(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138315
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】ガス切替調整器
(51)【国際特許分類】
F17C 13/04 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
F17C13/04 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038126
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000142698
【氏名又は名称】株式会社桂精機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087468
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 一美
(72)【発明者】
【氏名】杉山 光
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB04
3E172AB05
3E172BA01
3E172BB04
3E172BB13
3E172BB17
3E172EB02
3E172GA07
3E172JA09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】2系統のガス容器から同時にガスを供給でき、且つ容器交換時にガス供給を中断しないで作業できるガス切替調整器を提供する。
【解決手段】第1系統開閉弁12aおよび第2系統開閉弁12bの双方を動作させて第1系統のガス容器および第2系統のガス容器の双方を使用側ガス容器に設定して同時にガス供給を可能とする通常使用位置と、第1系統開閉弁12aおよび第2系統開閉弁12bのうちの一方を閉じて第1系統開閉弁12aおよび第2系統開閉弁12bのうちの他方を開いたままガス供給を止めずに閉じられた側となる第1系統のガス容器及び第2系統のガス容器の交換作業を実施可能とする第1系統受入位置及び第2系統受入位置との3位置を有し、通常使用位置を経て第1系統受入位置あるいは第2系統受入位置へ切り替えられるようにしている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1系統のガス容器からのガスを受け入れる第1系統受入室と、第2系統のガス容器からのガスを受け入れる第2系統受入室と、ガス消費設備・機器に連通する供給室と、前記第1系統受入室と前記供給室との間に設けられて前記第1系統受入室から前記供給室へのガスの流れを遮断あるいは開放する第1系統開閉弁と、前記第2系統受入室と前記供給室との間に設けられて前記第2系統受入室から前記供給室へのガスの流れを遮断あるいは開放する第2系統開閉弁と、前記第1系統開閉弁及び前記第2系統開閉弁の各々の開閉状態を切り替える弁開閉調整機構とを有し、
前記弁開閉調整機構は、前記第1系統開閉弁および前記第2系統開閉弁の双方を動作させて前記第1系統のガス容器および前記第2系統のガス容器の双方を使用側ガス容器に設定して同時にガス供給を可能とする通常使用位置と、前記第1系統開閉弁および前記第2系統開閉弁のうちの一方のみを閉じて前記第1系統開閉弁および前記第2系統開閉弁のうちの他方を開いたままガス供給を止めずに閉じられた側となる前記第1系統のガス容器及び前記第2系統のガス容器の交換作業を実施可能とする第1系統受入位置及び第2系統受入位置との3位置を有し、前記通常使用位置を経て前記第1系統受入位置あるいは前記第2系統受入位置へ切り替えられる
ことを特徴とするガス切替調整器。
【請求項2】
前記弁開閉調整機構は、
前記第1系統開閉弁および前記第2系統開閉弁の各々の弁棒と、
前記弁棒に対して弁を開閉させる変位を与えるカム部と、切替ハンドルと連動して前記カム部を回転させることにより前記第1系統開閉弁および前記第2系統開閉弁の前記弁棒に対する前記カム部の位置を切り替えるシャフト部とを有するセンターロッドを含み、
前記カム部は、前記第1系統開閉弁および前記第2系統開閉弁の双方の弁棒と同時に接して前記第1系統開閉弁および前記第2系統開閉弁の双方を同時に動作させる前記通常使用位置と、
前記第1系統開閉弁および前記第2系統開閉弁のいずれか一方の弁棒と接して動作させると共に、他方の弁棒に対して離間し動作させずに閉弁状態を維持する前記第1系統受入位置及び前記第2系統受入位置とを有するものである
ことを特徴とする請求項1記載のガス切替調整器。
【請求項3】
前記第1系統および前記第2系統の双方のガス容器からガスが供給されていることを示す色あるいは記号と、前記第1系統および前記第2系統のいずれか一方の系統のガス容器からガスが供給されていることを示す色あるいは記号とが、前記切替ハンドルの回転に伴って切り替わって表示される
ことを特徴とする請求項2記載のガス切替調整器。
【請求項4】
ガスの流れの方向を示す固定的な記号が前記切替ハンドルの表面に表され、前記切替ハンドルの回転によって前記記号の向きが変化することによって、
前記第1系統および前記第2系統の双方のガス容器からガスが供給されていることを示す記号と、前記第1系統および前記第2系統のいずれか一方の系統のガス容器からガスが供給されていることを示す記号とのいずれかに切り替わって表示される
