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特開2022-13817遠位バルーンを用いる単独ステント挿入術
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013817
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】遠位バルーンを用いる単独ステント挿入術
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/958 20130101AFI20220111BHJP
   A61F 2/844 20130101ALI20220111BHJP
   A61B 17/22 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
A61F2/958
A61F2/844
A61B17/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021106412
(22)【出願日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】16/914,663
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515248931
【氏名又は名称】ニューラヴィ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】カール・キーティング
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・ケリー
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160EE21
4C267AA07
4C267AA08
4C267AA42
4C267BB27
4C267CC09
4C267DD01
4C267FF05
(57)【要約】
【課題】血管内病変部の単独ステント挿入のためのカテーテルベースのシステムを提供すること。
【解決手段】血管内病変部の単独ステント挿入のためのカテーテルベースのシステムは、バルーン拡張型ステントをそれらの間に有する2つの拡張可能な閉塞装置を備えていることができる。拡張可能な閉塞装置は、脈管構造を閉塞するために、病変部に関して遠位方向及び近位方向に拡張することができる。閉塞装置の片方又は両方は、血流を閉塞するための流体不透過性膜を備えていることができる。ステントは、閉塞装置が定位置にある間に病変部を横切って展開することができる。ステント挿入中に除去された断片は、吸引することができる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内治療システムであって、
脈管構造を通過するような大きさの送達チューブと、
前記送達チューブ上に配備され、前記送達チューブの遠位端に接近する遠位バルーンと、
前記送達チューブ上に、前記遠位バルーンに関して近位方向に配備された血管形成バルーンと、
前記血管形成バルーンの上に配備されたバルーン拡張型ステントと、
前記遠位バルーン及び前記血管形成バルーンと連通し、前記送達チューブに沿って延在する1つ以上の膨張ルーメンであって、前記1つ以上の膨張ルーメンが、前記遠位バルーン及び前記血管形成バルーンを膨張させるように配置されている、1つ以上の膨張ルーメンと、を備えている、血管内治療システム。
【請求項2】
請求項1に記載の血管内治療システムであって、
前記1つ以上の膨張ルーメンが、前記遠位バルーン及び前記血管形成バルーンの両方と連通している単一の膨張ルーメンであり、
前記遠位バルーンが、前記血管形成バルーンよりも低い圧力で拡張可能である、血管内治療システム。
【請求項3】
請求項2に記載の血管内治療システムであって、
前記血管形成バルーンが、前記バルーン拡張型ステントを拡張するように構成された拡張可能なノンコンプライアントラップを備えている、血管内治療システム。
【請求項4】
請求項1に記載の血管内治療システムであって、
前記血管形成バルーンに関して近位方向にある近位バルーンであって、
前記1つ以上の膨張ルーメンが更に、前記近位バルーンと連通し、前記近位バルーンを膨張させるように配置されている、近位バルーンと、
前記遠位バルーン、前記血管形成バルーン、前記ステント、及び前記近位バルーンの上に配備された吸引カテーテルと、を更に備えている、血管内治療システム。
【請求項5】
請求項4に記載の血管内治療システムであって、
前記1つ以上の膨張ルーメンが、前記遠位バルーン、前記血管形成バルーン、及び前記近位バルーンと連通している単一の膨張ルーメンであり、かつ
前記遠位バルーンが、前記血管形成バルーンよりも低い圧力で拡張可能である、血管内治療システム。
【請求項6】
請求項1に記載の血管内治療システムであって、
前記1つ以上の膨張ルーメンが、前記遠位バルーンと連通する第1の膨張ルーメンと、前記血管形成バルーンと連通する第2の膨張ルーメンと、を備え、前記第1の膨張ルーメンが前記遠位バルーンを膨張させるための第1の流路を提供するように配置され、前記第2の膨張ルーメンが、前記血管形成バルーンを膨張させるための第2の流路を提供するように配置されるように、前記第1の膨張ルーメン及び前記第2の膨張ルーメンの各々が前記送達チューブに沿って延在しており、かつ
前記遠位バルーン及び前記血管形成バルーンが各々、互いに独立して膨張可能であるように、前記第1の流路及び前記第2の流路が分離されている、血管内治療システム。
【請求項7】
請求項6に記載の血管内治療システムであって、
前記送達チューブ上に、前記血管形成バルーンに関して近位方向に配備された近位バルーンを更に備え、
前記1つ以上の膨張ルーメンが、前記近位バルーンと連通し、かつ前記送達チューブに沿って延在する第3の膨張ルーメンを更に備え、前記第3の膨張ルーメンが、前記近位バルーンを膨張させるための第3の流路を提供するように配置され、
前記遠位バルーン、前記血管形成バルーン、及び前記近位バルーンが各々、互いに独立して膨張可能であるように、前記第1の流路、前記第2の流路、及び前記第3の流路が分離されている、血管内治療システム。
【請求項8】
請求項1に記載の血管内治療システムであって、
拡張可能な要素をその上に備えるカテーテルであって、血管を通過するような大きさであり、かつ前記送達チューブ、前記遠位バルーン、前記血管形成バルーン、及び前記ステントがそれを経て通過することを可能にするような大きさであるカテーテルを更に備える、血管内治療システム。
【請求項9】
請求項8に記載の血管内治療システムであって、
前記拡張可能な要素が多孔質である、血管内治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、血管内病変部を治療するための医療装置及び処置に関し、より具体的には、頭蓋内アテローム性動脈硬化症(ICAD)に関連する病変部に対するカテーテルベースの処置に関する。
【背景技術】
【0002】
アテローム性動脈硬化は、血管系内の血管のルーメン内の空間を狭小化及び低減する病変部から生じる。このような病変部は、通常、プラークから構成されるが、このプラークは、脂肪、コレステロール、カルシウム、又は血液の他の成分であり得る。重度の閉塞又は閉鎖は、異なる器官及び身体の部分への酸素化血液の流れを妨害し、心臓発作又は脳卒中などの他の心血管障害をもたらし得る。血管の狭細又は狭窄は、血塊及び他の塞栓が、このような部位、特に血管の直径が既に小さい神経血管内に留まることができるリスクを高める。ICADは、脳に血液を供給するこれらの動脈及び血管の狭小化であり、虚血性脳卒中の最も一般的な近因である。
【0003】
血管の閉塞を処置するための現行法には、抗凝固薬又は抗血小板薬などの薬物、並びに外科的な血管内膜摘除術、血管形成術、及びステント挿入術などの医学的手技を利用することが含まれる。機械的処置は、多くの場合、医療装置を使用して閉塞性血塊を回収し、次いでバルーン及びステントを利用して狭小化された動脈を開くことを伴う。ステントリーバ又は他の血塊回収装置の使用に続いて、バルーンを標的部位に送達させ、膨張させて、狭窄を拡張する。次いで、バルーンを除去し、ステント送達装置のためのカテーテルを介して交換することができる。所望される場合、ステントが一旦適所に置かれると、ステント内でバルーンを膨張させて、ステント足場フレームの支柱を血管の内壁に対してしっかりと押圧させることができる。ステント異物回収機及びステントなどの装置で閉塞物を横断することにより、ICADが破裂するか又は断片化する尤度を高めることができる。このような断片としては、血塊、プラーク、及び他の血栓残屑が挙げられるが、これらに限定されない。断片は、病変部下流での血管の閉塞をもたらし、広範囲の卒中又は死亡を引き起こすことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、出願人らは、血管内閉塞、具体的にはICADに対する治療に引き続き取り組み、しかも改善するためのシステム及び装置の必要性を認識している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、血管内病変部の単独ステント挿入のためのカテーテルベースのシステムを提供することとする。拡張可能な閉塞装置は、脈管構造を閉塞するために、病変部に関して遠位方向及び近位方向に拡張することができる。ステントは、閉塞装置が定位置にある間に病変部を横切って展開することができる。ステント挿入中に除去された断片は、吸引することができる。
