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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138244
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】領域検出装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0346 20130101AFI20220915BHJP
   G06F 3/0484 20220101ALI20220915BHJP
【FI】
G06F3/0346 421
G06F3/0484
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038027
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉川 謙一郎
【テーマコード(参考)】
5B087
5E555
【Fターム(参考)】
5B087BC06
5B087BC32
5B087CC33
5E555AA11
5E555BA23
5E555BB23
5E555BC01
5E555CA12
5E555CA41
5E555CB22
5E555FA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】指等の対象物の動きの有無に拘わらず、指等の対象物が近接する領域を特定する領域検出装置を提供する。
【解決手段】領域検出装置20は、表示部の表示面の幅方向に沿って並んで配置された4つのLED22a~22dと、これら4つのLED22a~22dを、互いに異なるタイミングで繰り返し点灯させるように駆動する発光素子駆動部24と、幅方向に沿って分割された5つの領域のうちのいずれか一つの領域における指で反射した光を受光する2つのPD23a,23bと、PD23a,23bが受光した光を、LED22a~22dを点灯させたタイミングに対応させて分離する分離処理部25と、分離して得られた光の光量と点灯したLED22a~22dとの対応関係に基づいて指が存在する一つの領域を特定する領域特定部26と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に沿って並んで配置された複数の発光素子と、
前記複数の発光素子を、互いに異なるタイミングで繰り返し点灯させるように、前記複数の発光素子をそれぞれ駆動する発光素子駆動部と、
前記発光素子と並んで配置され、前記発光素子が点灯することにより発光し、前記所定方向に沿って分割された複数の領域のうちのいずれか一つの領域に存在した検出対象物で反射した光を受光する複数の受光素子と、
前記受光素子が受光した光を、前記発光素子駆動部が前記発光素子を点灯させるタイミングに対応させて分離する分離処理部と、
前記分離処理部で分離して得られた光の光量と、前記発光素子駆動部が点灯させた発光素子との対応関係に基づいて、前記検出対象物が存在する、前記所定方向に沿って分割された複数の領域のうちの一つの領域を特定する領域特定部と、を備えた領域検出装置。
【請求項2】
前記発光素子及び前記受光素子は、画像を表示する表示面の延びた方向に沿って配置され、
前記領域特定部は、前記表示面の延びた方向に沿って分割された複数の領域のうち一つの領域を特定する、請求項1に記載の領域検出装置。
【請求項3】
前記発光素子が点灯することにより発光する光が赤外光であり、前記受光素子は前記赤外光の反射光を受光する、請求項1又は2に記載の領域検出装置。
【請求項4】
前記発光素子は、画像を表示する表示部の表示面の範囲を前記複数の領域に分割するように、前記表示面の延びた方向に沿って配置され、
前記受光素子は、前記検出対象物として、前記複数の領域のうちいずれか一つの領域に近接した操作者の指で反射した光を検出する、請求項1から3のうちいずれか1項に記載の領域検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、領域検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の表示面に表示されたアイコン等に指を接触することで、アイコン等に対応した内容を選択できるようにしたタッチパネルが知られている。このようなタッチパネルを有する表示装置は、選択された内容に応じた選択信号を出力することで、表示面に表示する内容を切り替えたり、外部の装置に選択信号を出力したりする。
【0003】
ここで、指等が表示面に実際に接触する前の状態、すなわち、表示面に指等が近接した状態で、表示面の表示を変化させることが提案されている。この提案は、通常は表示面の明るさを低下させた状態とし、指が近づいたときに表示面の明るさを明るく切り替えるものであり、明るさを低下させた状態では電力の消費を抑えるとともに、まぶしさを軽減することができ、一方、明るくした状態では表示内容の視認性を向上させて指による選択をし易くすることができる。
