IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

<>
  • 特開-自動水栓及び自動水栓の施工方法 図1
  • 特開-自動水栓及び自動水栓の施工方法 図2
  • 特開-自動水栓及び自動水栓の施工方法 図3
  • 特開-自動水栓及び自動水栓の施工方法 図4
  • 特開-自動水栓及び自動水栓の施工方法 図5
  • 特開-自動水栓及び自動水栓の施工方法 図6
  • 特開-自動水栓及び自動水栓の施工方法 図7
  • 特開-自動水栓及び自動水栓の施工方法 図8
  • 特開-自動水栓及び自動水栓の施工方法 図9
  • 特開-自動水栓及び自動水栓の施工方法 図10
  • 特開-自動水栓及び自動水栓の施工方法 図11
  • 特開-自動水栓及び自動水栓の施工方法 図12
  • 特開-自動水栓及び自動水栓の施工方法 図13
  • 特開-自動水栓及び自動水栓の施工方法 図14
  • 特開-自動水栓及び自動水栓の施工方法 図15
  • 特開-自動水栓及び自動水栓の施工方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138274
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】自動水栓及び自動水栓の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20220915BHJP
   E03C 1/05 20060101ALI20220915BHJP
   E03C 1/044 20060101ALI20220915BHJP
   E03C 1/22 20060101ALI20220915BHJP
   E03C 1/23 20060101ALI20220915BHJP
   A47K 1/14 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
E03C1/042 E
E03C1/05
E03C1/044
E03C1/22 C
E03C1/23 Z
A47K1/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038067
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正規
【テーマコード(参考)】
2D060
2D061
【Fターム(参考)】
2D060BA03
2D060BB02
2D060BC00
2D060BE20
2D060BF03
2D060CA04
2D061DA02
2D061DB00
(57)【要約】
【課題】既設の手動水栓を自動水栓に取り替える場合に、意匠性を良くできる自動水栓及び自動水栓の施工方法を提供する。
【解決手段】既設の手動水栓103を取り外した取付基台101に設置される自動水栓10であって、水を吐水する吐水部21と、前記既設の手動水栓103用に前記取付基台101に形成された複数の貫通穴107のうち、少なくともいずれかの貫通穴107を通って前記吐水部21に水を供給する通水部22と、前記複数の貫通穴107及び前記通水部22を覆う台座部23と、前記複数の貫通穴107のうち、少なくともいずれかの貫通穴107を用いて前記台座部23を前記取付基台101に固定する固定部46と、を備えている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の手動水栓を取り外した取付基台に設置される自動水栓であって、
水を吐水する吐水部と、
前記既設の手動水栓用に前記取付基台に形成された複数の貫通穴のうち、少なくともいずれかの貫通穴を通って前記吐水部に水を供給する通水部と、
前記複数の貫通穴及び前記通水部を覆う台座部と、
前記複数の貫通穴のうち、少なくともいずれかの貫通穴を用いて前記台座部を前記取付基台に固定する固定部と、
を備えている自動水栓。
【請求項2】
前記吐水部と前記台座部とは別体であり、
前記台座部は、前記吐水部を取り付ける取付部を備えている請求項1に記載の自動水栓。
【請求項3】
前記固定部は、前記複数の貫通穴のうち前記通水部が通る貫通穴、及び前記通水部が通らない貫通穴をそれぞれ用いて前記台座部を前記取付基台に固定する請求項1から請求項2までの何れか一項に記載の自動水栓。
【請求項4】
前記通水部を開閉する水栓部を備え、
