IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サクサ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-緊急通報装置 図1
  • 特開-緊急通報装置 図2
  • 特開-緊急通報装置 図3
  • 特開-緊急通報装置 図4
  • 特開-緊急通報装置 図5
  • 特開-緊急通報装置 図6
  • 特開-緊急通報装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138184
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】緊急通報装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/04 20060101AFI20220915BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20220915BHJP
   H04M 1/738 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
H04M11/04
H04M11/00 303
H04M1/738
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037908
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】平 哲也
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 佳之
【テーマコード(参考)】
5K127
5K201
【Fターム(参考)】
5K127BA01
5K127DA19
5K127GB07
5K127GB46
5K201BA03
5K201BC03
5K201CB06
5K201EA05
5K201EE11
5K201EE12
(57)【要約】
【課題】 IP網に接続された緊急通報装置において、逆信信号の到来後、逆信信号が途絶えても、緊急通報受理機関側と適切に通話回線を接続できるようにする。
【解決手段】 緊急通報装置1は、緊急通報後において、逆信信号判別部1011が逆信信号の有無を判別する。切り替え部1022は、逆信信号判別部1011においての判別結果が、逆信信号の存在から消失に変化した場合に、引き込み制御部1012が、IP網と電話機2とを非接続状態に切り替えて、逆信信号の再来に応答可能にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IP(Internet Protocol)網を通じて、所定の緊急通報受理機関に対し、緊急通報を行う緊急通報装置であって、
緊急通報後において、前記緊急通報受理機関でのコールバック操作に応じて送信されてくる逆信信号の有無を判別する逆信信号判別手段と、
自機に接続された電話機と前記IP網との間の接続/非接続を切り替える切り替え手段と、
前記逆信信号判別手段においての判別結果が、前記逆信信号の存在から消失に変化した場合に、前記切り替え手段を非接続状態に切り替える引き込み制御手段と
を備えることを特徴とする緊急通報装置。
【請求項2】
請求項1に記載の緊急通報装置であって、
前記逆信信号判別手段で前記逆信信号が存在すると判別された場合に、前記引き込み制御手段は、前記切り替え手段を接続状態に切り替える
ことを特徴とする緊急通報装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の緊急通報装置であって、
前記電話機のフック状態を検出し、前記電話機がオンフック状態になった場合に、前記切り替え手段を非接続状態に切り替えるように制御するフック状態検出手段と
を備えることを特徴とする緊急通報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、警察機関、消防機関、海上保安庁といった緊急通報受理機関に対して、緊急通報を行う緊急通報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、火災などの緊急事態の発生時において、消防機関などの所定の緊急通報受理機関に緊急通報する緊急通報装置が知られている。緊急通報装置は、例えば、通報者が通報ボタンを押下すると、緊急通報受理機関に電話をかけて通話回線(電話回線)を接続し、予め用意されている音声メッセージにより緊急事態の発生を自動通報するものである。この後、緊急通報受理機関から緊急通報装置に接続された、例えば、呼び出し専用電話機(以下、専用電話機という。)に対して呼び返しがある。これに応じて鳴動する当該専用電話機の送受話器(ハンドセット)を、通報者が取り上げるオフフック操作を行うことにより、当該専用電話機と緊急通報受理機関との間に通話回線が接続され、通話を行うことができる。
【0003】
なお、緊急通報装置が、固定電話網(PSTN(Public Switched Telephone Network))に接続されている場合には、緊急通報後においては、緊急通報受理機関と当該緊急通報装置との間の通話回線が回線保留される。すなわち、緊急通報装置が固定電話網に接続されている場合には、特番通報時に発信側が電話を切っても回線が保留されていた。このため、緊急通報受理機関から呼び返しを行うと、呼び返し信号(以下、逆信信号という。)として、呼び出し信号(いわゆるIR信号)が固定電話網から送出されて、専用電話機が鳴動する。これに応じて、専用電話機の送受話器を取り上げることにより、緊急通報受理機関の担当者と通話が可能になる。
【0004】
しかし、近年においては、固定電話網に替えて、IP(Internet Protocol)網を利用することができるようになり、近い将来においては、固定電話網を全てIP網に移行することが予定されている。IP網は、インターネット・プロトコル・スイート技術(TCP/IP)を利用して相互接続されたネットワークを意味する。IP網に接続された緊急通報装置の運用においては、緊急通報後における回線保留の機能はなくなり、専用電話機に電話をかけ直す(コールバックする)ことにより、通話回線を接続して通報者と通話を可能にする方式が採用される。
【0005】
