(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138305
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】電子部品及び電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/02 20060101AFI20220915BHJP
H01L 23/10 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
H01L23/02 G
H01L23/10 B
H01L23/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038111
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005038
【氏名又は名称】セイコーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】林 恵一郎
(72)【発明者】
【氏名】太田 悠介
(57)【要約】
【課題】気密封止を高い信頼性で行うことができると共に、生産効率の向上化及び低コスト化を図ること。
【解決手段】電子素子2と、電子素子が実装された基部3と、熱硬化性接着剤5を介して基部に接合され、電子素子をキャビティ6内に気密封止する蓋部4と、を備え、基部又は蓋部には、キャビティ内と外部とを連通する通気孔30が形成され、通気孔は、通気孔内に充填された紫外線硬化接着剤40の硬化によって気密封止されている電子部品1を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子素子と、
前記電子素子が実装された基部と、
熱硬化性接着剤を介して前記基部に接合され、前記電子素子をキャビティ内に気密封止する蓋部と、を備え、
前記基部又は前記蓋部には、前記キャビティ内と外部とを連通する通気孔が形成され、
前記通気孔は、前記通気孔内に充填された紫外線硬化接着剤の硬化によって気密封止されていることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品において、
前記紫外線硬化接着剤は、変性アクリレートを有するベース樹脂に、嫌気性触媒或いは熱硬化触媒のいずれか一方が少なくとも含まれている、電子部品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子部品において、
前記紫外線硬化接着剤は、硬化前の粘度が100mPa・s(ミリパスカル秒)~100000mPa・sの範囲内である、電子部品。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の電子部品において、
前記紫外線硬化接着剤は、300nm~500nmの範囲内に反応波長を有する光重合開始剤を含んでいる、電子部品。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電子部品において、
前記通気孔は、外部側に開口した外側開口部の開口径が0.05mm~1.0mmの範囲内で形成されている、電子部品。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の電子部品において、
前記通気孔は、外部側に開口した外側開口部と、前記キャビティ側に開口した内側開口部との間の長さが5mm以下とされている、電子部品。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の電子部品において、
前記通気孔は、外部側に開口した外側開口部から前記キャビティ側に開口した内側開口部に向かうにしたがって直径が漸次縮径する断面テーパ状に形成されている、電子部品。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の電子部品において、
前記キャビティ内には、不活性ガスが充満されている、電子部品。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の電子部品において、
前記基部は、前記電子素子の周囲を囲む枠部を有し、
前記通気孔は、前記枠部に形成され、
前記蓋部は、光学的な透明な材料で形成され、
前記電子素子は、光学素子である、電子部品。
【請求項10】
電子素子と、前記電子素子が実装された基部と、熱硬化性接着剤を介して前記基部に接合され、前記電子素子をキャビティ内に気密封止する蓋部と、を備えた電子部品の製造方法であって、
前記基部に前記電子素子を実装する実装工程と、
前記キャビティ内と外部とを連通する通気孔を設けた前記基部又は前記蓋部を、前記熱硬化性接着剤を介して互いに重ね合わせる重ね合わせ工程と、
前記通気孔を通じて前記キャビティ内の気体を外部に排出することで前記キャビティ内を所定の真空度まで減圧しながら、前記熱硬化性接着剤を加熱によって硬化させる第1封止工程と、
前記キャビティ内の真空度を維持した状態で、前記通気孔内に紫外線硬化接着剤を充填する充填工程と、
前記通気孔内に充填した前記紫外線硬化接着剤に紫外線を照射することで硬化させ、前記通気孔を気密封止する第2封止工程と、を備えていることを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の電子部品の製造方法において、
前記充填工程は、
前記通気孔のうち外部側に開口した外側開口部に対して、所定のクリアランスをあけた状態で、前記紫外線硬化接着剤を吐出する吐出ノズルを向かい合うようにセットするセット工程と、
前記外側開口部における開口周縁の全周に亘って前記紫外線硬化接着剤が接触するように、前記通気孔内に前記紫外線硬化接着剤を吐出して、充填させる吐出工程と、を備えている、電子部品の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の電子部品の製造方法において、
前記吐出工程の際、前記通気孔の中心線に対して、前記吐出ノズルのノズル軸線が20度~70度の範囲内の傾斜角度となるように、前記吐出ノズルを傾斜させた状態で吐出を行う、電子部品の製造方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の電子部品の製造方法において、
前記吐出工程の際、前記紫外線硬化接着剤を吐出しながら、前記外側開口部の開口面に沿って前記吐出ノズルを移動させる、電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品及び電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子部品として、内部にキャビティ(空洞)を有する中空パッケージに電子素子を気密封止したものが知られている(下記特許文献1参照)。
例えば、電子素子の1つであるセンサ素子の場合には、センシング精度の向上化を図るために中空パッケージ内に真空状態で気密封止することが求められる。その他、例えば振動特性の向上化を図るために中空パッケージ内に気密封止する場合等もある。
【0003】
中空パッケージ内に電子素子を気密封止する技術としては、従来から各種の方法が提案されている。例えば、一般的な方法として、実装基板或いはリードフレーム上に電子素子を実装した後、実装基板或いはリードフレームに対して、電子素子の周囲を囲む側壁としての枠部を形成する(この場合、例えば予め成形された枠部を張り付ける、或いは成形用金型を利用して枠部を成形する等)。次いで、枠部上に、枠部の開口部を塞ぐように蓋材を被せて接着する等の方法で行われている。
さらには、実装基板と枠部とを予め一体に形成した有底筒状のベース板に電子素子を実装した後、ベース板の開口部を塞ぐように蓋材を接着する等の方法も知られている。
【0004】
