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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138280
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】蓄電セルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20220915BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20220915BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20220915BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20220915BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20220915BHJP
   H01M 50/627 20210101ALI20220915BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01G11/84
H01M10/0585
H01M10/052
H01M50/35 101
H01M50/627
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038074
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】栗田 幹也
【テーマコード(参考)】
5E078
5H012
5H023
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5E078AA15
5E078LA06
5E078LA08
5H012AA07
5H012BB03
5H012CC08
5H012JJ06
5H023AA03
5H023AS01
5H023AS10
5H023BB10
5H023CC04
5H028AA08
5H028BB00
5H028BB01
5H028BB02
5H028BB03
5H028BB05
5H028BB10
5H028BB15
5H028CC08
5H028CC11
5H028CC19
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM07
5H029BJ12
5H029BJ17
5H029CJ04
5H029CJ05
5H029CJ12
5H029CJ13
5H029CJ16
5H029CJ28
(57)【要約】
【課題】廃棄物の量を低減できる蓄電セルの製造方法を提供する。
【解決手段】枠部15aの辺15a2~15a4と枠部16aの辺16a2~16a4とを互いに溶着する。次に、枠部15aの辺15a1と枠部16aの辺16a1との間を介して、集電体20と集電体21との間の空間S内に電解液Eを注入する。次に、延在部15bと延在部16bとの間に、ガス収集装置30の容器32に接続された管31の一端が配置された状態で、延在部15bの外縁部15beと延在部16bの外縁部16beとを互いに溶着する。次に、初期充放電を行う。次に、枠部15aの辺15a1と枠部16aの辺16a1とを互いに溶着する。次に、ガス収集装置30が除去されるように、延在部15b及び延在部16bを切断する。これにより、蓄電セル10が得られる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1集電体と前記第1集電体の一方面に設けられた正極活物質層とを有する正極と、第2集電体と前記第2集電体の一方面に設けられた負極活物質層とを有する負極とが、前記正極活物質層と前記負極活物質層とが向かい合う対向方向に積層された蓄電セルの製造方法において、
前記対向方向から見て前記第1集電体の前記一方面の縁部に、前記正極活物質層を取り囲む矩形状の第1枠部と、前記第1枠部の一辺から外側に延在する第1延在部とを有する第1樹脂部材を設ける第1樹脂部材配置工程と、
前記対向方向から見て前記第2集電体の前記一方面の縁部に、前記負極活物質層を取り囲む矩形状の第2枠部と、前記第2枠部の一辺から外側に延在する第2延在部とを有する第2樹脂部材を設ける第2樹脂部材配置工程と、
前記対向方向において、前記正極活物質層と前記負極活物質層とがセパレータを挟んで対向し、前記第1枠部と前記第2枠部とが互いに対向するとともに前記第1延在部と前記第2延在部とが互いに対向するように前記正極と前記負極とを積層する積層工程と、
前記第1枠部の前記一辺を除く三辺と前記第2枠部の前記一辺を除く三辺とを互いに溶着する第1溶着工程と、
前記第1溶着工程の後、前記第1枠部の前記一辺と前記第2枠部の前記一辺との間を介して、前記第1集電体と前記第2集電体との間の空間内に電解液を注入する電解液注入工程と、
前記第1溶着工程の後、前記第1延在部と前記第2延在部との間に管の一端が配置された状態で、前記第1延在部の外縁部と前記第2延在部の外縁部とを互いに溶着する第2溶着工程と、
前記電解液注入工程及び前記第2溶着工程の後、前記第1延在部と前記第2延在部との間に、ガス収集装置の容器に接続された前記管の前記一端が配置された状態で、前記正極、前記負極及び前記セパレータを含む積層体の初期充放電を行う初期充放電工程と、
前記初期充放電工程の後、前記第1枠部の前記一辺と前記第2枠部の前記一辺とを互いに溶着する第3溶着工程と、