【0006】
例となる血管内治療システムは、送達チューブ、遠位バルーン、血管形成バルーン、ステント、及び1つ以上膨張ルーメンを備えることができる。治療システムはまた、近位バルーンなどの拡張可能要素を備えることもできる。治療システムは、血管を通過するような大きさであり、送達チューブ、遠位バルーン、血管形成バルーン、及びステントがそれを経て通過することを可能にするような大きさである外側カテーテルを更に備えることができる。
【0007】
送達チューブは、脈管構造を通過するような大きさであることができる。
【0008】
拡張可能要素は、血管形成バルーンに関して近位方向に送達チューブ上に配備することができる。あるいは、拡張可能要素は、外側カテーテル上に配備することができる。いずれの場合も、拡張可能要素は、1つ以上の膨張ルーメンのうちの1つの膨張ルーメンによって膨張可能なバルーン(本明細書では「近位バルーン」と称する)であることができる。あるいは、拡張可能要素は、自己拡張することができるか、又は本開示の教示によって当業者が理解するような他の手段によって拡張可能であることができる。この拡張可能要素は多孔質であることができる。
【0009】
遠位バルーンは、送達チューブ上に配備することができる。遠位バルーンは、送達チューブの遠位端近くに配備することができる。近位バルーン及び遠位バルーンの両方が同じ膨張ルーメンによって膨張するとき、遠位バルーンは、血管形成バルーン及び/又は近位バルーンとは異なる圧力で拡張可能であることができる。
【0010】
血管形成バルーンは、送達チューブ上に配備することができる。血管形成バルーンは、遠位バルーンに関して近位方向に配備することができる。血管形成バルーンは、ステントを拡張するように構成された拡張可能なノンコンプライアントラップを備えていることができる。加えて、又はそれに代わるものとして、血管形成バルーンは、ノンコンプライアント膜を備えていることができ、ステントは、送達中に血管形成バルーンの拡張を制限することができ、血管形成バルーンの拡張した直径は、ノンコンプライアント膜の形状によって決定することができる。いずれの場合でも、血管形成バルーンは、血管形成バルーンが遠位バルーン及び/又は近位バルーンと同じ膨張ルーメンによって膨張するとき、血管形成バルーンは、遠位バルーン及び/又は近位バルーンとは異なる圧力で拡張可能であることができる。
【0011】
ステントは、血管形成バルーンの上に配備することができる。ステントは、バルーン拡張型ステントであることができ、これは、バルーンの膨張がステントを拡張するために必要であり、すなわちステントが自己拡張していないことを意味する。
【0012】
送達チューブは、マイクロカテーテルを、血栓除去装置がより遠位の位置で使用することができるように受容する大きさでもよいか、又はアクセスを支援するための0.035インチのガイドワイヤを使用することができる大きさでもよい。
【0013】
膨張ルーメンの一部又は全ては、送達チューブに沿って延在することができる。膨張ルーメンの1つ以上は、遠位バルーン及び血管形成バルーンと連通し、遠位バルーン及び血管形成バルーンを膨張させるように配置することができる。膨張ルーメンは更に、近位バルーンと連通し、近位バルーンを膨張させるように配置することができる。
【0014】
1つ以上の膨張ルーメンは、遠位バルーン及び血管形成バルーンの両方と連通している単一の膨張ルーメンを備え、遠位バルーン及び血管形成バルーンの両方を膨張させるように配置することができる。単一の膨張ルーメンは更に、近位バルーンと連通し、近位バルーンを膨張させるように配置することができる。バルーンが拡張可能な圧力は、複数のバルーンが、所定の順序で単一の膨張ルーメンによって膨張させることが可能となることができる。より低い圧力で拡張可能なバルーンは、より高い圧力で拡張可能なバルーンの前に膨張させることができる。例えば、遠位バルーンは、同じ膨張ルーメンによって膨張可能な血管形成バルーンと比較して、より低い圧力で拡張可能であることができる。この場合、遠位バルーンは最初に膨張させることができる。遠位バルーン及び血管形成バルーンと同じ膨張ルーメンによって膨張可能な近位バルーンを備えている場合、遠位バルーンは、近位バルーン及び血管形成バルーンよりも低い圧力で拡張可能であることができる。
【0015】
遠位バルーン及び血管形成バルーンの両方と連通する単一の膨張ルーメンの代替として、1つ以上の膨張ルーメンは、遠位バルーンと連通する第1の膨張ルーメンと、血管形成バルーンと連通する第2の膨張ルーメンと、を備えていることができる。第1の膨張ルーメン及び第2の膨張ルーメンの各々は、送達チューブに沿って延在することができる。第1の膨張ルーメンは、遠位バルーンを膨張させるための第1の流路を提供するように配置することができる。第2の膨張ルーメンは、血管形成バルーンを膨張させるための第2の流路を提供するように配置することができる。第1の流路及び第2の流路は、遠位バルーン及び血管形成バルーンが各々、互いに独立して膨張可能であるように分離することができる。送達チューブがその上に近位バルーンを備えている場合、第1の膨張ルーメン又は第2の膨張ルーメンは更に、近位バルーンと連通し、近位バルーンを膨張させるように配置することができる。バルーンが拡張可能な圧力は、複数のバルーンが、所定の順序で単一の膨張ルーメンによって膨張させることが可能となることができる。遠位バルーン又は血管形成バルーンと共通の膨張ルーメンと連通している近位バルーンの代替として、1つ以上の膨張ルーメンは更に、近位バルーンと連通する第3の膨張ルーメンを備えていることができる。第3の膨張ルーメンは、近位バルーンを膨張させるための第3の流路を提供するように配置することができる。第1の流路、第2の流路、及び第3の流路は、遠位バルーン、血管形成バルーン、及び近位バルーンが各々、互いに独立して膨張可能であるように分離することができる。第3の膨張ルーメンは、送達チューブに沿って延在することができ、あるいは、第3の膨張ルーメンは、送達チューブが摺動可能に並進可能であるガイドカテーテルなどの別個のチューブ及び/又はカテーテルに沿って延在することができる。
【0016】
血管内病変部を治療するための例となる方法は、順序不同で提示される以下の工程のうちの1つ以上を含むことができる。該方法は更に、本開示の教示により、当業者によって認識され理解されるような追加の工程を含むことができる。
【0017】
該方法は、遠位バルーンと、血管形成バルーンと、ステントと、を有する送達チューブを、病変部にわたって配置することを含むことができる。送達チューブは、遠位バルーンが病変部に関して遠位方向にあり、血管形成バルーンが病変部と交差し、かつステントが病変部と交差するように、配置することができる。
【0018】
該方法は、遠位バルーンを膨張させることを含むことができる。遠位バルーンは、血管形成バルーンが完全に膨張する前に、完全に膨張することができる。
【0019】
該方法は、病変部に関して近位方向に配置された近位拡張可能要素を拡張することを含むことができる。近位拡張可能要素は、血管形成バルーンが膨張する前に、近位拡張可能要素が血管に円周方向に並置されるように拡張することができる。近位拡張可能要素は、近位バルーンを備えることができる。近位拡張可能要素は、送達チューブ上に、又は送達チューブが経て延在しているガイドカテーテル上に配備することができる。近位バルーンが、送達チューブが経て配備されているガイドカテーテル上に配備されている場合、近位バルーンは、病変部と交差する前に膨張して、遠位血管床が遮断し、病変部が破裂するものとするか又は病変部の一部が不注意に外れるものとすることを防ぐことができる。近位バルーンはまた、拡張状態では、病変部を経て送達チューブの遠位前進を支持することもでき、病変部は、交差するのが困難となるものとする。
【0020】
該方法は、血管形成バルーンを膨張させることを含むことができる。血管形成バルーンは、遠位バルーンが完全に膨張した後に完全に膨張することができる。血管形成バルーンは、近位拡張可能要素が拡張されて血管を円周方向に並置する前に膨張することができる。
【0021】
該方法は、血管形成バルーンを完全に膨張させた結果として、ステントを病変部内へと拡張することを含むことができる。
