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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138301
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】固定治具および固定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/82 20060101AFI20220915BHJP
   E04G 23/00 20060101ALI20220915BHJP
   E04H 12/08 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G01N27/82
E04G23/00
E04H12/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038104
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中尾 亮介
(72)【発明者】
【氏名】原 崇晃
【テーマコード(参考)】
2E176
2G053
【Fターム(参考)】
2E176AA07
2E176AA11
2E176BB01
2E176BB38
2G053AA12
2G053BA03
2G053BA12
2G053BA13
2G053BC14
2G053CA03
2G053DA01
2G053DB02
2G053DB14
(57)【要約】
【課題】計測ユニットを金属製柱状物に精度良く位置決めすることが可能な固定治具を提供する。
【解決手段】固定治具1は、き裂または板厚を計測する非接触型の計測ユニット2を金属製支柱1000に固定する固定治具であって、取付部11と、センサ配置部12と、を備える。取付部11は、金属製支柱1000の中心軸Aを含む平面S1が側面1000aと交わる交線1000bに沿って対向して配置可能な線状の取付部分11bを有し、取付部分11bが交線1000bに対向して配置した状態で金属製支柱1000に取り付け可能である。センサ配置部12は、取付部11から取付部分11bと平行な方向に突出して形成されており、配置部分12apを有する。配置部分12apは、軸Bに沿って並んだ複数の磁気センサ31を有する計測ユニット2を、軸Bが取付部分11bと同一平面S3上且つ平行になるように配置可能である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
き裂または板厚を計測する非接触型の計測ユニットを金属製柱状物に固定する固定治具であって、
前記金属製柱状物の中心軸を含む平面が側面と交わる交線に沿って対向して配置可能な線状の取付部分を有し、前記取付部分が前記交線に対向して配置した状態で前記金属製柱状物に取り付け可能な取付部と、
所定軸に沿って並んだ複数の磁気センサを有する前記計測ユニットを、前記所定軸が前記取付部分と同一平面上且つ平行になるように配置可能な配置部分を有し、前記取付部から前記取付部分と平行な方向に突出して形成されたセンサ配置部と、を備えた、
固定治具。
【請求項2】
前記固定治具が前記金属製柱状物に取り付けられた状態において前記金属製柱状物に接する接触面を有し、前記センサ配置部に配置された接触部材を更に備えた、
請求項1に記載の固定治具。
【請求項3】
き裂または板厚を計測する非接触型の計測ユニットを金属製柱状物に固定する固定治具であって、
前記金属製柱状物の中心軸を含む平面が側面と交わる交線に沿って対向して配置可能な線状の取付部分を有し、前記取付部分が前記交線に対向して配置した状態で前記金属製柱状物に取り付け可能な取付部と、前記取付部分と同一平面上であって前記取付部分と平行にガイド光を照射またはガイド部材が引き出されるガイド部と、を有するガイド装置と、
所定軸に沿って並んだ複数の磁気センサを有する前記計測ユニットを配置可能な配置部分と、前記所定軸と同一平面上であって平行な前記ガイド光または前記ガイド部材が通過可能なスリットを有する、センサ支持装置と、を備え、
前記取付部分が前記交線に対向して配置するように前記ガイド装置が前記金属製柱状物に取り付けられた状態において、前記センサ支持装置は、前記ガイド光または前記ガイド部材が前記スリットを通過するように前記金属製柱状物に取り付けられる、
固定治具。
【請求項4】
前記配置部分と前記側面との距離Lが、1mm<L<200mmを満たし、
前記取付部分の前記配置部分側の端から前記配置部分までの距離Hが、100mm<H<1000mmを満たすように前記金属製柱状物に取り付けられる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の固定治具。
【請求項5】
前記取付部は、前記取付部分を含む対向面を有し、
前記対向面は、前記金属製柱状物に取り付けられた状態において前記金属製柱状物の径方向外側に向かって凸に湾曲するように形成されており、
前記取付部分は、前記交線に接触する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の固定治具。
【請求項6】
前記取付部は、前記取付部分を含む対向面を有し、
前記取付部分は、前記対向面に形成された凹部である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の固定治具。
【請求項7】
前記取付部は、前記取付部分を基準に線対称に形成されている、
請求項1~6のいずれか1項に記載の固定治具。
【請求項8】
前記取付部は、
前記取付部分から前記取付部分に垂直な幅方向の一方の第1端まで設けられた第1端部と、
前記取付部分から前記幅方向の他方の第2端まで設けられた第2端部と、を有し、
前記第1端部は、
前記第1端から前記幅方向に沿って形成された第1切り欠き部と、
前記取付部分の反対側に設けられ、前記第1端から前記幅方向の中央に向かって厚みが小さくなるように傾斜した第1傾斜面と、を有し、
前記第2端部は、
前記第2端から前記幅方向に沿って形成された第2切り欠き部と、
前記取付部分の反対側に設けられ、前記第2端から前記幅方向の中央に向かって厚みが小さくなるように傾斜した第2傾斜面と、を有し、
前記金属製柱状物の外周に巻き掛けられ、前記第1切り欠き部および前記第2切り欠き部に挿通された紐状部材によって、前記取付部が前記金属製柱状物に固定される、
請求項1~7のいずれか1項に記載の固定治具。
【請求項9】
請求項1記載の固定治具を用いて、き裂または板厚を計測する非接触型の計測ユニットを金属製柱状物に固定する固定方法であって、
前記取付部分が、前記金属製柱状物の前記交線に対向して配置されるように、前記取付部を前記金属製柱状物に取り付けるステップを備えた、
固定方法。
【請求項10】
請求項3に記載の固定治具を用いて、き裂または板厚を計測する非接触型の計測ユニットを金属製柱状物に固定治具を用いて固定する固定方法であって、
前記取付部分が、前記金属製柱状物の前記交線に対向して配置されるように、前記取付部を前記金属製柱状物に取り付ける第1ステップと、
前記取付部に設けられた前記ガイド部から、前記ガイド光を照射または前記ガイド部材を引き出す第2ステップと、
前記ガイド光または前記ガイド部材が前記スリットを通過するようにセンサ支持装置を前記金属製柱状物に取り付ける第3ステップと、を備えた、
固定方法。
【請求項11】
き裂または板厚を計測する非接触型の計測ユニットを金属製柱状物に固定治具を用いて固定する固定方法であって、以下の(1)~(3)を満たすように、前記金属製柱状物に前記計測ユニットを固定する固定方法。
(1)前記固定治具のうち前記計測ユニットが配置される配置部分と前記金属製柱状物の側面との距離Lが、1mm<L<200mmを満たす。
(2)前記固定治具に設けられ、前記金属製柱状物の中心軸を含む平面が前記側面と交わる交線に沿って線状に対向して配置される取付部分から前記配置部分までの距離Hが、100mm<H<1000mmを満たす。