前記初期充放電工程の後、前記ガス収集装置が除去されるように、前記第1延在部及び前記第2延在部を切断する切断工程と、
を含む、蓄電セルの製造方法。
【請求項2】
前記電解液注入工程において、前記電解液を注入するための注液管は、前記注液管の先端が前記第1延在部と前記第2延在部との間に位置するように配置される、請求項1に記載の蓄電セルの製造方法。
【請求項3】
前記注液管は、前記ガス収集装置の前記容器に接続された前記管として用いられる、請求項2に記載の蓄電セルの製造方法。
【請求項4】
前記第1延在部の外表面及び前記第2延在部の外表面のうち少なくとも1つに補強部材を設ける工程を更に含み、前記第1延在部の前記外表面は、前記第1集電体の前記一方面に沿って延在し、前記対向方向において前記第1集電体側に位置し、前記第2延在部の前記外表面は、前記第2集電体の前記一方面に沿って延在し、前記対向方向において前記第2集電体側に位置する、請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電セルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電セルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、正極活物質層が設けられた集電体と、セパレータと、負極活物質層が設けられた集電体と、を積層させて二次電池を製造する方法を開示する。この方法では、まず、集電体の片面に、接合用領域が全周にわたって略同一幅で生じるように、正極活物質層を形成し、正極用積層体を得る。次に、集電体の片面に、接合用領域が全周にわたって略同一幅で生じるようにかつ当該接合用領域の一部が外方に突出した突出部を有するように、負極活物質層を形成し、負極用積層体を得る。次に、負極用積層体より大きいシール材、及びセパレータを負極用積層体と正極用積層体との間に挟みこんだ後、突出部が開放するように封止して、開放端部を有する積層体を形成する。次に、開放端部から電解液を注入した後、開放端部を封止する。次に、積層体を充電した後、突出部を切断し、再度開放端部を形成し、ガス抜きを行なう。次に、開放端部を再度封止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-207438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二次電池が大型化すると、充電時に発生するガスの量が増加する。その場合、上述の方法では、より大量のガスを貯蔵するために、突出部の面積を大きくする必要がある。突出部は切断により除去されるので、二次電池を製造する際に、廃棄物の量が増加してしまう。
【0005】
本開示は、廃棄物の量を低減できる蓄電セルの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る蓄電セルの製造方法は、第1集電体と前記第1集電体の一方面に設けられた正極活物質層とを有する正極と、第2集電体と前記第2集電体の一方面に設けられた負極活物質層とを有する負極とが、前記正極活物質層と前記負極活物質層とが向かい合う対向方向に積層された蓄電セルの製造方法において、前記対向方向から見て前記第1集電体の前記一方面の縁部に、前記正極活物質層を取り囲む矩形状の第1枠部と、前記第1枠部の一辺から外側に延在する第1延在部とを有する第1樹脂部材を設ける第1樹脂部材配置工程と、前記対向方向から見て前記第2集電体の前記一方面の縁部に、前記負極活物質層を取り囲む矩形状の第2枠部と、前記第2枠部の一辺から外側に延在する第2延在部とを有する第2樹脂部材を設ける第2樹脂部材配置工程と、前記対向方向において、前記正極活物質層と前記負極活物質層とがセパレータを挟んで対向し、前記第1枠部と前記第2枠部とが互いに対向するとともに前記第1延在部と前記第2延在部とが互いに対向するように前記正極と前記負極とを積層する積層工程と、前記第1枠部の前記一辺を除く三辺と前記第2枠部の前記一辺を除く三辺とを互いに溶着する第1溶着工程と、前記第1溶着工程の後、前記第1枠部の前記一辺と前記第2枠部の前記一辺との間を介して、前記第1集電体と前記第2集電体との間の空間内に電解液を注入する電解液注入工程と、前記第1溶着工程の後、前記第1延在部と前記第2延在部との間に管の一端が配置された状態で、前記第1延在部の外縁部と前記第2延在部の外縁部とを互いに溶着する第2溶着工程と、前記電解液注入工程及び前記第2溶着工程の後、前記第1延在部と前記第2延在部との間に、ガス収集装置の容器に接続された前記管の前記一端が配置された状態で、前記正極、前記負極及び前記セパレータを含む積層体の初期充放電を行う初期充放電工程と、前記初期充放電工程の後、前記第1枠部の前記一辺と前記第2枠部の前記一辺とを互いに溶着する第3溶着工程と、前記初期充放電工程の後、前記ガス収集装置が除去されるように、前記第1延在部及び前記第2延在部を切断する切断工程と、を含む。
【0007】
上記蓄電セルの製造方法によれば、初期充放電工程において発生したガスが、管を通ってガス収集装置の容器に移動する。このため、対向方向から見たときに、第1延在部及び第2延在部の面積を小さくすることができる。よって、切断工程において発生する廃棄物(第1延在部及び第2延在部)の量を低減できる。
【0008】
前記電解液注入工程において、前記電解液を注入するための注液管は、前記注液管の先端が前記第1延在部と前記第2延在部との間に位置するように配置されてもよい。この場合、注液管の接触による第1枠部及び第2枠部の損傷を抑制できる。