ことを特徴とする請求項2記載のガス切替調整器。
【請求項5】
前記切替ハンドルとハウジングとの間には、前記弁開閉調整機構を前記3位置のいずれかに切り替える際に手に感触を与えるクリック機構が備えられていることを特徴とする請求項2から4のいずれか1つに記載のガス切替調整器。
【請求項6】
前記ガス容器の交換は前記両ガス容器の残量ガスがそれぞれ10~20%程度の範囲で実施されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載のガス切替調整器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載のガス切替調整器と、ガスメータからの日次の検針値をスマホやタブレットなどで取得することができるLPWA(省電力長距離無線通信)技術を使った自動検針システムとを備えることを特徴とするガス供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス容器内の高い圧力を燃焼器に適した低い一定圧力まで減圧する調整器に関する。さらに詳述すると、本発明は、複数系統例えば2系統のガス容器(例えばLPガス容器)を接続して、ガスの供給を途絶えさせずに新たなガス容器に切替可能とするガス切替調整器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、LPガス容器などのガス容器にガスを充填して供給する場合には、使用中にガス切れを起こさないようにするため、使用側容器と予備側容器との少なくとも各々1本ずつの都合2本のガス容器を設置し、ガス自動切替調整器を使って片側のガス容器からのみガス供給するようにしている。
【0003】
ガス自動切替調整器は、2つのガス容器の一方である使用側容器のガスの圧力が設定圧を下回った場合に、即ち使用側のガス容器だけで供給圧力を維持できなくなったときに、予備側から自動的にガスを供給可能とする機能を有するものである。これによって、使用側容器と予備側容器とが切り替えられ、今まで予備側容器としていた容器が使用側容器として使用される一方、今まで使用していた容器が取り外し可能とされる(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-46371号公報
【特許文献2】特開2004-92735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のガス自動切替調整器によれば、使用側容器と予備側容器とを片側ずつ使ってガス供給する一方で、ガスが少なくなった使用側容器だけを交換するようにしているので、容器を2本とも使用してから同時に交換しようとすると、容器交換前にガス切れを起こすリスクがある。そこで、従来のガス容器の配送業務並びにガス容器の取り替えは、使用側容器のガスが無くなる頃に、例えば月に1回程度の頻度で実施され、ガスの圧力が設定圧を下回った一方の系統のガス容器だけを交換してこれを予備側容器として使用するようにせざるを得ない。
【0006】
このため、近年、LPWA(省電力長距離無線通信)技術を使って、ガスメータからの日次の検針値をスマホやタブレットなどで取得することができ、ガス容器の残量を正確に把握することができるようになっているにも拘わらず、ガスの供給を途絶えさせずに新たなガス容器に切り替えるには、ガスが少なくなった使用側容器だけを交換することに変わりはないので、ガス容器の入れ替えタイミングを延ばすこと換言すれば配送業務を効率的にすることを阻害している。
【0007】
また、従来の使用形態で片側ずつガスを供給すると、供給側容器のガスの残量がほとんど空になるので、ガスに添加された着臭剤の濃度が上がり、ガスが漏れていないのにガス臭いとの通報が入るリスクがある。
【0008】
本発明は、2系統のガス容器から同時にガスを供給でき、且つ容器交換時にガス供給を中断しないで作業できるガス切替調整器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために請求項1記載のガス切替調整器は、第1系統のガス容器からのガスを受け入れる第1系統受入室と、第2系統のガス容器からのガスを受け入れる第2系統受入室と、ガス消費設備・機器に連通する供給室と、第1系統受入室と供給室との間に設けられて第1系統受入室から供給室へのガスの流れを遮断あるいは開放する第1系統開閉弁と、第2系統受入室と供給室との間に設けられて第2系統受入室から供給室へのガスの流れを遮断あるいは開放する第2系統開閉弁と、第1系統開閉弁及び第2系統開閉弁の各々の開閉状態を切り替える弁開閉調整機構とを有し、弁開閉調整機構は、第1系統開閉弁および第2系統開閉弁の双方を動作させて第1系統のガス容器および第2系統のガス容器の双方を使用側ガス容器に設定して同時にガス供給を可能とする通常使用位置と、第1系統開閉弁および第2系統開閉弁のうちの一方のみを閉じて第1系統開閉弁および第2系統開閉弁のうちの他方を開いたままガス供給を止めずに閉じられた側となる第1系統のガス容器及び第2系統のガス容器の交換作業を実施可能とする第1系統受入位置及び第2系統受入位置との3位置を有し、通常使用位置を経て第1系統受入位置あるいは第2系統受入位置へ切り替えられるようにしている。
