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特開2022-13833ゼロ電圧スイッチングを達成するためのスイッチモード電源の逆電流の制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013833
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】ゼロ電圧スイッチングを達成するためのスイッチモード電源の逆電流の制御
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H02M3/155 Q
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021107182
(22)【出願日】2021-06-29
(31)【優先権主張番号】16/916,613
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521227078
【氏名又は名称】アステック インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シガマニ,ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ファウニ,ジョナサン,ロス ベルナルド
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB57
5H730BB61
5H730BB82
5H730BB88
5H730DD04
5H730EE13
5H730FF09
5H730FG05
5H730FG07
5H730FG22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ゼロ電圧スイッチングを達成するためにスイッチモード電源における逆電流を制御するスイッチモード電源を提供する。
【解決手段】スイッチモード電源100は、マルチレベル降圧電力変換器および制御回路を含む。電力変換器は、電源スイッチ110、116、整流器スイッチ112、118及びインダクタ114、120を夫々有する第1の降圧回路104及び第2の降圧回路106を含む。電源は、マルチレベル降圧電力変換器に連結された共振電力変換器をさらに含んでよい。制御回路は、第1の降圧回路の電源スイッチ及び第2の降圧回路の電源スイッチを生成して、電力変換器を制御し、かつ、制御信号のスイッチング周波数を調整して、第1の降圧回路及び第2の降圧回路に流れる逆電流の量を制御して、第1の降圧回路の電源スイッチ及び第2の降圧回路の電源スイッチのゼロ電圧スイッチングを達成するように構成される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に電力を供給するためのスイッチモード電源であって、
入力と、出力と、該入力と該出力との間に連結された第1の降圧回路と、該入力と該出力との間に連結された第2の降圧回路とを含むマルチレベル降圧電力変換器であって、前記第1の降圧回路は、電源スイッチ、整流器、およびインダクタを含み、前記第2の降圧回路は、電源スイッチ、整流器、およびインダクタを含む、マルチレベル降圧電力変換器と、
該マルチレベル降圧電力変換器の前記出力に連結された共振電力変換器と、
前記第1の降圧回路および前記第2の降圧回路に連結された制御回路であって、該第1の降圧回路の前記電源スイッチのための第1の制御信号および該第2の降圧回路の前記電源スイッチのための第2の制御信号を生成して、前記マルチレベル降圧電力変換器を制御するように構成された、制御回路と、
を備える、スイッチモード電源。
【請求項2】
前記共振電力変換器が、インターリーブ共振電力変換器を含む、請求項1に記載のスイッチモード電源。
【請求項3】
前記共振電力変換器が、固定スイッチング周波数で動作する、請求項1に記載のスイッチモード電源。
【請求項4】
前記第1の制御信号および前記第2の制御信号は、該第1の制御信号および該第2の制御信号のデューティサイクルがデューティサイクル閾値を超える場合にオン時間が重複し、前記第1の制御信号および前記第2の制御信号の前記デューティサイクルが該デューティサイクル閾値を下回る場合にオン時間が重複しない、請求項1に記載のスイッチモード電源。
【請求項5】
前記デューティサイクル閾値が50%である、請求項4に記載のスイッチモード電源。
【請求項6】
前記マルチレベル降圧電力変換器が、前記入力と前記第1の降圧回路との間に連結された第1のコンデンサと、前記入力と前記第2の降圧回路との間に連結された第2のコンデンサとを含む、請求項1に記載のスイッチモード電源。
【請求項7】
前記制御回路が、前記第1の制御信号および前記第2の制御信号のスイッチング周波数を調整して、前記第1の降圧回路および前記第2の降圧回路に流れる逆電流の量を制御して、前記マルチレベル降圧電力変換器がその連続導通モードにある間に、前記第1の降圧回路の前記電源スイッチおよび前記第2の降圧回路の前記電源スイッチのゼロ電圧スイッチングを達成するように構成される、請求項1に記載のスイッチモード電源。
【請求項8】
前記制御回路が、前記第1の降圧回路および前記第2の降圧回路に流れる前記逆電流を監視し、前記逆電流の値に基づいて前記第1の制御信号および前記第2の制御信号の前記スイッチング周波数を段階的に調整するように構成される、請求項7に記載のスイッチモード電源。
【請求項9】
前記制御回路が、前記第1の制御信号および前記第2の制御信号の前記スイッチング周波数を減少させて、前記第1の降圧回路および前記第2の降圧回路に流れる逆電流の量を増加させるように構成される、請求項7に記載のスイッチモード電源。
【請求項10】
前記制御回路は、前記スイッチモード電源の負荷電流が規定範囲内にある場合に前記第1の制御信号および前記第2の制御信号の前記スイッチング周波数を調整するように構成される、請求項7に記載のスイッチモード電源。
【請求項11】
前記規定範囲が、前記スイッチモード電源の全負荷ピーク電流の10%~40%を含む、請求項10に記載のスイッチモード電源。
【請求項12】
前記第1の制御信号および前記第2の制御信号は、前記スイッチモード電源の前記負荷電流が前記規定範囲を上回る場合に、第1の固定スイッチング周波数を有し、前記スイッチモード電源の前記負荷電流が前記規定範囲を下回る場合に、第2の固定スイッチング周波数を有する、請求項10に記載のスイッチモード電源。
【請求項13】
負荷に電力を供給するためのスイッチモード電源であって、
第1の降圧回路と、第2の降圧回路とを含むマルチレベル降圧電力変換器であって、該第1の降圧回路は、電源スイッチ、整流器、およびインダクタを含み、該第2の降圧回路は、電源スイッチ、整流器、およびインダクタを含む、マルチレベル降圧電力変換器と、
該第1の降圧回路および該第2の降圧回路に連結された制御回路であって、該第1の降圧回路の前記電源スイッチのための第1の制御信号および該第2の降圧回路の該電源スイッチのための第2の制御信号を生成して、連続導通モードに該マルチレベル降圧電力変換器を制御して、その結果、逆電流が、該第1の降圧回路および該第2の降圧回路に流れ、かつ該第1の制御信号および該第2の制御信号のスイッチング周波数を調整して、該第1の降圧回路および該第2の降圧回路を流れる逆電流の量を制御して、該マルチレベル降圧電力変換器がその連続導通モードにある間に、該第1の降圧回路の前記電源スイッチおよび該第2の降圧回路の該電源スイッチのゼロ電圧スイッチングを達成するように構成される、制御回路と、
を備える、スイッチモード電源。
【請求項14】
前記第1の制御信号および前記第2の制御信号は、該第1の制御信号および該第2の制御信号のデューティサイクルがデューティサイクル閾値を超える場合にオン時間が重複し、該第1の制御信号および該第2の制御信号の該デューティサイクルが該デューティサイクル閾値を下回る場合にオン時間が重複しない、請求項13に記載のスイッチモード電源。
【請求項15】
前記デューティサイクル閾値が50%である、請求項14に記載のスイッチモード電源。
