(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138082
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】自動車の乗員操作部材
(51)【国際特許分類】
B62D 1/06 20060101AFI20220914BHJP
【FI】
B62D1/06
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037878
(22)【出願日】2021-03-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】712006400
【氏名又は名称】丸山 徹
(72)【発明者】
【氏名】丸山徹
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030CA03
3D030DA13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】手の持ち替えをしなくても、ステアリングをグリップしたままの状態で、より大きな回転範囲を素早くコントロールできるステアリングを構築する。
【解決手段】現代の自動車、或いはシュミレーションソフトのコントローラーとしての、ステアリングシャフトを乗員操作部材1が回転させる構造のステアリングであり、車両の直進状態で、ハブ中心2を通る水平線(水平面)3よりも下側にあり、下向きに凸状であり、いかなる車両の進行状態でも手のひらが触れ易いように先端に丸みを持たせた凸状であって、いかなる車両の進行状態でも乗員操作部材1として一体化されているグリップ部4を備えた乗員操作部材1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現代の自動車、或いはシュミレーションソフトのコントローラーとしての、ステアリングシャフトを乗員操作部材1が回転させる構造のステアリングであり、ただし、自転車、二輪車、三輪車などのように、ステアリングシャフトとフロントフォークとが一体となっていたりして、ステアリングシャフトの回転を直接操舵輪の操舵一体回転として伝える構造ではないステアリングにおいて、車両の直進状態で、ハブ中心2を通る水平線(水平面)3よりも下側にあり、下向きに凸状であり、いかなる車両の進行状態でも手のひらが触れ易いように先端に丸みを持たせた凸状であるが、バー状、棒状やパイプ状ではなく、又、いかなる車両の進行状態でも乗員操作部材1として一体化されているグリップ部4を備えた乗員操作部材1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
現代の自動車、及びシュミレーションソフトのコントローラーとしての、ステアリングシャフトを乗員操作部材が回転させる構造のステアリングであり、ただし、自転車、三輪車などのように、ステアリングシャフトとフロントフォークが一体となっていて、ステアリングシャフトの回転を直接操舵輪の操舵回転として伝える構造ではないステアリングの、乗員操作部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動運転自動車も考案されている現在、ステアリングの構造は常に技術の革新が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-055448
【特許文献2】特開2019-196041
【特許文献3】実願平05-013865
【特許文献4】実願平04-061400
【特許文献5】特開平10-129500
【特許文献6】実公昭48-039796
【特許文献7】特開2020-093789
【特許文献8】米国特許第08348294
【特許文献9】特開2009-234550
【特許文献10】特開平11-263265
【特許文献11】米国特許出願公開第2004/0012175
【特許文献12】特開平11-342819
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
手の持ち替えをしなくても、ステアリングをグリップしたままの状態で、より大きな回転範囲を素早く正確にコントロールできる、自動運転自動車にもふさわしいスマートなステアリングの構築。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の乗員操作部材1を有するステアリングを構築する。
