(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138323
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】人工頭脳システム
(51)【国際特許分類】
G06N 5/04 20060101AFI20220915BHJP
G06N 5/02 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G06N5/04
G06N5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038137
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】520044106
【氏名又は名称】株式会社アイエム
(74)【代理人】
【識別番号】100097205
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽介
(57)【要約】
【課題】学習に多大な時間をかけることなく、また、学習中であっても頭脳として利用することのできる人工頭脳システムを提供することである。
【解決手段】代表概念と従属概念とを対応づける概念構造テーブルと、概念と概念値とを対応づける概念智識テーブルと、代表概念値と従属概念値とを対応づける智識テーブルとを用いて、質問情報(ピンクの春の花は何ですか)に含まれる一又は複数の要素値(ピンク、春)のそれぞれに相当する概念値(ピンク、春)に対応した概念(色、季節)によって前記質問情報(ピンクの春の花は何ですか)で問われる智識(花種名)の概念(花)が特定されることを確認し、前記要素値(ピンク、春)に相当する従属概念値(ピンク、春)に対応した代表概念値(桜、蓮華草)に基づいて、前記質問情報(ピンクの春の花は何ですか)に対する回答情報を生成し、その回答情報を出力する、構成となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
代表概念として定められる概念と、その代表概念を特定する概念として定められた従属概念とを対応づける概念構造テーブルと、
概念と、その概念についての知識を表す情報としての概念値とを対応づける概念智識テーブルと、
前記代表概念についての知識を表す情報としての代表概念値と、その代表概念を特定する概念として定められた従属概念の知識を表す情報としての従属概念値とを対応づける智識テーブルと、を格納する記憶部と、
ある概念についての知識を、その智識を特定する一又は複数の要素のそれぞれを表す要素値を提示して、問うための質問情報を入力する情報入力部と、
前記記憶部に格納された、前記概念構造テーブル、前記概念智識テーブル、及び前記智識テーブルを用いて、前記質問情報に含まれる一又は複数の要素値のそれぞれに相当する概念値に対応した概念によって前記質問情報で問われる智識の概念が特定されることを確認し、前記要素値に相当する従属概念値に対応した代表概念値に基づいて、前記質問情報に対する回答情報を生成する情報処理部と、
前記情報処理部にて得られた前記回答情報を出力する情報出力部と、を有する人工頭脳システム。
【請求項2】
前記情報処理部は、
前記概念智識テーブルにおいて、前記一又は複数の要素値のそれぞれに相当する概念値と概念との対応付けがあるか否かを判定する概念智識判定手段と、
前記概念智識判定手段により前記概念智識テーブルにおいて前記対応付けがあると判定されたときに、前記概念智識テーブルにおいて前記概念値に対応づけられる概念と、前記質問情報で問われる智識の概念とが前記概念構造テーブルにおいて対応づけられていることを確認する概念構造確認手段と、
前記概念構造確認手段による確認の後、前記智識テーブルにおいて前記一又は複数の要素値に相当する従属概念値に対応づけられる代表概念値に基づいて前記回答情報を生成する回答生成手段と、を有する請求項1記載の人工頭脳システム。
【請求項3】
前記回答生成手段は、
前記概念智識テーブルにおいて前記代表概念値に対応する概念値を回答概念値として決定する回答決定手段を有し、
前記回答決定手段にて決定された回答概念値に基づいて前記回答情報を生成する、請求項2記載の人工頭脳システム。
【請求項4】
前記情報処理部は、
前記概念智識判定手段により、前記概念智識テーブルにおいて、前記質問情報の前記一又は複数の要素値のそれぞれに相当する概念値と概念との対応づけがあると判定されたときに、その概念値を対応する概念の覚醒概念値として管理する第1覚醒概念値管理手段と、
前記第1覚醒概念値管理手段により覚醒概念値として管理される概念値と同じ前記智識テーブルにおける従属概念値を覚醒概念値として管理する第2覚醒概念値管理手段と、
前記第2覚醒概念値管理手段により覚醒概念値として管理される前記従属概念値に対応する代表概念値(桜、蓮華草)と同じ前記概念智識テーブルにおける概念値を、覚醒概念値として管理する第3覚醒概念値管理手段を有し、
前記回答決定手段は、前記概念智識テーブルにおいて、前記第3覚醒概念値管理手段により覚醒概念値として管理される概念値を、前記回答概念値として決定する、請求項3記載の人工頭脳システム。
【請求項5】
前記第1覚醒概念値管理手段及び前記第3覚醒概念値管理手段のそれぞれは、前記概念智識テーブルにおける各概念値に対応づけられ、当該概念値が前記覚醒概念値であるか否かで異なる状態を有する覚醒フラグを含む、請求項4記載の人工頭脳システム。
【請求項6】
前記第2覚醒概念値管理手段は、前記智識テーブルにおける各従属概念値に対応づけられ、当該従属概念値が前記覚醒概念値であるか否かで異なる状態を有する覚醒フラグを含む、請求項4または5に記載の人工頭脳システム。
【請求項7】
前記情報処理部は、
前記智識テーブルにおいて、代表概念値を前記回答情報の生成に用いるか否かを制御する回答制御手段を有する、請求項2乃至6のいずれかに記載の人工頭脳システム。
【請求項8】
前記回答決定制御手段は、前記智識テーブルにおける代表概念値に対応づけられ、当該代表概念値を前記回答情報の生成に用いるか否かで異なる状態を有する回答制御フラグを有する、請求項7記載の人工頭脳システム。
【請求項9】
前記回答生成手段により前記質問情報に対する回答情報の生成に用いられた代表概念値と同じ従属概念値に前記智識テーブルにおいて対応する代表概念値に基づいて、前記回答情報に関連する関連回答情報を生成する関連回答生成手段を有し、
前記情報出力部は、前記連携回答生成手段により生成された前記関連回答情報を出力する、請求項1乃至8のいずれかに記載の人工頭脳システム。
【請求項10】
前記情報処理部は、
前記質問情報で問われている智識の概念を特定するための概念を表す概念値が不足して、前記回答情報を得ることができない場合、その不足している概念の概念値が何であるかを問合わせるための概念問合せ情報を生成し、その概念問合せ情報を前記情報出力部から出力させる概念問合せ制御手段を有し、
前記概念問合せ情報が前記情報出力部から出力された後に、前記情報入力部に入力される前記不足している概念を表す概念値の情報を加味して前記回答情報を生成する、請求項1乃至9のいずれかに記載の人工頭脳システム。
【請求項11】
前記情報処理部は、
前記情報入力部に、前記概念構造テーブルに既に登録されているある既存概念が一又は複数の新たな概念によって特定されることを表す新概念構造情報が入力されたときに、前記新概念構造情報に基づいて、前記概念構造テーブルを更新する概念構造更新手段と、
前記概念智識テーブルに含まれる前記既存概念の各概念値に対応する前記新概念構造情報における前記新たな概念の概念値を問合わせるための概念智識問合せ情報を生成し、その概念智識問合せ情報を前記情報出力部から出力させる概念智識問合せ制御手段と、
前記概念智識問合せ情報が前記情報出力部から出力された後に、前記情報入力部に入力される前記新概念構造情報における一又は複数の前記新たな概念の概念値に基づいて、前記概念智識テーブルを更新する概念智識更新手段と、
前記既存概念の概念値を代表概念値とし、前記一又は複数の新たな概念のそれぞれの概念値を従属概念値として、それらを対応づけるように前記智識テーブルを更新する知識更新手段と、を有する請求項1乃至10のいずれかに記載の人工頭脳システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工頭脳システムに関する。
【背景技術】
【0002】
脳の情報処理様式を真似た演算処理モデルとしてニューラルネットワークが提案されている(特許文献1参照)。このニューラルネットワークは、脳のニューロンおよびシナプスを模して考えられたモデルであり、学習および識別の2段階の処理により構成される。学習段階では、多数の入力からその特徴が学習され、識別処理のためのニューラルネットワークが構築される。識別段階では、ニューラルネットワークを用いて新たな入力が何であるかが識別される。