(3)前記計測ユニットは所定軸に沿って並んだ複数の磁気センサを有しており、前記所定軸が前記平面上であり、前記平面に対して垂直且つ前記側面に接する接面と平行である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製柱状物に非接触型の板厚・き裂計測ユニットをポジショニングさせる固定治具および固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路附属物と称される標識および照明施設などの金属製支柱は、主に一般構造用炭素鋼管が使用されている。このような金属製支柱は、老朽化に伴い、腐食による断面欠損、および溶接継手部からの疲労亀裂発生などの不具合が進行することが知られている。特に支柱基部の路面境界部における腐食や、柱・ベースプレート溶接部での亀裂は、発生割合も多く、突然の倒壊を起こす可能性があるため深刻である。従って、それらの損傷程度を把握するための点検が必要で有り、基準が国により定められている(非特許参考文献1)。
【0003】
しかしながら、標識や照明施設の数は膨大であり効率的な点検が望まれているものの、以下のような課題が挙げられる。
【0004】
すなわち、腐食が進行し易い部分は、路面境界部の地表面より40mm下付近(GL-40)であり、一方、亀裂の発生では柱・ベースプレートの溶接部、更に具体的には、三角リブ頂点部の溶接部であることが知られているが、土砂、アスファルト、インターロックなどで埋設されるタイプが多く、容易に目視点検が実施できない。
【0005】
また、腐食やき裂が進行している金属製支柱は、建替、もしくは建替までの延命化として補修対策が検討される。具体的な補修工法として、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維などを含む強化繊維を支柱外面に樹脂を用いて貼り付ける、FRPシート貼付工法が実用化されている。
【0006】
上記の工法においては、支柱内部からの腐食進行を止める効果が期待できないため、腐食の進行をモニタリングする必要があるものの、用いる繊維シートや接着材が不透明であることが多く、さらに仕上塗装を施す場合が殆どであるため、腐食進行状態を目視確認することは不可能である。
【0007】
一方で、建築物の壁面や床面等を貫通する形で埋設される、水道管やガス管等の金属製管も、その埋設箇所において金属製管の腐食が発生しやすく、特に屋外においては顕著である。上記の金属製支柱と同様の理由で、容易に目視点検できない。
【0008】
そうした課題を解決するために、近年では、磁場を用いた板厚検査法が開発されつつあり、路面境界部や区画貫通部を非開削で点検可能なため、早期の実用化が期待されている。(非特許参考文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】附属物(標識、照明施設等)点検要領 平成31年3月 国土交通省道路局国土・技術課)
【非特許文献2】Keiji Tsukada, Takuya Tomioka, Shunki Xakabayashi, Kenji Sakai, and Toshihiko KiXa, “Magnetic Detection of Steel Corrosion at a Buried Position Near the Ground Level Using a Magnetic Resistance Sensor”IEEE Transactions on Magnetics, Vol. 54, No. 11, 6202104, 2018.11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記非特許文献2に示す磁場を用いた計測ユニットには、例えば2つの磁気センサが設けられており、2つの磁気センサの検査箇所からの距離の差を利用して検査箇所における厚み等の計測を行うため、金属製支柱に検査プローブを正確に位置決めする必要がある。
【0011】
しかしながら、金属製支柱には、テーパー状に側面が傾斜しているものがあり、計測ユニットを正確に位置決めすることが難しかった。
【0012】
本開示は、計測ユニットを金属製柱状物に精度よく位置決め固定することが可能な固定治具および固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、第1の開示にかかる固定治具は、き裂または板厚を計測する非接触型の計測ユニットを金属製柱状物に固定する固定治具であって、取付部と、センサ配置部と、を備える。取付部は、金属製柱状物の中心軸を含む平面が側面と交わる交線に沿って対向して配置可能な線状の取付部分を有し、取付部分が交線に対向して配置した状態で金属製柱状物に取り付け可能である。センサ配置部は、取付部から取付部分と平行な方向に突出して形成されており、配置部分を有する。配置部分は、所定軸に沿って並んだ複数の磁気センサを有する計測ユニットを、所定軸が取付部分と同一平面上且つ平行になるように配置可能である。
【0014】
これにより、取付部を金属製柱状物に取り付けることによって、所定軸が、金属製柱状物の中心軸と同一平面上であって、この平面に垂直かつ金属製柱状物の側面に接する接面と平行となるように、計測ユニットを金属製柱状物に位置決めすることができる。
【0015】
このため、たとえ金属製柱状物の側面がテーパー状に傾斜している場合でも、計測ユニットを容易に位置決めすることができる。
【0016】
また、取付部から突出したセンサ配置部が設けられているため、取付部から離れた位置であっても計測ユニットを容易に位置決めすることができる。
【0017】
第2の開示にかかる固定治具は、第1の開示にかかる固定治具であって、固定治具が金属製柱状物に取り付けられた状態において金属製柱状物に接する接触面を有し、センサ配置部に配置された接触部材を更に備える。
これによって、より正確に計測ユニットを金属柱状物に対して固定することが出来る。
第3の開示にかかる固定治具は、ガイド装置と、センサ支持装置と、を備える。ガイド装置は、取付部と、ガイド部と、を有する。取付部は、金属製柱状物の中心軸を含む平面が側面と交わる交線に沿って対向して配置可能な線状の取付部分を有し、取付部分が交線に対向して配置した状態で金属製柱状物に取り付け可能である。ガイド部は、取付部分と同一平面上であって取付部分と平行にガイド光を照射またはガイド部材が引き出される。センサ支持装置は、配置部分と、スリットと、を有する。配置部分は、所定軸に沿って並んだ複数の磁気センサを有する計測ユニットを配置可能である。スリットは、所定軸と同一平面上であって平行なガイド光またはガイド部材が通過可能である。取付部分が交線に対向して配置するようにガイド装置が金属製柱状物に取り付けられた状態において、センサ支持装置は、ガイド光またはガイド部材がスリットを通過するように金属製柱状物に取り付けられる。
【0018】
これにより、取付部を金属製柱状物に取り付けることによって、所定軸が、金属製柱状物の中心軸と同一平面上であって、この平面に垂直かつ金属製柱状物の側面に接する接面と平行となるように、計測ユニットを金属製柱状物に位置決めすることができる。
【0019】
このため、たとえ金属製柱状物の側面がテーパー状に傾斜している場合でも、計測ユニットを容易に位置決めすることができる。
【0020】
また、取付部と別の部材に配置部分が設けられているため、取付部から離れた位置であっても計測ユニットを容易に位置決めすることができる。
【0021】
また、センサ配置部を設けた場合と比較して撓みによる金属表面から計測ユニットまでの距離の誤差を低減することができる。
【0022】
第4の開示にかかる固定治具は、第1~第3のいずれかの開示にかかる固定治具であって、配置部分と側面との距離Lが、1mm<L<200mmを満たし、配置部分の取付部側の端から取付部までの距離Hが、100mm<H<1000mmを満たすように金属柱状物に取り付けられる。
【0023】
上記のように、Lを1mm以上にすることにより、金属製柱状物の表面にFRPシート等が張り付けられた場合においても、金属表面との距離を一定に保つことができる。また、Lを200mm以下とすることによって、磁気センサへの反射シグナル強度を十分に確保することができる。
【0024】
また、金属製柱状物の表面にFRPシートが張り付けられた場合には、精度良く位置決めを行うために取付部をFRPシートが張り付けられていない部分に取り付けることが好ましいが、その場合であっても、Hを100mm以上とすることにより、計測ユニットをFRPシートの端部よりもシート内側に位置させることができる。このため、計測ユニットをセンシング対称部位に対して適切な位置に設置することができる。また、Hを1000mm以下とすることにより、センサ配置部の撓みによる金属表面から計測ユニットまでの距離の誤差を低減することができる。
【0025】
