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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138344
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】シート包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20220915BHJP
   A47K 10/20 20060101ALI20220915BHJP
   A47K 7/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B65D83/08 B
A47K10/20 B
A47K7/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038172
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】谷川 賢弥
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014LB01
3E014LB08
(57)【要約】
【課題】取出口の開閉が容易なシート包装体を提供すること。
【解決手段】積層された複数枚のシートを収容する包装袋と、前記包装袋の天面の一部が開裂すると前記天面に開口する取出口と、開裂した前記天面の一部で形成され、前記取出口を開閉自在に覆う蓋体と、前記蓋体に固定され、前記天面に着脱可能に接着するシール部材と、を有し、前記蓋体は、前記天面に接続されて第1方向に延びる第1端縁と、前記天面に接続されないで前記第1方向と交差する第2方向に凸となり且つ前記第1端縁の一方の末端から他方の末端まで延びる第2端縁と、を有し、前記シール部材は、前記蓋体に固定される固定部と、前記固定部に隣接して前記天面の前記一部を除く部分に着脱可能に接着する粘着部と、前記粘着部に隣接して前記天面に接着されない自由端部と、を有し、前記粘着部と前記自由端部との境界線が、前記自由端部側に向かって凸となる、シート包装体。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数枚のシートを収容する包装袋と、
前記包装袋の天面の一部が開裂すると前記天面に開口する取出口と、
開裂した前記天面の一部で形成され、前記取出口を開閉自在に覆う蓋体と、
前記蓋体に固定され、前記天面に着脱可能に接着するシール部材と、を有し、
前記蓋体は、
前記天面に接続されて第1方向に延びる第1端縁と、
前記天面に接続されないで前記第1方向と交差する第2方向に凸となり且つ前記第1端縁の一方の末端から他方の末端まで延びる第2端縁と、を有し、
前記シール部材は、
前記蓋体に固定される固定部と、
前記固定部に隣接して前記天面の前記一部を除く部分に着脱可能に接着する粘着部と、
前記粘着部に隣接して前記天面に接着されない自由端部と、を有し、
前記粘着部と前記自由端部との境界線が、前記自由端部側に向かって凸となる、シート包装体。
【請求項2】
前記境界線が、弧状である、請求項1に記載のシート包装体。
【請求項3】
前記自由端部の前記粘着部から離間する側の端縁が、前記粘着部から離れる方向に凸となる、請求項1または2に記載のシート包装体。
【請求項4】
前記自由端部の前記端縁が、弧状である、請求項3に記載のシート包装体。
【請求項5】
前記自由端部の前記端縁が、前記境界線と平行である、請求項3または4に記載のシート包装体。
【請求項6】
前記自由端部の前記第2方向の幅が、前記シール部材の前記第2方向の長さに対して10%以上40%以下である、請求項5に記載のシート包装体。
【請求項7】
前記自由端部の前記第2方向の幅が、前記粘着部の前記第2方向の幅に対して40%以上60%以下である、請求項5または6に記載のシート包装体。
【請求項8】
前記固定部の前記第2方向の幅が、前記粘着部の前記第2方向の幅に対して80%以上100%以下である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシート包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポケットティシュー等のシート包装体は、ティシューペーパー等のシートが樹脂製のフィルムで形成された包装袋に収容されて構成されている。包装袋の天面にはミシン目が形成されており、このミシン目を開裂すると取出口が形成される。この取出口から包装袋内に指先を挿入して、最上部にあるシートをつまむことで、シートが外部に引き出される(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、ミシン目を開裂して取出口を形成するシート包装体は、ミシン目の開裂時にシートが破れる、開封後の取出口からゴミが入り衛生的でない、使用時に包装袋の形状が保持できず最後まできれいに使えない等の問題がある。これらの問題を解消するシート包装体として、取出口を剥離、密着可能なシール部材で覆い、取出口を繰り返し開閉することができるシート包装体がある(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-47270号公報