前記水栓部は、前記取付基台の下側に配置されている請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の自動水栓。
【請求項5】
前記吐水部に接近した手や物を検知するセンサと、
前記センサからの信号に基づいて前記水栓部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記取付基台の下側に配置され、
前記センサと前記制御部とをつなぐ電線は、前記複数の貫通穴のうち前記通水部が通る貫通穴とは異なる貫通穴を通る請求項4に記載の自動水栓。
【請求項6】
前記水栓部の上流側に配置されて、湯と水とを混合する混合部を備えている請求項4から請求項5までの何れか一項に記載の自動水栓。
【請求項7】
洗面ボウルの排水栓を開閉する排水操作部を備え、
前記複数の貫通穴のうち、少なくともいずれかの貫通穴は、前記排水操作部を通す穴であり、
前記台座部は、前記排水操作部を通す穴も覆う請求項1から請求項6までの何れか一項に記載の自動水栓。
【請求項8】
前記固定部は、前記貫通穴を貫通した状態において、上下両側に開口する筒状の取付脚を有し、
前記取付脚の上端部には、側方に開放された切欠部が形成されている請求項1から請求項7までの何れか一項に記載の自動水栓。
【請求項9】
請求項1から請求項8までの何れか一項に記載の自動水栓を取付基台に取り付ける自動水栓の施工方法であって、
既設の手動水栓を前記取付基台から取り外す工程と、
前記手動水栓を取り外すことによって露出された前記複数の貫通穴のうち、少なくともいずれかの貫通穴に前記通水部を通す工程と、
前記複数の貫通穴及び前記通水部を覆うようにして前記台座部を前記取付基台に載置する工程と、
前記複数の貫通穴のうち、少なくともいずれかの貫通穴を用いて前記台座部を前記取付基台に固定する工程と、を有する自動水栓の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動水栓及び自動水栓の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、既設の水栓を新しい水栓に取り替える技術が開示されている。例えば下記特許文献1には、既設の2ハンドル水栓を新しい混合栓に取り換える技術が開示されている。この技術は、まず、既設の2ハンドル水栓から湯側及び水側のハンドルを取り除いて本体のみを残す。本体には、湯側配管及び水側配管が接続されている。その後、本体を覆うようにして新しい混合栓を取り付ける。新しい混合栓の混合部には、既設の湯側配管から湯が流入し、既設の水側配管から水が流入する。新しい混合栓のハンドルを操作することで、混合部に流入した湯水は任意の温度及び量に調整されて吐水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-234565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既設の手動水栓を自動水栓に取り替えたい場合がある。そのような場合に、上記のような技術を採用すると、自動水栓は、既設の手動水栓の本体を覆うために大型化しやすく、デザインも制約される。したがって、既設の手動水栓を自動水栓に取り替える場合に、自動水栓の意匠性を良くすることが難しいという問題があった。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、既設の手動水栓を自動水栓に取り替える場合に、意匠性を良くできる自動水栓及び自動水栓の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の自動水栓は、既設の手動水栓を取り外した取付基台に設置される自動水栓であって、水を吐水する吐水部と、前記既設の手動水栓用に前記取付基台に形成された複数の貫通穴のうち、少なくともいずれかの貫通穴を通って前記吐水部に水を供給する通水部と、前記複数の貫通穴及び前記通水部を覆う台座部と、前記複数の貫通穴のうち、少なくともいずれかの貫通穴を用いて前記台座部を前記取付基台に固定する固定部と、を備えているものである。
【0007】
本開示の自動水栓の施工方法は、前記自動水栓を取付基台に取り付ける自動水栓の施工方法であって、既設の手動水栓を前記取付基台から取り外す工程と、前記手動水栓を取り外すことによって露出された前記複数の貫通穴のうち、少なくともいずれかの貫通穴に前記通水部を通す工程と、前記複数の貫通穴及び前記通水部を覆うようにして前記台座部を前記取付基台に載置する工程と、前記複数の貫通穴のうち、少なくともいずれかの貫通穴を用いて前記台座部を前記取付基台に固定する工程を、を有する方法である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1における自動水栓であって、取付基台に設置された状態を示す斜視図