この場合に、着信時に発信者番号を通知するサービスの契約をしている加入電話回線を通じてIP網に接続された緊急通報装置から緊急通報を行った場合に、専用電話機が緊急通報受理機関からのコールバックを受けられないという事象が発生する。なお、着信時に発信者番号を通知するサービス(発信者番号通知サービス)は、ナンバー・ディスプレイ(登録商標)などと呼ばれて、電話会社により提供されているものである。
【0006】
発信者番号通知サービスの契約をしている加入電話回線を通じてIP網に接続された緊急通報装置から緊急通報を行って、緊急通報受理機関が通報元に対してコールバックを行ったとする。この場合、IP網側から情報受信端末起動信号(いわゆるCAR信号)が送出され、着信側電話端末の発信者番号通知サービス対応機能を起動させるようにする。次に、着信側電話端末から応答があれば、IP網側からモデム信号として発信者番号を送出して、着信側電話端に発信者番号を通知して表示させるようにし、この後に、IR信号を送出して、着信側電話端末を呼び出すという手順を踏むことになる。なお、CAR信号送出後、着信側電話端末から6秒間の間に応答がなければ、IP網側から自動的にIR信号が送出されるようになっている。
【0007】
いうまでもなく、専用電話機は、緊急通報時の通話を可能にするものであるため、発信者番号通知サービスに対応していない。このため、緊急通報受理機関からのコールバックに応じて、最初に到来するCAR信号により専用電話機を鳴動させ、これに応じて当該専用電話機がオフフック操作されたとする。この場合、直後に到来するのは発信者番号であり、この後に到来するIR信号に対して応答することができないので、緊急通報受理機関と当該専用電話機との間に通話回線を接続できない。この問題を解決するための発明を、本願の出願人は先に出願しており、当該出願は後に記す特許文献1として既に出願公開されている。
【0008】
特許文献1では、CAR信号の到来では専用電話機を鳴動させず、IR信号が到来した場合に専用電話機を鳴動させることにより、緊急通報受理機関との間に通話回線を接続して、通話を可能にする発明が開示されている。なお、CAR信号は、1秒間を1周期とし、0.5秒オン、0.5秒オフとなる信号が連続するものである。また、IR信号は、3秒間を1周期とし、1秒オン、2秒オフとなる信号が連続するものである。また、モデム信号は、データ信号を音声帯域内の交流波形にキャリア変調した信号である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2018-50170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、IP網に接続された緊急通報装置の運用においては、緊急通報後における回線保留の機能はなくなり、コールバックすることにより、通話回線を接続して通報者と通話を可能にする方式の採用により、更に解決すべき課題の存在が明らかになった。具体的には、コールバック操作に応じて、呼び出し信号であるIR信号が到来した後に、何等かの原因でIR信号が途絶えてしまった後(消失した後)に、オフフック(応答操作)すると、緊急通報受理機関と通話が行えなくなる可能性がある。
【0011】
緊急通報システムにおいて、緊急通報受理機関のコールバック操作に応じて緊急通報元に送信されるIR信号は、緊急通報受理機関からの呼び出しが停止又は緊急通報装置に接続された電話機がオフフック操作されるまで継続して送信されてくるものである。なお、以下においては説明を簡単にするため、緊急通報受理機関のコールバック操作に応じて、緊急通報元の緊急通報装置に送信されてくる呼び出し信号であるIR信号を、「逆信信号」と呼ぶこととする。
【0012】
コールバック操作後において、到来する逆信信号(IR信号)が途絶えてしまう原因としては、緊急通報装置とIP網とを接続するためのゲートウェイ装置の不具合、IP網側のシステムの不具合、緊急通報受理機関の指令台システムの不具合などが考えられる。指令台システムの不具合には、例えば緊急着信(緊急通報)が多発し、キャパオーバーとなり誤動作するなどのことが考えられる。また、指令台の誤操作により回線が切断されてしまう場合もあると考えられる。
【0013】
逆信信号が到来すると、緊急通報装置に接続された電話機が鳴動し、これに応じて当該電話機の受話器を取り上げるオフフック操作をすることにより、当該電話機とIP網とが接続されて通話が可能になる。しかし、逆信信号が到来して電話機が鳴動し、これに応じてオフフック操作をする前に、上述した事象によりIR信号が途絶えてしまった(消失してしまった)とする。この場合、逆信信号は途絶えてしまっているので、オフフックしても通話回線は接続されない。また、オフフック状態のままだと通話中(話し中)の状態であるため、IR信号が再来しても通話回線を接続できない。このような場合であっても、緊急通報装置の場合にはその性質上、確実に通話回線を接続し通話できるようにすることが望まれる。
【0014】
以上のことに鑑み、この発明は、IP網に接続された緊急通報装置において、逆信信号の到来後、逆信信号が途絶えても、緊急通報受理機関側と適切に通話回線を接続できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の緊急通報装置は、
IP(Internet Protocol)網を通じて、所定の緊急通報受理機関に対し、緊急通報を行う緊急通報装置であって、
緊急通報後において、前記緊急通報受理機関でのコールバック操作に応じて送信されてくる逆信信号の有無を判別する逆信信号判別手段と、
自機に接続された電話機と前記IP網との間の接続/非接続を切り替える切り替え手段と、
前記逆信信号判別手段においての判別結果が、前記逆信信号の存在から消失に変化した場合に、前記切り替え手段を非接続状態に切り替える引き込み制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項1に記載の発明の緊急通報装置によれば、当該緊急通報装置はIP網を通じて緊急通報受理機関と接続可能にされており、緊急通報後においては、逆信信号判別手段により、逆信信号の有無が判別される。切り替え手段は、逆信信号判別手段においての判別結果が、逆信信号の存在から消失に変化した場合に、引き込み制御手段により、非接続状態に切り替えられる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、緊急通報後、逆信信号の到来により鳴動した電話機をオフフックする前に逆信信号が途絶え、その後にオフフックした場合であっても、電話機とIP網との間を非接続状態にし、回線ルートを緊急通報装置に引き込むことができる。これにより、IP網に接続された緊急通報装置において、到来した逆信信号が途絶えた後に再到来した逆信信号と電話を接続させることで、緊急通報受理機関側と適切に通話回線を接続できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態の緊急通報装置の構成例を説明するためのブロック図である。
