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▶ テーイー オートモーティブ(フルダブリュック) ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特開2022-13834工具により解除されるクイックコネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013834
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】工具により解除されるクイックコネクタ
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/088 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
F16L37/088
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021107239
(22)【出願日】2021-06-29
(31)【優先権主張番号】20183114.6
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】518073158
【氏名又は名称】テーイー オートモーティブ(フルダブリュック) ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】アイリス バーセル
(72)【発明者】
【氏名】カイ ブべ
(72)【発明者】
【氏名】ライナー ローデ
(72)【発明者】
【氏名】ソン-ファ チュ
(72)【発明者】
【氏名】トン-ヒョク リ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ ヘッケル
(72)【発明者】
【氏名】デビッド ギャビー
(72)【発明者】
【氏名】チョン-キ チェ
【テーマコード(参考)】
3J106
【Fターム(参考)】
3J106AB01
3J106BA01
3J106BB01
3J106BC04
3J106BD01
3J106BE29
3J106EA03
3J106EB02
3J106ED33
3J106EE02
3J106EF15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】リテーナを開放するのに必要な、クイックコネクタ周りの即ち継手片の周りの自由空間が、より一層少なくて済むクイックコネクタを提供する。
【解決手段】相補的な相手方部品と接続するためのクイックコネクタ1は、継手片3とリテーナ4とを備える。リテーナは、継手端6に割り当てられており、相手方部品を保持するための保持要素を少なくとも1つ有し、継手片から相手方部品を引き抜くためにリテーナを開放するための作動要素10を少なくとも1つ有する。継手片は、継手端の外側に、第1フランジ11を有し、第1フランジは、工具を中に挿入するためのフランジ開口12を有しており、これにより、工具がリテーナ及びその作動要素に力を及ぼすことができる。フランジ開口は、外側境界部14を有し、外側境界部は、径方向においてフランジ開口の外方に在る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相補的な相手方部品(2)と接続するためのクイックコネクタ(1)であって、
継手片(3)とリテーナ(4)とを備え、
前記継手片(3)は、
流体路に接続するための流体路端(5)と、
前記相手方部品(2)を導き入れるための継手端(6)とを有し、
前記継手端(6)と前記流体路端(5)とは、前記継手片(3)の流体チャネル(7)により流体接続されており、
前記流体チャネル(7)の一部分は、前記継手端(6)に割り当てられており、継手中心軸(8)を有し、
前記継手中心軸(8)は、軸方向ADと、径方向RDと、周方向CDとを規定しており、
前記リテーナ(4)は、前記継手端(6)に割り当てられており、
前記リテーナ(4)は、前記相手方部品(2)を保持するための保持要素(9)を少なくとも1つ有し、
前記リテーナ(4)は、前記継手片(3)から前記相手方部品(2)を引き抜くために前記リテーナ(4)を開放するための作動要素(10)を少なくとも1つ有し、
前記継手片(3)は、前記継手端(6)の外側に、第1フランジ(11)を有し、
前記第1フランジ(11)は、工具(13)を中に挿入するためのフランジ開口(12)を有しており、
これにより、前記工具(13)が前記リテーナ(4)及びその前記作動要素(10)に力を及ぼすことができるクイックコネクタ(1)であって、
前記フランジ開口(12)は、外側境界部(14)を有し、
前記外側境界部(14)は、径方向RDにおいて前記フランジ開口(12)の外方に在る
ことを特徴とするクイックコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記外側境界部(14)は、前記フランジ開口(12)の、閉じている周方向境界部の一部である
クイックコネクタ。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記継手片(3)と、前記リテーナ(4)と、前記第1フランジ(11)と、前記作動要素(10)と、前記外側境界部(14)とのうち少なくとも1つは、
前記工具(13)の運動による力を、径方向RD内向きに作用する力が前記リテーナ(4)に加えられるように偏向できるように設計されている