第5の開示にかかる固定治具は、第1~4のいずれかの開示にかかる固定治具であって、取付部は、取付部分を含む対向面を有する。対向面は、金属製柱状物に取り付けられた状態において金属製柱状物の径方向外側に向かって凸に湾曲するように形成されている。取付部分は、側面に接触する部分である。
【0026】
これにより、対向面を側面に沿うように取付部を配置することにより、交線と取付部分を対向するように固定治具を金属製柱状物に取り付けることができるため、計測ユニットの位置決めを容易に行うことができる。
【0027】
第6の開示にかかる固定治具は、第1~5のいずれかの開示にかかる固定治具であって、取付部は、取付部は、取付部分を含む対向面を有する。取付部分は、対向面に形成された凹部である。
【0028】
これにより、凹部の両縁が側面に当たるように取付部を配置することにより、交線と取付部分を対向するように固定治具を金属製柱状物に取り付けることができるため、計測ユニットの位置決めを容易に行うことができる。
【0029】
第7の開示にかかる固定治具は、第1~6のいずれかの開示にかかる固定治具であって、取付部は、取付部分を基準に線対称に形成されている。
【0030】
これにより、対向面を側面に沿うように配置することで、交線と取付部分を対向するように固定治具を金属製柱状物に取り付けることができるため、計測ユニットの位置決めを容易に行うことができる。
【0031】
第8の開示にかかる固定治具は、第1~7のいずれかの開示にかかる固定治具であって、取付部は、第1端部と、第2端部と、を有する。第1端部は、取付部分から取付部分に垂直な幅方向の一方の第1端まで設けられている。第2端部は、取付部分から幅方向の他方の第2端まで設けられている。第1端部は、第1切り欠き部と、第1傾斜面と、を有する。第1切り欠き部は、第1端から幅方向に沿って形成されている。第1傾斜面は、取付部分の反対側に設けられ、第1端から幅方向の中央に向かって厚みが小さくなるように傾斜している。第2端部は、第2切り欠き部と、第2傾斜面と、を有する。第2切り欠き部は、第2端から幅方向に沿って形成されている。第2傾斜面は、取付部分の反対側に設けられ、第2端から幅方向の中央に向かって厚みが小さくなるように傾斜している。金属製柱状物の外周に巻き掛けられ、第1切り欠き部および第2切り欠き部に挿通された紐状部材によって、取付部が金属製柱状物に固定される。
【0032】
これにより、紐状部材等の紐状部材を用いて取付部を金属製柱状物に取り付けることができる。
【0033】
第9の開示にかかる固定方法は、第1の開示にかかる固定治具を用いて、き裂または板厚を計測する非接触型の計測ユニットを金属製柱状物に固定する固定方法であって、以下のステップを備える。ステップでは、取付部分が、金属製柱状物の交線に対向して配置されるように、取付部を金属製柱状物に取り付ける。
【0034】
これにより、取付部を金属製柱状物に取り付けることによって、所定軸が、金属製柱状物の中心軸と同一平面上であって、この平面に垂直かつ金属製柱状物の側面に接する接面と平行となるように、計測ユニットを金属製柱状物に位置決めすることができる。
【0035】
このため、たとえ金属製柱状物の側面がテーパー状に傾斜している場合でも、計測ユニットを容易に位置決めすることができる。
【0036】
第10の開示にかかる固定方法は、第3の開示にかかる固定治具を用いて、き裂または板厚を計測する非接触型の計測ユニットを金属製柱状物に固定する固定方法であって、以下の第1ステップと、第2ステップと、第3ステップと、を備える。第1ステップは、取付部分が、金属製柱状物の交線に対向して配置されるように、取付部を金属製柱状物に取り付ける。第2ステップは、取付部に設けられたガイド部から、ガイド光を照射またはガイド部材を引き出す。第3ステップは、ガイド光またはガイド部材がスリットを通過するようにセンサ支持装置を金属製柱状物に取り付ける。
【0037】
これにより、取付部を金属製柱状物に取り付けることによって、所定軸が、金属製柱状物の中心軸と同一平面上であって、この平面に垂直かつ金属製柱状物の側面に接する接面と平行となるように、計測ユニットを金属製柱状物に位置決めすることができる。
【0038】
このため、たとえ金属製柱状物の側面がテーパー状に傾斜している場合でも、計測ユニットを容易に位置決めすることができる。
【0039】
第11の開示にかかる固定方法は、き裂または板厚を計測する非接触型の計測ユニットを金属製柱状物に固定治具を用いて固定する固定方法であって、以下の(1)~(3)を満たすように固定治具を介して、計測ユニットが金属製柱状物に固定される。(1)固定治具のうち前記計測ユニットが配置される配置部分と金属製柱状物の側面との距離Lが、1mm<L<200mmを満たす。(2)固定治具に設けられ、金属製柱状物の中心軸を含む平面が側面と交わる交線に沿って線状に対向して配置される取付部分から配置部分までの距離Hが、100mm<H<1000mmを満たす。(3)計測ユニットは所定軸に沿って並んだ複数の磁気センサを有しており、所定軸は金属製柱状物の中心軸と同一平面上であり、平面に対して垂直且つ金属製柱状物の側面に接する接面と平行である。
【0040】
これにより、取付部を金属製柱状物に取り付けることによって、所定軸が、金属製柱状物の中心軸と同一平面上であって、この平面に垂直かつ金属製柱状物の側面に接する接面と平行となるように、計測ユニットを金属製柱状物に位置決めすることができる。
【0041】
このため、たとえ金属製柱状物の側面がテーパー状に傾斜している場合でも、計測ユニットを容易に位置決めすることができる。
【0042】
上記のように、Lを1mm以上にすることにより、金属製柱状物の表面にFRPシート等が張り付けられた場合においても、金属表面との距離を一定に保つことができる。また、Lを200mm以下とすることによって、磁気センサへの反射シグナル強度を十分に確保することができる。
【0043】
また、金属製柱状物の表面にFRPシートが張り付けられた場合には、精度良く位置決めを行うために取付部をFRPシートが張り付けられていない部分に取り付けることが好ましいが、その場合であっても、Hを100mm以上とすることにより、計測ユニットをFRPシートの端部よりもシート内側に位置させることができる。このため、計測ユニットをセンシング対称部位に対して適切な位置に設置することができる。また、Hを1000mm以下とすることにより、センサ配置部の撓みによる金属表面から計測ユニットまでの距離の誤差を低減することができる。
【発明の効果】
【0044】
本開示によれば、計測ユニットを金属製支柱に精度よく位置決め固定することが可能な固定治具および固定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本開示にかかる実施の形態1の固定治具を用いて計測ユニットが金属製柱状物に固定された状態を示す斜視図。
図2】本開示にかかる実施の形態1の固定治具を用いて計測ユニットが金属製柱状物に固定された状態を上方から視た斜視図。
図3】本開示にかかる実施の形態1の固定治具を用いて計測ユニットが金属製柱状物に固定された状態を示す側断面図。
図4】(a)センサ構造体の正面図、(b)センサ構造体の裏面図。
図5】センサ構造体の左側面図。
図6】(a)センサ構造体の平面図、(b)センサ構造体の底面図。
図7】本開示にかかる実施の形態1の固定治具を用いて計測ユニットが金属製柱状物に固定された状態を固定治具の高さ方向に沿って視た平面図。
図8】本開示にかかる実施の形態1の固定治具を用いて計測ユニットが金属製柱状物に固定された状態を示す側面図。
図9】計測ユニットの構造を示す斜視図。
図10】(a)図8の計測ユニット近傍の構成を示す図、(b)計測ユニットの正面図。
図11】本開示にかかる実施の形態2の固定治具を用いて計測ユニットが金属製柱状物に固定された状態を示す側面図。
図12】本開示にかかる実施の形態2の固定治具を示す正面図。
図13A】本開示にかかる実施の形態の変形例における固定治具を用いたセンサ構造体の正面図。
図13B図13Aの固定治具が金属製支柱に取り付けられた状態を示す平面図。
図13C図13Aの固定治具が金属製支柱に取り付けられた状態におけるJJ´間の矢視断面図。
図14】(a)固定治具が金属製支柱に正常に取り付けられた状態を示す正面図、(b)固定治具が金属製支柱に正常に取り付けられた状態を示す側面図、(c)固定治具が金属製支柱に正常に取り付けられていない状態の例を示す正面図、(d)固定治具が金属製支柱に正常に取り付けられていない状態の例を示す正面図、(e)固定治具が金属製支柱に正常に取り付けられていない状態の例を示す側面図。