【0003】
近年では、学習段階の技術が大きく発展しており、例えば、ディープラーニング(深層学習)により、高い表現力を持った多層ニューラルネットワークを構築できるようになりつつある。ニューラルネットワークの知識構造は、概念知識の構造が変化しない知識として推論を行う場合は処理速度も速く、最適な知識構造と言うことができる。また、多くの親データを学習するほど特徴概念の知識が深くなり、概念知識全体で評価する場合には優れた知識推論システムということができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、脳の情報処理様式を真似た人工的な頭脳であるといい得るニューラルネットワークでは、学習には多数の入力情報からその特徴を抽出する必要があり、その学習に多大な時間を要する。また、その多大な時間を要する学習中に識別動作(推論動作)を行うことができず、学習中のニュウラルネットワークを頭脳として利用することができない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、学習に多大な時間をかけることなく、また、学習中であっても頭脳として利用することのできる人工頭脳システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る人工頭脳システムは、代表概念として定められる概念と、その代表概念を特定する概念として定められた従属概念とを対応づける概念構造テーブルと、概念と、その概念についての知識を表す情報としての概念値とを対応づける概念智識テーブルと、前記代表概念についての知識を表す情報としての代表概念値と、その代表概念を特定する概念として定められた従属概念の知識を表す情報としての従属概念値とを対応づける智識テーブルと、を格納する記憶部と、ある概念(花)についての知識(花種名)を、その智識(花種名)を特定する一又は複数の要素のそれぞれを表す要素値(ピンク、春)を提示して、問うための質問情報(ピンクの春の花は何ですか)を入力する情報入力部と、前記記憶部に格納された、前記概念構造テーブル、前記概念智識テーブル、及び前記智識テーブルを用いて、前記質問情報(ピンクの春の花は何ですか)に含まれる一又は複数の要素値(ピンク、春)のそれぞれに相当する概念値(ピンク、春)に対応した概念(色、季節)によって前記質問情報(ピンクの春の花は何ですか)で問われる智識(花種名)の概念(花)が特定されることを確認し、前記要素値(ピンク、春)に相当する従属概念値(ピンク、春)に対応した代表概念値(桜、蓮華草)に基づいて、前記質問情報(ピンクの春の花は何ですか)に対する回答情報を生成する情報処理部と、前記情報処理部にて得られた前記回答情報を出力する情報出力部と、を有する構成となる。
なお、カッコ内の記述は、例示であって、本発明の構成を限定するものではない(課題を解決するための手段の項において同じ)。
【0008】
このような構成によれば、ある概念(花)についての知識(例えば、花種名)を、その智識(花種名)を特定する一又は複数の要素のそれぞれを表す要素値(ピンク、春)を提示して、問うための質問情報(ピンクの春の花は何ですか)が入力されると、概念構造テーブル、概念智識テーブル、及び智識テーブルの3つのテーブルを用いて、前記質問情報(ピンクの春の花は何ですか)に含まれる一又は複数の要素値(ピンク、春)のそれぞれに相当する概念値(ピンク、春)に対応した概念(色、季節)によって前記質問情報(ピンクの春の花は何ですか)で問われる智識(花種名)の概念(花)が特定されることが確認され、前記要素値(ピンク、春)に相当する従属概念値(ピンク、春)に対応した代表概念値(桜、蓮華草)に基づいて回答情報が生成される。そして、その回答情報(桜、蓮華草)が、前記質問情報で表される質問(ピンクの春の花は何ですか)に対する回答として出力される。
【0009】
本発明に係る人工頭脳システムにおいて、前記情報処理部は、前記概念智識テーブルにおいて、前記一又は複数の要素値(ピンク、春)のそれぞれに相当する概念値(ピンク、春)と概念(色、季節)との対応付けがあるか否かを判定する概念智識判定手段と、前記概念智識判定手段により前記概念智識テーブルにおいて前記対応付けがあると判定されたときに、前記概念智識テーブルにおいて前記概念値(ピンク、春)に対応づけられる概念(色、季節)と、前記質問情報(ピンクの春の花は何ですか)で問われる智識(花種名)の概念(花)とが前記概念構造テーブルにおいて対応づけられていることを確認する概念構造確認手段と、前記概念構造確認手段による確認の後、前記智識テーブルにおいて前記一又は複数の要素値(ピンク、春)に相当する従属概念値(ピンク、春)に対応づけられる代表概念値(桜、蓮華草)に基づいて前記回答情報を生成する回答生成手段と、を有する構成とすることができる。
【0010】
このような構成によれば、概念智識テーブルにおいて、一又は複数の要素値(ピンク、春)のそれぞれに相当する概念値(ピンク、春)と概念(色、季節)との対応付けがあると判定されると、その概念智識テーブルにおいて前記概念値(ピンク、春)に対応づけられる概念(色、季節)と、前記質問情報(ピンクの春の花は何ですか)で問われる智識(花種名)の概念(花)とが前記概念構造テーブルにおいて対応づけられていることが確認され、その確認の後、智識テーブルにおいて前記一又は複数の要素値(ピンク、春)に相当する従属概念値(ピンク、春)に対応づけられる代表概念値(桜、蓮華草)に基づいて前記回答情報が生成される。
【0011】
本発明に係る人工頭脳システムにおいて、前記回答生成手段は、前記概念智識テーブルにおいて前記代表概念値(桜、蓮華草)に対応する概念値(桜、蓮華草)を回答概念値として決定する回答決定手段を有し、前記回答決定手段にて決定された回答概念値に基づいて前記回答情報を生成する、構成とすることができる。
【0012】
このような構成により、概念智識テーブルにおいて前記代表概念値(桜、蓮華草)に対応する概念値(桜、蓮華草)が、回答概念値として決定され、その回答概念値に基づいて前記回答情報が生成される。
【0013】
本発明に係る人工頭脳システムにおいて、前記情報処理部は、前記概念智識判定手段により、前記概念智識テーブルにおいて、前記質問情報(ピンクの春の花は何ですか)の前記一又は複数の要素値(ピンク、春)のそれぞれに相当する概念値(ピンク、春)と概念との対応づけがあると判定されたときに、その概念値(ピンク、季節)を対応する概念の覚醒概念値として管理する第1覚醒概念値管理手段と、前記第1覚醒概念値管理手段により覚醒概念値として管理される概念値(ピンク、春)と同じ前記智識テーブルにおける従属概念値(ピンク、春)を覚醒概念値として管理する第2覚醒概念値管理手段と、前記第2覚醒概念値管理手段により覚醒概念値として管理される前記従属概念値(ピンク、春)に対応する代表概念値(桜、蓮華草)と同じ前記概念智識テーブルにおける概念値(桜、蓮華草)を、覚醒概念値として管理する第3覚醒概念値管理手段を有し、前記回答決定手段は、前記概念智識テーブルにおいて、前記第3覚醒概念値管理手段により覚醒概念値として管理される概念値(桜、蓮華草)を、前記回答概念値として決定する、構成とすることができる。
【0014】
このような構成により、概念智識テーブルにおいて、質問情報(ピンクの春の花は何ですか)の一又は複数の要素値(ピンク、春)のそれぞれに相当する概念値(ピンク、春)と概念(色、季節)との対応づけがあると判定されたときに、その概念(色、季節)の概念値(ピンク、季節)が覚醒概念値として管理(第1覚醒概念値管理手段)され、その覚醒概念値として管理される概念値(ピンク、春)と同じ前記智識テーブルにおける従属概念値(ピンク、春)が覚醒概念値として管理(第2覚醒概念値管理手段)される。更に、前記智識テーブルにおいて覚醒概念値として管理される前記従属概念値(ピンク、春)に対応した代表概念値(桜、蓮華草)と同じ概念智識テーブルにおける概念値(桜、蓮華草)が覚醒概念値として管理(第3覚醒概念値管理手段)される。そして、概念智識テーブルで前記覚醒概念値として管理(第3覚醒概念値管理手段)される概念値(桜、蓮華草)が回答概念値として決定され、その回答概念値に基づいて前記回答情報が生成される。
【0015】
前記第1覚醒概念値管理手段及び前記第3覚醒概念値管理手段のそれぞれは、前記概念智識テーブルにおける各概念値に対応づけられ、当該概念値が前記覚醒概念値であるか否かで異なる状態を有する覚醒フラグを含むことができる。また、前記第2覚醒概念値管理手段は、前記智識テーブルにおける各従属概念値に対応づけられ、当該従属概念値が前記覚醒概念値であるか否かで異なる状態を有する覚醒フラグを含むことができる。