【0010】
ここで、弁開閉調整機構は、第1系統開閉弁および第2系統開閉弁の各々の弁棒と、弁棒に対して弁を開閉させる変位を与えるカム部と、切替ハンドルと連動してカム部を回転させることにより第1系統開閉弁および第2系統開閉弁の弁棒に対するカム部の位置を切り替えるシャフト部とを有するセンターロッドを含み、カム部は、第1系統開閉弁および第2系統開閉弁の双方の弁棒と同時に接して第1系統開閉弁および第2系統開閉弁の双方を同時に動作させる通常使用位置と、第1系統開閉弁および第2系統開閉弁のいずれか一方の弁棒と接して動作させると共に、他方の弁棒に対して離間し動作させずに閉弁状態を維持する第1系統受入位置及び第2系統受入位置とを有するものであることが好ましい。
【0011】
また、第1系統および第2系統の双方のガス容器からガスが供給されていることを示す色あるいは記号と、第1系統および第2系統のいずれか一方の系統のガス容器からガスが供給されていることを示す色あるいは記号とが、切替ハンドルの回転に伴って切り替わって表示されることが好ましい。
【0012】
さらに、ガスの流れの方向を示す固定的な記号が切替ハンドルの表面に表され、切替ハンドルの回転によって記号の向きが変化することによって、第1系統および第2系統の双方のガス容器からガスが供給されていることを示す記号と、第1系統および第2系統のいずれか一方の系統のガス容器からガスが供給されていることを示す記号とのいずれかに切り替わって表示されることが好ましい。
【0013】
また、切替ハンドルとハウジングとの間には、弁開閉調整機構を3位置のいずれかに切り替える際に手に感触を与えるクリック機構が備えられていることが好ましい。
【0014】
また、ガス容器の交換は両ガス容器の残量ガスがそれぞれ10~20%程度の範囲で実施されることが好ましい。
【0015】
さらに、請求項7記載のガス供給システムは、請求項1から6のいずれか1つに記載のガス切替調整器と、ガスメータからの日次の検針値をスマホやタブレットなどで取得することができるLPWA(省電力長距離無線通信)技術を使った自動検針システムとを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載のガス切替調整器によれば、同一ガス切替調整器に接続されている2系統のガス容器をガス供給を途絶えさせることなく順次同時(同じ配送タイミングでという意味)に容器交換することができるので、配送業務時間や配送距離の短縮即ち配送業務の効率化を図ることができる。つまり、ガス容器の入れ替えタイミングを今までの2倍以上に延ばすこと、換言すれば配送間隔を今までの2倍以上に延ばして配送業務を効率的にすることができる。
【0017】
さらに、LPWA(省電力長距離無線通信)技術の併用により、ガスメータからの日次の検針値をスマホやタブレットなどで取得してガス容器の残量を正確に把握すれば、着臭剤の濃度が上がる前に容器交換を可能とし、異臭発生やガス切れなどの不具合を未然に防いだ上で配送業務の効率化を優先させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明にかかるガス切替調整器の一実施形態を示す中央縦断面図で、通常使用状態を示す。
【
図2】本発明にかかるガス切替調整器の一実施形態を示す中央縦断面図で、一方の系統(例示は第2系統)のガス容器の取替え可能にした状態を示す。
【
図3】切替ハンドルと切替ジョイントの一実施形態を示す中央縦断面図である。
【
図4】表示器の一実施形態を示す平面図で、(A)は通常使用状態、(B)は一方の系統のガス容器の取替時の状態を示す。
【
図5】センターロッドの一実施形態を示す図で、(A)は正面図、(B)は左側面図、(C)は底面図、(D)はD-D線に沿う断面図である。
【
図6】切替ハンドルとハウジングとの間に構成されたクリック機構の一実施形態を示す図で、(A)は通常使用状態に切り替わる直前の状態を示し、(B)は通常使用状態に切り替わった状態を示す。
【
図7】ガス切替調整器の切替ハンドルと弁開閉調整機構の動きを説明する図で、(A)は通常使用位置、(B)は第2系統受入位置、(C)は第1系統受入位置をそれぞれ示す。
【
図8】本発明にかかるガス切替調整器の表示器の他の実施形態を示す説明図で、(A)は通常使用位置、(B)は第2系統受入位置、(C)は第1系統受入位置をそれぞれ示す。
【
図9】本発明にかかるガス切替調整器を組み込んだガス供給システムの一実施形態を示す配管図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1~
図7に、本発明にかかるガス切替調整器の一実施形態を示す。この実施形態にかかるガス切替調整器1は、2系統のガス供給源例えば2本のガス容器を含むガス供給システム(例えば
図9参照)において用いられる。つまり、複数のガス容器からガスを供給するためのシステムであり、複数のガス容器は、本実施形態では、ガス切替調整器1を挟んで左右2つの系統に分けられている。便宜的に、図に向かって左側の系統を「第1系統」と、右側の系統を「第2系統」と呼ぶこととする。なお、本明細書において2つの系統とは、2本のガス容器に限られず、系統間で同数(換言すれば同容量)であれば2本よりも多数のガス容器が連結管を介して接続されたものも含まれることは言うまでもない。
【0021】