図15】(a)本開示にかかる実施の形態の変形例における固定治具を金属製支柱に取り付けるための支持部材を示す正面図、(b)図15(a)に示す支持部材を用いて固定治具を金属製支柱に取り付けた状態を示す平面図。
図16】本開示にかかる実施の形態の変形例における固定治具を金属製支柱に取り付けた状態を示す平面図。
図17】本開示にかかる実施の形態の変形例における固定治具を金属製支柱に支持部材を用いて取り付けた状態を示す平面図。
図18】(a)本開示にかかる実施の形態の変形例における固定治具を金属製支柱に取り付けた状態を示す平面図、図18(a)の固定治具を示す正面図。
図19】本開示にかかる実施の形態の変形例における固定治具を金属製支柱に取り付けた状態を示す平面図。
図20】本開示にかかる実施の形態の変形例における固定治具を金属製支柱に取り付けた状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に、本開示の実施の形態に係る固定治具について図面に基づいて説明する。
【0047】
<構成>
(固定治具の概要)
本実施の形態の固定治具は、金属製柱状物の老朽化等による板厚減少やき裂発生を計測する非接触型の磁気センサをポジショニングさせる。
【0048】
金属製柱状物は、金属製支柱もしくは金属製管を指す。金属製柱状物の材質としては特に限定されず、炭素鋼、鋳鋼、アルミニウムなどが挙げられる。
【0049】
金属製支柱は、金属製照明柱、標識柱、および信号柱など、建築構造物の金属製支柱であり、外周断面形状は円であり、中空管状のものを対象とする。下端の構造は特に限定されない。具体的には、環状のまま、土中やコンクリート基礎に埋設されたものや、ベースプレートが溶接され、柱脚下端部の円周方向に所定間隔にて縦リブが接合された構造を有するもの等が挙げられる。
【0050】
金属製管は水道管やガス管等であり、外周断面形状は円であり、中空管状のものを対象とする。
【0051】
金属製柱状物は、表示、表面保護、断熱性向上、耐火性向上、劣化部位の補修の目的で、非磁性体により被覆もしくは、内部に充填されたものであって良い。
【0052】
具体的には、防錆塗装、張り紙防止用の表面凹凸を有する樹脂製シート、樹脂発泡体やガラス繊維からなる断熱シート、モルタル層や膨張黒鉛を含む樹脂シートからなる耐火用被覆、繊維補強樹脂(FRP)シート、内部充填されたモルタルや発泡樹脂などが挙げられる。
【0053】
特に、供用後の金属製柱状物の劣化進行をモニタリングする意義が大きく、FRPシートで補強された金属製柱状物に用いることが好ましい。FRPシートは、接着剤にて金属製柱状物に接着されたものや、締め付け固定されたものであっても良い。FRPシートは、1層のみ積層されていてもよいし、多層に積層されていてもよい。
【0054】
以下では、金属製支柱に磁気センサを有する計測ユニットをポジショニングさせる例を用いて説明する。また、以下の説明において、同一平面上、平行、垂直、沿う等の記載は、機械的な誤差を含んでもよく、社会通念上許容される範囲であればよい。
【0055】
図1は、本実施の形態の固定治具1を用いて計測ユニット2を金属製支柱1000(金属製柱状物の一例)に固定した状態を示す図である。図2は、図1の斜視図である。図3は、図1の側断面図である。
【0056】
図1および図2には、地中に埋設する形で建造された標識柱、照明柱等の金属製支柱1000が示されている。金属製支柱1000は、地面GLに埋設されている。金属製支柱1000は、地中に埋設されているコンクリート基礎1001に固定されている。図3に示す例では、金属製支柱1000の地面GLから40mm程度の範囲の領域Rに腐食が図示されている。また、図1および図2に示す例では、FRP(Fiber Reinforce Plastics)シート1002が腐食部位を囲むように金属製支柱1000の周囲に配置されている。FRPシート1002は、地面GLを跨ぐように配置されている。FRPシート1002は、例えば上下方向に沿った長さが300~500mmであり、地面GLを中心として上側に150~250mm地面GLから突出している。そして地面GLから下側に150~250mm突出しており、地面GLから40mmの範囲の腐食が発生している部分を覆っている。
【0057】
固定治具1は、金属製支柱1000に取り付けられる。固定治具1には、計測ユニット2が固定されている。固定治具1と計測ユニット2によって、センサ構造体が構成されている。
【0058】
(固定治具1)
固定治具1は、金属製支柱1000の側面1000aに固定される。図4(a)は、センサ構造体の正面図である。図4(b)は、センサ構造体の裏面図である。図5は、センサ構造体の左側面図である。図6(a)は、センサ構造体の平面図である。図6(b)は、センサ構造体の底面図である。
【0059】
固定治具1は、取付部11と、センサ配置部12を有する。取付部11は、金属製支柱1000の側面1000aに取り付けられる。センサ配置部12は、取付部11から突出するように設けられており、計測ユニット2が配置可能な配置面12aを有している。
【0060】
(取付部11)
取付部11は、金属製支柱1000に取り付け可能である。取付部11は、幅方向Xに厚みが変化する板状部分である。また、取付部11は、幅方向Xおよび厚み方向Zに対して垂直な高さ方向Yにおいて厚みが一定に形成されている。なお、高さ方向Yは、固定治具1における方向であるため、金属製支柱1000の上下方向とは必ずしも一致しない。
【0061】
取付部11は、幅方向Xにおいて中央に設けられている中央部20と、幅方向Xにおいて中央部20の一方側に設けられた第1端部21と、幅方向Xにおいて中央部20の他方側に設けられた第2端部22と、を有している。第1端部21は、幅方向Xにおいて、中央部20側から端21a(第1端部の一例)に向かって厚みが大きくなるように形成されている。第2端部22は、幅方向Xにおいて、中央部20側から端22a(第2端部の一例)に向かって厚みが大きくなるように形成されている。
【0062】
取付部11が金属製支柱1000に取り付けられたときに金属製支柱1000側に向く、第1端部21の面と、第2端部22の面と、中央部20の面は、段差なく滑らかに繋がっており、金属製支柱1000の側面1000aに対向する対向面11aを構成する。対向面11aは、取付部11が金属製支柱1000に取り付けられたときに、外周側に凸に幅方向Xにおいて湾曲している。対向面11aの曲率半径は、金属製支柱1000の取付部11が取り付けられる位置の曲率半径よりも大きく形成されている。
【0063】
後述するが、取付部11が金属製支柱1000に取り付けられた際に、金属製支柱1000の側面1000aの交線1000bに接触して配置される線状の取付部分11b(図4(a)に点線で示す)は、対向面11aのうち中央部20の部分に設けられている。取付部分11bは、高さ方向Yと平行に設けられている。なお、交線1000bは、金属製支柱1000の中心軸Aを通る平面と側面1000aとの交線である。
【0064】
図6(a)および図6(b)に示すように、中央部20の対向面11aと反対側の面は、高さ方向Yに沿った角柱形状20aに形成されている。この角柱形状20aの一端が高さ方向Yに沿って延長されて後述するセンサ配置部12が形成されている。
【0065】
図6(a)および図6(b)に示すように、第1端部21の対向面11aと反対側の面21bは、端21aから中央部20に向かって対向面11aに近づくように傾斜して形成されている。第2端部22の対向面11aと反対側の面22bは、端22aから中央部20に向かって対向面11aに近づくように傾斜して形成されている。
【0066】
図4(a)および図4(b)に示すように、第1端部21には、面21bから対向面11aまで貫通した2つの切り欠き部21c、21d(第1切り欠き部の一例)が形成されている。2つの切り欠き部21c、21dは、高さ方向Yにおいて並んで配置されている。切り欠き部21c、21dの各々は、端21aから幅方向Xに沿って形成されている。
【0067】
図4(a)および図4(b)に示すように、第2端部22には、面22bから対向面11aまで貫通した2つの切り欠き部22c、22d(第2切り欠き部の一例)が形成されている。2つの切り欠き部22c、22dは、高さ方向Yにおいて並んで配置されている。切り欠き部22c、22dの各々は、端22aから幅方向Xに沿って形成されている。