【0004】
また、近接した指の動きを検出するものとして、光学ジェスチャ認識システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8660300号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された技術は、指の動きによって動作を特定するものであり、表示面の一部の領域に近接するときに、その近接する領域を特定するものではない。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、動きの有無に拘わらず、指等の対象物が近接する領域を特定することができる領域検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、所定方向に沿って並んで配置された複数の発光素子と、前記複数の発光素子を、互いに異なるタイミングで繰り返し点灯させるように、前記複数の発光素子をそれぞれ駆動する発光素子駆動部と、前記発光素子と並んで配置され、前記発光素子が点灯することにより発光し、前記所定方向に沿って分割された複数の領域のうちのいずれか一つの領域に存在した検出対象物で反射した光を受光する複数の受光素子と、前記受光素子が受光した光を、前記発光素子駆動部が前記発光素子を点灯させるタイミングに対応させて分離する分離処理部と、前記分離処理部で分離して得られた光の光量と、前記発光素子駆動部が点灯させた発光素子との対応関係に基づいて、前記検出対象物が存在する、前記所定方向に沿って分割された複数の領域のうちの一つの領域を特定する領域特定部と、を備えた領域検出装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る領域検出装置によれば、動きの有無にかかわらず、指等の物体が近接する領域を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る領域検出装置を備えた表示装置を示す模式図である。
図2】表示装置の筐体とセンサ基板とを示す分解図である。
図3】表示装置の鉛直面による断面図である。
図4】表示面の幅方向Wでの各LEDが発光した光の広がりを、細線及び網掛けで模式的に示した図である。
図5】本実施形態の領域検出装置の構成を示すブロック図である。
図6】領域検出装置によって領域を特定する原理を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る領域検出装置の具体的な実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態に係る領域検出装置20を備えた表示装置100を示す模式図、図2は表示装置100の筐体14とセンサ基板21とを示す分解図、図3は表示装置100の鉛直面による断面図である。
【0013】
図1に示した表示装置100は、例えば、車両の室内に設置された空気調和装置を操作するための操作パネルとして用いられる。表示装置100は、表示部11と、表示制御部12と、筐体14と、領域検出装置20と、を備えている。
【0014】
表示部11の表示面は、例えば液晶パネルで形成されていて、表示制御部12の制御によって、アイコン等の画像や文字等動作内容を表す画像を可視的に表示する。
【0015】
筐体14は、表示部11及び表示制御部12等を支持する部材であり、図2に示すように、前後方向の前方Fに配置された前面パネル14aと、前後方向の後方Rに配置された後側ケース14bと、を備えている。前面パネル14aは、表示部11における矩形の表示面の縁を支持する枠状に形成されていて、この枠で囲んだ内側には、タッチパネル13が一体に設けられている。後側ケース14bは、表示部11の後面側及び表示制御部12を覆っている。
【0016】
タッチパネル13は、例えば、操作者の指200が触ると、タッチパネル13の触った位置を検出し、その触ったタッチパネル13の位置に対応する表示面の位置に表示されていたアイコン等の内容を選択する動作を行う。
【0017】
そのような動作としては、例えば、表示面に表示していた内容を別の表示内容に切り替えたり、空気調和装置の動作を切り替えたり、といった動作である。そのような動作としては、例示した動作に限定されない。
【0018】
後側ケース14bの下部(支持した表示部11の表示面よりも下方の部分)には、6個の孔14e,14f,14g,14h,14i,14jが幅方向Wに沿って並んで形成されている。後側ケース14bの後面には、センサ基板21が配置されている。センサ基板21は、後述する領域検出装置20の構成の一部である。
【0019】