【0016】
上記覚醒フラグの状態により、各概念値(従属概念値)が覚醒概念値であるか否かを管理することができる。
【0017】
本発明に係る人工頭脳システムにおいて、前記情報処理部は、前記智識テーブルにおいて、代表概念値を前記回答情報の生成に用いるか否かを制御する回答制御手段(意思決定フラグ)を有する、構成とすることができる。
【0018】
このような構成により、質問情報に含まれる要素値(ピンク、春)に相当する従属概念値(ピンク、春)に対応した代表概念値(桜、蓮華草)を、回答情報の生成に用いるか否かを制御することができる。
【0019】
本発明に係る人工頭脳システムにおいて、前記回答決定制御手段は、前記智識テーブルにおける代表概念値に対応づけられ、当該代表概念値を前記回答情報の生成に用いるか否かで異なる状態を有する回答制御フラグ(意思決定フラグ)を有する、構成とすることができる。
【0020】
このような構成により、回答制御フラグの状態により、質問情報に含まれる要素値(ピンク、春)に相当する従属概念値(ピンク、春)に対応した代表概念値(桜、蓮華草)を、回答情報として用いるか否かを制御することができる。
【0021】
本発明に係る人工頭脳システムにおいて、前記回答生成手段により前記質問情報に対する回答情報の生成に用いられた代表概念値(桜)と同じ従属概念値(桜)に前記智識テーブルにおいて対応する代表概念値(入学式)に基づいて、前記回答情報(桜)に関連する関連回答情報を生成する関連回答生成手段を有し、前記情報出力部は、前記連携回答生成手段により生成された前記関連回答情報を出力する構成とすることができる。
【0022】
このような構成により、質問情報に対して決定された回答情報(桜)に関連する知識(入学式)を関連する回答(関連回答情報)として提供することができる。
【0023】
本発明に係る人工頭脳システムにおいて、前記情報処理部は、前記質問情報(春の花は何ですか)で問われている智識(花種名)の概念(花)を特定するための概念(色)を表す概念値が不足して、前記回答情報を得ることができない場合、その不足している概念(色)の概念値が何であるかを問合わせるための概念問合せ情報を生成し、その概念問合せ情報を前記情報出力部から出力させる概念問合せ制御手段を有し、前記概念問合せ情報が前記情報出力部から出力された後に、前記情報入力部に入力される前記不足している概念(色)を表す概念値(ピンク)の情報を加味して前記回答情報を生成する、構成とすることができる。
【0024】
このような構成により、前記質問情報(春の花は何ですか)で問われている智識(花種名)の概念(花)を特定するための概念(色)を表す概念値が不足して、前記回答情報を得ることができない場合、その不足している概念(色)の概念値が何であるかを問合わせるための概念問合せ情報が生成され、その概念問合せ情報が出力される。そして、その概念問合せ情報が出力された後に、入力される前記不足している概念(色)を表す要素値(ピンク)の情報を加味して前記回答情報が生成される。このように、前記質問情報(春の花は何ですか)で問われている智識(花種名)の概念(花)を特定するための概念(色)を表す概念値が不足している場合、その不足した情報を人工頭脳システム自らが学習(主体学習:課題依存型)し、その学習の成果を加味した回答情報を提供することができる。
【0025】
本発明に係る人工頭脳システムにおいて、前記情報処理部は、前記情報入力部に、前記概念構造テーブルに既に登録されているある既存概念(花)が一又は複数の新たな概念(国)によって特定されることを表す新概念構造情報が入力されたときに、前記新概念構造情報に基づいて、前記概念構造テーブルを更新する概念構造更新手段と、前記概念智識テーブルに含まれる前記既存概念(花)の各概念値(桜、藤、蓮華草)に対応する前記新概念構造情報における前記新たな概念(国)の概念値を問合わせるための概念智識問合せ情報を生成し、その概念智識問合せ情報を前記情報出力部から出力させる概念智識問合せ制御手段と、前記概念智識問合せ情報が前記情報出力部から出力された後に、前記情報入力部に入力される前記新概念構造情報における一又は複数の前記新たな概念(国)の概念値(日本)に基づいて、前記概念智識テーブルを更新する概念智識更新手段と、前記既存概念(花)の概念値(桜、藤、蓮華草)を代表概念値とし、前記一又は複数の新たな概念(国)のそれぞれの概念値(日本)を従属概念値として、それらを対応づけるように前記智識テーブルを更新する知識更新手段と、を有する、構成とすることができる。
【0026】
このような構成により、概念構造テーブルに既に登録されているある既存概念(花)が一又は複数の新たな概念(国)によって特定されることを表す新概念構造情報が入力されたときに、その新概念構造情報に基づいて、前記概念構造テーブルが更新されるとともに、前記概念智識テーブルに含まれる既存概念(花)の概念値(桜、藤、蓮華草)に対応する前記一又は複数の新たな概念(国)の概念値を問合わせるための概念智識問合せ情報が生成れ、その概念智識問合せ情報が出力される。その後、入力される前記一又は複数の新たな概念(国)の概念値(日本)に基づいて、前記概念智識テーブルが更新され、前記既存概念(花)の概念値(桜、藤、蓮華草)を代表概念値とし、前記一又は複数の新たな概念(国)のそれぞれの概念値(日本)を従属概念値として、それらを対応づけるように前記智識テーブルが更新される。このように、新たな概念についての智識を表す情報(新概念構造情報)が提供されると、その新たな概念構造とともにその新たな概念構造に関する知識を人工頭脳システム自らが学習(主体学習:自己調整型)することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る人工頭脳システムによれば、質問情報に対して、概念構造テーブル、概念智識テーブル、及び智識テーブルの3つのテーブルを用いて回答情報を生成する構成となっているので、学習に多大な時間をかけることなく、それら3つのテーブルの情報を更新(学習)することにより概念についての智識の情報量を増大させることができる。また、3つのテーブルの更新(学習)と並列的に、それら3つのテーブルを利用することにより、質問情報に対する回答情報を決定することができるので、学習中であっても頭脳として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る人工頭脳システムを示すブロック図である。
【
図2】
図2は、概念構造テーブルの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、概念智識テーブルの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、智識テーブルの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、概念構造テーブル、概念智識テーブル、及び智識テーブルの関係を示す図である。
【
図6】
図6は、人工頭脳システムの情報処理部における質問入力から回答出力に至る処理に際しての概念構造テーブル、概念智識テーブル及び智識テーブルの利用シーケンスを表すシーケンスである。
【
図7】
図7は、人工頭脳システムの情報処理部での処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、概念智識判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、概念智識判定処理により更新された概念智識テーブルの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、概念智識判定処理により更新された智識テーブルの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、概念構造確認処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、回答処理の流れ(その1)を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、
図12に示す手順に従った回答処理により更新された概念智識テーブルの一例を示す図である。
【
図14】
図14は、
図12に示す手順(連携覚醒)に従った回答処理により更新された智識テーブルの一例を示す図である。
【
図15】
図15は、
図12に示す手順(連営覚醒)に従った回答処理により更新された概念智識テーブルの一例を示す図である。
【
図16】