【請求項16】
前記制御回路が、前記第1の降圧回路および前記第2の降圧回路に流れる前記逆電流を監視し、前記逆電流の値に基づいて前記第1の制御信号および前記第2の制御信号の前記スイッチング周波数を段階的に調整するように構成される、請求項13に記載のスイッチモード電源。
【請求項17】
前記制御回路が、前記第1の制御信号および前記第2の制御信号の前記スイッチング周波数を減少させて、前記第1の降圧回路および前記第2の降圧回路に流れる逆電流の量を増加させるように構成される、請求項13に記載のスイッチモード電源。
【請求項18】
前記制御回路は、前記スイッチモード電源の負荷電流が規定範囲内にある場合に前記第1の制御信号および前記第2の制御信号の前記スイッチング周波数を調整するように構成される、請求項13に記載のスイッチモード電源。
【請求項19】
前記規定範囲が、前記スイッチモード電源の全負荷ピーク電流の10%~40%を含む、請求項18に記載のスイッチモード電源。
【請求項20】
前記第1の制御信号および前記第2の制御信号は、前記スイッチモード電源の前記負荷電流が前記規定範囲を上回る場合に、第1の固定スイッチング周波数を有し、前記スイッチモード電源の前記負荷電流が前記規定範囲を下回る場合に、第2の固定スイッチング周波数を有する、請求項18に記載のスイッチモード電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゼロ電圧スイッチングを達成するためにスイッチモード電源における逆電流を制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
この段落は、必ずしも従来技術ではない本開示に関連する背景情報を提供する。
【0003】
電源は、一般に、入力電流および電圧を出力電流および電圧に変換するための1つまたは複数の電力変換器段を含む。電力変換器段は、例えば、マルチレベルLLC電力変換器またはインターリーブ共振バス電力変換器などの共振電力変換器を含むことができる。電力変換器段のスイッチは、固定または可変のスイッチング周波数またはデューティサイクルで制御され、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)を達成することができる。
【発明の概要】
【0004】
この段落は、本開示の一般的な概要を提供し、その全範囲またはその特徴のすべての包括的な開示ではない。
【0005】
本開示の一態様によれば、スイッチモード電源(SMPS)は、マルチレベル降圧電力変換器と、共振電力変換器と、制御回路とを含む。マルチレベル降圧電力変換器は、入力と、出力と、入力と出力との間にそれぞれ連結された第1の降圧回路および第2の降圧回路とを含む。第1の降圧回路は、電源スイッチ、整流器、およびインダクタを含み、第2の降圧回路は、電源スイッチ、整流器、およびインダクタを含む。共振電力変換器は、マルチレベル降圧電力変換器の出力に連結される。制御回路は、第1の降圧回路および第2の降圧回路に連結される。制御回路は、第1の降圧回路の電源スイッチ用の第1の制御信号および第2の降圧回路の電源スイッチ用の第2の制御信号を生成して、マルチレベル降圧電力変換器を制御するように構成される。
【0006】
本開示の別の態様によれば、SMPSは、マルチレベル降圧電力変換器および制御回路を含む。マルチレベル降圧電力変換器は、第1の降圧回路および第2の降圧回路を含む。第1の降圧回路は、電源スイッチ、整流器、およびインダクタを含み、第2の降圧回路は、電源スイッチ、整流器、およびインダクタを含む。制御回路は、第1の降圧回路および第2の降圧回路に連結される。制御回路は、第1の降圧回路の電源スイッチのための第1の制御信号および第2の降圧回路の電源スイッチのための第2の制御信号を生成して、連続導通モードにマルチレベル降圧電力変換器を制御して、その結果、逆電流が、第1の降圧回路および前記第2の降圧回路に流れ、かつ第1の制御信号および第2の制御信号のスイッチング周波数を調整して、第1の降圧回路および前記第2の降圧回路を流れる逆電流の量を制御して、マルチレベル降圧電力変換器がその連続導通モードにある間に、第1の降圧回路の電源スイッチおよび第2の降圧回路の電源スイッチのゼロ電圧スイッチング(ZVS)を達成するように構成される。
【0007】
さらなる態様および適用可能な領域は、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。本開示の様々な態様は、個別に、または1つもしくは複数の他の態様と組み合わせて実施することができることを理解されたい。本明細書の説明および特定の例は、例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図していないことも理解されたい。
【0008】
本明細書で説明される図面は、選択された実施形態の例示のみを目的としており、すべての可能な実施態様ではなく、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の1つの例示的な実施形態による、マルチレベル降圧電力変換器と、ZVSを達成するために電力変換器内のスイッチのスイッチング周波数を調整するための制御回路とを含むSMPSのブロック図である。
図2】別の例示的な実施形態による、図1のSMPSで使用可能なマルチレベル降圧電力変換器の概略回路図である。
図3図2のマルチレベル降圧電力変換器のスイッチを制御するための制御信号のタイミング図である。
図4】スイッチはZVSを達成していない、図2の電力変換器の電源スイッチに関連する電圧波形のグラフである。
図5】スイッチがZVSを達成する、図2の電力変換器の電源スイッチに関連する電圧波形のグラフである。
図6図2の電力変換器のスイッチを制御するためのオン時間が重複しない制御信号のタイミング図である。
図7】オン時間が重複しない制御信号が使用される場合の電力変換器を通る異なる電流経路を示す、図2の電力変換器の概略回路図である。
図8】オン時間が重複しない制御信号が使用される場合の電力変換器を通る異なる電流経路を示す、図2の電力変換器の概略回路図である。
図9】オン時間が重複しない制御信号が使用される場合の電力変換器を通る異なる電流経路を示す、図2の電力変換器の概略回路図である。
図10】オン時間が重複しない制御信号が使用される場合の、図2の電力変換器に関連する電圧波形および電流波形のグラフである。
図11】オン時間が重複しない制御信号が使用される場合の、ピーク間リップル電流、図2の電力変換器の電源スイッチのターンオン電圧、および図2の電力変換器の出力電圧のシミュレートされた波形のグラフである。
図12図2のマルチレベル降圧電力変換器のスイッチを制御するためのオン時間が重複する制御信号波形のタイミング図である。
図13】オン時間が重複する制御信号が使用される場合の電力変換器を通る異なる電流経路を示す、図2の電力変換器の概略回路図である。
図14】オン時間が重複する制御信号が使用される場合の電力変換器を通る異なる電流経路を示す、図2の電力変換器の概略回路図である。
図15】オン時間が重複する制御信号が使用される場合の電力変換器を通る異なる電流経路を示す、図2の電力変換器の概略回路図である。
図16】オン時間が重複する制御信号が使用される場合の、図2の電力変換器に関連する電圧波形および電流波形のグラフである。
図17】オン時間が重複する制御信号が使用される場合の、ピーク間リップル電流、図2の電力変換器の電源スイッチのターンオン電圧、および図2の電力変換器の出力電圧のシミュレートされた波形のグラフである。
図18】別の例示的な実施形態による、マルチレベル降圧電力変換器および共振電力変換器を含むSMPSのブロック図である。
図19】別の例示的な実施形態による、マルチレベル降圧電力変換器およびインターリーブ共振バス電力変換器を含むSMPSの概略回路図である。
図20】別の例示的な実施形態による、マルチレベル降圧電力変換器および非インターリーブ共振バス電力変換器を含むSMPSの概略回路図である。