クイックコネクタ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記リテーナ(4)又は前記継手片(3)又はその両方は、固定要素(17、29)を少なくとも1つ有し、
前記固定要素(17、29)は、前記リテーナ(4)が前記継手片(3)内に挿入されて前記相手方部品(2)を収容する準備ができると、前記リテーナ(4)を前記継手片(3)に固定する
クイックコネクタ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記リテーナ(4)又は前記継手片(3)又はその両方は、
径方向RD内向きの圧力が前記作動要素(10)に加えられると、前記リテーナ(4)が開放されて前記継手片(3)から前記相手方部品(2)を引き抜くことができるように設計されている
クイックコネクタ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記継手片(3)は、第2フランジ(15)を有し、
前記第2フランジ(15)は、好ましくはフランジ孔(16)を有する
クイックコネクタ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記フランジ開口(12)及び前記フランジ孔(16)の少なくとも一方は、前記クイックコネクタ(1)を正面から見たとき、前記作動要素(10)と少なくとも部分的に重なる
クイックコネクタ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記第1フランジ(11)は、前記軸方向ADにおいて前記リテーナ(4)に接しており、好ましくは、前記リテーナ(4)の軸方向外側に配置される
クイックコネクタ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記第1フランジ(11)の少なくとも一部分は、周方向CDに延在しており、
前記フランジ開口(12)は、前記第1フランジ(11)の前記少なくとも一部分に属する
クイックコネクタ。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記作動要素(10)は、平滑な外面を有し、
前記外面により、前記工具(13)は前記外面上を摺動可能となる
クイックコネクタ。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記リテーナ(4)及び前記継手片(3)の少なくとも一方は、ポリマーを含む
クイックコネクタ。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記フランジ開口(12)の前記外側境界部(14)、又は、前記フランジ孔(16)の外縁(33)、又はその両方は、
前記工具(13)が前記リテーナ(4)を収縮させているときに、前記工具(13)に作用する前記リテーナ(4)の力を支える相手軸受として働くように、設計されている
クイックコネクタ。
【請求項13】
クイックコネクタ組立体であって、
請求項1乃至12のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)と、
前記継手片(3)に挿入するための相補的な形状を有する相手方部品(2)とを備えた
クイックコネクタ組立体。
【請求項14】
車両であって、
請求項1乃至13のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)又はクイックコネクタ組立体を備え、
前記フランジ開口(12)は、上向きである
車両。
【請求項15】
クイックコネクタ組立体、特に請求項14に記載のクイックコネクタ組立体を解除するための方法であって、
前記クイックコネクタ組立体は、クイックコネクタ(1)と、相補的な相手方部品(2)とを備え、
前記クイックコネクタ(1)は、前記相補的な相手方部品(2)に車両内で接続され、且つ、継手片(3)とリテーナ(4)とを備え、
前記継手片(3)から前記リテーナ(4)を解除するために、工具(13)が使用され、
前記工具(13)は、前記リテーナ(4)が前記相手方部品(2)を解除するように動き、
前記工具(13)の動きによる力が、前記継手片(3)及びリテーナ(4)の少なくとも一方によって前記リテーナ(4)が前記継手片(3)内へ押圧されるような態様で偏向され、これにより前記相手方部品(2)が解除されるように、前記継手片(3)と前記リテーナ(4)とがそれぞれ設計されている
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クイックコネクタに関する。このクイックコネクタは、相補的な相手方部品と接続するためのクイックコネクタであって、継手片とリテーナとを備え、継手片は、流体路に接続するための流体路端と、相手方部品を導き入れるための継手端とを有し、リテーナは、継手片から相手方部品を引き抜くためにリテーナを開放するための作動要素を少なくとも1つ有し、継手片は、継手端の外側に第1フランジを有し、第1フランジは、工具を中に挿入するためのフランジ開口を有しており、これにより、工具は、リテーナ及びその作動要素に力を及ぼすことができる。本発明は、クイックコネクタと相補的な相手方部品とを備えるクイックコネクタ組立体と、クイックコネクタ組立体を有する車両と、クイックコネクタ組立体を解除するための方法とにも関する。
【背景技術】
【0002】