【0022】
該方法は、単一の膨張ルーメンを介して遠位バルーン及び血管形成バルーンを両方とも膨張させることを含むことができる。あるいは、該方法は、別個の膨張ルーメンを経て遠位バルーン及び血管形成バルーンを膨張させることを含むことができる。
【0023】
該方法は、送達チューブが病変部にわたって配置されるときに、病変部に関して近位方向において近位バルーンを配置することを含むことができる。
【0024】
該方法は、遠位バルーンが完全に膨張した後かつ血管形成バルーンが完全に膨張する前に近位バルーンが完全に膨張するように、近位バルーンを膨張させることを含むことができる。
【0025】
該方法は、単一の膨張ルーメンを介して遠位バルーン、血管形成バルーン、及び近位バルーンを膨張させることを含むことができる。
【0026】
近位拡張可能要素がガイドカテーテル上に配備されるとき、該方法は、近位拡張可能要素が病変部に関して近位方向にあるように、ガイドカテーテルを病変部に配置することを含むことができる。該方法は、ガイドカテーテル(例えば、上に拡張可能要素及び/又は近位バルーンが配備されるガイドカテーテル)を経て送達チューブを病変部に送達することを含むことができる。該方法は更に、ガイドカテーテル(例えば、上に拡張可能要素及び/又は近位バルーンが配備されるガイドカテーテル)を経て吸引することを含むことができる。
【0027】
該方法は、血管形成バルーンを収縮させることを含むことができる。血管形成バルーンは、遠位バルーンの前に収縮させることができる。
【0028】
該方法は、遠位バルーンを収縮させることを含むことができる。遠位バルーンは、血管形成バルーンの後に収縮させることができる。
【0029】
血管内病変部を治療するための別の例となる方法は、順序不同で提示される以下の工程のうちの1つ以上を含むことができる。該方法は更に、本開示の教示により、当業者によって認識され理解されるような追加の工程を含むことができる。
【0030】
該方法は、血管を病変部に対して近位方向に、並びに第1の分岐血管及び第2の分岐血管への分岐部に関して近位方向に閉塞することを含むことができる。第1の分岐血管は、ウイリス動脈輪と連通していることができる。
【0031】
該方法は、第2の分岐血管を病変部及び前分岐部に関して遠位方向に閉塞することを含むことができる。
【0032】
該方法は、病変部に対して遠位の第2の分岐血管が閉塞され、かつ病変部に対して近位の血管が閉塞されている間に、病変部にステント挿入することを含むことができる。
【0033】
該方法は、病変部にステント挿入した後、病変部の近傍において吸引することを含むことができる。
【0034】
該方法は、病変部に対して遠位の第2の分岐血管が閉塞され、かつ病変部に対して近位の血管が閉塞されている間に、病変部の近傍において吸引することを含むことができる。
【0035】
別の血管内治療システムは、送達チューブ、第1のバルーン及び第2のバルーン、並びに膨張ルーメンを備えることができる。第1のバルーン及び第2のバルーンは、送達チューブの遠位部分の上に配備することができる。膨張ルーメンは、第1のバルーン及び第2のバルーンの両方と連通して第1のバルーン及び第2のバルーンの両方を膨張させる単一の膨張ルーメンを含むことができる。第1のバルーンは、膨張ルーメンを介してバルーンの膨張及び収縮の順序を制御するために、第2のバルーンよりも低い圧力で拡張可能であることができる。治療システムは更に、送達チューブ110を外接し、第1のバルーンと第2のバルーンとの間に配置されたステントを備えることができる。ステントは、自己拡張可能であることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の上記及び更なる態様は、添付の図面と併せて以下の説明を参照して更に考察され、様々な図面において、同様の数字は、同様の構造要素及び特徴を示す。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本発明の原理を例示することが重視されている。図は、限定としてではなく単なる例示として、本発明のデバイスの1つ以上の実装形態を描写している。
図1A】本発明の態様による、連続的な治療工程の間の血管内治療システムの図である。
図1B】本発明の態様による、連続的な治療工程の間の血管内治療システムの図である。
図1C】本発明の態様による、図1Bに示されたような血管内治療システムの断面図を示す。
図2A】本発明の態様による、図1Bに示されるような血管内治療システムの送達チューブの断面の変形を示す。
図2B】本発明の態様による、図1Bに示されるような血管内治療システムの送達チューブの断面の変形を示す。
図2C】本発明の態様による、図1Bに示されるような血管内治療システムの送達チューブの断面の変形を示す。
図3A】本発明の態様による、図1に示す治療システムを使用して血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図3B】本発明の態様による、図1に示す治療システムを使用して血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図3C】本発明の態様による、図1に示す治療システムを使用して血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図3D】本発明の態様による、図1に示す治療システムを使用して血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図3E】本発明の態様による、図1に示す治療システムを使用して血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図3F】本発明の態様による、図1に示す治療システムを使用して血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図3G】本発明の態様による、図1に示す治療システムを使用して血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図3H】本発明の態様による、図1に示す治療システムを使用して血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図3I】本発明の態様による、図1に示す治療システムを使用して血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図3J】本発明の態様による、図1に示す治療システムを使用して血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図4】本発明の態様による別の血管内治療システムの図である。
図5A】本発明の態様による、図4に示されるような血管内治療システムの送達チューブの断面の変形を示す。
図5B】本発明の態様による、図4に示されるような血管内治療システムの送達チューブの断面の変形を示す。
図6A】本発明の態様による、図4に示す治療システムを使用して血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図6B】本発明の態様による、図4に示す治療システムを使用して血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図6C】本発明の態様による、図4に示す治療システムを使用して血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図6D】本発明の態様による、図4に示す治療システムを使用して血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図6E】本発明の態様による、図4に示す治療システムを使用して血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図6F】本発明の態様による、図4に示す治療システムを使用して血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図6G】本発明の態様による、図4に示す治療システムを使用して血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図6H】本発明の態様による、図4に示す治療システムを使用して血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図7A】本発明の態様による、図4に示す治療システムを使用して血管内病変部を治療する代替的な工程を図示する一連の図である。
図7B】本発明の態様による、図4に示す治療システムを使用して血管内病変部を治療する代替的な工程を図示する一連の図である。