センサ基板21は、幅方向Wに沿って延びた細長の平板状に形成されている。センサ基板21には、4つのLED(発光素子)22a,22b,22c,22dと、2つのPD(フォトダイオード;受光素子)23a,23bと、を備えている。具体的には、センサ基板21の長手方向(幅方向W)に沿って、図示の左側から、LED22a、PD23a、LED22b、LED22c、PD23b、LED22dの順序で、これらLED22a~22d及びPD23a,23bが一列に並んで配置されている。
【0020】
後側ケース14bの後面に、センサ基板21を配置したとき、LED22aが孔14eから、PD23aが孔14fから、LED22bが孔14gから、LED22cが孔14hから、PD23bが孔14iから、LED22dが孔14jから、それぞれ、後側ケース14bの前面側に突出するように配置される。
【0021】
また、センサ基板21は、図3に示すように、後側ケース14bの後面に対して、LED22a~22d及びPD23a,23bが、水平方向の前方Fよりも高さ方向Hの上方である斜め前上方向を向くように配置される。これにより、LED22a~22d及びPD23a,23bは、前面パネル14aの下枠部分よりも上方に配置されたタッチパネル13を向いて、タッチパネル13よりも外側の空間(図3において破線で示した空間)を網掛けで示したように臨む。
【0022】
図4は表示部11の表示面の幅方向Wでの各LED22a~22dが発光した光の広がりを、細線及び網掛けで模式的に示した図である。表示面を正面からみたとき(前後方向の前方Fから後方Rに向いたとき)、各LED22a~22dはそれぞれ、図4に示した2本の細線で挟まれた網掛けの範囲を、表示面の領域に対応して幅方向Wに広がって発光する。
【0023】
(領域検出装置)
図5は本実施形態の領域検出装置20の構成を示すブロック図である。領域検出装置20は、図5に示すように、4つのLED22a~22dと、発光素子駆動部24と、2つのPD23a,23bと、分離処理部25と、領域特定部26と、を備えている。
【0024】
4つのLED22a~22dは、点灯することにより、それぞれ赤外光(赤外線)を発光する。4つのLED22a~22dは、前述したように、センサ基板21に、センサ基板21の長手方向に沿って並んで配置されている。
【0025】
発光素子駆動部24は、4つのLED22a~22dを、互いに異なるタイミングで繰り返し点灯させるように、LED22a~22dをそれぞれ駆動する。これにより、各LED22a~22dは、例えば、時間0.05[msec(ミリ秒)]の周期、つまり20[kHz]の周波数で点灯と消灯とを繰り返す。
【0026】
なお、各LED22a~22dの点灯の周期は、上述した例示の周期に限定されるものではなく、より短い周期で点灯させてもよいし、より長い周期で点灯させてもよい。
【0027】
また、発光素子駆動部24は、4つのLED22a,22b,22c,22dを、互いに異なるタイミングで繰り返し点灯させるように駆動する。具体的には、発光素子駆動部24は、4つのLED22a,22b,22c,22dを、この順序で、例えば、0.01[msec]ずつ点灯のタイミングをずらして点灯させる。
【0028】
つまり、LED22aが発光してから0.01[msec]後にLED22bが発光し、LED22bが発光してから0.01[msec]後にLED22cが発光し、LED22cが発光してから0.01[msec]後にLED22dが発光する。そして、LED22dが発光してから0.02[msec]後にLED22aが発光する。4つのLED22a,22b,22c,22dは、それぞれ1つずつしか点灯せず、2つ以上が同時に点灯することが無い。
【0029】
なお、4つのLED22a~22dは、点灯のタイミングのずれる時間間隔は、上述した例示の時間間隔に限定されるものではない。
【0030】
発光素子駆動部24は、4つのLED22a~22dを同一の発光量で点灯させるように、LED22a~22dを駆動するが、個体差により、4つのLED22a~22dがそれぞれ点灯したときの発光の光量に多少の差があってもよい。また、そのような個体差により、4つのLED22a~22dの発光量が同一でないときは、発光素子駆動部24が、4つのLED22a~22dの発光量を同一とするように、4つのLED22a~22dの駆動に差をつける制御をしてもよい。
【0031】
2つのPD23a,23bも、上述したように、センサ基板21に、LED22a~22dと並んで配置されている。2つのPD23a,23bは、LED22a~22dが点灯して、表示面の領域に近接した操作者の指200で反射した赤外光を受光する。
【0032】
なお、図4に示すように、PD23aは、幅方向Wの、向かって左側に配置された2つのLED22a,22bの間に配置され、PD23bは、幅方向Wの、向かって右側に配置された2つのLED22c,22dの間に配置されているが、各PD23a,23bは、これらの配置に限定されるものではない。
【0033】
