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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138186
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】警備装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/00 20060101AFI20220915BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20220915BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G08B25/00 510E
G08B25/04 E
H04M11/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037910
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 佳之
(72)【発明者】
【氏名】田端 淳記
【テーマコード(参考)】
5C087
5K201
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA25
5C087AA32
5C087AA37
5C087AA38
5C087AA42
5C087AA44
5C087DD04
5C087DD05
5C087DD20
5C087DD24
5C087DD49
5C087EE06
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5K201AA09
5K201BA03
5K201EB06
5K201EC08
5K201ED05
5K201ED09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】操作端末を通じて警備解除操作を行って非警備状態に遷移させる警備装置において、警備解除操作時において侵入者の発生を報知する威嚇音が放音されることによる煩わしさを解消する警備装置を提供する。
【解決手段】警備装置100において、制御部102は、操作端末200を通じて行われた操作に応じて、警備状態と非警備状態とのいずれかに切り替える。AP通信部111は、アクセスポイント(AP)300を通じて、無線通信端末との間で通信を可能にする。警備装置が警備状態に切り替えられている場合で、アクセスポイント300により認証が取れ、かつ、AP通信部111を通じて通信可能になった無線通信端末が存在する場合に、ブザー鳴動制御部108は、侵入の発生の報知を行わないように制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人等の侵入の発生を検知する侵入センサからの出力信号に基づいて、侵入の発生を検出するセンサ検出手段と、
前記センサ検出手段において、侵入の発生を検出した場合に、侵入の発生を報知するように制御する報知制御手段と、
侵入が発生した場合に報知を行う警備状態と報知を行わない非警備状態との切り替えを、使用者からの指示入力に応じて行う動作状態切り替え手段と、
無線通信を行って認証が取れた無線通信端末の接続を可能にする基地局を通じて、前記無線通信端末との間で通信を可能にする基地局通信手段と、
を備え、
前記報知制御手段は、自機が前記警備状態にあるときに、前記基地局により認証が取れ、前記基地局通信手段を通じて通信可能な前記無線通信端末が存在する場合に、侵入の発生の報知を行わないようにする
ことを特徴とする警備装置。
【請求項2】
請求項1に記載の警備装置であって、
前記報知制御手段は、自機が前記警備状態にあり、前記センサ検出手段によって侵入の発生が検出された場合であって、前記基地局により認証が取れ、前記基地局通信手段を通じて通信可能な前記無線通信端末が存在する場合には、侵入の発生の報知を行わないようにする
ことを特徴とする警備装置。
【請求項3】
請求項1に記載の警備装置であって、
前記基地局は、当該警備装置より所定の認証指示を受信した場合に、近隣の無線通信端末と通信を行って認証を取るようにする認証処理を実行するものであり、
自機が前記警備状態にあり、前記センサ検出手段によって侵入の発生が検出された場合に、前記基地局に対して前記認証指示を提供する認証指示手段を備え、
前記報知制御手段は、自機が前記警備状態にあり、前記センサ検出手段によって侵入の発生が検出された場合であって、前記基地局により認証が取れ、前記基地局通信手段を通じて通信可能になった前記無線通信端末が存在する場合には、侵入の発生の報知を行わないようにする
ことを特徴とする警備装置。
【請求項4】
請求項1に記載の警備装置であって、
前記基地局は、当該警備装置より所定の認証指示を受信した場合に、近隣の無線通信端末と通信を行って認証を取るようにする認証処理を実行するものであり、
自機が前記警備状態にあり、前記センサ検出手段によって侵入の発生が検出された場合に、前記基地局に対して前記認証指示を提供する認証指示手段と、
前記基地局により認証が取れた無線通信端末が存在する場合に、前記基地局を通じて前記無線通信端末と通信を行って、前記無線通信端末より認証情報を取得する認証情報取得手段と
を備え、
前記報知制御手段は、自機が前記警備状態にあり、前記センサ検出手段によって侵入の発生が検出された場合であって、前記基地局により認証が取れ、前記基地局通信手段を通じて通信可能になった前記無線通信端末が存在し、前記無線通信端末から前記認証情報取得手段を通じて認証情報が取得でき、当該認証情報が適正なものであった場合には、侵入の発生の報知を行わないようにする
ことを特徴とする警備装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、不審者の侵入などの異常事象の発生を検知して、これを報知する警備装置に関する。
【背景技術】
【0002】
夜間や休日に利用者がいなくなる事務所、学校、商業施設などには、いわゆる警備装置が設けられる場合が多い。また、外出により住民が不在になることが多かったり、就寝により目の届かない夜間における安全を確保したりするために、一般住宅においても警備装置が利用されるようになってきている。例えば、図14に示すように、種々の警備対象施設1に配置される警備装置10は、火災センサSX1や侵入センサSX2などの種々の異常検出センサが接続される。
【0003】
火災センサSX1には、煙を検知する煙センサや熱を検知する熱センサなどがある。侵入センサSX2には、赤外線、超音波、可視光などを用い、人間の所在を感知する人感センサ、磁気や加速度を利用して、ドアや窓の開閉を検出する開閉センサ、窓やドアなどが壊された場合の衝撃を検出する衝撃センサなどがある。これらの種々の異常検出センサは、警備装置10のセンサ入力回路部11に接続されている。警備装置10のセンサ入力回路部11は、各異常検出センサSX1、SX2、…からの出力信号を監視して、異常の発生を検出すると、広域ネットワーク2を通じて所定の通報先である例えば警備会社3の警備先収容装置30に対して通報を行う。
【0004】
広域ネットワーク2は、一般公衆電話網、携帯電話網、インターネットなどの通信網である。警備会社3では、警備先収容装置30が警備対象施設1の警備装置10からの通報を受信すると、受信メッセージを放音するなどして、監視員40に通知する。監視員40は、警備先収容装置30を操作して、通報元を特定し、警備員50に対して通報元への出動を指示する。これにより、異常が発生している警備対象施設1に警備員が迅速に出動し、適切な対応を取ることが可能になる。
【0005】
警備装置に対しては、警備状態(監視状態)と非警備状態(非監視状態)と切り替える状態切り替え操作を行う必要である。警備状態は、異常検出センサからの出力信号を監視し、異常を検出した場合に通報を行う。非警備状態は、異常検出センサからの出力信号を監視せず、通報を行うことはない。従って、警備装置に接続された操作パネルを通じて、退勤時あるいは外出時には非警備状態から警備状態に切り替え、出勤時あるいは帰宅時には警備状態から非警備状態に切り替える。
【0006】
後に記す特許文献1には、携帯電話端末から管理センタ装置に電話をかけて、当該管理センタ装置が着信先となるサブドレス番号に応じて、所定の警備装置の機械警備の開始/終了(警備装置の警備状態/非警備状態)を切り替える発明が開示されている。特許文献1に開示された発明の場合には、警備装置に操作パネルを設ける必要がなく、適宜の位置から警備装置の警備状態/非警備状態の切り替えを行うことができる。これにより、警備装置の構成を簡単にし、また、警備装置の利用者の利便性を向上させることが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005-94601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された発明の場合には、利点がある一方で、管理センタ装置と携帯電話端末とを接続するネットワークに障害が生じた場合には、警備装置の警備状態/非警備状態の切り替えができなくなるという不都合がある。また、携帯電話端末を忘れたり、落としたりするなどして携帯電話端末が手元にない場合にも、警備装置の警備状態/非警備状態の切り替えができない。このため、警備装置には、警備状態/非警備状態の切り替えを可能にする操作端末(操作パネル)を必ず設けておく必要がある。