図2】実施の形態の緊急通報装置の動作について説明するためのブロック図である。
図3】実施の形態の緊急通報装置を含む緊急通報システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
図4】逆信信号の到来に応じて正常に通話回線が接続される場合を説明するための図3に続くシーケンス図である。
図5】逆信信号の到来後、逆信信号が途絶えて、通話回線が接続できない場合を説明するための図3に続くシーケンス図である。
図6】逆信信号の到来後、逆信信号が途絶えた後に電話機をオフフックしても通話回線を接続できるようにする場合を説明するための図3に続くシーケンス図である。
図7】実施の形態の緊急通報装置で実行される処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図を参照しながら、この発明による緊急通報装置の実施の形態について説明する。緊急通報装置を通じて緊急通報受理機関に対して緊急通報を行った後に、緊急通報受理機関においてコールバック操作されることにより到来する逆信信号が、上述のように、何等かの原因により途絶えてしまうといった事象が発生する可能性がある。以下に説明する実施の形態の緊急通報装置は、自機に接続された電話機を通じて、逆信信号が途絶えた後にオフフック操作され、オフフック状態が維持されていても、その後に到来する逆信信号に応じて通話回線を適切に接続することが可能なものである。
【0020】
また、緊急通報先である緊急通報受理機関は、一般には、警察機関、海上保安庁、消防機関などであるが、警備会社などの任意の通報先を緊急通報受理機関とすることももちろん可能である。以下に説明する実施の形態においては、説明を簡単にするため、緊急通報装置は、火災の発生を通報するものであり、緊急通報受理機関は、消防機関である場合を例にして説明する。
【0021】
[緊急通報装置1の構成例]
図1は、この実施の形態の緊急通報装置1の構成例を説明するためのブロック図である。図1に示すように、緊急通報装置1は、IP網4を通じて、緊急通報受理機関5との間に通話回線を接続し、緊急通報を行うことができるものである。IP網4は、TCP/IPを利用して相互接続されたネットワークを意味するが、電話会社側の通信に関する設備の全てを含む。
【0022】
また、この明細書において、IP網4には、ゲートウェイ(アナログ回線変換装置)3が接続されており、緊急通報装置1は、ゲートウェイ3を介して、IP網4に接続されている。従って、緊急通報装置1とゲートウェイ3との間はアナログ回線によって接続されている。なお、図1においてゲートウェイ3は、GW3と略称で記載している。また、この実施の形態においては説明を簡単にするため、緊急通報装置1は、発信者番号通知サービスの契約をしていない加入電話回線を通じてIP網4に接続されているものとする。
【0023】
この実施の形態の緊急通報装置1には、電話機2が接続されている。電話機2は、緊急通報受理機関からのコールバックに応じた緊急通報時の呼び出しに応答するためのものである。なお、電話機2は、緊急通報時だけに用いられる専用電話機であってもよいし、また、緊急通報装置1に接続されると共に、図示しないSIPサーバなどの主装置にも接続された一般電話機であってもよい。従って、一般電話機は、緊急通報時の呼び出しに応答することができるものであり、通常時には主装置を通じてIP網に接続され、目的とする相手先に電話をかけたり、かかってきた電話に応答したりすることができるものである。
【0024】
図1に示すように、緊急通報装置1は、回線制御部101と、電話機制御部102と、CPU部103と、通報ボタン104とを備える。回線制御部101は、IP網4を通じた回線の接続制御を行うものであり、逆信信号判別部1011、引き込み制御部1012、応答/切断制御部1013、通報制御部1014を備える。電話機制御部102は、緊急通報装置1に対して接続された回線と電話機2との接続制御を行うもので、呼び出し制御部1021、切り替え部1022、フック状態検出部1023を備える。
【0025】
CPU部103は、緊急通報装置1の各部を制御する主制御部であり、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどを備えて構成されている。通報ボタン104は、通報者による押下操作を受け付けるボタンスイッチである。通報ボタン104が押下操作されると、所定の電気信号がCPU部103に供給され、通報ボタンが操作されたことがCPU部103に通知される。
【0026】
通報ボタン104が押下されると、CPU部103は、回線制御部101に対して緊急通報を行うことを指示する。これに応じて、通報制御部1014が機能し、この実施の形態では、消防機関である緊急通報受理機関5に対して緊急通報を行う。応答/切断制御部1013は、通報制御部1014からの制御信号に応じて、IP網4に対して応答を返したり、接続している回線を切断したりする制御を行う。
【0027】
具体的に、応答/切断制御部1013は、通報制御部1014を通じた緊急通報(発報)時に、通話回線を接続する。この後、応答/切断制御部1013は、通報制御部1014の制御の下、例えば、CPU部103の不揮発メモリに用意されている通報メッセージを緊急通報受理機関5に送信する。応答/切断制御部1013は、当該通報メッセージを送信し終えると、緊急通報受理機関5との間に接続した通話回線を解放する。このようにして、緊急通報が行われ、通報メッセージの送出後においては、接続した通話回線を解放し、逆信信号の到来を待つことになる。
【0028】
逆信信号判別部1011は、緊急通報後、緊急通報受理機関5においてのコールバック操作に応じて、IP網4を通じて送信されて来る自機宛ての逆信信号が到来していること、また、到来した逆信信号が途絶えたこと(消失したこと)を判別する。すなわち、逆信信号判別部1011は、自機宛ての逆信信号の到来と消失とを判別する。逆信信号判別部1011での判別結果は、CPU部103に通知される。