【0009】
前記注液管は、前記ガス収集装置の前記容器に接続された前記管として用いられてもよい。この場合、注液管を抜かずに初期充放電工程を行うことができる。
【0010】
上記蓄電セルの製造方法は、前記第1延在部の外表面及び前記第2延在部の外表面のうち少なくとも1つに補強部材を設ける工程を更に含み、前記第1延在部の前記外表面は、前記第1集電体の前記一方面に沿って延在し、前記対向方向において前記第1集電体側に位置し、前記第2延在部の前記外表面は、前記第2集電体の前記一方面に沿って延在し、前記対向方向において前記第2集電体側に位置してもよい。この場合、補強部材によって第1延在部及び第2延在部が補強される。よって、管の接触による第1延在部及び第2延在部の損傷を抑制できる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、廃棄物の量を低減できる蓄電セルの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態の蓄電セルを備える蓄電装置を示す概略的な断面図である。
図2図2は、一実施形態の蓄電セルの製造方法における一工程を示す平面図である。
図3図3は、一実施形態の蓄電セルの製造方法における一工程を示す平面図である。
図4図4は、一実施形態の蓄電セルの製造方法における一工程を示す平面図である。
図5図5は、図4のV-V線に沿った断面図である。
図6図6は、一実施形態の蓄電セルの製造方法における一工程を示す平面図である。
図7図7は、図6のVII-VII線に沿った断面図である。
図8図8は、一実施形態の蓄電セルの製造方法における一工程を示す断面図である。
図9図9は、一実施形態の蓄電セルの製造方法における一工程を示す平面図である。
図10図10は、図9のX-X線に沿った断面図である。
図11図11は、一実施形態の蓄電セルの製造方法における一工程を示す平面図である。
図12図12は、一実施形態の蓄電セルの製造方法における一工程を示す平面図である。
図13図13は、他の一実施形態の蓄電セルの製造方法における一工程を示す平面図である。
図14図14は、図13のXIV-XIV線に沿った断面図である。
図15図15は、他の一実施形態の蓄電セルの製造方法における一工程を示す平面図である。
図16図16は、図15のXVI-XVI線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。図面には、必要に応じて、互いに交差(例えば直交)するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向を有する座標系が示される。
【0014】
図1は、一実施形態の蓄電装置を示す概略的な断面図である。図1に示す蓄電装置1は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリに用いられる蓄電モジュールである。蓄電装置1は、例えばニッケル水素二次電池又はリチウムイオン二次電池等の二次電池である。蓄電装置1は、電気二重層キャパシタであってもよいし、全固体電池であってもよい。本実施形態では、蓄電装置1がリチウムイオン二次電池である場合を例示する。
【0015】
蓄電装置1は、複数の蓄電セル10が積層方向にスタック(積層)されたセルスタック5(積層体)を含んで構成されている。以下では、複数の蓄電セル10の積層方向を単に積層方向と言う。積層方向から見て、蓄電装置1は、例えば、辺が50cm以上の矩形形状を有する。各蓄電セル10は、図1に示すように、正極11と、負極12と、セパレータ13と、スペーサ14とを備える。正極11は、集電体20(第1集電体)と、集電体20の一方面20aに設けられた正極活物質層22とを備える。正極11は、例えば積層方向から見て矩形状の電極である。負極12は、集電体21(第2集電体)と、集電体21の一方面21aに設けられた負極活物質層23とを備える。負極12は、例えば積層方向から見て矩形状の電極である。負極12は、負極活物質層23が正極活物質層22と積層方向において互いに対向するように配置されている。つまり、正極11及び負極12の対向する方向は積層方向と一致している。本実施形態では、正極活物質層22及び負極活物質層23は、いずれも矩形状に形成されている。負極活物質層23は、正極活物質層22よりも一回り大きく形成されており、積層方向から見て、正極活物質層22の形成領域の全体が負極活物質層23の形成領域内に位置している。
【0016】
集電体20は、一方面20aとは反対側の面である他方面20bを有する。他方面20bには、正極活物質層22が形成されていない。集電体21は、一方面21aとは反対側の面である他方面21bを有する。他方面21bには、負極活物質層23が形成されていない。集電体20の他方面20bと集電体21の他方面21bとが互いに接するように、蓄電セル10がスタックされることによって、セルスタック5が構成される。これにより、複数の蓄電セル10が電気的に直列に接続される。セルスタック5では、積層方向に隣り合う蓄電セル10,10により、互いに接する集電体20及び集電体21を電極体とする疑似的なバイポーラ電極2が形成される。すなわち、1つのバイポーラ電極2は、集電体20、集電体21、正極活物質層22及び負極活物質層23を含む。積層方向の一端には、第1終端電極が配置され、第1終端電極は、集電体20と正極活物質層22とを含む。積層方向の他端には、第2終端電極が配置され、第2終端電極は、集電体21と負極活物質層23とを含む。
