(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138241
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】ロッカアーム
(51)【国際特許分類】
F01L 1/18 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
F01L1/18 N
F01L1/18 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038019
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000185488
【氏名又は名称】株式会社オティックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森松 憂奈
(72)【発明者】
【氏名】志賀 巧
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 恭介
【テーマコード(参考)】
3G016
【Fターム(参考)】
3G016BB22
3G016CA02
3G016CA04
3G016CA47
3G016FA39
3G016GA02
(57)【要約】
【課題】作業性を改善する。
【解決手段】ロッカアーム6は、長手状の軸部13と、軸部13に回転可能な状態で取り付けられるローラ7と、ローラ7を挟むよう配される一対の側壁12を有し一対の側壁12に軸部13が通される軸通し部12Aがそれぞれ開口形成される本体部9と、軸部13とローラ7との間に介在していて軸部13の周方向に沿って並ぶ複数のころ16Aにより構成されるころ軸受け部16と、を備え、軸部13は、一対の側壁12のうちの軸通し部12Aの周面により回転可能に支承される一対の被支承部13Bを有し、本体部9は、軸通し部12Aの開口面積が、被支承部13Bにおいて軸部13の軸線方向と直交する切断面の断面積よりも大きくされ、複数のころ16Aを軸部13の軸線方向について外側から挟んで保持する一対のころ保持部17を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手状の軸部と、
前記軸部に回転可能な状態で取り付けられるローラと、
前記ローラを挟むよう配される一対の側壁を有し一対の前記側壁に前記軸部が通される軸通し部がそれぞれ開口形成される本体部と、
前記軸部と前記ローラとの間に介在していて前記軸部の周方向に沿って並ぶ複数のころにより構成されるころ軸受け部と、を備え、
前記軸部は、一対の前記側壁のうちの前記軸通し部の周面により回転可能に支承される一対の被支承部を有し、
前記本体部は、前記軸通し部の開口面積が、前記被支承部において前記軸部の軸線方向と直交する切断面の断面積よりも大きくされ、
複数の前記ころを前記軸線方向について外側から挟んで保持する一対のころ保持部を備えるロッカアーム。
【請求項2】
前記軸部は、前記ローラとの間に前記ころ軸受け部が介在する軸本体を有しており、
前記本体部は、前記軸通し部が前記側壁において前記軸部を取り囲む孔状に形成されるとともに、前記軸通し部の最大開口径が前記軸部の最大外径よりも大きく且つその差分と、前記軸本体の外径と前記被支承部の外径との差分の半分と、の和が前記ころの外径よりも小さくなるよう構成されており、
一対の前記ころ保持部は、一対の前記側壁における前記軸通し部の孔縁により構成される請求項1記載のロッカアーム。
【請求項3】
前記軸部は、前記被支承部が前記軸本体よりも小径とされており、
前記本体部は、前記軸通し部が、前記軸本体を通す軸本体通し部と、前記軸本体通し部の周面の一部を拡張して形成されてその周面によって前記被支承部を支承する拡張部と、を含むよう構成される請求項2記載のロッカアーム。
【請求項4】
前記本体部は、前記拡張部の周面が、前記被支承部の外周面と同じ曲率半径の円弧状となるよう構成される請求項3記載のロッカアーム。
【請求項5】
前記本体部は、前記軸本体通し部の周面が、前記軸本体の外周面に沿うよう構成される請求項3または請求項4記載のロッカアーム。
【請求項6】
前記軸部は、一対の前記側壁のうちの前記ローラとは反対側の面とそれぞれ対向するよう配されていて前記軸本体と同じ外径とされる一対の抜け止め部を有する請求項5記載のロッカアーム。
【請求項7】
一対の前記ころ保持部は、前記ローラと一対の前記側壁との間に介在するよう配される請求項1記載のロッカアーム。
【請求項8】
前記本体部は、前記軸通し部が前記側壁において壁面に沿って一方向に開口する溝状に形成される請求項7記載のロッカアーム。
【請求項9】
前記軸部は、前記ころ保持部が取り付けられる取付部を有しており、
前記取付部は、前記軸線方向から視て非円形状とされており、
前記ころ保持部には、前記取付部が通される取付部通し部が開口形成されるとともに前記取付部通し部の周面が前記軸線方向から視て非円形状とされており、
前記ころ保持部は、前記ローラに接触される請求項7または請求項8記載のロッカアーム。
【請求項10】
前記本体部は、前記軸通し部が前記側壁において壁面に沿って一方向に開口する溝状に形成されており、
前記軸部は、前記ローラとの間に前記ころ軸受け部が介在する軸本体を有しており、
一対の前記被支承部は、前記軸本体よりも大径とされていて前記軸本体の外径との差分の半分が前記ころの外径よりも小さくされることで一対の前記ころ保持部を構成する請求項1記載のロッカアーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、ロッカアームに関する。
【背景技術】
【0002】
ロッカアームは、内燃機関における動弁機構、すなわちクランク軸に連動して回転するカムの回転運動をこの内燃機関の吸気弁あるいは排気弁の弁軸の往復運動に変換する役割を果たすものである。このようなロッカアームの一例として下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載されたロッカアームは、両対向側壁に、支軸の両端部をその径方向から掛かり代をもって装着可能とする支持凹部を形成し、支軸に保持器付きとしたころ軸受を介してローラを外装したアッセンブリとし、アッセンブリとした支軸の両端部を両支持凹部に装着した構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載のロッカアームは、保持器付きのころ軸受を備えている。ころ軸受を構成する保持器は、筒状をなすとともに、その周面にころを個別に取り付けるための溝が、周方向について間隔を空けて複数開口形成された構成とされる。このため、組み付けに際しては、保持器の各溝に対して複数のころを個別に取り付ける作業が必要となり、組み付けに係る作業性が芳しくない、という問題があった。
【0005】
本明細書に記載の技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、作業性を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本明細書に記載の技術に関わるロッカアームは、長手状の軸部と、前記軸部に回転可能な状態で取り付けられるローラと、前記ローラを挟むよう配される一対の側壁を有し一対の前記側壁に前記軸部が通される軸通し部がそれぞれ開口形成される本体部と、前記軸部と前記ローラとの間に介在していて前記軸部の周方向に沿って並ぶ複数のころにより構成されるころ軸受け部と、を備え、前記軸部は、一対の前記側壁のうちの前記軸通し部の周面により回転可能に支承される一対の被支承部を有し、前記本体部は、前記軸通し部の開口面積が、前記被支承部において前記軸部の軸線方向と直交する切断面の断面積よりも大きくされ、複数の前記ころを前記軸線方向について外側から挟んで保持する一対のころ保持部を備える。