図21】別の例示的な実施形態による、ダイオード整流器を含むマルチレベル降圧電力変換器の概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
対応する参照符号は、図面のいくつかの図を通して対応する(必ずしも同一ではない)部分および/または特徴を示す。
【0011】
例示的な実施形態は、本開示が徹底的であり、当業者に範囲を十分に伝えるように提供される。本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、特定の構成要素、装置、および方法の例など、多数の特定の詳細が記載されている。特定の詳細を使用する必要がないこと、例示的な実施形態を多くの異なる形態で具体化することができること、およびいずれも本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことは、当業者には明らかであろう。いくつかの例示的な実施形態では、周知のプロセス、周知の装置構造、および周知の技術は詳細には説明されない。
【0012】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図され得る。「含む」、「含み」、「含む」、および「有する」という用語は包括的であり、したがって、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。本明細書に記載された方法ステップ、プロセス、および動作は、実行の順序として具体的に特定されない限り、必ずしも説明または図示された特定の順序でそれらの実行を必要とすると解釈されるべきではない。追加または代替のステップが使用されてもよいことも理解されたい。
【0013】
第1、第2、第3などの用語は、様々な要素、構成要素、領域、層および/または部分を説明するために本明細書で使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層および/または部分は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層または部分を別の領域、層または部分と区別するためにのみ使用され得る。「第1」、「第2」などの用語、および他の数値用語は、本明細書で使用される場合、文脈によって明確に示されない限り、順序または順番を意味しない。したがって、以下で考察される第1の要素、構成要素、領域、層または部分は、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層または部分と呼ぶことができる。
【0014】
「内側」、「外側」、「真下に」、「より下に」、「下方」、「上方」、「上部」などの空間的に相対的な用語は、本明細書では、図に示すように、1つの要素または特徴と別の要素または特徴との関係を説明するための説明を容易にするために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示されている向きに加えて、使用中または動作中の装置の異なる向きを包含することが意図され得る。例えば、図中の装置がひっくり返された場合、他の要素または特徴の「より下に」または「真下に」と記載された要素は、他方の要素または特徴の「上方に」配向される。したがって、例示的な用語「より下に」は、上方および下方の両方の向きを包含することができる。装置は、他の方向に向けられ(90度または他の向きに回転され)てもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。
【0015】
ここで、添付の図面を参照して、例示的な実施形態をより完全に説明する。
【0016】
本開示の一例示的実施形態による負荷に電力を供給するためのスイッチモード電源が図1に示されており、全体として参照番号100で示されている。図1に示すように、スイッチモード電源100は、降圧回路104、106を有するマルチレベルDC-DC降圧電力変換器102と、降圧回路104、106に連結された制御回路108とを含む。降圧回路104は、電源スイッチ110と、整流器スイッチ112と、インダクタ114とを含み、降圧回路106は、電源スイッチ116と、整流器スイッチ118と、インダクタ120とを含む。制御回路108は、降圧回路104、106に逆電流が流れるように連続導通モード(CCM)でマルチレベルDC-DC降圧電力変換器102を制御するために電源スイッチ110、116用の制御信号122、124を生成し、降圧電力変換器102がその連続導通モードにある間に、制御信号122、124のスイッチング周波数を調整して、電源スイッチ110、116のZVSを達成するように逆電流の量を制御するように構成される。
【0017】
制御信号122、124のスイッチング周波数を調整し、降圧回路104、106を流れる逆電流の量を制御することによって、電源100の動的性能および効率が、従来の電源と比較して様々な負荷条件にわたって改善される。例えば、フリーホイーリング周期中に各降圧回路104、106に逆電流が流れることができる。具体的には、負荷電流がインダクタ114,120のピーク間リップル電流の50%(50%)を下回ると、インダクタ114,120を流れる電流は負になる(例えば、リップル電流-負荷電流)。これにより、負荷からインダクタ114,120および整流器スイッチ112,118(例えば、MOSFETなどの電界効果トランジスタ)に逆電流が流れる。例えば、降圧回路104のフリーホイーリング周期中、負荷電流がインダクタ114のピーク間リップル電流の50%未満に低下する場合、電力変換器の出力からインダクタ114および整流器スイッチ112(例えば、同期整流器スイッチなど)を通って逆電流が流れる可能性がある。スイッチング周波数が固定されている場合、負荷が小さくなるにつれて、降圧回路104、106(例えば、整流器スイッチ112、118を介して、)に流れる逆電流の量が増加する。逆電流が増加すると、インダクタ114,120を流れる二乗平均平方根(RMS)電流が望ましくないレベルまで増加し、その結果、損失が増加する可能性がある。
【0018】
しかしながら、スイッチング周波数が変更されれば(例えば、負荷条件が変化するときなどである)、降圧回路104、106を通って流れる逆電流量を所望のレベルに制御することができる。例えば、以下でさらに説明するように、電源スイッチ110,116のZVSが確実に達成されるように逆電流を制御することができる。そのような例では、逆電流は、整流器スイッチ112,118を通って流れ、電源スイッチ110,116がオンになる前に電源スイッチ110,116の両端の電圧をゼロに放電する。ZVSを達成するための所望の逆電流量は、例えば、負荷、インダクタ114、120などに依存する。いくつかの例では、電源100に連結された負荷が変化する場合に、インダクタ114、120を同調(および/または再同調)させることなく、ZVSを達成することができる。したがって、電力変換器102の効率は、インダクタ114、120を同調(および/または再同調)させることなく、異なる負荷条件の間(例えば、軽負荷条件の間)に最適化することができる。
【0019】
上述したように、マルチレベルDC-DC降圧電力変換器102は、CCMで制御される。したがって、電流はインダクタ114、120を通って連続的に流れる。電力変換器102のCCM動作は、ゼロ負荷状態までを含む全負荷範囲にわたって維持することができる。そのような例では、軽負荷状態中の制御帯域幅は、不連続導通モード(DCM)で制御される他の電力変換器と比較して増加され得る。これにより、制御回路108の応答時間が他の電力変換器に比べて長くなる可能性がある。
【0020】
いくつかの例では、降圧回路104、106に流れる逆電流の量を変更、制限などすることが望ましい場合がある。例えば、電源スイッチ110、116のZVSを達成するために、規定量の逆電流が必要となる可能性がある。しかしながら、逆電流の過剰な量は、降圧回路104、106にとって有害(例えば、効率の低下などである)となり得る。したがって、制御回路108は、所望の量の逆電流を得るためにスイッチング周波数を調整することができる。いくつかの例では、制御回路108は、降圧回路104、106内の逆電流を増加、減少、または維持するために、一方または両方の制御信号122、124のスイッチング周波数を減少または増加させることができる。例えば、スイッチング周波数を減少させると、インダクタのリップル電流が増加する可能性がある(以下でさらに説明する)。リップル電流が増加する結果、逆電流が増加する可能性がある。
