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  • 特開-支柱用支持ブロック 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138191
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】支柱用支持ブロック
(51)【国際特許分類】
   E01F 13/00 20060101AFI20220915BHJP
   E01F 13/04 20060101ALI20220915BHJP
   E04G 21/32 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
E01F13/00 301
E01F13/04 Z
E04G21/32 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021037919
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】390014029
【氏名又は名称】株式会社八木熊
(74)【代理人】
【識別番号】110003203
【氏名又は名称】弁理士法人大手門国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 仁志
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA06
2D101CA07
2D101CA12
2D101DA05
2D101DA06
2D101EA05
2D101FA02
2D101FA11
2D101GA02
(57)【要約】
【課題】本発明は、設置時の本体部の摩耗を防止することができる支柱用支持ブロックを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る支柱用支持ブロックは、支柱を挿脱可能に支持する支持穴2が形成された本体部1と、本体部1の底面1cに突設されるとともに設置表面に接触する接地部3とを備え、接地部3は、本体部1とは別部材で交換可能に設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱を挿脱可能に支持する支持穴が形成された本体部と、前記本体部の底面に突設されるとともに設置表面に接触する接地部とを備え、前記接地部は、前記本体部とは別部材で交換可能に設けられている支柱用支持ブロック。
【請求項2】
前記接地部は、前記本体部よりも明度の高い色の素材からなる請求項1に記載の支柱用支持ブロック。
【請求項3】
前記本体部の上面には、前記接地部と対向する位置に前記接地部が収容可能な窪み部が形成されている請求項1又は2に記載の支柱用支持ブロック。
【請求項4】
前記支持穴は、前記本体部を上下方向に貫通するように形成されており、前記支持穴の下端には、前記支持穴よりも小径の連通孔が形成された当接部が盛り上がるように一体形成されている請求項1から3のいずれかに記載の支柱用支持ブロック。
【請求項5】
前記支持穴の上端には、前記当接部が収容可能な段差部が形成されている請求項4に記載の支柱用支持ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防護壁、防護柵又は防護網、通行止め用ゲート等の仮設設備全般において支柱を備えた設備に用いられる支柱用支持ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
土木工事、道路工事、建設工事等の工事現場では、安全確保の観点から現場の周囲に防護壁、防護柵又は防護網等の仮設設備を設置することが行われている。また、交通規制等を実施する場合には通行止め用ゲートの仮設設備を設置するようになっている。こうした仮設設備は、容易に設置でき、安定した立設状態を維持することが求められており、そのため、ブロック状の支持台を複数個設置して支持台に仮設設備の支柱を取り外し可能に装着する構成が実用化されている。
【0003】
ブロック状の支持台は、取り扱いの容易性や設置時の安定性といった様々な観点から改良品が提案されており、例えば、特許文献1では、ブロックの平面形状を略四角形とし、この略四角形の何れかの一辺寄りに、隣合うフェンスの片方ずつの支柱の支持穴を二個並列させて、ブロックの上面から下方に向かって設けたフェンス用支持台が記載されている。また、特許文献2では、ウェイト本体にフェンスの支柱を挿入する円形穴及び長円穴を形成し、単管バリケードに装着する溝穴を形成したウェイトブロックが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4143762号公報
【特許文献2】登録実用新案第3214217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、道路等の設置場所に矩形状のブロックを設置するようにしているが、ブロックの底面が平面形状に形成されているため、底面が設置表面に直接接触して摩耗したり、設置表面に傷が付くことが避けられない。また、ブロックが黒色等の濃い色の素材から成形されている場合には、設置表面でブロックを不用意に摺動させると、ブロックの色が設置表面に移って摩耗痕が残るといった課題がある。
【0006】
特許文献2では、底面が凹部に形成されて枠状の接触面が形成されているが、鉄等の金属材料により成形されているため、接触面に加わる単位面積当たりの荷重が大きくなり、接触面の摩耗及び設置表面への摩耗痕が生じることは避けられない。
【0007】