【0007】
このようにすれば、本体部の一対の側壁により挟まれるローラは、軸部により支持されることで回転可能とされる。ローラと軸部との間には、軸部の周方向に沿って並ぶ複数のころにより構成されるころ軸受け部が介在することで、ローラの円滑な回転が担保される。軸部は、本体部の一対の側壁にそれぞれ開口形成された軸通し部に通され、各被支承部が各軸通し部の周面により支承されることで、回転可能とされる。軸部が本体部に対して回転可能とされることで、ローラからころ軸受け部を介して軸部に作用する負荷が軸部の周方向について分散され、それにより軸部に偏摩耗が生じ難くなる。
【0008】
本体部は、軸通し部の開口面積が、被支承部において軸部の軸線方向と直交する切断面の断面積よりも大きくされることで、本体部に対する軸部の組み付け容易性が担保されている。ところが、そうすると、ころ軸受け部を構成する複数のころに、一対の側壁により保持されなくなるものが生じる可能性がある。そうかといって、従来のように複数のころを保持するのに保持器を用いる場合には、筒状をなす保持器の周面において周方向について間隔を空けて開口形成された複数の溝に対して複数のころを個別に取り付ける作業を要するため、作業性などが芳しくないという問題がある。
【0009】
そこで、軸部の周方向に沿って並ぶ複数のころを一対のころ保持部によって軸部の軸線方向について外側から挟んで保持する構成を採れば、軸通し部の開口面積が、被支承部において軸部の軸線方向と直交する切断面の断面積よりも大きくされていても、複数のころを適切に保持することができる。その上、組み付けに際しては、互いに接する形で軸部の周方向に沿って並べられた複数のころを軸線方向について外側から一対のころ保持部によって挟むようにすればよく、従来のように保持器に開口形成した複数の溝に複数のころを個別に取り付ける場合に比べると、組み付けに係る作業性が良好なものとなる。
【0010】
(2)また、上記ロッカアームは、上記(1)に加え、前記軸部は、前記ローラとの間に前記ころ軸受け部が介在する軸本体を有しており、前記本体部は、前記軸通し部が前記側壁において前記軸部を取り囲む孔状に形成されるとともに、前記軸通し部の最大開口径が前記軸部の最大外径よりも大きく且つその差分と、前記軸本体の外径と前記被支承部の外径との差分の半分と、の和が前記ころの外径よりも小さくなるよう構成されており、一対の前記ころ保持部は、一対の前記側壁における前記軸通し部の孔縁により構成されてもよい。まず、軸通し部が側壁において軸部を取り囲む孔状に形成されているので、仮に軸通し部が側壁において壁面に沿って一方向に開口する溝状に形成される場合に比べると、本体部の機械的強度を高く保つことができる。その上で、軸通し部の最大開口径が軸部の最大外径よりも大きくされることで、軸通し部に対する軸部の組み付け容易性が担保される。さらには、軸通し部の最大開口径と軸部の最大外径との差分と、軸本体の外径と被支承部の外径との差分の半分と、の和がころの外径よりも小さくなるよう構成されているので、軸通し部に軸部が通されて被支承部が支承された状態では、複数のころが一対の側壁における軸通し部の孔縁によって軸部の軸線方向について外側から挟まれる。つまり、一対の側壁における軸通し部の孔縁が、複数のころを保持する一対のころ保持部を構成することになるので、仮に本体部とは別部品として一対のころ保持部を用意した場合に比べると、部品点数の削減などを図ることができる。
【0011】
(3)また、上記ロッカアームは、上記(2)に加え、前記軸部は、前記被支承部が前記軸本体よりも小径とされており、前記本体部は、前記軸通し部が、前記軸本体を通す軸本体通し部と、前記軸本体通し部の周面の一部を拡張して形成されてその周面によって前記被支承部を支承する拡張部と、を含むよう構成されてもよい。このようにすれば、軸部のうちの軸本体が、軸通し部のうちの軸本体通し部に通されることで、本体部に対して軸部を組み付けることができる。軸部のうちの被支承部は、軸本体よりも小径であり、軸通し部のうちの軸本体通し部の周面の一部を拡張して形成される拡張部の周面により支承されるから、仮に拡張部を非形成として軸本体通し部の周面によって被支承部を支承した場合に比べると、拡張部の周面によって被支承部を安定的に支承することができる。
【0012】
(4)また、上記ロッカアームは、上記(3)に加え、前記本体部は、前記拡張部の周面が、前記被支承部の外周面と同じ曲率半径の円弧状となるよう構成されてもよい。このようにすれば、被支承部の外周面が拡張部の周面に対して面接触することになるから、拡張部の周面によって被支承部がより安定的に支承される。
【0013】
(5)また、上記ロッカアームは、上記(3)または上記(4)に加え、前記本体部は、前記軸本体通し部の周面が、前記軸本体の外周面に沿うよう構成されてもよい。このようにすれば、軸本体通し部の開口範囲を、軸本体を通すのに必要最小限とすることが可能になる。これにより、側壁に軸本体通し部が開口することに起因する側壁の強度低下が抑制される。なお、軸通し部の最大開口径は、軸本体通し部及び拡張部に跨がる最大開口径であり、軸部の最大外径は、軸本体の外径であることから、軸通し部の最大開口径と軸部の最大外径との差分は、概ね軸通し部において拡張部を拡張した寸法程度となる。
【0014】
(6)また、上記ロッカアームは、上記(5)に加え、前記軸部は、一対の前記側壁のうちの前記ローラとは反対側の面とそれぞれ対向するよう配されていて前記軸本体と同じ外径とされる一対の抜け止め部を有してもよい。このようにすれば、一対の抜け止め部は、ローラを挟むよう配される一対の側壁のうちのローラとは反対側の面に対してそれぞれ対向するよう配されているので、本体部に対して組み付けられた軸部がその軸線方向について位置ずれして脱落するのを防ぐことができる。しかも、抜け止め部は、軸本体と同じ外径とされているので、組み付けに際しては、軸通し部に含まれる軸本体通し部に通されるようになっている。これにより、仮に抜け止め部が軸本体よりも大きな外径とされる場合に比べると、軸通し部の開口範囲を小さく保つことができ、本体部の機械的強度を高く保つ上で好適となる。
【0015】
(7)また、上記ロッカアームは、上記(1)に加え、一対の前記ころ保持部は、前記ローラと一対の前記側壁との間に介在するよう配されてもよい。このように、ころ保持部が本体部とは別部品となっているので、側壁の軸通し部がどのような開口範囲であろうとも、一対のころ保持部によって複数のころをしっかりと保持することができる。
【0016】
(8)また、上記ロッカアームは、上記(7)に加え、前記本体部は、前記軸通し部が前記側壁において壁面に沿って一方向に開口する溝状に形成されてもよい。このようにすれば、本体部に対して軸部を組み付ける際には、各側壁において溝状をなす軸通し部に対してその開口方向に沿って軸部を通せばよい。本体部に対する組み付けに先立って軸部に対してころ軸受け部、ローラ及び一対のころ保持部を組み付けておくことが可能となるから、組み付けに係る作業性がより良好なものとなる。
【0017】