本実施形態のガス切替調整器1は、第1系統のガス容器と第2系統のガス容器との双方を同時に使用側ガス容器として設定し、同時に2本の容器からガスが供給されるように設けられている。そして、ガス容器の取り替え時にのみ、第1系統のガス容器と第2系統のガス容器とのいずれか一方を遮断し、他方を連通させたままとしてガスを供給し続ける切り替える機能を有している。
【0022】
ガス切替調整器1は、ハウジング2の内部に2つのガス受入れポート7,8と1つのガス供給ポート9とを有している幾つかの室が区画形成された構造を成している。具体的には、ハウジング2の内部は、上下区画壁3によって上室4と下室5とに区画され、さらに下室5は、下室内区画壁6によって、その下室内区画壁6を挟んでそれぞれ左右に位置する第1系統受入室5aと第2系統受入室5bとに区分けされている。これによって、ガスの入口部同士即ち第1系統受入室5aと第2系統受入室5bとが互いに独立して繋げられない構造とされ、両系統のガス容器間の液移動が防がれるようにしている。
【0023】
一方、上室4内には、可動区画壁として機能するダイヤフラム10が配設されており、このダイヤフラム10によって上室4が供給室4aと大気圧室4bとに区分けされると共に、大気圧室4bが図示省略する大気圧ポートを介して大気に開放されて供給室4aが供給ガスの圧力変動に伴って容積を変化させる可変容積構造とされている。ここで、供給室4aは、ガス供給ポート9を備え、供給室4aに流入したガスを図示せぬ減圧器を介してガス消費設備・機器に供給する。また、第1系統受入室5aは、第1系統ガス受入ポート7を備え、第1系統のガス容器からのガスを受け入れる。同様に、第2系統受入室5bは、第2系統ガス受入ポート8を備え、第2系統のガス容器からのガスを受け入れる。
【0024】
ダイヤフラム10は、例えば中央の平板部分と、その平板部分の外周縁に位置するベロー部とを有し、ベロー部の変形により平板部分が上下に移動可能とされている。一方、大気圧室4b内には、圧縮コイルスプリングから成る調圧スプリング45が、ハウジング2の上端内面とダイヤフラム10の平板部分の上面に配置されるスプリング受皿11との間に挟さまれるように配設されており、スプリング受皿11を介してダイヤフラム10の平板部分を下方に付勢するように設けられている。したがって、平板部分は、供給室4aのガスの圧力と調圧スプリング45の付勢力とのバランスにより、供給室4aのガスの圧力に応じた高さ位置に位置する。これにより、供給室4aは、その圧力が高くなるに従って容積が増大し、逆に圧力が低くなるに従って容積が減少する。
【0025】
第1系統受入室5a及び第2系統受入室5bの各々と供給室4aとの間には、各受入室5a,5bから供給室4aへのガスの流れを遮断あるいは開放する、第1系統開閉弁12aと第2系統開閉弁12bとの2つの開閉弁が設けられている。各開閉弁12a、12bは、上下区画壁3に設けられた貫通穴17で構成される弁座17a,17bと、その弁座17a,17bに着座可能な弁子18a,18bとで構成される。弁子18a,18bは、弁棒(軸部)13a,13bと、弁体14a,14bとを有しており、弁体14a,14bとハウジング2の底壁部との間に配置された圧縮コイルスプリング15a,15bによって貫通穴17の周縁部(つまり、弁座17a,17b)に向けて常時付勢されるように支持されている。圧縮コイルスプリング15a,15bはハウジング2の底壁部に穿たれた支持穴16に受け止められる一方、弁体14a,14bの下部の凸部に嵌め込まれて保持されている。弁棒13a,13bは、貫通穴17から供給室4a内に突出させられ、センターロッド20のカム部21によって押し下げられることで各開閉弁12a、12bの開閉を行う。つまり、弁棒13a,13bの上端部がカム部21に当接することによって弁棒13a,13bが、圧縮コイルスプリング15a,15bを圧縮する方向に向かって押されるときには、弁体14a,14bが上下区画壁3から離間し、つまり、貫通穴17を塞ぐ弁体14a,14bが弁座17a,17bから離れて開弁させられ、対応する受入室5aあるいは5bと供給室4aとの間のガスの流通を許容する。
【0026】
ガス切替調整器1には、第1系統開閉弁12a及び第2系統開閉弁12bの各々の開閉状態を切り替える弁開閉調整機構が設けられている。この弁開閉調整機構は、第1系統開閉弁12aおよび第2系統開閉弁12bの双方を動作させて第1系統のガス容器51および第2系統のガス容器52の双方を使用側ガス容器に設定して同時にガス供給を可能とする通常使用位置(
図7(A)の状態)と、第1系統開閉弁12aおよび第2系統開閉弁12bのうちの一方のみを閉じ他方を開いたままとしてガス供給を止めずにガス容器の取り替えを可能とする位置、即ち第1系統開閉弁12aを閉じて第2系統開閉弁12bを開いたまま第1系統のガス容器51の交換作業を実施可能とする第1系統受入位置(
図7(C)の状態)と、第2系統開閉弁12bのみを閉じて第1系統開閉弁12aを開いたまま第2系統のガス容器52の交換作業を実施可能とする第2系統受入位置(
図7(B)の状態)との3位置を有し、通常使用位置を経由して第1系統受入位置あるいは第2系統受入位置へ切り替えられる構造とされている。
【0027】