図16は、回答処理の流れ(その2)を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、関連回答処理の流れを示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、人工頭脳システムの情報処理部における学習処理(課題依存型)に際しての概念構造テーブル、概念智識テーブル及び智識テーブルの利用シーケンスを表すシーケンスである。
【
図19】
図19は、概念智識テーブルにおける概念不足の状態の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、智識テーブルにおける概念不足の状態の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、学習処理(課題依存型)の流れを示すフローチャートである。
【
図22】
図22は、人工頭脳システムの情報処理部における学習処理(自己調整型)に際しての概念構造テーブル、概念智識テーブル及び智識テーブルの利用シーケンスを表すシーケンスである。
【
図23】
図23は、学習処理(自己調整型)の流れ(その1)を示すフローチャートである。
【
図24】
図24は、学習処理(自己調整型)の流れ(その2)を示すフローチャートである。
【
図25】
図25は、学習処理(自己調整型)により更新された概念構造テーブルの一例を示す図である。
【
図26】
図26は、学習処理(自己調整型)により更新された智識テーブルの一例(その1)を示す図である。
【
図27】
図27は、学習処理(自己調整型)により更新された智識テーブルの一例(その2)を示す図である。
【
図28】
図28は、学習処理(自己調整型)により更新された概念智識テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0030】
本発明の実施の一形態に係る人工頭脳システムが適用される応用システム(例えば、日本の花図鑑)は、
図1に示すように構成される。
【0031】
図1において、応用システム100(日本の花図鑑)は、人工頭脳システム10と、この人工頭脳システム10と利用者(人)とのインタフェース(UI)を行うインタフェース装置20(PC、タブレット端末、スマートフォン等)とを備えている。インタフェース装置20と人工頭脳システム10とは、有線にて直接、無線にて直接、有線及び無線にて、あるいは所定のネットワーク(インターネット等)を介して情報の送受が可能に結合している。インタフェース装置20は、利用者から入力されるテキスト情報の文章解析を行ってそのテキスト情報から単語の抽出等を行う入力文章解析機能と、人工頭脳システム10からの出力情報から文章を生成する出力文章生成機能とを有している。そして、インタフェース装置20は、例えば、チャットポットの出力形式と同じような形式にて、入力される情報(テキスト情報)、及びその入力情報に対する人工頭脳システム10からの出力情報(テキスト情報)を表示、及び又は音声出力する。なお、インタフェース装置20は、利用者から音声で入力される入力文章の情報から単語の抽出等を行うようにすることもできる。また、インタフェース装置20の機能を人工頭脳システム10が含むものであってもよい。
【0032】
人工頭脳システム10は、情報処理部11、記憶部12、入力部13(情報入力部)及び出力部14(情報出力部)を有している。情報処理部11は、CPU等のハードウエア資源及びソフトウエア資源により動作するコンピュータによって構成される。記憶部12は、概念構造テーブルT1、概念智識テーブルT2及び智識テーブルT3の3つのテーブル(詳細については後述する)とともに、情報処理部11での処理に必要な各種データを格納する。
【0033】
概念構造テーブルT1は、代表概念として定義される概念が登録されるとともに、その代表概念とその代表概念を特定する概念として定められた従属概念とを対応づけるテーブルであって、例えば、
図2に示すように構成される。
図2に示す概念構造テーブルT1では、概念「色」、概念「季節」、概念「花」及び概念「行事」のそれぞれが代表概念として登録されるとともに、代表概念「花」と、その概念「花」を特定する概念として定められた2つの従属概念「色」及び「季節」とが対応づけられ、代表概念「行事」と、その概念「行事」を特定する概念として定められた1つの従属概念「花」とが対応づけられている。
【0034】
概念智識テーブルT2は、概念と、その概念についての智識を表す情報としての概念値とを対応づけるテーブルであって、例えば、
図3に示すように構成される。
図3に示す概念智識テーブルT2では、概念「色」とその概念「色」の智識を表す情報としての概念値「ピンク」とが対応づけられている。また、概念智識テーブルT2では、同様に、概念「色」と概念値「紫」とが、概念「季節」と概念値「春」とが、概念「花」と概念値「桜」とが、概念「花」と概念値「藤」とが、概念「花」と概念値「蓮華草」とが、概念「行事」と概念値「入学式」とが、それぞれ対応づけられている。
【0035】
知識テーブルT3は、前述した代表概念についての智識を表す情報としての代表概念値と、その代表概念を特定する概念として定められた従属概念の智識を表す情報としての従属概念値とを対応づけるテーブルであって、例えば、
図4に示すように構成される。
図4に示す智識テーブルT3では、代表概念「花」についての智識を表す情報としての代表概念値「桜」と、その代表概念「花」を特定する概念として定められた2つの従属概念「色」及び「季節」(
図4:概念構造テーブル参照)の智識を表す情報としての2つの従属概念値「ピンク」及び「春」とが対応づけられている。また、智識テーブルT3では、同様に、代表概念値「藤」と2つの従属概念値「紫」及び「春」とが、代表概念値「蓮華草」と2つの従属概念値「ピンク」及び「春」とが、代表概念値「入学式」と1つの従属概念値「桜」とが、それぞれ対応づけられている。
【0036】
上述した概念智識テーブルT2(
図3参照)では、概念値が後述する覚醒概念値として管理されているか否かを表す、具体的には、概念値が覚醒概念値であるか否かで異なる状態(1,0)を有する、覚醒フラグ(第1覚醒概念値管理手段、第3覚醒概念値管理手段)が各概念値に対応づけられている。また、上述した智識テーブルT3(
図4参照)では、従属概念値が後述する覚醒概念値として管理されているか否かを表す、具体的には、従属概念値が覚醒概念値であるか否かで異なる状態(1,0)を有する、覚醒フラグ(第2覚醒概念値管理手段)が各従属概念値に対応づけられている。更に、智識テーブルT3(
図4参照)では、代表概念値が後述する回答情報の生成に用いられるか否かを管理する、具体的には、代表概念値が前記回答情報の生成に用いられるか否かで異なる状態(1,0)を有する、回答制御フラグが各代表概念値に対応づけられている。
【0037】
人工頭脳システム10では、上述した3つのテーブル(概念構造テーブルT1、概念智識テーブルT2、智識テーブルT3)によって、「日本の花図鑑」(応用システム100)における「花」に関わる種々の概念及びその概念についての智識(概念値)が管理される。
【0038】
上述した3つのテーブル(概念構造テーブルT1、概念智識テーブルT2、智識テーブルT3)は、
図5に示すような関係を有する。
【0039】
図5に示すように、概念智識テーブルT2において、各概念は概念IDによって特定される。概念構造テーブルT1において、各代表概念(例えば、
図2における「花」)は、概念智識テーブルT2における対応する概念(例えば、
図3における「花」)の概念IDと同じ値の代表概念IDで特定され、各従属概念(例えば、
図2における「色」)は、概念智識テーブルT2における対応する概念(例えば、
図3における「色」)の概念IDと同じ値の従属概念IDで特定される。
【0040】
智識テーブルT3において、
図4では省略されている、各代表概念値(例えば、「桜」)に対応する代表概念(例えば、「花」)、及び各従属概念値(例えば、「ピンク」)に対応する従属概念(例えば、「色」)が、それぞれ代表概念ID、従属概念IDで特定される。智識テーブルT3における代表概念ID及び従属概念IDのそれぞれは、概念智識テーブルT2における対応する概念の概念IDと同じ値である。また、智識テーブルT3における代表概念値(例えば、「桜」)及び従属概念値(例えば、「ピンク」)のそれぞれは、智識構造テーブルT2における概念値(例えば、
図3における「桜」、「ピンク」)に紐づいている。
【0041】
また、
図5に示すように、概念智識テーブルT2における覚醒フラグと、智識テーブルT3の覚醒フラグとは、連携して状態(1,0)の更新が行われる。但し、智識テーブルT3(
図4参照)において、回答制御フラグが、対応する代表概念が回答情報の生成に用いられない状態(0)の場合には、その代表概念値に対応する従属概念値の覚醒フラグは、概念智識テーブルT2における対応する概念値の覚醒フラグの状態にかかわらず、状態(0)に維持される。