【0021】
制御信号122、124のスイッチング周波数は、様々なパラメータに基づいて調整され得る。例えば、スイッチング周波数は、降圧回路104、106に流れる逆電流の量に基づいて調整され得る。そのような例では、制御回路108は、降圧回路104、106を流れる逆電流を監視し(例えば、電流センサによる感知など)、降圧回路104を流れる逆電流の値に基づいて制御信号122のスイッチング周波数を調整し、および/または降圧回路106を流れる逆電流の値に基づいて制御信号124のスイッチング周波数を調整することができる。
【0022】
いくつかの例では、一方または両方の制御信号122、124のスイッチング周波数は、逆電流の値に基づいて段階的に調整され得る。このような例では、負荷が変化する場合、スイッチング周波数は段階的に変化することができる。例えば、異なるスイッチング周波数は、異なる負荷帯域に対応することができる。例えば、スイッチング周波数F1は0~10%の負荷帯域に対応することができ、スイッチング周波数F2は10%~20%の負荷帯域に対応することができ、スイッチング周波数F3は20%~30%の負荷帯域に対応することができ、スイッチング周波数F4は30%~40%の負荷帯域に対応することができる。いくつかの例では、スイッチング周波数F1は他の周波数値と比較して最大値を有する可能性があり、スイッチング周波数F4は他の周波数値と比較して最小値を有する可能性があり、スイッチング周波数F2はスイッチング周波数F3より大きい可能性がある。そのような例では、降圧回路104および/または降圧回路106を通って流れる逆電流は、制御回路108が周波数を変更する(例えば、F1~F2)前に、特定の量(例えば、2.5Aなど)まで増加することが可能である(例えば、負荷の増加に起因して)。周波数が変更されると、逆電流の量はより低いレベルまで減少し得る。
【0023】
他の例では、スイッチング周波数は負荷に基づいて調整され得る。例えば、図1の電源100は、電源100に接続された負荷(図示せず)に電力を供給するための負荷電流を提供する。そのような例では、制御回路108は、負荷電流が規定範囲内にある場合、一方または両方の制御信号122、124のスイッチング周波数を調整することができる。このモードで動作すると、電源スイッチ110、116は、スイッチング周波数の変更に起因する過剰な逆電流なしに、規定範囲全体にわたってZVSを達成することができる。制限された逆電流の結果として、正味の効率は、規定の負荷範囲全体にわたって維持および/または増加され得る。制御回路108は、ZVSを達成するために所望の量の逆電流を得るために必要に応じてスイッチング周波数を調整することができる。例えば、スイッチング周波数は、負荷電流が規定範囲の下限付近にある場合の1つの値であることができ、スイッチング周波数は、負荷電流が規定範囲の上限付近にある場合にはより低い値であることができる。
【0024】
規定範囲は、例えば、電源100の全負荷ピーク電流に依存し得る。そのような例では、規定範囲は、全負荷ピーク電流の0~40%、全負荷ピーク電流の10%~40%、全負荷ピーク電流の15%~35%、全負荷ピーク電流の5%~45%、および/または別の適切な範囲を含むことができる。他の例では、規定範囲は、必要に応じて別のパラメータに基づいてもよい。
【0025】
いくつかの好ましい実施形態では、制御回路108は、負荷電流が規定範囲内にある場合にのみ、一方または両方の制御信号122、124のスイッチング周波数を調整する。負荷電流が規定範囲外である場合、制御信号122、124は固定スイッチング周波数を有することができる。例えば、電源100の負荷電流が規定範囲を上回る(例えば、30%、35%、40%、45%などより大きい)場合、制御信号122、124は固定スイッチング周波数を有することができる。この間、電力変換器102は、重負荷動作状態にあり、CCM(例えば、CCM固定周波数モード)で制御され得る。いくつかの例では、特に負荷が増加するにつれて、電力変換器102に逆電流がほとんどない、またはまったくない場合がある。
【0026】
電源100の負荷電流が規定範囲(例えば、5%、10%、15%、20%未満など)を下回る場合、制御信号122、124は別の(異なる)固定スイッチング周波数を有することができる。この間、電力変換器102は、軽負荷動作状態にあり、そのCCM(例えば、CCM固定周波数モード)で制御され得る。そのような例では、降圧回路104、106を通って流れる逆電流は、ZVSに必要なレベルを超えることができる。
【0027】
負荷電流が規定範囲未満である場合の固定スイッチング周波数は、負荷電流が規定範囲よりも大きい場合の固定スイッチング周波数と同じである可能性があり、または異なっている可能性がある。例えば、負荷電流が規定範囲を下回る場合の固定スイッチング周波数は、負荷電流が規定範囲を上回るときの固定スイッチング周波数よりも大きい可能性がある。この低減された周波数は、降圧回路104、106におけるインダクタリップル電流および逆電流を低減することができる。
【0028】
図1に示すように、マルチレベルDC-DC降圧電力変換器102(および/または本明細書に開示されている他のマルチレベル降圧電力変換器)は、2つの降圧回路104、106(例えば、電力変換レベル)のみを含む。他の実施形態では、マルチレベルDC-DC降圧電力変換器102(および/または本明細書に開示されている他のマルチレベル降圧電力変換器のいずれか)は、3つ以上の降圧回路(例えば、電力変換レベル)を含むことができる。
【0029】
図2は、図1の電源100に使用され得るマルチレベル降圧電力変換器の一例を示す。具体的には、図2は、降圧回路204、206を含むマルチレベルDC-DC降圧電力変換器202を示す。降圧回路204は、電源スイッチQ 1と、同期整流器スイッチQ3と、電源スイッチQ1と同期整流器スイッチQ3との間に連結されて降圧変換器トポロジを形成するインダクタL1とを含む。降圧回路206は、電源スイッチQ2と、同期整流器スイッチQ4と、電源スイッチQ2と同期整流器スイッチQ4との間に連結されて降圧変換器トポロジを形成するインダクタL2とを含む。スイッチQ1~Q4は図2にMOSFETとして示されているが、必要に応じて任意の他の適切なスイッチング装置を使用することができる。
【0030】
図2に示すように、降圧回路204は正のバルク入力電圧と基準電圧(例えば、地面)との間に連結され、降圧回路206は負のバルク入力電圧と基準電圧との間に連結される。具体的には、電源スイッチQ1は正のバルク入力電圧(例えば、入力源V1の正側)に連結され、電源スイッチQ2は負のバルク入力電圧(例えば、入力源V1の負側)に連結され、同期整流器スイッチQ3、Q4は基準電圧(例えば、地面)に連結される。図2に示すように、電力変換器202は、インダクタL1、L2の間に連結された出力コンデンサCoを含む。
【0031】
図2の例示的な実施形態では、電力変換器202は、降圧回路204、206の両端に連結された入力側コンデンサを含む。具体的には、電力変換器202は、正のバルク入力電圧と基準電圧との間に連結されたコンデンサC1と、負のバルク入力電圧と基準電圧との間に連結されたコンデンサC2とを含む。コンデンサC1は、変換器の入力と降圧回路204(例えば、スイッチQ1、Q3)との間に連結され、コンデンサC2は、変換器の入力と降圧回路206(例えば、スイッチQ2、Q4)との間に連結される。この配置は、コンデンサC1、C2の両端の(したがってスイッチQ1~Q4の両端の)電圧が入力源V1によって提供される入力電圧の半分に維持されることを保証する。例えば、入力源V1は、800Vなどの高入力DC電圧を電力変換器202に提供することができる。この例では、各コンデンサC1、C2の両端の電圧は400Vに維持される。したがって、スイッチQ1~Q4の両端に印加される最大電圧応力(Vds)は約400Vである。いくつかの例では、Vienna AC-DC整流器を使用してコンデンサC1、C2の両端に電圧を供給する。