現代の自動車、或いはシュミレーションソフトのコントローラーとしての、ステアリングシャフトを乗員操作部材1が回転させる構造のステアリングであり、ただし、自転車、二輪車、三輪車などのように、ステアリングシャフトとフロントフォークとが一体となっていたりして、ステアリングシャフトの回転を直接操舵輪の操舵一体回転として伝える構造ではないステアリングにおいて、車両の直進状態で、ハブ中心2を通る水平線(水平面)3よりも下側にあり、下向きに凸状であり、いかなる車両の進行状態でも手のひらが触れ易いように先端に丸みを持たせた凸状であるが、バー状、棒状やパイプ状ではなく、又、いかなる車両の進行状態でも乗員操作部材1として一体化されているグリップ部4を備えた乗員操作部材1。
乗員操作部材とはステアリングホイールの事であるが、例えば電気自動車の場合は特にホイール形態ではない場合もあるので、ステアリングホイールに相当する部材を乗員操作部材とした。
現代の自動車のステアリング・ギア機構はラックアンドピニオン方式であるが、本発明のステアリングも同様であり、自転車などはラックアンドピニオン方式ではないので本発明は、自転車、2輪車、3輪車等を除く。
【0006】
《同じ凸状のグリップであるけれども、同時にバー状、棒状やパイプ状であるのかどうかの違いについて。》
自転車などのグリップのように、棒状やパイプ状で凸状を形成している場合、凸状の先端部分とは棒状やパイプ状の先端の断面部分であり、手のひらは接触しない部分である事が多い。
一方、棒状やパイプ状の一部を折り曲げて凸状を形成した場合は、凸状の先端部分はカーブがきつくなっているところで、凸状ゆえに握りづらくなり、実際に手のひらが接触する部分はそれ以外のカーブの緩やかな部分なので、必ずしも凸状の先端部分に手のひらが接触するとは限らない。
すなわち、バー状、棒状やパイプ状のものを折り曲げて凸状にした場合、凸状の先端部分は実際にはグリップしない場所になる。
しかし、本発明の凸状のグリップ部4は、先端に丸みを持たせて、手のひらでグリップし易くしてあり、棒状やパイプ状ではないので、同じ凸状と言葉で表現したとしても、同時に棒状やパイプ状であるかどうかは大いに異なる形状である。
【0007】
=お手玉の原理=
お手玉をする時には腕の力だけではなく手首のスナップ力も利用している。
すなわち、お手玉を上へ放り上げる時に使う手首の動きと似た動作で、手首のスナップの力を加えてステアリングホイールを操作すると、腕の力だけで動作するのよりも、より繊細で柔軟なステアリングのコントロールが可能となる。
この様に、お手玉一つは手のひらで包み込む形で握るのにちょうどよい大きさだから、手首のスナップを効果的に利用できるのと同様に、本発明の凸状のグリップ部4も手のひらで包み込む形でグリップするのに、程よい大きさになっている。
【発明の効果】
【0008】
その1
左折するときに重要な働きをする右手について、手の持ち替えをしないで回せる回転範囲の比較を
図3に示した。
従来のグリップ位置8から左へ回転させて、回転停止位置9まで回した時の、回転範囲をAとする。
続いて、ステアリングホイール1のハブ中心2よりも下側にある本発明のグリップ位置10から同じ回転停止位置9まで回した時の回転範囲をBとすると、A<Bとなり、手の持ち替えをしないで回せる本発明の回転範囲Bは、従来の配転範囲Aよりはるかに大きくなる。
【0009】
その2
乗員操作部材1の下の部分にグリップ部があるので、直進している時に不必要に腕を緊張して上げる必要がなく、腕はリラックスして下げたままでコントロール出来るので、その分前方注意に心がける余裕が生まれる。
【0010】
以下先行技術と比較して説明する。
特許文献1 特開2020-055448との比較。
グリップ8は、アッパーバー81、ロアバー82、レフトバー83、ライトバー84よりなるが全て棒状であり、特に手のひらで触れやすいように先端に丸みを持たせた凸状の部分はない。しいて言うとバーが曲がっている部分が少し凸状ではあるが、その部分は凸状ゆえに他よりも角度が付いているためにバーをグリップしにくいところである。
すなわちグリップする場所はバーの曲がりが少ない直線部分であり、凸状の部分があったとしても凸状の先端部分はグリップしにくい場所となっている。