【0009】
しかしながら、操作端末を通じて警備装置の警備状態/非警備状態の切り替えを行う場合においては、利用者は警備対象施設に入って、操作端末を操作することになる。このため、利用者が侵入者として検知され、警報ブザーが鳴動し、警備会社等の所定の通報先への通報(発報)の対象となってしまう。このような場合に、不必要な通報(発報)を行わないようにするために、従来から操作端末を通じて警備状態/非警備状態の切り替えを行う警備装置の機能として、警備開始ガードセンサ機能と警備解除ガードセンサ機能とが設けられている。
【0010】
警備開始ガードセンサ機能は、操作端末に対する警備開始操作により警備状態に切り替えられた途端に、侵入センサにより利用者(施設関係者)が侵入者として検知されることによる発報を回避する。具体的には、警備開始操作から予め決められた発報猶予時間が経過するまでの間に、侵入センサの反応が収まれば、発報しないようにする機能である。発報猶予時間経過後に侵入センサが反応した場合には、異常な侵入(正当な利用者以外の侵入)である可能性が高いため発報を行う。警備開始操作時には、操作が行われた操作端末を通じて、ブザー音などの音や表示により、利用者に退室(退去)を促す対応が取られる。当該対応は、発報猶予時間経過後に終了する。
【0011】
警備解除ガードセンサ機能は、操作端末に対する警備解除操作により非警備状態に切り替える場合に、警備解除操作前に侵入センサにより利用者(施設関係者)が侵入者として検知されることによる発報を回避する。具体的には、侵入センサにより侵入の発生が検出されてから予め決められた発報猶予時間が経過するまでの間に、操作端末に対して警備解除操作が行われた場合には、発報しないようにする機能である。発報猶予時間経過までに警備解除操作が行われない場合には、異常な侵入である可能性が高いため発報を行う。侵入センサによる侵入の発生の検出時には、例えば、操作が行われる操作端末を通じて、ブザー音などの音や表示により、利用者に警備解除操作を促す対応が取られる。当該対応は、発報猶予時間内に警備解除操作が行われれば終了する。
【0012】
しかし、警備解除ガードセンサ機能時に鳴動させるブザー等は、警備開始ガードセンサ機能時のブザー等とは異なり、侵入者等への威嚇音としての役割も兼ねているため音量が大きい。このため、正当な利用者(施設関係者)にとっては、警備解除操作時において、いつも大音量の威嚇音が放音されるため、分かっていても驚いたり、警備解除操作を焦ったりすることになり、煩わしさがある。
【0013】
以上のことに鑑み、この発明は、操作端末を通じて警備解除操作を行って非警備状態に遷移させる警備装置において、警備解除操作時において侵入者の発生を報知する報知音(威嚇音)が放音されることによる煩わしさを解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の警備装置は、
人等の侵入の発生を検知する侵入センサからの出力信号に基づいて、侵入の発生を検出するセンサ検出手段と、
前記センサ検出手段において、侵入の発生を検出した場合に、侵入の発生を報知するように制御する報知制御手段と、
侵入が発生した場合に報知を行う警備状態と報知を行わない非警備状態との切り替えを、使用者からの指示入力に応じて行う動作状態切り替え手段と、
無線通信を行って認証が取れた無線通信端末の接続を可能にする基地局を通じて、前記無線通信端末との間で通信を可能にする基地局通信手段と、
を備え、
前記報知制御手段は、自機が前記警備状態にあるときに、前記基地局により認証が取れ、前記基地局通信手段を通じて通信可能な前記無線通信端末が存在する場合に、侵入の発生の報知を行わないようにする
ことを特徴とする。
【0015】
請求項1に記載の発明の警備装置によれば、動作状態切り替え手段によって、警備状態と非警備状態とが切り替え可能になっている。また、基地局通信手段によって、無線通信を行って認証が取れた無線通信端末の接続を可能にする基地局を通じて、当該認証が取れた無線通信端末との間で通信を行うことができるようになっている。警備状態に切り替えられている場合に、基地局により認証が取れ、基地局通信手段を通じて通信可能になった無線通信端末が存在する場合に、報知制御手段は、侵入の発生の報知を行わないように制御する。
【0016】
これにより、警備状態から非警備状態に切り替える場合に、正当な利用者が所持する無線通信端末が、当該警備装置と通信可能になった場合には、侵入者を検出した場合の報知処理が抑止される。従って、正当な利用者は、安心して当該警備装置を警備状態から非警備状態に切り替えることを指示する操作を行うことができるようにされる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、操作端末を通じて警備解除操作を行って非警備状態に遷移させる警備装置において、警備解除操作時において侵入者の発生を報知する威嚇音の放音を抑止することができ、非警備状態に切り替える場合の利用者の煩わしさを解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態の警備装置が用いられて構成される警備システムの構成例を説明するための図である。
図2】実施の形態の警備装置の構成例を説明するためのブロック図である。
図3】実施の形態の警備装置に接続される操作端末の構成例を説明するためのブロック図である。
図4】実施の形態の警備装置にアクセスポイント(基地局)を介して接続可能な無線通信端末の構成例を説明するためのブロック図である。
図5】実施の形態の警備装置において、警備状態から非警備状態に切り替える場合の処理を説明するためのフローチャートである。
図6図5のフローチャートのステップS109で実行される侵入対応処理を説明するためのフローチャートである。
図7】実施の形態の警備装置において、警備状態から非警備状態に切り替える場合の処理の他の例を説明するためのフローチャートである。
図8】実施の形態の警備装置において、警備状態から非警備状態に切り替える場合の処理の他の例を説明するためのフローチャートである。
図9】実施の形態の警備装置の他の構成例を説明するためのブロック図である。
図10】実施の形態の警備装置にアクセスポイント(基地局)を介して接続可能な無線通信端末の他の構成例を説明するためのブロック図である。
図11図9に示した構成の警備装置において実行される、警備状態から非警備状態に切り替える場合の処理を説明するためのフローチャートである。
図12図9に示した警備装置と図10に示した無線通信端末とを用いて構成される警備システムにおける処理を説明するためのシーケンス図である。
図13図9に示した警備装置と図10に示した無線通信端末とを用いて構成される警備システムにおける処理を説明するためのシーケンス図である。
図14】警備システムの従来例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図を参照しながら、この発明による警備装置の実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態の警備装置は、事務所、学校、商業施設、一般住宅などといった種々の警備対象施設に設けられるものである。当該警備装置は、不審者等の侵入の発生を検知し、報知音(威嚇音)を放音すると共に、警備会社等の所定の通報先に自動的に通報を行うものである。以下に説明する警備装置は、火災の発生、人等の侵入の発生、ドアや窓が壊されて、人等が侵入し得る状態の発生を検知した場合に、これを周囲に報知したり、所定の通報先に通報したりすることができるものである。
【0020】
しかし、以下に説明する実施の形態の警備装置で問題になるのは、正当な利用者が警備状態を解除する場合の報知音の放音である。このため、以下に説明する実施の形態の警備装置では、警備状態から非警備状態に切り替える場合に、いわゆる人感センサやドアや窓の開閉センサによって、人の侵入が検知され、周囲への報知を行う場合を例にして説明する。
【0021】
[警備システムの構成例]
図1は、この実施の形態の警備装置100が用いられて構成される警備システムの構成例を説明するための図である。図1に示すように、警備装置100は、広域ネットワーク2を介して、所定の警備会社の警備先収容装置30に接続されている。広域ネットワーク2は、一般公衆電話網、携帯電話網、インターネットなどの通信網である。警備先収容装置30は、警備装置100からの通報を受信すると、通報元を特定して、通報メッセージを放音したり、表示画面上に地図を表示し、通報元の所在位置を示したりして、監視員が警備員に対して出動を指示できるようにする。
【0022】
警備装置100は、この発明による警備装置の実施の形態が適用されたものであり、警備対象施設の屋内の安全な場所に設置される。警備装置100には、操作端末200と、複数の侵入センサSS1、SS2、…が接続されている。操作端末200は、警備対象施設の屋内であるが、例えば、出入り口近傍などの適切な場所に設置され、警備状態と非警備状態とを切り替えるための操作入力を受け付けたり、報知音を放音したりするなどの機能を備える。なお、報知音には、威嚇音として用いられるブザー音をも含む。
【0023】
侵入センサSS1、SS2、…は、人等の侵入の発生を検知して、出力信号を警備装置に供給する。侵入センサSS1、SS2、…は、赤外線、超音波、可視光などを用い、人間の所在を感知する人感センサ、磁気や加速度を利用して、ドアや窓の開閉を検出する開閉センサなどである。侵入センサSS1、SS2、…は、出入口や窓などの人等が侵入し得る場所に設置される。人等としているのは、人以外の例えば動物が、侵入する場合も異常の発生として検知可能であるためである。