図2】取付基台から既設の手動水栓を取り外す様子を示す斜視図
図3】取付基台に設置された状態の自動水栓を示す断面図
図4】取付基台に設置された状態の自動水栓を拡大して示す断面図
図5】自動水栓を示す分解斜視図
図6】台座部に吐水部を取り付ける様子を示す平面図
図7】取付基台に設置された状態の自動水栓を示す断面図であって、図4のA-A位置における断面に相当する断面図
図8】台座部に取付脚を取り付ける様子を示す底面図
図9】台座部にプレートを取り付けた状態を示す底面図
図10】本体部を取付基台にセットする様子を示す斜視図
図11】本体部を取付基台に固定する様子を示す断面図
図12】実施形態2における自動水栓であって、本体部を取付基台にセットする様子を示す図
図13】実施形態3における自動水栓であって、本体部を示す分解斜視図
図14】取付基台に固定された状態の自動水栓を拡大して示す断面図
図15】取付基台に固定された状態の自動水栓を示す一部拡大断面図であって、図14のB-B位置における断面に相当する断面図
図16】他の実施例(1)における自動水栓であって、本体部を取付基台にセットした状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態1>
自動水栓10は、図1に示すように、洗面所の洗面ボウル100の周縁部等(取付基台101と称する。)に設置される。取付基台101の上面は、略水平な設置面である。自動水栓10は、センサ11による人体検知に基づいて吐水口12から自動的に吐水を行う。以下、各構成部材において、取付基台101に設置された状態の自動水栓10を、使用者からみて手前側(X軸の正方向側)を前側、奥側(X軸の負方向側)を後側、上側(Y軸の正方向側)を上側、下側(Y軸の負方向側)を下側、右側(Z軸の正方向側)を右側、左側(Z軸の負方向側)を左側として説明する。
【0010】
洗面ボウル100には排水栓102が設けられている。自動水栓10は、排水栓102を操作する排水操作部13を備えている。排水操作部13は、操作棒14、ワイヤ15及びガイド部45を備えている。操作棒14は、使用者によって引き上げ操作及び押し下げ操作される。ワイヤ15は、操作棒14の引き上げ操作及び押し下げ操作を、排水栓102の機構部(図示せず)に伝達する。操作棒14を操作することによって、排水栓102は開閉される。ガイド部45は、後述する台座部23に保持され、操作棒14の上下の移動をガイドする。
【0011】
既設の手動水栓103は、レバーハンドル104を操作することによって、吐水される湯水の水量の調整、吐水される湯水の温度の調整、吐水及び止水をするシングルレバー式の湯水混合水栓である。既設の手動水栓103は、排水栓102を操作する排水栓ノブ105を備えている。
【0012】
取付基台101には、図2に示すように、3つの貫通穴107が形成されている。3つの貫通穴107は、既設の手動水栓103に使用されたものである。3つの貫通穴107は、既設の手動水栓103を取り外すことによって露出する。貫通穴107は、2つの第一貫通穴107Fと、1つの第二貫通穴107Sとを有している。第一貫通穴107Fは、第二貫通穴107Sよりも大きい。第二貫通穴107Sは、2つの第一貫通穴107Fの左右方向中央に設けられている。第二貫通穴107Sは、2つの第一貫通穴107Fよりも後側に位置している。第一貫通穴107Fは、手動水栓103の取付脚106を通す穴である。2つの第一貫通穴107Fのうち一方は、給水管を通す穴であり、他方は、給湯管を通す穴である。第二貫通穴107Sは、排水栓ノブ105を通す穴である。
【0013】
自動水栓10は、図3に示すように、本体部20、制御部16A、水栓部16B及び混合部17を備えている。制御部16A、水栓部16B及び混合部17は、取付基台101の下側に配置されている。制御部16A及び水栓部16Bは、ボックス16の内部に収納されている。制御部16Aは、図示しない電源に接続されている。電源は、AC100Vのほか、発電式、乾電池式でもよい。水栓部16Bは、混合部17で混合した湯水の吐水及び止水をする開閉弁を有する。制御部16Aは、センサ11から検知信号を受信すると、水栓部16Bを制御し、止水及び吐水を切り替える。