図8A】本発明の態様による、分岐部で血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図8B】本発明の態様による、分岐部で血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図8C】本発明の態様による、分岐部で血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図8D】本発明の態様による、分岐部で血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図8E】本発明の態様による、分岐部で血管内病変部を治療する工程を図示する一連の図である。
図9A】本発明の態様による、多孔質閉塞要素を利用する治療の工程を図示する一連の図である。
図9B】本発明の態様による、多孔質閉塞要素を利用する治療の工程を図示する一連の図である。
図9C】本発明の態様による、多孔質閉塞要素を利用する治療の工程を図示する一連の図である。
図9D】本発明の態様による、多孔質閉塞要素を利用する治療の工程を図示する一連の図である。
図10】本発明の態様による、血管内病変部を治療するための工程を概略する流れ図である。
図11】本発明の態様による、分岐部において血管内病変部を治療するための工程を概略する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1A図1Cは、血管BVにおける病変部Pの治療中の血管内治療システム100の図である。治療システム100は、送達チューブ110と、遠位バルーン114と、血管形成バルーン116と、近位閉塞装置112と、ステント118と、を備えていることができる。システム100は、脈管構造を病変部Pまで通過する大きさであることができる。図1Aは、血管BV内の病変部P(プラーク)にカテーテル102を経て送達される、折り畳まれた送達構造のシステム100を示す。図1Bは、近位閉塞装置112と、遠位バルーン114と、血管形成バルーン116と、ステント118とが拡張されたシステム100を示す。近位閉塞装置112及び遠位バルーン114は、病変部Pの周囲で治療領域を分離する。図1Cは、図1Bに示されるような血管形成バルーン116及びステント118を経たシステム100の断面を示す。
【0038】
送達チューブ110は、治療システム100が図1Bに示すように病変部Pに配置されるとき、送達チューブ110の近位端が患者の体外に配置されることができるように、十分長くあることができる。このように構成されると、ユーザ(例えば、医師)は、送達チューブ110の近位端を操作して、図1A図1Cに示されるシステム100の複数の部分を拡張させることができ、さもなくば操作することができる。システム100は、ガイドワイヤ16上で送達することができる。
【0039】
遠位バルーン114は、送達チューブの遠位端134の近くで送達チューブ110上に配備することができる。血管形成バルーン116は、遠位バルーン114に関して近位方向12に送達チューブ110上に配備することができる。ステント118は、血管形成バルーン116の上に配備することができる。近位閉塞要素112は、血管形成バルーン116に関して近位方向12に送達チューブ110上に配備することができる。
【0040】
近位閉塞要素112は、バルーンを備えることができる。あるいは、近位閉塞要素は、自己拡張可能な、機械的に拡張可能な、及び/又はさもなくば拡張可能な閉塞要素を備えることができる。
【0041】
近位閉塞要素112、遠位バルーン114、及び血管形成バルーン116は、図1B及び図1Cに示すように血管BV内の血管壁を並置するように拡張するように構成されている。遠位バルーン114及び近位閉塞要素112は、病変部Pからの断片が病変部Pから離れて移動するのを防止する。血管形成バルーン116は、ステント118を病変部Pのプラーク内へと押圧し、更に膨張させて血管BVの周囲を拡張させることができる。
【0042】
図1A図1Cに示す治療システム100の別例として、該システムは、単一の膨張ルーメンによって膨張可能な2つのバルーンを備えることができる。一例では、近位閉塞要素112及び遠位バルーン114は、単一の膨張ルーメンによって膨張することができる。この場合、システム100は、血管形成バルーンを備えている必要はない。この例では、ステント118は、自己拡張可能であることができ、システム100は、ステント118を被覆してステントが拡張することを可能にするように格納可能であるシースを備えることができる。別の例では、血管形成バルーン116及び遠位バルーン114は、単一の膨張ルーメンによって膨張することができる。別の例では、近位拡張可能要素112及び血管形成バルーン116は、単一の膨張ルーメンによって膨張することができる。
【0043】
図2A図2Cは、図1Bに示されるような血管内治療システム100の送達チューブ110の断面の変形を示す。図2A図2Cに示される代替の送達チューブルーメン構造110a、110b、110cは、図1A図1Cに示される送達チューブ110において、及び図3A図3Jでの使用において使用することができる。
【0044】
図1A図1C及び図2A図2Cを集約的に参照すると、送達チューブ110は、少なくとも一部が遠位バルーン114及び血管形成バルーン116、216、316と連通している1つ以上の膨張ルーメン120、122、124、126、128、220、222、224、224を備えることができる。遠位バルーン114及び血管形成バルーンと連通している膨張ルーメンは、送達チューブ110に沿って延在しており、遠位バルーン114及び血管形成バルーン116を膨張させるように配置される。近位閉塞要素112がバルーンを備えている例では、膨張ルーメン120、122、124、126、127、128のうちの少なくとも1つは更に、近位バルーンと連通することができ、近位バルーン112を膨張させるように配置することができる。膨張ルーメン120、122、124、126、127、128は、システムが図1A図1Cに示される位置にあるとき、患者の体外に接近可能である(例えば、ポンプへ接続される)ように、システムに沿って延在することができる。
【0045】
図2Aは、単一の膨張ルーメン120を有する一例の送達チューブ110aを示す。単一の膨張ルーメン120は、遠位バルーン114及び血管形成バルーン116の両方と連通していて、両バルーン114、116を膨張させることができる。遠位バルーン114は、遠位バルーン114が血管形成バルーン116の前に膨張するように、血管形成バルーン116よりも低い圧力で拡張することができる。これを達成するために、血管形成バルーン116は、拡張可能なコンプライアント膜を有することができ、遠位バルーン114は、ノンコンプライアント膜を有することができる。あるいは、血管形成バルーン116は、ステントが図1Aに示されるように折り畳まれたとき、ステント118によって拡張することから制限されるノンコンプライアント膜及び/又はノンコンプライアントラップを有することができる。
【0046】
血管形成バルーン116がコンプライアント膜を備えているとき、コンプライアント膜は、血管形成バルーン116内での圧力が上昇するにつれて、拡張することができる。ノンコンプライアント膜は、遠位バルーン114内での内圧が上昇するにつれてでさえ、1つの特定の大きさ又は大きさの範囲へ拡張することができ、遠位バルーン114は、血管形成バルーン116のコンプライアント膜と比較して血管BVを閉塞するために膨張する圧力をあまり必要としないことができる。血管形成バルーン116のコンプライアント膜の過剰拡張膨張のリスクを低減するために、血管形成バルーン116は更に、血管形成バルーン116の拡張した直径を制限するように構成された及びノンコンプライアントラップを備えることができる。ノンコンプライアント遠位バルーン114を使用する代替として、遠位バルーン114は、血管形成バルーン116のコンプライアント膜と比較して、より低い圧力で膨張するコンプライアント膜を備えることができる。このような場合、遠位バルーン114のコンプライアント膜の過剰拡張のリスクを低減するために、遠位バルーン114はまた、遠位バルーン114の拡張した直径を制限するように構成されたノンコンプライアントラップも備えることができる。加えて、又はそれに代わるものとして、遠位バルーン114の過剰拡張のリスクを低減するために、遠位バルーンは、血管形成バルーンの所望の拡張と比較して拡張に抵抗する厚い壁のエラストマー材料を備えることができる。遠位バルーン114を完全に拡張する圧力は、主として、遠位バルーン114のバルーン膜の材料特性に依存することができるが、血管形成バルーン116を膨張させる圧力は、ステント118からの圧縮力、プラークPの抵抗、及び血管BVの膨張に対する抵抗に加えて、血管形成バルーン116のバルーン膜の特性に依存することができる。
【0047】
