを備える。
【0067】
本実施の形態に係る第1バリア層361は、実施の形態1に係る第1バリア層61と同様に、第1平坦化層51の上方に配置され、無機材料で形成される絶縁層である。本実施の形態に係る第1バリア層361には、第1バリア層361を貫通する第2貫通部361hが形成されている。第2貫通部361hは、図8及び図9に示されるように、千鳥格子状に配置された複数の貫通孔361haを含む。
【0068】
本実施の形態に係る第1電極371は、図9に示されるように、第1バリア層361の上方に配置される導電層である。第1電極371の一部は、第1貫通部51h及び第2貫通部361hに充填される。
【0069】
上述したとおり、本実施の形態に係る第2貫通部361hは、千鳥格子状に配置された複数の貫通孔361haを含む。これにより、第1電極371と、第1バリア層361及び第1平坦化層51との接触面積を、実施の形態1に係る第1電極71と、第1バリア層61及び第1平坦化層51との接触面積より増大させることができる。したがって、第1電極371と第1バリア層361及び第1平坦化層51との密着性(言い換えると接合強度)を高めることができるため、第1電極371の剥がれを抑制できる。
【0070】
(実施の形態5)
実施の形態5に係る表示装置について説明する。本実施の形態に係る表示装置は、主に、薄膜トランジスタ層40の上方に第1バリア層61に加えて、さらにもう一層のバリア層を備える点において実施の形態1に係る表示装置1と相違する。以下、本実施の形態に係る表示装置について、実施の形態1に係る表示装置1との相違点を中心に図10及び図11を用いて説明する。図10は、本実施の形態に係る表示装置のサブ画素411Rの構成の一例を示す模式的な平面図である。図10には、サブ画素411Rが備える第1電極471及び中継電極473の輪郭、並びに、第1貫通部51h、第2貫通部461h、第3貫通部452h、及び第4貫通部462hの輪郭が点線で示されている。図11は、本実施の形態に係る表示装置のサブ画素411Rの積層構造を示す模式的な断面図である。図11には、図10のXI-XI線における断面が示される。
【0071】
図11に示されるように、本実施の形態に係るサブ画素411Rは、第1基板21と、第1下方バリア層31と、薄膜トランジスタ層40と、第1平坦化層51と、第1バリア層461と、第1電極471と、発光層74と、第2電極72と、バンク80とを備える。本実施の形態では、サブ画素411Rは、第2平坦化層452と、第2バリア層462と、中継電極473とをさらに備える。
【0072】
本実施の形態に係る第1バリア層461は、実施の形態1に係る第1バリア層61と同様に、第1平坦化層51の上方に配置され、無機材料で形成される絶縁層である。本実施の形態に係る第1バリア層461には、第1バリア層461を貫通する第2貫通部461hが形成されている。本実施の形態では、図10に示されるように、第1基板21の主面21aの平面視において、第2貫通部461hの面積は、第1電極471の面積の30%以上でなくてもよい。
【0073】
本実施の形態に係る第1電極471は、図11に示されるように、第1バリア層461の上方に配置される導電層である。第1電極471の一部は、第1貫通部51h及び第2貫通部461hに充填される。
【0074】
第2平坦化層452は、薄膜トランジスタ層40及び第1平坦化層51の間に配置され、有機材料で形成される絶縁層である。第2平坦化層452には、第2平坦化層452を貫通する第3貫通部452hが形成されている。第2平坦化層452は、例えば、フッ化ポリイミドなどのポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂などの有機材料で形成される。
【0075】
第2バリア層462は、第2平坦化層452及び第1平坦化層51の間に配置され、無機材料で形成される絶縁層である。第2バリア層462として、シリコン酸化物、シリコン窒化物などの無機材料膜を用いることができる。第2バリア層462は、第2平坦化層452及びその下方の層から発光層74への水分の浸入を抑制する。
【0076】