上述したいずれの方法であっても、蓋材を接着する場合には、熱硬化性接着剤を利用して蓋材を被せた後、真空雰囲気下で蓋材を加圧しながら、熱硬化性接着剤を熱硬化させる方法が一般的に採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら熱硬化性接着剤は、熱硬化の過程で、粘度が一旦低下し、その後に高粘度となって硬化する性質を有している。そのため、熱硬化性接着剤の粘度が低下したときに、蓋材を加圧していることと相まって蓋材が動いてしまい易く、蓋体が位置ずれしたまま熱硬化性接着剤が硬化してしまう不具合が発生するおそれがあった。そのため、電子部品の品質低下、性能低下を招き易く、信頼性の低下に繋がってしまう。
さらに、熱硬化性接着剤を利用して蓋材を加圧接着する工程を真空雰囲気下で行う必要があるため、製造工程が複雑となってしまい、生産効率の低下及び製造コスト高を招き易く、改善の余地があった。
【0007】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、気密封止を高い信頼性で行うことができると共に、生産効率の向上化及び低コスト化を図ることができる電子部品及び電子部品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る電子部品は、電子素子と、前記電子素子が実装された基部と、熱硬化性接着剤を介して前記基部に接合され、前記電子素子をキャビティ内に気密封止する蓋部と、を備え、前記基部又は前記蓋部には、前記キャビティ内と外部とを連通する通気孔が形成され、前記通気孔は、前記通気孔内に充填された紫外線硬化接着剤の硬化によって気密封止されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る電子部品によれば、基部又は蓋部にキャビティ内と外部とを連通する通気孔が形成されているので、電子素子を基部に実装し、且つ熱硬化性接着剤を介して基部に蓋部を組み合わせた後に、例えば真空加熱炉等を利用することで、通気孔を通じてキャビティ内の気体を排出しながら、熱硬化性接着剤を加熱することができる。これにより、キャビティ内を所定の真空度に減圧することができると共に、減圧を利用して蓋部を吸引することができ、基部に対して蓋部を押し付けるように作用させることができる。特に、基部に対して蓋部を均等に押し付けた状態を維持することができるので、熱硬化性接着剤の加熱硬化によって、基部と蓋部とを位置ずれさせることなく、精度良く一体に固着させることができる。
【0010】
基部と蓋部とを固着した後、通気孔内に紫外線硬化接着剤を充填させ、該紫外線硬化接着剤に紫外線を照射して硬化させることで、通気孔内を気密封止することができる。特に、紫外線硬化接着剤を利用しているので、例えば熱硬化性接着剤等を用いる場合とは異なり、紫外線の照射によって短時間(瞬時)で硬化させることが可能である。従って、キャビティ内の気密封止性を向上することができ、耐湿性や作動信頼性が向上した電子部品とすることができる。さらに、従来のように蓋部を加圧するための機構等が不要になるので、生産効率の向上化及び低コスト化を図ることができる。
【0011】
(2)前記紫外線硬化接着剤は、変性アクリレートを有するベース樹脂に、嫌気性触媒或いは熱硬化触媒のいずれか一方が少なくとも含まれても良い。
【0012】
この場合には、紫外線硬化接着剤の主成分であるベース樹脂に、嫌気性触媒或いは熱硬化触媒のいずれか一方が少なくとも含まれているので、紫外線の照射による硬化に加え、キャビティ内の減圧に伴う酸素遮断による効果や、熱硬化による効果によって紫外線硬化接着剤の硬化を促進することができる。従って、通気孔内に充填した紫外線硬化接着剤に紫外線を照射した際、例えば紫外線が通り難い部分、或いは紫外線が到達し難い部分があったとしても、これらの部分を適切に硬化させることができる。従って、紫外線硬化接着剤の全体を確実に硬化させて、通気孔の気密封止性をさらに向上させることができる。
【0013】
(3)前記紫外線硬化接着剤は、硬化前の粘度が100mPa・s(ミリパスカル秒)~100000mPa・sの範囲内であっても良い。
【0014】
この場合には、紫外線硬化接着剤が一定の粘度を有しているので、通気孔内に紫外線硬化接着剤を充填させたときに、通気孔内からキャビティ側に紫外線硬化接着剤が流れてしまうことを抑制することができる。従って、キャビティ内に紫外線硬化接着剤が垂れ流れる、或いは垂れ落ちる等の不都合を抑制することができ、電子素子への影響をなくして、作動信頼性をさらに向上させ易い。
【0015】
(4)前記紫外線硬化接着剤は、300nm~500nmの範囲内に反応波長を有する光重合開始剤を含んでも良い。
【0016】
この場合には、紫外線硬化接着剤が上記範囲内に反応波長を有する光重合開始剤を含んでいるので、通気孔内に充填した紫外線硬化接着剤に紫外線を照射する際に、例えば可視光(室内散乱光)の影響を回避し易いうえ、一般的に用いられている紫外線LEDによるスポット照射において最も光量の多い365nmの波長を有効に利用することが可能である。従って、生産効率をさらに向上することができるうえ、紫外線硬化接着剤をさらに短時間で硬化させ易い。
【0017】
(5)前記通気孔は、外部側に開口した外側開口部の開口径が0.05mm~1.0mmの範囲内で形成されても良い。
【0018】
この場合には、外側開口部の開口径が上記範囲内となるように通気孔が形成されているので、通気孔を微小サイズにすることができ、通気孔内に短時間で紫外線硬化接着剤を充填することができるうえ、通気孔内に紫外線硬化接着剤を隙間なく充填させ易い。従って、通気孔の気密封止性をより一層向上することができる。
【0019】
(6)前記通気孔は、外部側に開口した外側開口部と、前記キャビティ側に開口した内側開口部との間の長さが5mm以下とされても良い。
【0020】
この場合には、通気孔の長さが5mm以下であるので、通気孔内に充填した紫外線硬化接着剤の全体に対して、照射した紫外線を適切に到達させることができる。従って、通気孔の気密封止性をより一層向上することができる。
【0021】
(7)前記通気孔は、外部側に開口した外側開口部から前記キャビティ側に開口した内側開口部に向かうにしたがって直径が漸次縮径する断面テーパ状に形成されても良い。
【0022】
この場合には、通気孔がキャビティ側に向かうにしたがって直径が漸次縮径する断面テーパ状に形成されているので、通気孔内に紫外線硬化接着剤を充填させ易いうえ、通気孔内に隙間なく充填させ易い。従って、通気孔の気密封止性をより一層向上することができる。
【0023】
(8)前記キャビティ内には、不活性ガスが充満されても良い。
【0024】
この場合には、キャビティ内に窒素や希ガス等の不活性ガスが充満しているので、例えば防湿性、防食性等を向上することができ、作動信頼性をさらに向上することができる。
【0025】
(9)前記基部は、前記電子素子の周囲を囲む枠部を有し、前記通気孔は、前記枠部に形成され、前記蓋部は、光学的な透明な材料で形成され、前記電子素子は、光学素子であっても良い。
【0026】
この場合には、通気孔が枠部に形成されているので、光学的な透明な蓋部を通じてキャビティ内の光学素子に光を入射させることや、キャビティ内の光学素子から蓋部を通じて外部に光を出射させることができ、例えばイメージセンサ等の光学用電子部品として好適に用いることできる。
【0027】
(10)本発明に係る電子部品の製造方法は、電子素子と、前記電子素子が実装された基部と、熱硬化性接着剤を介して前記基部に接合され、前記電子素子をキャビティ内に気密封止する蓋部と、を備えた電子部品の製造方法であって、前記基部に前記電子素子を実装する実装工程と、前記キャビティ内と外部とを連通する通気孔を設けた前記基部又は前記蓋部を、前記熱硬化性接着剤を介して互いに重ね合わせる重ね合わせ工程と、前記通気孔を通じて前記キャビティ内の気体を外部に排出することで前記キャビティ内を所定の真空度まで減圧しながら、前記熱硬化性接着剤を加熱によって硬化させる第1封止工程と、前記キャビティ内の真空度を維持した状態で、前記通気孔内に紫外線硬化接着剤を充填する充填工程と、前記通気孔内に充填した前記紫外線硬化接着剤に紫外線を照射することで硬化させ、前記通気孔を気密封止する第2封止工程と、を備えていることを特徴とする。
【0028】