【0024】
なお、この実施の形態において、「警備状態」は、侵入センサSS1、SS2、…からの出力信号を監視し、侵入の発生を検出した場合に通報を行うことができる状態を意味する。また、「非警備状態」は、侵入検出センサからの出力信号を監視せず、通報を行うことがない状態を意味する。従って、警備装置100の利用者は、退勤時や外出時においては、操作端末200を通じて、警備装置100を非警備状態から警備状態に切り替えて、侵入の発生を検知した場合に自動的に通報を行うことができる状態にする。また、警備装置100の利用者は、出勤時や帰宅時(外出から帰ってきた時)には、操作端末200を通じて、警備装置100を警備状態から非警備状態に切り替えて、自動的に通報を行わない状態にする。
【0025】
また、警備装置100には、LAN(Local Area Network)を通じて、いわゆる基地局として機能するアクセスポイント(図においてはAPと記載し、以下においてはAPと略称する。)300が接続されている。この実施の形態において、AP300は、Wi-Fi(登録商標)規格に対応したものである。AP300は、近隣に存在する無線通信端末と無線通信を行い、自機に割り当てられているESSID(Extended Service Set Identifier)とパスワードとを用いた認証処理を行う。AP300は、当該認証処理により、認証が取れた無線通信端末については、自機を介して警備装置100への接続を可能にする。
【0026】
無線通信端末400は、いわゆるスマートフォンやタブレットPC(Personal Computer)などの汎用端末であり、Wi-Fi(登録商標)規格の無線LANインターフェースを備え、近隣のAP(Access Point)を経由してLANに接続可能なものである。この実施の形態において、無線通信端末400は、警備装置100の正当な利用者によって所持されるものであり、警備装置100に接続されたAP300に割り当てられているESSIDとパスワードとが事前に設定されているものである。従って、無線通信端末400は、AP300と無線通信を行って認証を得て、LANを通じて警備装置100に接続可能なものである。
【0027】
また、警備装置100は、警備開始ガードセンサ機能と警備解除ガードセンサ機能とを備えたものである。すなわち、非警備状態から警備状態に切り替えた直後においては、警備開始ガードセンサ機能が働く。この場合、報知音を放音するなどして退去を促し、侵入センサSS1、SS2…を通じて侵入の発生が検知されても、所定の発報猶予時間内に侵入センサの反応が収まれば通報(発報)は行わない。
【0028】
また、警備状態から非警備状態に切り替える場合においては、警備解除ガードセンサ機能が働く。この場合、非警備状態への切り替えのために、正当な利用者が警備対象施設に入ることにより、侵入センサを通じて侵入の発生が検知されるので、報知音を放音する。この場合の報知音は、侵入した不審者に対する威嚇音としての意味もあるため、大音量の報知音(威嚇音)が放音される。しかし、所定の発報猶予時間内に、警備状態から非警備状態に切り替える操作がされた場合には、通報(発報)は行わない。
【0029】
さらに、警備装置100においては、警備解除ガードセンサ機能が働く場合であっても、正当な利用者が所持する無線通信端末400が、AP300を通じて警備装置100に接続されている場合には、報知音(威嚇音)を放音しないようにする。これにより、無線通信端末400を所持する正当な利用者が、警備対象施設に入って操作端末200を操作し、警備装置100を警備状態から非警備状態に切り替える場合に、威嚇音が放音されることがない。従って、正当な利用者は、威嚇音にびっくりしたり、慌てたりすることなく、落ち着いて非警備状態に切り替える操作を行える。
【0030】
以下においては、警備装置100、操作端末200、無線通信端末400の構成例について説明し、警備装置100で行われる処理の詳細について説明する。なお、AP300については、基本的には市販の一般的な構成、機能を有するアクセスポイント(装置)を利用することができるため、その構成等の詳細についての説明は割愛する。
【0031】
[警備装置100の構成例]
図2は、警備装置100の構成例を説明するためのブロック図である。接続端子101Tは、広域ネットワーク2との接続端部を構成する。通信I/F(Interface)101は、広域ネットワーク2を通じての通信処理を行う。すなわち、通信I/F101は、広域ネットワーク2を介して送信されて来る自機宛ての信号を、自機において処理可能な形式の信号に変換してこれを取り込む。また、通信I/F101は、自機から目的とする相手先に送信する信号を、送信用の形式の信号に変換してこれを広域ネットワーク2に送出して相手先に送信する。
【0032】
制御部102は、図示しないがCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどを備えたマイクロプロセッサであり、警備装置100の各部を制御する。記憶装置103は、例えば、SSD(Solid State Drive)などの記録媒体とそのドライバとからなる装置部であり、種々のデータの記録、読み出し、変更、削除などを行う。記憶装置103は、必要となるデータやプログラムを記憶保持する他、種々の処理において生じる中間データを一時記憶する作業領域としても用いられる。
【0033】
接続端子104Tは、操作端末200との接続端部を構成し、操作端末通信部104は、操作端末200とのインターフェース部として機能し、操作端末200との間で情報の送受信を行う部分である。すなわち、操作端末通信部104は、操作端末200からの情報を受信して自機において処理可能な形式の情報に変換して制御部102等に供給し、また、自機から送出する情報を、送出用の形式に変換して、操作端末200に供給する。
【0034】
接続端子105T1、105T2、…は、侵入センサSS1、SS2、…との接続端部を構成する。センサ検出部105は、侵入センサSS1、SS2、…からの出力信号を監視し、侵入の発生を検出した場合に、これを制御部102に通知する。また、センサ検出部105は、どの侵入センサにおいて侵入の発生を検知したのかをも判別し、制御部102に通知できる。
【0035】
接続端子106Tは、AP300との接続端部を構成する。IP(Internet Protocol)通信制御部106は、LANを通じてAP300との間の通信を可能にすると共に、AP300において認証が取れた無線通信端末との間の通信を、AP300とLANとを通じて行えるようにする。すなわち、IP通信制御部106は、IP(Internet Protocol)を用いて通信が行われるLAN及びAP300を通じて、AP300において認証が取れた無線通信端末400等との通信を可能にする。
【0036】
通報処理部107は、制御部102の制御の下、侵入センサSS1、SS2、…を通じて侵入の発生が検知された場合に、侵入の発生を通報する通報データを形成し、これを所定の警備会社の警備先収容装置30に送信する処理を行う。この場合、通報処理部107で形成された通報データは、通信I/F101及び接続端子101Tを通じて広域ネットワーク2に送出され、警備先収容装置30に送信される。
【0037】
ブザー鳴動制御部108は、制御部102の制御の下、ブザー鳴動指示を形成して、操作端末通信部104及び接続端子104Tを通じて、操作端末200に送信し、操作端末200が備えるブザーを鳴動させる。また、ブザー鳴動制御部108は、制御部102の制御の下、ブザー音などを放音するための音声データを音声処理部109に供給し、スピーカ110から放音するようにする処理も行う。
【0038】
音声処理部109は、制御部102やブザー鳴動制御部108の制御の下、ガイダンスメッセージやブザー音などを放音するための音声データの供給を受けて、アナログ音声信号を形成し、これをスピーカ110に供給する。スピーカ110は、音声処理部109からのアナログ音声信号の供給を受けて、当該アナログ音声信号に応じた音声を放音する。なお、音声処理部109は、制御部102やブザー鳴動制御部108の制御により、音量を調整することができるようになっている。これにより、例えば、警備開始ガードセンサ機能時には、退去を促すメッセージを適切な音量で放音できる。また。警備解除ガードセンサ機能時を含め、侵入センサSS1、SS2、…を通じて侵入の発生を検知した場合には、大音量で報知音(威嚇音)を放音できる。
【0039】
AP通信部111は、IP通信制御部106及び接続端子106T、更にLANを通じて、AP300と通信を行う機能を実現する。従って、警備装置100の制御部102は、AP通信部111を通じて、AP300と通信を行うことにより、AP300において認証が取れ、警備装置100に接続可能になった無線通信端末400が存在するか否かを適切に把握することができる。
【0040】
このような構成の警備装置100においては、後述もするが、操作端末200を通じて、警備状態と非警備状態との切り替えを行うことができる。すなわち、制御部102は、接続端子104T及び操作端末通信部104を通じて、警備開始指示を受け付けて、自機の動作状態を、非警備状態から警備状態に切り替えたり、警備状態から非警備状態に切り替えたりする。なお、制御部102は、自機の動作状態を、非警備状態から警備状態に切り替える場合には、上述した警備開始ガードセンサ機能を動作させる。また、制御部102は、自機の動作状態が警備状態の場合に、センサ検出部105より侵入センサSS1、SS2、…の侵入発生を検知した場合には、上述した警備解除ガードセンサ機能を動作させる。