分離処理部25は、PD23a,23bがそれぞれ受光した赤外光の光量を、発光素子駆動部24が各LED22a,22b,22c,22dを点灯させるタイミングに対応させて分離する。つまり、各PD23a,23bが、時間的に連続して受光した赤外光の光量を検出するが、分離処理部25は、点灯タイミングがずれて順次点灯するLED22a,22b,22c,22dの各点灯タイミングに対応させて、各PD23a,23bが受光した赤外光の光量を時間的に分離して離散的に検出する
【0034】
これによって、例えば、幅方向Wの最も左側に配置されたLED22aが点灯したタイミングで各PD23a,23bがそれぞれ検出した光量は、LED22aから発光した赤外光が、表示面の幅方向Wに沿って分割された5つの領域A,B,C,D,Eのうちのいずれか一つの領域に存在する操作者の指200で反射した赤外光によるものと特定することができる。
【0035】
同様に、幅方向Wの左側から2番目に配置されたLED22bが点灯したタイミングで各PD23a,23bがそれぞれ検出した光量は、LED22bから発光した赤外光が、表示面のいずれか一つの領域に存在する操作者の指200で反射した赤外光によるものと特定することができる。
【0036】
同様に、幅方向Wの左側から3番目(右から2番目)に配置されたLED22cが点灯したタイミングで各PD23a,23bがそれぞれ検出した光量は、LED22cから発光した赤外光が、表示面のいずれか一つの領域に存在する操作者の指200で反射した赤外光によるものと特定することができ、幅方向Wの左側から4番目(最も右側)に配置されたLED22dが点灯したタイミングで各PD23a,23bがそれぞれ検出した光量は、LED22dから発光した赤外光が、表示面のいずれか一つの領域に存在する操作者の指200で反射した赤外光によるものと特定することができる。
【0037】
図6は、表示装置100の表示部11の表示面を、幅方向Wに沿って5つの領域A,B,C,D,Eに分割したときに、検出対象である操作者の指200が表示面の各領域に近接したときに、PD23a又はPD23bが検出する赤外光の光量の一例を示す模式図である。
【0038】
図6において、実細線は、最も左側に配置されたLED22aが点灯したタイミングで、PD23a又はPD23bが検出する反射光(赤外光)の光量を示すグラフである。つまり、最も左側のLED22aが点灯したタイミングでは、表示面の最も左側の領域Aに、操作者の指200が近接しているときに、指200で反射してPD23aが受光する赤外光の光量が最も大きい。なお、右側に配置されているPD23bは、検出範囲(網掛けの範囲)外であるため、反射光をほとんど検出しない。
【0039】
また、表示面の左から2番目の領域Bに、操作者の指200が近接しているときは、領域Aに近接しているときよりも、指200で反射してPD23aが受光する赤外光の光量は小さい。さらに、表示面の中央の領域Cに、操作者の指200が近接しているときは、領域Bに近接しているときよりも、指200で反射してPD23a又はPD23bが受光する赤外光の光量はさらに小さい。
【0040】
そして、表示面の右から2番目の領域Dや最も右側の領域Eに、操作者の指200が近接しているときは、指200で反射してPD23a又はPD23bが受光する赤外光の光量はほぼゼロとなる。
【0041】
図6において、実太線は、左から2番目に配置されたLED22bが点灯したタイミングで、PD23a又はPD23bが検出する反射光(赤外光)の光量を示すグラフである。つまり、左から2番目のLED22bが点灯したタイミングでは、表示面の左から2番目の領域Bに、操作者の指200が近接しているときに、指200で反射してPD23aが受光する赤外光の光量が最も大きい。
【0042】
また、表示面の最も左側の領域A又は中央の領域Cに、操作者の指200が近接しているときは、領域Bに近接しているときよりも、指200で反射してPD23aが受光する赤外光の光量は小さい。さらに、表示面の右から2番目の領域Dに、操作者の指200が近接しているときは、領域A,Cに、操作者の指200が近接しているときよりも、指200で反射してPD23a又はPD23bが受光する赤外光の光量はさらに小さい。
【0043】
そして、表示面の最も右側の領域Eに、操作者の指200が近接しているときは、指200で反射してPD23a又はPD23bが受光する赤外光の光量はほぼゼロとなる。
【0044】
図6において、破線は、右から2番目に配置されたLED22cが点灯したタイミングで、PD23a又はPD23bが検出する反射光(赤外光)の光量を示すグラフである。つまり、右から2番目のLED22cが点灯したタイミングでは、表示面の右から2番目の領域Dに、操作者の指200が近接しているときに、指200で反射してPD23bが受光する赤外光の光量が最も大きい。
【0045】