本実施形態の場合、弁開閉調整機構は、第1系統開閉弁12a及び第2系統開閉弁12bの各々の弁棒13a,13bと、弁棒13a,13bに対して弁を開閉させる動きを与えるカム部21を備えるセンターロッド20を主体として構成され、切替ハンドル31と連動するセンターロッド20を回転させることにより弁棒13a,13bに対するカム部21の位置を切り替えることで第1系統開閉弁12aおよび第2系統開閉弁12bの開閉を切り替えるようにしている。
【0028】
カム部21は、本実施形態の場合、例えば
図5に示すように、スプリング受皿11との間でダイヤフラム10を挟持する面(以下、基準面24と呼ぶ)を基準面として、基準面24からの高さが低い部分即ち基準面24からのリフト量が比較的小さい第1作用面25と、基準面24からの高さが高い部分即ち基準面24からのリフト量が比較的大きい第2作用面26並びにそれらの間を滑らかに繋ぐ斜面から成る遷移面27とを端面に有している。ここで、第1作用面25と第2作用面26とは、
図5(C)に示すように、2つの弁棒13a,13bの中心を通過する直線を挟んで、一方の領域側に第1作用面25が、他方の領域側に第2作用面26が配置されるように、概ね対称的に配置され、それらの間に遷移面27が配置されている。本実施形態では、第1作用面25は回転角で例えば200°の範囲、第2作用面26は80°の範囲、それらの間の遷移面27がそれぞれ40°(合計80°)の範囲で形成されている。つまり、第1作用面25は2つの開閉弁の双方あるいは一方と接するが、第2作用面26は2つの開閉弁のうちのいずれか一方のみと接する位置関係にある。
【0029】
したがって、カム部21は、第1系統開閉弁12aおよび第2系統開閉弁12bの双方の弁棒13a,13bが同時に第1作用面25に接して第1系統開閉弁12aおよび第2系統開閉弁12bの双方を同時に動作させる通常使用位置(例えば
図7(A)に示す状態)と、弁棒13bに第2作用面26が接して第2系統開閉弁12bを開くと共に弁棒13aに対しては第1作用面25が離間して第1系統開閉弁12aを閉じたままにする第1系統受入位置(例えば
図7(C)に示す状態)と、弁棒13aに第2作用面26が接して第1系統開閉弁12aを開くと共に弁棒13bに対しては第1作用面25が離間して第2系統開閉弁12bを閉じたままにする第2系統受入位置(例えば
図7(B)に示す状態)との3位置を構成する。
【0030】
つまり、通常使用位置では、ダイヤフラム10の位置が調圧スプリング45と供給室4aのガス圧とのバランスが保たれて、第1系統開閉弁12aおよび第2系統開閉弁12bの双方が開かれた状態を維持しながら、ガスが供給される。また、第1系統受入位置では、弁棒13bのみがカム部21の第2作用面26に当接することによって第2系統開閉弁12bが開かれると共に、センターロッド20がダイヤフラム10を変形させながら相対的に押し上げられてカム部21の第1作用面25による弁棒13aの押さえが無くなって圧縮コイルスプリング15aの付勢力で弁子18aが押し上げられて第1系統開閉弁12aが閉じられる。また、第2系統受入位置は、弁棒13aのみがカム部21の第2作用面26に当接することによって第1系統開閉弁12aが開かれると共に、センターロッド20が相対的に押し上げられてカム部21の第1作用面25による弁棒13bの押さえが無くなって圧縮コイルスプリング15aの付勢力で弁子18bが押し上げられて第2系統開閉弁12bが閉じられる。尚、図中の符号23は、度当たり軸であり、上下区画壁3に当接することでセンターロッド20の降下端を設定し、それ以上センターロッド20が押しさげられないように考慮されている。
【0031】
センターロッド20のシャフト部22は、ダイヤフラム10の中央の穴を貫通して大気圧室4bに延出し、ハウジング2の上端の支持筒部19を貫通して、ハウジング2の外の切替ハンドル31側に突出し、ダイヤフラム10およびハウジング2によって揺動自在且つ軸方向摺動自在(上下動自在)に支持されている。これによって、センターロッド20の回転により弁棒13a,13bに対するカム部21の第1作用面25及び第2作用面26の位置が切り替えられ、弁棒13a,13b並びにセンターロッド20そのものが上げ下げされる。つまり、センターロッド20は、供給室4aのガスの圧力変動(換言すれば容積変動)に従って、2つの開閉弁12a、12bに対して進退し、その圧力に応じた位置に位置させられることとなる。そして、センターロッド20の回転位置に応じて、2つの開閉弁12a、12bの同時開弁状態あるいはいずれか一方の開閉弁の開弁状態と他方の開閉弁の閉弁状態とが選択的に実現される。尚、ダイヤフラム10とシャフト部22との間には、図示していないが、例えばシール部材が組み込まれて、供給室4aから大気圧室4bへのガス漏れがないように配慮されている。また、ハウジング2と切替ジョイント30との間には、Oリング42が介在されて封止され、切替ジョイント30の回転を許容しつつハウジング2と切替ジョイント30との間からの浸水が阻止されている。
【0032】
ハウジング2の上部には、シャフト部22と連動回転する切替ジョイント30及び切替ハンドル31がハウジング2に対して回転可能に支持されている。例えば、ハウジング2の上部に円筒状の軸受部19が設けられており、その軸受部19に切替ジョイント30の円形外周面の軸部が嵌合されて回転自在に支持されている。また、切替ジョイント30の軸部43の内部は、図示していないが、センターロッド20のシャフト部22の非円形断面部分(以下、嵌合部28と呼ぶ。