遠位バルーン114がノンコンプライアントであるか、又はコンプライアント膜を備えているかどうかにかかわらず、血管形成バルーン116は、遠位バルーン114の前に収縮することができる。血管形成バルーン116の膜は、膨張圧が低減されると、膨張流体が遠位バルーン114から排出されるよりも高い速度で血管形成バルーン116から膨張流体を押し出すのに十分に弾力的であることができる。
【0048】
血管形成バルーン116がノンコンプライアント膜を備えているとき、ステント118は、血管形成バルーン116の拡張を抑制する力を提供することができる。遠位バルーン114はステントによって抑制されず、それにより血管形成バルーン116と比較して低い圧力で膨張することができる。血管形成バルーン116を膨張させるのに有効な圧力は、ステント118を拡張に対して抵抗性であるようステント挿入させる、ステント118の機械的特性に基づいて決定することができる。
【0049】
近位閉塞要素112がバルーンを備えている例では、近位バルーン112は、図2Aに示される単一の膨張ルーメン120を介して拡張することができる。近位バルーン112は、血管形成バルーン116の前に膨張するよう構成されることができる。近位バルーンは、血管形成バルーン116のコンプライアント膜よりも低い圧力で血管BVを遮断するように膨張可能であるノンコンプライアント膜を備えることができる。あるいは、近位バルーン112は、血管形成バルーン116のコンプライアント膜よりもコンプライアントであるコンプライアント膜を備えることができる。この場合、近位バルーン112の過剰拡張のリスクを低減するために、近位バルーン112は更に、近位バルーン112の拡張した直径を制限するように構成されたノンコンプライアントラップを備えることができる。近位バルーン112がノンコンプライアントであるか、又はコンプライアント膜を備えているかどうかにかかわらず、血管形成バルーン116は、遠位バルーン114の前に収縮することができる。血管形成バルーン116の膜は、膨張圧が低減されると、膨張流体が近位バルーン112から排出されるよりも高い速度で血管形成バルーン116から膨張流体を押し出すのに十分に弾力的であることができる。
【0050】
近位閉塞要素112がバルーンを備えている例では、近位バルーン112は更に、遠位バルーン114の前、後、又は同時に膨張するように構成されていることができる。例えば、遠位バルーン114は、血管形成バルーン116及び近位バルーン112の両方よりも低い圧力で膨張して、近位バルーン112及び血管形成バルーン116の両方の前に遠位バルーン114を膨張させることができる。これを達成するために、遠位バルーンはノンプライアントであることができ、近位バルーン112及び血管形成バルーン116の両方は、ノンコンプライアントラップとコンプライアントであることができる。あるいは、遠位バルーン114は、近位バルーン112及び血管形成バルーン116の両方よりも低い圧力で拡張するように構成されたコンプライアント膜を備えることができる。
【0051】
いくつかの治療では、第一に遠位バルーン114を膨張させて病変部Pの下流の血流を遮断し、第二に近位バルーン112を膨張させて病変部Pへの血流を遮断し、第三に血管形成バルーン116を膨張させてステント118を拡張することは、有利であることができる。遠位バルーン114は、送達チューブ110を定位置に固定し、血管BVを遮断することができる一方で、他の治療装置が近位方向12から病変部Pに到達するためのアクセスをなおも提供することができる。
【0052】
いくつかの治療では、遠位バルーン114及び血管形成バルーン116を膨張させて、病変部Pへの血流を遮断する前に、近位閉塞要素112を拡張する(例えば、近位閉塞要素112のバルーンを膨張させる)ことは有利であることができる。近位バルーン112をまず膨張させることは、近位閉塞要素112が拡張し、それにより、血流による脈管構造内の他の場所で病変部Pの交差中に破片が取り除かれるのを抑制した後に、血管形成バルーン116及び/又は遠位バルーン114が病変部Pと交差するように並進可能であるとき、特に有利であることができる。
【0053】
別の例では、近位バルーン、遠位バルーン、及び血管形成バルーンは、より高い圧力を使用して病変部を圧迫することができるように、ノンコンプライアントラップを備えている。更に別の例では、近位バルーン、遠位バルーン、及び血管形成バルーンは、より高い圧力を使用してプラークを圧迫することができるように、ノンコンプライアントバルーンを備えることができ、各バルーンの拡張シーケンスは、コンプライアントラップを使用することによって制御され、コンプライアントラップは、先に論議したように、所定のシーケンスにおいてノンコンプライアントバルーンの各々を解放するように構成されている。
【0054】
図2Bは、2つの膨張ルーメン122、124を有する例となる送達チューブ110bを示す。別個のルーメン上のバルーンは、所望の順序で、かつ互いから独立した所望の圧力で膨張及び収縮させることができる。2つのルーメン122、124は、送達チューブ110bの本体に沿って互いに分離することができる。例えば、第1のルーメン122は、遠位バルーン114を膨張させるように配置及びさもなくば構成されることができ、第2のルーメン124は、血管形成バルーン116を膨張させるように配置及びさもなくば構成されることができる。近位閉塞要素112がバルーンを備えている場合、3つのバルーンのうちの2つは、2つのルーメン122、124のうちの1つによって膨張することができ、第3のバルーンは、2つのルーメン122、124のうちのもう一方によって膨張することができる。同じ膨張ルーメンによって膨張可能なバルーンは、図2Aに関して説明されるように、所定の順序で膨張及び収縮するように構成することができる。
【0055】
図2Cは、3つの膨張ルーメン126、127、128を有する例となる送達チューブ110cを示す。近位閉塞要素112がバルーンを備えている場合、各バルーン112、114、116は、それぞれの個々のルーメン126、127、128によって膨張可能であることができる。
【0056】
図3A図3Jは、図1に示す治療システム100を使用して血管内病変部Pを治療する工程を図示する一連の図である。
【0057】
図3Aは、カテーテル102内での病変部Pにわたって配置された送達チューブ110を示す。図3Aに示す位置に到達するために、まず、ガイドワイヤ16は患者の脈管構造を経て延在することができ、病変部Pを横切って配置されることができ、次いでカテーテル102及び送達チューブ110は、ガイドワイヤ16上で、図示された位置まで遠位方向14に並進することができる。
【0058】
図3Bは、遠位バルーン114、血管形成バルーン116、ステント118、及び近位閉塞要素112をはじめとする送達チューブ110の遠位部分をむき出しにするために近位方向12に格納されたカテーテル102を示す。
【0059】
図3Cは、血管形成バルーン116が膨張する前、又は近位閉塞要素112が拡張する前に、血管BVの壁を円周方向に並置するように膨張する遠位バルーン114を示す。
【0060】
図3Dは、遠位バルーン114が膨張した後、血管形成バルーン116が膨張する前の血管BVの壁を並置するように拡張した近位閉塞要素112を示す。
【0061】
システム100は、加えて、又はそれに代わるものとして、近位閉塞要素112が遠位バルーン114と同時に又は遠位バルーン114の前に拡張可能であるように構成されることができる。いくつかの例では、近位閉塞要素112のバルーンは、遠位バルーン114又は血管形成バルーン116と同じ圧力で拡張することができる。好ましくは、近位バルーン及び遠位バルーンは両方とも、各バルーンが低輪郭を有し、ノンコンプライアント血管形成バルーン116のように(例えば、拡張を制限するためにステントを用いて)包装を必要としないように、コンプライアントであり、同じ圧力で膨張し、それによりコンプライアント(エラストマー)バルーンを各々について使用することができる。
【0062】
別の実施例では、全てのバルーン112、114、116はエラストマーであることができる。ステント118を拡張するために使用されるバルーン116は、近位バルーン112及び遠位バルーン114が(より薄い壁、したがってより低い膨張圧により)最初に拡張するように、より厚い又はより剛性の材料を使用して作製することができ、ステントバルーン116が拡張すると、近位バルーン112及び遠位バルーン114は長手方向にロールアウトし始める。
【0063】
別の実施例では、複合バルーン又はハイブリッドバルーンを使用することができる。複合バルーンは、バルーンがある特定の直径を超えて拡張することを防止する、ノンコンプライアントの糸又はブレイドを備えたエラストマー材料から構成することができる。ハイブリッドバルーンは、低プロファイル送達のために圧迫された構造でノンコンプライアント内側バルーンを保持するエラストマー外側スリーブを備えた内側ノンコンプライアントバルーンから構成することができる。