(9)また、上記ロッカアームは、上記(7)または上記(8)に加え、前記軸部は、前記ころ保持部が取り付けられる取付部を有しており、前記取付部は、前記軸線方向から視て非円形状とされており、前記ころ保持部には、前記取付部が通される取付部通し部が開口形成されるとともに前記取付部通し部の周面が前記軸線方向から視て非円形状とされており、前記ころ保持部は、前記ローラに接触されてもよい。このようにすれば、ころ保持部が軸部の取付部に取り付けられた状態では、ころ保持部の取付部通し部に取付部が通されるとともに、ころ保持部がローラに接触している。従って、ローラが回転されると、ローラに接するころ保持部のうち軸部の軸線方向から視て非円形状とされる取付部通し部の周面から、軸部の軸線方向から視て非円形状とされる取付部に対して回転力が伝達されるので、この回転力によって軸部の回転が促される。つまり、ローラの回転力を、ころ保持部を介して軸部に伝達させることで軸部の回転に利用することができるから、ローラからころ軸受け部を介して軸部に作用する負荷が軸部の周方向について好適に分散され、それにより軸部に偏摩耗がより生じ難くなる。また、ころ保持部がローラに接触するよう構成されることで、ローラと軸部との間に介在する複数のころを保持する機能が発揮される確実性が高い。
【0018】
(10)また、上記ロッカアームは、上記(1)に加え、前記本体部は、前記軸通し部が前記側壁において壁面に沿って一方向に開口する溝状に形成されており、前記軸部は、前記ローラとの間に前記ころ軸受け部が介在する軸本体を有しており、一対の前記被支承部は、前記軸本体よりも大径とされていて前記軸本体の外径との差分の半分が前記ころの外径よりも小さくされることで一対の前記ころ保持部を構成してもよい。このようにすれば、一対の被支承部の外径が軸本体の外径よりも大きくされているので、軸本体とローラとの間に介在するころ軸受け部を構成する複数のころは、一対の被支承部の側面とそれぞれ対向する配置となる。つまり、複数のころは、一対の被支承部によって軸部の軸線方向について外側から挟まれることになり、一対の被支承部が複数のころを保持する一対のころ保持部を構成する。従って、仮に軸部とは別部品として一対のころ保持部を用意した場合に比べると、部品点数の削減などを図ることができる。しかも、被支承部の外径と軸本体の外径との差分の半分が、ころの径よりも小さいので、軸部の軸本体とローラとの間に複数のころを組み付ける際の作業性が良好となる。また、予めローラ及びころ軸受け部を組み付けた軸部を、本体部に対して組み付ける際には、溝状をなす軸通し部に対してその開口方向に沿って軸部を通せばよい。
【発明の効果】
【0019】
本明細書に記載の技術によれば、作業性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態1に係る内燃機関の動弁装置の断面図
【
図7】ローラ及びころ軸受け部が収容された本体部の軸通し部の軸本体通し部に対して軸部を通す前の状態を示す
図3のA-A線断面図
【
図8】軸通し部の軸本体通し部に対して軸部を通した後の状態を示す
図3のA-A線断面図
【
図9】軸通し部の軸本体通し部に対して軸部を通した後の状態を示す側面図
【
図12】ローラ、軸部、ころ軸受け部及びころ保持部を組み付けた状態を示す側面図
【
図14】ローラ、ころ軸受け部及びころ保持部が組み付けられた軸部を本体部の軸通し部に通す前の状態を示す側面図
【
図17】ローラ、ころ軸受け部及びころ保持部が組み付けられた軸部を本体部の軸通し部に通す前の状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態1>
実施形態1を
図1から
図9によって説明する。
図1は、内燃機関の動弁装置の断面図である。
図1にはシリンダヘッド1の上部が示されており、ここにはピボット2、カムシャフト3、エンジンバルブ4、バルブスプリング5、ロッカアーム6によって構成された動弁装置が設けられている。
【0022】
ロッカアーム6は、
図1に示すように、ローラ7を有するローラロッカアームの形式であり、ローラ7は、カムシャフト3のカム3Aの外周面に接触している。このロッカアーム6の一端側には、ピボット2の上端と当接する揺動支点8が形成されているのに対し、ロッカアーム6の他端側(揺動支点8側とは反対側)には、エンジンバルブ4のステム(バルブステム)4Aの上端と係合するステム当接部10が形成されている。このロッカアーム6の揺動軸は、
図1における紙面の法線方向に並行している。かくして、上記した動弁装置は、カムシャフト3の回転に伴いロッカアーム6が揺動支点8を中心として揺動し、このときにステム4Aの上端側をバルブスプリング5に抗して押圧すると、エンジンバルブ4はエンジンの吸排気の各ポートを所定タイミングで開閉する。なお、ピボット2は、ロッカアーム6の揺動支点8を支える部材であり、例えば、カムハウジング14に取り付けられている。
【0023】
このロッカアーム6は、
図2に示すように、本体部(ロッカアーム本体)9と、この本体部9に組み込まれたローラ7と、ローラ7を回転可能に軸支する軸部13と、ローラ7と軸部13との間に介在するころ軸受け部16と、を少なくとも有する。本体部9は、金属製の板材をプレスにて折り曲げ加工によって一体に形成されたものであり、その中央部はローラ7を収容するためのローラ収容部11となっている。このローラ収容部11は、
図2に示す上下両側に開口しており、その開口部分を通してローラ7が収容されている。ローラ収容部11は、ローラ7をその厚み方向(軸部13の軸線方向)について両側から挟み込む形で配される一対の側壁12を有している。これら一対の側壁12間には、ローラ7を軸支するための軸部13が架け渡されている。一対の側壁12には、軸部13を通すための軸通し部12Aがそれぞれ開口形成されている。各軸通し部12Aは、各側壁12において軸部13を取り囲む孔状に形成されており、その周面が無端環状をなしている。言い換えると、各軸通し部12Aは、各側壁12の壁面をその法線方向(壁厚方向)に沿って貫く貫通孔状をなしている。このようにすれば、仮に軸通し部が側壁12において壁面に沿って一方向に開口する溝状に形成される場合に比べると、本体部9の機械的強度を高く保つことができる。
【0024】
ローラ7は、
図1及び
図2に示すように、全体として略円筒型(軸部13の軸線方向から視てドーナツ型)をなしており、その中心位置に軸部(ローラ支持軸)13が通される孔部7Aが幅方向に沿って貫通形成されている。軸部13は、全体としては略円柱状をなしている。軸部13は、
図3及び
図4に示すように、ローラ7に通される軸本体13Aと、一対の側壁12の各軸通し部12Aに通されて各軸通し部12Aの周面により支承される一対の被支承部13Bと、を少なくとも有する。
【0025】
ころ軸受け部16は、
図2に示すように、ローラ7と軸部13の軸本体13Aとの対向周面間に介在する形で配されている。ころ軸受け部16は、ローラ7と軸本体13Aとの対向周面の周方向に沿って並ぶ複数のころ(転動体)16Aからなる。ころ16Aは、軸部13の軸線方向に並行する軸線を有する円柱状をなしており、軸部13を中心として環状をなしつつ互いに接する形で上記対向周面間に並べられている。このような構成のころ軸受け部16がローラ7と軸本体13Aとの対向周面間に介在することで、ローラ7の回転が円滑化される。
【0026】
また、本体部9の一端側に配された揺動支点8は、
図2に示すように、ピボット2の上端部に整合状態で被せ付けられるよう、絞り加工によって膨出されてドーム状をなす受け凸部15からなる。一方、本体部9の他端側に配されたステム当接部10は、一対の側壁12のうち揺動支点8側とは反対側の端部間に挟まれる形で配されるとともに両端部に連ねられている。
【0027】
本実施形態に係る軸部13は、
