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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013808
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】マスク及びその収納袋
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220111BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20220111BHJP
   A62B 25/00 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
A41D13/11 F
A41D13/11 H
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
A62B25/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106278
(22)【出願日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2020111416
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100187506
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 優子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 等
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA18
2E185CC32
2E185CC77
(57)【要約】
【課題】繰り返し洗って使用することができ、微粒子や細菌等の捕集性が高く、かつ長時間の着用であっても肌に優しいマスク及びその収納袋を提供する。
【解決手段】非不織布により形成されたマスク本体2と、前記マスク本体の左右両側に設けられた耳掛け紐3,4とを備えるマスク1であって、前記マスク本体は、複数の層により形成され、使用者の顔に接触する層は、非マイクロファイバーからなる生地で形成され、前記使用者の顔に接触する層よりも外側にマイクロファイバーを含む生地からなる層が配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非不織布により形成されたマスク本体と、前記マスク本体の左右両側に設けられた耳掛け紐とを備えるマスクであって、
前記マスク本体は、複数の層により形成され、
使用者の顔に接触する層は、非マイクロファイバーからなる生地で形成され、
前記使用者の顔に接触する層よりも外側にマイクロファイバーを含む生地からなる層が配置されていることを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記マイクロファイバーを含む生地において、前記マイクロファイバーの断面は、異形断面であることを特徴とする請求項1に記載されたマスク。
【請求項3】
前記マイクロファイバーを含む生地は、少なくとも縦方向に伸縮性を有する生地であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたマスク。
【請求項4】
前記マイクロファイバーを含む生地は、パイル生地またはシャーリング生地であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載されたマスク。
【請求項5】
前記マイクロファイバーを含む生地は、ポリエステルとナイロンの混紡により形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたマスク。
【請求項6】
前記マスク本体の幅方向中心を上下方向に結んだ中心線の左右両側にステッチが設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載されたマスク。
【請求項7】
前記耳掛け紐は、少なくとも一部が平坦な紐で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載されたマスク。
【請求項8】
前記耳掛け紐は、面ファスナーにより長さ調整可能に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載されたマスク。
【請求項9】
前記マスク本体には、撥水帯が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載されたマスク。
【請求項10】
前記請求項1乃至請求項9のいずれかに記載されたマスクを収納する収納袋であって、
マスク本体を挿入するための開口部と、
前記開口部を開閉するためのスナップボタンと、を備え、