【0041】
また、制御部102は、自機の動作状態が警備状態の場合に、センサ検出部105より侵入発生を検知した場合には、AP通信部111を通じて、AP300において認証が取れ、AP300を通じて自機に接続された無線通信端末400が存在するか否かを確認する。この確認において、自機に接続された無線通信端末400が存在することが確認できた場合には、報知音(威嚇音)の放音を抑止する。すなわち、制御部102は、ブザー鳴動制御部108を通じて、操作端末200や音声処理部109に対して報知音の放音を指示しない。
【0042】
なお、制御部102は、AP300を通じて自機に接続された無線通信端末400が存在するか否かを確認し、自機に接続された無線通信端末400が存在いない場合には、通常通り、ブザー鳴動制御部108を制御し、報知音(威嚇音)の放音を実行する。この場合において、侵入の発生を検出した時点からの時間が、予め決められた発報猶予時間を経過した場合には、制御部102は、通報処理部107を制御して、所定の警備会社の警備先収容装置30に対して通報を行う。
【0043】
[操作端末200の構成例]
図3は、警備装置100に接続される操作端末200の構成例を説明するためのブロック図である。接続端子201Tは、警備装置100との接続端部を構成する。I/F(Interface)201は、警備装置100との間での通信処理を行う。すなわち、I/F201は、警備装置100からの信号を、自機において処理可能な形式の信号に変換してこれを取り込む。また、I/F201は、自機から警備装置100に送信する信号を、送信用の形式の信号に変換してこれを警備装置100に送信する。
【0044】
制御部202は、図示しないがCPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどを備えたマイクロプロセッサであり、操作端末200の各部を制御する。記憶部203は、例えば、不揮発性メモリなどの記録媒体とそのドライバとからなる装置部であり、種々のデータの記録、読み出し、変更、削除などを行う。記憶部203は、必要となるデータやプログラムを記憶保持する他、種々の処理において生じる中間データを一時記憶する作業領域としても用いられる。
【0045】
操作部204は、例えば、いくつかのファンクションキーや数字キーなどの操作キーを備え、使用者からの操作入力を受け付け、受け付けた操作入力に応じた情報を電気信号に変換して制御部202に通知する。従って、利用者が操作部204を通じて操作入力を行うことにより、警備装置100を非警備状態から警備状態に切り替えたり、警備状態から非警備状態に切り替えたりすることができる。表示部205は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などにより構成され、種々のガイダンスメッセージを表示する。具体的に表示部205には、操作ガイダンス、警告メッセージ、警備装置の状態を示すメッセージ等が表示される。
【0046】
音声処理部206は、制御部202の制御の下、ガイダンスメッセージやブザー音などを放音するための音声データの供給を受けて、アナログ音声信号を形成し、これをスピーカ207に供給する。スピーカ207は、音声処理部206からのアナログ音声信号の供給を受けて、当該アナログ音声信号に応じた音声を放音する。なお、音声処理部206は、制御部202の制御により、音量を調整することができるようになっている。これにより、警備装置100からの指示に応じて、警備開始ガードセンサ機能時には、退去を促すメッセージを適切な音量で放音できる。また。警備装置100からの指示に応じて、警備解除ガードセンサ機能時を含め、侵入センサSS1、SS2、…を通じて侵入の発生を検知した場合には、報知音(威嚇音)を大音量で放音することができる。
【0047】
LED部208は、LED(Light Emitting Diode)を備え、制御部202の制御の下、警備装置100の状態をLEDの点灯、消灯、点滅などにより表示する。すなわち、警備装置100からの状態通知に応じて、例えば、LEDが消灯している場合には、警備装置10が非警備状態にあり、LEDが点灯している場合には、警備装置100が警備状態にあることが示される。また、警備装置100が、警備開始ガードセンサ機能や警備解除ガードセンサ機能が動作している場合には、LEDを点滅させることにより、当該状態を通知する。なお、LED部208に同一色の複数のLEDを設けたり、色違いの複数のLEDを設けたりして、警備装置100の種々の状態を細かく通知するようにすることも可能である。
【0048】
[無線通信端末400の構成例]
図4は、警備装置100にAP300を介して接続可能な無線通信端末400の構成例を説明するためのブロック図である。送受信アンテナ401A及び無線通信部401は、携帯電話網を通じた通信を可能にする部分である。制御部402は、図示しないがCPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどを備えたマイクロプロセッサであり、無線通信端末400の各部を制御する。記憶部403は、例えば、半導体メモリなどの記録媒体とそのドライバとからなる装置部であり、種々のデータの記録、読み出し、変更、削除などを行う。記憶部403は、必要となるデータやプログラムを記憶保持する他、種々の処理において生じる中間データを一時記憶する作業領域としても用いられる。
【0049】
操作部404は、電源のオン/オフキーやいくつかのファンクションキーを備えて構成された部分である。IP通信制御部405は、後述する近距離無線部412及び送受信アンテナ412Aを通じて、近隣のAPと通信を行い、認証が取れた場合に、当該APを経由して、当該APが接続されたLANに対して接続できるようにする。近距離無線部412及び送受信アンテナ412Aは、IP通信制御部405の制御の下、Wi―Fi規格に準拠した通信方式を用いて、AP300等の近隣のAP(アクセスポイント)と無線通信を行って認証を取るようにする。これにより、認証が取れたAPに対して接続して無線通信が可能になる。
【0050】
通話処理部406は、無線通信部401が携帯電話網を通じて通話回線を接続するようにした場合に、相手先から送信されてくる音声データからアナログ音声信号を形成して受話器(スピーカ)407に供給し、相手先の話音声を放音する。また、通話処理部406は、送話器(マイクロホン)408を通じて収音された自機の使用者の話音声(アナログ音声信号)をデジタル信号に変換し、これを無線通信部401が携帯電話網を介して接続するようにした通話回線を通じて相手先に送信する。このように、通話処理部406は、受話器407及び送話器408と協働し、通話回線が接続された相手先との間で通話を可能にする
タッチパネル409は、例えば、LCD等が用いられ構成された表示部410と、表示部410の表示画面に設けられたタッチセンサ411とにより構成され、使用者に表示情報を提供する共に、使用者からの指示入力を受けて制御部402に供給する。すなわち、タッチパネルは、ユーザインターフェースとして機能する。
【0051】
このように、無線通信端末400は、無線通信部401及び送受信アンテナ401Aを介して携帯電話網にアクセスし、通話回線を接続して通話することができるものである。更に、無線通信端末400は、近距離無線部412及び送受信アンテナ412Aを通じて、近隣のAPと通信を行い、認証が取れた場合に、当該APを経由して、当該APが接続されたLANに対して接続することができるものである。この場合、無線通信端末400は、当該LANに接続された機器と通信を行ったり、当該LANに接続された機器を経由して、インターネットに接続し、情報を閲覧したりするなどのことができる。
【0052】
[警備装置100、操作端末200、AP300、無線通信端末400の連携]
図2図4を用いて説明した警備装置100、操作端末200、無線通信端末400及びAP300の連携について説明する。警備装置100の非警備状態から警備状態への切り替え、また、警備状態から非警備状態への切り替えは、操作端末200を通じて行われる。操作端末200は、表示機能や音声出力機能(放音機能)を備え、表示出力や音声出力を通じて、ガイダンス提供や種々の報知が可能になっている。従って、侵入センサSS1、SS2、…を通じて侵入の発生が検知された場合にも、警備装置100からの制御に応じて、操作端末200の放音機能が用いられて、報知音(威嚇音)の放音がされる。
【0053】
AP300は、上述もしたように、市販の一般的な構成、機能を有するものである。しかし、この例においてAP300は、AP300を中心にして半径5m(メートル)程度の範囲での通信が可能なように、例えば送信出力が調整されている。AP300は、所定のタイミングごとにESSIDを送出し、これに応じて接続要求があった場合に、接続認証処理を行う。無線通信端末400には、上述もしたように、事前にAP300のESSID及びパスワードが設定されている。このため、無線通信端末400は、送受信アンテナ412A及び近距離無線部412を通じて、AP300からのESSIDを受信した場合には、IP通信制御部405が機能して、AP300に対し接続要求を送信する。