【0042】
次に、人工頭脳システム10の情報処理部11の動作について説明する。
【0043】
情報処理部11は、記憶部12に格納された3つのテーブル(概念構造テーブルT1、概念智識テーブルT2、智識テーブルT3)を、
図6に示すシーケンスに従って利用しつつ、
図7に示す手順に従って処理を実行する。
【0044】
利用者がインタフェース装置20に質問(例えば、『ピンクの春の花は何ですか』)に係る情報を入力すると、インタフェース装置20は、その質問を表示、音声出力するとともに、その質問についての文章解析を行ってその質問に用いられる文言を抽出する。例えば、前記質問から、「ピンク」、「春」及び「花」の文言が抽出される。そして、インタフェース装置20は、その抽出した文言に基づいて、概念「花」についての智識(花種名)を、その智識(花種名)を特定する要素を表す要素値「ピンク」及び「春」を提示して問うための所定形式の質問情報を出力する。インタフェース装置20から出力される質問情報は、人工頭脳システム10の入力部13に入力され、その質問情報が人工頭脳システム10の情報処理部11に提供される。以下、概念「花」の智識(花種名)を、その智識(花種名)を特定する2つの要素値「ピンク」及び「春」を提示して問うための質問情報(『ピンクの春の花は何ですか』という質問に対応)が提供された場合を例にして、情報処理部11の動作について説明する。
【0045】
図7に示すように、情報処理部11は、質問情報が取得されるか否かを確認(S11)している。前記質問情報が入力部13を介して取得されると(S11でYES)、情報処理部11は、前記質問情報から、問合せ概念としての概念「花」と、要素値「ピンク」及び「春」とを抽出する(S12)。そして、情報処理部11は、記憶部12に格納された概念智識テーブルT2(
図3参照)及び智識テーブルT3(
図4参照)を用いて概念智識判定処理S13(概念智識判定手段)を行う。
【0046】
【0047】
図8において、情報処理部11は、概念智識テーブルT2(
図3参照)において、全ての概念値の指定が終了していないことを確認しつつ(S131でNO)、概念値を指定する(S132)。そして、情報処理部11は、その指定概念値が前記質問情報に含まれるいずれかの要素値(「ピンク」または「春」)に相当するか否かを判定する(S133:
図6における手順(1))。前記指定概念値がいずれの要素値にも相当しない場合(S133でNO)、情報処理部11は、ステップS131に戻って、概念智識テーブルT2において全ての概念値の指定が終了していないことを確認し(S131でNO)、次の概念値を指定して(S132)、再度その判定(S133)を行う。一方、前記指定概念値が前記要素値に相当すると(S133でYES)、情報処理部11は、概念智識テーブルT2(
図9参照)において、前記指定概念値に対応する覚醒フラグを状態「1」(ON)に更新する(S134:
図6における手順(2))とともに、智識テーブルT3(
図10参照)において、その指定概念値と同じ従属概念値に対応する覚醒フラグを状態「1」に更新する(S135:
図6における手順(3))。
【0048】
以後、情報処理部11は、同様の処理(S131~S135)を繰り返し実行する。そして、概念智識テーブルT2における全ての概念値についての処理が終了すると(S131でYES)、情報処理部11は、更に、質問情報から抽出された全ての要素値(「ピンク」及び「春」)について処理されたか否かを判定し(S136)、全ての要素値について処理されていれば(S136でYES)、情報処理部11は、概念智識判定処理S13を終了して次の概念構造確認処理(S14:
図7参照)に移行する。
【0049】
上述した処理の結果、概念智識テーブルT2においては、
図9に示すように、抽出された要素値「ピンク」及び「春」に相当する概念値「ピンク」及び「春」に対応した覚醒フラグのそれぞれが状態「1」(ON)に更新される。これにより、情報処理部11は、概念智識テーブルT2において、前記要素値(「ピンク」、「春」)のそれぞれに相当する概念値「ピンク」及び「春」と概念との対応付けがあると認識し、それら概念値「ピンク」及び「春」のそれぞれを、対応する概念「色」または「季節」の覚醒概念値として管理することになる(第1覚醒概念値管理手段)。また、智識テーブルT3においても、
図10に示すように、抽出された要素値「ピンク」及び「春」に相当する従属概念値「ピンク」及び「春」に対応した覚醒フラグのそれぞれが状態「1」(ON)に更新される。これにより、情報処理部11は、智識テーブルT3において、従属概念値「ピンク」及び「春」のそれぞれを覚醒概念値として管理することになる(第2覚醒概念値管理手段)。
【0050】
なお、全ての要素値についての処理が終了できなければ(
図8におけるS136でNO)、概念智識テーブルT2において、ある要素値に相当する概念値と概念との対応付けがないことになり、情報処理部11は、人工頭脳システム10では、入力された質問(『ピンクの春の花は何ですか』)に対して智識が不足して回答できないとして(S137)、
図7に戻って、覚醒フラグをリセットして(S19)、処理を終了する。
【0051】
図7に戻って、前述した概念智識判定処理(S13)が終了すると、情報処理部11は、記憶部12に格納された概念智識テーブルT2(
図9参照)及び概念構造テーブルT1(
図2参照)を用いて概念構造確認処理S14(概念構造確認手段)を行う。
【0052】
概念構造確認処理S14は、
図11に従って行われる。
【0053】
図11において、情報処理部11は、概念智識テーブルT2(
図9参照)において、覚醒概念値として管理される(覚醒フラグが状態「1」(ON))概念値「ピンク」及び「春」に対応した概念「色」及び「季節」を取得する(S141)。そして、情報処理部11は、概念構造テーブルT1(
図2参照)において、前記問合せ概念「花」を代表概念として、前記覚醒概念値として管理される概念値「ピンク」及び「春」に対応する概念「色」及び「季節」を従属概念とする、代表概念と従属概念との対応づけが存在するか否かを判定する(S142:概念構造確認手段:
図6における手順(4))。ここで、前記代表概念「花」と従属概念「色」及び「季節」との対応づけが存在すると(S142でYES)、人工頭脳システム10において、前記問合せに対して回答が可能であるとして、情報処理部11は、次の回答処理S15(
図7参照:回答生成手段)に進む。
【0054】
一方、前記代表概念(問い合わせ概念「花」)と前記従属概念との対応づけが概念構造テーブルT1に存在しないと(S142でNO)、質問に対して回答するには概念の情報が不足しているものとして、情報処理部11は、所定の条件(例えば、不足概念の数についての条件等)に従って後述する学習が可能であるか否かを判定する(S143)。そして、学習が可能であれば(S143でYES)、情報処理部11は、学習処理S20(
図7参照)に進む。学習処理S20の詳細については後述する。
【0055】
なお、学習が可能でないと判定されると(S143でNO)、情報処理部11は、人工頭脳システム10では、入力された質問に対して概念の情報が不足して回答できないとして(S144)、
図7に戻って、覚醒フラグをリセットして(S19)、処理を終了する。
【0056】
【0057】
図12において、情報処理部11は、智識テーブルT3(
図10参照)において、全ての代表概念値の指定が終了していないことを確認しつつ(S151でNO)、代表概念値を指定する(S152)。そして、情報処理部11は、智識テーブルT3(
図10参照)において、その指定代表概念値に対応する全ての従属概念値が覚醒概念値(覚醒フラグ状態「1」(ON))として管理されているか否かを判定する(S153)。智識テーブルT3において、その指定代表概念値に対応するいずれかの従属概念値が覚醒概念値として管理されていない場合(S153でNO:例えば、指定代表概念値「藤」に対応する従属概念値「紫」が覚醒概念値として管理されていない場合)、情報処理部11は、ステップS151に戻って、智識テーブルT3において全ての代表概念値の指定が終了していないことを確認し(S151でNO)、次の代表概念値を指定して(S152)、再度その判定(S153)を行う。
【0058】
一方、智識テーブルT3(
図10参照)において前記指定代表概念値(例えば、「桜」)に対応する全ての従属概念値(例えば、「ピンク」、「春」)が覚醒概念値として管理されている(覚醒フラグ状態「1」(ON))場合(S153でYES)、情報処理部11は、智識テーブルT3(
図10参照)において、前記指定代表概念値に対応した回答制御フラグ(回答制御手段)が状態「1」(ON)であることを確認(S154でYES)し、その指定代表概念値(例えば、「桜」)と概念智識テーブルT2(