【0029】
逆信信号判別部1011において、自機宛の逆信信号の到来が検出されると、CPU部103は、後述する引き込み制御部1012を制御して、後述する切り替え部1022を接続状態(オン状態)に切り替える。また、CPU部103の制御により、電話機制御部102の呼び出し制御部1021が機能し、緊急通報装置1に接続された電話機2を鳴動させるようにする。このように、呼び出し制御部1021は、呼び出しがあること(着信があること)を通知するために、鳴動させる(着信鳴動させる)ように電話機2を制御する。電話機2が着信鳴動すると、電話機2の使用者(通常は通報ボタン104を押下操作した通報者)が、電話機2の受話器を取り上げるオフフック操作を行う。
【0030】
電話機制御部102のフック状態検出部1023は、電話機2のフック状態を検出して、検出結果をCPU部103に通知し、また、電話機2がオフフック状態からオンフック状態になった場合に、切り替え部1022をオフ状態(非接続状態)に切り替える制御を行う。切り替え部1022は、電話機2とIP網4との接続/非接続を切り替えるものである。切り替え部1022は、上述したように、逆信信号の到来時においては、CPU部103の制御に応じた引き込み制御部1012によってオン状態(接続状態)に切り替えられる。また、切り替え部1022は、上述したように、電話機2がオフフック状態からオンフック状態になった場合には、フック状態検出部1023の制御により、オフ状態(非接続状態)に切り替えられる。
【0031】
従って、上述したように、緊急通報後、緊急通報受理機関でのコールバック操作に応じて逆信信号が到来した時には、これが逆信信号判別部1011で判別されてCPU部103に通知される。CPU部103は、引き込み制御部1012を制御して、切り替え部1022をオン状態に切り替えると共に、電話機制御部102の呼び出し制御部1021を制御して、電話機2を鳴動させる。
【0032】
これにより、電話機2においてオフフック操作されると、電話機2とIP網4とが接続されることにより、通話回線が捕捉され、電話機2と緊急通報受理機関5との間に通話回線が接続されて通話が可能になり、緊急通報受理機関5の担当者により、状況の聞き取りが行われることになる。このように、逆信信号の到来に応じて、電話機2と緊急通報受理機関5との間に通話回線を接続して通話が可能になる。この後、通話が終了して、電話機2がオンフックされると、これがフック状態検出部1023で検出され、フック状態検出部1023により、切り替え部1022がオフ状態に戻される。これにより、再度の逆信信号の到来にも応答可能になる。
【0033】
しかし、逆信信号の到来後、例えば、ゲートウェイ3の不具合、網システムの不具合、指令台システムの不具合、指令台の誤操作等の何等かの不具合により、逆信信号が途絶える(消失する)場合があると考えられる。逆信信号の消失は、電話機2の使用者は知りようがない。この場合、着信を通知する鳴動に応じて電話機2をオフフック操作しても、逆信信号は途絶えてしまっているので通話回線は接続できない。
【0034】
また、オフフックした状態のままだと、逆信信号の到来により切り替え部1022はオン状態にされているので、このオン状態が維持されたままとなる。この場合、電話機2がIP網4に接続された状態のままとなるので、その後に逆信信号が再来しても通話回線を接続できない。そこで、緊急通報装置1では、逆信信号判別部1011、引き込み制御部1012、CPU部103が協働して切り替え部1022を制御することにより、到来した逆信信号が途絶えた(消失した)場合に、通話回線が接続できなくなる不具合を生じさせることがないようにしている。
【0035】
[緊急通報装置1の動作]
以下、図2図6を参照しながら、緊急通報装置においての動作について説明する。以下においては、まず、緊急通報から逆信信号に応じて通常に通話回線が接続される場合について説明した後に、逆信信号が到来後、当該逆信信号が途絶えて通話回線が接続できない場合について説明する。その後に、この発明の適用により、逆信信号が到来後、当該逆信信号が途絶えても通話回線の接続を可能にする場合の動作について説明する。
【0036】
<緊急通報装置1を通じて正常に通話回線が接続される場合の動作>
図2は、この実施の形態の緊急通報装置1の動作について説明するためのブロック図である。図2において、電話機制御部102の切り替え部1022は、その機能を分かり易く示すためにスイッチ回路の構成として示しているが、電話機2とIP網4との接続/非接続の切り替えが可能な種々の構成とすることができる。また、図3は、この実施の形態の緊急通報装置1を含む緊急通報システムの動作を説明するためのシーケンス図であり、図4は、逆信信号の到来に応じて正常に通話回線が接続される場合を説明するための図3に続くシーケンス図である。なお、図3においては、「ゲートウェイ」を「GW」と略称して示している。
【0037】
上述もしたように、緊急通報装置1の通報ボタン104が押下操作されたとする(ステップS1)。この場合、CPU部103からの制御信号に応じて、通報制御部1014が機能して回線を捕捉し(ステップS2)、所定の緊急通報受理機関5に対してダイヤルして発信する(ステップS3)。これに応じてゲートウェイ3は、緊急通報受理機関5に対する発信信号をIP網4に送出し(ステップS4)、IP網4は、ベル鳴動信号を緊急通報受理機関5に対して送信する(ステップS5)。
【0038】
緊急通報受理機関5の指令台は、IP網からのベル鳴動信号を受信すると、着信鳴動して緊急通報の発生を報知し(ステップS6)、緊急通報受理機関5の担当者は指令台に対して受付操作を行う(ステップS7)。受付操作を受け付けた緊急通報受理機関5の指令台は、受付信号をIP網4に送出し(ステップS8)、IP網4は、応答信号を形成して、これを通報元である緊急通報装置1に対して送信する(ステップS9)。ゲートウェイ3は、IP網4からの応答信号を受信すると、緊急通報装置1に対して提供する応答信号(アナログ信号)を形成し、これを緊急通報装置1に送信する(ステップS10)。
【0039】