【0064】
図3Eは、血管形成バルーン116及びステント118が拡張されていることを示す。血管形成バルーン116の膨張は、ステント118を病変部Pへと押し込むことができる。血管形成バルーン116の膨張は、加えて血管を拡張することができる。
【0065】
図3Fは、遠位バルーン114及び近位閉塞要素112が血管BVの壁を並置するように膨張したままであるのに対し、血管形成バルーン116が収縮したことを示す。ステント118は、血管形成バルーン116の収縮の際に拡張されたままであることができる。血管形成バルーン116の膨張及び収縮は、病変部Pから断片Fを除去することができる。断片Fは、拡張された遠位バルーン114と近位閉塞要素112との間に含有することができる。
【0066】
図3Gは、近位閉塞要素112が血管形成バルーン116の収縮前に折り畳まれているのを示す。遠位バルーン114は、断片Fが病変部Pから下流に流れるのを抑制するよう拡張されたままであることができる。近位要素112をつぶすことによって、追加の治療が病変部Pへ送達されることが可能となることができる。
【0067】
図3Hは、カテーテル102のルーメンを経た吸引の一方で、遠位バルーン114が血管BV内で拡張されたままであるのを示す。カテーテル102及び送達チューブ110のルーメンは、送達チューブ110がそこを経て延在している一方で、断片がカテーテル102のルーメンに入るための通路を提供するような寸法とすることができる。いくつかの実施例では、同じカテーテル102は、図3Aに示すように病変部Pを横切ってシステム100を送達し、図3Hで示すように吸引するために使用することができる。あるいは、いくつかの応用では、図3Aに示される交差工程及び図3Hに示す吸引工程のための2つの異なるカテーテルを使用することが有利であることができる。例えば、小径のカテーテルは、病変部Pを最小限に妨害するために病変部Pを横切るのにより良好に適していてもよく、大きな口腔カテーテルは、病変部Pから取り除かれたより大きい断片Fを捕捉するのにより良好に適していてもよい。
【0068】
図3Iは、断片Fの吸引後に収縮した遠位バルーン114を示す。
【0069】
図3Jは、治療部位から格納した送達チューブ110を示し、ステント118は、病変部Pを支持する位置に残っている。
【0070】
図4は、近位閉塞要素212をその上に備えるカテーテル202を備える別の血管内治療システム200の図であり、該システム200は更に、遠位バルーン214と、血管形成バルーン216と、ステント218とをその上に備える送達チューブ210を備えている。
【0071】
図5A及び図5Bは、図4に示されるような血管内治療システム200の送達チューブ210の断面の変形を示す。
【0072】
図5Aは、遠位バルーン214及び血管形成バルーン216の両方を膨張させるような大きさ、配置、及びさもなくばそのように構成された単一の膨張ルーメン220を有する送達チューブ210aを示す。遠位バルーン214、血管形成バルーン216、及び単一の膨張ルーメン220は、図2Aに関して説明したものと同様に構成することができる。遠位バルーン214は、単一の膨張ルーメン220を介して血管形成バルーン216の前に膨張するよう構成されることができる。遠位バルーン214は、単一の膨張ルーメン220を介して血管形成バルーン216の後に収縮するよう構成されることができる。
【0073】
図5Bは、2つの膨張ルーメン222、224を有する送達チューブ210bを示す。遠位バルーン214及び血管形成バルーン216は、それぞれの膨張ルーメン222、224を介して別個に膨張可能であることができる。
【0074】
図6A図6Hは、図4に示す治療システム200を使用して血管内病変部Pを治療する工程を図示する一連の図である。
【0075】
図6Aは、遠位バルーン214が病変部Pに関して遠位方向14に配置され、ステント218及び血管形成バルーン216が病変部Pを経て又はそれにわたって配置されるように、病変部にわたって延在する送達チューブ210を示す。カテーテル202は、近位閉塞要素212が病変部Pに関して近位方向12に配置されるように配置される。システム200を図示された位置に送達するために、まず、ガイドワイヤ16を患者の脈管構造を経て、及び病変部Pを経て延在させることができ、次いでカテーテル202及び送達チューブ210をガイドワイヤ16上で遠位に14並進させることができる。いくつかの例では、カテーテル202のルーメンは、折り畳まれたステント218、血管形成バルーン216、及び遠位バルーン214をはじめとする送達チューブ210の遠位部分がカテーテル202内に収まることができるような大きさであることができる。いくつかの治療では、送達チューブ210がガイドワイヤ16の上で病変部Pへ並進されている間、遠位バルーン214、ステント218、及び血管形成バルーン216をカテーテル202内に配置し、次いで送達チューブ210をカテーテル202から図6Aに示す位置まで延出させることは有利であることができる。
【0076】
図6Bは、血管形成バルーン216又は近位閉塞要素212に先立って、血管BVの壁を並置するように拡張した遠位バルーン214を示す。
【0077】
図6Cは、遠位バルーン214が拡張したままであり、血管形成バルーン216が拡張する前である間に、血管BVの壁を並置するように拡張した近位閉塞要素212を示す。このように構成されると、血管BVは、病変部Pの領域内で分離されている。カテーテル202の遠位端は、拡張した近位閉塞要素212に関して遠位方向14に、及び拡張した遠位バルーン214に対して近位方向12に配置される。カテーテル202のルーメンは、単離された病変部Pに治療を送達することを可能にするような大きさであることができる。
【0078】
図6Dは、病変部Pへと拡張する血管形成バルーン216及びステント218を示す。血管形成バルーン216は、ステント218を拡張することができる。いくつかの治療では、血管形成バルーン216は、血管BVを拡張することができる。
【0079】
図6Eは、血管形成バルーン216が収縮していることを示す。血管形成バルーン216の膨張及び収縮は、病変部Pの断片Fを除去することができる。
【0080】
図6Fは、近位閉塞要素212が拡張されているままである間に、遠位バルーン214が収縮したことを示す。近位閉塞要素212は、近位閉塞要素212が血管BVの壁を並置するよう拡張されるとき、血管BVを経る血流を抑制するのに有効である流体不透過性膜を備えることができる。例えば、近位閉塞要素212は、バルーン及び/又はそれに取り付けられた流体不透過性膜を有する他の拡張可能な構造体を備えることができる。吸引前の遠位バルーン214の収縮は、遠位バルーン214及び近位閉塞要素212の両方が血流を抑止するのに有効であるとき、血管の崩壊のリスクを低減することができる。
【0081】
図6Gは、断片Fがカテーテル202のルーメン内に吸引されているのを示す。
【0082】
図6Hは、治療部位からの抽出のために折り畳まれた近位閉塞要素212を示す。ステント218はその後、図3Jに示されるステント118と同様に、病変部Pを横切る位置に残されることができる。
【0083】
図7A及び図7Bは、図4に示す治療システム200を使用して血管内病変部を治療する代替的な工程を図示する一連の図である。
【0084】
図7Aは、カテーテル202が病変部Pに関して近位方向12に配置されており、近位閉塞要素212が病変部に関して近位方向に血管BVの壁を並置するように拡張されているのを示す。送達チューブ210は、病変部Pにわたってまだ送達されていない。近位閉塞要素212は、血管BVを経る血流を抑止するのに有効な流体不透過性膜を備えることができる。拡張された近位閉塞要素212は、それにより、送達チューブ210が病変部Pの下流を流れて病変部Pを横切るときに取り除かれたいかなる破片も抑制することができる。あるいは、近位閉塞要素212は、近位閉塞要素312が図9A図9Dに示されるように透過性であることができる。
【0085】
図7Bは、近位閉塞要素212が拡張された後に、送達チューブ210が病変部Pと交差することを示す。送達チューブ210及びカテーテル202のルーメンは、カテーテル202の少なくとも遠位部分を経て図7Bに示される位置へと並進されるような大きさであることができる。一旦病変部を横切って配置されると、遠位バルーン214は膨張し、結果として、図6Cに示される構成をもたらすことができる。治療はその後、図6C図6H及び関連する説明に示されるように進行することができる。あるいは、近位閉塞要素212が透過性である場合、治療はその後、図9A図9Dに示されるように進行することができる。
【0086】
図8A図8Eは、図4に示すような治療システム200を使用して分岐部の血管内病変部Pを治療する工程を図示する一連の図である。分岐部は、幹血管BVと、第1の分岐血管BV1と、第2の分岐血管BV2と、を備えている。病変部Pは、第1の分岐血管BV1への開口部に関して遠位方向14で、第2の分岐血管BV2内に配置される。