このようなクイックコネクタであって、周方向カラーを備えた相補的な相手方部品に接続するためのものが、特許文献1により知られており、このクイックコネクタは、屈曲した継手片及びU字形のリテーナを備えている。また、このクイックコネクタは、流体路に接続するための流体路端と、相手方部品を導き入れるための継手端とを備えている。リテーナは、継手端に位置しており、鉤として形成される多数の保持要素を有する。保持要素は、リテーナのU字脚及びU字基部に配置されており、相手方部品が継手片に挿入されると、相手方部品の周方向カラーを継手片内で掛止することができる。リテーナは、相手方部品を引き抜くためにリテーナを開放する作動要素も少なくとも1つ有する。作動要素は、リテーナのU字基部である。
【0003】
特許文献1の継手片は、継手端にフランジを有しており、このため、継手片内にリテーナのU字基部を十分に又はほぼ十分に沈めることができる。これにより、リテーナが継手片内に完全に挿入されたことを示す役割を果たす。フランジは、フランジ開口を有しており、このフランジ開口を通して工具が案内され、工具先端をリテーナのU字基部と継手片との間に位置決めすることができる。結果として、工具のハンドル部を継手片の方へ動かしたり継手片から離れるように動かしたりするレバー動作をすることにより、継手片からリテーナを引き抜く又はレバー操作することができる。ただし、このようなレバー動作をするには、継手片の周りに自由空間が必要であるが、現代の車両ではこの自由空間がないことが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102015003792(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、リテーナを開放するのに必要な、クイックコネクタ周りの即ち継手片周りの自由空間が、より一層少なくて済むクイックコネクタを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は以下のようなクイックコネクタにより解決される。相補的な相手方部品と接続するためのクイックコネクタであって、継手片とリテーナとを備える。継手片は、流体路に接続するための流体路端と、相手方部品を導き入れるための継手端とを有する。継手端と流体路端とは、継手片の流体チャネルにより流体接続されている。流体チャネルの一部分は、継手端に割り当てられており、継手中心軸を有し、継手中心軸は、軸方向ADと、径方向RDと、周方向CDとを規定する。リテーナは、継手端に割り当てられており、リテーナは、相手方部品を保持するための保持要素を少なくとも1つ有し、リテーナは、継手片から相手方部品を引き抜くためにリテーナを開放するための作動要素を少なくとも1つ有する。継手片は、継手端の外側に第1フランジを有し、第1フランジは、工具を中に挿入するためのフランジ開口を有しており、これにより、工具がリテーナ及びその作動要素に力を及ぼすことができる。第1フランジのフランジ開口は、外側境界部を有し、この外側境界部は、径方向RDでフランジ開口の外方に在る。
【0007】
「相補的な相手方部品」という語は、好ましくは、相手方部品と、継手片即ちクイックコネクタとを流体密に接続できることを意味する。相手方部品は、雄型の相手方部品であり、クイックコネクタは、対応する雌型要素であることが有利である。相手方部品は掛止要素を有し、この掛止要素が特にカラーであることが好適である。掛止要素として相手方部品が溝を有することも可能である。好ましい実施形態においては、リテーナは、相手方部品の掛止要素と相補的である、クイックコネクタの掛止要素である。相手方部品がクイックコネクタ又は継手片内で保持されるような態様でリテーナが相手方部品又はカラーを掛止することが非常に好ましい。
【0008】
継手片が屈曲していてもよく、又は真っ直ぐであってもよい。継手片が真っ直ぐである実施形態では、継手中心軸は流体路中心軸と同一であってもよい。継手片が屈曲している場合は、継手中心軸は流体路中心軸と同一ではない。用語「軸方向AD」、「径方向RD」、「周方向CD」は、好ましくは、継手中心軸のみに関連している。
【0009】
工具は、長尺であることが好ましく、これにより、クイックコネクタの周りに、リテーナを作動させるためのフィンガは不要となる。例えば、工具は、ねじ回し又は特定の長尺の工具であってもよい。工具は、マイナスのねじ回しでもよい。工具は、ハンドル又は工具先端又はその両方を有してもよい。工具先端は、好ましくは、フランジ開口の境界部又はフランジ孔の縁又はその両方と相互作用するための相互作用要素を有する。相互作用要素は、例えば、フランジ開口の境界部又はフランジ孔の縁又はその両方を係止又は把持するための鉤とすることができる。相互作用要素は、好ましくは、工具がクイックコネクタから滑落しないようにする。
【0010】
ある力が工具を動かし、その工具の力が偏向してリテーナが径方向RD内向きに動くことが非常に好適である。有利な実施形態においては、偏向した力は、工具先端の、幅広の又は薄肉の側面を介して伝達される。特に、力は、工具先端の端面からリテーナに伝達されない。例えば、この特定の工具の工具先端は、正面から見て、2つの幅広の(又は長尺の)側面と2つの薄肉の側面とを備えた、長方形の端面を有する。工具の側面の力は、好ましくは、フランジ開口の外側境界部を介してリテーナのほうに偏向される。外側境界部が第1フランジの一部であることは本発明の範囲内である。
【0011】