【0068】
切り欠き部21cと切り欠き部22cが幅方向Xに並んで配置され、切り欠き部21dと切り欠き部22dが幅方向Xに並んで配置されている。
【0069】
本実施の形態では、取付部11は、上述した取付部分11bを基準にして左右対称に形成されている。
【0070】
図7は、取付部11を金属製支柱1000の側面1000aに取り付けた状態を示す平面図である。図8は、取付部11を金属製支柱1000の側面1000aに取り付けた状態を示す側面図である。
【0071】
図1および図7に示すように、2本の紐状部材13a、13bによって、取付部11は、金属製支柱1000の側面1000aに取り付けられる。なお、図2では、下側の紐状部材13bは省略している。紐状部材13a、13bは、特に限定されるものではないが、例えばワイヤ等を用いることができる。
【0072】
紐状部材13aは、金属製支柱1000の外周に巻き掛けられ、切り欠き部21cと切り欠き部22cを挿通している。紐状部材13aの切り欠き部21cを抜けて面21b側に突出した部分に、図7に示すように、例えばクリップなどの締結部材14が設けられている。紐状部材13aの切り欠き部22cを抜けて面22b側に突出した部分に、図7に示すように、例えばクリップなどの締結部材14が設けられ、締結部材14によって抜け止めされている。
【0073】
また、紐状部材13bも金属製支柱1000の外周に巻き掛けられ、詳しくは図示していないが、切り欠き部21dと切り欠き部22dを挿通している。紐状部材13bの切り欠き部21d、22dを抜けて面21b、22b側に突出した両端部分に、締結部材14が固定され、抜け止めされている。
【0074】
そして、締結部材14によって紐状部材13a、13bを締め付けることによって、図7および図8に示すように、中心軸Aを含む平面S1の側面1000aとの交線1000bに、対向面11aの中央である取付部分11bが線状に接するように取付部11を金属製支柱1000に位置決めすることができる。
【0075】
面21bと面22bが中央に向かって対向面11aに近づくように傾斜しているため、紐状部材13a、13bを張ることによって、交線1000bに沿って対向して取付部分11bが配置されるように、取付部11を金属製支柱1000に取り付けることができる。
【0076】
(センサ配置部12)
センサ配置部12には、計測ユニット2が配置される。センサ配置部12は、角柱状であって、取付部11から取付部分11b(高さ方向Yともいえる)と平行に突出して設けられている。本実施の形態では、センサ配置部12は取付部11と一体化して形成されている。
【0077】
詳細には、センサ配置部12は、取付部11の中央部20の角柱形状が一端から取付部分11bと平行に延長されて設けられている。センサ配置部12は中央部20から突出しているため、幅方向Xにおいて取付部11の中央に配置されている。
【0078】
このため、上述のように取付部11が金属製支柱1000に取り付けられた場合、図8に示すように、センサ配置部12は、交線1000bと平行に配置される。
【0079】
また、図6(b)に示すように、厚み方向Zにおいて、センサ配置部12の厚みは中央部20の厚みよりも小さいため、図8に示すように、対向面11aが側面1000aに配置された状態において、側面1000aとセンサ配置部12の間には隙間が形成されている。
【0080】
センサ配置部12の厚み方向Zに対向する面のうち対向面11aと反対側の面は、計測ユニット2が配置される配置面12aとなっている。配置面12aは、取付部11を金属製支柱1000に取り付けた際に金属製支柱1000の反対側を向く面ともいえる。配置面12aのうち計測ユニット2が取り付けられる部分を配置部分12apとする。
【0081】
配置面12aは、取付部分11bと平行に設けられている。また、図7に示すように、配置面12aは、取付部11を金属製支柱1000に取り付けた際に、交線1000bで側面1000aに接する接面S2と平行になるように配置されている。なお、接面S2は、平面S1に対して垂直に設けられる。
【0082】
上記のように、センサ配置部12は中央部20から高さ方向Yに沿って配置されているため、図4(a)に示すように、固定治具1は、正面視において幅方向Xにおける中心軸Cを基準に左右対称に形成されている。中心軸Cが高さ方向Yと一致している。また、図4(b)に示すように、取付部分11bは、中心軸Cと同一平面S3上であって、中心軸Cと平行に配置されている。また、中心軸Cは、平面S1上に配置されている。すなわち、図4(a)、(b)に示すように、正面視および裏面視において、中心軸Cと取付部分11bは重なることになる。なお、中心軸Cは、厚みZ方向において特に限定されないが、図では、配置面12a上に設定する。
【0083】
(計測ユニット2)
計測ユニット2は、2つの傾斜した磁気センサ31を用いて、腐食欠陥を検出する。図9は、計測ユニット2の構成を示す模式図である。図10は、配置面12aに取り付けられた状態の計測ユニット2の側面模式図である。
【0084】
図9に示すように、計測ユニット2は、2つの磁気センサ31と、各々の磁気センサ31の周囲に設けられた印加コイル32と、2つの磁気センサ31および2つの印加コイル32を収納し、各々を所定位置に支持する筐体33と、を有している。
【0085】
2つの磁気センサ31は、軸B(所定軸の一例)に沿って並んで配置されている。2つの磁気センサ31は、互いに平行に配置されている。2つの磁気センサ31の各々は、軸Bに対して傾斜して配置されている。図9および図10(a)では、磁気センサ31の中心軸と軸Bの形成する角度がθで示されており、θは例えば30°に設定することができる。なお、磁気センサ31は、取付部11とは反対側を向くように傾斜されている。図10(b)に示すように、軸Bは、幅方向Xにおいて磁気センサ31の中心を通過するように設けられている。
【0086】
図4(b)および図6(b)に示すように、計測ユニット2は、軸Bが取付部分11bと同一平面S3上であって取付部分11bと平行になるように配置面12aに配置される。軸Bが、中心軸Cと同一平面上であって、中心軸Cと平行になるように計測ユニット2が配置面12aに配置されるともいえる。なお、図4(a)、(b)では、中心軸Cと軸Bと平面S3と取付部分11bがいずれも重なるが、分かり易くするために重ならないように記載する。
【0087】
筐体33は、固定治具1の配置面12aの配置部分12apと接触するセンサ面33aを有している。概ねセンサ面33a側に向くように磁気センサ31が配置されている。センサ面33aは、配置面12aに接触可能な平面に形成されている。軸Bは、センサ面33aを平行に配置されている。
【0088】
軸Bは、2つの磁気センサ31の幅方向Xにおける中心を通り、センサ面33aと平行な軸ともいえる。なお、軸Bは、筐体33の幅方向Xにおける中心を通り、図10(a)に示すように、厚み方向Zの中心を通る中心軸として設定してもよい。
【0089】
なお、図8に示すように、取付部11を金属製支柱1000に取り付けた状態において、金属製支柱1000の側面1000aからセンサ面33a(配置面12aの配置部分12apともいえる)までの距離をLとすると、Lは、1mm<L<200mmの範囲であって良く、より好ましくは3mm<L<100mm、さらに好ましくは5mm<L<10mmの範囲が良い。下限値以上とすることにより、金属製支柱1000の側面1000aにFRPシート等が貼り付けられた場合においても、金属面との距離を一定に保つことができる。また、上限値以下とすることにより、磁気センサ31への反射シグナル強度を十分な程度に確保することができる。
【0090】
また、図8に示すように、取付部11から計測ユニット2までのセンサ配置部12に沿った長さをHとすると、100mm<H<1000mmの範囲であってよく、より好ましくは150mm<H<750mm、さらに好ましくは200mm<L<500mmの範囲が良い。なお、長さHは、取付部11の配置部分12ap側の端から、計測ユニット2が配置される配置部分12apまでのセンサ配置部12に沿った距離ともいえる。図3に示すように、金属製支柱1000の側面1000aにFRPシート1002が張り付けられた場合には、精度良く位置決めを行うために取付部11をFRPシート1002よりも上方の側面1000aに取り付けることが好ましいが、その場合であっても、Hを下限値以上とすることにより、計測ユニット2をFRPシート1002の上端1002aよりも下方であるシート内側に位置させることができる。このため、計測ユニット2をセンシング対象部位である領域Rに対して適切な位置に設置することができる。また、Hを上限値以下とすることにより、センサ配置部12の撓みによるL(リフトオフともいう)の誤差を低減することができる。