また、表示面の最も右側の領域E又は中央の領域Cに、操作者の指200が近接しているときは、領域Dに近接しているときよりも、指200で反射してPD23bが受光する赤外光の光量は小さい。さらに、表示面の左から2番目の領域Bに、操作者の指200が近接しているときは、領域E,Cに、操作者の指200が近接しているときよりも、指200で反射してPD23a又はPD23bが受光する赤外光の光量はさらに小さい。
【0046】
そして、表示面の最も左側の領域Aに、操作者の指200が近接しているときは、指200で反射してPD23a又はPD23bが受光する赤外光の光量はほぼゼロとなる。
【0047】
図6において、一点鎖線は、最も右側に配置されたLED22dが点灯したタイミングで、PD23a又はPD23bが検出する反射光(赤外光)の光量を示すグラフである。つまり、最も右側のLED22dが点灯したタイミングでは、表示面の最も右側の領域Eに、操作者の指200が近接しているときに、指200で反射してPD23bが受光する赤外光の光量が最も大きい。なお、左側に配置されているPD23bは、検出範囲(網掛けの範囲)外であるため、反射光をほとんど検出しない。
【0048】
また、表示面の右から2番目の領域Dに、操作者の指200が近接しているときは、領域Eに近接しているときよりも、指200で反射してPD23bが受光する赤外光の光量は小さい。さらに、表示面の中央の領域Cに、操作者の指200が近接しているときは、領域Dに近接しているときよりも、指200で反射してPD23a又はPD23bが受光する赤外光の光量はさらに小さい。
【0049】
そして、表示面の左から2番目の領域Bや最も左側の領域Aに、操作者の指200が近接しているときは、指200で反射してPD23a又はPD23bが受光する赤外光の光量はほぼゼロとなる。
【0050】
また、領域Aに近接した指200で反射してPD23a又はPD23bが受光する赤外光の光量は、LED22aが点灯したタイミングで受光した光量が最も大きく、次いで、LED22bが点灯したタイミングで受光した光量が大きく、次いで、LED22cが点灯したタイミングで受光した光量が大きく、LED22dが点灯したタイミングで受光した光量が最も小さい。
【0051】
また、領域Eに近接した指200で反射してPD23a又はPD23bが受光する赤外光の光量は、LED22dが点灯したタイミングで受光した光量が最も大きく、次いで、LED22cが点灯したタイミングで受光した光量が大きく、次いで、LED22bが点灯したタイミングで受光した光量が大きく、LED22aが点灯したタイミングで受光した光量が最も小さい。
【0052】
また、領域Bに近接した指200で反射してPD23a又はPD23bが受光する赤外光の光量は、LED22bが点灯したタイミングで受光した光量が最も大きく、次いで、LED22aが点灯したタイミングで受光した光量が大きく、次いで、LED22cが点灯したタイミングで受光した光量が大きく、LED22dが点灯したタイミングで受光した光量が最も小さい。
【0053】
また、領域Dに近接した指200で反射してPD23a又はPD23bが受光する赤外光の光量は、LED22cが点灯したタイミングで受光した光量が最も大きく、次いで、LED22dが点灯したタイミングで受光した光量が大きく、次いで、LED22bが点灯したタイミングで受光した光量が大きく、LED22aが点灯したタイミングで受光した光量が最も小さい。
【0054】
また、領域Cに近接した指200で反射してPD23a又はPD23bが受光する赤外光の光量は、LED22b又はLED22cが点灯したタイミングで受光した光量が最も大きく、次いで、LED22c又はLED22bが点灯したタイミングで受光した光量が大きく、LED22a又はLED22dが点灯したタイミングで受光した光量が最も小さい。
【0055】
なお、領域Aと領域Bとの境界は、LED22aが点灯したタイミングで受光した光量とLED22bが点灯したタイミングで受光した光量とが等しくなる位置である。また、領域Eと領域Dとの境界は、LED22dが点灯したタイミングで受光した光量とLED22cが点灯したタイミングで受光した光量とが等しくなる位置である。
【0056】
また、領域Bと領域Cとの境界は、LED22aが点灯したタイミングで受光した光量とLED22cが点灯したタイミングで受光した光量とが等しくなる位置である。また、領域Dと領域Cとの境界は、LED22dが点灯したタイミングで受光した光量とLED22bが点灯したタイミングで受光した光量とが等しくなる位置である。
【0057】
以上のように、各LED22a~22dが点灯したタイミングでPD23a又はPD23bが受光した反射光の光量は、指200が近接している領域A~Eに応じた大小関係がある。
【0058】
領域特定部26は、分離処理部25で分離して得られた反射光の光量と、発光素子駆動部24が点灯させたLED22a~22dの点灯のタイミングとの対応関係に基づいて、すなわち、各LED22a~22dが点灯したタイミングでPD23a又はPD23bが受光した反射光の光量の大小関係に基づいて、検出対象である指200が近接している領域A~Eを特定する。