本発明は、多くの事例において、作動要素を手動で作動させるにはクイックコネクタの周りに必要な空間が大き過ぎるという知見に当初から基づいている。更に、フランジ開口の外側境界部は、好ましくは、軸受相手方(counter bearing)として作用し、径方向においてリテーナが継手片に押し込まれるように工具からリテーナに力が伝達されることが分かった。よって、実際には、継手片を相手方部品から取り外すための(例えば保守作業用の)さらなる空間は、継手片の周りには不要である。
【0012】
本発明は、特に、工具が半径方向内向きの力を伝達できるよう外側境界部が軸受相手方として働くという工夫に基づいている。例えば、作動要素の外側の斜面上を軸方向ADのみに向かって工具が並進運動をすることにより、これが、リテーナの径方向内向きの力や運動に変換されることが可能である。例えば、フランジ開口に挿入された工具先端を工具の長手方向軸の周りで回転させ、工具先端の、幅広である側のエッジが、周方向CDに向いている状態ではなくなって径方向RDに向いた状態になることも可能である。この場合も、同様に、外側境界部の助けを借りて、径方向内向きの力をリテーナに及ぼすことができる。
【0013】
いずれの動きも、長尺の工具を用いて実行可能であり、入れて継手片上の空間を消費する手を使う必要はなくなる。同様に、工具自体はレバー動作する必要はない。結果として、継手片又はクイックコネクタは、より一層コンパクトに取り付けることができ、上述の目的が達成される。
【0014】
非常に好ましい実施形態においては、外側境界部は、フランジ開口の、閉じている周方向境界部の一部である。フランジ開口が、少なくとも部分的に径方向RD外向きに、外側境界部の方向へ延在する2つの側境界部を有することが好ましい。フランジ開口の境界部の内側輪郭は、好ましくは、工具がフランジ開口内で回転できるよう丸くされている。好ましくは、外側境界部の、径方向RDにおける厚さは、少なくとも0.5又は1.0又は1.5mmである。第1フランジ又はその外側境界部は、好ましくは、軸方向ADにいて少なくとも0.5又は0.8又は1.0mmの厚さを有する。
【0015】
継手片と、リテーナと、第1フランジと、作動要素と、外側境界部とのうち少なくとも1つは、工具の運動による力を、径方向RD内向きに作用する力がリテーナに加えられるように偏向できるように設計されていることが非常に好適である。ある実施形態においては、径方向RD内向きに作用する力がリテーナに加えられるように、軸方向ADにおける並進運動の力を偏向可能なことが好ましい。工具と、リテーナと、作動要素とのうち少なくとも一つは、工具の力をリテーナへの力に偏向させるために、クイックコネクタの側面から見てテーパー面を有することが非常に好適である。クイックコネクタの側面から見て、作動要素は斜面を有することが非常に有利である。作動要素の斜面の面は、クイックコネクタの側面から見て、径方向RD外向きに、第1フランジの方向へ向かって大きくなる好ましい。つまり、作動要素の斜面は、軸線外方向ADにおいて、半径方向外向きに増加することが有利である。工具の先端は、側面から見て、丸くする又は先細り形状にすることができ、又は、矩形にすることさえできる。ただし、好適なのは、側面から見て、工具の先端が先細り形状であるか又は丸い形状である。
【0016】
ある実施形態においては、リテーナ及び継手片の少なくとも一方は、工具の長手方向軸の周りでの工具の回転運動の力を、径方向RD内向きに作用する力がリテーナに加えられるように偏向できるように設計される。工具が、端面にて又は端面付近の断面に沿って又はその両方で、その長手方向軸に関して回転対称でないことが好ましい。工具先端は、矩形、又は、正方形、又は、楕円形であってもよい。例えば、正面から見て又は断面において工具先端が矩形である場合、工具の長手方向軸の周りでの回転は、外側境界部を軸受相手方として使用することによって、力をリテーナ及びその作動要素に及ぼすことができる。作動要素が、少なくとも場所によっては平滑な表面を有し、この表面上を工具が摺動できることが非常に好適である。
【0017】
好適には、リテーナ又は継手片又はその両方は、固定要素を少なくとも1つ有し、この固定要素は、リテーナが継手片内に挿入されて相手方部品の収容/保持/相互作用の準備ができる(リテーナが準備状態になる)と、リテーナを継手片に固定する。有利には、リテーナ又は継手片又はその両方の前述の少なくとも1つの固定要素は、掛止要素である。リテーナの少なくとも1つの掛止要素は、継手片の掛止要素内へ突出することが好ましい。好ましくは、リテーナの掛止要素は、好ましくは軸方向ADに突出する突起である。リテーナの、少なくとも1つの掛止要素は、軸方向AD外方に延在することが好ましい。リテーナは固定要素又は掛止要素を2つ有することが有利であり、この場合、固定要素のうち1つが、正面から見て、リテーナの左側に割り当てられ、もう1つの固定要素が右側に割り当てられることが好ましい。特に、各固定要素は、リテーナの各保持要素に割り当てられることができる。リテーナがU字形である場合は、固定要素はそれぞれ、対応する保持要素又はU字脚に配置可能である。固定要素は、リテーナの対応する保持要素又はU字脚の上半分又は3分の1又は4分の1のところに配置されることが好ましい。
【0018】