【0091】
また、軸Bが取付部分11bと同一平面S3上であって取付部分11bと平行になるように計測ユニット2が固定治具1の配置面12aに取り付けられているため、交線1000bに沿って取付部分11bが対向接触するように取付部11を金属製支柱1000に取り付けることによって、軸Bが金属製支柱1000の中心軸Aと同一平面S1上であって、側面1000aと一定距離Lを隔てて配置させることができる。このように、固定治具1を用いることによって、金属製支柱1000に対して計測ユニット2を2次元的に適切な位置・角度に固定することができる。
【0092】
なお、計測ユニット2は、センサ配置部12の先端近傍の配置面12aに配置されているが、配置面12a上を長手方向(高さ方向Yともいえる)に沿ってスライド可能な構成であってもよい。この場合、例えば配置面12a上に長手方向(高さ方向Y)に沿ったリニアガイドを設け、計測ユニット2にリニアガイドと嵌合するスライダを取り付ければよい。
【0093】
また、スライドに限らず段階的に長手方向に位置をずらすことが可能な構成であってもよい。この場合、例えば、計測ユニット2に孔が設けられ、配置面12aにも長手方向に沿って孔が設けられ、ボルトや、ピン等を双方の孔に挿入することによって、計測ユニット2を配置面12a上で段階的に移動させることができる。また、配置面12a上における計測ユニット2の移動距離が分かるように配置面12a上にメモリが振られているとより好ましい。
【0094】
<固定方法>
次に、本実施の形態の固定治具1を用いた計測ユニット2の固定方法について説明する。
【0095】
はじめに、軸Bが取付部分11bと同一平面S3上であって平行になるように計測ユニット2が固定治具1の配置面12aに取り付けられている状態のセンサ構造体が準備される。
【0096】
センサ構造体の取付部11が、金属製支柱1000に取り付けられる。
【0097】
具体的には、紐状部材13aが、金属製支柱1000の外周に巻き掛けられ、切り欠き部21cと切り欠き部22cを通される。紐状部材13aの切り欠き部21c、22cを抜けて面21b、22b側に突出した両端部分に、例えばクリップなどの締結部材14が固定される。
【0098】
また、紐状部材13bが、金属製支柱1000の外周に巻き掛けられ、切り欠き部21dと切り欠き部22dを通される。紐状部材13bの切り欠き部21d、22dを抜けて面21b、22b側に突出した両端部分に、例えばクリップなどの締結部材14が固定される。
【0099】
そして、締結部材14を面21b、22b側に移動させることによって、紐状部材13a、13bが締めつけられ、中心軸Aを含む平面の側面1000aとの交線1000bと対向面11aの取付部分11bが線状に接するように取付部11が金属製支柱1000に自然と位置決めされる。
【0100】
この位置決めによって、軸Bが取付部分11bと同一平面S3上であって平行になるように計測ユニット2が固定治具1の配置面12aに取り付けられているため、計測ユニット2の軸Bが金属製支柱1000の中心軸Aと同一平面S1上であって、側面1000aと一定距離Lを隔てて配置させることができる。
【0101】
また、図7に示すように、軸Bが、金属製支柱1000の側面1000aの接面S2に対して平行で、且つ金属製支柱1000の中心軸Aが接面S2に投影される直線(交線1000b)と平行になるように計測ユニット2をポジショニングさせる工程を容易に行うことができる。
【0102】
(実施の形態2)
次に、本開示にかかる実施の形態2の固定治具101について説明する。
【0103】
図11は、本実施の形態2の固定治具101が金属製支柱1000に取り付けられた状態を示す側面図である。図12は、固定治具101の正面図である。
【0104】
本実施の形態2の固定治具101と計測ユニット2で、センサシステムが構成される。固定治具101は、ガイド装置41と、センサ支持装置42と、を備える。ガイド装置41は、取付部51と、ガイド部52と、を備える。
【0105】
取付部51は、実施の形態1の取付部11と同様の構成であるが角柱形状20aは形成されていなくてもよい。そのため、取付部51は、取付部11と同様に、金属製支柱1000の中心軸Aを含む平面の側面1000aとの交線1000bに取付部分11bで接触する。なお、取付部51について取付部11と同様の構成については同一の符号を付す。
【0106】
ガイド部52は、取付部51の対向面11aとは反対側の面に設けられている。ガイド部52は、図12に示すように取付部分11b(点線で示す)と同一平面上であって取付部分11bと平行にレーザ光53を照射する。このレーザ光は、高さ方向Yに沿って照射されている。また、本実施の形態では、取付部51の幅方向Xにおける中央からレーザ光53が照射される。なお、図12では、取付部分11bとレーザ光53は重なるため、レーザ光53の説明のため取付部分11bを取付部11の高さ方向Yの途中まで示す。以下の取付部61の取付部分11bも同様である。
【0107】
センサ支持装置42は、取付部61と、調整部62と、昇降部63と、配置面64と、スリット形成部65と、ミラー66と、受光部67と、を備える。
【0108】
取付部61は、取付部51と同様の構成である。そのため、取付部51は、取付部11と同様に、交線1000bに取付部分11bで接触する。なお、取付部61について、取付部11と同様の構成については同一の符号を付す。
【0109】
調整部62は、取付部61に設けられており、昇降部63の高さを調整可能である。昇降部63には、計測ユニット2が配置される配置面64が設けられている。配置面64のうち計測ユニット2が配置される部分が、配置部分64apとして示されている。調整部62は、交線1000bに接する接面S2と配置面64の平行を保った状態で昇降部63の側面1000aからの距離Lを変更することができる。なお、調整部62は、ネジ構造やジャッキ機構を用いることができる。
【0110】
スリット形成部65は、昇降部63上に設けられている。スリット形成部65は、複数の板状部材を有し、レーザ光が通過可能なスリット65aが形成されている。スリット65aは、取付部61の取付部分11bと同一面上であって平行に形成されている。
【0111】
ミラー66は、昇降部63上に設けられている。ミラー66は、スリット65aを通過したレーザ光を受光部67に導く。
【0112】
受光部67は、レーザ光を受光すると、図示しない電気回路機構に受光信号を送信する。電気回路機構は、受光信号を受信すると、計測ユニット2に作動信号を送信し、計測ユニット2を作動させる。
【0113】
これによって、ポジショニングが適正に成されていない場合に、誤って計測ユニット2を作動させてシグナルが発信されることを防ぐことができ、現場作業のミスを防止することができる。
【0114】
また、実施の形態1のように取付部11から計測ユニット2を配置する位置まで延長させる構造部材(センサ配置部12)の一体化が不要となるため、固定治具一式をコンパクトに持ち運ぶことができる。また、長尺物特有の撓みの発生、それに付随する側面から計測ユニット2までの距離Lの誤差の発生を抑制することができる。
【0115】
<固定方法>
次に、本実施の形態の固定治具101を用いた計測ユニット2の固定方法について説明する。
【0116】
はじめに、軸Bが取付部分11bと同一平面S3上であって平行になるように計測ユニット2がセンサ支持装置42の配置面64に取り付けられる。
【0117】
次に、取付部分11bが、金属製支柱1000の交線1000bに対向して配置されるように、ガイド装置41の取付部51を金属製支柱1000に取り付ける。
【0118】
次に、金属製支柱1000に取付られたガイド装置41のガイド部52から、レーザ光53が照射される。
【0119】
次に、レーザ光がスリット65aを通過するようにセンサ支持装置42を金属製支柱1000に取り付ける。このとき、取付部分11bが金属製支柱1000の交線1000bに対向して配置するようにセンサ支持装置42が取り付けられ、その後、センサ支持装置42は、周方向の位置および側面1000aからの距離が調整され、レーザ光がスリット65aを通過する位置で固定される。