【0032】
スイッチQ1~Q4は、制御回路(図示しない)によって生成された制御信号を受信する。具体的には、電源スイッチQ1はPWM制御信号AAを受信し、同期整流器スイッチQ 3はPWM制御信号AA_SRを受信し、電源スイッチQ2はPWM制御信号BBを受信し、同期整流器スイッチQ4はPWM制御信号BB_SRを受信する。図3は、スイッチQ1~Q4のPWM制御信号AA、BB、AA_SR、BB_SRを示している。図3に示すように、制御信号AA_SR、BB_SRは、それぞれ制御信号AA、BBに対して相補的である。このように、電源スイッチQ1,Q2に対する制御信号AA、BBのデューティサイクルをDとすると、同期整流器スイッチQ3,Q4に対する制御信号AA_SR、BB_SRのデューティサイクルは1-Dとなる。
【0033】
いくつかの例では、降圧回路204、206は、それらの間の位相シフトを維持するように動作することができる。例えば、図3に示すように、電源スイッチQ1、Q2の制御信号AA、BBは、互いに対して180度位相シフトされる。他の例では、位相シフトは、例えば、電力変換器202に使用される降圧回路の数に応じて異なることができる。
【0034】
さらに、図3に示すように、制御信号AA、AA_SRのハイ/ロー移行の間(例えば、スイッチQ1、Q3のオン/オフ移行)、および制御信号BB、BB_SRのハイ/ロー移行の間(例えば、スイッチQ2、Q4のオン/オフ移行)にデッドタイムが配置され得る。スイッチング状態間のデッドタイムは、シュートスルー状態を防止するのに役立ち、電源スイッチQ1、Q2のZVSを達成する役割を果たすことができる。
【0035】
上記で説明したように、特に軽負荷条件の間に、ZVSを達成し、変換器効率を最適化するために逆電流を使用することができる。例えば、電力変換器202内の逆電流は、フリーホイーリング周期中に変換器の出力からインダクタL1、L2を通って流れ、ZVSを達成するために電源スイッチQ1、Q2の両端の電圧(Vds)を放電するために、同期整流器スイッチQ3、Q4によって使用される。具体的には、負荷電流がインダクタL1、L2のピーク間リップル電流の50%を下回ると、インダクタL1、L2を通る電流は負になる(例えば、リップル電流-負荷電流)。これにより、変換器の出力(例えば、出力コンデンサCo)からインダクタL1,L2および整流器スイッチQ3,Q4を通って逆電流が流れる。例えば、降圧回路204のフリーホイーリング周期中、負荷電流がインダクタL1のピーク間リップル電流の50%未満に低下すると、逆電流(図2に破線矢印208で示す)が出力コンデンサCoからインダクタL1および整流器スイッチQ3を通って流れる。
【0036】
さらに、図2のインダクタL1、L2(および/または本明細書に開示される他のインダクタのいずれか1つ)は、ZVSを達成するのを支援するように選択され得る。例えば、インダクタL1、L2の値は、所望のピーク間リップル電流に対して選択され得る。所望のピーク間リップル電流を達成することは、上記で説明したように、逆電流状態および所望の量の逆電流を生成するのを支援することができる。逆電流状態中に十分なエネルギーがインダクタL1、L2に蓄積されると、電源スイッチQ1、Q2のZVSが達成され得る。したがって、インダクタL1、L2の値は、ZVSを達成するために特定の負荷レベルで十分な量の逆電流が生成されることを確実にするために、所望のピーク間リップル電流に対して選択され得る。
【0037】
本明細書で説明するように、逆電流の量は、スイッチング周波数を調整することによって制御され得る。例えば、スイッチング周波数が固定されており、同期整流器スイッチQ3、Q4のデューティサイクルが1-Dである場合、負荷が減少するにつれて逆電流量が増加する。したがって、インダクタL1、L2に蓄積されるエネルギーは、ZVSを達成するのに必要な量を超える可能性がある。しかしながら、スイッチング周波数が調整されると、インダクタL1、L2のピーク間リップル電流が変化することにより、逆電流量が変化する。例えば、スイッチング周波数を増加させると、ピーク間リップル電流が減少する。その結果、逆電流が減少する。
【0038】
例えば、図4および図5は、降圧回路204に関連する電圧波形および電流波形を示す。具体的には、図4および図5に示すように、波形402、502は電源スイッチQ1のターンオン電圧(Vgs)を表し、波形404、504は電源スイッチQ1の両端の電圧(Vds)を表し、波形406、506は負荷電流が4.5アンペアの場合のインダクタL1の電流を表す。図4の例のスイッチング周波数は35kHzであり、図5の例のスイッチング周波数は30kHzである。図4に示すように、電圧(Vgs)が上昇して電源スイッチQ1をオンにする前に、電源スイッチQ1の両端の電圧(Vds)は放電されない。したがって、図4の例では、電源スイッチQ1においてZVSは達成されない。しかし、スイッチング周波数を35kHzから30kHzまで低下させると、波形406、506に示すように逆電流量が増加する。この増加した逆電流は、図5の波形502、504に示すように、電圧(Vgs)が増加して電源スイッチQ1をオンにする前に、電源スイッチQ1の両端の電圧(Vds)を放電させる。
【0039】
図2および図3に戻って参照すると、電源スイッチQ1、Q2の制御信号AA、BBのオン時間は、重複している可能性があり、または重複していない可能性がある。例えば、制御信号AA、BBのデューティサイクルがデューティサイクル閾値を超える場合、電源スイッチQ1、Q2に対する制御信号AA、BBのオン時間が重複する可能性がある。制御信号AA、BBのデューティサイクルがデューティサイクル閾値を下回る場合、電源スイッチQ1、Q2に対する制御信号AA、BBのオン時間は重複しない可能性がある。いくつかの例では、デューティサイクル閾値は、50%(50%)または別の適切な値であってもよい。
【0040】
例えば、図6は、図2のスイッチQ1~Q4のPWM制御信号AA、BB、AA_SR、BB_SRを示しており、制御信号AA、BBはオン時間が重複しない。図7図9は、制御信号AA、BB、AA_SR、BB_SRの状態に応じた図2の電力変換器202の電流の流れを示す。例えば、図6に示すサブ間隔t0-t1の間、制御信号AA、BB_SRはハイであり、制御信号BB、AA_SRはローである。したがって、スイッチQ1、Q4はオンであり、電流(矢印700で示す)は、図7に示すように、電源スイッチQ1、インダクタL1、L2、および同期整流器スイッチQ4を通って流れる。このシナリオでは、インダクタL1、L2の両方がコンデンサC1から通電され(例えば、電力変換器の入力電圧の半分)、電力が電力変換器の出力に供給される。この間、インダクタL1,L2のピーク間リップル電流は、以下の式(1)で計算され得る。
式(1)
【0041】
上記式(1)において、Voは電力変換器202の出力電圧であり、Dはデューティサイクル(Vo/Vin)であり、L1、L2はインダクタL1,L2のインダクタンス値であり、Tswはこの時間間隔のスイッチング期間である。ここで、「Vin/2」はコンデンサC1の両端の電圧(Vc1)を表し、「D*Tsw」は制御信号のオン時間(Ton)を表す。
【0042】
図6に示すサブ間隔t2~t3の間、制御信号BB、AA_SRはハイであり、制御信号AA、BB_SRはローである。したがって、スイッチQ2、Q3はオンであり、電流(矢印900で示す)は、図9に示すように、同期整流器スイッチQ3、インダクタL1、L2、および電源スイッチQ2を通って流れる。このシナリオでは、インダクタL1、L2の両方がコンデンサC2から通電され(例えば、電力変換器の入力電圧の半分)、電力が電力変換器の出力に供給される。このように、降圧回路204、206は、入力コンデンサC1、C2からの電力の取り込みを交互に行い、入力コンデンサC1、C2からの平衡された電力消費を保証する。サブ間隔t2~t3の間、インダクタL1、L2のピーク間リップル電流は、コンデンサC2の両端の電圧がコンデンサC1の両端の電圧に等しい場合、上記の式(1)を用いて計算することができる。