【0017】
集電体20及び集電体21のそれぞれ(以下、単に「集電体」ともいう)は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、正極活物質層22及び負極活物質層23に電流を流し続けるための化学的に不活性な電気伝導体である。集電体を構成する材料としては、例えば、金属材料、導電性樹脂材料、導電性無機材料等を用いることができる。導電性樹脂材料としては、例えば、導電性高分子材料、非導電性高分子材料に導電性フィラーが添加された樹脂等が挙げられる。集電体は、前述した金属材料や導電性樹脂材料や導電性無機材料等を含む1以上の層を含む複数層を備えてもよい。集電体の表面は、公知の保護層により被覆されてもよい。集電体の表面に、メッキ処理又はスプレーコート等の公知の方法により被覆層を形成してもよい。例えば、集電体の表面(例えば一方面20a及び一方面21a)に炭素膜が設けられてもよい。集電体は、例えば、板状、箔状、シート状、フィルム状、メッシュ状等の形態に形成されていてもよい。集電体を金属箔とする場合、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、チタン箔又はステンレス鋼箔等を用いることができる。集電体としてアルミニウム箔、銅箔、ステンレス鋼箔(例えばJISG4305:2015にて規定されるSUS304、SUS316、SUS301等)を用いた場合、集電体の機械的強度を確保することができる。集電体は、上記金属箔の金属材料の合金箔又はクラッド箔であってもよい。また、集電体20及び集電体21は、一体化していてもよい。一体化した集電体20及び集電体21として、箔の両面に互いに異なる種類の金属が露出した金属箔を用いてもよい。例えば、アルミニウム箔の一方面に銅メッキを施した箔を用いてもよい。本実施形態において、集電体20はアルミニウム箔であり、集電体21は銅箔である。箔状の集電体を用いる場合、その厚みは、例えば、1μm~100μmとしてよい。
【0018】
正極活物質層22は、リチウムイオン等の電荷担体を吸蔵及び放出し得る正極活物質を含む。正極活物質としては、層状岩塩構造を有するリチウム複合金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物、ポリアニオン系化合物など、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用可能なものを採用すればよい。また、2種以上の正極活物質を併用してもよい。本実施形態において、正極活物質層22はポリアニオン系化合物としてのオリビン型リン酸鉄リチウムを含む。
【0019】
負極活物質層23は、リチウムイオンなどの電荷担体を吸蔵及び放出可能である単体、合金又は化合物であれば特に限定はなく使用可能である。例えば、負極活物質としてLiや、炭素、金属化合物、リチウムと合金化可能な元素もしくはその化合物等が挙げられる。炭素としては天然黒鉛、人造黒鉛、あるいはハードカーボン(難黒鉛化性炭素)やソフトカーボン(易黒鉛化性炭素)を挙げることができる。人造黒鉛としては、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ等が挙げられる。リチウムと合金化可能な元素の例としては、シリコン(ケイ素)及びスズが挙げられる。本実施形態において、負極活物質層23は炭素としての黒鉛を含む。
【0020】
正極活物質層22及び負極活物質層23のそれぞれ(以下、単に「活物質層」ともいう)は、必要に応じて電気伝導性を高めるための導電助剤、結着剤、電解質(ポリマーマトリクス、イオン伝導性ポリマー、電解液等)、イオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)等をさらに含み得る。活物質層に含まれる成分又は当該成分の配合比及び活物質層の厚さは特に限定されず、リチウムイオン二次電池についての従来公知の知見が適宜参照され得る。活物質層の厚みは、例えば2μm~150μmである。集電体の表面に活物質層を形成させるには、ロールコート法等の従来から公知の方法を用いてもよい。正極11又は負極12の熱安定性を向上させるために、集電体の表面(片面又は両面)又は活物質層の表面に耐熱層を設けてもよい。耐熱層は、例えば、無機粒子と結着剤とを含み、その他に増粘剤等の添加剤を含んでもよい。
【0021】
導電助剤は、正極11又は負極12の導電性を高めるために添加される。導電助剤は、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等である。
【0022】
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸等のアクリル系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩、水溶性セルロースエステル架橋体、デンプン-アクリル酸グラフト重合体を例示することができる。これらの結着剤は、単独で又は複数で用いられ得る。溶媒には、例えば、水、N-メチル-2-ピロリドン等が用いられる。
【0023】
セパレータ13は、正極11と負極12とを隔離し、両極の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオン等の電荷担体を通過させる。セパレータ13は、正極11と負極12との間に配置されている。セパレータ13は、蓄電セル10をスタックした際に隣り合うバイポーラ電極2,2間の短絡を防止する。
【0024】