本発明に係る電子部品の製造方法によれば、第1封止工程を行う際に、熱硬化性接着剤を介して基部と蓋部を重ね合わせた後に、例えば真空加熱炉等を利用することで、通気孔を通じてキャビティ内の気体を排出しながら、熱硬化性接着剤を加熱することができる。これにより、キャビティ内を所定の真空度に減圧することができると共に、減圧を利用して蓋部を吸引することができ、基部に対して蓋部を押し付けるように作用させることができる。特に、基部に対して蓋部を均等に押し付けた状態を維持することができるので、熱硬化性接着剤の加熱硬化によって、基部と蓋部とを位置ずれさせることなく、精度良く一体に固着することができる。
【0029】
次いで、充填工程において、キャビティ内の真空度を維持した状態で、通気孔内に紫外線硬化接着剤を充填させる。そして、第2封止工程において、通気孔内に充填した紫外線硬化接着剤に紫外線を照射して硬化させることで、通気孔内を気密封止することができる。特に、紫外線硬化接着剤を利用しているので、例えば熱硬化性接着剤等を用いる場合とは異なり、紫外線の照射によって短時間(瞬時)に硬化させることが可能である。従って、キャビティ内の気密封止性を向上することができ、耐湿性や作動信頼性が向上した電子部品とすることができる。さらに、従来のように蓋部を加圧するための機構等が不要になるので、生産効率の向上化及び低コスト化を図ることができる。
【0030】
(11)前記充填工程は、前記通気孔のうち外部側に開口した外側開口部に対して、所定のクリアランスをあけた状態で、前記紫外線硬化接着剤を吐出する吐出ノズルを向かい合うようにセットするセット工程と、前記外側開口部における開口周縁の全周に亘って前記紫外線硬化接着剤が接触するように、前記通気孔内に前記紫外線硬化接着剤を吐出して、充填させる吐出工程と、を備えても良い。
【0031】
この場合には、通気孔の外側開口部に対して、所定のクリアランスをあけた状態で吐出ノズルを向かい合うようにセットした後、吐出ノズルから通気孔内に向けて紫外線硬化接着剤を吐出して充填させる。特に、通気孔の外側開口部における開口周縁の全周に亘って紫外線硬化接着剤が接触するように、吐出ノズルから紫外線硬化接着剤を吐出するので、外側開口部の開口周縁に接触した紫外線硬化接着剤を、吐出の勢いに加えて、表面張力を利用して通気孔内に誘導させることができる。従って、通気孔の開口サイズが小さい場合であっても、通気孔内に効率良く紫外線硬化接着剤を吐出して充填させることができ、作業性を向上させることができる。さらに、通気孔の外側開口部に対して、所定のクリアランスをあけた状態で吐出ノズルをセットするので、例えば吐出前に紫外線硬化接着剤が通気孔の周囲に意図せずに付着するといった不都合を抑制することができる。従って、紫外線硬化接着剤を無駄なく、通気孔の内部にだけ効率良く吐出させ易い。
【0032】
(12)前記吐出工程の際、前記通気孔の中心線に対して、前記吐出ノズルのノズル軸線が20度~70度の範囲内の傾斜角度となるように、前記吐出ノズルを傾斜させた状態で吐出を行っても良い。
【0033】
この場合には、通気孔の中心線に対して上記傾斜角度で吐出ノズルを傾斜させながら、通気孔内に紫外線硬化接着剤を吐出するので、吐出ノズルから吐出した紫外線硬化接着剤が例えば重力の影響によって吐出ノズルから垂れるような挙動を示したとしても、垂れた状態の紫外線硬化接着剤を、通気孔の外側開口部における開口周縁の全周に亘って接触させることが可能である。従って、重力の影響を受けたとしても、紫外線硬化接着剤を通気孔内に適切に誘導することができる。
【0034】
(13)前記吐出工程の際、前記紫外線硬化接着剤を吐出しながら、前記外側開口部の開口面に沿って前記吐出ノズルを移動させても良い。
【0035】
この場合には、紫外線硬化接着剤を吐出しながら、外側開口部の開口面内に吐出ノズルをスライド移動させるので、紫外線硬化接着剤が例えば重力の影響によって吐出ノズルから垂れるような挙動を示したとしても、外側開口部における開口周縁の全周に亘って接触させ易い。従って、重力の影響を受けたとしても、紫外線硬化接着剤を通気孔内に誘導することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、気密封止を高い信頼性で行うことができると共に、生産効率の向上化及び低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明に係る実施形態を示す図であって、光学用電子部品(電子部品)の縦断面図である。
【
図2】
図1に示す光学用電子部品の外観斜視図である。
【
図3】
図1に示す通気孔の周辺を拡大した断面図である。
【
図4】
図1に示す光学用電子部品を製造する際の一工程図であって、リードフレームのダイパッド部上に光学素子を実装した断面図である。
【
図5】
図4に示すリードフレームにベース部、及び通気孔が形成された周壁部を組み合わせて基部を作成した状態を示す断面図である。
【
図6】
図5に示す基部に、熱硬化性接着剤を介して蓋部を重ね合わせた状態を示す断面図である。
【
図7】
図6に示す通気孔に対して吐出ノズルをセットした状態を示す断面図である。
【
図8】
図7に示す吐出ノズルから通気孔内に紫外線硬化接着剤を吐出している状態を示す断面図である。
【
図9】
図8に示す通気孔内に充填した紫外線硬化接着剤に対して紫外線を照射している状態を示す断面図である。
【
図10】光学用電子部品の変形例を示す縦断面図である。
【
図11】光学用電子部品の別の変形例を示す斜視図である。
【
図12】
図11に示す光学用電子部品における通気孔を示す斜視図である。
【
図13】電子部品のさらに別の変形例を示す縦断面図である。
【
図14】電子部品のさらに別の変形例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係る電子部品及び電子部品の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、電子部品として、光学素子をキャビティ(空洞)内に封止した光学用電子部品を例に挙げて説明する。
【0039】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の光学用電子部品1は、光学素子(本発明に係る電子素子)2と、光学素子2が実装された基部3と、熱硬化性接着剤5を介して基部3に接合され、光学素子2をキャビティ6内に気密封止する蓋部4と、を備えている。
【0040】
本実施形態の光学用電子部品1は、前後方向L1に沿った長さと、左右方向L2に沿った長さとが同等とされ、且つ厚みが薄い直方体状に形成されたチップ部品とされている。ただし、光学用電子部品1の形状は、この場合に限定されるものではなく、例えば用途や光学素子2のサイズ等に応じて適宜変更して構わない。
また、本実施形態では、光学用電子部品1の厚み方向において、基部3から蓋部4に向かう方向を上方といい、その反対方向を下方という。さらに前後方向L1のうちの一方向を前方といい、他方向を後方という。
【0041】
基部3は、上方に向けて開口した有底筒状に形成されている。具体的には、基部3は、リードフレーム10と、リードフレーム10に一体的に組み合わされたベース部20及び周壁部(本発明に係る枠部)25と、を備えている。
【0042】
リードフレーム10は、光学素子2を支持固定すると共に、図示しない外部配線との電気的接続を行う部品であって、光学素子2が実装されるダイパッド部11と、複数のリード部12と、を主に備えている。
【0043】
ダイパッド部11は、例えば平面視四角形状或いは長方形状に形成されている。光学素子2は、ダイパッド部11上に例えば導電性接着剤或いは半田接合等によって実装されている。
リード部12は、内端部側が金属ワイヤ7を介して光学素子2の図示しない電極に電気的に接続されたインナーリード部12aと、インナーリード部12aの外端部から下方に向けて折曲された折曲部12bと、折曲部12bの下端部からさらに折曲され、図示しない外部配線に対して電気的接続されるアウターリード部12cとをそれぞれ備えている。従って、アウターリード部12cは、光学用電子部品1の外部接続端子として機能する。