図4に示すように、一対の被支承部13Bが本体部9の一対の側壁12にそれぞれ開口形成された軸通し部12Aに通されて支承されることで、本体部9に対して回転可能とされている。このように、軸部13が本体部9に対して回転可能とされることで、ローラ7からころ軸受け部16を介して軸部13に作用する負荷が軸部13の周方向について分散する。これにより、軸部13に偏摩耗が生じ難くなっており、耐久性に優れる。また、仮に軸部を本体部9に対してかしめ付けて固定した場合には、軸部に生じた変形部分がころ16Aに干渉するおそれがあることから、小型化が困難となっていたが、本実施形態のように軸部13を本体部9に対して回転可能な状態で支承する構成を採ることで、軸部13をかしめ付ける必要がなくなるので、小型化を図る上で好適となっている。
【0028】
ところで、本体部9に対する軸部13の組み付け容易性を担保するには、本体部9の側壁12に形成された軸通し部12Aの開口面積を、被支承部13Bにおいて軸部13の軸線方向と直交する切断面の断面積よりも大きくすることが考えられる。例えば、本実施形態では、本体部9は、
図3及び
図4に示すように、側壁12に形成された軸通し部12Aの開口面積が、被支承部13Bにおいて軸部13の軸線方向と直交する切断面の断面積よりも大きくされている。より具体的には、本実施形態では、軸通し部12Aが側壁12の壁面をその法線方向に沿って貫く貫通孔状をなしていることから、軸通し部12Aの最大開口径(最大開口幅)D1が、軸部13の最大外径D2よりも大きくされている。ところが、そうすると、ころ軸受け部16を構成する複数のころ16Aに、一対の側壁12により保持されなくなるものが生じる可能性がある。そうかといって、従来のように複数のころ16Aを保持するのに保持器を用いる場合には、筒状をなす保持器の周面において周方向について間隔を空けて開口形成された複数の溝に対して複数のころ16Aを個別に取り付ける作業を要するため、作業性などが芳しくないという問題がある。
【0029】
そこで、本実施形態に係るロッカアーム6は、
図4に示すように、複数のころ16Aを軸部13の軸線方向(
図4に示す左右方向)について外側から挟んで保持する一対のころ保持部17を備えている。本実施形態では、ころ保持部17は、以下に詳しく説明する通り、本体部9の側壁12の一部によって構成されている。
【0030】
まず、本体部9の側壁12に開口形成された軸通し部12Aは、
図4及び
図6に示すように、軸部13の軸本体13Aを通す軸本体通し部12A1と、軸本体通し部12A1の周面の一部を拡張して形成されていて被支承部13Bを支承する拡張部12A2と、からなる。軸本体通し部12A1は、その周面が軸本体13Aの外周面と同様に円弧状をなしており、その外径が軸本体13Aの外径よりも僅かに大きくなっている。これに対し、軸部13は、
図4及び
図5に示すように、一対の被支承部13Bが軸本体13Aよりも小径とされている。従って、軸通し部12Aは、その開口面積が、被支承部13Bにおいて軸部13の軸線方向と直交する切断面の断面積よりも大きくされるとともに、最大開口径D1が、軸部13の最大外径D2である軸本体13Aの外径D3よりも拡張部12A2の分程度大きい。以上により、本体部9に対する軸部13の組み付け容易性が高められている。
【0031】
これに対し、本体部9は、
図4に示すように、軸通し部12Aの最大開口径D1と軸部13の最大外径D2との差分(D1-D2)と、軸本体13Aの外径D3と被支承部13Bの外径D4との差分の半分((D3-D4)/2)と、の和が、ころ16Aの外径D5よりも小さくなるよう構成されている。上記した差分(D1-D2)と、差分の半分((D3-D4)/2)と、の和は、軸通し部12Aに軸部13が通されて被支承部13Bが拡張部12A2の周面により支承された状態において、軸通し部12Aのうちの軸部13によって塞がれることなく外部に露出する部分の最大間口である。この最大間口がころ16Aの外径D5よりも小さくなっているので、軸通し部12Aに軸部13が通されて被支承部13Bが拡張部12A2の周面により支承された状態では、複数のころ16Aの全てが一対の側壁12における軸通し部12Aの孔縁によって軸部13の軸線方向について外側から挟まれることになる。つまり、一対の側壁12における軸通し部12Aの孔縁が、軸部13の周方向に沿って並ぶ複数のころ16Aを一括して保持する一対のころ保持部17を構成する。このような構成によれば、軸通し部12Aの開口面積が、被支承部13Bにおいて軸部13の軸線方向と直交する切断面の断面積よりも大きくされていても、複数のころ16Aを適切に保持することができる。その上、組み付けに際しては、互いに接する形で軸部13の周方向に沿って並べられた複数のころ16Aが軸線方向について外側から一対のころ保持部17によって挟まれており、従来のように保持器に開口形成した複数の溝に複数のころ16Aを個別に取り付ける場合に比べると、組み付けに係る作業性が良好なものとなる。しかも、一対のころ保持部17が本体部9に一体的に備えられているので、仮に本体部9とは別部品として一対のころ保持部を用意した場合に比べると、部品点数の削減などを図ることができる。
【0032】
さらには、軸部13のうちの被支承部13Bは、
図3及び
図4に示すように、軸本体13Aよりも小径であり、軸通し部12Aのうちの軸本体通し部12A1の周面の一部を拡張して形成される拡張部12A2の周面により支承されるから、仮に拡張部を非形成として軸本体通し部12A1の周面によって被支承部13Bを支承した場合に比べると、拡張部12A2の周面によって被支承部13Bを安定的に支承することができる。その上で、本体部9は、
図3及び
図6に示すように、拡張部12A2の周面が、被支承部13Bの外周面とほぼ同じ曲率半径の円弧状となるよう構成される。このようにすれば、被支承部13Bの外周面が拡張部12A2の周面に対して面接触することになるから、拡張部12A2の周面によって被支承部13Bがより安定的に支承される。これにより、本体部9に対して回転される軸部13が
図3に示す左右に揺動するよう変位する事態が生じ難くなる。なお、拡張部12A2の周面の曲率半径は、軸本体通し部12A1の周面の曲率半径よりも小さい。
【0033】
また、本体部9は、
図3及び
図6に示すように、軸本体通し部12A1の周面が、軸本体13Aの外周面に沿うよう円弧状に構成されているので、軸本体通し部12A1の開口範囲を、軸本体13Aを通すのに必要最小限とすることが可能になる。これにより、側壁12に軸本体通し部12A1が開口することに起因する側壁12の強度低下が抑制される。軸本体通し部12A1の周面は、軸本体13Aの外周面と概ね同じ曲率半径とされる。軸本体通し部12A1の周面の中心C1は、拡張部12A2の周面の中心C2よりも鉛直方向の上側に位置している。なお、
図6には、軸本体通し部12A1の周面の延長線と、拡張部12A2の周面の延長線と、をそれぞれ二点鎖線にて図示している。軸部13の被支承部13Bが拡張部12A2の周面に支承された状態では、軸部13の軸心は、軸本体通し部12A1の周面の中心C1とは不一致であり、拡張部12A2の周面の中心C2と同心と一致している。一方、組み付けに際して軸部13の軸本体13Aが軸本体通し部12A1に通される状態では、軸部13の軸心は、軸本体通し部12A1の周面の中心C1と一致する(
図8及び
図9を参照)。軸本体通し部12A1の周面の中心C1と、拡張部12A2の周面の中心C2と、の間の距離は、軸本体通し部12A1の周面の延長線と拡張部12A2の周面との間の最大距離とほぼ一致している。なお、軸通し部12Aの最大開口径D1は、軸本体通し部12A1及び拡張部12A2に跨がる開口間口であり、軸部13の最大外径D2は、軸本体13Aの外径であることから、軸通し部12Aの最大開口径D1と軸部13の最大外径D2との差分は、概ね軸通し部12Aにおいて拡張部12A2を拡張した寸法程度となる。