図13参照)において同じ概念値(例えば、「桜」)に対応した覚醒フラグを状態「1」(ON)に更新する(S155:
図6における手順(5))。
【0059】
なお、智識テーブルT3において、前記指定代表概念値に対応した回答制御フラグが状態「1」でない(状態「0」である)場合(S154でNO)、情報処理部11は、その指定代表概念値は、回答情報の生成には用いないものとして、概念智識テーブルT2における前記指定代表概念値と同じ概念値に対応した覚醒フラグの更新(S155)を行うことなく、次の指定代表概念値について同様の処理(S151~S154)を行う。
【0060】
概念智識テーブルT2(
図13参照)において前記指定代表概念値と同じ概念値(例えば、「桜」)に対応する覚醒フラグを状態「1」(ON)に更新すると(S155)、情報処理部11は、その概念値(例えば、「桜」)の覚醒(覚醒フラグの状態「1」(ON)への更新)に連携して覚醒(連携覚醒)させる概念値を検出する処理(連携覚醒処理:S156~S158)を行う。
【0061】
この連携覚醒処理では、情報処理部11は、まず、前述したように、概念智識テーブルT2(
図13参照)において対応する覚醒フラグを状態「1」(ON)にした概念値(例えば、「桜」)と智識テーブルT3(
図10参照)において同じ従属概念値が有るか否かを判定する(S156)。智識テーブルT3にそのような従属概念値が無ければ(S156でNO)、情報処理部11は、連携覚醒処理を中断して、ステップ151に戻り、次の代表概念値について同様の処理(S151~S156)を行う。一方、概念智識テーブルT2(
図13参照)において対応する覚醒フラグを状態「1」(ON)にした概念値(例えば、「桜」)と智識テーブルT3(
図10参照)において同じ従属概念値(例えば、「桜」)があると(S156でYES)、情報処理部11は、智識テーブルT3においてその従属概念値(例えば、「桜」)に対応する覚醒フラグを状態「1」(ON)に更新する(S157)。そして、情報処理部11は、智識テーブルT3において覚醒フラグを状態「1」(ON)に更新した従属概念値(例えば、「桜」)に対応する代表概念値(例えば、「入学式」)と概念智識テーブルT2(
図13参照)において同じ概念値(例えば、「入学式」)に対応した覚醒フラグを状態「1」(ON)に更新する(S158、
図15参照)。
【0062】
以後、情報処理部11は、上述した処理(S151~S158)の処理を繰り返し実行する。そして、智識テーブルT2における全ての代表概念値についての処理が終了すると(S151でYES)、情報処理部11は、
図16の処理に移行する。
【0063】
上述した
図12に示す手順に従った情報処理部11の処理により、
図13に示すように、概念智識テーブルT2において、概念「花」に対応する概念値「桜」(智識テーブルT3における代表概念値「桜」に対応)、及び概念「花」に対応する概念値「蓮華草」(智識テーブルT3における代表概念値「蓮華草」に対応)のそれぞれに対応した覚醒フラグが状態「1」(ON)に更新される。これにより、情報処理部11は、概念智識テーブルT2において、概念値「桜」及び「蓮華草」のそれぞれを、対応する概念「花」の覚醒概念値として管理することになる(第3覚醒概念値管理手段)。
【0064】
また、概念智識テーブルT2における前記概念値「桜」に対応する覚醒フラグの状態「1」(ON)への更新(覚醒)に連携して、智識テーブルT3において、
図14に示すように、その概念値「桜」と同じ従属概念値「桜」に対応する覚醒フラグが状態「1」(ON)に更新される(覚醒)。そして、更に、連携して、その智識テーブルT3において覚醒した従属概念値「桜」に対応する代表概念値「入学式」と概念智識テーブルT2において同じ概念値「入学式」に対応する覚醒フラグが、
図15に示すように、状態「1」(ON)に更新される(連携覚醒)。これにより、情報処理部11は、概念智識テーブルT2において、更に、概念値「入学式」を対応する概念「行事」の覚醒概念値(連携覚醒の概念値)として管理することになる。
【0065】
上述したように概念智識テーブルT2及び智識テーブルT3が更新された状態で、
図16の処理に移行した情報処理部11は、概念智識テーブルT2(
図15参照)おいて、全ての問合せ概念「花」の指定が終了していないことを確認しつつ(S159でNO)、問合せ概念「花」を指定する(S160)。そして、情報処理部11は、概念智識テーブルT2(
図15参照)において、その指定問合せ概念「花」に対応する概念値(例えば、「桜」)の覚醒フラグが状態「1」(ON)であるか否か、即ち、その指定問合せ概念「花」に対応する概念値(例えば、「桜」)が覚醒概念値として管理されているか否かを判定する(S161)。
【0066】
前記指定問合せ概念「花」に対応する覚醒フラグが状態「1」(NO)でない(状態「0」である)場合(S161でNO:例えば、概念値「藤」に対応する覚醒フラグ参照)、情報処理部11は、ステップS159に戻って、概念智識テーブルT2(
図15参照)において全ての問合せ概念「花」の指定が終了していないことを確認し(S159でNO)、次の問合せ概念「花」を指定して(S160)、再度その判定(S161)を行う。一方、概念智識テーブルT2において、前記指定問合せ概念「花」に対応する覚醒フラグが状態「1」(ON)である場合(S161でYES:例えば、概念値「桜」に対応する覚醒フラグ参照)、情報処理部11は、その指定問合せ概念「花」に対応する概念値(例えば、「桜」)を回答概念値としてリストに追加する(S162:回答決定手段)。
【0067】
以後、情報処理部11は、概念智識テーブルT2の全ての問合せ概念「花」の指定が終了するまで、同様の処理(S159~S162)を繰り返し実行する。その結果、概念智識テーブルT2(
図15参照)における概念値「桜」及び「蓮華草」が回答概念値としてリストアップされる。そして、概念智識テーブルT2の全ての問合せ概念「花」についての処理が終了すると(S159でYES)、情報処理部11は、回答概念値としてリストアップされた概念値(「桜」及び「蓮華草」)に基づいて、質問『ピンクの春の花は何ですか』に対する回答情報を生成する(S163:
図6の手順(6))。
【0068】
図7に戻って、上述した回答処理S15に続いて、情報処理部11は、関連回答処理S17(関連回答生成手段)を行う。関連回答処理S17は、上述した回答処理S15により得られた回答概念値に関連する概念値(関連概念値)に基づいて関連回答情報を生成する処理である。この関連回答処理S17では、前記回答概念値として得られた概念値(例えば、「桜」)の覚醒に連携して覚醒(連携覚醒)した概念値(例えば、「入学式」)が前記関連概念値として得られる。この関連回答処理S17は、
図17に示す手順に従って行われる。
【0069】
図17において、情報処理部11は、前記回答処理S15で得られた全ての回答概念値(例えば、「桜」及び「蓮華草」)の指定が終了していないことを確認しつつ(S171でNO)、回答概念値を指定する(S172)。そして、情報処理部11は、智識テーブルT3(
図14参照)において、覚醒フラグが状態「1」(ON)の従属概念値のうちに指定回答概念値と同じ従属概念値があるか否かを判定する(S173)。智識テーブルT3において指定回答概念値(例えば、「蓮華草」)と同じ従属概念値が存在しない場合(S173でNO)、情報処理部11は、ステップ171に戻って、全ての回答概念値の指定が終了していないことを確認し(S171でNO)、次の回答概念値を指定して(S172)、再度その判定(S173)を行う。
【0070】
一方、智識テーブルT3(
図14参照)において指定回答概念値(例えば、「桜」)と同じ従属概念値(例えば、「桜」)が存在すると(S173でYES)、情報処理部11は、その従属概念値に対応する回答制御フラグが状態「1」(ON)であることを確認した(S174でYES)後、智識テーブルT3(
図1参照)における前記従属概念値(例えば、「桜」)及びそれに対応した代表概念値(例えば、「入学式」)のそれぞれに対応する従属概念ID及び代表概念IDで特定される従属概念(例えば、「花」)と代表概念(例えば、「行事」)との対応が概念構造テーブルT1(
図2参照)に有るか否かを判定する(S175)。
【0071】
概念構造テーブルT1(
図2参照)において前記代表概念と前記従属概念との対応(例えば、「行事」と「花」との対応)が存在すると(S175でYES)、情報処理部11は、概念智識テーブルT2(
図15参照)において、前記代表概念(例えば、「行事」)と同じ概念(例えば、「行事」)を指定し(S176)、その概念(例えば、「行事」)に対応する概念値(例えば、「入学式」)の覚醒フラグが状態「1」(ON)であるか否かを判定する(S177)。ここで、概念智識テーブルT2(