【0044】
なお、インナーリード部12a、折曲部12b及びアウターリード部12cを有するリード部12は、ダイパッド部11の周囲を囲むように例えば前後方向L1及び左右方向L2に間隔をあけて並ぶように配置されている(
図2参照)。これにより、アウターリード部12cの外端部は、前後方向L1及び左右方向L2に沿って間隔をあけて配置された状態で外部に露出している。ただし、リード部12の形状は、この場合に限定されるものではない。
【0045】
なお、リードフレーム10は、機械的強度、電気導通性、伝熱性、耐食性等の優れた金属製(例えばCu合金系素材、鉄合金系素材等)の薄板を、打ち抜き加工(プレス加工)やエッチング加工等を行うことで形成されている。
【0046】
ベース部20は、例えば絶縁性基板であり、ダイパッド部11の下方であって、且つ複数のリード部12における折曲部12bの内側に隙間なく組み込まれている。これにより、ベース部20とリード部12との間は高いシール性が確保されており、ベース部20とリード部12との間を通じたキャビティ6内と外部との連通が遮断されている。
ベース部20は、特定の材質に限定されるものではないが、例えばセラミック等の無機材料や、耐熱樹脂材料、或いは耐熱樹脂材料を強化繊維で強化した繊維強化型樹脂材料等を用いることも可能である。さらには、例えばリードフレーム10に対して合成樹脂をモールド成形することでベース部20を一体的に形成しても構わない。
【0047】
周壁部25は、光学素子2の周囲を囲むように枠状に形成され、複数のリードフレーム10における折曲部12bを外側から囲んだ状態でアウターリード部12cに対して上方から重なるように一体的に組み合わされている。
具体的には、周壁部25は、前後方向L1に光学素子2を挟んで向かい合うように配置された前壁26及び後壁27と、左右方向L2に光学素子2を挟んで向かい合うように配置された一対の側壁28と、を有する平面視四角形状の枠状に形成されている。周壁部25は、折曲部12bの内側及びアウターリード部12cに対して隙間なく組み込まれている。これにより、周壁部25とリード部12との間は高いシール性が確保されており、周壁部25とリード部12との間を通じたキャビティ6内と外部との連通が遮断されている。
【0048】
周壁部25は、特定の材質に限定されるものではないが、例えばセラミック等の無機材料や、耐熱樹脂材料、或いは耐熱樹脂材料を強化繊維で強化した繊維強化型樹脂材料等を用いることも可能である。なお、周壁部25としては、例えばリードフレーム10とは別に、予め枠状に形成されたものでも構わないし、成形用金型を利用して枠状に成形した樹脂モールド等であっても構わない。
周壁部25の厚さ(壁厚)としては、特に限定されるものではないが、例えば0.5mm~1.0mmの範囲内とされ、薄肉に形成されている。ただし、各図面では、図示を見易くするための周壁部25の厚みを誇張して図示している。
【0049】
上述したように、本実施形態の基部3は、リードフレーム10と、リードフレーム10に一体的に組み合わされたベース部20及び周壁部25とを備え、全体としては上方に向けて開口した有底筒状に形成されている。
【0050】
蓋部4は、上述した基部3の開口部を上方から閉塞する厚みの薄いプレート状に形成されている。蓋部4は、周壁部25の外形形状に対応した外形で形成されている。従って、蓋部4は前後方向L1に沿った長さと左右方向L2に沿った長さとが同等の平面視四角形状に形成されている。さらに本実施形態では、蓋部4は光学的に透明なガラス基板とされている。
【0051】
蓋部4は、外周縁部が全周に亘って、熱硬化性接着剤5を介して周壁部25の上端開口縁、すなわち、前壁26、後壁27及び一対の側壁28の上端開口縁上に重なるように配置されていると共に、熱硬化性接着剤5の硬化によって強固に固着されている。これにより、蓋部4と周壁部25との間は高いシール性が確保されており、蓋部4と周壁部25との間を通じたキャビティ6内と外部との連通が遮断されている。
【0052】
このように基部3に対して蓋部4が一体的に組み合わされることで、蓋部4と周壁部25とリードフレーム10とによって囲まれる内部空間が、気密封止されたキャビティ6として機能する。そして光学素子2は、気密封止されたキャビティ6内に配置される。従って、基部3及び蓋部4は、光学素子2を内部に形成されたキャビティ6内に封止する中空パッケージ8として機能する。
【0053】
なお、熱硬化性接着剤5としては、特に限定されるものではないが、例えば一般的なエポキシ系樹脂を採用することができる。この場合において、エポキシ系樹脂にシリカフィラーを含有させることが好ましい。比率としては、例えばエポキシ系樹脂1~2割に対して、シリカフィラーを8~9割を含有させることが好ましい。
このように、シリカフィラーを含有させることで、熱硬化性接着剤5の熱伝導性を高めることができ、キャビティ6内に封止する光学素子2が例えばシリコン半導体素子である場合に、シリコン半導体素子の熱膨張係数に合わせることが可能となる。
【0054】
さらに熱硬化性接着剤5は、周壁部25の上端開口端の全周に亘って均等な厚みで形成されている。この際、熱硬化性接着剤5の厚みとしては、例えば最小厚みを0.3mmとし、好ましくは0.5mm以上である。蓋部4の反りを抑制しつつ、光学用電子部品1の薄型化を図るためには、熱硬化性接着剤5の最小厚みを0.3mmとすることが好ましく、さらに高信頼性を図るためには、熱硬化性接着剤5の厚みを0.5mm以上とすることが好ましい。
【0055】
上述のように構成された基部3又は蓋部4のうちの一方には、キャビティ6内と外部とを連通する通気孔30が形成されている。
本実施形態では、基部3を構成する周壁部25における前壁26に通気孔30が形成されている。通気孔30は、前壁26を前後方向L1に貫通するように形成されている。具体的には、通気孔30は、前壁26における左右方向L2の中央部分に位置し、且つ上端開口縁寄りに位置する部分に1箇所形成されている(
図2参照)。ただし、通気孔30の形成位置は、この場合に限定されるものではない。
なお、通気孔30は、リードフレーム10に対して周壁部25が組み合わされる前の、周壁部25の形成段階で形成される。
【0056】
図1及び
図3に示すように、通気孔30は、前壁26を前後方向L1に貫通するように形成されているため、外部側(前方側)に開口した外側開口部31と、キャビティ6側に開口した内側開口部32を有している。通気孔30の長さは、前壁26の壁厚に対応している。すなわち、通気孔30は、外側開口部31と内側開口部32との間の前後方向L1に沿った長さが、0.5mm~1.0mmとされている。
さらに通気孔30は、外側開口部31から内側開口部32に向かうにしたがって直径が漸次縮径する断面テーパ状に形成されている。この際、外側開口部31の開口径は、例えば0.05mm~1.00mmの範囲内となるように形成されている。その中でも、外側開口部31の開口径を0.1mm~0.4mmの範囲内とすることが好ましい。
【0057】
上述のように形成された通気孔30は、該通気孔30内に充填された紫外線硬化接着剤40の硬化によって気密封止されている。
紫外線硬化接着剤40は、後述するディスペンサ50における吐出ノズル51からペースト状態で通気孔30内に吐出されることで、通気孔30内に充填された後、後述する紫外線照射器55からの紫外線UVの照射によって硬化している。
これにより、通気孔30を通じたキャビティ6内と外部との連通が遮断されており、キャビティ6内は密封状態が維持されている。
【0058】
紫外線硬化接着剤40としては、毒性、変異原性を示さない等の特徴を有するものを採用することが好ましい。特に紫外線硬化接着剤40としては、変性アクリレートを有するベース樹脂を主成分とし、このベース樹脂に嫌気性触媒或いは熱硬化触媒のいずれか一方を少なくとも含有するものを採用することが好ましい。具体的には、紫外線硬化接着剤40としては、嫌気性付与型変性アクリレート又は熱硬化付与型変性アクリレートを用いることが好ましい。
【0059】