【0054】
これに応じて、AP300は、パスワードの提供を要求して認証を取るようにし、認証が取れた場合には、AP300と無線通信端末400とは、定期的に通信を行って接続状態を維持する。このような状態は、警備装置100のIP通信制御部106及びAP通信部111を通じて把握され、AP300を通じて、無線通信端末400は、警備装置100に対して無線接続された状態になる。
【0055】
なお、AP300と無線通信端末400との間で定期的な通信が不能になった場合には、接続状態は解除され、再度の認証が必要になる。このように、警備装置100の正当な利用者によって所持される無線通信端末400は、AP300に対して無線通信が可能な距離まで近づくと、AP300において認証を受け、AP300を介して自動的に警備装置100に接続される。
【0056】
警備装置100では、上記のような各機器との連携を利用し、警備状態から非警備状態に切り替える場合に、不必要な報知音(威嚇音)の放音を抑止することができるようにしている。次に、図2図4を用いて説明した警備装置100、操作端末200、無線通信端末400及びAP300が用いられて構成される図1に示した警備システムの警備装置100において、警備状態から非警備状態に切り替える場合の処理について具体的に説明する。
【0057】
[警備装置100における警備状態から非警備状態に切り替える場合の処理]
<侵入を検出する前からブザー鳴動抑止機能を動作させる場合の例>
図5は、警備装置100において、警備状態から非警備状態に切り替える場合の処理を説明するためのフローチャートであり、利用者の侵入を検知する前から威嚇音としてのブザー音の放音を抑止するブザー鳴動抑止機能を動作させる場合の例である。図5に示す処理は、操作端末200を通じて、非警備状態から警備状態に切り替えられた場合に、警備装置100の制御部102において実行される警備中の処理である。
【0058】
図5に示す処理が実行されると、制御部102は、AP通信部111の状態を確認し、AP300を通じて、正当な利用者が所持する無線通信端末400が接続されているか否かを判別する(ステップS101)。ステップS101の判別処理において、無線通信端末400が接続されている(AP接続あり)と判別された場合には、制御部102は、ブザー鳴動制御部108に指示を出さないようにして、ブザー鳴動を抑止する(ステップS102)。ステップS102の処理は、侵入センサSS1、SS2、…及びセンサ検出部105を通じて侵入の発生を検知しても、ブザー鳴動制御部108に指示を出さないようにして、報知音(威嚇音)を放音しないようにするものである。
【0059】
この後、制御部102は、接続端子104T及び操作端末通信部104を通じて、操作端末200を通じた、正当な利用者による警備解除操作を受け付ける(ステップS103)。ステップS103においては、例えば、パスワードの入力を求めたり、図示しなかったが操作端末200が備える指紋認証機構を通じて指紋認証を行ったりすることにより、正当な利用者による警備解除操作のみが受け付けられる。
【0060】
次に、制御部102は、操作端末200を通じて警備解除操作を受け付けたか否かを判別する(ステップS104)。ステップS104において、警備解除操作を受け付けたと判別した時には、制御部102は関係する各部を制御し、自機の動作状態を非警備状態に遷移させる(切り替える)(ステップS105)。この後、この図5に示す処理を終了する。
【0061】
また、ステップS104の判別処理において、警備解除操作を受け付けていないと判別したとする。この場合には、制御部102は、ステップS102において、ブザー鳴動を抑止してから所定時間を経過したか否か(タイムアウトになったか否か)を判別する(ステップS106)。この実施の形態の警備装置100では、ステップS102において、ブザー鳴動を抑止してから例えば30秒以内に警備解除操作が行われなかった場合には、タイムアウトになったと判別する。
【0062】
ステップS106の判別処理において、タイムアウトになっていないと判別した場合には、ステップS103からの処理を繰り返す。また、ステップS106の判別処理において、タイムアウトになったと判別した場合には、制御部102はブザー鳴動の抑止解除し(ステップS107)、ステップS101からの処理を繰り返す。すなわち、警備状態を維持する。
【0063】
また、ステップS101の判別処理において、無線通信端末400は接続されていない(AP接続なし)と判別された場合には、制御部102は、センサ検出部105からの出力信号に基づいて、侵入の発生を検出したか否かを判別する(ステップS108)。ステップS108の判別処理において、侵入の発生を検出していないと判別した場合には、ステップS101からの処理を繰り返す。また、ステップS108の判別処理において、侵入の発生を検出しと判別した場合には、後述する侵入対応処理を実行し、この図5に示す処理を終了する。
【0064】
図6は、図5のステップS109において実行される侵入対応処理を説明するためのフローチャートである。図6の侵入対応処理が実行されると、警備装置100の制御部102は、まず、ブザー鳴動制御部108を制御し、報知音(威嚇音)としてのブザー鳴動を開始させる(ステップS201)。具体的に、制御部102は、ブザー鳴動制御部108を制御し、操作端末通信部104及び接続端子104Tを通じて操作端末200に対して、威嚇音としてのブザーを鳴動させる指示を出す。また、制御部102は、ブザー鳴動制御部108を制御し、音声処理部109及びスピーカ110を通じて、威嚇音としてのブザー音を放音するようにする。これにより、侵入の発生を周囲に報知することができる。
【0065】
この後、制御部102は、操作端末200を通じて、正当な利用者による警備解除操作を受け付けるようにする(ステップS202)。ステップS202の処理は、図5のステップS103の処理と同様の処理であり、無線通信端末400を所持しない正当な利用者が、操作端末200を通じて警備解除操作を行うことがある場合を考慮したものである。この後、制御部102は、正当な利用者により警備解除操作が行われたか否かを判別する(ステップS203)。
【0066】
ステップS203の判別処理において、正当な利用者により警備解除操作が行われたと判別した時には、制御部102は、自機の動作状態を非警備状態に遷移させる(ステップS204)。具体的に、ステップS204の処理は、ブザー鳴動制御部108を制御して、報知音及び威嚇音として放音されているブザーの鳴動を停止させてから、自機の動作状態を非警備状態に切り替える処理となる。
【0067】
また、ステップS203の判別処理において、正当な利用者により警備解除操作は行われていない判別したとする。この場合、制御部102は、ステップS201において、ブザー鳴動を開始してから所定時間を経過したか否か(タイムアウトになったか否か)を判別する(ステップS205)。このステップS205の判別処理においては、ブザー鳴動を開始してから例えば30秒以内に警備解除操作が行われなかった場合には、タイムアウトになったと判別する。
【0068】
ステップS206の判別処理において、タイムアウトになっていないと判別した場合には、ステップS202からの処理を繰り返す。また、ステップS206の判別処理において、タイムアウトになったと判別した場合には、真に異常な侵入(正当な利用者以外の侵入)が発生した可能性が高い。この場合には、制御部102は、ブザー鳴動を継続させると共に、通報処理部107を制御し、所定の通報先に対して通報を行う通報処理を実行する(ステップS206)。
【0069】
ステップS204の処理により非警備状態に遷移した後と、ステップS206の処理により通報処理を行った後においては、この図6の処理を終了する。なお、ステップS206の処理により、通報処理を行った場合には、ブザー音の鳴動が継続することになるが、正当な利用者や警備員により、所定の解除操作が行われることにより、ブザー音の鳴動を停止させることができる。
【0070】
このように、図5図6のフローチャートを用いて説明した処理により、警備装置100においては、正当な利用者が、侵入センサSS1、SS2、…を通じて検知される前であっても、AP300に近づいた場合には、ブザー鳴動が抑止される。従って、正当な利用者が操作端末200を通じて警備解除操作を行うために、警備対象施設に侵入し、侵入センサSS1、SS2、…を通じて検知されても、報知音(威嚇音)は放音されない。このため、正当な利用者は、報知音(威嚇音)が放音されることにより、びっくりすることもなく、落ち着いて操作端末200を通じて警備解除操作を行うことができる。
【0071】
しかし、正当な利用者がAP300に近づいたことにより、ブザー鳴動が抑止されたが、一定時間内に警備解除操作が行われなかった場合には、ブザー鳴動の抑止が解除されて警備状態が維持される。これにより、正当な利用者がAP300に近づいただけでは、警備状態が解除されるわけではないので、警備装置100による警備機能が低下することもない。また、正当な利用者であっても、無線通信端末400を所持していなければ、侵入センサSS1、SS2、…を通じて検知された場合には、従来通り威嚇音としての報知音は放音される。もちろん、無線通信端末400を所持することのない者が侵入した場合には、従来通り威嚇音としての報知音を放音し、放音から所定時間経過後には警備会社に通報が行われるので、従来と同様の警備機能を実現できる。
【0072】