緊急通報装置1の応答/切断制御部1013は、ゲートウェイ3からの応答信号に応答し、自機と緊急通報受理機関5との間に通話回線を接続して、ガイダンス通話を行う(ステップS11)。ステップS11において、応答/切断制御部1013は、通報制御部1014の制御の下、CPU部103の不揮発性メモリに記憶保持されている通報メッセージ(音声信号)を緊急通報受理機関5に送信する。当該通報メッセージは、例えば、発生事象(火事です等)、住所、電話番号などを音声として通知するものである。これにより、緊急通報受理機関5では、通報メッセージが放音され(ステップS12)、緊急通報受理機関5側の担当者が認識できる。
【0040】
通報メッセージの送信が終了すると、緊急通報装置1の応答/切断制御部1013は、ステップS11において接続した通話回線を解放(切断)するようにする(ステップS13)。これに応じて、ゲートウェイ3は、切断信号をIP網4に送出し(ステップS14)、IP網4は、緊急通報受理機関5に対して切断信号を送信する(ステップS15)。なお、IP網4から緊急通報受理機関5に対して送信される切断信号は、例えば取り決めにより、接続されていた通話回線が切断されたことを示す信号であればよく、例えば、通話回線が切断された場合のいわゆるビジートーンなどを用いることが可能である。
【0041】
切断信号を受信した緊急通報受理機関5において、緊急通報元に対してコールバックすることを緊急通報受理機関5の担当者に要求するコールバック要求メッセージが放音される(ステップS16)。これに応じて、緊急通報受理機関5の担当者は、指令台に対してコールバック操作を行う(ステップS17)。緊急通報受理機関5の指令台からは、IP網4に対して、緊急通報元に対して電話をかけ直すことを指示するコールバック信号が送信される(ステップS18)。
【0042】
IP網4は、緊急通報受理機関5からのコールバック信号を受け付けると着信信号(着信要求)を形成して、これを緊急通報装置1が接続されたゲートウェイ3に送信する(ステップS19)。ゲートウェイ3は、着信信号から呼び出し信号(IR信号)を形成し、これを逆信信号として緊急通報装置1に送信する(ステップS20)。なお、図3に示したように、緊急通報後において、緊急通報装置1がステップS13において回線解放してから、緊急通報装置1がステップS20において逆信信号を受信するまでに要する期間(時間)は、10秒以内と定められている。このため、ゲートウェイ3がステップS14において切断信号を送出してから、ゲートウェイ3がステップS19において着信信号を受信するまでの期間(時間)も時間制限が定められる。
【0043】
図3に続くシーケンス図である図4においては、説明を簡単するため、図3の最下段に示したステップS20からのシーケンスを記載している。逆信信号を受信した緊急通報装置1では、逆信信号の到来を逆信信号判別部1011が判別し、CPU部103に通知し、CPU部103が引き込み制御部1012を通して切り替え部1022をオン状態にしたうえで(ステップS21)、呼び出し制御部1021を制御して電話機2を着信鳴動させる(ステップS22)。
【0044】
電話機2が着信鳴動することにより、着信を認識した電話機2の使用者は、電話機2に対してオフフック操作を行うと(ステップS23)、電話機2がIP網4に接続されて通話回線を捕捉する(ステップS24)。図4に示すように、緊急通報装置1が、ステップS20において逆信信号を受信してから、一定時間以内にステップS24において回線を捕捉する必要がある。
【0045】
ステップS24の回線捕捉に応じて、ゲートウェイ3は、IP網4にコールバック元の緊急通報受理機関5に対する応答信号を送出し(ステップS25)、IP網4は、緊急通報受理機関5に応答信号を送信する(ステップS26)。これにより、緊急通報受理機関5と、緊急通報元の緊急通報装置1に接続された電話機2との間に通話回線が接続される(ステップS27)。緊急通報受理機関5の担当者は、電話機2の使用者(通常は通報者)と通話を行って、状況の聞き取りを行うことができる(ステップS28)。緊急通報受理機関5の担当者と電話機2の使用者との間での通話が終了すると、例えば、電話機2の使用者が電話機2に対してオンフック操作を行う。
【0046】
これにより、オンフック状態になったことが緊急通報装置1に通知される(ステップS29)。緊急通報装置1のフック状態検出部1023は、電話機2がオンフック状態になったことを検出し、これをCPU部103に通知すると共に、切り替え部1022をオフ状態にして、電話機2をIP網4から切り離し、通話回線を解放する(ステップS30)。ステップS30の回線解放に応じて、ゲートウェイ3は、IP網4にコールバック元の緊急通報受理機関5に対する切断信号を送出し(ステップS31)、IP網4は、緊急通報受理機関5に切断信号を送信する(ステップS32)。切断信号を受信した緊急通報受理機関5では、通話回線を解放する(ステップS33)。これにより、通報ボタン104の押下操作から開始された一連の通報処理が完了する。
【0047】
<逆信信号が途絶え回線が接続できない場合の動作>
図5は、逆信信号の到来後、逆信信号が途絶えて、通話回線が接続できない場合を説明するための図3に続くシーケンス図である。図5においても、説明を簡単するため、図3の最下段に示したステップS20からのシーケンスを記載している。図3を用いて説明した一連の処理により、緊急通報後において、緊急通報受理機関5からのコールバックに応じて、逆信信号が送信されてくる(ステップS20)。逆信信号を受信した緊急通報装置1では、逆信信号の到来を逆信信号判別部1011が判別し、CPU部103に通知し、CPU部103が引き込み制御部1012を通して切り替え部1022をオン状態にしたうえで(ステップS21)、呼び出し制御部1021を制御して電話機2を着信鳴動させる(ステップS22)。ここまでは、図4を用いて説明した処理と同じ処理となっている。
【0048】
しかし、ステップS20において到来した逆信信号が、上述もしたようにゲートウェイ3の不具合などの何等かの原因によって、途絶えてしまった(消失してしまった)とする(ステップS40)。この場合、ステップS21での着信鳴動に応じて、電話機2に対してオフフック操作を行ったとする(ステップS51)。しかし、逆信信号は消失しているので、回線を捕捉しても(ステップS52)、緊急通報受理機関5との間に通話回線を接続できない。
【0049】
また、逆信信号が途絶えることにより、ゲートウェイ3からIP網4に切断信号が送出され(ステップS41)、IP網4からコールバック元の緊急通報受理機関5に切断信号が送信されることになる(ステップS42)。これに応じて、図3のステップS16の場合と同様に、緊急通報受理機関5では、緊急通報元に対してコールバックすることを緊急通報受理機関5の担当者に要求するコールバック要求メッセージが放音される(ステップS43)。これに応じて、緊急通報受理機関5の担当者は、指令台に対してコールバック操作を行う(ステップS44)。