【0014】
混合部17は、サーモスタット式(自動温度調節機能付き)の湯水混合弁である。混合部17は、取付配管18を介して給水管及び給湯管に接続されている。混合部17では、給水管から供給される水と給湯管から供給される高温の湯とを混合する。湯及び水の混合比率は、図示しないサーモスタット等の自動温度調節器によって、湯及び水の混合水が所定温度となるように制御される。混合部17の下側には、温度調節ハンドル17Aが備えられている。
【0015】
本体部20は、図4に示すように、吐水部21と、通水部22と、台座部23と、固定部46と、を備えている。吐水部21は、亜鉛合金(ZDC2)製であり、ダイカスト法によって成形される。吐水部21は、図1に示すように、自動水栓10を取付基台101に設置した状態において、斜め上前方に延びている。吐水口12は、吐水部21の下面側に設けられている。吐水口12は、通水部22を通過した湯及び水の混合水を吐水する。
【0016】
吐水部21は、非接触式のセンサ11を備えている。センサ11は、例えば、赤外線センサ等の光電センサを採用することができる。センサ11は、吐水部21に接近した手や物を検知し、検知信号を制御部16Aに送信する。センサ11は、物体を検知している間は検知信号を発信し続ける。吐水部21の内部には、センサ11と制御部16Aとを接続する電線25が通されている。電線25は、取付脚24を貫通して取付基台101の下方に延び、制御部16Aに接続される(図3参照)。
【0017】
通水部22は、吐水部21に混合水を供給する。通水部22は、図4に示すように、ホース26を備えている。ホース26は、可撓性を有する。ホース26は、取付脚24を貫通して取付基台101の下方に延び、水栓部16Bに接続される(図3参照)。
【0018】
台座部23は、図5に示すように、吐水部21と別体である。台座部23は、亜鉛合金(ZDC2)製であり、ダイカスト法によって成形される。台座部23は、台座本体部27と取付部28とを一体に備えている。
【0019】
台座本体部27は、図4に示すように、取付基台101の上面に沿った扁平な形状である。台座本体部27は、下面側が開放された蓋状である。台座本体部27の上面27Aは、平らである。台座本体部27の側面27Bは、台座本体部27の上面27Aの外周縁から垂下している。台座本体部27の側面27Bは、台座本体部27の全周に設けられている。
【0020】
台座本体部27は、図6に示すように、前後方向よりも左右方向に長い形状である。台座本体部27は、3つの貫通穴107を一括して覆う。台座本体部27の前面は、左右方向に直線状に延びている。台座本体部27の後面は、緩く湾曲している。台座本体部27の後面の左右方向中央部は、後側に膨らんでいる。台座本体部27の左右両端面は、円弧状である。
【0021】
取付部28は、図6に示すように、台座部23に吐水部21を取り付ける。取付部28は、台座本体部27の左右方向中央部に配置されている。取付部28は、図7に示すように、台座本体部27の上面27Aにおいて上方に突出している。取付部28は、吐水部21の下端部の内側に嵌合する。吐水部21の下端部は、3つのネジS1によって台座部23に固定される。ネジS1は、吐水部21の前面側の一箇所、吐水部21の後面側の2箇所を台座部23に固定する。図面には、吐水部21の前面側のネジS1のみを示す。
【0022】
取付部28には、図6に示すように、ネジS1が締め付けられるネジ孔H1が設けられている。ネジ孔H1は、取付部28の前端部に1つ、後端部に2つ設けられている。
【0023】
台座部23には、図6に示すように、3つの挿通穴29が設けられている。挿通穴29は、2つの第一挿通穴29Fと、1つの第二挿通穴29Sとを有している。各挿通穴29F,29Sは、取付部28及び台座本体部27を上下方向に貫通している。2つの第一挿通穴29Fのうち一方は、ホース26を通し、他方は、電線25を通す(図4参照)。第二挿通穴29Sは、排水操作部13を通す(図7参照)。第二挿通穴29Sには、排水操作部13をガイドするガイド部45が固定されている。
【0024】
台座部23は、図5及び図8に示すように、取付脚24を固定する被固定部31を備えている。被固定部31は、台座部23の左側及び右側に一ずつ設けられている。取付脚24は、ネジS2によって被固定部31に固定される。各被固定部31は、ネジS2が締め付けられるネジ孔H2を2つずつ備えている。各被固定部31において2つのネジ孔H2は、前後方向に所定の間隔をあけて配置されている。各ネジ孔H2の下面は開口し、上面は塞がれている(図5参照)。