そこで、本発明は、設置時の本体部の摩耗を防止することができる支柱用支持ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る支柱用支持ブロックは、支柱を挿脱可能に支持する支持穴が形成された本体部と、前記本体部の底面に突設されるとともに設置表面に接触する接地部とを備え、前記接地部は、前記本体部とは別部材で交換可能に設けられている。さらに、前記接地部は、前記本体部よりも明度の高い色の素材からなる。さらに、前記本体部の上面には、前記接地部と対向する位置に前記接地部が収容可能な窪み部が形成されている。さらに、前記支持穴は、前記本体部を上下方向に貫通するように形成されており、前記支持穴の下端には、前記支持穴よりも小径の連通孔が形成された当接部が盛り上がるように一体形成されている。さらに、前記支持穴の上端には、前記当接部が収容可能な段差部が形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記のような構成を備えていることで、本体部の底面に突設されるとともに設置表面に接触する接地部を本体部とは別部材で設けているので、設置表面に本体部が接触することがなく本体部の摩耗を防止することができる。また、接地部を交換可能に設けているので、接地部が摩耗した場合には新しい接地部に交換して取り付けることができ、本体部を長期間にわたって使用することが可能となる。
【0010】
さらに、接地部として本体部よりも明度の高い色の素材を用いることで、接地部が設置表面に摩耗痕が生じた場合でも目立たない薄い色合いとなり、設置場所の汚れを抑えることができる。
【0011】
さらに、本体部の上面において接地部と対向する位置に接地部が収容可能な窪み部が形成されているので、支持ブロックを積み重ねて収納する場合に上側の支持ブロックの接地部を下側の支持ブロックの窪み部に収容して積み重ねることができ、安定した状態で収納することが可能となる。
【0012】
さらに、支持穴の下端に当接部を盛り上がるように一体形成しているので、支持穴に挿入された支柱が当接部で支持されて設置表面に接触することがなく、支柱を挿入したまま移動することができ、取り扱いが容易になる。
【0013】
さらに、支持穴の上端に当接部が収容可能な段差部が形成されているので、支持ブロックを積み重ねて収納する場合に上側の支持ブロックの当接部を下側の支持ブロックの段差部に収容して積み重ねることができ、安定した状態で収納することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る実施形態に関する上面側からみた斜視図である。
図2】本発明に係る実施形態に関する下面側からみた斜視図である。
図3】支柱用支持ブロックに関する底面図及びA-A断面図である。
図4】支柱用支持ブロックに関する平面図及びB-B断面図である。
図5】本体部に接地部を取り付ける場合の説明図である。
図6】支柱用支持ブロックを積み重ねた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明に係る支柱用支持ブロックに関する上面側からみた斜視図であり、図2は、下面側からみた斜視図である。また、図3は、支柱用支持ブロックに関する底面図(図3(a))及びA-A断面図(図3(b))であり、図4は、支柱用支持ブロックに関する平面図(図4(a))及びB-B断面図(図4(b))である。
【0017】
支柱用支持ブロックは、支柱を挿脱可能に支持する支持穴2が形成された本体部1と、本体部1の底面に突設されるとともに設置表面に接触する接地部3とを備えている。接地部3は、後述するように、本体部1とは別部材で構成されており、交換可能に取り付けられている。
【0018】
本体部1は、平面視略矩形状に形成されており、外形が所定の厚さを有する直方体形状となっている。そして、本体部1の上面1a、底面1b及び側面1cの各辺は面取り加工と同様の傾斜面に形成されており、各角部も隅取り加工と同様の傾斜面に形成されている。そのため、本体部1が設置等の作業の際に、他の部材と接触した場合でも本体部1の角部及び辺部が破損しないように成形されている。
【0019】
本体部1の対向する一対の側辺部には、側面1cのそれぞれの内側を略矩形状に刳り貫くように形成して所定幅の把持部4が一対形成されている。把持部4は、側面1cのほぼ中央部分に細幅で形成されており、両手で左右の把持部4を握って容易に持ち上げることができ、安定した状態で支柱用支持ブロックを移動することが可能となる。また、把持部4は、本体部1の内側に形成されているので、外方に突設することなく収納等の取り扱いが容易になる。
【0020】
把持部4の内側の刳り貫いた部分についても面取りされており、中心側の側面には、上面1a側及び底面1b側にそれぞれ中心に向かって幅広の傾斜面10a及び10bが形成されている。底面1bの対向する一対の辺部にも幅広の傾斜面10cが形成されており、本体部1をワイヤ等で固定する際に、こうした傾斜面上に通して巻き付けることで、確実に固定することができる。
【0021】
本体部1の中心部分には、支持穴2が厚さ方向に貫通するように形成されており、この例では、一対の円形の支持穴2a及び2bが本体部1の中心(平面視矩形状の四辺の外形線からなる四角形の対角線の交点位置)を挟んで形成されている。支持穴2a及び2bの間には、所定幅で切り欠くように連通部21が形成されている。連通部21を形成することで、支持穴の径よりも大きいサイズの支柱を挿入する場合に支持穴が変形して挿着することが可能となり、支柱をしっかりと保持することができる。
【0022】
支持穴2a及び2bの上面側端部には、穴の径よりも大きい同心円状の形状で段差部22a及び22bが形成されており、段差部22a及び22bは上面1aよりも低くなるように形成されている。
【0023】
支持穴2a及び2bの底面側端部には、穴を塞ぐように円形の当接部23a及び23bが一体形成されており、図4(b)に示すように、支持穴に挿入された支柱Pの根元部分の下端は当接部で確実に支持されて支持穴から抜け出すことがなくなる。そのため、抜け出た根元部分が設置表面に接触して破損することを防止することができる。