図5(D)参照)と回転方向に係合する平面部を一部に有する横断面形状を成すように設けられている。これによって、シャフト部22の嵌合部28と切替ジョイント31の軸部43とは、相対回転不能で、かつ、軸方向には相対移動可能に組み合わせられる。したがって、センターロッド20は、ダイヤフラム10の容積変動に伴う平板部の進退すなわち上下動に伴って、ハウジング2に対して上下することが可能とされている。さらに、切替ジョイント30には、切替ハンドル31が爪嵌合によって一体化されている。そして、切替ハンドル31を回すと、連結されている切替ジョイント30とセンターロッド20も一緒に回る構造とされている。
【0033】
なお、切替ハンドル31の回転範囲は、本実施形態の場合、
図6に示すように、ハウジング2に形成されたストッパ46により例えば180°の範囲内に規制され、ストローク端の一方に第1系統受入位置が、他方に第2系統受入位置が設定されると共にそれらの間の中間位置に通常使用位置が設定され、中間位置の通常使用位置を必ず経由して第1系統のガス容器あるいは第2系統のガス容器へと切替られるように構成されている。本実施形態の場合、揺動範囲の途中の90°の位置並びに両ストローク端に至る直前には、切替ハンドル31に向けて突出する突起47が形成されており、切替ハンドル31の内周面から内向きに突出する突起48との間で、ハウジング2側の内側の突起47を切替ハンドル31側の外側の突起48が乗り越える際に抵抗を手に与える(手応えとなる感触を与える)クリック機構が構成されている。このクリックモーション(即ち、「カチッ」という感触が得られる動き)が、開閉に確かな手応えをもたらす。さらに、切替ハンドル31を手動で元の位置に戻せるようにハウジング2に印50を設ける一方、切替ハンドル31に切替ハンドル31の回転位置を知るための基準となる印例えば尖端部49や矢印のような記号61が備えられ、確実に戻ったことが視覚的に分かるようにすると共に、手に感触を与えることにより、安全性を考慮した構造とされている。
【0034】
切替ジョイント30は、切替ハンドル31を支持するとともに切替ハンドル31の動き即ち回転をセンターロッド20のシャフト部22に伝達するためのものであり、
図3に示すように、センターロッド20のシャフト部22と共に回転するが軸方向には独立して摺動可能に嵌合する筒部43と、切替ハンドル30と係合する円盤状のディスク部34と、必要に応じて表示器32を揺動可能に備える軸承壁部39とを有している。他方、ディスク部34は、周縁部に切替ハンドル31の爪部35と嵌合する複数の切り欠き34aを有し、切替ハンドル31の爪部35と係合されることによって切替ハンドル31と一体化される。したがって、切替ハンドル31を回転させると、連動して切替ジョイント30が回転し、センターロッド20を回転させて弁棒13a,13bに摺接する面を切り替える。尚、本実施形態の場合、切替ハンドル30と切替ジョイン31とは、内部に表示器32を組み込む関係で別部材に構成されているが、これに特に限られず、表示器32を内蔵しない場合には一体構造物として構成するようにしても良い。
【0035】
表示器32は、切替ジョイント30の回転に伴って表示器窓33を通して見えるものが切り替わるものである。本実施形態の場合、例えばL形の表示パネル37を水平軸周りに回転させることで、相直交する2面のいずれか一方が選択的に表示器窓33と平行に配置される構造とされている。例えば、表示器32は、L形の表示パネル37と捻りばね38と切替ジョイント30の軸承壁部39に嵌合される回転軸44とを有するものであり、L形の表示パネル37の一方の面が表示面37aとされる一方、他方の面にシャフト部22の首部36が挿入される溝40が設けられて二股状係合部37bとが形成されている。本実施形態の場合、表示パネル37の表示面37aには第1系統開閉弁12aおよび第2系統開閉弁12bの状態を示す印例えば色や記号(文字を含む。)などが施されている。例えば、赤色が着色され、通常使用位置に切替ジョイント30が回転したときに表示パネル37が回転して表示器窓33を通して赤色が視認できる構造とされている。他方、第1系統受入位置あるいは第2系統受入位置に切替ジョイント30が回転したときには、表示パネル37が回転軸44を中心に回転して表示面37aが立設されて表示窓33を通して赤色が視認できない構造とされると共に、表示窓33と平行に配置される二股状係合部37bの地の色例えば白や黒といった赤以外の他の色が見える構造とされている。これにより、ガス容器の取り替え可能な状態か、取り替え不能な状態かを視覚的に瞬時に判断できる。即ち、色あるいは記号もしくは形状などの視覚で把握できる情報として確認できる。
【0036】