前記スナップボタンは、前記マスク本体を収納した際、前記マスク本体の左右両側に設けられた耳掛け紐の輪の中に位置することを特徴とする収納袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマスク及びその収納袋に関し、微粒子や細菌等の捕集性に優れるとともに、洗って繰り返し使用でき、長時間の着用であっても肌に優しいマスク及びその収納袋に関する。
【背景技術】
【0002】
感染症防止、或いは花粉症対策等のために多くの人がマスクを使用している。近年では、不織布により形成された使い捨てマスクが数多く流通しているが、買い換え費用がかかることから、洗濯して再利用可能な布マスクが見直されている。布マスクは、不織布マスクよりもフィルタ性、衛生面で劣るが、各家庭にとっては繰り返し使用できるため経済的であり見直されている。
【0003】
再利用可能なマスクについては、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されるマスクは、超極細繊維により織り込まれた生地によって鼻及び口を覆うマスク本体部と、前記マスク本体部を顔面に装着させる装着部(耳かけの紐)とを有するものである。前記超極細繊維は、直径1μm以下のマイクロファイバーまたはナノファイバーであり、洗濯しても不織布にように繊維の絡み合わせが弱まることがなく、また、洗濯しても粒子、微小粒子状物質、及び細菌を捕集する力が低下しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3187755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されるマイクロファイバーなどの超極細繊維からなるマスクにあっては、図7に示すように1本のマイクロファイバー50の繊維断面が円形でなく異形断面であり、繊維の断面方向の角が尖っているため、極細のヤスリや研磨剤と同じである。そのため、そのような超極細繊維からなるマスク本体を装着し肌に長時間接した状態にすると、擦れて肌が赤くなる炎症を引き起こす虞があった。特に児童などの敏感肌には短時間でもマイクロファイバー生地が接触することが好ましくなかった。
【0006】
また、特許文献1に開示されたマスクや従来一般的なマスクにあっては、マスクを外した際、そのまま机などに置くと、マスク内側が机表面などに接触する、或いは床に落ちた場合にはマスク内側面が床に接触する虞があり、不衛生であるという課題があった。
また、園児や小学生が繰り返し使用可能なマスクを使用する場合、名前の記載をマスク表側に行う必要があり、登下校中において名前を不審者に見られる虞があった。
【0007】
本発明は、前記した点に着目してなされたものであり、繰り返し洗って使用することができ、微粒子や細菌等の捕集性が高く、かつ長時間の着用であっても肌に優しいマスク及びその収納袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した課題を解決するために、本発明に係るマスクは、非不織布により形成されたマスク本体と、前記マスク本体の左右両側に設けられた耳掛け紐とを備えるマスクであって、前記マスク本体は、複数の層により形成され、使用者の顔に接触する層は、非マイクロファイバーからなる生地で形成され、前記使用者の顔に接触する層よりも外側にマイクロファイバーを含む生地からなる層が配置されていることに特徴を有する。
尚、前記マイクロファイバーを含む生地において、前記マイクロファイバーの断面は、異形断面であることが望ましい。
また、前記マイクロファイバーを含む生地は、少なくとも縦方向に伸縮性を有する生地であることが望ましい。
また、前記マイクロファイバーを含む生地は、パイル生地またはシャーリング生地であることが望ましい。
また、前記マイクロファイバーを含む生地は、ポリエステルとナイロンの混紡により形成されていることが望ましい。
また、前記マスク本体の幅方向中心を上下方向に結んだ中心線の左右両側にステッチが設けられていることが望ましい。
また、前記耳掛け紐は、少なくとも一部が平坦な紐で形成されていることが望ましい。
また、前記耳掛け紐は、面ファスナーにより長さ調整可能に設けられていることが望ましい。
また、マスク本体には撥水帯を設けられていることが望ましい。
【0009】
このように構成されたマスクによれば、マスク本体を構成する複数層の中にマイクロファイバーを含む生地を含むため、微粒子や細菌等の捕集を効果的に行うことができる。また、使用者の顔に触れる生地が非マイクロファイバー生地で形成されているため、敏感肌の人が長時間着用しても肌の炎症等を防止することができる。また、マスク本体が非不織布で形成されるため(不織布で形成されていないため)、繰り返し洗濯して使用することができコストがかからず経済的である。
【0010】