【0025】
固定部46は、図4に示すように、3つの貫通穴107のうち2つの第一貫通穴107Fを用いて台座部23を取付基台101に固定する。固定部46は、取付脚24、パッキン32、座金33、及び締付ナット34を備えている。取付脚24は、2つ備えられている。2つの取付脚24は、台座部23の左右両端部に固定される。各取付脚24は、金属製である。各取付脚24は、第一貫通穴107Fに通され、取付基台101の下側に突出する。2つの取付脚24のうち一方の取付脚24には、ホース26が通り、他方の取付脚24には、電線25が通る。取付脚24には、取付基台101の下側においてパッキン32、座金33、締付ナット34が装着される。締付ナット34の締め付けによって、自動水栓10は、取付基台101に固定される。
【0026】
各取付脚24は、図5に示すように、本体筒部35と鍔部36とを備えている。本体筒部35は、上下方向に開口した円筒状である。本体筒部35の外周面には、締付ナット34が締め付けられる螺旋状の溝が切られている。
【0027】
本体筒部35の上端部には、本体筒部35の上端縁から下方に切り欠かれた切欠部37が形成されている。切欠部37は、側方に開放されている。切欠部37の前後方向の寸法は、ホース26の外径寸法よりも大きい。取付脚24が台座部23に固定された状態において、切欠部37は、台座部23の左右方向中央側に臨む。
【0028】
鍔部36は、本体筒部35の上端に設けられている。鍔部36は、本体筒部35の軸線と直交する方向に突出している。鍔部36は、ネジS2によって台座部23に固定されるネジ止め部38を備えている。ネジ止め部38は、取付脚24が台座部23に固定された状態において、台座部23の左右方向中央部に向かって突出している。ネジ止め部38は、各取付脚24に2つずつ備えられている。ネジ止め部38は、切欠部37の前後両側に配置されている。各ネジ止め部38には、ネジS2の軸部を通す通し孔38Hが形成されている。一方の通し孔38Hは、円形状であり、他方の通し孔38Hは、左右方向に長い長円形状である。
【0029】
台座部23の下面には、図5に示すように、プレート41が配置されている。プレート41は、金属製の板材をプレス加工することによって形成されている。プレート41は、台座本体部27の下面を塞ぐ。プレート41の外形は、台座本体部27の外形に沿っている。プレート41は、台座本体部27の側面27Bの内側に嵌められる。プレート41の下面には、台座パッキン42が配置される(図7参照)。
【0030】
プレート41は、図5に示すように、4つのネジS3によって台座部23に固定される。台座部23の下面には、ネジS3が締め付けられるネジ孔H3が設けられている(図8参照)。プレート41には、ネジS3を挿通させるネジ挿通孔44が4つ設けられている。ネジ挿通孔44は、プレート41の前縁に近い位置と後縁に近い位置とに左右一対ずつ設けられている。
【0031】
プレート41には、図5に示すように、3つの開口部43が形成されている。開口部43は、2つの第一開口部43Fと1つの第二開口部43Sとを備えている。第一開口部43Fは、第一貫通穴107Fに対応する(図4参照)。第二開口部43Sは、第二貫通穴107Sに対応する(図7参照)。
【0032】
第一開口部43Fは、図9に示すように、プレート41の左右両端部に形成されている。各第一開口部43Fは、前後方向よりも左右方向に長い長円形状である。第一開口部43Fは、取付脚24の本体筒部35の外形よりも大きい。
【0033】
第二開口部43Sは、図9に示すように、プレート41の左右方向中央部に設けられている。第二開口部43Sは、排水操作部13を通す。第二開口部43Sは、前後方向においてプレート41の後側に寄っている。
【0034】
次に、自動水栓10を取付基台101に取り付ける自動水栓10の施工方法の一例を説明する。この施工方法は、既設の手動水栓103を取り外す工程(図2参照)と、自動水栓10の本体部20をセットする工程(図10参照)と、自動水栓10の本体部20を固定する工程(図11参照)と、を有する。
【0035】
まず、図2に示すように、既設の手動水栓103を取付基台101から取り外す。具体的には、排水栓102の機構部から排水栓ノブ105を取り外す。次に、図示しない袋ナットを緩めて、給水管及び給湯管を取付脚106から抜き取る。その後、貫通穴107から取付脚106及び排水栓ノブ105を上方に引き抜く。こうして、手動水栓103は取付基台101から取り外される。手動水栓103を取り外すことによって、取付基台101の上面において、3つの貫通穴107は露出される。