セパレータ13は、例えば、電解質を吸収保持するポリマーを含むものであってもよい。セパレータ13を構成する材料としては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン或いはメチルセルロース等を用いることができる。セパレータ13は、多孔性シートや織布や不織布等として構成されていてもよい。セパレータ13は、単層構造又は多層構造を有してもよい。多層構造は、例えば、接着層、耐熱層としてのセラミック層等を有してもよい。セパレータ13には、電解質が含浸されてもよい。セパレータ13自体を高分子固体電解質又は無機固体型電解質等の電解質で構成してもよい。
【0025】
セパレータ13に含浸される電解質としては、例えば、非水溶媒と非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む液体電解質(電解液)、又はポリマーマトリックス中に保持された電解質を含む高分子ゲル電解質などが挙げられる。
【0026】
セパレータ13に電解液が含浸される場合、その電解質塩として、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(FSO、LiN(CFSO等の公知のリチウム塩を使用できる。また、非水溶媒として、環状カーボネート類、環状エステル類、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類、エーテル類等の公知の溶媒を使用できる。なお、これら公知の溶媒材料を二種以上組合せて用いてもよい。
【0027】
スペーサ14は、負極活物質層23の厚み方向から見て負極活物質層23を取り囲むように、集電体20と集電体21との間に配置される。スペーサ14は、正極活物質層22の厚み方向から見て正極活物質層22を取り囲むように配置される。スペーサ14は、集電体20及び集電体21に接合又は固定される。スペーサ14は、絶縁材料を含み、集電体20と集電体21との間を絶縁することによって短絡を防止する。スペーサ14を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、変性ポリプロピレン、ABS樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂等が挙げられる。本実施形態において、スペーサ14は、絶縁材料として樹脂であるポリエチレンを含む。
【0028】
本実施形態において、スペーサ14は、集電体20の縁部20e及び集電体21の縁部21eの少なくとも一方に沿って延在し、正極活物質層22及び負極活物質層23の少なくとも一方を取り囲む枠である。
【0029】
本実施形態において、スペーサ14は、正極11及び負極12との間の空間Sを封止する封止部としても機能する。本実施形態では、各蓄電セル10に配置されるスペーサ14は、集電体20と集電体21との間に配置される第1部分14bと、集電体21の縁部21e(又は集電体20の縁部20e)よりも外側に延びる第2部分14cとを有している。セルスタック5の積層方向に隣り合うスペーサ14の外側に延びる第2部分14c同士は接合されて一体化している。複数のスペーサ14が一体化されて封止体14aを形成している。スペーサ14、正極11及び負極12によって囲まれた空間Sには、セパレータ13に含浸される電解質(電解液)が収容されている。スペーサ14は、積層方向から見て矩形の枠状をなしており、集電体21の縁部21eに接着されている。封止体14aは、セルスタック5の積層方向の一端に配置された集電体20から積層方向の他端に配置された集電体21まで積層方向に延在している。封止体14aは筒状の部材である。
【0030】
スペーサ14は、正極11と負極12との間の空間Sを封止することで、空間Sから外部への電解質の露出を防止し得る。また、スペーサ14は、正極11及び負極12との間の空間Sを封止することで、蓄電装置1の外部から空間S内への水分の浸入を防止し得る。さらに、スペーサ14は、例えば充放電反応等により正極11又は負極12から発生したガスが蓄電装置1の外部に漏れることを防止し得る。
【0031】
以下、図2図12を参照しながら、一実施形態の蓄電セルの製造方法について説明する。図1に示される蓄電セル10は以下のように製造され得る。蓄電セル10では、正極11と負極12とが、正極活物質層22と負極活物質層23とが向かい合う対向方向(Z軸方向)に積層されている。
【0032】
(第1樹脂部材配置工程)
まず、図2に示されるように、Z軸方向から見て集電体20の一方面20aの縁部20aeに第1樹脂部材15を設ける。第1樹脂部材15は、正極活物質層22を取り囲む矩形状の枠部15a(第1枠部)と、枠部15aの辺15a1(一辺)から外側に延在する延在部15b(第1延在部)とを有する。本実施形態では、枠部15aが集電体20の一方面20aの縁部20aeに溶着される。一方面20aに沿ったX軸方向において、延在部15bは枠部15aの辺15a1から遠ざかるように延在する。枠部15a及び延在部15bは、境界Bにおいて接続されており、一体化されている。延在部15bの外縁部15beは、例えば矩形形状を有するが、辺15a1から遠ざかるに連れて先細りとなる三角形の形状を有してもよい。枠部15aは、例えば矩形形状を有する内縁部15asを有する。Z軸方向から見て、内縁部15asは正極活物質層22から離間している。枠部15aは、辺15a1~15a4のそれぞれにおいて同一の幅D1を有する。幅D1は内縁部15asから外縁部までの距離である。延在部15bは、例えば、X軸方向において、枠部15aの幅D1よりも大きい長さD2を有する。延在部15bの長さD2は、例えば、枠部15aの幅D1の2倍以上4倍以下であってもよく、枠部16aの幅D1と同等もしくは幅D1以下であってもよい。枠部15aの幅D1は例えば10~15mmである。延在部15bの長さD2は例えば40~45mmである。