第2バリア層462には、第2バリア層462を貫通し、少なくとも一部が第3貫通部452hと接続される第4貫通部462hが形成されている。このように、第2バリア層462には、第4貫通部462hが形成されているが、第4貫通部462hには、後述する中継電極473の一部が充填されているため、第4貫通部462hを介して発光層74へ水分が浸入することを抑制できる。また、第1基板21の主面21aの平面視において、第4貫通部462hの少なくとも一部は、第2貫通部461hと異なる位置に配置される。
【0077】
中継電極473は、第2バリア層462及び第1平坦化層51の間に配置される導電層である。本実施の形態では、中継電極473は、第3貫通部452h及び第4貫通部462hを介して、薄膜トランジスタ層40に含まれる導電層と電気的に接続される。このように、第3貫通部452h及び第4貫通部462hは、コンタクトホールとして機能する。中継電極473は、例えば、Ag合金、Alなどの金属材料で形成される。中継電極473は、第3貫通部452h及び第4貫通部462hにも配置される。言い換えると、第3貫通部452h及び第4貫通部462hには、中継電極473の一部が充填されている。また、中継電極473は、第1電極471と、第1貫通部51hにおいて電気的に接続される。これにより、第1電極471は、中継電極473を介して薄膜トランジスタ層40に含まれる導電層と電気的に接続される。
【0078】
以上のように、本実施の形態に係る表示装置は、第1バリア層461に加えて、第2バリア層462を備える。第2バリア層462に形成された第4貫通部462hには、中継電極473が充填されるため、第2平坦化層452から第4貫通部462hを介して発光層74へ水分が浸入することを抑制できる。これにより、第1バリア層461及び第2バリア層462の一方のバリア層に亀裂などが生じた場合にも、第2平坦化層452から発光層74へ向かう水分の浸入を、他方のバリア層によって抑制できる。したがって、発光層74への水分の浸入をより一層確実に抑制できる。
【0079】
また、本実施の形態に係る表示装置の製造方法に関して、実施の形態1に係る第1平坦化層51、第1バリア層61及び第1電極71と同様の製造方法で、第2平坦化層452、第2バリア層462及び中継電極473を製造することができる。ここで、中継電極473を形成する際に、第4貫通部462hの近傍の第2平坦化層452が加熱される。これに伴い、第4貫通部462hの近傍における第2平坦化層452からガスが発生する。発生したガスは、第2バリア層462及び中継電極473によって閉じ込められるため、第4貫通部462hの近傍の第2バリア層462に応力が発生する。
【0080】
しかしながら、本実施の形態では、第1基板21の主面21aの平面視において、第4貫通部462hの少なくとも一部は、第2貫通部461hと異なる位置に配置される。これにより、応力の発生個所が、第4貫通部462hの近傍と、第2貫通部461hの近傍とに分散されるため、第1基板21の主面21aの平面視において、第4貫通部462hと第2貫通部461hとが同一の位置に形成されている場合より、応力を分散させることができる。したがって、応力による第1バリア層461及び第2バリア層462の剥がれ、及び、亀裂を抑制できる。
【0081】
(実施の形態6)
実施の形態6に係る表示装置について説明する。本実施の形態に係る表示装置は、第2バリア層に第2平坦化層から発生するガスを放出する貫通部が形成されている点において、実施の形態5に係る表示装置と相違する。以下、本実施の形態に係る表示装置について、実施の形態5に係る表示装置との相違点を中心に図12を用いて説明する。図12は、本実施の形態に係る表示装置のサブ画素511Rの積層構造を示す模式的な断面図である。
【0082】
図12に示されるように、本実施の形態に係るサブ画素511Rは、実施の形態5に係るサブ画素11Rと同様に、第1基板21と、第1下方バリア層31と、薄膜トランジスタ層40と、第1平坦化層51と、第1バリア層461と、第2平坦化層452と、第2バリア層562と、中継電極473と、第1電極571と、発光層74と、第2電極72と、バンク80とを備える。
【0083】
本実施の形態に係る第2バリア層562は、第2平坦化層452及び第1平坦化層51の間に配置され、無機材料で形成される絶縁層である。第2バリア層562には、第2バリア層562を貫通し、少なくとも一部が第3貫通部452hと接続される第4貫通部462hが形成されている。本実施の形態では、第2バリア層562には、第1貫通部51hの下方に配置され、第2バリア層562を貫通し、中継電極473が充填されない第5貫通部562aが形成されている。