【0036】
次に、図10に示すように、自動水栓10の本体部20を取付基台101にセットする。自動水栓10の本体部20は、予め組み付けられている。具体的には、吐水部21は、台座部23に固定されている。台座部23には、取付脚24及びプレート41が固定されている。通水部22及び電線25は、取付脚24の下端から下方に引き出されている。排水操作部13の操作棒14及びワイヤ15は取り外されている。
【0037】
予め組み付けられた本体部20を取付基台101にセットする。具体的には、まず通水部22及び電線25を第一貫通穴107Fに上側から通す。一方の第一貫通穴107Fに通水部22を通し、他方の第一貫通穴107Fに電線25を通す。次に、左右の取付脚24を第一貫通穴107Fにそれぞれ通す。また、ガイド部45を第二貫通穴107Sに通す。そして、台座部23を取付基台101の上面に載置する。これによって、台座部23は、3つの貫通穴107、通水部22及び電線25を覆った状態になる。台座部23を取付基台101に載置すると、2つの取付脚24及びガイド部45は、取付基台101の下側に突出する(図11参照)。
【0038】
次に、図11に示すように、本体部20を取付基台101に固定する。取付基台101の下方に突出した取付脚24に、パッキン32、座金33、締付ナット34の順に組み付ける。また、ガイド部45に排水操作部13を取り付け、ワイヤ15を排水栓102の機能部に接続する。締付ナット34を締め付けることによって、締付ナット34と台座部23とは、取付基台101、パッキン32及び座金33を挟持する。こうして、台座部23は、取付基台101に固定される。以上により、自動水栓10を取付基台101に取り付ける作業が完了する。
【0039】
上記のように構成された実施形態の作用および効果について説明する。自動水栓10は、既設の手動水栓103を取り外した取付基台101に設置される。自動水栓10は、吐水部21と、通水部22と、台座部23と、固定部46と、を備えている。吐水部21は、水を吐水する。通水部22は、既設の手動水栓103用に取付基台101に形成された3つの貫通穴107のうち一つの第一貫通穴107Fを通って吐水部21に水を供給する。台座部23は、3つの貫通穴107及び通水部22を覆う。固定部46は、3つの貫通穴107のうち2つの第一貫通穴107Fを用いて台座部23を取付基台101に固定する。この構成によれば、自動水栓10は、手動水栓103の本体を覆わなくてよいから、大型化しにくく、デザインの制約も少ない。したがって、既設の手動水栓103を自動水栓10に取り替える場合に、意匠性を良くできる。
【0040】
自動水栓10において、吐水部21と台座部23とは別体である。台座部23は吐水部21を取り付ける取付部28を備えている。この構成によれば、従来から使用されている吐水部21を、台座部23に取り付けて利用できる。
【0041】
固定部46は、2つの第一貫通穴107Fのうち通水部22が通る第一貫通穴107F、及び通水部22が通らない第一貫通穴107Fをそれぞれ用いて台座部23を取付基台101に固定する。この構成によれば、1つの第一貫通穴107Fを用いるよりも、台座部23の固定を強固にできる。
【0042】
自動水栓10は、通水部22を開閉する水栓部16Bを備えている。水栓部16Bは、取付基台101の下側に配置されている。この構成によれば、水栓部16Bを吐水部21に設けるよりも吐水部21を小さくできるから、意匠性を良くできる。
【0043】
自動水栓10は、センサ11と、制御部16Aと、を備えている。センサ11は、吐水部21に接近した手や物を検知する。制御部16Aは、センサ11からの信号に基づいて水栓部16Bを制御する。制御部16Aは、取付基台101の下側に配置されている。センサ11と制御部16Aとをつなぐ電線25は、2つの第一貫通穴107Fのうち通水部22が通る第一貫通穴107Fとは異なる第一貫通穴107Fを通る。この構成によれば、第一貫通穴107Fが小さくても、通水部22及び電線25を通すことができる。
【0044】
自動水栓10は、水栓部16Bの上流側に配置されて、湯と水とを混合する混合部17を備えている。この構成によれば、温度調整された水を自動で吐水及び止水できるから、使い勝手を良くできる。
【0045】