【特許文献2】実用新案登録第3112201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、取出口がシール部材で覆われたシート包装体は、取出口の開封時にシール部材が摘まみにくく、取出口の開閉がしにくいという課題がある。
【0006】
本発明の課題は、取出口の開閉が容易なシート包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る第1の態様は、積層された複数枚のシートを収容する包装袋と、前記包装袋の天面の一部が開裂すると前記天面に開口する取出口と、開裂した前記天面の一部で形成され、前記取出口を開閉自在に覆う蓋体と、前記蓋体に固定され、前記天面に着脱可能に接着するシール部材と、を有し、前記蓋体は、前記天面に接続されて第1方向に延びる第1端縁と、前記天面に接続されないで前記第1方向と交差する第2方向に凸となり且つ前記第1端縁の一方の末端から他方の末端まで延びる第2端縁と、を有し、前記シール部材は、前記蓋体に固定される固定部と、前記固定部に隣接して前記天面の前記一部を除く部分に着脱可能に接着する粘着部と、前記粘着部に隣接して前記天面に接着されない自由端部と、を有し、前記粘着部と前記自由端部との境界線が、前記自由端部側に向かって凸となる、シート包装体である。
【0008】
本明細書において、包装袋の天面の一部が開裂すると天面に開口する取出口は、天面に開裂用切目線が形成され、該開裂用切目線が開裂することで包装袋の天面に形成される開口を示す。取出口を開閉自在に覆うとは、蓋体が取出口を覆う状態から取出口を開口することができ、且つ開口した取出口を再び蓋体で覆うことができることを示す。
【0009】
第1方向とは、包装袋の天面上の所定の一方向に沿う方向を示す。また、第1方向と交差する第2方向は、包装袋の天面と同一平面上で第1方向と直交する方向または筋かいに交わる方向に沿う方向を示す。
【0010】
天面に接続される第1端縁は、開裂用切目線が開裂しても、取出口が開口した状態で天面に接続される蓋体の固定端を示す。天面に接続されない第2端縁は、開裂用切目線が開裂すると形成され、取出口が開口した状態で天面に接続されない蓋体の自由端を示す。第2端縁が凸となり且つ第1端縁の一方の末端から他方の末端まで延びるとは、第2端縁が第1端縁の両末端に接続した状態で、第1端縁から離間する方向に平面視でせり出していることを示す。
【0011】
シール部材の粘着部が接着する天面の一部を除く部分とは、天面の蓋体を除く部分を示す。天面に着脱可能に接着するとは、天面に接着した状態から剥離することができ、且つ剥離した状態から再び天面に接着することができることを示す。自由端部は、天面に固定も接着もされないシール部材の持手またはつまみを構成し得る部分を示す。粘着部と自由端部との境界線は、シール部材の粘着部と自由端部との境目に沿って延びる線を示す。
【0012】
第1の態様では、シール部材の粘着部と自由端部との境界線が自由端部側に向かって凸となることで、自由端部の第1方向の両端部が摘まみやすくなる。これにより、自由端部の全体が摘まみやすくなり、シール部材が固定された蓋体による取出口の開封または開口あるいは再封または閉口(以下、取出口の開閉という)が容易になる。
【0013】
また、第1の態様では、開裂した天面の一部が取出口を開閉自在に覆う蓋体を構成することで、取出口を閉口することができるため、取出口から包装袋内にゴミや埃等が入りにくくなる。これにより、第1の態様では、シート包装体を衛生的に使用することができる。
【0014】
また、第1の態様では、蓋体の第1端縁が天面に接続されていることで、開裂した天面の一部を構成する蓋体が、包装袋から切り離されずに天面に接続した小片となる。そのため、第1の態様では、取出口の開封時(または開口時)に断片(包装袋から切り離された切れ端等)が発生するのを防ぐことができる。
【0015】
また、第1の態様では、蓋体の第2端縁が天面に接続されないで第1方向と交差する第2方向に凸となるように第1端縁の一方の末端から他方の末端まで延びることで、シール部材の蓋体への固定が容易である。
【0016】
また、第1の態様では、シール部材が蓋体に固定される固定部と天面の蓋体を除く部分に着脱可能に接着する粘着部と天面に接着されない自由端部とを有することで、シール部材が天面の取出口を開閉するためのトリガーを構成し得る。そのため、第1の態様では、シール部材の着脱による蓋体の開閉が容易である。
【0017】
さらに、第1の態様では、シール部材を天面から剥がすと、天面に取出口が開裂し、開裂した天面の一部が蓋体となることで、包装袋の天面を押え付けずに取出口を開封することができる。そのため、第1の態様では、取出口の開封時にシートが破れるのを防ぐことができる。