【0043】
図6に示すサブ間隔t1~t2、t3~t4の間、制御信号AA_SR、BB_SRはハイであり、制御信号AA、BBはローである。このように、同期整流器スイッチQ3、Q4はオンであり、電源スイッチQ1、Q2はオフであり、それによってインダクタL1、L2と電力変換器の入力からの電力変換器の出力とを切断する。これにより、インダクタL1,L2がフリーホイーリングを開始する。この時間の間、電流(矢印800で示す)は、図8に示すように、同期整流器スイッチQ3、Q4およびインダクタL1、L2を通ってループ状に流れる。これらのサブ間隔の間、フリーホイーリング周期Tfwは、以下の式(2)を用いて計算することができ、インダクタL1、L2のピーク間リップル電流は、以下の式(3)を用いて計算することができる。
式(2)
式(3)
【0044】
図10は、制御信号AA、BBは、オン時間が重複しない場合の図2の降圧回路204の電圧および電流特性の様々な波形を示す。具体的には、図10の波形1002、1004、1006、1008は、それぞれ、上述した時間間隔t0~t1、t1~t2、t2~t3、t3~t4の間のインダクタL1の両端の電圧、電源スイッチQ1を通る電流、同期整流器スイッチQ3を通る電流、およびインダクタL1を通る電流を表す。
【0045】
特定の一例では、入力源V1は、図2のマルチレベルDC-DC降圧電力変換器202に800Vの電圧を提供し、インダクタL1、L2は25μHのインダクタンスを有する。加えて、電源スイッチQ1,Q2は、50kHzのスイッチング周波数Fsでスイッチングされる。このような例では、スイッチング周期Tswは20μsec(例えば、1/50kHz)であり、マルチレベルDC-DC降圧電力変換器202は320Vの出力電圧Voを提供する。この例では、制御信号AA、BBのデューティサイクルDは、上記で説明したように出力電圧Voを入力電圧Vinで除算することによって計算することができ、制御信号AA、BBのオン時間Tonは、デューティサイクルDとスイッチング周期Tswとを乗算することによって計算することができ、フリーホイーリング周期Tfwは、上記の式(2)を使用して計算することができる。したがって、この特定の例では、デューティサイクルDは0.4(例えば、320V/800V)であり、制御信号AA、BBのオン時間Tonは8μsec(例えば、0.4*20μsec)であり、フリーホイーリング周期Tfwは2μsecである。電源スイッチQ1、Q2のオン時間中(例えば、サブ間隔t0~t1、t2~t3の間に)のインダクタL1、L2のピーク間リップル電流は、上記の式(1)を使用して計算することができ、フリーホイーリング周期Tfw中(例えば、サブ間隔t1~t2、t3~t4の間に)のインダクタL1、L2のピーク間リップル電流は、上記の式(3)を使用して計算することができる。したがって、この特定の例では、電源スイッチQ1、Q2のオン時間中のピーク間リップル電流は12.8アンペアであり、フリーホイーリング周期Tfw中のピーク間リップル電流は12.8アンペアである。
【0046】
上記のピーク間リップル電流計算は、シミュレーションによって検証することができる。例えば、図11は、制御信号AA、BBはオン時間が重複しない場合の図2の降圧回路204の電圧および電流特性の様々なシミュレートされた波形を示す。具体的には、図11の波形1102、1104、1106は、それぞれ、インダクタL1のピーク間リップル電流、電源スイッチQ1のターンオン電圧(例えば、制御信号AA)、およびマルチレベルDC-DC降圧電力変換器202の出力電圧Voを表す。図示のように、電源スイッチQ1が50kHzで40%のデューティサイクルで動作する場合、出力電圧の平均値は約319.75Vであり、ピーク間リップル電流は約12.7である。
【0047】
図12は、図2のスイッチQ1~Q4のPWM制御信号AA、BB、AA_SR、BB_SRを示しており、制御信号AA、BBはオン時間が重複する。図13図15は、制御信号AA、BB、AA_SR、BB_SRの状態に応じた図2の電力変換器202の電流の流れを示す。例えば、図12に示すサブ間隔t0~t1、t2~t3の間、制御信号AA、BBはハイであり、制御信号AA~SR、BB_SRはローである。したがって、図13に示すように、電源スイッチQ1、Q2はオンであり、電流(矢印1300で示す)は電源スイッチQ1、Q2およびインダクタL1、L2を通って流れる。このシナリオでは、両方のインダクタL1、L2は、電力変換器202の総入力バス電圧(例えば、入力源V1によって提供される電圧)から通電される。これらのサブ間隔の間、インダクタL1、L2のピーク間リップル電流は、以下の式(4)で計算することができる。
式(4)
【0048】
上記の式(4)において、Vinは電源V1からの入力電圧であり、Vc1、Vc2はコンデンサC1、C2の両端の電圧であり、Voは電力変換器202の出力電圧であり、Dはデューティサイクル(Vo/Vin)であり、Tswはこの時間間隔のスイッチング期間である。
【0049】
図12に示すサブ間隔t1~t2の間、制御信号AA、BB_SRはハイであり、制御信号BB、AA_SRはローである。したがって、スイッチQ1、Q4はオンであり、電流(矢印1400で示す)は、図14に示すように、電源スイッチQ1、インダクタL1、L2、および同期整流器スイッチQ4を通って流れる。このシナリオでは、両方のインダクタL1、L2は、コンデンサC1(例えば、電力変換器の入力電圧の半分)から通電され、降圧回路204への帰路でフリーホイールする。このサブ間隔の間、フリーホイーリング周期Tfwは、以下の式(5)を用いて計算することができ、インダクタL1、L2のピーク間リップル電流は、以下の式(6)を用いて計算することができる。
式(5)
式(6)
【0050】
図12に示すサブ間隔t3~t4の間、制御信号AA_SR、BBはハイであり、制御信号AA、BB_SRはローである。したがって、スイッチQ2、Q3はオンであり、電流(矢印1500で示す)は、図15に示すように、同期整流器スイッチQ3、インダクタL1、L2、および電源スイッチQ2を通って流れる。この時間間隔で、両方のインダクタL1、L2は、コンデンサC2(例えば、電力変換器の入力電圧の半分)から通電され、降圧回路206への帰路でフリーホイールする。サブ間隔t3~t4の間、インダクタL1、L2のピーク間リップル電流は、コンデンサC2の両端の電圧がコンデンサC1の両端の電圧に等しい場合、上記の式(6)を用いて計算することができる。
【0051】
図16は、制御信号AA、BBがオン時間が重複する場合の図2の降圧回路204の電圧および電流特性の様々な波形を示す。具体的には、図16の波形1602、1604、1606、1608は、それぞれ、上述した時間間隔t0~t1、t1~t2、t2~t3、t3~t4の間のインダクタL1の両端の電圧、電源スイッチQ2を通る電流、同期整流器スイッチQ4を通る電流、およびインダクタL1を通る電流を表す。
【0052】