【0087】
図8Aは、マイクロカテーテル又はシース206内に配置され、病変部Pを横切って延在する送達チューブ210を示している。この図は、吸引カテーテル202が病変部Pと交差する大きさである必要がない例を図示する。システム200は、ガイドワイヤ204上を図示された位置に誘導される。
【0088】
図8Bは、病変部Pに関して遠位方向14に第2の分岐血管BV2を閉塞するように遠位バルーン214が拡張された、病変部Pを横切って延在する送達チューブ210を示している。血管形成バルーン216及びステント218は、病変部Pにわたって配置されている。近位閉塞要素212は、第1の分岐血管BV1と第2の分岐血管BV2との間の分岐部に関して近位方向12に、幹血管BVの壁を並置するように拡張される。システム200は、図6A図6C図7A及び図7Bにおいて示されるのと同様の図8Aに示される位置へ展開することができるか、又は本開示の教示により当業者によって理解されるように展開することができる。
【0089】
図8Cは、ステント218を病変部Pへと押し込むために膨張させた血管形成バルーン216を示す。血管形成バルーン216はまた、図示されるように第2の分岐血管BV2を拡張するために膨張させることもできる。血管形成バルーン216は、近位閉塞要素212及び遠位バルーン214を膨張させたままでありながら、膨張することができる。近位閉塞要素212は、幹血管BVを経る血流を抑止するのに有効であることができる。遠位閉塞要素214は、病変部Pから外れた破片が第2の分岐血管BV2を経て遠位方向14に移動するのを抑制するのに有効であることができる。
【0090】
図8Dは、ステント218が病変部Pに対して拡張されたままである間に、血管形成バルーン216が収縮したことを示す。断片Fは、近位閉塞要素212及び遠位バルーン214の拡張により、病変部Pから流れることが抑制される。
【0091】
図8Eは、カテーテル202のルーメン内への吸引を示す。カテーテル202のルーメンは、図8Dに示されるように、送達チューブ210が定位置にある間に、カテーテル202のルーメン内への断片Fの通過を可能にするような大きさ、配置、及びさもなくば構成であることができる。
【0092】
図9A図9Dは、多孔質閉塞要素312をはじめとする代替的な治療システム300を利用する治療の工程を図示する一連の図である。システム300は、近位閉塞要素212をその上に備えるカテーテル302を備えることができ、システム300は更に、遠位バルーン314と、血管形成バルーン316と、ステント318とをその上に備える送達チューブ310を備えることができる。システム300は、図6A図6H又は図7A及び図7Bにおいて示すのと同様のシステム200を図9Aに示すように配置することができるか、又は本明細書の教示により当業者によって理解されるように展開することができる。
【0093】
図9Aは、拡張された遠位バルーン314と近位閉塞要素312との間に閉じ込められた病変部Pから外れた断片Fを示す。
【0094】
図9Bは、カテーテル302のルーメンを経た吸引を示す。カテーテル302及び送達チューブ310のルーメンは、図示されるように、送達チューブ310がマイクロカテーテル302を経て延在するときに、ルーメンが、断片を受容することができるような大きさであることができる。近位閉塞要素312における孔は、遠位バルーン314が血管BVを経る血流を抑止する間に、血液が近位閉塞要素312を経て流れることを可能にするような大きさであることができる。断片Fがカテーテル302内へと吸引されるにつれ、近位閉塞要素312を経る血流は、血管が潰れるリスクが低い血管の分離された領域内での吸引を可能にすることができる。近位閉塞要素312の孔は、断片Fが近位閉塞要素312を通過することを抑制するような大きさであることができる。いくつかの治療では、拡張された近位閉塞要素312は、病変部Pに関して近位方向12に断片Fが移動するのを抑制することができる。
【0095】
図9Cは、送達チューブ310の抽出のために折り畳まれた遠位バルーン314を示す。カテーテル302は、病変部から外れたいかなる更なる断片Fも収集するために、送達チューブ310が病変部にわたって格納されるにつれて、吸引を継続することができる。
【0096】
図9Dは、カテーテル302内へと格納された送達チューブ310を示す。カテーテル302は、吸引を継続することができる。
【0097】
図9A図9Dに示されるシステム300の代替として、遠位バルーン314を多孔質閉塞要素と置き換えることができ、多孔質近位閉塞要素312は、バルーン又は他の流体不透過性構造を備えることができる。
【0098】
図10は、血管内病変部を治療するための方法400の流れ図である。工程402では、遠位バルーン、血管形成バルーン、及びステントをその上に有する送達チューブは、病変部にわたって配置することができる。送達チューブは、本明細書に例示及び説明されるような送達チューブ110、210、310であることができるか、又は本明細書の教示により当業者によって認識及び理解されるような、これらの代替物であることができる。
【0099】
工程404では、近位拡張可能要素は、病変部に関して近位方向に配置することができる。近位拡張可能要素は、本明細書に例示及び説明されるような近位閉塞要素112、212、312、それらの変形、又は本明細書の教示による当業者によって認識及び理解されるようなこれらの代替物であることができる。近位拡張可能要素は、送達チューブ上に配置することができるか、又は別個の装置上に配置することができる。近位拡張可能要素は、遠位バルーン及び/又は血管形成バルーンから所定の距離で固定することができ、あるいは近位拡張可能要素は、遠位バルーン及び/又は血管形成バルーンに関して滑走可能に並進可能であることができる。
【0100】
工程406では、遠位バルーンは膨張することができる。遠位バルーンは、本明細書に説明する膨張ルーメンを経て膨張することができるか、又はさもなくば本明細書の教示により当業者によって認識及び理解されて膨張することができる。
【0101】
工程408では、近位拡張可能要素を拡張させることができる。近位拡張可能要素は、自己拡張するために膨張することができるか、むき出しになることができるか、又はさもなくば本明細書の教示により当業者によって認識及び理解されるように拡張することができる。工程408は、処置の必要性により、工程406の前又は後に行うことができる。
【0102】
工程410では、血管形成バルーンを膨張させ、それにより、ステントを病変部内へと拡張させることができる。血管形成バルーンは、本明細書に例示及び説明されるような血管形成バルーン116、216、316、それらの変形、又は本明細書の教示により当業者によって認識及び理解されるような、これらの代替物であることができる。ステントは、本明細書に例示及び説明されるようなステント118、218、318、それらの変形、又は本明細書の教示により当業者によって認識及び理解されるような、これらの代替物であることができる。血管形成バルーンは、遠位バルーン及び近位拡張可能要素の両方を拡張させたままでありながら、膨張することができる。血管形成バルーンの膨張は追加として、血管を広げることができる。
【0103】
工程412では、血管形成バルーンを収縮させることができる。血管形成バルーンは、遠位バルーン及び近位拡張可能要素を拡張させたままでありながら、収縮することができる。
【0104】
工程414では、血管は、病変部の近傍で吸引されることができる。吸引は、近位拡張可能要素及び遠位バルーンの片方又は両方が拡張されたままである間に生じることができる。
【0105】
工程416では、遠位バルーンは収縮することができる。遠位バルーンは、本明細書に例示及び説明されるような膨張ルーメンを介して収縮することができるか、又はさもなくば本明細書の教示により当業者によって理解されているように収縮することができる。工程416は、治療の必要性により、工程412の前又は後に行うことができる。
【0106】
工程418では、近位拡張可能要素を折り畳むことができる。近位拡張可能要素は、収縮するか、シース内へと格納されるか、又はさもなくば本明細書の教示により当業者によって理解されるように折り畳まれることができる。工程418は、治療の必要性により、工程412及び工程416の前又は後に行うことができる。
【0107】
図11は、分岐部の血管内病変部を治療するための方法500の流れ図である。工程502では、血管は、2つの分岐血管の間の分岐部と、2つの分岐血管のうちの1つに位置する病変部とに関して近位方向に閉塞することができる。
【0108】
工程504では、2つの分岐血管のうちの1つは、病変部及び分岐部に関して遠位方向に閉塞することができる。
【0109】