図15参照)において前記指定された概念(例えば、「行事」)に対応する概念値(例えば、「入学式」)の覚醒フラグが状態「1」(ON)であると(S177でYES)、即ち、その概念値(例えば、「入学式」)が対応する概念(例えば、「行事」)の覚醒概念値(連携覚醒の概念値)として管理されていると、情報処理部11は、その概念値(例えば、「入学式」)を関連概念値として、前記回答概念値(例えば、「桜」)と対応づけた状態でリストに追加する(S178)。
【0072】
なお、ステップ174において、智識テーブルT3の前記回答制御フラグが状態「1」でない(状態「0」:S174でNO)場合、ステップS175において、概念構造テーブルT1に前記代表概念と前記従属概念との対応が無い場合(S175でNO)、及び、ステップ177において、覚醒フラグが状態「1」でない場合(状態「0」である場合:ステップS177でNO)のそれぞれの場合では、関連概念値を得ることができないとして、情報処理部11は、ステップS171に戻って、処理を続行する。
【0073】
情報処理部11は、リストアップされた全ての回答概念値の指定が終了する(S1712でYES)まで、同様の処理(S171~S178)を繰り返し実行する。その結果、概念智識テーブルT2(
図15参照)における概念値「入学式」が関連概念値として回答概念値「桜」に対応づけられた状態でリストアップされる。そして、全ての回答概念値(「桜」、「蓮華草」)についての処理が終了すると(S171でYES)、情報処理部11は、リストアップされた関連概念値があるか否かを判定する(S179)。そして、リストアップされた関連概念値があると(S179でYES)、情報処理部11は、関連概念値として回答概念値「桜」に対応づけられた状態でリストアップされた概念値「入学式」に基づいて、関連回答情報(例えば、『桜といえば入学式です』を表す情報)を生成する(S180)。その後、情報処理部11は、回答出力処理S18(
図7参照)に移行する。
【0074】
一方、上述した関連回答処理S17(
図7、
図17参照)において、関連概念値が得られない場合(S179でNO)、情報処理部11は、関連回答情報を生成することなく、回答出力処理S18(
図7参照)に移行する。
【0075】
図7に戻って、回答出力処理S18では、情報処理部11は、上述したように生成された(
図12及び
図16参照)回答情報(「桜」、「蓮華草」)を出力部14(情報出力部)からインタフェース装置20に向けて出力させる。前記回答情報(「桜」、「蓮華草」)を取得したインタフェース装置20は、前記質問『ピンクの春の花は何ですか』に対する答えを表す情報『桜及び蓮華草です』を文字表示、音声等により出力する。これにより、利用者は、『ピンクの春の花は何ですか』という質問に対する答えとして、『桜及び蓮華草です』という情報を、人工頭脳システム10を含む応用システム100(日本の花図鑑)から得ることができる。
【0076】
また、前述した関連回答情報が存在する場合(関連回答処理S17:
図17参照)、情報処理部11は、回答出力処理S18により、前記回答情報(「桜」、「蓮華草」)とともに回答情報(「桜」)に関連付けられた関連回答情報(「入学式」)を出力部14からインタフェース装置20に対して出力させる。この場合、インタフェース装置20は、前述したのと同様に、前記質問『ピンクの春の花は何ですか』に対する答えを表す情報『桜及び蓮華草です』を文字表示、音声等により出力するとともに、例えば、回答『桜』に関連する情報『桜といえば入学式です』を文字表示、音声等により出力する。これにより、利用者は、『ピンクの春の花は何ですか』という質問に対する答えとしての『桜及び蓮華草です』という情報とともに、その答え『桜』に関連して『桜といえば入学式です』という情報を、人工頭脳システム10を含む応用システム100(日本の花図鑑)から得ることができる。
【0077】
前述したように概念智識判定処理S13を経た後の概念構造確認処理S14において、質問に対して回答するには概念の情報が不足していると判定された場合(
図11、S142でNO)、情報処理部11は、学習処理S20を実行する。この学習処理S20は、「興味・関心をもって課題に取り組む」という『課題依存型』の主体学習に相当する。
【0078】
学習処理S20では、情報処理部11は、記憶部12に格納された3つのテーブル(概念構造テーブルT1、概念智識テーブルT2、智識テーブルT3)を、
図18に示すシーケンスに従って利用しつつ、
図21に示す手順に従って処理を実行する。そして、その学習処理S20による不足概念の情報の取得を経て、情報処理部11は、概念構造確認処理S14(
図11参照)及び回答処理S15(
図12及び
図16参照)を行う。
【0079】
例えば、概念「花」についての智識(花種名)を、その智識を特定する要素を表す要素値「春」を提示して問う質問情報(『春の花は何ですか』)が入力された場合について以下説明する。この場合、問合せ概念「花」の回答を得るためには、概念「色」の情報が不足している(
図11におけるS142でNO)として、学習処理S30が実行される。
【0080】
前述した概念智識判定処理S13(
図7、
図8参照)により、
図19に示すように、概念智識テーブルT2において、質問情報に含まれる要素値「春」に相当する概念値「春」に対応した覚醒フラグが状態「1」(ON)に更新されており、また、
図20に示すように、智識テーブルT3において、その概念値「春」と同じ従属概念値「春」に対応した覚醒フラグが状態「1」(ON)に更新されている。この状態で、概念(「色」)が不足しているとの判定(
図11におけるS142)が行われる(
図18における手順(1)~(4))。
【0081】
図21において、情報処理部11は、問合せ概念「花」についての回答(智識)を得るために不足している概念値(智識)の概念「色」を特定し(S201)、その概念「色」の概念値が何であるかを問い合わせるための概念問合せ情報(例えば、『色は何ですか』)を生成する(S202:
図18における手順(5))。そして、情報処理部11は、その概念問合せ情報を出力部14から出力させる(概念問合せ制御手段)。出力部14から出力される概念問合せ情報は、インタフェース装置20に提供される。以後、情報処理部11は、概念問合せに対するインタフェース装置20からの回答の待ち状態になる(S204)。
【0082】
前記概念問合せ情報を取得したインタフェース装置20は、問合せを表す情報『色は何ですか』を文字表示、音声等により出力する。『春の花は何ですか』という質問を行ったユーザは、インタフェース装置20から出力される問合せ『色は何ですか』に対して、その概念「色」の智識を表す概念値、例えば、概念値「ピンク」を入力する。すると、インタフェース装置20は、その回答についての文章解析を行ってその回答に用いられる文言を抽出する。例えば、前記回答から「ピンク」の文言が抽出される。そして、インタフェース装置20は、その文言「ピンク」を回答概念値の情報として出力する。インタフェース装置20から出力される回答概念値「ピンク」は、入力部13を介して情報処理部11に提供される。
【0083】
上述したように回答の待ち状態(S204)にある情報処理部11は、インタフェース装置20から回答概念値「ピンク」を取得すると(S204でYES)、概念智識テーブルT2(
図19参照)に前記回答概念値「ピンク」と同じ概念値が存在するか否かを判定する(S205)。前記回答概念値「ピンク」と同じ概念値が存在しない場合(S205でNO)、情報処理部11は、人工頭脳システム10を含む応用システム100(日本の花図鑑)では、当初の質問(『春の花は何ですか』)に対して智識が不足して回答できないとして(S208)、
図7に戻って、覚醒フラグをリセットして(S19)、処理を終了する。一方、概念智識テーブルT2(
図19参照)に前記回答概念値「ピンク」と同じ概念値「ピンク」が存在すると(S205でYES)、概念智識テーブルT2においてその回答概念値と同じ概念値「ピンク」に対応する覚醒フラグを状態「1」(ON)に更新する(S206:
図9参照)とともに、智識テーブルT3においてその概念値「ピンク」と同じ従属概念値に対応する覚醒フラグを状態「1」(ON)に更新する(S207:
図10参照)。
【0084】
以後、情報処理部11は、概念智識テーブルT2(
図9参照)において新たに覚醒概念値として管理される(覚醒フラグON)概念「色」の概念値「ピンク」を加味して、前述した概念構造確認処理S14(
図7、
図11参照)を実行する。その後、情報処理部11は、智識テーブルT3(