また、前記マスクを収納する収納袋は、マスク本体を挿入するための開口部と、前記開口部を開閉するためのスナップボタンと、を備え、前記スナップボタンは、前記マスク本体を収納した際、前記マスク本体の左右両側に設けられた耳掛け紐の輪の中に位置することに特徴を有している。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、繰り返し洗って使用することができ、微粒子や細菌等の捕集性が高く、かつ長時間の着用であっても肌に優しいマスク及びその収納袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明に係るマスクの斜視図である。
図2図2は、図1のマスクを二つ折りに畳んだ状態の側面図である。
図3図3は、図1のマスクを装着した状態での断面図である。
図4図4は、図1のマスクを収納するための収納袋の側面図である。
図5図5は、図4の収納袋に図1のマスクを収納した状態の側面図である。
図6図6は、本発明のマスクの変形例1を装着した状態での断面図である。
図7図7は、マイクロファイバーの異形断面を示す模式図である。
図8図8は、本発明のマスクの変形例2を装着した状態での断面図である。
図9図9は、本発明のマスクの変形例3を装着した状態での斜視図である。
図10図10は、本発明のマスクの変形例4を装着した状態での断面図である。
図11図11は、本発明のマスクの変形例5を装着した状態での断面図である。
図12図12は、本発明のマスクの変形例6を装着した状態での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るマスク及びその収納袋の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明に係るマスクの斜視図であり、図2は、図1のマスクを二つ折りに畳んだ状態の側面図である。また、図3は、図1のマスクを装着した状態での断面図である。
【0014】
図1に示すように、マスク1は、マスク本体2と、マスク本体2の左右両側に設けられた耳掛け紐3、4とを備える。
マスク本体2は、図3に示すように複数の層(図では3層)で形成される。図3に示す例では、使用者の顔に触れる第一層5は、綿などの肌に優しい生地で形成され、第一層5の外側に配置される第二層6は、マイクロファイバーを含む非不織布の生地で形成されている。
第一層5としては、綿などの肌に優しい生地のほか、冷感作用のあるナイロン、ポリエステル、レーヨン、キシリトール処理をした生地、単位重量が80~500g/mの接触冷感生地を用いても良い。
【0015】
第二層6におけるマイクロファイバーを含む非不織布の生地とは、直径8μm以下、望ましくは直径2μm以下のマイクロファイバーがポリエステル又はナイロンにより形成され、それらポリエステルからなるマイクロファイバーとナイロンからなるマイクロファイバーとが混紡されてなる。より具体的には、前記マイクロファイバーを用いてニット生地、パイル生地、総パイル生地、或いはシャーリング生地に形成されている。生地の平地部分からのループ或いはパイルの高さ(毛足高さ)は、少なくともピッチの2倍以上、総パイル生地の場合には、パイル高さは4倍以上が好ましい。
【0016】
このように第二層6を例えばポリエステルとナイロンとの混紡からなるマイクロファイバー生地で形成することにより、ポリエステルはマイナスに帯電し、ナイロンはプラスに帯電しているため(帯電列が離れているため)、静電気が生じやすく、静電気による微粒子の捕集効果が期待できる。
【0017】
また、パイル生地、シャーリング生地により形成されることで、厚みが増し、第一層5、第三層7と合わせて単位体積あたりの繊維表面積が大きくなることから、微粒子の捕集効果をより向上することができる。また、図7に示したように第二層6に含まれるマイクロファイバー50は異形断面であるため、それにより単なる断面円形の繊維の場合よりも繊維の総表面積を増やし、微粒子をより効果的に捕集することができる。
【0018】
さらに、前記第二層6を形成するマイクロファイバーを含む生地は、少なくとも上下方向に伸縮性を有することが好ましく、それにより顎などへのフィット性を向上するとともに、口を開閉したときにマスクがずれて鼻が露出することを避けることができる。
【0019】
また、最も外側に配置される第三層7は、使用者の手などに触れることが多いため、第一層5と同様に例えば綿生地により形成されている。
或いは、第三層7は、使用者の顔に接するものではないため、異形断面のマイクロファイバーにより形成されていてもよい。
【0020】
また、図1図2に示すようにマスク本体2の幅方向中心を上下方向に結んだ中心線10の左右両側には、この中心線10に沿ってステッチ11、12が設けられている。
尚、このステッチ11、12は、図示するようにマスク本体2の上部と下部とにそれぞれ所定の長さで設けてもよいし、伸縮性を有するステッチであれば中心線10の全長に沿って上端から下端まで設けてもよいが、上部の終端は図3で示すように、少なくとも鼻の頂部を口元方向に超える長さまで形成される。