これに対して本発明のグリップ部は棒状やバー状ではないし、凸状の先端部分はグリップしやすく丸みを持たせているので、特許文献1とは大いに異なる。
【0011】
特許文献2 特開2019-196041との比較
車両の直進状態で、ステアリングのハブ中心を通る水平線より下側に凸状の部分があるけれど、その部分はグリップ部ではなく、グリップ部は左右にある訳なので、特許文献2は本発明とは異なる構造の異なる発明である。
【0012】
特許文献3 実願平05-013865号との比較
引用文献3のグリップ部は凸凹状であり、手のひらで触れやすいように先端に丸みを持たせて車両の直進状態で下向きに凸状になっている訳ではなく、同時に回転自在となっている。
これに対して本発明のグリップ部は手のひらで触れやすいように先端に丸みを持たせて車両の直進状態で下向きに凸状になっていて、乗員操作部材1と固定接続されていて回転自在ではないので、特許文献3と本発明と同一ではない。
【0013】
特許文献4 実願平04-061400との比較
特許文献4のグリップ部の凸状の方向は車両の直進状態であっても運転手側の方向へ凸状であるが、本発明のグリップ部の凸状の方向は、車両の直進状態で、下向きに凸状である。
また、特許文献4のグリップ部は回転自在となっているが、本発明のグリップ部は乗員操作部材1(ステアリングホイール)として一体化されているのも相違点であるので、特許文献4と本発明とは異なる発明である。
【0014】
特許文献5 特開平10-129500との比較
特許文献5の握り部1はステアリングに巻き付いて多少は太くなっているが、特に手のひらで触れやすいように先端に丸みを持たせて車両の直進状態で下向きに凸状の形態になっている訳ではないし、ハンドルAに巻包着脱自在の構成となっている。
しかし本発明のグリップ部1は、手のひらで触れやすいように先端に丸みを持たせて車両の直進状態で下向きに凸状になっていて、乗員操作部材1(ステアリングホイール)として一体化されているので、特許文献5と本発明とは大いに異なる。
【0015】
特許文献6 実公昭48-039796との比較
特許文献6は自転車なので、本発明とは関係がない。
しかしあえて比較すれば、確かに本発明と似たような場所にグリップがあるけれど、よく見るとグリップの形態は直線のパイプ状であり、グリップの先端に凸状の小さなパーツが存在するけれど、その部分はグリップ部をグリップした状態では手に触れない場所となっている。
これと比較して本発明のグリップは凸状であり、グリップ部をグリップした状態で実際に手に触れる場所に凸状の先端部分が存在している。
してみると、特許文献6と本発明とは全く異なる発明であると理解できよう。
【0016】
特許文献7 特開2020-093789との比較
特許文献6は自転車なので、本発明とは関係がない。
しかしあえて比較すれば、確かに本発明と似たような場所にグリップがあるけれど、よく見るとグリップの形態は直線のパイプ状であり、特に手のひらで触れやすいように先端に丸みを持たせて凸状になっている部分がある訳ではない。しかしあえてパイプの先端を凸状と見立てたとしても、その凸状になっている部分の先端はパイプの断面部分であり、グリップした状態では手の触れる場所ではない。
これに比較して本発明のグリップは凸状であり、この凸状のグリップの先端の丸みを持たせた部分をメインに手で触れてグリップする構造なので、特許文献7と本発明とは全く関係がない。
【0017】
特許文献8 米国特許第08348294との比較
特許文献8は2輪車に関する発明である。
又、グリップ部は棒状であり、グリップ部の先端は実際には手のひらで触れる場所ではない。
これに反して本発明は、自動車のステアリングについてものであり、グリップ部は棒状ではなく、グリップ部の先端は実際に手を触れてグリップする場所であるので、特許文献8と本発明とは異なる発明である。
【0018】
特許文献9 特開2009-234550との比較
特許文献9は2輪車に関する発明である。
又、グリップ部は棒状であり、グリップ部の先端は実際には手のひらで触れる場所ではない。
これに反して本発明は、自動車のステアリングについてものであり、グリップ部は棒状ではなく、グリップ部の先端は実際に手を触れてグリップする場所であるので、特許文献9と本発明とは異なる発明である。
【0019】
特許文献10 特開平11-263265との比較
特許文献10は2輪車に関する発明である。