【0034】
また、軸部13は、
図4及び
図5に示すように、一対の側壁12のうちのローラ7とは反対側の面とそれぞれ対向するよう配される一対の抜け止め部13Cを有する。抜け止め部13Cは、被支承部13Bに対して軸線方向について外側、つまり軸本体13A側とは反対側に位置しており、軸部13における最外端部を構成している。このような構成によれば、抜け止め部13Cの内側の面が、側壁12のうちのローラ7とは反対側の面に対して接触可能とされるので、本体部9に対して組み付けられた軸部13がその軸線方向について位置ずれして脱落するのを防ぐことができる。その上で、抜け止め部13Cは、軸本体13Aと同じ外径とされているので、組み付けに際しては、軸通し部12Aに含まれる軸本体通し部12A1に通されるようになっている。これにより、仮に抜け止め部が軸本体13Aよりも大きな外径とされる場合に比べると、軸通し部12Aの開口範囲を小さく保つことができ、本体部9の機械的強度を高く保つ上で好適となる。なお、軸部13は、一対の被支承部13Bにおいて局所的に小径となるよう、円柱体に一対の溝を形成した構成である、と言える。
【0035】
また、軸部13は、
図4及び
図5に示すように、軸本体13Aの周面のうちの軸線方向についての両端部が全周にわたってテーパ面13A1となっている。このようなテーパ面13A1が設けられているので、軸部13と、ころ軸受け部16と、を軸線方向について相対変位させつつ相互に組み付ける際に、ころ16Aが軸本体13Aの軸線方向についての端部に対して引っ掛かり難くなっている。
【0036】
本実施形態は以上のような構造であり、続いて組み付けて順について説明する。まず、
図7に示すように、ローラ7に対してころ軸受け部16を組み付けておく。具体的には、ローラ7の内周面に沿って複数のころ16Aを互いに接する状態で並べるようにする。このとき、複数のころ16Aの内側に、軸本体13Aと同じ程度の外径の仮組み部材(例えばゴム栓など)を差し込んでおいてもよい。ころ軸受け部16を組み付けたローラ7は、本体部9の一対の側壁12の間に配置される。このとき、複数のころ16Aのうちの最内面(仮組み部材に接する面)が、軸通し部12Aの軸本体通し部12A1の周面に対してほぼ面一状をなすよう、ローラ7を配置するのが好ましい。
【0037】
続いて、本体部9に対して軸部13を組み付ける作業が行われる。軸部13は、一対の側壁12のいずれか一方に備わる軸通し部12Aに通される。このとき、軸部13の中心(軸心)が、軸通し部12Aの軸本体通し部12A1の周面の中心C1と一致している。なお、複数のころ16Aの内側に仮組み部材を組み付けていた場合は、軸通し部12Aに通された軸部13によって仮組み部材が押し出されるとともに、複数のころ16Aの内側に軸部13が差し込まれることになる。軸部13が一対の側壁12の他方に備わる軸通し部12Aを通され、一対の抜け止め部13Cが一対の側壁12に対してそれぞれ外側に配されると、
図8に示すように、一対の被支承部13Bが一対の側壁12の各軸通し部12Aの周面によって取り囲まれるとともに、軸本体13Aが複数のころ16Aの内側に配される。これにより、軸本体13Aとローラ7との間にころ軸受け部16が介在する配置となる。この状態では、被支承部13Bの外周面と軸通し部12Aの周面との間には、
図8及び
図9に示すように、全周にわたって隙間が空けられており、その隙間が拡張部12A2において最大となっている。
【0038】
そして、軸部13を本体部9に対して鉛直方向の下向きに変位させると、
図3及び
図4に示すように、一対の被支承部13Bが一対の側壁12の各軸通し部12Aの各拡張部12A2の周面により支承される。このときの軸部13の変位量は、軸本体通し部12A1の周面の中心C1と、拡張部12A2の周面の中心C2と、の間の距離とほぼ一致している(
図6を参照)。また、このとき、軸部13の中心が、軸通し部12Aの拡張部12A2の周面の中心C2と一致している。この状態では、複数のころ16Aに含まれる一部のころ16Aの軸線方向についての端面が、各軸通し部12Aを通して外部に露出するものの、その露出面積は端面の総面積よりも小さい。つまり、複数のころ16Aのうち、各軸通し部12Aに臨むころ16Aは、端面の一部が外部に露出するものの、端面の残りの部分については各側壁12における各軸通し部12Aの縁部により覆われて外部への露出が避けられている。また、複数のころ16Aのうち、各軸通し部12Aに臨まない残りのころ16Aは、端面の全域が各側壁12における各軸通し部12Aの縁部によって覆われる。このように、全てのころ16Aは、各側壁12における各軸通し部12Aの縁部により構成される一対のころ保持部17によって外側から挟まれることで、軸線方向について外側に抜け出すことがないよう、保持が図られている。
【0039】
以上説明したように本実施形態のロッカアーム6は、長手状の軸部13と、軸部13に回転可能な状態で取り付けられるローラ7と、ローラ7を挟むよう配される一対の側壁12を有し一対の側壁12に軸部13が通される軸通し部12Aがそれぞれ開口形成される本体部9と、軸部13とローラ7との間に介在していて軸部13の周方向に沿って並ぶ複数のころ16Aにより構成されるころ軸受け部16と、を備え、軸部13は、一対の側壁12のうちの軸通し部12Aの周面により回転可能に支承される一対の被支承部13Bを有し、本体部9は、軸通し部12Aの開口面積が、被支承部13Bにおいて軸部13の軸線方向と直交する切断面の断面積よりも大きくされ、複数のころ16Aを軸部13の軸線方向について外側から挟んで保持する一対のころ保持部17を備える。
【0040】
このようにすれば、本体部9の一対の側壁12により挟まれるローラ7は、軸部13により支持されることで回転可能とされる。ローラ7と軸部13との間には、軸部13の周方向に沿って並ぶ複数のころ16Aにより構成されるころ軸受け部16が介在することで、ローラ7の円滑な回転が担保される。軸部13は、本体部9の一対の側壁12にそれぞれ開口形成された軸通し部12Aに通され、各被支承部13Bが各軸通し部12Aの周面により支承されることで、回転可能とされる。軸部13が本体部9に対して回転可能とされることで、ローラ7からころ軸受け部16を介して軸部13に作用する負荷が軸部13の周方向について分散され、それにより軸部13に偏摩耗が生じ難くなる。
【0041】
本体部9は、軸通し部12Aの開口面積が、被支承部13Bにおいて軸部13の軸線方向と直交する切断面の断面積よりも大きくされることで、本体部9に対する軸部13の組み付け容易性を担保されている。ところが、そうすると、ころ軸受け部16を構成する複数のころ16Aに、一対の側壁12により保持されなくなるものが生じる可能性がある。そうかといって、従来のように複数のころ16Aを保持するのに保持器を用いる場合には、筒状をなす保持器の周面において周方向について間隔を空けて開口形成された複数の溝に対して複数のころ16Aを個別に取り付ける作業を要するため、作業性などが芳しくないという問題がある。
【0042】
そこで、軸部13の周方向に沿って並ぶ複数のころ16Aを一対のころ保持部17によって軸部13の軸線方向について外側から挟んで保持する構成を採れば、軸通し部12Aの開口面積が、被支承部13Bにおいて軸部13の軸線方向と直交する切断面の断面積よりも大きくされていても、複数のころ16Aを適切に保持することができる。その上、組み付けに際しては、互いに接する形で軸部13の周方向に沿って並べられた複数のころ16Aを軸線方向について外側から一対のころ保持部17によって挟むようにすればよく、従来のように保持器に開口形成した複数の溝に複数のころ16Aを個別に取り付ける場合に比べると、組み付けに係る作業性が良好なものとなる。