【0050】
緊急通報受理機関5の指令台からは、IP網4に対して、緊急通報元に対して電話をかけ直すことを指示するコールバック信号が送信される(ステップS45)。IP網4は、緊急通報受理機関5からのコールバック信号を受け付けると着信信号(着信要求)を形成して、これを緊急通報装置1が接続されたゲートウェイ3に送信する(ステップS46)。この場合、電話機2がオンフック操作されてオンフック状態に戻っており、フック状態検出部1023が切り替え部1022をオフ状態に戻し、回線が解放されていれば、上述したように電話機2を着信鳴動させて再度の呼び出しを行うことが可能である。
【0051】
しかし、逆信信号が消失したことは、電話機2の使用者が知ることはできないので、電話機をオフフック状態にしたまま待ってしまう場合がある。このため、図5に示した例の場合には、緊急通報装置1に接続された電話機2は、オフフック状態にされており、切り替え部1022がオン状態にされて電話機2とIP網4とが接続された状態(回線捕捉状態)のままとなっている(ステップS52)。このため、ゲートウェイ3は緊急通報装置1に逆信信号を送信できずに、緊急通報受理機関5との間に通話回線を接続することができない。従って、緊急通報受理機関5の担当者と緊急通報装置1に接続された電話機2の使用者との間で通話ができず、緊急通報受理機関5の担当者が状況を把握することができなくなってしまう。この実施の形態の緊急通報装置1は、このような状況を発生させることがないようにしている。
【0052】
<逆信信号が途絶えた後において回線を接続できるようにする場合>
図6は、逆信信号の到来後、逆信信号が途絶えた後に電話機をオフフックしても通話回線を接続できるようにする場合を説明するための図3に続くシーケンス図である。図6においても、説明を簡単するため、図3の最下段に示したステップS20からのシーケンスを記載している。
【0053】
図3を用いて説明した一連の処理により、緊急通報後において、緊急通報受理機関5からのコールバックに応じて、逆信信号が送信されてくる(ステップS20)。逆信信号を受信した緊急通報装置1では、逆信信号の到来を逆信信号判別部1011が判別し、CPU部103に通知し、CPU部103が引き込み制御部1012を通して切り替え部1022をオン状態にしたうえで(ステップS21)、呼び出し制御部1021を制御して電話機2を着信鳴動させる(ステップS22)。しかし、ステップS20において到来した逆信信号が、上述もしたように、何等かの原因によって、途絶えてしまった(消失してしまった)とする(ステップS40)。これらの処理は、図5を用いて説明した場合の処理と同様である。
【0054】
しかし、この実施の形態の緊急通報装置1の場合には、回線制御部101の逆信信号判別部1011において、受信した逆信信号が途絶えた(消失)したと判別し、CPU部103に通知する。この場合、CPU部103は、引き込み制御部1012を制御し、電話機制御部102の切り替え部1022をオフ状態にする(ステップS61)。これにより、電話機2とIP網4との接続が解除されるため、電話機2に対しオフフック操作を行っても(ステップS62)、回線は捕捉されない(ステップS63)。従って、電話機2がオフフック状態であっても、緊急通報装置1が逆信信号の再来に応答することが可能になる。
【0055】
すなわち、図4を用いて説明した場合と同様に、逆信信号が途絶えると(ステップS40)、ゲートウェイ3からIP網4に切断信号が送出され(ステップS41)、IP網4からコールバック元の緊急通報受理機関5に切断信号が送信される(ステップS42)。これに応じて、緊急通報受理機関5では、緊急通報元に対してコールバックすることを緊急通報受理機関5の担当者に要求するコールバック要求メッセージが放音される(ステップS43)。緊急通報受理機関5の担当者は、指令台に対してコールバック操作を行う(ステップS44)。
【0056】
これにより、緊急通報受理機関5の指令台からは、IP網4に対して、緊急通報元に対して電話をかけ直すことを指示するコールバック信号が送信される(ステップS45)。IP網4は、緊急通報受理機関5からのコールバック信号を受け付けると着信信号(着信要求)を形成して、これを緊急通報装置1が接続されたゲートウェイ3に送信する(ステップS46)。この場合、電話機2はオフフック状態のままであっても、ステップS61の処理により、切り替え部1022はオフになって通話回線は解放されている。このため、ゲートウェイ3は、緊急通報装置1に対して、逆信信号を送信できる(ステップS47)。
【0057】
従って、緊急通報装置1の逆信信号判別部1011では、逆信信号が到来したことを検出し、これをCPU部103と引き込み制御部1012に通知する(ステップS64)。引き込み制御部1012は、CPU部103の制御の下、電話機制御部102の切り替え部1022をオン状態に切り替え、回線を捕捉する(ステップS65)。すなわち、逆信信号の消失により、ステップS61においてオフ状態にした切り替え部1022を、ステップS65では、逆信信号の再来に応じてオン状態にする処理を行う。これにより、電話機2によってIP網4の回線が捕捉されることになる。
【0058】
ステップS65の回線捕捉に応じて、ゲートウェイ3は、IP網4にコールバック元の緊急通報受理機関5に対する応答信号を送出し(ステップS66)、IP網4は、緊急通報受理機関5に応答信号を送信する(ステップS67)。これにより、緊急通報受理機関5と、緊急通報元の緊急通報装置1に接続された電話機2との間に通話回線が接続される(ステップS68)。緊急通報受理機関5の担当者は、電話機2の使用者(通常は通報者)と通話を行って、状況の聞き取りを行う(ステップS69)。
【0059】
この後の処理は、図4を用いて説明したステップS29~ステップS33の処理と同様の処理となる。すなわち、緊急通報受理機関5の担当者と電話機2の使用者との間での通話が終了すると、例えば、電話機2の使用者が電話機2に対してオンフック操作を行う。これにより、オンフック状態になったことが緊急通報装置1に通知される(ステップS29)。緊急通報装置1のフック状態検出部1023は、電話機2がオンフック状態になったことを検出し、これをCPU部103に通知すると共に、切り替え部1022をオフにして、電話機2をIP網4から切り離し、通話回線を解放する(ステップS30)。