【0021】
このステッチ11、12を設けたことにより、マスク本体2の不使用時は中心線10から自然に折れやすくなり、図2に示すようにマスク本体2の内側面を完全に隠す形で二重に折り畳むことができる。それによりマスク1を外した際に机の上に置いたり、床に落ちたりしても内側面が汚れることがなく、内側面が清潔な状態を維持することができる。さらに、ステッチによって中心線10の上下の厚みは薄くなり、かつ剛性もあることから、図4で示す収納袋20に図5で示すように収納する際も、入れやすい。
また、使用時には中心線10で折れることにより着用時において鼻と顎のフィット性がよくなり、外気の漏れ込みを抑制することができる。
【0022】
尚、図2に示すようにマスク側面において、中心線10は外側に膨らむ弧、及び直線との組み合わせのラインを描き、それによりマスク本体2を図1のように広げた際にマスク本体2は立体的となる。さらにステッチの補強により、図3に示すように鼻と口元にスペースを形成して、呼吸時の息苦しさを和らげるように設計されている。
【0023】
また、図1図2に示すように耳掛け紐3、4は、上端がマスク本体2の左右上端にそれぞれ縫い付けられて固定され、下端がマスク本体2に対し着脱自在になされている。
具体的には、耳掛け紐3、4は、使用者の耳に直接的に触れるものであるため、肌に優しい素材、例えば綿により形成され、好ましくは横幅のある平坦な紐に形成されている。
【0024】
耳掛け紐3、4の下端は、マスク本体2に対し例えば面ファスナーにより剥離可能に接着させることができる。即ち、マスク本体2の左右下端に面ファスナーの一方(例えばフック面13)を設け、耳掛け紐3、4の下端に面ファスナーの他方(例えばループ面14)を設ければよい。
【0025】
そのように耳掛け紐3、4の一端を面ファスナーにより剥離可能にすることで、使用者の顔サイズに合わせて紐長さを容易に決定することができ、フィット性を向上し、漏れ込みを防止することができる。
また、耳掛け紐3、4の少なくとも一部を平坦に形成することにより、マスク着用時に紐の裏側となる面に名入れスペースを設けていれば、小学生なの登下校時において名前が見られることがなく安全である。具体的には、図1に示すように横幅のある平坦な紐の裏面に、氏名(〇〇××)と記載すればよい。
尚、耳掛け紐3、4の色は互いに異なるように着色していてもよい(例えば、青と赤)。そのようにすれば、マスク上下を間違えることなく容易に着用することができる。
【0026】
また、図4は、マスク1を収納するための収納袋20の側面図である。図5は、図4の収納袋20にマスク1を収納した状態の側面図である。
図4に示す収納袋20は、例えばポリエステル材質によりメッシュ生地で矩形袋状に形成され、一辺に開口部20aが設けられている。この開口部20aの長さL3は、図2に示す折り畳んだ状態のマスク本体2の高さL1よりも大きく形成されている。また、収納袋20の奥行きL4は、折り畳んだ状態のマスク本体2の横幅L2よりも長く形成されている。
尚、マスク本体2の高さL1及び横幅L2は、大人用、子供用、男性用、女性用などに応じて決定すればよい。
【0027】
また、図示するように開口部20a側辺の中央には、スナップボタン22が設けられており、開口部20aを開閉できるようになっている。
マスク1を収納袋20に収納する際には、開口部20aを開き、マスク1のマスク本体2を収納袋20に入れ込めばよい。このとき図5に示すようにスナップボタン22の位置は、耳掛け紐3、4により形成された輪の中に位置し、スナップボタン22を閉じることにより、耳掛け紐3、4を手提げ紐のようにして携帯することができる。また、耳掛け紐3、4の平坦部にある名前は、マスクを外した最中の持ち主を明確にできる。
また、収納袋20はメッシュ生地で形成されているため、通気性が高く、収納したマスク1の清潔を保つことができる。
さらに、収納袋20はメッシュ生地で形成されているため、マスク本体2を収納したまま洗濯、乾燥させることができので、直接洗濯、乾燥するよりも生地や縫製の傷みを和らげることができる。
【0028】
以上のように本発明に係る実施の形態によれば、マスク本体2を構成する複数層の中にマイクロファイバーを含む生地(第二層6)を含むため、微粒子や細菌等の捕集を効果的に行うことができる。また、使用者の顔に触れる層の生地が非マイクロファイバー生地で形成されているため、敏感肌の人が長時間着用しても肌の炎症等を防止することができる。また、マスク本体2は非不織布で形成されるため(不織布で形成されていないため)、繰り返し洗濯して使用することができコストがかからず経済的である。また、収納袋20にも収納しやすく、ひとたび収納すれば、机などに置いた際にも衛生を維持するとともに、洗濯乾燥においても、微粒子や細菌等の捕集性の劣化を少なくすることができる。
【0029】
尚、前記実施の形態においては、耳掛け紐3、4の一端をマスク本体2に縫い付けて固定し、他端を面ファスナーでマスク本体2に剥離可能に接着するものとしたが、本発明にあっては、その形態に限定されるものではない。