シャフト部22の嵌合部28と頭部29との間には、嵌合部28よりも細くかつ円形断面の首部36が設けられている。この首部36に表示器32の表示パネル37の二股状係合部37bが係合されることにより、シャフト部22の昇降動作と連動して表示器32が回転軸44を中心に揺動、即ち表示パネル37が起こされたり(つまり、表示面37aが表示器窓33と平行に配置される状態)、退避させられたり(つまり、表示面37aが表示器窓33と垂直に配置される状態)するように構成されている。頭部29は、首部36よりも大きく表示器32の二股状係合部37bに引っかかる形状であれば良く、特定の形状に限られない。例えば、本実施形態の場合、嵌合部28と同じ断面形状で同じ大きさの頭部29が形成されている。したがって、切替ハンドル31と連動させて切替ジョイント30を回転させると、弁棒13a,13bに接するセンターロッド20のカム部21の面が第1作用面25に切り替えられると同時にセンターロッド20が調圧スプリング45の力で押しさげられることによって、頭部29にL字パネル37の二股状係合部37bが引っ掛かってL字パネル37が回転して引き起こされる(
図1、
図4(A)の状態)。
【0037】
捻りばね38は、軸部44に巻部が嵌められた状態で一端が表示パネル37に、他端が切替ジョイント30の支障壁部39に引っ掛けられるように配置され、表示パネル37を水平軸(軸部44)を中心に退避させる方向(
図2及び
図4(B)の状態)に回転させるように常時付勢するように設けられている。
【0038】
表示器窓33は透明材料(透過素材)例えばガラスあるいは合成樹脂などで構成されており、ガスの流れの方向が瞬時に読み取れるように長軸と短軸とを有する形状例えば楕円形や小判形に形成されることが好ましい。この表示器窓33の外側にはガスの流れる方向を示すシンボル例えば矢印61などの記号が補助的に表記されている。
【0039】
以上のように構成された本実施形態のガス切替調整器によれば、通常使用時(ガス容器交換時以外の時)には、
図7(A)に示すように、切替ハンドル31が通常使用位置(図上の中央位置)に保持されている。このとき、切替ハンドル31と連動するセンターロッド20のカム部21は、第2作用面26が2つの弁棒13a,13bの間に位置し、(つまり、2つの弁棒13a,13bは第1作用面25に位置している)。他方、ダイヤフラム10はばねで常時押下されているので、2つの弁棒にカムの第1作用面25が当接するまで、ダイヤフラム10が変形してセンターロッドが押しさげられる。つまり、2つの弁棒13a,13bにカム部21の第1作用面25が当接することによって、第1系統開閉弁12a、第2系統開閉弁12bの2つの弁が共に開いた状態に維持される。このため、2系統のガス容器から同時にガスが供給され(第1系統受入室5aおよび第2系統受入室5bを経て)、さらには供給室4aを経て全消費量のガスが調整室側へ供給される。つまり、第1系統開閉弁12a、第2系統開閉弁12bの2つの弁が開くことで第1系統及び第2系統の双方のガス容器が使用側として設定され、同時にガスが供給される。
【0040】
また、ガス容器の交換作業は、切替ハンドル31を通常使用位置(中立位置)から時計回転方向あるいは反時計回転方向のいずれか一方に回転させることによって行われる。例えば、いずれか一方のガス容器例えば第2系統のガス容器52が封鎖されても、他方のガス容器例えば第1系統のガス容器51は開かれたままの状態であるため、ガスの供給を止めずに第2系統のガス容器52を新しいガス容器に交換することができる(
図7(B):第2系統受入位置)。また、同様にして、第2系統のガス容器52を新しいガス容器に交換した後に、切替ハンドル31を中間位置の通常使用位置を経て第1系統のガス容器51を封鎖する位置へ切り替えてから第1系統のガス容器51を新しいガス容器に交換する。この場合にも、通常使用位置を経由することによって第1系統のガス容器51を封鎖する前に第2系統のガス容器52が開かれその状態が維持されているので、ガスの供給を止めずに第1系統のガス容器51を新しいガス容器に交換することができる(
図7(C):第1系統受入位置)。したがって、ガスの供給を止めずに、第1系統と第2系統の双方のガス容器51,52を連続的して(言い換えれば順次)同じ取り替え作業中に交換できる。
【0041】
即ち、切替ハンドル31の操作は通常使用位置を経てから、第1系統側あるいは第2系統側へ切り替えられることから、ガス容器の両方を開いている状態→一方のガス容器を閉じる→両方を開いている(即ち、閉じていたガス容器を開く)→他方のガス容器を閉じる→両方のガス容器を開く(即ち、閉じていたガス容器を開く)を繰り返す。これによって、常時いずれかのガス容器は開き放しとなっているのでガスの供給が途絶えることはない。しかも、ガスの残量が存在する状態下で行われるので、ガスの残量がほとんど空になることで起こる異臭リスク(つまり、ガスに添加された着臭剤の濃度が上がり、ガスが漏れていないのにガス臭いとの通報が入るリスク)を惹起することがない。
【0042】
また、表示器32が遮断しているガス容器即ち取り替え可能なガス容器を表示するため、取り替えミスが起こりにくい。即ち、本実施形態のガス切替調整器の場合、表示器窓33を通して見える表示器32の色あるいは記号によって、ガスが供給されているガス容器が視覚的に容易に判別できる。例えば、本実施形態では、赤の場合は両方からガスが流れていることを示し、それ以外の色例えば白の場合は片側の弁が閉じられていることを示し、開閉弁が閉じられている系統側のガス容器が交換可能であることを表している。また、切替ハンドル31の尖端部49の向きあるいは切替ハンドル31の天面に表示された矢印61の向きからもガスの流れが視覚的に確認できる。
【0043】