【0043】
また、軸部13は、ローラ7との間にころ軸受け部16が介在する軸本体13Aを有しており、本体部9は、軸通し部12Aが側壁12において軸部13を取り囲む孔状に形成されるとともに、軸通し部12Aの最大開口径D1が軸部13の最大外径D2よりも大きく且つその差分と、軸本体13Aの外径D3と被支承部13Bの外径D4との差分の半分と、の和がころ16Aの外径D5よりも小さくなるよう構成されており、一対のころ保持部17は、一対の側壁12における軸通し部12Aの孔縁により構成される。まず、軸通し部12Aが側壁12において軸部13を取り囲む孔状に形成されているので、仮に軸通し部が側壁12において壁面に沿って一方向に開口する溝状に形成される場合に比べると、本体部9の機械的強度を高く保つことができる。その上で、軸通し部12Aの最大開口径D1が軸部13の最大外径D2よりも大きくされることで、軸通し部12Aに対する軸部13の組み付け容易性が担保される。さらには、軸通し部12Aの最大開口径D1と軸部13の外径との差分と、軸本体13Aの外径D3と被支承部13Bの外径D4との差分の半分と、の和がころ16Aの外径D5よりも小さくなるよう構成されているので、軸通し部12Aに軸部13が通されて被支承部13Bが支承された状態では、複数のころ16Aが一対の側壁12における軸通し部12Aの孔縁によって軸部13の軸線方向について外側から挟まれる。つまり、一対の側壁12における軸通し部12Aの孔縁が、複数のころ16Aを保持する一対のころ保持部17を構成することになるので、仮に本体部9とは別部品として一対のころ保持部を用意した場合に比べると、部品点数の削減などを図ることができる。
【0044】
また、軸部13は、被支承部13Bが軸本体13Aよりも小径とされており、本体部9は、軸通し部12Aが、軸本体13Aを通す軸本体通し部12A1と、軸本体通し部12A1の周面の一部を拡張して形成されてその周面によって被支承部13Bを支承する拡張部12A2と、を含むよう構成される。このようにすれば、軸部13のうちの軸本体13Aが、軸通し部12Aのうちの軸本体通し部12A1に通されることで、本体部9に対して軸部13を組み付けることができる。軸部13のうちの被支承部13Bは、軸本体13Aよりも小径であり、軸通し部12Aのうちの軸本体通し部12A1の周面の一部を拡張して形成される拡張部12A2の周面により支承されるから、仮に拡張部を非形成として軸本体通し部12A1の周面によって被支承部13Bを支承した場合に比べると、拡張部12A2の周面によって被支承部13Bを安定的に支承することができる。
【0045】
また、本体部9は、拡張部12A2の周面が、被支承部13Bの外周面と同じ曲率半径の円弧状となるよう構成される。このようにすれば、被支承部13Bの外周面が拡張部12A2の周面に対して面接触することになるから、拡張部12A2の周面によって被支承部13Bがより安定的に支承される。
【0046】
また、本体部9は、軸本体通し部12A1の周面が、軸本体13Aの外周面に沿うよう構成される。このようにすれば、軸本体通し部12A1の開口範囲を、軸本体13Aを通すのに必要最小限とすることが可能になる。これにより、側壁12に軸本体通し部12A1が開口することに起因する側壁12の強度低下が抑制される。なお、軸通し部12Aの最大開口径D1は、軸本体通し部12A1及び拡張部12A2に跨がる最大開口径D1であり、軸部13の最大外径D2は、軸本体13Aの外径であることから、軸通し部12Aの最大開口径D1と軸部13の最大外径D2との差分は、概ね軸通し部12Aにおいて拡張部12A2を拡張した寸法程度となる。
【0047】
また、軸部13は、一対の側壁12のうちのローラ7とは反対側の面とそれぞれ対向するよう配されていて軸本体13Aと同じ外径とされる一対の抜け止め部13Cを有する。このようにすれば、一対の抜け止め部13Cは、ローラ7を挟むよう配される一対の側壁12のうちのローラ7とは反対側の面に対してそれぞれ対向するよう配されているので、本体部9に対して組み付けられた軸部13がその軸線方向について位置ずれして脱落するのを防ぐことができる。しかも、抜け止め部13Cは、軸本体13Aと同じ外径とされているので、組み付けに際しては、軸通し部12Aに含まれる軸本体通し部12A1に通されるようになっている。これにより、仮に抜け止め部が軸本体13Aよりも大きな外径とされる場合に比べると、軸通し部12Aの開口範囲を小さく保つことができ、本体部9の機械的強度を高く保つ上で好適となる。
【0048】
<実施形態2>
実施形態2を
図10から
図14によって説明する。この実施形態2では、本体部109、軸部113及びころ保持部117の構成を変更したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。また、本実施形態の説明で登場する、上記した実施形態1と同じ名称の構成要素には、同じ符号を用いるとともに当該符号に「100」を加算する。
【0049】
本実施形態に係る本体部109は、
図10及び
図11に示すように、軸通し部112Aが側壁112において壁面に沿って一方向に開口する溝状に形成されている。詳しくは、軸通し部112Aは、その周面が軸部113の軸線方向から視てU字型をなしており、周面のうちの円弧状をなす底部によって軸部113の被支承部113Bを支承することができる。軸通し部112Aは、その周面が鉛直方向の上向きに開口しているので、組み付けに際しては、軸部113を軸通し部112Aに対して上側から通せばよいので、組み付けに係る作業性が良好になっている。その反面、本体部109は、軸通し部112Aの開口面積が、被支承部113Bにおいて軸部113の軸線方向と直交する切断面の断面積よりも大きくなっている。このため、軸部113の軸本体113Aを全周にわたって取り囲むように配される複数のころ116Aには、その端面の全域が軸通し部112Aを通して外部に露出し得るものが含まれることになる。
【0050】
そこで、本実施形態に係る一対のころ保持部117は、
図10及び
図11に示すように、本体部109及び軸部113とは別部品とされており、ローラ107と一対の側壁112との間に介在するよう配されている。一対のころ保持部117は、軸部113に対して取り付けられるとともに、ローラ107及びころ軸受け部116を、軸部113の軸線方向について両側から挟み込むよう配される。軸部113は、一対のころ保持部117がそれぞれ取り付けられる一対の取付部13Dを有する。一対の取付部13Dは、軸本体113Aと一対の被支承部113Bとの間に位置している。ころ保持部117は、外形が円形の板状をなしており、その板面の法線方向が軸部113の軸線方向と一致している。ころ保持部117の中心部には、軸部113の取付部13Dが通される取付部通し部17Aが開口形成されている。ころ保持部117は、外径がローラ107の外径とほぼ同じとされる。このような構成のころ保持部117は、内側(側壁112側とは反対側)の板面が、ころ軸受け部116に含まれる全てのころ116Aの端面の全域に対して対向するとともに接触可能とされる。従って、側壁112の軸通し部112Aがどのような開口範囲であろうとも、一対のころ保持部117によって複数のころ116Aをしっかりと保持することができる。
【0051】
取付部13D及び取付部通し部17Aは、
図12に示すように、それぞれの周面が軸部113の軸線方向から視て非円形状とされている。詳しくは、取付部13Dは、
図12及び