上述したように、マルチレベルDC-DC降圧電力変換器202は、800Vの入力電圧を受け取ることができ、インダクタL1、L2は、25μHのインダクタンスを有することができる。加えて、電源スイッチQ1、Q2は、上述したように、50kHzのスイッチング周波数Fsで動作することができる。このような例では、スイッチング周期Tswは20μsec(例えば、1/50kHz)であり、マルチレベルDC-DC降圧電力変換器202は500Vの出力電圧Voを提供する。この例では、制御信号AA、BBのデューティサイクルDは、上記で説明したように出力電圧Voを入力電圧Vinで除算することによって計算することができ、制御信号AA、BBのオン時間Tonは、デューティサイクルDおよびスイッチング周期Tswに基づいて計算することができ、フリーホイーリング周期Tfwは、上記の式(5)を使用して計算することができる。したがって、この特定の例では、デューティサイクルDは0.625(例えば、500V/800V)であり、制御信号AA、BBのオン時間Tonは2.5μsec(例えば、(D-0.5)*Tsw=(0.625-0.5)*20μsec)であり、フリーホイーリング周期Tfwは7.5μsecである。電源スイッチQ1、Q2のオン時間中(例えば、サブ間隔t0~t1、t2~t3の間に)のインダクタL1、L2のピーク間リップル電流は、上記の式(4)を使用して計算することができ、フリーホイーリング周期Tfw中(例えば、サブ間隔t1~t2、t3~t4の間に)のインダクタL1、L2のピーク間リップル電流は、上記の式(6)を使用して計算することができる。したがって、この特定の例では、電源スイッチQ1、Q2のオン時間中のピーク間リップル電流は15アンペアであり、フリーホイーリング周期Tfw中のピーク間リップル電流は15アンペアである。
【0053】
上記のピーク間リップル電流計算は、シミュレーションによって検証することができる。例えば、図17は、制御信号AA、BBがオン時間が重複する場合の図2の降圧回路204の電圧および電流特性の様々なシミュレートされた波形を示す。具体的には、図17の波形1702、1704、1706は、それぞれ、電源スイッチQ1のターンオン電圧(例えば、制御信号AA)、ピーク間リップル電流、およびマルチレベルDC-DC降圧電力変換器202の出力電圧Voを表す。図示のように、電源スイッチQ1が周波数50kHzで62.66%のデューティサイクルで動作する場合、出力電圧の平均値は約500Vであり、ピーク間リップル電流は約15.3である。
【0054】
図10図11図16、および図17の例では、インダクタリップル電流の周波数は、電源スイッチQ1、Q2のスイッチング周波数(Fs)の約2倍である。したがって、これらの特定の例では、インダクタリップル電流の周波数は約100kHzである。そのような例では、インダクタL1、L2のサイズ(例えば、インダクタンス)は、従来のインターリーブ降圧電力変換器と比較して縮小され得る(例えば、50%)。
【0055】
いくつかの例では、図2のマルチレベルDC-DC降圧電力変換器202内のスイッチは、逆回復損失および/またはスイッチング損失を経験する可能性がある。例えば、電力変換器202がCCMで動作する場合、同期整流器スイッチQ3、Q4は逆回復損失を被る可能性があり、電源スイッチQ1、Q2はオンおよび/またはオフのスイッチング損失を受ける可能性がある。具体的には、同期整流器スイッチQ3、Q4は、シュートスルー電流を回避するためにスイッチQ3、Q4がオフになる前の短い期間(例えば、デッドタイム中に)、それらのボディダイオードを通じて電流を伝導する。ダイオード導通は、逆回復電流を発生させ、逆回復損失を引き起こす可能性がある。GaNタイプのスイッチングデバイスが使用される場合、逆回復損失およびスイッチング損失が低減され得る(場合によっては排除され得る)。
【0056】
本明細書で開示される電源は、複数の電力変換器段を含むことができる。例えば、本明細書で開示されるマルチレベルDC-DC降圧電力変換器は、電力変換器段の1つであってもよい。他の電力変換器段は、例えば、共振電力変換器を含むことができる。
【0057】
例えば、図18は、図1のマルチレベル降圧電力変換器102、共振電力変換器1802、および降圧回路104、106の電源スイッチ110、116を制御するための制御回路1808を含むスイッチモード電源1800を示す。いくつかの例では、図18の制御回路1808は、図1の制御回路108と同様に機能することができる。そのような例では、制御回路1808は、(上述したように)降圧回路104、106に逆電流が流れるように、CCM内のマルチレベルDC-DC降圧電力変換器102を制御するために電源スイッチ110、116の制御信号を生成し、次いで、制御信号のスイッチング周波数を調整して、電源スイッチ110,116のZVSを達成するために逆電流の量を制御することができる。他の例では、図18の制御回路1808は別の適切な方法で機能してもよく、降圧回路104、106に逆電流が流れる可能性があり、または流れない可能性がある。
【0058】
図18に示すように、共振電力変換器1802は、マルチレベル降圧電力変換器102に連結される。具体的には、図18の特定の例では、共振電力変換器1802は、マルチレベル降圧電力変換器102の出力に連結される。他の例では、共振電力変換器1802は、例えば、介在する構成要素、電力変換器段などを介してマルチレベル降圧電力変換器102の出力に連結され得る。
【0059】
図18の例では、共振電力変換器1802は固定周波数変換器であってもよい。例えば、図18には示されていないが、制御回路1808および/または別の適切な制御回路は、共振電力変換器1802内の1つまたは複数の電源スイッチに対して固定スイッチング周波数を有する制御信号を生成することができる。他の例では、共振電力変換器1802内の電源スイッチは、変化するスイッチング周波数を有することができ、調整可能なスイッチング周波数などで制御され得る。
【0060】
共振電力変換器1802は、例えば、インターリーブ共振バス変換器トポロジ、非インターリーブ共振バス変換器トポロジなどを含む任意の適切な共振トポロジを有することができる。例えば、図19は、図2のマルチレベルDC-DC降圧電力変換器202の出力に連結されたインターリーブ共振バス電力変換器1902を含むスイッチモード電源1900を示す。図19の例では、電源1900は、電力変換器202と共振電力変換器1902との間に連結されたコンデンサCo1と、共振電力変換器1902と負荷(例えば、抵抗Rloadとして示されている)との間に連結された出力コンデンサCo2とをさらに含む。
【0061】
図19に示す電力変換器202のスイッチQ1~Q4は、上記で説明したのと同様の方法で任意選択的に制御することができる。例えば、図19に示すように、電源1900は、スイッチQ1~Q4を制御するための制御回路1938を含む。具体的には、制御回路1938は、比較器1940と、コントローラ1942(例えば、PIDコントローラ、PIコントローラなどである。)と、PWMドライバ1944と、コントローラ1942とPWMドライバ1944との間に連結された絶縁デバイス1946(例えば、絶縁トランス、オプトカプラなどである)とを含む。比較器1940は、電源の出力電圧を表す信号と参照信号Vrefとに基づいて誤差信号を生成する。そのような例では、PWMドライバ1944は、上述したようにスイッチQ1~Q4を制御するための誤差信号に基づいて、および/または別の適切な方法でPWM制御信号AA、BB、AA_SR、BB_SRを生成することができる。
【0062】
図19に示すように、インターリーブ共振バス電力変換器1902は、並列に連結された2つのサブ変換器1930、1932を含む。サブ変換器1930は、トランスTX1と、トランスTX1の一次巻線に連結された電源スイッチQ5、Q6と、電源スイッチQ5、Q6と電力変換器202の出力との間に連結されたコンデンサC3、C4と、トランスTX1の一次巻線に連結されたインダクタL3と、トランスTX1の二次巻線に連結されたダイオードD1、D2、D3、D4を有する整流回路1934とを含む。サブ変換器1932は、サブ変換器1930と同様の構成要素を備えるが、トランスTX2と、電源スイッチQ7,Q8と、コンデンサC5,C6と、インダクタL4と、ダイオードD5、D6、D7、D8を有する整流回路1936とを備える。各サブ変換器1930、1932の電源スイッチは、ハーフブリッジトポロジで配置されている。加えて、各サブ変換器1930、1932のインダクタ、コンデンサ、およびトランスの一次巻線は、共振タンク回路を形成する。
【0063】
図19の特定の例では、整流回路1934、1936のダイオードはフルブリッジ整流器として配置されている。他の例では、整流回路1934、1936は、ハーフブリッジ整流器として配置された2つのダイオードを含むことができる。いくつかの例では、整流回路1934、1936は、ダイオードの代わりに同期整流器スイッチなどの1つまたは複数の他の適切なスイッチングデバイスを含むことができる。