例えば、図6に示す変形例1のように、耳掛け紐3、4の両端をマスク本体2に縫い付けて固定し、紐の途中を切断して切断部分同士を面ファスナー13、14で接着するようにしてもよい。
【0030】
また、前記実施の形態においては、ステッチの補強により、図3に示すように鼻と口元にスペースを形成して、呼吸時の息苦しさを和らげるようにしたが、本発明にあっては、その構成に限定されない。
例えば、更なる補強のために、図8に示す変形例2のように、ステッチに沿って形状維持部材15をマスク層間に挿入し、マスク内面を固定してもよい。或いは、形状維持部材を円柱状として、左右のステッチ間に挿入し固定してもよい。
或いは、図9に示す変形例3のように形状維持部材15をL字断面形状や円弧断面形状に形成してもよい。この場合、形状維持部材15は、フェルトや不織布を重ねたもの、又は樹脂の板状部材として形成し、ステッチ11、12で縫い付けて固定、或いは接すればよい。
【0031】
また、前記実施の形態においては、耳掛け紐3、4の少なくとも一部を平坦に形成することにより、マスク着用時に紐の裏側となる面に名入れスペースを設ける例を示した。しかしながら、本発明にあっては、その形態に限定されるものではない。
例えば、図10に示す変形例4のように、耳掛け紐3(或いは4)の左側に、平坦で色付きの名札を設けてもよい。その場合、名札は耳裏に位置することが望ましい。
【0032】
更に、変形例5のマスクについて説明する。図11は変形例5のマスクを着用した状態で示している。
この変形例5のマスク1においては、マスク本体2の口元周縁部にマスク本体2の材料とは異なる材料で形成された撥水帯17を持つ以外は、その外観構成は図3の実施例のマスク1とほぼ同一である。したがって、同一の機能を果たす部分を同一の符号で示し、その詳細な説明は省略する。
【0033】
マスク1を着用した状態においては、着用者の汗などの水分は、頬や顎と密着した部分からマスク素材の繊維間などの空隙に浸透する。発汗が連続して毛細管現象等により口元まで水分の浸透が進むと通気性を阻害し、着用者は呼吸が苦しくなる。
この変形例5はこの課題を解決したマスクであって、マスク本体2における頬や顎と密着しない位置、例えば口元部の周縁部に、マスク本体2とは異なる材料で形成された撥水帯17を形成し、口元部の通気性を維持したものである。
【0034】
前記撥水帯17は、図11に示すように、口元部~鼻部側にかけて一定の幅を有する輪状に形成されている。この前記撥水帯17は、第一層5の内面に形成されている。また、この前記撥水帯17は、第三層7の外面に形成されても良い。
図11に示すように、頬や顎と密着した部分からマスク素材の繊維間などの空隙に浸透した着用者の汗などの水分18は、図11中に矢印で示すように、口元部の周縁部方向に流れる。
しかしながら、着用者の汗などの水分18は、前記撥水帯17によって止められ、口元部の周縁部への進入が阻止され、着用者の口元部の通気性が維持される。
尚、前記撥水帯17とは、水で濡れることなく、撥水帯17表面に付着した水を含めて、毛細管現象による液体(水)の浸透(透過)を防止できる領域(部分)をいう。
【0035】
この撥水帯17は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)、またはそれらを組み合わせたもので構成される。
または、前記撥水帯17は、マスク本体2の所定の部分(領域)に撥水剤を塗布することにより形成しても良い。前記撥水剤としては、フッ素系樹脂を含むフッ素系撥水剤、シリコン系樹脂を含むシリコン系撥水剤、パラフィン系撥水剤およびワックス系撥水剤などが挙げられ、中でもフッ素系撥水剤を使用することが好ましい。フッ素系撥水剤としては、例えば、フッ素樹脂エマルションおよびフッ素樹脂水溶液などが挙げられる。
【0036】
更に、変形例6のマスクについて説明する。図12は変形例6のマスクを着用した状態で示している。
この変形例6のマスク1は、撥水帯17を備える点では図11に示した変形例5と同一であるが、変形例5と比べて、マスク本体2の口元部~鼻部側にかけて撥水帯17の面積領域を拡張されている点と、通気性を有する点において異なる。即ち、前記撥水帯17は、図12に示すように、口元部~鼻部の全面に形成されている。
【0037】
また、各実施例(変形例)においては、口元にマスク内面が接触して、口元に付着して不快となることを防ぐために、マスク内部の空間の体積は、10cm以上であることが好ましい。
【符号の説明】
【0038】
1 マスク
2 マスク本体
3 耳掛け紐
4 耳掛け紐
5 第一層
6 第二層
7 第三層
10 中心線
11 ステッチ
12 ステッチ
13 フック面
14 ループ面
15 形状維持部材
16 名札
17 撥水帯
20 収納袋
20a 開口部
22 スナップボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12