図13に示すように、その周面の大部分が、軸本体113Aの周面と面一状をなしているものの、一部(鉛直方向の上下両端側部分)が水平方向に沿う直線状をなしている。取付部通し部17Aは、その周面が、取付部13Dの周面に沿うものとされており、一部に水平方向に沿う直線状部分を有している。なお、軸部113のうちの一対の抜け止め部113Cについても、その周面が、取付部13Dの周面に沿うものとされており、それによりころ保持部117の組み付けに際して抜け止め部113Cが取付部通し部17Aに通されるようになっている。
【0052】
このような構成のころ保持部117は、
図11に示すように、取付部13Dに取り付けられた状態では、取付部通し部17Aの周面が取付部13Dの周面に接触されるとともに、内側の板面がローラ107に接触されている。従って、カムシャフト3(
図1を参照)の回転に伴ってローラ107が回転されると、ローラ107に接するころ保持部117のうち軸部113の軸線方向から視て非円形状とされる取付部通し部17Aの周面から、軸部113の軸線方向から視て非円形状とされる取付部13Dに対して回転力が伝達されるので、この回転力によって軸部113の回転が促される。つまり、ローラ107の回転力を、ころ保持部117を介して軸部113に伝達させることで軸部113の回転に利用することができるから、ローラ107からころ軸受け部116を介して軸部113に作用する負荷が軸部113の周方向について好適に分散され、それにより軸部113に偏摩耗がより生じ難くなる。
【0053】
本実施形態は以上のような構造であり、続いて組み付けて順について説明する。まず、
図12に示すように、軸部113に対してローラ107、ころ軸受け部116及び一対のころ保持部117を組み付ける作業が行われる。この組み付けに際しては、ローラ107の内周面に沿って複数のころ116Aを互いに接する状態で並べるようにする。このとき、複数のころ116Aの内側に、軸本体113Aと同じ程度の外径の仮組み部材(例えばゴム栓など)を差し込んでおいてもよい。その状態で、複数のころ116Aの内側に軸部113が通される。このとき、複数のころ116Aの内側に仮組み部材を組み付けていた場合は、軸部113によって仮組み部材が押し出されるとともに、複数のころ116Aの内側に軸部113が差し込まれることになる。その後、軸部113のうちの一対の取付部13Dに対して一対のころ保持部117が組み付けられる。ころ保持部117は、取付部通し部17Aに取付部13Dが通されることで、軸部113に対して取り付けられる。この状態では、ころ保持部117の内側の板面がローラ107の端面に接触されるとともに、取付部通し部17Aの周面が取付部13Dの周面に対してほぼ全周にわたって接触される。このように、本体部109に対する組み付けに先立って軸部113に対してころ軸受け部116、ローラ107及び一対のころ保持部117を組み付けておくことができる。
【0054】
その後、ローラ107、ころ軸受け部116及び一対のころ保持部117が組み付けられた軸部113を、本体部109に対して組み付ける作業が行われる。この組み付けに際しては、
図14に示すように、軸部113を本体部109に対して鉛直方向の上側に配置しておき、軸部113のうちの一対の被支承部113Bを一対の側壁112の各軸通し部112Aの開口部分に通す。被支承部113Bが軸通し部112Aの奥端に達すると、
図10及び
図11に示すように、被支承部113Bが軸通し部112Aの底面によって支承される。また、一対の抜け止め部113Cが一対の側壁112の外側の板面に対して接触可能とされるので、本体部109に対する軸部113の抜け止めが図られる。このように、本体部109に対する軸部113の組み付け作業を容易に行うことができる。
【0055】
以上説明したように本実施形態によれば、一対のころ保持部117は、ローラ107と一対の側壁112との間に介在するよう配される。このように、ころ保持部117が本体部109とは別部品となっているので、側壁112の軸通し部112Aがどのような開口範囲であろうとも、一対のころ保持部117によって複数のころ116Aをしっかりと保持することができる。
【0056】
また、本体部109は、軸通し部112Aが側壁112において壁面に沿って一方向に開口する溝状に形成される。このようにすれば、本体部109に対して軸部113を組み付ける際には、各側壁112において溝状をなす軸通し部112Aに対してその開口方向に沿って軸部113を通せばよい。本体部109に対する組み付けに先立って軸部113に対してころ軸受け部116、ローラ107及び一対のころ保持部117を組み付けておくことが可能となるから、組み付けに係る作業性がより良好なものとなる。
【0057】
また、軸部113は、ころ保持部117が取り付けられる取付部13Dを有しており、取付部13Dは、軸部113の軸線方向から視て非円形状とされており、ころ保持部117には、取付部13Dが通される取付部通し部17Aが開口形成されるとともに取付部通し部17Aの周面が軸部113の軸線方向から視て非円形状とされており、ころ保持部117は、ローラ107に接触される。このようにすれば、ころ保持部117が軸部113の取付部13Dに取り付けられた状態では、ころ保持部117の取付部通し部17Aに取付部13Dが通されるとともに、ころ保持部117がローラ107に接触している。従って、ローラ107が回転されると、ローラ107に接するころ保持部117のうち軸部113の軸線方向から視て非円形状とされる取付部通し部17Aの周面から、軸部113の軸線方向から視て非円形状とされる取付部13Dに対して回転力が伝達されるので、この回転力によって軸部113の回転が促される。つまり、ローラ107の回転力を、ころ保持部117を介して軸部113に伝達させることで軸部113の回転に利用することができるから、ローラ107からころ軸受け部116を介して軸部113に作用する負荷が軸部113の周方向について好適に分散され、それにより軸部113に偏摩耗がより生じ難くなる。また、ころ保持部117がローラ107に接触するよう構成されることで、ローラ107と軸部113との間に介在する複数のころ116Aを保持する機能が発揮される確実性が高い。
【0058】
<実施形態3>
実施形態3を
図15から
図17によって説明する。この実施形態3では、上記した実施形態2から軸部213及びころ保持部217の構成を変更したものを示す。なお、上記した実施形態1,2と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。また、本実施形態の説明で登場する、上記した実施形態1,2と同じ名称の構成要素には、同じ符号を用いるとともに当該符号に「200」を加算する。
【0059】
本実施形態に係る一対のころ保持部217は、
図15及び
図16に示すように、軸部213に一体に備わっている。詳しくは、軸部213は、一対の被支承部213Bが軸本体213Aよりも大径とされている。従って、軸本体213Aの周囲には、一対の被支承部213Bにより軸線方向について挟まれる形で空間が存在しており、当該空間にころ軸受け部216を構成する複数のころ216Aが収容されるようになっている。軸本体213Aの周囲の空間に複数のころ216Aが収容された状態では、各ころ216Aは、一対の被支承部213Bにより軸線方向について挟まれることになる。つまり、一対の被支承部213Bは、複数のころ216Aを保持する一対のころ保持部217を構成している。従って、仮に軸部213とは別部品として一対のころ保持部を用意した場合に比べると、部品点数の削減などを図ることができる。
【0060】