紫外線硬化接着剤40として嫌気性付与型変性アクリレートを採用した場合には、紫外線硬化することに加え、嫌気硬化機能を付与することができる。これにより、嫌気性硬化の作用によって、紫外線が照射され難い部分等についても硬化させることが可能となる。なお、変性アクリレートに嫌気性接着硬化の機能を持たせるには、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有しているジメタクリレートを成分にしていることが必要である。
紫外線硬化接着剤40として熱硬化付与型変性アクリレートを採用した場合には、紫外線硬化することに加えて、熱硬化機能を付与することができる。これにより、熱硬化の作用によって、紫外線が照射され難い部分等についても硬化させることが可能となる。
【0060】
紫外線硬化接着剤40の硬化前の粘度としては、通気孔30のサイズによって最適な粘度は異なるが、例えば室温(25度前後)において、1mPa・s(ミリパスカル秒)から使用することが可能である。
ただし、通気孔30の気密封止を適切に行うという観点によれば、紫外線硬化接着剤40の粘度は、100mPa・s~100000mPa・sの範囲内であることが好ましい。その中でも、500mPa・s~20000mPa・sの範囲内の粘度とすることが好ましく、1000mPa・s~15000Pa・sの範囲内の粘度とすることがさらに好ましい。
【0061】
さらに、紫外線硬化接着剤40としては、例えば300nm~500nmの範囲内に反応波長を有する光重合開始剤(例えばベンゾインエーテル類、或いはアミン類等)を含んでいることが好ましい。その中でも、紫外線照射器55として、一般的に用いられているLED-UV照射器によるスポット照射において最も光量の多い365nmの波長付近に極大吸収を有する光重合開始剤を含んでいることがさらに好ましい。
【0062】
(光学用電子部品の製造方法)
次に、上述のように構成された光学用電子部品1の製造方法について説明する。
はじめに、
図4に示すように、基部3を構成するリードフレーム10(プレス加工等によって予め外形形成されている)におけるダイパッド部11上に光学素子2を実装する工程(本発明に係る実装工程)を行う。具体的には、ダイパッド部11上に例えば導電性接着剤或いは半田接合等によって光学素子2を実装すると共に、光学素子2の図示しない電極とインナーリード部12aとを金属ワイヤ7を利用して電気的に接続させる。
【0063】
次いで、通気孔30を設けた基部3又は蓋部4を、熱硬化性接着剤5を介して互いに重ね合わせる工程を行う(本発明に係る重ね合わせ工程)。
本工程では、
図5に示すように、光学素子2が実装されたリードフレーム10に対してベース部20を組み合わせると共に、予め通気孔30が形成された周壁部25をリードフレーム10に対して組み合わせる。
【0064】
この際、先に述べたように、リードフレーム10に対して、予め形成されたベース部20及び通気孔30が形成された周壁部25を一体的に組み合せても構わないし、リードフレーム10に対して、成形用金型等を利用して合成樹脂をモールド成形することでベース部20及び周壁部25を一体的に組み合わせても構わない。モールド成形によって周壁部25を形成した場合には、成形後に通気孔30を形成しても構わない。
これにより、リードフレーム10、ベース部20、及び通気孔30が形成された周壁部25を具備する有底筒状の基部3を得ることができる。
【0065】
次いで、
図6に示すように、周壁部25の上端開口縁に全周に亘って均等の厚さで熱硬化性接着剤5を塗布した後、基部3の開口部を閉塞するように蓋部4を上方から重ね合わせる。これにより、光学素子2が配置されたキャビティ6を塞ぐことができ、熱硬化性接着剤5を介して互いに重ね合わされた基部3及び蓋部4からなる仮部品45が完成する。
なお、仮部品45の段階では、キャビティ6内は通気孔30を通じて外部に連通している。
【0066】
次いで、通気孔30を通じてキャビティ6内の気体(空気)を外部に排出することでキャビティ6内を所定の真空度まで減圧しながら、熱硬化性接着剤5を加熱によって硬化させる工程(本発明に係る第1封止工程)を行う。
具体的には、
図6に示す仮部品45を図示しない真空加熱炉内に投入する。投入後、真空加熱炉内を徐々に減圧させると共に温度上昇させる。これにより、通気孔30を通じてキャビティ6内の気体を排出しながら、熱硬化性接着剤5を加熱することができる。従って、キャビティ6内を所定の真空度に減圧することができると共に、減圧を利用して蓋部4を吸引することができ、基部3に対して蓋部4を上方から押し付けるように作用させることができる。
【0067】
特に、基部3を構成する周壁部25に対して蓋部4を均等に上方から押し付けた状態を維持することができるので、熱硬化性接着剤5の加熱硬化によって、基部3と周壁部25とを位置ずれさせることなく、精度良く一体に固着(接着固定)することができる。
【0068】
次いで、キャビティ6内の真空度を維持した状態で、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填する工程(本発明に係る充填工程)を行う。
本工程では、ペースト状の紫外線硬化接着剤40が充填されたディスペンサ50を利用して行う。具体的には、
図7に示すように、通気孔30のうち周壁部25の前壁26に開口した外側開口部31に対して、所定のクリアランスHをあけた状態で、ディスペンサ50の吐出ノズル51を向かい合うようにセットする(本発明に係るセット工程)。この際、上記クリアランスHとしては、例えば50μm~100μm程度である。ただし、クリアランスHとしては、この場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
【0069】
なお、吐出ノズル51は、ノズル軸線O1を中心とした円筒状に形成され、外径は通気孔30の外側開口部31の直径よりも大きく、且つ内径は外側開口部31の直径よりも小さいものを用いることが好ましい。例えば、吐出ノズル51の内径は、0.08mm~1mmが好ましく、0.1mm~0.4mmがさらに好ましい。
【0070】
次いで、吐出ノズル51をセットした後、通気孔30の外側開口部31における開口周縁の全周に亘って紫外線硬化接着剤40が接触するように、吐出ノズル51から通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を吐出して、充填させる工程(本発明に係る吐出工程)を行う。
具体的には、
図8に示すように、通気孔30の中心線O2に対して吐出ノズル51のノズル軸線O1が20度~70度の範囲内の傾斜角度θとなるように吐出ノズル51を下向きに傾斜させながら吐出を行う。
【0071】
これにより、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を無駄なく吐出して、効率良く充填させることができる。この点について詳細に説明する。
吐出ノズル51から通気孔30内に向けて紫外線硬化接着剤40を吐出する際、通気孔30の外側開口部31における開口周縁の全周に亘って紫外線硬化接着剤40が接触するように吐出するので、外側開口部31の開口周縁に接触した紫外線硬化接着剤40を、吐出の勢いに加えて表面張力を利用して通気孔30内に誘導させることができる。従って、通気孔30の開口サイズが小さい場合であっても、通気孔30内に効率良く紫外線硬化接着剤40を吐出して充填させることができ、作業性を向上させることができる。
【0072】
特に、通気孔30の中心線O2に対して吐出ノズル51を下向きに傾斜角度θで傾斜させながら、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を吐出している。従って、吐出ノズル51から吐出した紫外線硬化接着剤40が例えば重力の影響によって吐出ノズル51から垂れるような挙動を示したとしても、垂れた状態の紫外線硬化接着剤40を通気孔30の外側開口部31における開口周縁の全周に亘って接触させることが可能である。従って、重力の影響を受けたとしても、紫外線硬化接着剤40を通気孔30内に適切に誘導することができる。
【0073】