継手片の固定要素が、リテーナの固定要素と相互作用する溝であることが非常に好適である。特に、リテーナの固定要素は、リテーナがその準備状態にあるとき、継手片の固定要素内に設置されている。継手片の溝は、好ましくは、クイックコネクタの正面から見て、上方向に延在する。有利には、継手片は固定要素を2つ有し、継手片の各固定要素は、リテーナの対応する固定要素に割り当てられされる。リテーナ及び継手片の少なくとも一方の固定要素は、クイックコネクタの正面から見て、互いに対称に配置されることが好適である。継手片の固定要素は、リテーナの固定要素がこの継手片の固定要素内で少なくとも1mm移動できるような態様で長尺となっていることが好ましい。
【0019】
リテーナ又は継手片又はその両方は、好ましくは、リテーナが準備状態にあるときに径方向RD内向きの圧力が作動要素に加えられると、リテーナが開放されて継手片から相手方部品を引き抜くことができるように設計されていることが非常に有利である。好適には、リテーナは、作動要素と接続する2つの脚部を有する。脚部はそれぞれ、前述の保持要素のうちの一方を有することが有利である。リテーナは、作動要素とは反対側に配置可能であり且つリテーナ脚部を周方向に閉じる閉鎖要素を有することが可能である。ある実施形態においては、クイックコネクタの正面から見て、リテーナはU字形である。リテーナは、正面から見て閉じている又はほぼ閉じている楕円形又は円形を有することができるように、リング形状であること可能である。リテーナ又は継手片又はその両方は、作動要素にかかる前述の圧力によって脚部即ち保持要素が径方向RD外向きに広がるように設計されていることが非常に好適である。
【0020】
好ましい実施形態においては、リテーナは、リテーナが径方向RD内方へ動くのを止めるための止め要素を少なくとも1つ有する。
【0021】
止め要素は、リテーナが少なくとも1mm又は2mmの距離を移動した後に、リテーナを止めてもよい。この少なくとも1つの止め要素が継手片の止め縁と相互作用し、継手片の止め縁が、止め要素又はリテーナが径方向RD内方へ移動するのを止めることが好適である。例えば、止め要素は、作動要素においては、脚又は保持要素の接続された領域内に置いてもよい。リテーナの止め要素は、リテーナの正面から見て、径方向に突出することができる。少なくとも1つの止め要素は、径方向突起であることが好ましい。リテーナは、止め要素又は径方向突起を2つ有し、これらの止め要素又は径方向突起は、リテーナの正面から見て、より好ましくはリテーナにて互いに対称に位置することが好適である。
【0022】
非常に優先的な実施形態においては、継手片は、第2フランジを有し、第2フランジは、好ましくはフランジ孔を有する。有利には、第2フランジは、準備状態のとき、クイックコネクタの正面から見て又は後面から見て、径方向RDにおいて、少なくとも周方向CDのある区域にわたって作動要素と同一平面になる。フランジ孔は、径方向RD外向きに開放又は閉鎖させてもよい。第2フランジは、軸方向ADにおいて少なくとも0.5又は0.8v1.0mmの厚さを有してもよい。フランジ孔は外縁を有することができ、外縁は、好ましくは、径方向RDにおいてフランジ孔の外方に在る。外縁は、フランジ孔の、閉じている周方向縁の一部であることが好ましい。
【0023】
非常に好適な実施形態においては、フランジ開口及びフランジ孔の少なくとも一方は、クイックコネクタの正面から見たとき、作動要素と少なくとも部分的に重なる。第1フランジ及び第2フランジの少なくとも一方は、クイックコネクタの正面から見たとき、少なくとも作動要素と一部が重なることが有利である。好ましくは、リテーナは、作動要素の中央を通って延びる、正面から見て対称な軸を有する。第1フランジ及び第2フランジの少なくとも一方は、クイックコネクタの正面から見て対称な軸を有することは本発明の範囲内である。リテーナの、正面から見て対称な軸は、第1フランジ及び第2フランジの少なくとも一方の対称な軸と同じであることが有利である。作動要素は、正面から見て第1フランジを径方向RD外方に延在しないことが好ましい。
【0024】
第1フランジは、軸方向ADにおいてリテーナに接しており、好ましくは、リテーナの軸方向外側に配置されることは本発明の範囲内である。好ましくは、第1フランジは、継手片の継手端の端面の一部である。継手端の端面は、前板であってもよい。好ましくは、第2フランジは、軸方向ADにおいてリテーナに接しており、好ましくは、リテーナの軸方向内側に配置される。第1フランジと第2フランジは、作動要素を収容するためのキャビティをなすことが好適である。第1フランジ及び第2フランジの少なくとも一方は、軸方向において作動要素に直接接していることが特に好適である。
【0025】
好ましくは、第1フランジの少なくとも一部分は周方向CDに延在しており、フランジ開口は、第1フランジのこの少なくとも一部分に属する。好ましくは、第2フランジの少なくとも一部分は周方向CDに延在しており、フランジ孔は、第2フランジのこの少なくとも一部分に属する。非常に好ましくは、第1フランジ及び第2フランジの少なくとも一方は、周方向CD全てに延在している。第1フランジ及び第2フランジの少なくとも一方は、1つ又は複数の平面を規定し、この1つ又は複数の平面の法線は、軸方向ADに延在していることが好ましい。非常に好ましくは、フランジ開口の領域とフランジ孔の領域とは、正面から見て重なっている。好適な実施形態においては、リテーナを径方向RD内向きに押圧するために、継手片及びリテーナの少なくとも一方は、工具が軸方向ADにおいて±45°で、より好ましくは±30°で、より一層好ましくは±20°でフランジ開口内に挿入されることになるように設計されている。
【0026】