【0120】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0121】
(A)
上記実施の形態の固定治具1、101には、湾曲した対向面11aおよび傾斜面21b、22bを有する取付部11が設けられているが、これに限らなくてもよく、対向面が湾曲しておらず傾斜面が設けられていない幅方向Xにおける厚みが一定の取付部であってもよい。図13Aは、幅方向Wにおける厚みが一定の取付部211を有する固定治具201の正面図である。図13Bは、固定治具201を金属製支柱1000に取り付けた状態を示す平面図である。図13Cは、固定治具201を金属製支柱1000に取り付けた状態におけるJJ´間(図13A参照)の矢視断面図である。
【0122】
図13Aに示すように取付部211には、上述した実施の形態の取付部11と同様に端21aから切り欠き部21c、21dが形成されており、端22aから切り欠き部22c、22dが形成されている。また、対向面211aは、湾曲しておらず平面に形成されている。
【0123】
紐状部材13aによって取付部211を固定する際、図13Bに示すように、端21aから切り欠き部21c内の紐状部材13aまでの切り欠き部21cに沿った長さをa1とし、端22aから切り欠き部22c内の紐状部材13aまでの切り欠き部22cに沿った長さをa2とする。また、切り欠き部21cから側面1000aに接するまでの紐状部材13aの長さをb1とし、切り欠き部22cから側面1000aに接するまでの紐状部材13aの長さをb2とする。この場合、a1=a2且つb1=b2を満たすように、切り欠き部21c、22cを通して紐状部材13aが取り付けられる。
【0124】
図13Cに示すように、紐状部材13b(図1参照)によって取付部211を固定する際、端21aから切り欠き部21d内の紐状部材13bまでの切り欠き部21dに沿った長さをc1とし、端22aから切り欠き部22d内の紐状部材13bまでの切り欠き部22dに沿った長さをc2とする。また、切り欠き部21dから側面1000aに接するまでの紐状部材13bの長さをd1とし、切り欠き部22dから側面1000aに接するまでの紐状部材13bの長さをd2する。この場合、c1=c2且つd1=d2を満たすように、切り欠き部22c、22dを通して紐状部材13aが取り付けられる。
【0125】
これによって、固定治具201の幅方向Xにおける中心軸Cが、金属製支柱1000の中心軸Aと同一平面S1上であって、交線1000bと平行に配置することができ、計測ユニット2を精度良く位置決めすることが可能となる。なお、取付部11は、中心軸Cと同一平面であって中心軸Cに平行な線状の取付部分211bで金属製支柱1000の側面1000aと接することになる。また、中心軸Cは、厚みZ方向において特に限定されないが、図では、配置面12a上に設定する。
【0126】
図14(a)は、固定治具201の中心軸Cが、金属製支柱1000の中心軸Aと同一平面S1上に配置されている状態を示している。中心軸Cが中心軸Aと同一平面S1上に配置されていない例が、図14(c)および図14(d)に示されている。また、図14(b)は、固定治具101の中心軸Cが、交線1000bと平行に配置された状態を示す模式図である。図14(e)には、固定治具101の中心軸Cが、交線1000bと平行に配置されていない状態が示されている。
【0127】
なお、上記a1=a2、b1=b2、c1=c2およびd1=d2が設定されたときにはじめて計測ユニット2に通電が行われる電気回路機構が、計測ユニット2若しくは別途コントローラなどに設けられていてもよい。例えば、電気回路機構がレーザーセンサや、感圧センサを含み、a1=a2、b1=b2、c1=c2およびd1=d2が設定されたことが検出された場合に、計測ユニット2に通電が行われてもよい。
【0128】
(B)
図13A図13Cのように紐状部材を巻き回して取付部211を固定する構成に限らず、固定治具201が支持部材15を備え、支持部材15と取付部211で金属製支柱1000を挟むことによって、取付部211を金属製支柱1000に取り付けてもよい。
【0129】
図15(a)は、板状の支持部材15の正面図である。図15(b)は、板状の支持部材15を用いて取付部211を金属製支柱1000に固定した状態を示す平面図である。支持部材15は、取付部211と同じ形状である。支持部材15には、幅方向Xにおける一方の端121aから幅方向Xに沿って切り欠き部121c、121dが形成されている。また、支持部材15には、幅方向Xにおける他方の端122aから幅方向Xに沿って切り欠き部122c、122dが形成されている。
【0130】
支持部材15と取付部211が対向するように配置され、支持部材15の切り欠き部121cと取付部211の切り欠き部21cを挿通し且つ側面1000aに接触するように鋼丸棒16が配置される。鋼丸棒16の切り欠き部121cと切り欠き部21cから突出した両端はナット等の締結部材14によって締め込まれている。支持部材15の切り欠き部122cと取付部211の切り欠き部22cを挿通し且つ側面1000aに接触するように鋼丸棒16が配置される。鋼丸棒16の切り欠き部122cと切り欠き部22cから突出した両端はナット等の締結部材14によって締め込まれている。このとき、端21aから切り欠き部21c内の鋼丸棒16までの切り欠き部21cに沿った長さをa1とし、端22aから切り欠き部22c内の鋼丸棒16までの切り欠き部22cに沿った長さをa2とする。また、切り欠き部21cから切り欠き部121cまでの鋼丸棒16の長さをb1とし、切り欠き部22cから切り欠き部122cまでの鋼丸棒16の長さをb2とする。この場合、a1=a2且つb1=b2を満たすように、取付部211が金属製支柱1000に取り付けられる。
【0131】
また、図示していないが、支持部材15の切り欠き部121dと取付部211の切り欠き部21dを挿通し且つ側面1000aに接触するように鋼丸棒16が配置される。鋼丸棒16の切り欠き部121dと切り欠き部21dから突出した両端はナット等の締結部材14によって締め込まれている。支持部材15の切り欠き部122dと取付部211の切り欠き部22dを挿通し且つ側面1000aに接触するように鋼丸棒16が配置される。鋼丸棒16の切り欠き部122dと切り欠き部22dから突出した両端はナット等の締結部材14によって締め込まれている。このとき、端21aから切り欠き部21d内の鋼丸棒16までの切り欠き部21dに沿った長さをc1とし、端22aから切り欠き部22d内の鋼丸棒16までの切り欠き部22dに沿った長さをc2とする。また、切り欠き部21dから切り欠き部121dまでの鋼丸棒16の長さをd1とし、切り欠き部22dから切り欠き部122dまでの鋼丸棒16の長さをd2とする。この場合、c1=c2且つd1=d2を満たすように、取付部211が金属製支柱1000に取り付けられる。
【0132】
これによって、固定治具201の中心軸Cが、金属製支柱1000の中心軸Aと同一平面S1上であって、交線1000bと平行に配置することができ、計測ユニット2を精度良く位置決めすることが可能となる。
【0133】
(C)
上記他の実施形態(A)では、湾曲した対向面11aおよび傾斜面21b、22bが設けられておらず幅方向Xにおける厚みが一定の取付部111が用いられているが、傾斜面21b、22bのみを設けた取付部を用いてもよい。
【0134】
図16は、固定治具301を金属製支柱1000に取り付けた状態を示す平面図である。固定治具301の取付部311には、傾斜面21b、22bが設けられ、金属製支柱1000の側面1000aに対向する対向面211aが平面に形成されている。また、取付部311には、上述した切り欠き部21c、21d、22c、22dが設けられており、紐状部材13a、13bによって金属製支柱1000に取り付けられる。切り欠き部21cから金属製支柱1000の側面1000aと紐状部材13aの接点までの対向面211aに対して垂直な距離をb1とし、切り欠き部22cから金属製支柱1000の側面1000aと紐状部材13aの接点までの対向面211aに対して垂直な距離をb2とすると、b1=b2となるように取付部211が金属製支柱1000に配置される。
【0135】