【0024】
当接部23a及び23bの中心には支持穴の径よりも小さい連通孔24a及び24bが貫通するように形成されている。そのため、支持穴2a及び2b内に雨水等が入った場合に連通孔24a及び24bから速やかに排出されるようになる。
【0025】
当接部23a及び23bは、段差部22a及び22bの径と同じかわずかに小さい径に形成され、底面1bよりも外方に盛り上がるように形成されている。そして、当接部23a及び23bの高さは、段差部22a及び22bの深さと同じかわずかに低くなるように形成されており、本体部1を上下に積み重ねた際に上側の本体部の当接部が下側の段差部に収容されるようになっている。
【0026】
支持穴2a及び2bの両側には、一対の楕円形状の長穴部5a及び5bが貫通するように形成されており、例えば、仮設設備に使用される菅部材を長穴部5a又は5bに挿入して重りとして用いることができる。
【0027】
本体部1の上面1aにおいて、4つの角部の内側には、それぞれ円形の窪み部6が形成されており、窪み部6から角部に向かって溝部6aが形成されている。窪み部6は、後述する接地部3が収容可能なサイズに設定されており、溝部6aは窪み部6に入った雨水等を排出するようになっている。
【0028】
本体部1に用いる素材としては、高密度で重量のある素材が安定性の点で好ましく、コンクリート材料、合成樹脂材料、合成ゴム材料、アスファルト材料といったものが挙げられる。合成ゴム材料は、設置した場合に破損しにくく、取り扱いが容易で成形しやすいといった利点を備えており、支持ブロックとして好適である。
【0029】
接地部3は、本体部1の底面1bにおいて、4つの角部の内側に突設するように取り付けられている。図5は、本体部1に接地部3を取り付ける場合の説明図である。この例では、接地部3は、平面視円形状で所定の厚さに形成されている。本体部1には、4つの角部の内側には接地部3の取付位置に円形の窪み部7が形成されている。窪み部7は、接地部3の径よりもわずかに大きい径に設定されており、深さは接地部3の厚さよりも浅くなるように設定されているので、接地部3を窪み部7に収容して取り付けた場合に接地部3が底面1bよりも突設した状態となる。そのため、設置表面には接地部3のみが接触して、本体部1の摩耗を防止することができる。
【0030】
また、接地部3が底面1bよりも突出している高さは窪み部6の深さよりも低くなっており、本体部1を上下に積み重ねた際に上側の本体部の接地部が下側の窪み部に収容されるようになっている。
【0031】
接地部3に用いる素材としては、本体部1に用いる素材とは別部材を用い、高摩擦性で滑りにくく道路等の設置場所に摩耗痕が残りにくい素材が好ましい。例えば、合成樹脂材料、合成ゴム材料が挙げられる。そして、接地部3の素材の色は、本体部1の素材の色よりも明度の高い色が好ましく、明度の高い色を用いることで摩耗痕が目立たないようになる。例えば、本体部1の素材の色を黒色とした場合に、接地部3の素材の色を灰色といった淡い色合いにすることで、設置場所で接地部3の摩耗痕が生じた場合でも黒色に比べて目立たなくなり、設置場所の汚れを軽減することが可能となる。
【0032】
また、接地部3の素材として本体部1の素材よりも硬度の高い素材を用いることで、接地部3の摩耗を軽減することができ、本体部1に硬度の低い柔らかい素材を用いるといった素材選択の幅を広げることが可能となる。
【0033】
また、接地部3は、本体部1と別部材で構成されているため、接地部3の摩耗で劣化が進んできた場合には接地部3を本体部1から取り外して新しい部材を取り付けることができ、長期間にわたって本体部1を使用することができる。
【0034】
接地部3を交換可能に取り付ける方法としては、例えば、接着剤による方法、嵌め込みによる方法、ネジ等の止着手段による方法といった公知の方法を用いることができ、用いる素材に応じて適宜選択すればよい。
【0035】
図6は、支柱用支持ブロックを積み重ねた状態を示す断面図である。図6(a)ではA-A断面図の積み重ねた状態を示しており、上側のブロックの接地部3が下側のブロックの窪み部6に収容されている。また、図6(b)ではB-B断面図の積み重ねた状態を示しており、上側のブロックの当接部23a及び23bが下側のブロックの段差部22a及び22bに収容されている。そのため、上側のブロックの底面1bが下側のブロックの上面1aと密着した状態となり、安定した積み重ね状態で収納することができる。
【0036】
また、上述したように、本体部1は、中心線(B-B線及びそれに直交する線)に対して左右対称に成形されており、本体部1の中心に重心位置が設定されているため、中心近傍に形成された支持穴に挿入された支柱は安定した状態で支持されるようになる。また、本体部1を積み重ねた状態でも重心位置が上下に揃った状態に設定されるため、安定した状態で積み重ねることができる。
【0037】
以上説明した実施形態では、本体部1を平面視略矩形状に形成しているが、矩形状以外の形状にすることも可能で、例えば、三角形状、六角形状、円形状、楕円形状に形成することもできる。その場合、接地部3は、本体部1の形状に合わせて3個以上取り付ければよく、特に限定されない。また、接地部3の形状についても本体部の形状に合わせて円形以外の形状とすることも可能で、例えば、三角形状、四角形状、L型形状といった形状にすることもできる。
【符号の説明】
【0038】
S・・・支柱、1・・・本体部、1a・・・上面、1b・・・底面、1c・・・側面、10a、10b、10c・・・傾斜面、2・・・支持穴、21・・・連通部、22・・・段差部、23・・・当接部、3・・・接地部、4・・・把持部、5・・・長穴部、6・・・窪み部、7・・・窪み部
図1
図2
図3
図4
図5
図6