また、図5のステップS106の判別処理において、タイムアウトになったと判別した場合には、何等かのトラブルが発生した可能性もある。このため、図5のステップS106の判別処理において、タイムアウトになったと判別した場合には、侵入を検出したか否かを判別し、侵入を検出した場合には、図6を用いて説明した侵入対応処理を実行するようにしてもよい。なお、ステップS106の判別処理において、タイムアウトになったと判別した場合で、侵入の発生を検出していない場合は、ステップS101からの処理を繰り返すようにすればよい。
【0073】
<侵入を検知してからブザー鳴動抑止機能を動作させる場合の例>
図5のフローチャートを用いて説明した処理は、利用者の侵入を検知する前からブザー鳴動抑止が機能するようにした。このため、無線通信端末400を所持する正当な利用者が、AP300に近づいただけで、ブザー鳴動抑止機能が動作してしまうため、無駄にブザー鳴動抑止機能が動作してしまう場合があると考えられる。そこで、警備装置100の動作状態を警備状態から非警備状態に切り替えるために、正当な利用者が警備対象施設に入室(入場)し、侵入センサSS1、SS2、…を通じて、侵入の発生が検出された場合に、ブザー鳴動抑止機能を動作させることを考える。
【0074】
図7は、実施の形態の警備装置において、警備状態から非警備状態に切り替える場合の処理の他の例を説明するためのフローチャートであり、利用者の侵入を検知してからブザー鳴動抑止機能を動作させる場合の例である。図7に示す処理は、操作端末200を通じて、非警備状態から警備状態に切り替えられた場合に、警備装置100の制御部102において実行される警備中の処理である。
【0075】
図7に示す処理が実行されると、制御部102は、侵入センサSS1、SS2、…及びセンサ検出部105を通じて、侵入の発生を検出したか否かを判別する(ステップS301)。ステップS301の判別処理において、侵入の発生を検出していないと判別した場合には、制御部102はステップS301からの処理を繰り返す。ステップS301の判別処理において、侵入の発生を検出したと判別した場合には、制御部102は、AP通信部111の状態を確認し、AP300を通じて、正当な利用者が所持する無線通信端末400が接続されているか否かを判別する(ステップS302)。
【0076】
ステップS302の判別処理において、無線通信端末400が接続されている(AP接続あり)と判別された場合には、制御部102は、ブザー鳴動制御部108を制御して、ブザー鳴動を抑止する(ステップS303)。ステップS303の処理は、侵入センサSS1、SS2、…を通じて侵入の発生を検知していても、ブザー鳴動制御部108に指示を出さないようにして、報知音(威嚇音)放音しないようにするものである。また、ステップS302の判別処理において、無線通信端末400は接続されていない(AP接続なし)と判別された場合には、制御部102は、ブザー鳴動制御部108を制御して、ブザー鳴動を鳴動させる(ステップS304)。この場合、既に侵入の発生が検出された状態であるので、威嚇音としての報知音を大音量で放音する。
【0077】
ステップS303またはステップS304の処理の後において、制御部102は、接続端子104T及び操作端末通信部104を通じて、操作端末200を通じた、正当な利用者による警備解除操作を受け付けるようにする(ステップS305)。ステップS305においては、図5に示したステップS103の処理と同様に、パスワードの入力を求めたり、指紋認証を行ったりして、正当な利用者による警備解除操作のみが受け付けられる。
【0078】
次に、制御部102は、操作端末200を通じて警備解除操作を受け付けたか否かを判別する(ステップS306)。ステップS306において、警備解除操作を受け付けたと判別した時には、制御部102は関係する各部を制御し、自機の動作状態を非警備状態に遷移させる(切り替える)(ステップS307)。なお、ステップS307においては、ブザー鳴動が開始されている場合には、これを停止させる処理も行われる。この後、この図7に示す処理を終了する。
【0079】
また、ステップS306の判別処理において、警備解除操作を受け付けていないと判別したとする。この場合、制御部102は、ステップS303においてブザー鳴動を抑止してから、または、ステップS304においてブザー鳴動を開始してから、所定時間を経過したか否か(タイムアウトになったか否か)を判別する(ステップS308)。この例の場合においても、タイムアウト判別のための所定時間は、例えば30秒とし、タイムアウトのスタート時点から30秒以内に警備解除操作が行われなかった場合には、タイムアウトになったと判別する。
【0080】
ステップS308の判別処理において、タイムアウトになっていないと判別した場合には、ステップS305からの処理を繰り返し、警備解除操作を受け付けるようにする。ステップS308の判別処理において、タイムアウトになったと判別したとする。この場合、制御部102は、ブザー鳴動が既に開始されているか否かを判別し(ステップS309)、ブザー鳴動が開始されていないと判別したときには、ブザー鳴動制御部108を制御してブザー鳴動を開始する(ステップS310)。
【0081】
ステップS310の後とステップS309の判別処理においてブザー鳴動は開始されていると判別したときには、通報処理を実行する(ステップS311)。この場合には、真に異常な侵入が発生した可能性が高いため、制御部102は、ブザー鳴動を継続させると共に、通報処理部107を制御し、所定の通報先に対して通報を行う通報処理を実行する。この後、この図7の処理を終了する。
【0082】
このように、この図7のフローチャートを用いて説明した処理の場合には、侵入の発生が検知された場合に、ブザー鳴動を抑止するのか、開始するのかの判別が可能になる。これにより、不必要にブザー鳴動抑制機能を動作させることがない。また、正当な利用者であって、無線通信端末400を所持していれば、ブザー鳴動が行われることなく、警備状態から非警備状態への解除が可能である。もちろん、正当な利用者であれば、無線通信端末400を所持していなくても、従来通り、ブザー鳴動が開始されるが、警備状態から非警備状態への解除が可能である。
【0083】
<侵入を検知してからAP300を通じて無線通信端末の認証を取る場合の例>
図7のフローチャートを用いて説明した処理は、AP300は、常時、自機のESSIDを送信し、近隣の無線通信端末からの接続要求を受け付けるようにして、正当な利用者の所持する無線通信端末との間で随時に認証処理を行えるようにした。しかし、AP300が、正当な利用者が所持する無線通信端末400との間で認証を取る必要があるのは、正当な利用者が、警備対象施設に入って警備状態にある警備装置を、非警備状態に切り替える場合である。
【0084】
このため、この例では、侵入センサSS1、SS2、…及びセンサ検出部105を通じて侵入の発生が検知された場合に、警備装置100からAP300に対して指示を出して、無線通信端末400との間で認証を取るようにする認証処理を実行する。この認証処理により、認証が取れた場合には、ブザー鳴動抑止機能を動作させる。もちろん、認証が取れない場合には、ブザー鳴動は抑止されず、通常の対応となる。この例の場合には、侵入の発生が検知された場合にだけAP300を機能させればよいので、AP300が、常時、ESSIDを送出して認証処理に備える必要がなく、不必要な認証処理を行うこともないので、警備システムの信頼性の向上に寄与できる。
【0085】
図8は、実施の形態の警備装置において、警備状態から非警備状態に切り替える場合の処理の他の例を説明するためのフローチャートであり、侵入を検知してからAP300を通じて無線通信端末の認証を取る場合の例である。図8のフローチャートにおいて、図7のフローチャートの場合と同様の処理が行われるステップには、同じ参照符号を付し、当該ステップについての詳細な説明は省略する。図8のフローチャートと図7のフローチャートとを比較すると分かるように、図8のフローチャートに示した処理の場合には、ステップS401の処理が増えている。
【0086】
すなわち、図8に示す処理が実行されると、制御部102は、侵入センサSS1、SS2、…及びセンサ検出部105を通じて、侵入の発生を検出したか否かを判別する(ステップS301)。ステップS301の判別処理において、侵入の発生を検出していないと判別した場合には、制御部102はステップS301からの処理を繰り返す。ステップS301の判別処理において、侵入の発生を検出したと判別した場合、制御部102は、AP通信部111を制御し、IP通信制御部106及び接続端子106Tを通じて、AP300に対して認証処理の実行を指示する(ステップS401)。
【0087】
これにより、AP300は、ESSIDを送出し、接続要求を送信してきた無線通信端末に対してパスワードの提供を要求し、当該無線通信端末からパスワードが提供され、そのパスワードが正しければ、当該無線通信端末の接続を認証する。これにより、当該無線通信端末は、AP300を通じて警備装置100に対して接続するようにされる。ステップS401の処理の後においては、図7のフローチャートを用いて説明した処理と同様の処理が行われる(ステップS302~ステップS311)。
【0088】
このように、図8のフローチャートに示した処理の場合には、侵入の発生が検出された後に、AP300に対して認証処理の実行を指示するので、AP300が不必要な認証処理を実行することがない。これにより、警備装置100を用いて構成する警備システムの信頼を向上させることができる。