【0033】
(第2樹脂部材配置工程)
次に、図3に示されるように、Z軸方向から見て集電体21の一方面21aの縁部21aeに第2樹脂部材16を設ける。第2樹脂部材16は、第1樹脂部材15と同じ形状を有する。第2樹脂部材16は、負極活物質層23を取り囲む矩形状の枠部16a(第2枠部)と、枠部16aの辺16a1(一辺)から外側に延在する延在部16b(第2延在部)とを有する。本実施形態では、枠部16aが集電体21の一方面21aの縁部21aeに溶着される。一方面21aに沿ったX軸方向において、延在部16bは枠部16aの辺16a1から遠ざかるように延在する。枠部16a及び延在部16bは、境界Bにおいて接続されており、一体化されている。延在部16bの外縁部16beは、例えば矩形形状を有するが、辺16a1から遠ざかるに連れて先細りとなる三角形の形状を有してもよい。枠部16aは、例えば矩形形状を有する内縁部16asを有する。Z軸方向から見て、内縁部16asは負極活物質層23から離間している。枠部16aは、辺16a1~16a4のそれぞれにおいて幅D1を有する。幅D1は内縁部16asから外縁部までの距離である。延在部16bは、例えば、X軸方向において、枠部16aの幅D1よりも大きい長さD2を有する。延在部16bの長さD2は、例えば、枠部16aの幅D1の2倍以上4倍以下であってもよく、枠部16aの幅D1と同等もしくは幅D1以下であってもよい。枠部16aの幅D1は例えば10~15mmである。延在部16bの長さD2は例えば40~45mmである。
【0034】
(積層工程)
次に、図4及び図5に示されるように、Z軸方向において、正極活物質層22と負極活物質層23とがセパレータ13を挟んで対向し、第1樹脂部材15及び第2樹脂部材16が互いに対向するように、正極11と負極12とを積層する。枠部15a及び枠部16aは互いに対向している。延在部15b及び延在部16bは互いに対向している。すなわち、第1樹脂部材15及び第2樹脂部材16は、Z軸方向から見て互いに重なっている。
【0035】
積層工程は例えば以下のように行われる。第1樹脂部材15と正極11とを含む正極ユニットと、セパレータ13と、第2樹脂部材16と負極12とを含む負極ユニットとを順に積層する。この積層工程では、第1樹脂部材15及び第2樹脂部材16を互いに当接させる。
【0036】
(第1溶着工程)
次に、図6及び図7に示されるように、枠部15aの辺15a2~15a4(三辺)と枠部16aの辺16a2~16a4(三辺)とを互いに溶着する。このようにして、図6において斜線で示される溶着部W1~W3が形成される。溶着部W1は、枠部15aの辺15a3と枠部16aの辺16a3とが互いに溶着されることにより形成される。溶着部W2は、枠部15aの辺15a2と枠部16aの辺16a2とが互いに溶着されることにより形成される。溶着部W3は、枠部15aの辺15a4と枠部16aの辺16a4とが互いに溶着されることにより形成される。
【0037】
本実施形態では、延在部15bの外縁部15beの一部と延在部16bの外縁部16beの一部とが互いに溶着されている。具体的には、Z軸方向から見て、枠部16aの辺16a2に接続される第1縁領域R1と、枠部16aの辺16a4に接続される第2縁領域R2とにおいて、延在部15bの外縁部15beと延在部16bの外縁部16beとが互いに溶着される。よって、溶着部W2は第1縁領域R1及び第2縁領域R2においても形成される。Z軸方向から見て、第1縁領域R1と第2縁領域R2とを繋ぐ第3縁領域R3と、第1縁領域R1~第3縁領域R3によって囲まれる中心領域Rcとにおいて、延在部15bと延在部16bとは互いに溶着されていない。
【0038】
溶着部W1~W3は、第1樹脂部材15及び第2樹脂部材16の外側面(Z軸方向に延在する面)に熱板を押し当てることによって形成されてもよいし、Z軸方向において第1樹脂部材15及び第2樹脂部材16を挟みながら加熱することによって形成されてもよい。セパレータ13を位置決めするために、境界Bに沿って、第1樹脂部材15と第2樹脂部材16とが互いに仮止めされてもよい。
【0039】
(電解液注入工程)
次に、図8に示されるように、Z軸方向における枠部15aの辺15a1と枠部16aの辺16a1との間を介して、集電体20と集電体21との間の空間S内に電解液Eを注入する。本実施形態では、図6に示すように、第3縁領域R3が互いに溶着されていない。これにより第1樹脂部材15の外縁部15eと第2樹脂部材16の外縁部16eとの間に開口OPが形成され、この開口OPを介して空間S内に電解液Eを注入する。開口OPは、第3縁領域R3において第1樹脂部材15の外縁部15eと第2樹脂部材16の外縁部16eとを互いに離間するように移動させることによって形成され得る。電解液注入工程では、例えば、この開口OPに注液管を挿入して電解液Eを注入できる。
【0040】
本実施形態では、開口OPが上を向くように、正極11及び負極12を水平方向Hに対して角度θだけ傾斜させた状態で電解液Eの注入が行われる。これにより、電解液Eの逆流を防ぐことができる。角度θは、0°より大きく、90°以下であってもよい。
【0041】
(第2溶着工程)