図示していないが、紐状部材13bについても同様であり、切り欠き部21dから金属製支柱1000の側面1000aと紐状部材13bの接点までの対向面211aに対して垂直な距離をd1とし、切り欠き部22dから金属製支柱1000の側面1000aと紐状部材13bの接点までの対向面211aに対して垂直な距離をd2とすると、d1=d2となるように取付部211が金属製支柱1000に配置される。
【0136】
(D)
上記他の実施形態(C)において、図17のように支持部材17を用いて固定治具301が金属製支柱1000に取り付けられていてもよい。図17の支持部材17は、固定治具301の取付部311と同様の構成である。支持部材17の傾斜面21b、21bと反対側の対向面311aが側面1000aに接触し、傾斜面21b、21bが側面1000aとは反対側に設けられている。支持部材17は、他の実施形態(B)と同様に、固定治具301の取付部311と対向して配置される。また、鋼丸棒16および締結部材14を用いて取付部311と支持部材17が金属製支柱1000を挟んで固定される。
【0137】
なお、支持部材17と取付部311の各々の切り欠き部21cと各々の切り欠き部22cに挿通された鋼丸棒16について、取付部311の対向面311aと支持部材17の対向面311aの金属製支柱1000を挟んだ左右の距離をb1とb2とすると、b1=b2となるように締結部材14による鋼丸棒16の締め付けが調整される。
【0138】
また、図示していないが、支持部材17と取付部311の各々の切り欠き部21dと各々の切り欠き部22dに挿通された鋼丸棒16について、取付部311の対向面311aと支持部材17の対向面311aの金属製支柱1000を挟んだ左右の距離をd1とd2とすると、d1=d2となるように締結部材14による鋼丸棒16の締め付けが調整される。
【0139】
(E)
図13Aから図13Cに示す固定治具201では、対向面211aが平面であるが、これに限らず凹部が形成されていてもよい。
【0140】
図18(a)は、固定治具401が金属製支柱1000に取付られた状態を示す平面図である。図18(b)は、固定治具301の正面図である。
【0141】
図に示すように、固定治具401は、取付部411と、センサ配置部12と、を有している。取付部411は、図13Bに示す取付部211と同様に幅方向Xにおける厚みが概ね一定であるが、平面上の対向面411aに高さ方向Yに沿って凹部411b(取付部分の一例)が形成されている。凹部411bは断面視三角形状である。凹部411bの幅方向Xにおける両側の縁411cが金属製支柱1000の側面1000aに接触する。これによって、凹部411bが交線1000bに沿うように、固定治具401を金属製支柱1000の側面1000a上に配置することができる。
【0142】
また、取付部411の対向面411aと反対側の面411dは、傾斜面21b、22bが形成されておらず平面上である。面411dには、締結支持部材414が設けられている。締結支持部材414は、幅方向Xにおける中央に、高さ方向Yに沿って設けられている。締結支持部材414は、締結部材14を支持し、紐状部材13aの切り欠き部21c、22cから突出した両端が締結支持部材414の先端で交わるように締結部材14で締結されている。また、紐状部材13bの切り欠き部21d、22dから突出した両端が締結支持部材414の先端で交わるように締結部材14で締結されている。締結支持部材414は、紐状部材13a、13bにテンションをかけるために取り付けられている。
【0143】
これにより、紐状部材13a、13bは円の接線上に沿った直線となる。また、締結部材14から切り欠き部21cまでの紐状部材13aに沿った長さをb1とし、締結部材14から切り欠き部21dまでの紐状部材13aに沿った長さをb2とすると、b1=b2を満たす必要がある。更に、図示していないが、締結部材14から切り欠き部21dまでの紐状部材13bに沿った長さをd1とし、締結部材14から切り欠き部22dまでの紐状部材13bに沿った長さをd2とすると、d1=d2を満たす必要がある。
【0144】
(F)
上記実施の形態の固定治具1、101には、湾曲した対向面11aおよび傾斜面21b、22bを有する取付部11が設けられているが、これに限らなくてもよく、傾斜面21b、22bが設けられていなくてもよい。
【0145】
図19は、固定治具501が金属製支柱1000に取付られた状態を示す平面図である。図19に示す固定治具501の取付部511は、実施の形態1、2で示す対向面11aを有しているが、対向面11aと反対側の面511bは平面状に形成されている。面511bには、図18(a)および図18(b)で述べた締結支持部材414が設けられている。締結支持部材414は、幅方向Xにおける中央に、高さ方向Yに沿って設けられている。締結支持部材414は、締結部材14を支持し、紐状部材13aの切り欠き部21c、22cから突出した両端が締結支持部材414の先端で交わるように締結部材14で締結されている。また、図示していないが、紐状部材13bの切り欠き部21d、22dから突出した両端が締結支持部材414の先端で交わるように締結部材14で締結されている。
【0146】
締結部材14から切り欠き部21cまでの紐状部材13aに沿った長さをb1とし、締結部材14から切り欠き部21dまでの紐状部材13aに沿った長さをb2とすると、b1=b2を満たす必要がある。更に、図示していないが、締結部材14から切り欠き部21dまでの紐状部材13bに沿った長さをd1とし、締結部材14から切り欠き部22dまでの紐状部材13bに沿った長さをd2とする。
【0147】
対向面11aの幅方向Xにおける湾曲の曲率半径は、金属製支柱1000の曲率半径よりも大きく形成されているため、締結部材14で締めて紐状部材13a、13bにテンションを掛けることによって、自動的にb1=b2およびd1=d2となり、交線1000bに固定治具501の幅方向Xにおける中心軸Cが沿うようになる。
【0148】
(G)
上記実施の形態2では、レーザ光を用いて計測ユニット2の位置決めを行っているが、レーザ光の代わりに引き延ばされる剛直な鋼線等のガイド線を用いてもよい。この場合、ガイド装置41には、ガイド部52としてレーザ光を照射する機構の代わりにガイド線を引き出す機構が設けられていればよい。
【0149】
(H)
上記実施の形態では、金属製柱状物としてテーパー形状のものを例に挙げて説明したが、テーパー形状でなくてもよい。また、金属製柱状物にFRPシート1002が設けられた例を示しているが、FRPシートが設けられていなくてもよい。
(I)
上記実施の形態1に示す固定治具1は、図8に示すように、固定治具1が金属製支柱1000に取り付けられた状態において、側面1000aとセンサ配置部12の間には隙間が形成されているが、図20に示す固定治具601に示すように、センサ配置部12と側面1000aの間に接触部材18が設けられていてもよい。固定治具601は、取付部11と、センサ配置部12と、接触部材18と、を備える。接触部材18は、センサ配置部12に取り付けられている。接触部材18は、センサ配置部12の配置面12aとは反対側の面に配置されている。接触部材18は、固定治具601が金属製支柱1000に取り付けられた状態において、側面1000aに接する接触面18aを有する。接触部材18は、センサ配置部12と一体型でもよく、センサ配置部12に取り付ける取付型であってもよい。接触部材18は、取付部11およびセンサ配置部12と別々の材質であっても同じ材質でもよく、ゴム等の弾性を有するものが好ましい。
これによって、より正確に計測ユニット2を取り付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本開示の固定治具および固定方法は、計測ユニットを金属製柱状物に精度良く位置決めすることが可能な効果を有し、金属製柱状物のき裂や板厚を計測する際に有用である。
【符号の説明】
【0151】
1 :固定治具
2 :計測ユニット
11 :取付部
12 :センサ配置部
12a :配置面
1000 :金属製支柱
1000a :側面
1000b :交線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
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図15
図16
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図18
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図20