【0089】
もちろん、図8に示す処理の場合にも、図7に示した処理の場合と同様に、侵入の発生が検知された場合に、ブザー鳴動を抑止するのか、開始するのかの判別が可能になる。これにより、不必要にブザー鳴動抑制機能を動作させることがない。また、正当な利用者であって、無線通信端末400を所持していれば、ブザー鳴動が行われることなく、警備状態から非警備状態への解除が可能である。もちろん、正当な利用者であれば、無線通信端末400を所持していなくても、従来通り、ブザー鳴動が開始されるが、警備状態から非警備状態への解除が可能である。
【0090】
<接続可能な無線通信端末の認証処理のセキュリティ強度の高度化>
図5図8のフローチャートを用いて説明した処理は、AP300の認証機能を用いて、認証が取れた無線通信端末400のAP300を通じての警備装置100への接続を可能にした。しかし、AP300の認証機能を用いているために、AP300に設定されたESSIDやパスワードを用いた汎用的な認証処理だけで無線通信端末400の接続を可能にしている。このため、よりセキュリティ強度を高めることも考えられる。以下に説明する例は、接続可能な無線通信端末の認証処理のセキュリティ強度をより高くするようにしたものである。このため、上述した警備装置100と無線通信端末400とに対して、若干の構成の変更が生じる。
【0091】
<<警備装置100Aの構成例(警備装置の他の例)>>
図9は、警備装置の他の構成例を説明するためのブロック図であり、接続可能な無線通信端末の認証処理のセキュリティ強度をより高くするための構成を備えた警備装置100Aの構成例を説明するためのブロック図である。図9において、図2に示した警備装置100と同様に構成される部分には同じ参照符号を付し、その部分についての詳細な説明は重複するため省略する。
【0092】
図9図2とを比較すると分かるように、この例の警備装置100Aは、汎用端末通信部112を備えている点が、図2に示した警備装置100とは異なっている。汎用端末通信部112は、制御部102の制御の下、IP通信制御部106及び接続端子106T、更にはAP300を通じて、AP300との間で認証が取れて警備装置100Aに接続可能になった無線通信端末との間で通信を行う。
【0093】
具体的に、汎用端末通信部112は、警備装置100AにAP300を通じて無線接続された無線通信端末400Aから送信される、無線通信端末400Aに事前に設定された所定の認証情報を取得する。これにより、警備装置100Aにおいて、AP300を通じて無線接続された無線通信端末から提供された認証情報が、事前に設定された適正な認証情報か否かを判別することが可能になる。すなわち、無線通信端末から提供される認証情報により、当該無線通信端末が警備装置100Aに対して真に接続可能なものか否かの最終的な判別を可能にしている。
【0094】
<<無線通信端末400Aの構成例(無線通信端末の他の例)>>
図10は、無線通信端末の他の構成例を説明するためのブロック図であり、接続可能な無線通信端末の認証処理のセキュリティ強度をより高くするための構成を備えた無線通信端末400Aの構成例を説明するためのブロック図である。図10において、図4に示した無線通信端末400と同様に構成される部分には同じ参照符号を付し、その部分についての詳細な説明は重複するため省略する。
【0095】
図10図4とを比較すると分かるように、この例の無線通信端末400Aは、警備装置通信部413を備えている点が、図4に示した無線通信端末400とは異なっている。警備装置通信部413は、制御部402の制御の下、近距離無線部412及び送受信アンテナ412A、更にはAP300を通じて、AP300との間で認証が取れて接続可能になった警備装置100Aとの間で通信を行う。
【0096】
具体的に、警備装置通信部413は、AP300を通じて認証がとれ、AP300を通じて警備装置100Aに接続された場合に、事前に設定されている所定の認証情報を、警備装置100Aに対して送信する。当該認証情報は、上述もしたように、警備装置100Aの正当な利用者が所持する無線通信端末400Aに対して事前に設定されているものである。当該認証情報は、近距離無線部412及び送受信アンテナ、更にはAP300を通じて警備装置100Aに送信される。
【0097】
<<警備状態から非警備状態に切り替える場合の処理の他の例>>
図11は、図9に示した構成の警備装置100Aにおいて実行される、警備状態から非警備状態に切り替える場合の処理を説明するためのフローチャートである。図11のフローチャートにおいて、図7のフローチャートの場合と同様の処理が行われるステップには、同じ参照符号を付し、当該ステップについての詳細な説明は省略する。図11のフローチャートと図7のフローチャートとを比較すると分かるように、図11のフローチャートでは、ステップS501、ステップS502、ステップS503の処理が増えて、認証情報を用いてセキュリティの強化を図っている点が異なっている。
【0098】
図11に示すフローチャートの処理は、警備装置100Aの制御部102において実行される。図11に示す処理が実行されると、制御部102は、侵入センサSS1、SS2、…及びセンサ検出部105を通じて、侵入の発生を検出したか否かを判別する(ステップS301)。ステップS301の判別処理において、侵入の発生を検出していないと判別した場合には、制御部102はステップS301からの処理を繰り返す。
【0099】
ステップS301の判別処理において、侵入の発生を検出したと判別した場合、制御部102は、AP通信部111を制御して、IP通信制御部106及び接続端子106Tを通じて、AP300に対して認証処理の実行を指示する(ステップS501)。これにより、AP300は、ESSIDを送出し、接続要求を送信してきた無線通信端末に対してパスワードの提供を要求し、当該無線通信端末からパスワードが提供され、そのパスワードが正しければ、当該無線通信端末の接続を認証する。これにより、当該無線通信端末は、AP300を通じて警備装置100Aに対して接続するようにされる。
【0100】
次に、制御部102は、AP通信部111の状態を確認し、AP300を通じて、正当な利用者が所持する無線通信端末400が接続されているか否かを判別する(ステップS302)。ステップS302の判別処理において、無線通信端末400が接続されている(AP接続あり)と判別されたとする。この場合には、汎用端末通信部112を制御して、無線通信端末400Aから送信されて来る認証情報を取得する(ステップS502)。この例においては、上述もしたようにAP300において認証が取れ、AP300を通じて警備装置100Aに接続可能になった無線通信端末400Aは、予め設定されている所定の認証情報を警備装置100Aに送信するようになっている。
【0101】
この後、制御部102は、ステップS502において、無線通信端末400Aから認証情報を取得でき、その認証情報が正当なものであるか否かを判別する(ステップS503)。ステップS503の判別処理において、正当な認証情報を取得できた(認証OKである)と判別したとする。この場合、制御部102は、ブザー鳴動制御部108を制御して、ブザー鳴動抑止機能を動作させる(ステップS303)。ステップS303の処理は、侵入センサSS1、SS2、…を通じて侵入の発生を検知していても、ブザー鳴動制御部108を制御して報知音(威嚇音)放音しないようにするものである。
【0102】
また、ステップS302の判別処理において、無線通信端末400Aは接続されていない(AP接続なし)と判別された場合と、ステップS503の判別処理において、認証OKではないと判別された場合には、ブザー鳴動を開始させる(ステップS304)。ステップS304では、制御部102がブザー鳴動制御部108を制御することにより、操作端末200、音声処理部109及びスピーカ110を通じて、侵入の発生を報知する報知音(威嚇音)の放音を開始させる。この後の処理は、図7を用いて説明したステップS305~ステップS311の処理と同様の処理が行われることになる。
【0103】
このように、この例の場合には、AP300による認証処理だけでなく、警備装置100Aと無線通信端末400Aとが直接に通信を行って、予め決められた認証情報が取得できたか否かにより、ブザー鳴動機能の動作/非動作を決めることができる。これにより、警備対象施設に侵入したことが検出され、AP300での認証が取れ、更に、無線通信端末400Aより適切な認証情報を取得できた場合においてのみ、警備装置100Aは、ブザー鳴動抑止機能を用いることができる。従って、接続可能な無線通信端末の認証処理のセキュリティ強度をより高くし、真に必要な場合にだけ、ブザー鳴動抑止機能を用いることができる。
【0104】
<警備システムで行われる処理のまとめ>
次に、図9に示した警備装置100Aと図10に示した無線通信端末400AとAP300とが用いられて、図1に示しように構成される警備システムで行われる処理について、図12図13のシーケンスを参照しながらまとめる。
【0105】
<<ブザー鳴動抑止機能が動作する場合>>
図12は、図9に示した警備装置100Aと図10に示した無線通信端末400Aとを用いて構成される警備システムにおける処理を説明するためのシーケンス図であり、ブザー鳴動抑止機能が動作する場合の例である。警備装置100Aに対しては、図9にも示したように、IP通信制御部106及び接続端子106Tを通じてAP300が接続されており、AP300との間で通信が可能な状態になっている(ステップS0)。侵入センサSS1等で侵入の発生を感知(検知)すると(ステップS1)、侵入センサSS1等からの出力信号はセンサ検出部105に供給されているので、センサ検出部105において侵入の発生が検出される(ステップS2)。