作動要素は、平滑な外面を有し、この外面により、工具が外面上を摺動可能となることが好適である。特に、リテーナはその外面に、独国特許出願公開第102015003792(A1)号に示すような、レリーフを形成する記号、文字、又は数字を含まない。作動要素の外面は、少なくとも部分的に凸状であることが好ましい。
【0027】
リテーナ及び継手片の少なくとも一方は、好ましくは主として、ポリマーを含むことは本発明の範囲内である。「主として」という語は、好ましくは、リテーナ及び継手片の少なくとも一方は、少なくとも50又は70又は90又は95重量%のポリマーからなることを意味する。有利には、リテーナ及び継手片の少なくとも一方のポリマーは、ポリアミドであり、例えばPA6、6.6、10、11、12である。継手片及びリテーナの少なくとも一方は、射出成形から生じる単一片であってもよい。継手片は、射出成形で製造可能な2つ以上の部品を接着・掛止・溶着により接続したものを有することも可能である。
【0028】
リテーナ、即ち少なくとも1つの保持要素、即ち脚部が挿入面を有するのが有利である。相手方部品をより容易に挿入するために、挿入面は、少なくとも部分的に円錐形状とすることができる。相手方部品をより容易に挿入するために、1つ又は複数の保持要素が、1つ又は複数の挿入面の領域において、先細り形状になっていることが好ましい。
【0029】
非常に好適な実施形態においては、フランジ開口の外側境界部、又は、フランジ孔の外縁、又はその両方は、工具がリテーナを収縮させているときに、工具に作用するリテーナの力を支える軸受相手方として働くように設計されている。好ましくは、第1フランジは、正面から見て、径方向RDにおける最も高いところを、径方向RDにおける作動要素の最も高いところから少なくとも3mm、好ましくは少なくとも4mmのところに有する。径方向RDにおけるフランジ開口の高さは、好ましくは少なくとも1.0mmであり、より好ましくは少なくとも2.0又は3.0mmである。
【0030】
上述の目的は、本発明によるクイックコネクタと、継手片に挿入するための相補的な形状を有する相手方部品とを備えたクイックコネクタ組立体により解決される。好ましくは、相手方部品は、より好ましくは周方向CDにおいて360°に延在するカラーを有する。相手方部品は、クイックコネクタの封止リングと相互作用するためのシャフトを有することは本発明の範囲内である。相手方部品は、クイックコネクタ内に円滑に挿入するために、シャフトの端部に丸い先端を有してもよい。相手方部品は、丸い先端に対向する側に、接続端を有することができ、この接続端は、流体路と接続する又はタンクや注入ポンプ等のユニットと接続するためのものである。カラーは、接続端とシャフトとの間に位置することが好ましい。好ましくは、シャフトは、丸い先端とカラーとの間に配される。カラーは、有利には、リテーナの1つ又は複数の保持要素と相互作用するように、特に、クイックコネクタ内に相手方部品を挿入する最中にt1つ又は複数の保持要素を広げるように設計されている。カラーは、好ましくは、クイックコネクタのカラーチャンバ内で止まるように設計されている。
【0031】
クイックコネクタ又は継手片は、好ましくは、カラーを収容するためのカラーチャンバ、又は、継手片内でシャフトを流体密に封止するための封止包体、又はその両方を有する。カラーチャンバは、軸方向ADにおいて、1つ又は複数の保持要素とクイックコネクタの封止包体との間に、位置させてもよい。封止包体は、有利には少なくとも1つの封止リングを含む。好ましくは、封止包体は、任意のスペーサを間に備えた2つの封止リングを有する。1つ又は複数の封止リングが、掛止装置の助けを借りて継手片内に固定されることが好適である。掛止装置は、スリーブであってもよい。掛止装置は、好ましくは、軸方向ADにおいて、カラーチャンバと少なくとも1つの封止リングとの間に位置付けられる。継手片又はクイックコネクタは、相手方部品の先端を収容するための収容チャンバを有してもよい。封止包体が、軸方向において、カラーチャンバと収容チャンバとの間に位置することが好適である。好ましくは、収容チャンバは、軸方向ADで流体路端に向かって、相手方部品つまり先端の挿入を止めるための止めを有する。
【0032】
上述の目的は、本発明によるクイックコネクタ又は本発明によるクイックコネクタ組立体を備える車両であって、フランジ開口が上向きである、好ましくは垂直方向に上向きである車両により達成される。「フランジ開口が上向きである」という文言は、好ましくは、フランジ開口の領域の法線が上向きに延びることを意味する。また、継手端が下方を向いていることは非常に好ましい。相手方部品が固定されている一方で、クイックコネクタは、相手方部品から解除された後は可動であることが好ましい。好適な実施形態においては、車両は、電気ドライブモータに動力を与えるための電気車両用電池を備える。
【0033】
上述の目的は、クイックコネクタ組立体、特に本発明によるクイックコネクタ組立体を解除するための方法により達成される。この方法においては、クイックコネクタ組立体は、クイックコネクタと、相補的な相手方部品とを備え、クイックコネクは、相補的な相手方部品に車両内で接続され、且つ、継手片とリテーナとを備え、継手片からリテーナを解除するために工具が使用され、工具は、リテーナが相手方部品を解除するように動く。また、工具の動きによる力が、継手片及びリテーナの少なくとも一方によってリテーナが継手片内へ押圧されるような態様で偏向され、これにより相手方部品が解除されるように、継手片とリテーナとがそれぞれ設計されている。