【0060】
ステップS30の回線解放に応じて、ゲートウェイ3は、IP網4にコールバック元の緊急通報受理機関5に対する切断信号を送出し(ステップS31)、IP網4は、緊急通報受理機関5に切断信号を送信する(ステップS32)。切断信号を受信した緊急通報受理機関5では、通話回線を解放する(ステップS33)。これにより、通報ボタン104の押下操作から開始された一連の通報処理が完了する。
【0061】
このように、この実施の形態の緊急通報装置1は、緊急通報後において、逆信信号が到来した場合には、引き込み制御部1012が切り替え部1022をオン状態にして、電話機2がオフフックされれば即座に通話回線を接続して通話を可能にする。更に、この実施の形態の緊急通報装置1は、緊急通報後において、到来した逆信信号が何等かの原因により途絶えた(消失した)場合には、引き込み制御部1012が切り替え部1022をオフ状態にする。これにより、緊急通報装置1に回線ルートを引き込むことができ、逆信信号の再来に対して応答することができるようにしている。
【0062】
[緊急通報装置1の処理のまとめ]
次に、この実施の形態の緊急通報装置1で行われる処理について、図7のフローチャートを参照しながらまとめる。図7は、この実施の形態の緊急通報装置1で実行される処理を説明するためのフローチャートであり、緊急通報装置1のCPU部103が各部を制御して実行される処理である。
【0063】
通報ボタン104が押下操作された場合に、CPU部103は図7に示す処理を開始する。CPU部103は、図2及び図3を用いて説明したように、回線制御部101の通報制御部1014及び応答/切断制御部1013を制御して、緊急通報処理を実行する(ステップS101)。このステップS101の処理により、緊急通報装置1を含む緊急通報システムにおいて、図3に示したステップS2~ステップS20までの処理が行われる。
【0064】
この後、CPU部103の制御の下、回線制御部101の逆信信号判別部1011が機能し、逆信信号を受信するようにして、逆信信号が到来したか否かを判別し、判別結果をCPU部103と引き込み制御部1012に通知する(ステップS102)。CPU部103は、逆信信号判別部1011からの通知に基づいて、逆信信号が到来したか否かを判別し(ステップS103)、到来していないと判別したときには、ステップS102からの処理を繰り返し、逆信信号の到来を待つ。
【0065】
ステップS103の判別処理において、逆信信号が到来したと判別すると、CPU部103は、回線制御部101の引き込み制御部1012を通じて、切り替え部1022をオン状態に切り替えると共に、電話機制御部102の呼び出し制御部1021を制御して、自機に接続された電話機2を着信鳴動させる(ステップS104)。逆信信号を受信した後においては、逆信信号判別部1011は、受信している逆信信号が消滅したか否かを判別し、判別結果をCPU部103に通知する。
【0066】
このため、CPU部103は、逆信信号判別部1011からの通知に基づいて、受信した逆信信号が消失したか否かを判別する(ステップS105)。ステップS105の判別処理において、逆信信号は消失していないと判別したときには、CPU部103は、電話機制御部102のフック状態検出部1023を制御し、自機に接続されている電話機2はオフフック状態にされたか否かを判別する(ステップS106)。ステップS106の判別処理において、オフフック状態にされていないと判別したときには、ステップS105からの処理を繰り返すことになる。
【0067】
ステップS106の判別処理において、オフフック状態にされたと判別したとする。この場合、ステップS104において、電切り替え部1022がオン様態に切り替えられているので、電話機2がIP網4に接続されて、回線が捕捉される(ステップS107)。これにより、コールバック元の緊急通報受理機関5と緊急通報装置1に接続された電話機2との間に通話回線が接続され、通話が可能にされる(ステップS108)。
【0068】
この後、CPU部103は、電話機制御部102のフック状態検出部1023を制御し、自機に接続されている電話機2はオンフック状態にされたか否かを判別する(ステップS109)。ステップS109の判別処理において、オンフック状態にされていないと判別したときには、まだ通話が継続中であるので、ステップS109からの処理を繰り返し、オンフック状態になるのを待つことになる。
【0069】
ステップS109の判別処理において、オンフック状態にされたと判別したとする。この場合、電話機制御部102のフック状態検出部1023により、切り替え部1022がオフに切り替えられ、電話機2が捕捉していたIP網4の回線を解放し(ステップS110)、この図7に示す処理を終了する。このように、ステップS101~ステップS110の処理が、図3図4に示した処理の内、緊急通報装置1において実行される処理となる。
【0070】
また、ステップS105の判別処理において、自機に到来していた逆信信号が消失したと判別したとする。この場合、ステップS104において、切り替え部1022はオン状態にされているので、電話機2がIP網4に接続されて、回線が捕捉するようにされる。しかし、この時点において、逆信信号は途絶えているので、電話機2がオフフック操作されても、通話回線を接続することはできない。また、電話機2がオフフック操作され、オフフックされた状態のままだと、切り替え部1022はオン状態のままとなる。従って、電話機2がIP網4の回線を捕捉した状態のままとなって、逆信信号が再来しても通話回線を接続することはできない。
【0071】
そこで、CPU部103は、引き込み制御部1012を制御して、切り替え部1022をオフ状態に切り替えて、回線の引き込みを実行する(ステップS111)。すなわち、ステップS111の処理は、電話機2とIP網4との接続を切断し、回線ルートを緊急通報装置1側に引き込むようにする。このように、ステップS111の処理は、緊急通報装置1が、緊急通報受理機関5からのコールバックに応じた逆信信号を受信(受け付け)できるようにする処理である。この後、CPU部103は、再び逆信信号の到来を待つ処理を行い(ステップS102、ステップS103)、逆信信号の受信により、上述の内容と同様にステップS104以降の処理を行う。
【0072】