次に、図9及び図10に示されるように、延在部15bと延在部16bとの間に、ガス収集装置30の容器32に接続された管31の一端(先端31t)が配置された状態で、延在部15bの外縁部15beと延在部16bの外縁部16beとを互いに溶着する。管31の他端は、Z軸方向から見て第1樹脂部材15及び第2樹脂部材16の外側に位置する。このようにして、図9において斜線で示される溶着部W4が形成される。溶着部W4は、第3縁領域R3において、延在部15bの外縁部15beと延在部16bの外縁部16beとが互いに溶着されることにより形成される。溶着部W4は、溶着部W1~W3と同様の方法により形成され得る。
【0042】
ガス収集装置30は、内部に流路を有する管31と、管31に接続された容器32とを備える。管31と容器32とを別体で構成する場合、その接続部分は気密にシールされている。管31の流路を介して、容器32の内部と空間Sとが接続される。管31は、例えばセル内に向けて先細りとなるノズルを備えたものであってもよい。容器32は、例えばラミネートフィルムや金属箔などで構成された袋状のガス採集バッグであってもよい。本実施形態では、管31は、管31の先端31tが第1樹脂部材15の延在部15bと第2樹脂部材16の延在部16bとの間に位置するように配置される。管31の先端31tは、境界Bまで到達していない。管31の先端31tは、Z軸方向から見て、第3縁領域R3と境界Bとの間に位置する。
【0043】
(初期充放電工程)
次に、延在部15bと延在部16bとの間に、ガス収集装置30の容器32に接続された管31の一端(先端31t)が配置された状態で、正極11、負極12及びセパレータ13を含む積層体の初期充放電(活性化又はコンディショニング)を行う。初期充放電により空間Sで発生したガスは、互いに溶着されていない延在部15bと延在部16bとの間から管31を通ってガス収集装置30の容器32に収集される。ガスの発生量は、積層体から形成される蓄電セル10の大型化に伴って増加する。
【0044】
(第3溶着工程)
次に、図11に示されるように、枠部15aの辺15a1と枠部16aの辺16a1とを互いに溶着する。このようにして、図11において斜線で示される溶着部W5が形成される。溶着部W5は、境界Bに沿って形成される。延在部15b及び延在部16bのうち境界Bに沿った部分に溶着部W5が形成されてもよい。溶着部W5は、Z軸方向において第1樹脂部材15及び第2樹脂部材16を挟みながら加熱することによって形成され得る。溶着部W1~W3及びW5によって、集電体20と集電体21との間の空間Sが封止される。
【0045】
(切断工程)
次に、図12に示されるように、ガス収集装置30が除去されるように、延在部15b及び延在部16bを切断する。本実施形態では、境界Bにおいて延在部15b及び延在部16bが切断されるので、枠部15a及び枠部16aから構成されるスペーサ14が得られる。第3溶着工程の後に切断工程を行うと、空間Sが封止された状態で切断を行うことができるので、切断工程における電解液Eの漏れを抑制できる。矩形枠状のスペーサ14の1つの外側面(Z軸方向に延在する面)は、他の3つの外側面とは異なる切断面となっている。このようにして、蓄電セル10を製造することができる。複数の蓄電セル10をスタックして、隣り合うスペーサ14同士を溶着することによって、蓄電装置1の封止体14aが得られる。このようにして、蓄電装置1を製造することができる。
【0046】
本実施形態に係る蓄電セル10の製造方法によれば、初期充放電工程において発生したガスが、管31を通ってガス収集装置30の容器32に移動する。このため、Z軸方向から見たときに、延在部15b及び延在部16bの面積を小さくすることができる。よって、切断工程において発生する廃棄物(延在部15b及び延在部16b)の量を低減できる。したがって、蓄電セル10の製造コストを低減できる。また、ガス収集装置30の管31の接触によって延在部15b及び延在部16bが損傷しても、切断により延在部15b及び延在部16bが除去される。そのため、得られる蓄電セル10においてスペーサ14が損傷する可能性を低減できる。また、管31の接触により延在部15b及び延在部16bが変形しても、集電体20及び集電体21に加わる応力は小さい。よって、集電体20及び集電体21の変形や破れ等を防止できる。また、本実施形態では、ガス収集装置30を用いてガスを収集するので、大量のガスを収集できる。蓄電セル10が、Z軸方向から見て例えば50cm以上の辺を含む矩形形状を有する場合、蓄電セル10の大型化によりガスの発生量が増加する。そのような場合でも空間S内の圧力上昇を抑制できる。よって、ガスの内圧により第1樹脂部材15及び第2樹脂部材16が損傷する可能性も低減できる。また、ガス収集装置30を再利用することができる。
【0047】
管31の先端31tが延在部15bと延在部16bとの間に位置する場合、管31の接触による枠部15a及び枠部16aの損傷を抑制できる。
【0048】
次に、図13図14を参照しながら、他の一実施形態の蓄電セルの製造方法について説明する。本実施形態の蓄電セルの製造方法では、以下のように電解液注入工程が行われること以外は上記実施形態と同じ工程が行われる。これにより、図1に示される蓄電セル10が製造される。
【0049】
(電解液注入工程)
開口OPに複数の注液管Cを挿入して、集電体20と集電体21との間の空間S内に電解液Eを注入してもよい。このとき、注液管Cは、注液管Cの先端Ctが延在部15bと延在部16bとの間に位置するように配置される。電解液Eの注入が終了した後、注液管Cは開口OPから抜き取られる。