さらに、通気孔30の外側開口部31に対して、所定のクリアランスHをあけた状態で吐出ノズル51をセットするので、例えば吐出前に紫外線硬化接着剤40が通気孔30の周囲に意図せずに付着するといった不都合を抑制することができる。従って、紫外線硬化接着剤40を無駄なく、狙った通気孔30の内部にだけ効率良く吐出させ易い。
【0074】
上述のように、通気孔30内への紫外線硬化接着剤40の充填が終了した後、
図9に示すように、紫外線硬化接着剤40に紫外線UVを照射することで硬化させ、通気孔30を気密封止する工程(本発明に係る第2封止工程)を行う。具体的には、紫外線照射器55を利用して、周壁部25における前壁26の前方から、紫外線硬化接着剤40に向けて紫外線UVをスポット照射する。これにより、通気孔30内で紫外線硬化接着剤40を硬化させることができ、通気孔30を気密封止することができる。
特に、紫外線硬化接着剤40を利用しているので、例えば熱硬化性接着剤5等を用いる場合とは異なり、紫外線UVの照射によって短時間(瞬時)に硬化させることが可能である。従って、キャビティ6内の気密封止性を向上することができ、耐湿性や作動信頼性が向上した光学用電子部品1とすることができる。
【0075】
上述のように製造された
図1及び
図2に示す光学用電子部品1によれば、キャビティ6内の気密封止を高い信頼性で行うことができ、作動信頼性が向上した高品質の電子部品とすることができる。従って、光学的に透明な蓋部4を通じてキャビティ6内の光学素子2に外部から光を入射させることや、キャビティ6内の光学素子2から蓋部4を通じて外部に光を出射させることができ、例えばイメージセンサ等の光学用電子部品1として好適に用いることできる。
さらに、通気孔30を通じたキャビティ6内の減圧を利用して、基部3に対する蓋部4の押付けを行うことができるので、従来のように蓋部4を加圧するための機構等が不要になる。従って、製造工程を簡素化することができ、生産効率の向上化及び低コスト化を図ることができる。
【0076】
さらに、紫外線硬化接着剤40として、嫌気性付与型変性アクリレート又は熱硬化付与型変性アクリレートを用いることができるので、紫外線UVの照射による硬化に加え、キャビティ6内の減圧に伴う酸素遮断による効果や、熱硬化による効果によって紫外線硬化接着剤40の硬化を促進することができる。
従って、通気孔30内に充填した紫外線硬化接着剤40に紫外線UVを照射した際、例えば紫外線UVが通り難い部分、或いは紫外線UVが到達し難い部分があったとしても、これらの部分を適切に硬化させることができる。従って、紫外線硬化接着剤40の全体を確実に硬化させて、通気孔30の気密封止性をさらに向上させることができる。
【0077】
さらに、紫外線硬化接着剤40が一定の粘度(100mPa・s~100000mPa・sの範囲内)を有しているので、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填させたときに、通気孔30内からキャビティ6内側に紫外線硬化接着剤40が流れてしまうことを抑制することができる。従って、キャビティ6内に紫外線硬化接着剤40が垂れ流れる、或いは垂れ落ちる等の不都合を抑制することができ、光学素子2への影響をなくして、作動信頼性をさらに向上させ易い。
【0078】
さらに、紫外線硬化接着剤40が300nm~500nmの範囲内に反応波長を有する光重合開始剤を含んでいる場合には、通気孔30内に充填した紫外線硬化接着剤40に紫外線UVを照射する際に、例えば可視光(室内散乱光)の影響を回避し易い。それに加えて、紫外線照射器55として、一般的に用いられているLED-UV照射器を利用してスポット照射することで、最も光量の多い365nmの波長を利用して効果的に紫外線硬化接着剤40の硬化を促進することができる。従って、生産効率をさらに向上することができるうえ、紫外線硬化接着剤40をさらに短時間で硬化させ易い。
【0079】
なお、紫外線硬化接着剤40を用いる場合、例えば一液型でポットライフを半年のものを利用できるので、厳格な期限管理の必要が無く、作業性に優れている。さらに、紫外線硬化接着剤40は、安全性、耐久性、耐熱性等の点において信頼性があり、劣化も少ないため、使い易く利便性に優れている。
さらに、365nmの波長付近に極大吸収を有する光重合開始剤を含む紫外線硬化接着剤40は、紫外線硬化の点で最も効率的でコストも安く、省資源という観点から、最も好ましく採用することができる。
【0080】
さらに通気孔30は、周壁部25における前壁26に開口した外側開口部31の開口径が0.05mm~1.00mmの範囲内で形成されているので、通気孔30を微小サイズにすることができ、通気孔30内に短時間で紫外線硬化接着剤40を充填することができるうえ、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を隙間なく充填させ易い。
それに加え、通気孔30はキャビティ6側に向かうにしたがって直径が漸次縮径する断面テーパ状に形成されているので、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填させ易いうえ、通気孔30内に隙間なく充填させ易い。従って、これらのことにより、通気孔30の気密封止性をより一層向上することができる。
【0081】
さらに通気孔30は、周壁部25の壁厚に対応して長さが0.5mm~1.0mmの範囲内とされているので、通気孔30内に充填した紫外線硬化接着剤40の全体に対して、照射した紫外線UVを適切に到達させることができる。従って、通気孔30の気密封止性をより一層向上することができる。
【0082】
(変形例)
上記実施形態では、通気孔30の長さを、周壁部25の壁厚に対応して0.5mm~1.0mmの範囲内としたが、この場合に限定されるものではない。通気孔30の長さとしては、紫外線硬化接着剤40の膜厚硬化性能に基づいて上限値を決定し、中空パッケージ8の材質と紫外線硬化接着剤40との接着強度に基づいて下限値を決定すれば良い。一般的な紫外線硬化接着剤40の場合には、膜厚硬化性能の値は紫外線UVの到達限界に依存するため、5mm以下が好ましいといえる。従って、通気孔30の長さは、5mm以下とすることが好ましい。
【0083】
この場合において、通気孔30内の全体に亘って紫外線硬化接着剤40を必ずしも充填する必要はなく、外側開口部31から少なくとも一定距離分だけ紫外線硬化接着剤40が埋まるように充填すれば構わない。上記一定距離としては、例えば数秒の紫外線UVの照射で確実な硬化が可能であり、且つ硬化による通気孔30の気密封止の信頼性を得るために、少なくとも0.3mm確保する必要があり、0.5mm確保することがより好ましい。
【0084】
さらに上記実施形態において、吐出ノズル51から通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を吐出する際、通気孔30の中心線O2に対して吐出ノズル51のノズル軸線O1が20度~70度の範囲内の傾斜角度θとなるように吐出ノズル51を下向きに傾斜させたが、これとは反対に吐出ノズル51を上向きに傾斜させても構わない。
この場合であっても、同様の作用効果を奏功することができ、吐出ノズル51から吐出した紫外線硬化接着剤40が例えば重力の影響によって吐出ノズル51から垂れるような挙動を示したとしても、紫外線硬化接着剤40を通気孔30の外側開口部31における開口周縁の全周に亘って接触させ易く、通気孔30内に適切に誘導することができる。
【0085】
ただし、吐出ノズル51から紫外線硬化接着剤40を吐出する際に、通気孔30の外側開口部31における開口周縁の全周に亘って紫外線硬化接着剤40が接触するように吐出することができれば、必ずしも吐出ノズル51を傾斜させる必要はない。
【0086】
例えば、通気孔30の中心線O2に対してノズル軸線O1が平行となるように吐出ノズル51を水平配置させた状態で紫外線硬化接着剤40を吐出し、且つ吐出しながら吐出ノズル51を上下方向(外側開口部31の開口面内に沿う方向)に移動させても構わない。