【0084】
以下、本実施の形態に係る第5貫通部562aの効果について説明する。第5貫通部562aは、例えば、中継電極473が形成される前に形成される。具体的には、第5貫通部562aは、第2バリア層562が形成された後、第4貫通部462hと同時に、フォトリソグラフィ法及びエッチング法などを用いて形成される。続いて、中継電極473が形成される。中継電極473は、第3貫通部452h及び第4貫通部462hには充填されるが、第5貫通部562aには形成されない。中継電極473が形成される際に、第4貫通部462hの近傍の第2平坦化層452が加熱される。これに伴い、第4貫通部462hの近傍における第2平坦化層452からガスが発生する。本実施の形態では、第5貫通部562aが形成されているため、発生したガスの少なくとも一部は、第5貫通部562aを介して放出される。したがって、中継電極473を形成する際に発生するガスによって発生する応力を低減できる。
【0085】
なお、第5貫通部562aには、第1電極571が充填されるため、第5貫通部562aを介して、第2平坦化層452から発光層74へ水分が浸入することを抑制できる。また、第1基板21の主面21aの平面視において、第5貫通部562aの面積は、第4貫通部462hの面積より小さくてもよい。これにより、第5貫通部562aに第1電極571を充填する際の第2平坦化層452の加熱を抑制できる。したがって、第2平坦化層452で発生するガスを低減できるため、第2バリア層562において発生する応力を低減できる。以上のように、本実施の形態では、第2平坦化層452から発光層74への水分の浸入を抑制でき、かつ、第2バリア層562において発生する応力を抑制できる。したがって、第2バリア層562の剥がれ、及び、亀裂をより一層抑制できる。
【0086】
(その他の実施の形態)
以上、本開示に係る表示装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示に係る表示装置などは、上記実施の形態に限定されるものではない。実施の形態における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、実施の形態に対して本開示の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本実施の形態に係る処理回路などを内蔵した各種機器も本開示に含まれる。
【0087】
例えば、上記実施の形態2に係る第2基板122及び第2下方バリア層132を、上記実施の形態3~実施の形態6に係る表示装置に適用してもよい。
【0088】
また、上記実施の形態5及び実施の形態6に係る表示装置の第1基板21の主面21aの平面視において、第2貫通部461hの面積は、第1電極471又は571の面積の30%以上であってもよい。
【0089】
また、上記各実施の形態では、画素は、三個のサブ画素を有したが、画素が有するサブ画素の個数は、一個以上であればよい。例えば、画素は、R、G、B、W(白)の発光色に対応する四個のサブ画素を有してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本開示は、例えばフレキシブルな有機ELフラットパネルディスプレイに有用である。
【符号の説明】
【0091】
1 表示装置
10 画素
11B、11G、11R、111R、211R、311R、411R、511R サブ画素
12 表示部
13 ゲートドライバ
15 データドライバ
16 コントローラ
17 電源
21 第1基板
21a、21b 主面
31 第1下方バリア層
40 薄膜トランジスタ層
51 第1平坦化層
51h 第1貫通部
61、261、361、461 第1バリア層
61h、261h、361h、461h 第2貫通部
71、271、371、471、571 第1電極
72 第2電極
74 発光層
80 バンク
122 第2基板
132 第2下方バリア層
261ha、261hb、261hc、361ha 貫通孔
452 第2平坦化層
452h 第3貫通部
462、562 第2バリア層
462h 第4貫通部
473 中継電極
562a 第5貫通部
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