【0018】
本発明に係る第2の態様は、前記境界線が、弧状である、シート包装体である。本明細書において、弧状とは、曲線状に湾曲していることを示す。第2の態様では、粘着部と自由端部との境界線を弧状にすることで、シール部材の自由端部を摘まんで取出口を開口する際に、粘着部が自由端部側で剥がれやすく、しかも粘着部を剥がす力が固定部側に向かって伝わりやすい。そのため、第2の態様では、少ない力で取出口を開封することができる。
【0019】
本発明に係る第3の態様は、前記自由端部の前記粘着部から離間する側の端縁が、前記粘着部から離れる方向に凸となる、シート包装体である。本明細書において、自由端部の粘着部から離間する側とは、粘着部に隣接する自由端部のうち粘着部側と反対の側を示す。粘着部から離れる方向に凸となるとは、自由端部の粘着部側と反対の側の端縁が第2方向の粘着部から離れる側に向かって先細となることを示す。
【0020】
第3の態様では、自由端部の粘着部から離間する側の端縁が粘着部から離れる方向に凸となることで、シール部材の自由端部がめくれやすくなる。また、シール部材の自由端部がめくれやすくなることで、シール部材の自由端部をしっかりつまむことができる。そのため、第3の態様では、取出口の開閉がさらに容易になる。
【0021】
本発明に係る第4の態様は、前記自由端部の前記端縁が、弧状である、シート包装体である。第4の態様では、自由端部の粘着部から離間する側の端縁を弧状にすることで、シール部材の自由端部を摘まむ際に、自由端部に触れた指先への負担を小さくすることができる。そのため、第4の態様では、シール部材の自由端部が摘まみやすく、取出口の開閉がさらに容易になる。
【0022】
本発明に係る第5の態様は、前記自由端部の前記端縁が、前記境界線と平行である、シート包装体である。本明細書において、平行とは、完全に平行に限定されず、完全な平行から10度以下程度の角度誤差が許容されることを意味する。
【0023】
第5の態様では、自由端部の端縁が境界線と平行であることで、シール部材の自由端部が第1方向に沿って一定の幅を有することができる。これにより、自由端部の全体が摘まみやすくなり、取出口の開閉がさらに容易になる。
【0024】
本発明に係る第6の態様は、前記自由端部の前記第2方向の幅が、前記シール部材の前記第2方向の長さに対して10%以上40%以下である、シート包装体である。本明細書において、自由端部の第2方向の幅とは、第2方向に沿って拡がる自由端部の幅を示す。シール部材の第2方向の長さとは、第2方向に沿って延びるシール部材の長さであり、固定部の第2方向の幅と粘着部の第2方向の幅と自由端部の第2方向の幅との合計の長さを示す。
【0025】
第6の態様では、自由端部の第2方向の幅をシール部材の第2方向の長さに対して10%以上40%以下にすることで、取出口を開閉する際に、シール部材の自由端部は摘まみやすく、粘着部は剥がしやすく、固定部は剥がれにくくなる。
【0026】
本発明に係る第7の態様は、前記自由端部の前記第2方向の幅が、前記粘着部の前記第2方向の幅に対して40%以上60%以下である、シート包装体である。第7の態様では、自由端部の第2方向の幅を粘着部の第2方向の幅に対して40%以上60%以下にすることで、取出口を開閉する際に、シール部材の自由端部を摘まみやすくしながら、さらに粘着部が剥がしやすくなる。
【0027】
本発明に係る第8の態様は、前記固定部の前記第2方向の幅が、前記粘着部の前記第2方向の幅に対して80%以上100%以下である、シート包装体である。第8の態様では、固定部の第2方向の幅を粘着部の第2方向の幅に対して80%以上100%以下にすることで、取出口を開閉する際に、シール部材の自由端部を摘まみやすくし、かつ粘着部を剥がしやすくしながら、固定部が剥がれにくくなる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、取出口の開閉が容易なシート包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施形態のシート包装体を示す図である。
図2図1のシート包装体の包装袋に収容されるシートを示す図である。
図3図1のシート包装体を天面側から見た図である。
図4図1のシート包装体を底面側から見た図である。
図5図1のシート包装体を正面側から見た図である。
図6図1のシート包装体を左側面側から見た図である。
図7図1のシート包装体を右側面側から見た図である。
図8図3で取出口とシール部材を拡大した図である。
図9図8でシール部材を拡大した図である。
図10図9でシール部材を裏側から見た図である。
図11図9のA-A線断面図である。
図12図9のB-B線断面図である。
図13図1のシート包装体で取出口を開口した図である。
図14】比較例のシール部材を拡大した図である。
図15図9のC-C線断面図である。