図9にガス供給システムの一例を示す。ガス供給システムは、複数のガス供給源例えば第1系統のガス容器51と第2系統のガス容器52とを高圧ホース53を介してガス切替調整器1の第1系統ガス受入ポート7と第2系統ガス受入ポート8とに各々接続する一方、ガス供給ポート9に自動検針を可能とするガスメータ54を介してガス消費設備に向けて配管されている。ガス供給システムには、さらに有線回線あるいは無線回線の通信機器例えばLPWA(省電力長距離無線通信)技術を用いた無線機55を組み込み、ガスメータからの日次の検針値をスマホやタブレットなどの携帯端末、あるいはPCなどで必要に応じて取得することができるように構築されている。
【0044】
ここで、本実施形態のガス切替調整器1を適用したガス供給システムは、第1系統と第2系統との双方のガス容器51,52を同時に使用側ガス容器として設定し、同時に2系統の容器51,52からガスが供給されるように設けられている。そして、ガス容器の取り替え時にのみ、第1系統のガス容器51と第2系統のガス容器52のいずれか一方を遮断し、他方を連通させたままとしてガスを供給し続けながら、ガス容器の切り替え即ち交換を実施するようにしている。ガス容器の交換は、ガスの供給を続けながら第1系統及び第2系統の双方のガス容器について順次実施される。したがって、一度の配送で2系統のガス容器を同時に交換できるので、配送業務の効率化が可能となる。
【0045】
ガス容器の取り替えは、LPWA(省電力長距離無線通信)技術を使って、ガスメータからの日次の検針値をスマホやタブレットなどで取得することでガス容器の残量を正確に把握することができるので、ガス容器のガスを充分に消費し尚且つ着臭剤の濃度が上がる前の容器交換を可能とし、異臭発生やガス切れなどの不具合を未然に防いだ上で配送業務の効率化を優先させることが可能となる。例えば、ガス容器の交換時期は特に限定されるものではないが、10から20%程度の残量を目処に行うことが好ましい。この場合には、異臭リスクを未然に防ぐことができる。
【0046】
ガスの使用状況は、ある程度予測することもできるが、好ましくは自動検針システム例えばLPWA(省電力長距離無線通信)技術を利用した自動検針システムを活用することである。この場合、ガスメータからの日次の検針値をスマホやタブレットなどで取得することができるので、ガス容器の残量が交換時期に達したと判断されたときに、ガス容器を配送し、ガス容器の交換作業を行うことができる。つまり、検針作業の省力化のみならず、適正な交換時期(換言すれば、ガス残量)を正確に把握できるので、無駄なくガスを消費してもらいながら配送業務の効率化を図ることが可能となる。
【0047】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では、第1系統と第2系統にそれぞれ1本のガス容器を接続したシステム、つまり、単に、2本のガス容器を本実施形態のガス切替調整器で繋ぐようなガス供給システムに適用しているが、これに特に限られるものではなく、各系統に連結管を介して複数ずつのガス容器をそれぞれ接続し、各系統毎に2本以上のガス容器を接続する2系統のシステムとすることも可能である。即ち、本発明にかかるガス切替調整器は、ほぼ同量のガスを貯蔵する少なくとも2系統のガス供給配管に接続する際に効果的である。この場合においても、1回の配送業務において、全てのガス容器即ち2本以上のガス容器の交換を一度に実施することが可能となるので、配送業務の効率化が図れる。
【0048】
また、上述の実施形態のガス切替調整器の場合、表示器32を切替ハンドル31の中に内蔵しているが、これに特に限られるものではなく、場合によっては表示器32を内蔵していないガス切替調整器としても良い。例えば、
図8に示すように、ガスの流れ方向を表す固定的な記号60を切替ハンドル31に備え、切替ハンドル31の回転により記号60の向きが切り替わるようにしても良い。例えば、3方向を示すT形の矢印を切替ハンドルの天面に設け、切替ハンドル31の回転に伴ってガスの流れの向きを示す記号の向きが切り替わるようにして取り替え可能なガス容器を表示するようにしても良い。この場合、3方向の矢印の向きが開かれているポートを示す。このことから、通常使用位置では
図8(A)に示すように、矢印60はT形に配置されて3つのポート7,8,9を指し示し、第2系統受入位置では
図8(B)に示すように2つのポート7,9を指し示し、第1系統受入位置では
図8(C)に示すように2つのポート8,9を指し示す。
【符号の説明】
【0049】
1 ガス切替調整器
2 ハウジング
4a 供給室
5a 第1系統受入室
5b 第2系統受入室
12a 第1系統開閉弁
12b 第2系統開閉弁
13a 第1系統開閉浮
13b 第2系統開閉弁の弁棒
20 センターロッド
21 カム部
22 シャフト部
25 第1作用面
26 第2作用面
27 遷移面
30 切替ジョイント
31 切替ハンドル
32 表示器
37 表示パネル
37a 表示面
37b 二股状係合部
47 クリック機構を構成するハウジング側の突起
48 クリック機構を構成する切替ハンドル側の突起
49 切替ハンドルの回転位置を知るための基準となる尖端部
50 切替ハンドルの回転位置を知るための基準となる印
51 第1系統のガス容器
52 第2系統のガス容器
54 ガスメータ
55 LPWA(省電力長距離無線通信)技術を用いた無線機
60 ガスの流れ方向を表す固定的な記号
61 ガスの流れ方向を表す固定的な記号