【0050】
本実施形態によれば、注液管Cの接触による枠部15a及び枠部16aの損傷を抑制できる。
【0051】
電解液注入工程の前に第2溶着工程を行ってもよい。例えば、延在部15bと延在部16bとの間に、連通部材が配置された状態で、延在部15bと延在部16bとを互いに溶着する。具体的には、第3縁領域R3において、延在部15bの外縁部15beと延在部16bの外縁部16be、延在部15bの外縁部15beと連通部材、及び、延在部16bの外縁部16beと連通部材とが互いに溶着される。連通部材は、内部に流路を備えた管状の部材であり、一方の開口端が空間S内に位置し、他方の開口端が延在部15b及び延在部16bの外部に位置する。延在部15b及び延在部16bの外部に位置する連通部材の開口端に注液装置を接続することで、連通部材は注液管Cとして機能する。電解液注入工程の後、連通部材から注液装置を取り外して、連通部材にガス収集装置30の容器32を接続する。連通部材はガス収集装置30の管31として機能する。この状態で初期充放電工程を行うことで、連通部材を介してガスが容器32に収集される。この場合、注液管Cは、ガス収集装置30の容器32に接続された管31として用いられる。これにより、注液管Cを抜かずに初期充放電工程を行うことができる。
【0052】
次に、図15図16を参照しながら、他の一実施形態の蓄電セルの製造方法について説明する。本実施形態の蓄電セルの製造方法は、補強部材配置工程を更に含むこと以外は上記実施形態の蓄電セルの製造方法と同じである。これにより、図1に示される蓄電セル10が製造される。
【0053】
(補強部材配置工程)
図15及び図16に示されるように、延在部15bの外表面15bs及び延在部16bの外表面16bsにそれぞれ補強部材40を設ける。延在部15bの外表面15bsは、集電体20の一方面20aに沿って延在し、Z軸方向において集電体20側に位置する。延在部16bの外表面16bsは、集電体21の一方面21aに沿って延在し、Z軸方向において集電体21側に位置する。
【0054】
本実施形態において、補強部材配置工程は、第1樹脂部材配置工程及び第2樹脂部材配置工程と同時に行われる。補強部材40は、外表面15bs及び外表面16bsのそれぞれに溶着される。例えば、集電体20が枠部15aに溶着される時に補強部材40は延在部15bの外表面15bsに溶着される。集電体21が枠部16aに溶着される時に補強部材40は延在部16bの外表面16bsに溶着される。補強部材40は、X軸方向において集電体20又は集電体21から離間して配置される。境界Bは、X軸方向において、補強部材40と集電体20又は集電体21との間の隙間に位置している。補強部材40は、第1樹脂部材15及び第2樹脂部材16の融点のうち高い方の融点よりも高い融点を有してもよい。補強部材40は、例えば金属板等の金属部材であってもよいし、例えば樹脂板等の樹脂部材であってもよい。金属部材は、集電体20又は集電体21と同じ集電体であってもよい。樹脂部材の材料の例は、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートを含んでいてもよい。補強部材40は、延在部15b及び延在部16bのいずれか一方のみに設けられてもよい。
【0055】
本実施形態によれば、補強部材40によって延在部15b及び延在部16bが補強される。封止工程では、Z軸方向において、補強部材40が管31上に位置する。よって、管31の接触による延在部15b及び延在部16bの損傷を抑制できる。また、Z軸方向において境界B上に補強部材40が位置していないので、切断工程において、境界Bの位置合わせが容易になり、延在部15b及び延在部16bの切断も容易になる。
【0056】
以上、本開示の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本開示は上記実施形態に限定されない。
【0057】
例えば、上記実施形態では、第3溶着工程の後に切断工程が行われるが、切断工程の後に第3溶着工程が行われてもよい。この場合、境界Bに形成される枠部15a及び枠部16aの切断面に熱板を押し当てて溶着を行うことによって溶着部W5を形成できる。切断工程は、第3縁領域R3が上を向くように、正極11及び負極12を水平方向に対して傾斜させた状態で行われる。これにより、切断時の電解液Eの漏れを抑制できる。
【0058】
また、上記実施形態では、境界Bにおいて延在部15b及び延在部16bが切断されるが、境界Bよりも延在部15b及び延在部16b側において延在部15b及び延在部16bが切断されてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10…蓄電セル、11…正極、12…負極、13…セパレータ、15…第1樹脂部材、15a…枠部(第1枠部)、15a1…辺(一辺)、15a2~15a4…辺(三辺)、15b…延在部(第1延在部)、15bs,16bs…外表面、15be,16be…外縁部、16…第2樹脂部材、16a…枠部(第2枠部)、16a1…辺(一辺)、16a2~16a4…辺(三辺)、16b…延在部(第2延在部)、20…集電体(第1集電体)、20a,21a…一方面、20ae,21ae…縁部、21…集電体(第2集電体)、22…正極活物質層、23…負極活物質層、30…ガス収集装置、31…管、31t…先端、32…容器、40…補強部材、E…電解液、C…注液管、Ct…先端。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16