図16図9のD-D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、各図では、各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。
【0031】
各図において、3軸方向(X方向、Y方向、Z方向)の3次元直交座標系を用い、シート包装体の幅方向をX方向とし、長手方向をY方向とし、高さ方向(上下方向)をZ方向とする。なお、X方向は、本実施形態における第1方向(包装袋の天面上の所定の一方向に沿う方向)に対応し、Y方向は、本実施形態における第2方向(包装袋の天面と同一平面上で第1方向と直交する方向または筋かいに交わる方向に沿う方向)に対応する(図3)。
【0032】
図1は、実施形態のシート包装体を示す図である。図2は、図1のシート包装体の包装袋に収容されるシート(シート積層体)を示す図である。図3は、図1のシート包装体を天面側から見た図である。図4は、図1のシート包装体を底面側から見た図である。図5は、図1のシート包装体を正面側から見た図である。図6は、図1のシート包装体を左側面側から見た図である。図7は、図1のシート包装体を右側面側から見た図である。
【0033】
実施形態に係るシート包装体100は、図1に示すように、包装袋10、取出口20を有する。シート包装体100は、実施形態に係るシート包装体の一例である。包装袋10、取出口20は、実施形態に係るシート包装体を構成する包装袋、取出口の一例である。
【0034】
包装袋10には、積層された複数枚(または複数組)のシートS(以下、シート積層体SLという)が収容される。シート積層体SLは、シートSの積層方向(LD方向)が高さ方向(Z方向)となるように、包装袋10に収容されている(図1図2)。シート積層体SLは、包装袋10に形成される取出口20(開口OP)を通してシートSが1枚ずつ(または1組ずつ)引き出せるようになっている(図13)。
【0035】
シート積層体SLの形態は、特に限定されず、例えば、1枚(または1組)のシートSが、Z折りにされ、上下の折り返し縁部が各々半分に折り返され、さらに長手方向の中央で2つ折りに折り畳まれた状態で折目Fがつまめるように積層されたものを用いることができる(図2)。また、シート積層体SLの形態としては、各シートSが折り込まれた状態で互い違いに積層されたもの(いわゆるポップアップ式のシート積層体)、複数枚のシートSが単に積層されたものを用いてもよい。
【0036】
また、シート積層体SLの寸法は、シート包装体100の長手方向(Y方向)の長さを80mm以上195mm以下、シート包装体100の長手方向(Y方向)に直交する短手方向(X方向)の幅を50mm以上145mm以下、高さ方向(Z方向)の高さを5mm以上80mm以下とすることができる(図2)。
【0037】
シート積層体SLを構成するシートSの態様は、特に限定されず、例えば、ティシューペーパー、トイレットペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオル等の衛生薄葉紙に適用可能である。これらの衛生薄葉紙には、保湿成分を含んだ衛生薄葉紙(例えば、ローションティシュー等)も含まれる。さらに、これらの衛生薄葉紙には、アルコールや次亜塩素酸ナトリウム等の水溶液、芳香剤等の香料、消臭剤等の薬剤等が含まれていてもよい。
【0038】
また、シートSの用途は、特に限定されず、産業用、家庭用、携帯用のいずれも適用できる。なお、本実施形態におけるシートとしては、これらの中でも、家庭用、携帯用のローションティシューが好適に用いられる。
【0039】
シートSのプライ数は、特に限定されず、1プライ以上にすることができ、好ましくは1プライであり、より好ましくは2プライ(2枚重ね)である。また、シートSの形状は、特に限定されず、例えば、2プライのシートが折り畳まれた状態の形状が平面視で四角形(長方形、正方形等)であることが好ましい。
【0040】
シートSの材質は、特に限定されず、例えば、紙、不織布または布等のシートを用いることができ、好ましくは紙製のシート(以下、紙シートという)である。なお、シートSが紙シートの場合、パルプを主原料とする原紙が用いられる。パルプ組成は、紙シートにおける公知の組成を用いることができる。例えば、パルプの配合割合を、50質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%とすることができる。
【0041】
また、シートS(紙シート)におけるパルプ組成は、特に限定されず、例えば、NBKP(針葉樹クラフトパルプ)やNUKP(針葉樹未晒しパルプ)などの針葉樹パルプと、LBKP(広葉樹クラフトパルプ)やLUKP(広葉樹未晒しパルプ)などの広葉樹パルプとを、任意の比率で使用することができる。なお、針葉樹パルプと広葉樹パルプの比は、限定されず、好ましくは10:90~80:20であり、より好ましくは広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成である。また、シートS(紙シート)に含まれるパルプには、古紙パルプを用いてもよい。