自動水栓10は、洗面ボウル100の排水栓102を開閉する排水操作部13を備えている。3つの貫通穴107のうち1つの穴は、排水操作部13を通す第二貫通穴107Sである。台座部23は、排水操作部13を通す第二貫通穴107Sも覆う。この構成によれば、排水操作部13を通す第二貫通穴107Sが露出するよりも見栄えを良くできる。
【0046】
固定部46は、第一貫通穴107Fを貫通した状態において、上下両側に開口する筒状の取付脚24を有している。取付脚24の上端部には、側方に開放された切欠部37が形成されている。この構成によれば、通水部22は、側方に開放された切欠部37から取付脚24の内側に通される。したがって、取付脚が切欠部を有しない場合よりも、台座部23の高さ寸法を小さくできる。
【0047】
<実施形態2>
本開示を具体化した実施形態2に係る自動水栓80を図12によって説明する。自動水栓80は、実施形態1において示した取付基台101と、取付基台101とは貫通穴82の配置が異なる取付基台81とのどちらにも取り付けることができる点で、実施形態1とは相違する。実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0048】
取付基台81には、3つの貫通穴82が形成されている。3つの貫通穴82は、実施形態1において示した貫通穴107よりも左右方向に広い間隔をあけて配置されている。3つの貫通穴82の大きさは等しく、前後方向の位置は揃っている。貫通穴82は、2つの第一貫通穴82Fと、1つの第二貫通穴82Sとを有している。第一貫通穴82Fは、取付基台81に取り付けられていた図示しない既設の手動水栓の取付脚、給水管及び給湯管を通す穴である。第二貫通穴82Sは、図示しない既設の手動水栓の通水部を通す穴である。
【0049】
自動水栓80の本体部20は、実施形態1と同様に、吐水部21と、通水部22と、台座部23と、固定部46と、を備えている。台座部23は、被固定部31を4つ備えている。被固定部31は、台座部23の左側及び右側に二ずつ設けられている。
【0050】
取付脚24は、4つの被固定部31のうち選択した2つに固定される。取付脚24を、4つの被固定部31のうち左右方向中央部に配置された2つの被固定部31に固定することによって、実施形態1において示した取付基台101に自動水栓80を設置できる。取付脚24を、4つの被固定部31のうち左右方向両端部に配置された2つの被固定部31に固定することによって、貫通穴82が形成された取付基台81に自動水栓80を設置できる。
【0051】
プレート41には、4つの第一開口部43Fと1つの第二開口部43Sとが備えられている。第一開口部43Fは、プレート41の左右両側に二ずつ形成されている。第一開口部43Fは、被固定部31の位置に配置されている。被固定部31に固定された取付脚24は、第一開口部43Fを貫通して下側に突出する。第二開口部43Sは、プレート41の左右方向中央部に設けられている。ガイド部45は、第二開口部43Sを貫通して下側に突出する。
【0052】
自動水栓80は、実施形態1と同様、既設の手動水栓の本体を覆わなくてよいから、大型化しにくく、デザインの制約も少ない。したがって、既設の手動水栓を自動水栓80に取り替える場合に、意匠性を良くできる。自動水栓80は、貫通穴の形態が異なる取付基台81,101のどちらにも取り付けることができる。
【0053】
<実施形態3>
次に、本開示を具体化した実施形態3に係る自動水栓90を図13図15によって説明する。本実施形態の自動水栓90は、馬蹄金具91を用いて取付基台101に固定される点で、実施形態1とは相違する。実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0054】
自動水栓90の本体部20は、実施形態1と同様に、吐水部21と、通水部22と、台座部23と、固定部92と、を備えている。台座部23は、図14に示すように、被固定部98を備えている。固定部92は、取付脚92A,馬蹄金具91、及び締付ナット93を有している。被固定部98には、取付脚92Aが固定される。取付脚92Aは、ボルトの軸のような細長い棒状である。取付脚92Aの外周面には、締付ナット93が締め付けられる螺旋状の溝が切られている。取付脚92Aの上端部は、被固定部98に締め付けられて固定される。
【0055】
プレート41には、図13に示すように、3つの開口部43と2つの挿入部99とが形成されている。開口部43は、円形状である。開口部43と挿入部99とは分けて形成されている。開口部43には、通水部22、電線25及び排水操作部13が一ずつ通される(図14参照)。挿入部99には、取付脚92Aが通される。