【0064】
図20は、図19の電源1900と同様であるが、インターリーブ共振バス電力変換器1902の代わりに非インターリーブ共振バス電力変換器2002を含むスイッチモード電源2000を示す。電源2000は、コンデンサCo1、Co2、および図19の制御回路1938を含む。具体的には、図20に示すように、コンデンサCo1は電力変換器202と共振電力変換器2002との間に連結され、出力コンデンサCo2は共振電力変換器2002と負荷との間に連結され、制御回路1938は、上述したようにスイッチQ1~Q4を制御するためのPWM制御信号AA、BB、AA_SR、BB_SRを生成する。
【0065】
非インターリーブ共振バス電力変換器2002は、図19のサブ変換器1930と実質的に同様の構成要素の配置を含む。例えば、電力変換器2002は、図19のトランスTX1、電源スイッチQ5、Q6、コンデンサC3、C4、および整流回路1934を含む。コンデンサC3、C4およびトランスの一次巻線は、共振タンク回路を形成する。
【0066】
いくつかの例では、図19および図20の共振電力変換器1902、2002は、電源1900、2000(例えば、抵抗Rloadの両端の電圧)の出力のための固定利得による絶縁を提供する。例えば、共振電力変換器1902、2002の電源スイッチは、固定利得を達成するために固定スイッチング周波数で切り替えられ得る。さらに、図19および図20の例では、制御回路1938の制御ループは、マルチレベルDC-DC降圧電力変換器202上で閉じられている。このように、電源の出力は、電力変換器202のPWMを制御することによって調整、調節などを行うことができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される整流器スイッチは、ダイオードなどの他の適切なスイッチングデバイスで置き換えられてもよい。例えば、図21は、図2のマルチレベルDC-DC降圧電力変換器202と実質的に同様であるが、同期整流器スイッチQ3、Q4の代わりにダイオードD1、D2を含むマルチレベルDC-DC降圧電力変換器2102を示す。そのような例では、ダイオードD1、D2に起因して、変換器の降圧回路に逆電流が流れない可能性がある。
【0068】
本明細書で開示される制御回路は、アナログ制御回路、デジタル制御回路、またはハイブリッド制御回路(例えば、デジタル制御ユニットおよびアナログ回路)を含んでもよい。デジタル制御回路は、1つまたは複数のタイプのデジタル制御回路で実施され得る。例えば、デジタル制御回路はそれぞれ、デジタル信号コントローラ(DSC)、DSP、マイクロコントローラユニット(MCU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向けIC(ASIC)などのデジタルコントローラを含むことができる。したがって、本明細書で開示される制御方法のいずれか1つは、デジタルコントローラによって少なくとも部分的に(および時には完全に)実行され得る。
【0069】
本明細書に開示されるマルチレベルDC-DC降圧電力変換器は、任意の適切な方法で制御することができる。例えば、マルチレベルDC-DC降圧電力変換器は、電圧モード制御方法、電流モード制御方法などを使用して制御することができる。
【0070】
さらに、マルチレベルDC-DC降圧電力変換器は、動作中に実質的に線形のデューティサイクルを有することができる。例えば、マルチレベルDC-DC降圧電力変換器の出力電圧対入力電圧の関係(例えば、デューティサイクル)は、オン時間が重複するモード、オン時間が重複しないモード、固定周波数の有無にかかわらない連続導通モードなどの異なる動作モード全体にわたって実質的に線形のままであり得る。そのような例では、デューティサイクルは、約50VDCの出力電圧で約10%から約700VDCの出力電圧で90%の線形範囲であり得る。
【0071】
本明細書に開示される教示は、任意の適切なSMPSに適用可能であり得る。例えば、本明細書に開示される電源は、本明細書に開示されるマルチレベルDC-DC降圧電力変換器のうちの1つに高入力電圧を提供するAC-DC PFC電力変換器を含むことができる。PFC電力変換器は、ウィーン構成の三相PFC電力変換器であってもよい。いくつかの例では、本明細書で開示される電源は、過電流保護および/またはシステムの負荷要求の変化に応じて適切な出力(例えば、トリミング可能な出力)を提供するためのハイパースケーリング能力を必要とするシステムで使用され得る。
【0072】
本明細書に開示される電源のいずれか1つを使用することによって、様々な利点が達成され得る。例えば、インダクタ(例えば、電力変換器202のインダクタL1、L2)は、インターリーブ方式で動作可能であり得る。その結果、従来の電力変換器と比較して、インダクタのサイズを縮小することができ、制御帯域幅を増加させることができる。加えて、マルチレベルDC-DC降圧電力変換器内の入力コンデンサ(例えば、図2のコンデンサC1、C2)は、コンデンサの専用の充電/放電時間のために平衡電圧を有することができる。さらに、電力変換器は、入力コンデンサが使用される場合に入力電圧の半分の電圧応力を維持しながら、広い出力電圧範囲で動作することができる。
【0073】
電力変換器はまた、ゼロ負荷まで維持されるCCM動作に起因して改善された制御性能を経験することができる。このように、軽負荷制御帯域幅は、不連続導通モード(DCM)動作を有する従来の変換器と比較して増加させることができる。
【0074】
加えて、マルチレベルDC-DC降圧電力変換器は、10%~90%などの広いデューティサイクル範囲にわたって動作可能である。これは、従来のシステムと比較して、降圧電力変換器に連結された他の電力変換器段のホールドアップを増加させることができる。例えば、電源は、99%を超えるような高効率を達成するために、特定の電圧(例えば、400V入力)で動作可能な共振電力変換器を含むことができる。マルチレベルDC-DC降圧電力変換器が高入力DC電圧(例えば、800Vのバルク電圧)を受け取る場合、ために、公称条件下での典型的なデューティサイクルは約50%であって、降圧電力変換器が共振電力変換器に所望の電圧(例えば、400V入力)を提供することを確実にする。負荷需要が変化し、かつ/または降圧電力変換器の入力が変化した場合、デューティサイクルを調整して、共振電力変換器に所望の電圧を供給することができる。これにより、電源が所望の調整を維持することが保証される。
【0075】
さらに、本明細書で開示される共振電力変換器は、ZVSおよび/またはゼロ電流スイッチング(ZCS)を達成することができる。例えば、共振電力変換器が固定スイッチング周波数で動作する場合、一次側スイッチはZVSを達成することができ、二次側スイッチはすべての負荷条件でZVSおよびZCSを達成することができる。さらに、共振電力変換器の利得曲線は、変換器の動作が単一共振利得に固定されるように平坦であることができる。結果として、レール間の電流分担は、共振部品公差に敏感ではない。
【0076】
実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提供されている。網羅的であること、または本開示を限定することを意図するものではない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は、一般に、その特定の実施形態に限定されず、適用可能な場合には交換可能であり、具体的に図示または説明されていなくても、選択された実施形態で使用することができる。これはまた、多くの方法で変形されてもよい。そのような変形は、本開示からの逸脱と見なされるべきではなく、すべてのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
図14
図15
図16
図17
図18
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図21
【外国語明細書】