工程506では、ステントを病変部内へと拡張することができる。ステントは、工程502及び工程504にあるように脈管構造が閉塞されたままでありながら、配置及び拡張することができる。
【0110】
工程508では、脈管構造は、病変部の近傍で吸引されることができる。病変部は、工程502及び工程504にあるように脈管構造が閉塞されたままでありながら、吸引されることができる。非閉塞分岐血管は、吸引中の血液の逆流のための経路を提供することができる。
【0111】
本明細書に含まれる記述は、本発明の実施形態の例であり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。本明細書で説明されるように、本発明は、代替的な材料、代替的な装置構造、代替的な治療工程などをはじめとする、血管内治療システムの多くの変形及び修正を企図している。本発明が関連する技術分野の当業者に明らかな修正は、後続の特許請求の範囲内であるよう意図されている。
【0112】
〔実施の態様〕
(1) 血管内治療システムであって、
脈管構造を通過するような大きさの送達チューブと、
前記送達チューブ上に配備され、前記送達チューブの遠位端に接近する遠位バルーンと、
前記送達チューブ上に、前記遠位バルーンに関して近位方向に配備された血管形成バルーンと、
前記血管形成バルーンの上に配備されたバルーン拡張型ステントと、
前記遠位バルーン及び前記血管形成バルーンと連通し、前記送達チューブに沿って延在する1つ以上の膨張ルーメンであって、前記1つ以上の膨張ルーメンが、前記遠位バルーン及び前記血管形成バルーンを膨張させるように配置されている、1つ以上の膨張ルーメンと、を備えている、血管内治療システム。
(2) 実施態様1に記載の血管内治療システムであって、
前記1つ以上の膨張ルーメンが、前記遠位バルーン及び前記血管形成バルーンの両方と連通している単一の膨張ルーメンであり、
前記遠位バルーンが、前記血管形成バルーンよりも低い圧力で拡張可能である、血管内治療システム。
(3) 実施態様2に記載の血管内治療システムであって、
前記血管形成バルーンが、前記バルーン拡張型ステントを拡張するように構成された拡張可能なノンコンプライアントラップを備えている、血管内治療システム。
(4) 実施態様1に記載の血管内治療システムであって、
前記血管形成バルーンに関して近位方向にある近位バルーンであって、
前記1つ以上の膨張ルーメンが更に、前記近位バルーンと連通し、前記近位バルーンを膨張させるように配置されている、近位バルーンと、
前記遠位バルーン、前記血管形成バルーン、前記ステント、及び前記近位バルーンの上に配備された吸引カテーテルと、を更に備えている、血管内治療システム。
(5) 実施態様4に記載の血管内治療システムであって、
前記1つ以上の膨張ルーメンが、前記遠位バルーン、前記血管形成バルーン、及び前記近位バルーンと連通している単一の膨張ルーメンであり、かつ
前記遠位バルーンが、前記血管形成バルーンよりも低い圧力で拡張可能である、血管内治療システム。
【0113】
(6) 実施態様1に記載の血管内治療システムであって、
前記1つ以上の膨張ルーメンが、前記遠位バルーンと連通する第1の膨張ルーメンと、前記血管形成バルーンと連通する第2の膨張ルーメンと、を備え、前記第1の膨張ルーメンが前記遠位バルーンを膨張させるための第1の流路を提供するように配置され、前記第2の膨張ルーメンが、前記血管形成バルーンを膨張させるための第2の流路を提供するように配置されるように、前記第1の膨張ルーメン及び前記第2の膨張ルーメンの各々が前記送達チューブに沿って延在しており、かつ
前記遠位バルーン及び前記血管形成バルーンが各々、互いに独立して膨張可能であるように、前記第1の流路及び前記第2の流路が分離されている、血管内治療システム。
(7) 実施態様6に記載の血管内治療システムであって、
前記送達チューブ上に、前記血管形成バルーンに関して近位方向に配備された近位バルーンを更に備え、
前記1つ以上の膨張ルーメンが、前記近位バルーンと連通し、かつ前記送達チューブに沿って延在する第3の膨張ルーメンを更に備え、前記第3の膨張ルーメンが、前記近位バルーンを膨張させるための第3の流路を提供するように配置され、
前記遠位バルーン、前記血管形成バルーン、及び前記近位バルーンが各々、互いに独立して膨張可能であるように、前記第1の流路、前記第2の流路、及び前記第3の流路が分離されている、血管内治療システム。
(8) 実施態様1に記載の血管内治療システムであって、
拡張可能な要素をその上に備えるカテーテルであって、血管を通過するような大きさであり、かつ前記送達チューブ、前記遠位バルーン、前記血管形成バルーン、及び前記ステントがそれを経て通過することを可能にするような大きさであるカテーテルを更に備える、血管内治療システム。
(9) 実施態様8に記載の血管内治療システムであって、
前記拡張可能な要素が多孔質である、血管内治療システム。
(10) 血管内病変部を治療するための方法であって、
遠位バルーン、血管形成バルーン、及びその上のステントを備える送達チューブを、前記遠位バルーンが前記病変部に関して遠位方向にあり、前記血管形成バルーンが前記病変部を交差し、かつ前記ステントが前記病変部を交差するように、前記病変部にわたって配置することと、
前記血管形成バルーンが完全に膨張する前に、前記遠位バルーンが完全に膨張するように、前記遠位バルーン及び前記血管形成バルーンを膨張させることと、
前記病変部に関して近位方向に配置された近位拡張可能要素を、前記血管形成バルーンが膨張する前に、前記近位拡張可能要素が血管に円周方向に並置されるように、拡張することと、
前記血管形成バルーンを完全に膨張させた結果として、前記ステントを前記病変部内へと拡張することと、を含む、方法。
【0114】
(11) 実施態様10に記載の方法であって、
前記遠位バルーン及び前記血管形成バルーンを膨張させることが更に、単一の膨張ルーメンを介して前記遠位バルーン及び前記血管形成バルーンをいずれも膨張させることを含む、方法。
(12) 実施態様10に記載の方法であって、
前記遠位バルーン及び前記血管形成バルーンを膨張させることが更に、別個の膨張ルーメンを経て各バルーンを膨張させることを含む、方法。
(13) 実施態様10に記載の方法であって、
前記近位拡張可能要素が近位バルーンを備え、前記方法が更に、
前記送達チューブが前記病変部にわたって配置されるときに、前記近位バルーンを前記病変部に関して近位方向に配置することであって、前記近位バルーンが前記送達チューブ上に配備される、ことを含み、
前記遠位バルーン及び前記血管形成バルーンを膨張させることは更に、前記遠位バルーンが完全に膨張した後、かつ前記血管形成バルーンが完全に膨張する前に、前記近位バルーンが完全に膨張するように、前記近位バルーンを膨張させることを含む、方法。
(14) 実施態様13に記載の方法であって、
前記遠位バルーン、前記血管形成バルーン、及び前記近位バルーンを膨張させることが更に、単一の膨張ルーメンを介して前記遠位バルーン、前記血管形成バルーン、及び前記近位バルーンを膨張させることを含む、方法。
(15) 実施態様10に記載の方法であって、
前記近位拡張可能要素が前記病変部に関して近位方向にあるように、前記近位拡張可能要素を備えたガイドカテーテルを前記病変部に配置することと、
前記ガイドカテーテルを経て前記送達チューブを前記病変部に送達することと、
前記遠位バルーンが完全に膨張した後、かつ前記血管形成バルーンが完全に膨張する前に、前記近位拡張可能要素が前記血管に円周方向に並置されるように、前記近位拡張可能要素を拡張することと、を更に含む、方法。
【0115】
(16) 実施態様15に記載の方法であって、
前記ガイドカテーテルを経て吸引することを更に含む、方法。
(17) 実施態様10に記載の方法であって、
前記血管形成バルーンが前記遠位バルーンの前に収縮するように、前記血管形成バルーン及び前記遠位バルーンを収縮させることを更に含む、方法。
(18) 血管内病変部を治療するための方法であって、
血管を前記病変部、並びに第1の分岐血管及び第2の分岐血管への分岐部に関して近位方向に閉塞することと、
第2の分岐血管を前記病変部及び前記分岐部に関して遠位方向に閉塞することと、
前記病変部に対して遠位の前記第2の分岐血管が閉塞され、かつ前記病変部に対して近位の前記血管が閉塞されている間に、前記病変部にステント挿入することと、
前記病変部にステント挿入した後、前記病変部の近傍において吸引することと、を含む、方法。
(19) 実施態様18に記載の方法であって、
前記病変部に対して遠位の前記第2の分岐血管が閉塞され、かつ前記病変部に対して近位の前記血管が閉塞されている間に、前記病変部の近傍において吸引することを更に含む、方法。
(20) 実施態様18に記載の方法であって、
前記第1の分岐血管が、ウイリス動脈輪と連通している、方法。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
【外国語明細書】