【0034】
工具の動きは下方に延びており、より好ましくは下方に垂直に延びていることが非常に好適である。本方法のクイックコネクタは、本発明によるクイックコネクタの1つ又は複数の特徴を有することが非常に好適である。相手方部品は、本発明によるクイックコネクタ組立体の相手方部品の1つ又は複数の特徴を有することが好ましい。
【0035】
以下で、本発明の、2つの例示的実施形態を、幾つかの略図を参照して、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第1実施形態のクイックコネクタの斜視図である。
図2図1のクイックコネクタのリテーナの斜視図である。
図3図1のクイックコネクタと相補的である相手方部品の斜視図である。
図4図1のクイックコネクタの、その長手方向軸に沿った断面図である。
図5A図2のリテーナが閉鎖状態にあるときの、図1及び図4のクイックコネクタの正面図である。
図5B】リテーナが開放状態にあるときの、図5Aのクイックコネクタの正面図である。
図6A】リテーナが閉鎖状態にあるときの、第2実施形態の第2クイックコネクタの側面図である。
図6B】リテーナが開放状態にあるときの、図6Aのクイックコネクタである。
図7図6Aのクイックコネクタの後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本発明の第1実施形態のクイックコネクタ1を示している。クイックコネクタ1は、継手片3とリテーナ4とを備える。継手片3は、流体路端5を有しており、流体路端5は、好ましくは、流体路内に挿入されるように設計される。よって、流体路端5は、鉤と、封止リングを収容するための溝とを有してもよい。更なる実施形態においては、流体路端5は、流体路の端部を挿入するための、中空のシリンダ座部を有してもよい。この場合、流体路端5と流体路とは、レーザ光線溶着又はスピン溶着により接続可能である。継手片3は、更に、リテーナ4を収容する継手端6を有する。
【0038】
次に図2を検討すると、リテーナ4は、U字形であることが好ましく、2つのU字脚と、U字基部としての作動要素10とを有する。これらのU字脚はそれぞれ、保持要素9として働く。保持要素9は両方とも挿入面31を有しており、この挿入面は、基本的に円錐形状をなしており、相手方部品2(図3を参照)が容易に挿入できるようにしている。保持要素9即ちU字脚は、軸方向突起17を有し、この軸方向突起17が、対応するU字脚の上部4分の1のところに位置することが好適である。軸方向突起17は、リテーナ4の側面から見て軸方向ADに突出しており、下側に傾斜した面を有してもよい。リテーナ4は、好ましくは、保持要素9それぞれに肩部21を有しており、このため、作動要素10は軸方向ADにおいて、保持要素9よりも幅広となっている。
【0039】
次に図1に戻って検討すると、リテーナ4の作動要素10は、第1フランジ11と第2フランジ15との間に位置することが好ましい。第2フランジ15は、有利には、径方向RDにおいて、少なくとも周方向CDのある区域にわたって作動要素10と同一平面になる。これにより、リテーナ4が継手片3内に完全に挿入されたことを示すインジケータの役割を果たすことができる。
【0040】
更に、図1は、第1フランジ11がフランジ開口12を有しており、このフランジ開口12が360°閉じている境界部を有することが好ましいことを強調する。外側境界部14は、径方向RDにおいて、フランジ開口12の外方に在り、この外側境界部は、有利には、フランジ開口12の、閉じている境界部の一部である。第2フランジ15は、好ましくはフランジ孔16を有する。この実施形態のフランジ孔16は、外側境界部を持たないことが好ましい。フランジ孔16の、周方向CDにおける仮想線が、フランジ孔16の領域内で第2フランジ15に連続しており、正面から見てフランジ孔16の領域を規定する。正面から見て、フランジ孔16の領域は、フランジ開口12の領域の少なくとも一部に重なることが非常に好ましい。
【0041】
リテーナ4又は作動要素10が、リテーナが径方向RD内方へ動くのを止めるための止め要素を有することが好ましいことに留意しなければならない。この止め要素は、対応する保持要素9に対して径方向RDに突出している径方向突起34とすることができる。図1から分かるように、継手片3及びリテーナ4は、リテーナ4が完全挿入状態にあるときに径方向突起34と継手片3の止め縁との間に空間が残るような態様で設計されていると有利である。更に、図1に示すリテーナ4は、保持要素9に関して言えば、閉鎖又は弛緩状態にある。
【0042】
図3は、クイックコネクタ1に対して相補的となるように設計されている相手方部品2を示している。相補的な相手方部品2は、好ましくは、カラー22と、シャフト23と、接続端24又は先端25又はその両方とを有する。接続端24は、流体路又はユニット(タンク、注入ポンプ等)と接続されるように設計してもよい。相手方部品2は、SAE規格に準拠していることが非常に好ましい。
【0043】