図10参照)において新たに覚醒従属概念値として管理される(覚醒フラグON)従属概念値「ピンク」を加味して、前述した回答処理S15(
図12、
図16参照)を行う。その結果、情報処理部11は、前述したのと同様、概念値「桜」及び概念値「蓮華草」に基づいた回答情報を生成するとともに、前記回答情報に含まれる概念値「桜」に関連する概念値「入学式」に基づいた関連回答情報を生成することになる。
【0085】
上述した人工頭脳システム10によれば、質問情報(例えば、『ピンクの春の花は何ですか』)に対して、概念構造テーブルT1(
図2参照)、概念智識テーブルT2(
図3参照)、及び智識テーブルT3(
図4参照)の3つのテーブルを用いて回答情報(例えば、『「桜」、「蓮華草」です』)を生成する構成となっているので、学習に多大な時間をかけることなく、それら3つのテーブルT1、T2、T3を更新(学習)することにより概念についての智識の情報量を増大させることができる。また、上述した人工頭脳システム10によれば、3つのテーブルT1、T2、T3の更新(学習)と並列的に、それら3つのテーブルを利用することにより、質問情報に対する回答情報を決定することができるので、その学習中に機能を停止させることなく、その頭脳として利用することができる。
【0086】
また、回答情報の基礎になる概念値(「桜」)の覚醒(覚醒フラグが状態「1」(ON)に更新)に連携して覚醒(覚醒フラグが状態1(ON))される概念値(「入学式」)に基づいて、前記回答情報に関連する関連回答情報が生成されるので、質問情報に対して決定された回答情報(桜)に関連する知識(入学式)を回答(関連回答情報)として提供することができる。
【0087】
更に、また、前記質問情報(『春の花は何ですか』)で問われている智識(花種名)の概念(花)を特定するための概念(「色」)を表す概念値が不足して、前記回答情報を得ることができない場合、学習処理S20(課題依存型の主体学習に対応)において、不足概念値についての問合せ情報を出力した後にその問合せの応答として不足概念値の提供を受けることができる。そのため、その不足概念値を加味して適切な回答情報を生成することができる。
【0088】
前記3つのテーブル(概念構造テーブルT1、概念智識テーブルT2、智識テーブルT3)の更新(学習)は、情報処理部11又は外部の処理ユニットが記憶部12にアクセスして行うことができる。これら3つのテーブルの更新はこれに限定されず、他の学習処理(自己調整型の主体学習に対応)によって、前記3つのテーブル(概念構造テーブルT1、概念智識テーブルT2、智識テーブルT3)の更新を行うことができる。
【0089】
前記学習処理(自己調整型の主体学習に対応)は、例えば、前記3つのテーブルを
図22に示すシーケンスに従って利用しつつ、
図23及び
図24に示す手順に従って行われる。
【0090】
図23において、情報処理部11は、入力部13を介して、インタフェース装置20から学習要求とともに新概念構造情報を取得する(S31)。この新概念構造情報は、概念構造テーブルT3に既に登録されている既存概念(例えば、「花」)が一又は複数の新たな概念(例えば、「国」)によって特定されることを表す。以下、既存概念「花」が新概念「国」によって特定されることを表している新概念構造情報『花には国がある』を取得した場合を例にして、説明する。
【0091】
前記新概念構造情報を取得した情報処理部11は、その新概念構造情報から新概念「国」と既存概念「花」を抽出する(S32)。そして、情報処理部11は、
図25に示すように、概念構造テーブルT1に新概念「国」を代表概念として登録するとともに、その新概念「国」を従属概念として既存概念「花」を代表概念とする代表概念と従属概念との対応関係を登録する(S33:概念構造更新手段:
図22における手順(1)参照)。また、情報処理部11は、概念智識テーブルT2を参照して既存概念「花」の概念値「桜」、「藤」、「蓮華草」を取得し、
図26に示すように、それらの概念値「桜」、「藤」、「蓮華草」を智識テーブルT3に新たな代表概念値として登録する(S34:
図22における手順(2)参照)。なお、智識テーブルT3(
図26参照)において、覚醒フラグは状態「0」及び回答制御フラグは状態「1」がそれぞれデフォルトとして設定されている。
【0092】
情報処理部11は、続いて
図24に示すステップS35に移り、概念智識テーブルT2(
図3参照)において、新概念「国」に対応する全ての既存概念「花」の指定が終了していないことを確認しつつ(S35でNO)、その既存概念「花」に対応する概念値(例えば、「桜」)を指定する(S36:
図22における手順(3)参照)。そして、情報処理部11は、その指定概念値(例えば、「桜」)に対する新概念「国」の概念値を問合わせるための概念智識問合せ情報(例えば、「桜の国は何ですか』)を生成する(S37)。そして、情報処理部11は、その概念智識問合せ情報を出力部14から出力させる(S39:概念智識問合せ制御手段:
図22における手順(4)参照)。以後、情報処理部11は、前記概念智識問合せ情報に対する回答概念値の待ち状態になる(S40)。
【0093】
前記概念智識問合せ情報を取得したインタフェース装置20は、その問合せを表す情報(例えば、『桜の国は何ですか』)を文字表示、音声等により出力する。インタフェース装置20から出力される問合せを表す情報を取得したユーザは、その問合せに対する回答(例えば、『日本です』)をインタフェース装置20に入力する。すると、インタフェース装置20から前記回答が、回答概念値(例えば、「日本」)として入力部13を介して情報処理部11に提供される。
【0094】
上述したように回答概念値の待ち状態(S40)にある情報処理部11は、インタフェース装置20からの回答概念値(例えば、「日本」)を取得すると(S40でYES)、智識テーブルT3において、
図27に示すように、前記指定概念値(例えば、「桜」)と同じ代表概念値に対して前記回答概念値(例えば、「日本」)を従属概念値として対応づける(S41:
図22における手順(5)参照)。そして、情報処理部11は、概念智識テーブルT2において、
図28に示すように、前記新概念「国」に対して前記回答概念値(「日本」)を対応づける(S42:概念智識更新手段:
図22における手順(6)参照)。
【0095】
以後、情報処理部11は、新概念「国」に対応する全ての既存概念「花」の指定が終了するまで、上述したのと同様の処理(S35~S42)を繰り返し実行する。そして、概念智識テーブルT2(
図28参照)における全ての既存概念「花」の指定が終了すると(S35でYES)、情報処理部11は、この学習処理を終了する。
【0096】
上述したような学習処理により、概念構造テーブルT1において、
図25に示すように、代表概念「国」とともに、代表概念「花」と従属概念「国」との対応関係が追加され、智識テーブルT3において、
図27に示すように、代表概念値「桜」、「藤」、「蓮華草」のそれぞれと、従属概念値「日本」との対応関係が追加され、概念智識テーブルT2において、
図28に示すように、新概念「国」と概念値「日本」との対応関係が、それぞれ追加されるように、3つのテーブルT1、T2、T3が更新される。
【0097】
このような学習処理によれば、新たな概念「国」についての智識を表す情報(新概念構造情報:『花」には国があります』)が提供されると、その新たな概念構造とともにその新たな概念構造に関する知識(例えば、桜は日本、藤は日本、蓮華草は日本)を人工頭脳システム10自らが学習(主体学習:自己調整型)することができる。
【0098】
上述した人工頭脳システム10を含む応用システム100は、「日本の花図鑑」に関するものであったが、これに限定されない。ある概念についての知識をその智識を特定する一又は複数の要素のそれぞれを表す要素値を提示して問うための質問情報を入力して、その質問情報による問に答えるものであれば、どのようなものであってもよい。
【0099】
また、前記3つのテーブル(概念構造テーブルT1、概念智識テーブルT2、智識テーブルT3)を用いて質問情報(ピンクの春の花は何ですか)に対する回答情報(桜)を生成する具体的な処理については、上述したものに特に限定されない。
【0100】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、この実施の形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明に係る人工頭脳システムは、学習に多大な時間をかけることなく、また、学習中であっても頭脳として利用することのできるという効果を有し、有用である。
【符号の説明】
【0102】
10 人工頭脳システム
11 情報処理部
12 記憶部
13 入力部
14 出力部
20 インタフェース装置
100 応用システム(日本の花図鑑)