【0059】
以上のように、本実施形態の領域検出装置20によれば、指200が静止しているか又は動いているかの別に拘わらず、指200がタッチパネル13に触れる前の近接した状態で、表示面の分割された領域A~Eのうち指200が近ついた一つの領域を特定することができる。
【0060】
これにより、表示面に指200が近づいていない状態のときは、表示面の明るさを低下させて操作者が眩しくないようにしておき、指200が近づいたときは、タッチパネル13に触れる前に、その指200が近づいたいずれか一つの領域A、領域B、領域C、領域D又は領域Eに対応した表示面の範囲だけを明るく切り替え、他の領域を暗い状態に維持するなどの処理を行うことができる。
【0061】
なお、指200が近づく前は表示面の全体を暗くし、指200が近づいた領域に対応する表示面の範囲だけを明るくする処理に代えて、指200が近づく前も表示面の全体を明るくし、指200が近づいた領域に対応する表示面の範囲だけをコントラストを高める等の強調処理を行うようにしてもよい。
【0062】
また、指200等の検出対象物が近接した領域を特定するに際して、特定し得る領域の分解能を高める(狭い領域を特定することができる)ことにより、接触した位置を検出するタッチパネル13を不要にすることもできる。
【0063】
本実施形態の領域検出装置20は、表示面の幅方向Wに沿って分割された5つの領域A,B,C,D.Eのうち一つの領域を特定するものであるが、分割された領域の数は5つに限定されるものではなく、3つや4つであってもよいし、6つ以上であってもよい。この場合、分割された領域の数に応じて、発光素子や受光素子の数量を適宜変更すればよい。
【0064】
なお、発光素子の数は2個以上であればよく、受光素子の数は1個以上であればよい。本実施形態における受光素子も、受光の角度範囲がPD23a,23bより広いものであれば、LED22bとLED22cとの間に1つだけ配置したものでもよい。
【0065】
本実施形態の領域検出装置20は、各LED22a~22dの点灯タイミングで受光した光量(受光量)の単純な大小比較によって、検出対象である指200が存在する領域を特定したが、受光量の単純な大小比較ではなく、一方の受光量には予め設定された定数を乗じた値として大小比較(一方の受光量の何割以上か、といった判定方法)を行うことで、検出対象である指200が存在する領域を特定するなどの特定方法を適用してもよい。
【0066】
本実施形態の領域検出装置20は、表示面の幅方向Wに沿って分割された複数の領域のうち一つの領域を特定するものであるが、表示面の高さ方向Hに沿って分割された複数の領域のうち一つの領域を特定するように、複数の発光素子(例えばLED)を高さ方向Hに沿って並ぶように配置し、複数の受光素子(例えばPD)を高さ方向Hに沿って並ぶように配置してもよい。
【0067】
また、本実施形態の領域検出装置20において、表示面の幅方向Wに沿って分割された複数の領域のうち一つの領域を特定するとともに、表示面の高さ方向Hに沿って分割された複数の領域のうち一つの領域を特定することで、幅方向Wと高さ方向Hとにそれぞれ分割された格子状の領域の一つを特定するようにしてもよい。
【0068】
この場合、複数の発光素子及び複数の受光素子を、幅方向Wと高さ方向Hとにそれぞれ沿って並ぶように配置し、幅方向Wと高さ方向Hとの両方において点灯のタイミングをそれぞれずらして、発光素子を発光させればよい。
【0069】
本実施形態の領域検出装置20は、LED22a~22dが発光する光として、人が肉眼で視認することができない赤外光を適用したため、操作者は、表示部11に表示されたアイコン等の、可視的に表示されたものの視認性を低下させることが無い。
【0070】
ただし、本発明に係る領域検出装置は、発光素子が発光する光として赤外光に限定するものではなく、不可視の光やその他の人体で反射する電磁波であってもよい。この場合、受光素子も、発光素子の発光する光やその他の人体で反射する電磁波を受光し得るものであればよい。
【0071】
本実施形態の領域検出装置20は、表示部11を有する表示装置100が備えたものとして説明したが、本発明に係る領域検出装置は、表示部11を有する表示装置100が備えたものでなく、領域検出装置のみで独立したものであってもよい。
【0072】
なお、本発明に係る領域検出装置は、表示部11を有する表示装置100に備えられたものではないなどの理由で、視認性の影響を考慮しない場合は、発光素子が発光する光として可視光を適用してもよい。
【符号の説明】
【0073】
11 表示部
13 タッチパネル
20 :領域検出装置
21 :センサ基板
22a~22d LED
23a,23b PD
24 発光素子駆動部
25 分離処理部
26 領域特定部
100 表示装置
200 指
A~E 領域
W 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6