次に図4の断面図を検討すると、流体路端5と継手端6とは、流体チャネル7により流体接続されている。流体チャネル7の一部は、継手端6に割り当てられており、継手中心軸8を有する。好ましくは、継手中心軸8は、軸方向ADと、径方向RDと、周方向CDとを規定する。クイックコネクタ1は、封止包体18、19、20を備えることが好ましい。封止包体18、19、20は、2つの封止リング19と、これらの封止リング間にある任意のスペーサ20とを有してもよい。有利な点としては、封止リング19及びスペーサ20は、スリーブ18を挿入することにより適切な位置に保たれる。このスリーブ18は、継手片3へ填め込まれる。好適な収容チャンバ26は、封止包体18、19、20と継手片3の好適な止め28との間に位置決めされる。継手片3は、好ましくは、カラーチャンバ27を有する。カラーチャンバ27は、保持要素9と封止包体18、19、20との間に位置してもよい。
【0044】
挿入手順をしている間において、カラー22はまず、各保持要素9の挿入面31に接触し、その後、これらの保持要素9が互いから離れるように広がっていく。カラー22がカラー収容チャンバ27に到達すると、保持要素9が急激に弛緩し、相手方部品はクイックコネクタ1内で填め込まれる。次に、カラー22をカラーチャンバ27内に止めつつ、封止リング19がシャフト23をしっかり封止する一方で、丸い先端25は収容チャンバ26内に位置することになる。
【0045】
図5Aは、第1フランジ11はクイックコネクタ1の端面の一部であると有利であることを強調している。継手端6の領域におけるクイックコネクタ1の端面は、前板30により実現される。リテーナ4は完全挿入状態にあり、この完全挿入状態は、リテーナ4及び継手片3それぞれの固定要素によって規定されることが好ましい。この実施形態では、リテーナ4は、軸方向突起17として設計された2つの固定要素を有する。継手片3即ち前板30は、溝29として形成される相補的な固定要素を有してもよい。前述の軸方向突起17は、前板30の溝29で止まることが好ましい。継手片3内へのリテーナ4の挿入を容易にするために、軸方向突起17はそれぞれ、その下端にテーパー面を有してもよい。図5A(準備状態)のとき、リテーナ4は挿入位置にあり、保持要素9は閉鎖又は弛緩位置にある。この閉鎖位置にあるとき、保持要素9の内側リム32は、基本的に垂直方向に延在している。これは、相手方部品2が完全に挿入されている場合と同様に、相手方部品2がクイックコネクタ1から外されている場合にも当てはまる。
【0046】
挿入された相手方部品2をクイックコネクタ1から解除するために、特殊な工具13をフランジ開口12内に挿入することができる。工具13の平刃部分は、図5Aにおいては、水平方向を向いた状態、つまり、基本的に周方向CDを向いた状態にしてもよい。よって、この平刃部分は、第1フランジ11の外側境界部14とリテーナ4の作動要素10との間に配置される。次のステップにおいて、図5Bに示すように、工具13を90°回転する。この回転により、径方向RDにおいて内向きの押圧力が作動要素10に即ちリテーナ4にかかる。この押圧力により、作動要素10は半径方向で内方に数ミリメートル押し込まれる。他方で、このことにより、即ちリテーナ4及び継手片3が好適な設計であることにより、保持要素9が互いから離れるように広がるが、これは、特に保持要素9の内側リム32の状態から見ることができる(図5B)。このとき、保持要素9は、相手方部品2をクイックコネクタ1から外すことができる開放状態又は開放位置にある。
【0047】
図6Aでは、本発明の第2実施形態を強調している。第2実施形態は、基本的に第1実施形態と同じであるが、第1実施形態と比較して以下の差異を有する。第2実施形態の継手片3は、好ましくは屈曲しており、継手中心軸8と流体路軸35とが約90°の角度をなしている。第2実施形態のリテーナ4は、第1実施形態と同様の保持要素9を有する。
【0048】
一方、作動要素10即ちU字基部は、第1実施形態の作動要素10に対して異なっている。図6Aから分かるように、側面から見て、作動要素10は、第2フランジ15から第1フランジ11に向かって大きくなる斜面を有してもよい。第2実施形態において、第1フランジ11と第2フランジ15とは、基本的に同じ径方向高さを有している。このため、第2実施形態の第2フランジ15は、第1実施形態の第2フランジ15よりも径方向RDにおいて幾分高めにすることができる。これは、第2フランジ15の好適な外縁33によるものである。これにより、第2フランジ15のフランジ孔16を閉じる。図7に示すように、フランジ開口12並びにフランジ孔16は円形を有することができる。
【0049】
第2実施形態のフランジ開口12及びフランジ孔16は、工具13用のガイドとして働く。これは、図6Bに示してある。第2実施形態の工具13は、フランジ孔16内及びフランジ開口12内に軸方向ADに挿入される特殊な工具でもある。工具13の先端が作動要素10の斜面と接触すると、径方向RD内向きの押圧力がリテーナ4に生じる。図5Bに関連して説明したように、保持要素9はここでも互いから離れるように広げられる。
【符号の説明】
【0050】
1 クイックコネクタ、2 相手方部品、3 継手片、4 リテーナ、5 流体路端、6 継手端、7 流体チャネル、8 継手中心軸、9 保持要素、10 作動要素、11 第1フランジ、12 フランジ開口、13 工具、14 外側境界部、15 第2フランジ、16 フランジ孔、17 軸方向突起、18 スリーブ、19 封止リング、20 スペーサ、21 肩部、22 カラー、23 シャフト、24 接続端、25 先端、26 収容チャンバ、27 カラーチャンバ、28 止め、29 溝、30 前板、31 挿入面、32 内側リム、33 外縁、34 径方向突起、35 流体路軸
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
【外国語明細書】