この場合には、紫外線硬化接着剤40を吐出しながら吐出ノズル51をスライド移動させるので、紫外線硬化接着剤40が重力の影響によって吐出ノズル51から垂れるような挙動を示したとしても、外側開口部31における開口周縁の全周に亘って接触させることが可能である。従って、同様の作用効果を奏功することができる。
なお、この場合において、吐出ノズル51を下向き或いは上向きに傾斜させながら、さらに上下方向にスライド移動させる動作を組み合わせても構わない。
【0087】
さらに上記実施形態では、通気孔30を断面テーパ状に形成したが、この場合に限定されるものではなく、例えばストレート状に形成しても構わない。さらに、ストレート状の通気孔30を斜めに形成しても構わない。
【0088】
さらに上記実施形態では、1つの光学用電子部品1を製造する場合を例に挙げて説明したが、実際の製造工程では、コスト低減等を図るために、多数(例えば数百個~数万個程度)の光学用電子部品1を同時に製造することが考えられる。このような場合であっても、本発明に係る製造方法を採用することが可能である。
この場合には、光学用電子部品1の個数に対応したダイパッド部11を含む複数のリードフレーム10を例えば連結フレーム等で連結したリードフレームアッセンブリを用意する。そして、各リードフレーム10に対して上述の製造方法に基づいて仮部品45をそれぞれ作製した後、真空加熱炉内にリードフレームアッセンブリを投入して減圧及び加熱を行えば良い。その後、各仮部品45のそれぞれに対して通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填し、紫外線硬化を行う。最後に、リードフレームアッセンブリを切断して、複数の光学用電子部品1を小分けするように分離させることで、一度に複数の光学用電子部品1を得ることが可能である。
【実施例0089】
次に、上記実施形態に基づいて光学用電子部品1を実際に製造し、紫外線硬化接着剤40の充填作業性について確認した確認試験の結果について説明する。
本確認試験では、通気孔30における外側開口部31の開口径と、ディスペンサ50における吐出ノズル51の内径と、通気孔30の中心線O2に対する吐出ノズル51の傾斜角度θと、をそれぞれ変化させた光学用電子部品1を製造し、各光学用電子部品1について紫外線硬化接着剤40の充填作業性について確認した。
【0090】
なお、各光学用電子部品1を製造するにあたり、以下については共通の条件として製造を行った。
紫外線硬化接着剤40としては、嫌気性硬化の機能を発揮する嫌気性付与型変性アクリレートを採用した。さらに粘度が10000mPa・s(ミリパスカル秒)であり、且つ365nmに吸収極大を有する光重合開始剤を含む紫外線硬化接着剤40を用いた。
紫外線照射器55としては、最も光量の多い365nmの波長の紫外線UVを照射するLED-UV照射器を利用して、紫外線硬化接着剤40に紫外線UVをスポット照射した。
【0091】
(第1確認試験)
第1確認試験として、上述した実施形態における充填工程(キャビティ6内の真空度を維持した状態で通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填する工程)を行う際、通気孔30における外側開口部31の開口径を、0.05mm~0.1mmの範囲内の態様、0.1mm~0.4mmの範囲内の態様、0.4mm~1.0mmの範囲内の態様の3つの態様で試験を行った。
そして3つの態様のそれぞれについて、ディスペンサ50の吐出ノズル51の内径が、0.08mm~0.1mmの吐出ノズル51、0.1mm~0.4mmの吐出ノズル51、0.4mm~1.0mmの吐出ノズル51を用いて、紫外線硬化接着剤40の充填を行った。
【0092】
その結果を以下に示す。
(1)通気孔30における外側開口部31の開口径が0.05mm~0.1mmの態様
・吐出ノズル51の内径が0.08mm~0.1mmの場合には、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を短時間で充填することができ、充填工程を良好に行うことができた。
・吐出ノズル51の内径が0.1mm~0.4mmの場合には、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填することができ、充填工程を適切に行うことができた。特に、吐出ノズル51の内径が0.1mmの場合には、紫外線硬化接着剤40を短時間で充填することができ、充填工程を良好に行うことができた。
・吐出ノズル51の内径が0.4mm~1.0mmの場合には、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填することができ、充填工程を適切に行うことができるものの、通気孔30の周辺に紫外線硬化接着剤40が付着し易く、吐出跡が残り易かった。
【0093】
(2)通気孔30における外側開口部31の開口径が0.1mm~0.4mmの態様
・吐出ノズル51の内径が0.08mm~0.1mmの場合には、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填することができ、充填工程を良好に行うことができた。なお、外側開口部31の開口径が0.05mm~0.1mmの場合よりは、若干充填時間が長かった。
・吐出ノズル51の内径が0.1mm~0.4mmの場合には、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を短時間で充填することができ、充填工程を良好に行うことができた。
・吐出ノズル51の内径が0.4mm~1.0mmの場合には、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填することができ、充填工程を適切に行うことができるものの、通気孔30の周辺に紫外線硬化接着剤40が付着し易く、吐出跡が残り易かった。
【0094】
(3)通気孔30における外側開口部31の開口径が0.4mm~1.0mmの態様
・吐出ノズル51の内径が0.08mm~0.1mmの場合には、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填することができ、充填工程を良好に行うことができた。なお、外側開口部31の開口径が0.1mm~0.4mmの場合よりは、若干充填時間が長かった。
・吐出ノズル51の内径が0.1mm~0.4mmの場合には、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填することができ、充填工程を良好に行うことができた。
・吐出ノズル51の内径が0.4mm~1.4mmの場合には、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填することができ、充填工程を良好に行うことができた。
【0095】
以上のことから、第1確認試験の結果としては、通気孔30の開口径に対して、吐出ノズル51の内径が同等以下の場合には、紫外線硬化接着剤40を通気孔30内にスムーズに短時間で充填することができ、充填工程を良好に行えることが確認できた。
従って、通気孔30における外側開口部31の開口径が0.05mm~1.0mmの範囲内である場合には、吐出ノズル51の内径が0.08mm~1.0mmの範囲内にある吐出ノズル51を利用することが好ましく、内径が0.1mm~0.4mmの範囲内の吐出ノズル51を用いることがさらに好ましいことが確認できた。
【0096】
なお、第1確認試験後、全ての光学用電子部品1について、LED-UV照射器を利用して、紫外線硬化接着剤40に紫外線UVをスポット照射(最小硬化時間を2秒)し、紫外線硬化接着剤40を硬化させることで光学用電子部品1を完成させた。その後、光学用電子部品1に対して、高温多湿下で2気圧印加する耐圧試験を200時間行い、200時間経過後の光学用電子部品1の機能を確認する信頼性試験を行った。なお、本信頼性試験は、高温多湿(85%、85度)の環境下で2000時間経過した場合の試験に相当する。その結果、いずれの光学用電子部品1についても、良好に作動することを確認することができ、本発明が、気密封止を高い信頼性で行うことができ、且つ防湿性等に優れた光学用電子部品1の製造に実際に繋がることを確認することができた。