又、グリップ部は棒状であり、グリップ部の先端は実際には手のひらで触れる場所ではない。
これに反して本発明は、自動車のステアリングについてものであり、グリップ部は棒状ではなく、グリップ部の先端は実際に手を触れてグリップする場所であるので、特許文献10と本発明とは異なる発明である。
【0020】
特許文献11 米国特許出願公開第2004/0012175との比較
特許文献11のグリップ部は棒状であり、グリップし易い場所は緩やかなカーブの棒状の部分であり、確かに凸状の部分があるが、この凸状の先端部分は棒状の角度が付いて曲がっている部分であり、手のひらでグリップしにくい場所である。
しかし、本発明のグリップ部は棒状ではなく、凸状の先端部分は手のひらでグリップし易いように丸みを持たせた構造となっているので、特許文献11と本発明とは異なる発明と理解できる。
【0021】
特許文献12 特開平11-342819の比較
特許文献12のグリップ部5L、5Rは回転自在で、実際にグリップする場所であるグリップ本体9L、9Rは棒状である。
これに対して本発明のグリップ部は乗員操作部材1と一体となっているので回転自在ではなく、実際にグリップする凸状の先端は丸みを持たせた部分であって棒状ではない。
しかるに、特許文献12と本発明とは異なり、同一ではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】は、右手のグリップの仕方と、左折時の右手の動かす方向の図
【
図3】は、手の持ち替えをしないで回せる回転範囲の比較図
【
図5】は、実施例2のアタッチメントパーツ及びその装着図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、様々な実施形態を提示する。
【実施例0024】
現代の自動車、或いはシュミレーションソフトのコントローラーとしての、ステアリングシャフトを乗員操作部材1が回転させる構造のステアリングにおいて、車両が直進している時の乗員操作部材1の正面図を
図1に示した。
この例では乗員操作部材1とはステアリングホイールの事である。
【0025】
このステアリングのステアリング・ギア機構はラックアンドピニオン方式を採用している。もしくは電子的に同様の機能を持たせている。
すなわち、このステアリングは、自転車、二輪車、オートバイ、三輪車などのように、ステアリングシャフトとフロントフォークとが一体となっていたりして、ステアリングシャフトの回転を直接操舵輪の操舵一体回転として伝える構造ではない。
【0026】
リング状のリム5の一部から外側に向かって凸状のコブをグリップ部4として設けている。という事は、グリップ部4はリム5と常に一体化されている。すなわち、グリップ部4は、乗員操作部材1として一体化されている。
【0027】
又、左右それぞれのグリップ部4は、車両の直進状態で、ハブ中心2を通る水平線(水平面)3よりも下側にあり、下向きに凸状であり、又いかなる車両の進行状態でも手のひらが触れ易いように先端に丸みを持たせた凸状である。
【0028】
このグリップ部4は、単純なコブのような凸状の形態であり、棒状やパイプ状ではないし、凸状の先端の丸みを持たせた部分はグリップする時には必ず手のひらで接触する部分である。
【0029】
グリップ部4は、グリップするメインの部分である。
【0030】
これを使用するには
図2左図に示すように、先ず手のひらを、上方向に位置するグリップ部4へ向けて、下方向から包み込む形でグリップすべく、例えば左へ曲がる時、左手はグリップ部4に添える程度でよく、主に力を使うのは右手7であり、手のひらで押し当てた凸状の丸みのある先端部分をひっかける形で、右図の矢印上方向へ押し上げながら乗員操作部材1を回し始める。
【0031】
この様にグリップ部4は、リム部分をグリップしないで開いたままの手のひらを、凸状の先端の丸みの部分に引っ掛け上げるだけでも動かし始めることが可能なくらいの大きさの凸状である。
【0032】
であるから、グリップ部4は、2~3センチ程の小さいものなどではないし、1mもの大きさなどではないし、一般的なグリップの大きさと同じように手でグリップ出来る程度の大きさである。
【0033】
なお、右手7でより大きく回した時において、左手は必ずしもグリップしたままでいる必要はない。その分右手がしっかりグリップしたままなので、右手7で乗員操作部材1の回転を元に戻す時点で、左手は容易にグリップを再開できる。