その上で、軸部213は、被支承部213Bの外径と軸本体213Aの外径との差分の半分がころ216Aの外径D5よりも小さくなるよう構成される。このようにすれば、ころ216Aは、端面の一部がころ保持部217(被支承部213B)により軸線方向についての外側から覆われるものの、端面の残りの部分についてはころ保持部217により軸線方向についての外側から覆われずに外部に露出することになる。従って、軸部213の軸本体213Aとローラ207との間の空間に各ころ216Aを組み付ける際には、当該空間に対して各ころ216Aを収容し易くなるので、組み付けに係る作業性を良好なものとすることができる。なお、本体部209は、軸通し部212Aが側壁212において壁面に沿って一方向に開口する溝状に形成されている点は、上記した実施形態2と同様である。
【0061】
本実施形態は以上のような構造であり、続いて組み付けて順について説明する。まず、
図17に示すように、軸部213に対してローラ207及びころ軸受け部216を組み付ける作業が行われる。この組み付けに際しては、軸部213の軸本体213Aに対してローラ207を仮組みしておき、軸本体213Aとローラ207との間に空けられた空間に対して複数のころ216Aを収容する。このとき、軸本体213Aの周面から立ち上がる被支承部213Bの段差(被支承部213Bの外径と軸本体213Aの外径との差分の半分)が、ころ216Aの外径D5よりも小さくなっているので、ころ216Aを収容し易くなっている。収容されたころ216Aは、一対の被支承部213B(ころ保持部217)により軸線方向について両側から挟まれることで、保持が図られる。このように、本体部209に対する組み付けに先立って軸部213に対してころ軸受け部216及びローラ207を組み付けておくことができる。
【0062】
その後、ローラ207及びころ軸受け部216が組み付けられた軸部213を、本体部209に対して組み付ける作業が行われる。この組み付けに際しては、
図17に示すように、軸部213を本体部209に対して鉛直方向の上側に配置しておき、軸部213のうちの一対の被支承部213Bを一対の側壁212の各軸通し部212Aの開口部分に通す。被支承部213Bが軸通し部212Aの奥端に達すると、
図15及び
図16に示すように、被支承部213Bが軸通し部212Aの底面によって支承される。また、一対の抜け止め部213Cが一対の側壁212の外側の板面に対して接触可能とされるので、本体部209に対する軸部213の抜け止めが図られる。このように、本体部209に対する軸部213の組み付け作業を容易に行うことができる。
【0063】
以上説明したように本実施形態によれば、本体部209は、軸通し部212Aが側壁212において壁面に沿って一方向に開口する溝状に形成されており、軸部213は、ローラ207との間にころ軸受け部216が介在する軸本体213Aを有しており、一対の被支承部213Bは、軸本体213Aよりも大径とされていて軸本体213Aの外径との差分の半分がころ216Aの外径D5よりも小さくされることで一対のころ保持部217を構成する。このようにすれば、一対の被支承部213Bの外径が軸本体213Aの外径よりも大きくされているので、軸本体213Aとローラ207との間に介在するころ軸受け部216を構成する複数のころ216Aは、一対の被支承部213Bの側面とそれぞれ対向する配置となる。つまり、複数のころ216Aは、一対の被支承部213Bによって軸部213の軸線方向について外側から挟まれることになり、一対の被支承部213Bが複数のころ216Aを保持する一対のころ保持部217を構成する。従って、仮に軸部213とは別部品として一対のころ保持部を用意した場合に比べると、部品点数の削減などを図ることができる。しかも、被支承部213Bの外径と軸本体213Aの外径との差分の半分が、ころ216Aの径よりも小さいので、軸部213の軸本体213Aとローラ207との間に複数のころ216Aを組み付ける際の作業性が良好となる。また、予めローラ207及びころ軸受け部216を組み付けた軸部213を、本体部209に対して組み付ける際には、溝状をなす軸通し部212Aに対してその開口方向に沿って軸部213を通せばよい。
【0064】
<他の実施形態>
本明細書が開示する技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0065】
(1)実施形態1に記載の構成において、軸通し部12Aは、拡張部12A2を有さなくてもよい。その場合、軸部13の軸線方向から視た軸通し部12Aの具体的な形状は、適宜に変更可能であり、例えば真円形、楕円形、長円形、非円形(方形や台形など)などであってもよい。
【0066】
(2)実施形態1に記載の構成において、軸部13の軸線方向から視た軸本体通し部12A1の周面の具体的な形状は、適宜に変更可能であり、例えば楕円形、長円形、非円形(方形や台形など)などであってもよい。
【0067】
(3)実施形態1に記載の構成において、軸部13の軸線方向から視た拡張部12A2の周面の具体的な形状は、適宜に変更可能であり、例えば楕円形、長円形、非円形(方形や台形など)などであってもよい。
【0068】
(4)実施形態1に記載の構成において、軸通し部12Aを構成する拡張部12A2の周面の曲率半径は、被支承部13Bの外周面の曲率半径よりも大きくても小さくても構わない。
【0069】
(5)実施形態1に記載の構成において、拡張部12A2の大きさ(開口範囲)は、図示以外にも適宜に変更可能である。軸通し部12Aに臨むころ16Aの端面と、ころ保持部17(側壁12の軸通し部12Aの縁部)と、が接触し得る関係が保たれる限りにおいて、拡張部12A2の大きさを適宜に変更することができる。
【0070】
(6)実施形態1,2に記載の構成において、抜け止め部13C,113Cの外径が軸本体13A,113Aの外径よりも大きくても小さくても構わない。
【0071】
(7)実施形態2に記載の構成において、軸部113の軸線方向から視た取付部通し部17Aの具体的な形状は、適宜に変更可能であり、例えば真円形、楕円形、長円形、非円形(方形や台形など)などであってもよい。また、取付部通し部17Aが軸本体113Aを通すような大きさであってもよく、その場合は、軸通し部を、実施形態1と同様に、貫通孔状に形成することも可能であり、組み付け手順に関しても実施形態1と同様にすることが可能である。
【0072】
(8)実施形態2,3に記載の構成において、軸部113,213の軸線方向から視た軸通し部112A,212Aの具体的な形状は、適宜に変更可能である。例えば軸通し部112A,212Aの開口端がテーパ状に広がっていてもよい。
【0073】
(9)軸部13,113,213は、軸本体13A,113A,213Aの外径と被支承部13B,113B,213Bの外径との差分が0となるよう構成されていてもよい。
【0074】
(10)軸部13,113,213は、抜け止め部13C,113C,213Cを有さない構成であってもよい。その場合、軸部13,113,213の外径が全長にわたって一定であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
6…ロッカアーム、7,107,207…ローラ、9,109,209…本体部、12,112,212…側壁、12A,112A,212A…軸通し部、12A1…軸本体通し部、12A2…拡張部、13,113,213…軸部、13A,113A,213A…軸本体、13B,113B,213B…被支承部、13C,113C,213C…抜け止め部、13D…取付部、16,116,216…ころ軸受け部、16A,116A,216A…ころ、17,117,217…ころ保持部、17A…取付部通し部、D1…最大開口径、D2…最大外径、D3…外径、D4…外径、D5…外径