【0097】
(第2確認試験)
第2確認試験として、上述した実施形態における充填工程を行う際、通気孔30における外側開口部31の開口径を、0.05mm~0.1mmの範囲内の態様、0.1mm~0.4mmの範囲内の態様、0.4mm~1.0mmの範囲内の態様の3つの態様で試験を行った。
そして3つの態様のそれぞれについて、ディスペンサ50の吐出ノズル51の傾斜角度θ(下向きの傾斜角度θ)が、20度未満の吐出ノズル51、20度~30度の吐出ノズル51、30度~60度の吐出ノズル51、60度~70度の吐出ノズル51を用いて、紫外線硬化接着剤40の充填を行った。
【0098】
その結果を以下に示す。
(1)通気孔30における外側開口部31の開口径が0.05mm~0.1mmの態様
・吐出ノズル51の傾斜角度θが20度未満の場合には、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填することができるものの、通気孔30の外部に紫外線硬化接着剤40が僅かに洩れる現象が確認できた。
・吐出ノズル51の傾斜角度θが20度~30度の場合には、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填することができ、充填工程を適切に行うことができた。
・吐出ノズル51の傾斜角度θが30度~60度の場合には、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填することができ、充填工程を適切に行うことができた。なお、傾斜角度θが20度~30度の場合よりも、短い充填時間で行うことができた。
・吐出ノズル51の傾斜角度θが60度~70度の場合には、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填することができ、充填工程を適切に行うことができた。なお、傾斜角度θが20度~30度の場合と同等の充填時間で行うことができた。
【0099】
(2)通気孔30における外側開口部31の開口径が0.1mm~0.4mmの態様
・吐出ノズル51の傾斜角度θが20度未満の場合には、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填することができるものの、通気孔30の外部に紫外線硬化接着剤40が僅かに洩れる現象が確認できた。
・吐出ノズル51の傾斜角度θが20度~30度の場合には、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填することができ、充填工程を適切に行うことができた。
・吐出ノズル51の傾斜角度θが30度~60度の場合には、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填することができ、充填工程を適切に行うことができた。なお、傾斜角度θが20度~30度の場合よりも、短い充填時間で行うことができた。特に、第2確認試験全体の中で最小の充填時間で行うことができた。
・吐出ノズル51の傾斜角度θが60度~70度の場合には、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填することができ、充填工程を適切に行うことができた。なお、傾斜角度θが20度~30度の場合と同等の充填時間で行うことができた。
【0100】
(3)通気孔30における外側開口部31の開口径が0.4mm~1.0mmの態様
・吐出ノズル51の傾斜角度θが20度未満の場合には、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填することができるものの、通気孔30の外部に紫外線硬化接着剤40が僅かに洩れる現象が確認できた。
・吐出ノズル51の傾斜角度θが20度~30度の場合には、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填することができ、充填工程を適切に行うことができた。
・吐出ノズル51の傾斜角度θが30度~60度の場合には、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填することができ、充填工程を適切に行うことができた。なお、傾斜角度θが20度~30度の場合と同等の充填時間で行うことができた。
・吐出ノズル51の傾斜角度θが60度~70度の場合には、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填することができ、充填工程を適切に行うことができた。なお、傾斜角度θが20度~30度の場合と同等の充填時間で行うことができた。
【0101】
以上のことから、第2確認試験の結果としては、通気孔30の中心線O2に対して吐出ノズル51のノズル軸線O1を20度~70度の範囲内の傾斜角度θとなるように吐出ノズル51を傾斜させることが有効であり、30度~60度の範囲内とすることが好ましいことを確認することができた。
なお、第2確認試験後、先に述べた信頼性試験を行った結果、いずれの光学用電子部品1についても、良好に作動することを確認することができた。
【0102】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0103】
例えば上記実施形態において、
図10に示すように、キャビティ6内に窒素や希ガス等の不活性ガスGを充満させても構わない。この場合には、例えば真空加熱炉を利用して、キャビティ6内を減圧した後に、不活性ガスGへの置換工程を行って、キャビティ6内に不活性ガスGで満たす。その後に、通気孔30内に紫外線硬化接着剤40を充填し、紫外線UVの照射によって硬化させることで、通気孔30を気密封止すれば良い。
このように構成した場合には、防湿性、防食性等をさらに向上することができ、作動信頼性の向上化に貢献することができる。
【0104】
さらに上記実施形態では、周壁部25における前壁26を前後方向L1に貫通するように通気孔30を形成したが、例えば
図11及び
図12に示すように、前壁26を前後方向L1に貫通しつつ、さら上方に開口するように、前壁26の上端開口端に凹部状に通気孔60を形成しても構わない。
この場合であっても、同様の作用効果を奏功することが可能である。
【0105】
さらに、上記実施形態では、基部3を構成する周壁部25における前壁26に通気孔30を形成した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えば
図13に示すように、蓋部4に通気孔30を形成した電子部品70としても構わない。
この場合には、キャビティ6内に封止する電子素子としては、光学素子ではなく、例えば半導体チップ等の電子素子71とすることが好ましい。さらに、蓋部4に通気孔30を形成する関係上、蓋部4をガラス等の光学的に透明なものではなく、例えば一定の剛性を有する合成樹脂基板等にすれば良い。
このように構成した電子部品70であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。なお、蓋部4に通気孔30を形成した場合であっても、吐出ノズル51を前後方向L1或いは左右方向L2に傾斜させることが好ましい。
【0106】
さらに上記実施形態では、リードフレーム10、ベース部20及び周壁部25によって有底筒状の基部3を構成したが、リードフレーム10は必須な構成ではなく、具備しなくても構わない。
【0107】
さらに
図14に示すように、平板状の基部81と、周壁部25及び天壁部82を有する有頂筒状の蓋部83とを備え、蓋部83を構成する周壁部25に通気孔30を形成した電子部品80としても構わない。この場合には、例えば基部81に引出電極84等を形成し、引出電極84と電子素子71とを金属ワイヤ7で電気的に接続すれば良い。
なお、蓋部83は、熱硬化性接着剤5を介して基部81に対して固着されている。さらに基部81及び蓋部83は、中空パッケージ8として機能する。
このように構成された電子部品80であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。