これにより、電話機2とコールバック元の緊急通報受理機関5との間に通話回線が接続するようにされ、CPU部103は、ステップS108からの処理を行うようにして、緊急通報受理機関5の担当者と電話機2の使用者が通話できるようにする。このように、この実施の形態の緊急通報装置1は、一度到来した逆信信号が何等かの原因により消失しても、逆信信号の再来に適切に対応して通話回線を接続し、緊急通報受理機関5の担当者と電話機2の使用者が確実に通話できるようにしている。
【0073】
この場合、電話機2がオフフック状態のままであっても、切り替え部1022がオフ状態からオン状態に復帰することにより、通話回線の接続ができる。従って、電話機2の使用者は、逆信信号の再来に応じて接続される通話回線を通じて、緊急通報受理機関5側の担当者と確実に通話を行うことができるようにされる。
【0074】
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態の緊急通報装置1は、逆信信号の到来後、逆信信号が途絶えても、自機に接続された電話機2と緊急通報受理機関5側との間に適切に通話回線を接続し、通話を行うようにすることができる。この場合、緊急通報装置1に接続された電話機2の使用者は、再来する逆信信号に自動的に応答して通話回線を迅速に接続し、緊急通報受理機関5側の担当者と通話することができる。これにより、IP網4に接続されて使用される緊急通報装置1の信頼性をより向上させることができる。
【0075】
[変形例等]
なお、上述した実施の形態の緊急通報装置1は、通報ボタンを押下操作した場合に、緊急通報を行うものとして説明したがこれに限るものではない。例えば、火災の発生を通報する緊急通報装置の場合には、熱センサや煙センサによって火災の発生を検知した場合に通報を行うようにしてもよい。また、不審者の侵入を検知する人感センサによって不審者の侵入を検知した場合に通報を行うようにすることもできる。このように、緊急通報装置は、通報ボタンの押下操作だけでなく、種々のセンサによって、緊急事態の発生を検知した場合に、緊急通報を行うものであってももちろんよい。
【0076】
また、上述した実施の形態では、緊急通報装置1には、電話機2が接続されているものとして説明した。しかし、これに限るものではない。緊急通報装置1には、専用電話機と一般電話機との一方または両方が接続された構成をとすることが可能である。簡単には、逆信信号の到来後、当該逆信信号が途絶えた場合には、オフフック状態にある電話機との間で通話回線を接続するように構成すればよい。
【0077】
また、図7においては省略したが、例えば、ステップS103で、逆信信号を受信していないと判別した場合には、回線解放から10秒以内に逆信信号が到来しなかった場合には、タイムアウトとして処理を終了する。この場合、例えば、通報から再度行うようにするなどのことが可能である。
【0078】
同様に、図7においては省略したが、例えば、ステップS106において、オフフックされていないと判別した場合には、逆信信号の到来から一定時間以内に回線捕捉がされなかった場合には、タイムアウトとして処理を終了する。この場合においても、例えば、通報から再度行うようにするなどのことが可能である。
【0079】
また、上述した実施の形態では、逆信信号の到来時において、切り替え部1022の切り替えは、CPU部103の制御に応じて、引き込み制御部1012が行うものとして説明したが、これに限るものではない。CPU部103が直接に切り替え部1022の切り替えを行うようにしてもよい。また、逆信信号判別部1011からの判別結果を、引き込み制御部1012に供給して、この判別結果に基づいて、引き込み制御部1012が、独自に切り替え部1022を切り替える構成とすることもできる。
【0080】
また、回線制御部101、電話機制御部102の各部の機能は、CPU部103のCPUで実行されるプログラムにより、CPU部103の機能として実現することもできる。すなわち、逆信信号判別部1011、引き込み制御部1012、応答/切断制御部1013、通報制御部1014の各部の機能は、ソフトウェアにより実現することもできる。同様に、呼び出し制御部1021、切り替え部1022、フック状態検出部1023の各部の機能は、ソフトウェアにより実現することもできる。
【0081】
また、上述した実施の形態では、緊急通報後において、逆信信号の到来で切り替部1022をオン状態にし、到来した逆信信号が途絶えた(消失した)場合に切り替え部1022をオフ状態にした。しかし、これに限るものではない。例えば、逆信信号が到来し、電話機2がオフフック状態にされた場合に、フック状態検出部1023あるいはCPU部103の制御により、切り替え部1022をオン状態にする。また、電話機2がオンフック状態にされた場合には、フック状態検出部1023あるいはCPU部103の制御により、切り替え部1022をオフ状態にする。更に、到来した逆信信号が途絶えた(消失した)場合には、電話機2がオフフック状態であっても、CPU部103の制御の下、引き込み制御部1012が、切り替え部1022をオフ状態にする。このように、到来した逆信信号が途絶えた(消失した)場合を除き、切り替え部1022の切り替えは、電話機2のフック状態に連動して行うようにしてもよい。
【0082】
[その他]
上述した実施の形態の説明からも分かるように、請求項の逆信信号判別手段の機能は、実施の形態の緊急通報装置1の逆信信号判別部1011が実現している。請求項の切り替え手段の機能は、実施の形態の緊急通報装置1の切り替え部1022が実現している。また、請求項の引き込み制御手段の機能は、実施の形態の緊急通報装置1の引き込み制御部1012が実現している。また、請求項のフック状態検出手段は、実施の形態の緊急通報装置1のフック状態検出部1023が実現している。また、請求項の呼び出し制御手段の機能は、実施の形態の呼び出し制御部1021が実現している。
【符号の説明】
【0083】
1…緊急通報装置、101…回線制御部、1011…逆信信号判別部、1012…引き込み制御部、1013…応答/切断制御部、1014…通報制御部、102…電話機制御部、1021…呼び出し制御部、1022…切り替え部、1023…フック状態検出部、103…CPU部、104…通報ボタン、2…電話機、3…ゲートウェイ、4…IP網、5…緊急通報受理機関
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7