【0106】
センサ検出部105は、侵入の発生を制御部102に通知するので、制御部102の制御の下、AP通信部111が機能して、AP300に対して認証要求を送信する(ステップS3)。当該認証要求は、IP通信制御部106を通じてAP300に送信される(ステップS4)。当該認証要求に応じて、AP300は、周囲の無線通信端末400Aに向けてESSID等の必要情報を送信し、自機の存在を通知する(ステップS5)。これに応じて、無線通信端末400Aの近距離無線部412は、IP通信制御部405の制御の下、接続要求をAP300に送信し、パスワード(図12ではPWと記載。)等の必要情報を提供して(ステップS6)、認証を受けるようにする。
【0107】
この例において、無線通信端末400Aは、正当な利用者が所持するものであり、AP300のESSIDやパスワード等の必要が予め設定されている。このため、無線通信端末400Aは、パスワード等の必要情報をAP300に提供することができるので、認証が取れ、AP300と無線通信端末400Aとは無線接続される。これにより、無線通信端末400Aは、AP300を介して警備装置100Aに接続され(ステップS7)。警備装置100Aもまた、自機に無線通信端末400Aが接続されたことを、AP通信部111を通じて把握する。
【0108】
次に、警備装置100Aに接続された無線通信端末400Aでは、警備装置通信部413が機能して、事前に設定された所定の認証情報を警備装置100Aに送信する(ステップS8)。当該認証情報は、IP通信制御部405の制御の下、近距離無線部及び送受信アンテナ412A、更にAP300を通じて警備装置100Aに送信される(ステップS9)。
【0109】
警備装置100Aでは、接続端子106T及びIP通信制御部106、更には汎用端末通信部112が機能して、無線通信端末400Aからの認証情報を受信して保持する(ステップS10)。汎用端末通信部112は、制御部102の制御の下、認証情報を受信したか、受信した場合にはその認証情報は適正なものかを判別する(ステップS11)。ステップS11の判別処理において、適正な所定の認証情報であると判別できた場合には、認証がOKであることを、制御部102を通じてセンサ検出部105に通知する(ステップS12)。これにより、センサ検出部105は制御部102を通じて、ブザー鳴動制御部108に対し、ブザー鳴動指示を出さないようにすることができる。すなわち、ブザー鳴動が抑止される(ステップS13)。
【0110】
<<ブザー鳴動抑止機能が動作する場合>>
図13は、図9に示した警備装置と図10に示した無線通信端末とを用いて構成される警備システムにおける処理を説明するためのシーケンス図であり、ブザー鳴動抑止機能が動作しない場合の例である。なお、図13に置いて、図12に示したシーケンス図の場合と同じ処理が行われるシーケンス(ステップ)には、同じ参照符号を付し、その部分の詳細な説明は省略する。図13図12とを比較すると分かるように、ステップS0~ステップS11までの処理は同様に行われる。
【0111】
すなわち、図13のシーケンス図に示す処理の場合においても、ステップS11の処理において、汎用端末通信部112は、制御部102の制御の下、認証情報を受信したか、受信した場合にはその認証情報は適正なものかを判別する(ステップS11)。ステップS11の判別処理において、認証情報を受信していない、あるいは、受信した認証情報が適切なものでないと判別したとする。この場合、汎用端末通信部112は、認証がNGであることを、制御部102を通じてセンサ検出部105に通知する(ステップS21)。これにより、センサ検出部105は、制御部102を通じて、ブザー鳴動制御部108に対し、ブザー鳴動を開始するように指示を出す(ステップS22)。
【0112】
これにより、ブザー鳴動制御部108は、操作端末通信部104及び接続端子104Tを通じて、操作端末200に対して、侵入の発生を報知する報知音(威嚇音)を放音することを要求する(ステップS23)。同時に、ブザー鳴動制御部108は、制御部102を通じて、音声処理部109に対して、ブザー音データを提供し、侵入の発生を報知する報知音(威嚇音)を放音するように制御する(ステップS24)。これにより、操作端末200とスピーカ110から、侵入の発生を報知する報知音(威嚇音)を放音することができる。
【0113】
このように、図9図13を用いて説明した例の場合には、AP300における通常のWi-Fi(登録商標)接続のための認証処理に加えて、警備装置100Aが無線通信端末400Aからの認証情報に基づく認証処理を行うことができる。このような2段階の認証により、接続可能な無線通信端末の認証処理のセキュリティ強度をより高くし、真に必要な場合にだけ、ブザー鳴動抑止機能を用いることができる。
【0114】
[実施の形態の効果]
上述の実施の形態の警備装置100、100Aは、正当な利用者が警報状態から非警報状態に切り替える場合において、侵入者の発生を報知する報知音(威嚇音)を、手間をかけることなく、また、正当な利用者が意識することなく抑止できる。これにより、正当な利用者が警報状態から非警報状態に切り替える場合において、侵入者の発生を報知する報知音(威嚇音)が放音されることがない。従って、報知音により、びっくりしたり、耳障りな音が心理的な負担になったり、焦って切り替えに手間取ったりすることがないようにできる。従って、警報状態から非警報状態に切り替える場合において、大音量の報知音(威嚇音)が放音されることによるわずらわしさを解消できる。
【0115】
また、センサ検知時における報知音の放音と無線通信端末400、400Aなどの汎用端末(汎用デバイス)を用いた認証とを組み合わせることで、警備システムの可用性と信頼性の向上が見込める。すなわち、不要な威嚇音の放音や不要な通報を行わないようにできるので、安定して機能し、真に異常な侵入が発生した場合には、即座に報知音(威嚇音)を放音できるので、信頼できる警備システムを構築できる。
【0116】
[変形例]
なお、上述した実施の形態では、侵入の発生を検出した場合には、即座に報知音(威嚇音)を放音するようにしたが、これに限るものではない。例えば、侵入の検出から一定時間は、あまり大きな音ではなく侵入の発生を報知する報知音(警告音)を報知し、一定時間経過後において、大音量の報知音(威嚇音)を報知することも可能である。この場合においても、この発明を適用でき、最初の報知音(警告音)の放音を抑止できる。この場合においても、正当な利用者は、慌てることなく、非警備状態への切り替え操作を行える。
【0117】
また、上述した実施の形態では、ブザー音抑止機能を動作させることは、報知音(威嚇音)としてのブザー音を放音させないようにしたが、これに限るものではない。例えば、ブザー音抑止機能を動作させた場合には、ブザー音の音量を低くしたり、適切な音量で非警報状態への切り替え操作を促す音声メッセージを放音したりすることもできる。
【0118】
また、上述した実施の形態の警備装置100、100Aでは、制御部102を介して各部を制御するようにしたが、これに限る者ではない。例えば、センサ検出部105において、侵入の発生を検出した場合には、センサ検出部105が、ブザー鳴動制御部108に直接に鳴動指示を出すようにすることもできる。
【0119】
また、AP300と無線通信端末400、400Aとの通信可能な距離は、例えば、AP300の送信出力を調整するなどの対応を取ることにより、適宜の距離とすることが可能である。
【0120】
[その他]
上述した実施の形態の説明からも分かるように、請求項のセンサ検出手段の機能は、実施の形態の警備装置100、100Aのセンサ検出部105が実現している。また、請求項の報知制御手段の機能は、警備装置100、100Aの主にブザー鳴動制御部108が実現している。また、請求項の動作状態切り替え手段の機能は、警備装置100、100Aの主に制御部102が実現している。また、請求項の基地局通信手段の機能は、警備装置100、100AのAP通信部111とIP通信制御部106とが協働して実現している。請求項の認証指示手段の機能は、警備装置100、100Aの主にAP通信部が実現している。請求項の認証情報取得手段の機能は、警備装置100、100Aの主に汎用端末通信部112が実現している。
【0121】
また、警備装置100、100AのIP通信制御部106、ブザー鳴動制御部108,AP通信部111の各機能は、制御部102で実行されるプログラムによって、制御部102の機能として実現することもできる。
【符号の説明】
【0122】
100、100A…警備装置、101T…接続端子、101…通信I/F、102…制御部、103…記憶装置、104…操作端末通信部、104T…接続端子、105…センサ検出部、105T1、105T2…接続端子、106…IP通信制御部、106T…接続端子、107…通報処理部、108…ブザー鳴動制御部、109…音声処理部、110…スピーカ、111…AP通信部、112…汎用端末通信部、200…操作端末、300…AP(アクセスポイント)、400、400A…無線通信端末、SS1、SS2…侵入センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14