【0056】
図14に示すように、馬蹄金具91の上面94は傾斜している。馬蹄金具91には、第一通路95及び第二通路96が上下方向に貫通している。第一通路95には、取付脚92Aが貫通する。第二通路96には、通水部22及び電線25のいずれかが貫通する。第二通路96は、第一通路95よりも左右方向中央側に配置される。馬蹄金具91には、図15に示すように、側方に開放された開放部97が設けられている。開放部97は、台座部23の左右方向中央側に臨む。
【0057】
自動水栓90は、図14に示すように、第一貫通穴107Fを貫通して取付基台101の下方に突出した取付脚92Aに、馬蹄金具91、締付ナット93を順に組み付けて取付基台101に取り付けられる。締付ナット93を締め付けることによって、馬蹄金具91の上面94は、第一貫通穴107Fの下端の開口縁に接触した状態になる。馬蹄金具91と台座部23とによって取付基台101は挟持され、自動水栓90は取付基台101に固定される。
【0058】
自動水栓90は、実施形態1と同様、既設の手動水栓の本体を覆わなくてよいから、大型化しにくく、デザインの制約も少ない。したがって、既設の手動水栓を自動水栓90に取り替える場合に、意匠性を良くできる。
【0059】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態1,2において通水部22はホース26を備え、ホース26は取付脚24の切欠部37を通る。これに限らず、図16に示すように、通水部22は、樹脂製のエルボ200を備え、エルボ200を切欠部37に配置してもよい。
(2)上記実施形態では、通水部22及び電線25は、左右の第一貫通穴107Fに別々に通されている。これに限らず、通水部及び電線の両方を左右の第一貫通穴のうちいずれか一方の第一貫通穴に通しても良い。
(3)上記実施形態において通水部22は右側の第一貫通穴107Fに通され、電線25は左側の第一貫通穴197Fに通されている。これに限らず、通水部を左側の第一貫通穴に通し、電線を右側の第一貫通穴に通しても良い。
(4)上記実施形態において貫通穴107,82は、既設の手動水栓の取付脚106及び排水栓ノブ105のいずれかを通した穴である。これに限らず、貫通穴は、例えば既設の手動水栓の水せっけん入れ用の穴であってもよい。
(5)上記実施形態において自動水栓10,80,90は排水操作部13を備えている。これに限らず、自動水栓は排水操作部を備えなくても良い。例えば自動水栓は、台座部に鎖で繋げたゴム栓を備えていても良い。
(6)上記実施形態において水栓部16Bは取付基台101の下側に配置されている。これに限らず、水栓部は吐水部に設けても良い。この場合、水用の通水部及び湯用の通水部を貫通穴に一ずつ通してもよい。
(7)上記実施形態においてセンサ11は吐水部21に設けられている。これに限らず、センサは、台座部に設けても良い。
(8)上記実施形態において自動水栓10,80,90は、3つの貫通穴107,82が形成された取付基台101,81に取り付けられる。これに限らず、自動水栓は、例えば貫通穴が2つ形成された取付基台に取り付けるものでもよい。
(9)上記実施形態において台座部23は、排水操作部13用の第二貫通穴107S,82Sも覆っている。これに限らず、排水操作部用の穴を、台座部とは別の部材で塞いでも良い。
(10)上記実施形態では、台座部23と吐水部21とは別体である。これに限らず、台座部と吐水部とは一体成形してもよい。
(11)上記実施形態において自動水栓10,80,90は、吐水量を調整できるものであってもよい。
(12)上記実施形態では、固定部46,92の具体的な構成を例示した。これに限らず、固定部は、貫通穴を用いて台座部を取付基台に固定するものであれば、どのような固定手段であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
10,80,90…自動水栓、11…センサ、13…排水操作部、16A…制御部、16B…水栓部、17…混合部、21…吐水部、22…通水部、23…台座部、24…取付脚、25…電線、28…取付部、37…切欠部、46,92…固定部、100…洗面ボウル、101,81…取付基台、102…排水栓、103…手動水栓、107,82…貫通穴、107S,82S…第二貫通穴(排水操作部を通す穴)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16