【0042】
シートSの坪量は、特に限定されないが、プライ数に応じて、紙の場合は5g/m以上80g/m以下、不織布の場合は20g/m以上100g/m以下のものが望ましい。なお、坪量は、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定することができる。
【0043】
また、シートS(紙シート)の厚みは、特に限定されず、JIS P 8111(1998)の環境下で測定された紙厚を採用することができる。例えば、シートS(紙シートの紙厚は、2プライあたり、50μm以上500μm以下にすることができ、好ましくは60μm以上330μm以下、より好ましくは100μm以上200μm以下である。
【0044】
また、シートS(紙シート)には、エンボス加工が施されていてもよい。このようなエンボス加工は、公知のエンボス付与方法により実施することができる。
【0045】
包装袋10の材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリアミド(PA)等の樹脂を用いることができる。
【0046】
なお、これらの樹脂の中でも、柔軟で取扱い性に優れ、シール性が高く、安価であること等の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等が好ましい。また、無臭であり、耐水性・耐薬品性に優れ、低コストで大量生産が可能である観点から、ポリエチレンが好ましい。ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等を用いることができる。また、堅牢であり、成形しやすく、印刷時の発色がよく、また光沢を付与できること等の観点からは、ポリプロピレンが好ましい。
【0047】
包装袋10の形態は、特に限定されず、上述の樹脂が単層で形成された単層フィルム、上述の樹脂を積層したラミネートフィルム、または、上述の2種類以上の樹脂の混合物で形成された混合フィルムであってもよい。
【0048】
包装袋10の厚みは、特に限定されず、好ましくは10μm以上100μm以下、より好ましくは15μm以上70μm以下である。包装袋10の厚みを10μm以上とすることで、シートSが収容される包装袋10としての十分な強度を確保することができる。また、包装袋10の厚みを100μm以下とすることで、包装袋10の柔軟性及び軽量性を確保できるとともに、コストが抑えられる。
【0049】
なお、包装袋10の材質が樹脂等のフィルムの場合、流れ方向(樹脂成形において樹脂を流す方向またはフィルムの延伸方向)は、第2方向(Y方向)となることが好ましく、流れ方向と直交する方向は、第1方向(X方向)であることが好ましい(図3)。
【0050】
なお、包装袋10を形成する材質は、上述した可撓性フィルム等の樹脂材料に限定されず、紙材料(クラフト紙等)を用いてもよい。また、包装袋10を形成する材質には、生分解性材料(生分解性プラスチック、生分解性紙等)、バイオマス材料(バイオマスフィルム等の再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの)を用いてもよい。
【0051】
包装袋10の包装形態は、特に限定されない。包装袋10の包装形態としては、例えば、筒状の可撓性フィルムの両端部またはいずれか一方の端部をシール(封止)する包装(ピロー包装)、筒状の可撓性フィルムの両端部を折り畳んでシール(封止)する包装(キャラメル包装)、熱収縮性の樹脂フィルムを加熱して被包装体に密着させる包装(シュリンク包装)、またはこれらを組み合わせた包装等を採用することができる。
【0052】
本実施形態では、図1図3図7に示すように、包装袋10がピロー包装袋で構成されている。具体的には、シート包装体100において、三つ折りされた筒状の可撓性フィルムの両端部10A、10Bに溶着部30、40がそれぞれ形成された状態でシートS(シート積層体SL)が包装されている(図1図3図4)。なお、ピロー包装袋を構成する筒状の包装袋用シートは、ガセット状に折り込まれていてもよい。
【0053】
溶着部30は、第1方向(X方向)に延びる内端31と外端32を有し、内端31で包装袋10の端部10Aを熱溶着により封止する。また、溶着部40は、第1方向(X方向)に延びる内端41と外端42を有し、内端41で包装袋10の端部10Bを熱溶着により封止する(図3図7)。
【0054】
また、包装袋10は、天面11、底面12を有する。シート包装体100では、天面11と底面12が上下方向(Z方向)に対向する(図1図3図7)。なお、天面11は、本実施形態に係るシート包装体を構成する包装袋の天面の一例である。
【0055】
天面11は、第1方向(X方向)に延びる端縁11A、11Bと第2方向(Y方向)に延びる端縁11C、11Dを有する。底面12は、第1方向(X方向)に延びる端縁12A、12Bと第2方向(Y方向)に延びる端縁12C、12Dを有する(図3図4)。
【0056】
天面11の端縁11A及び底面12の端縁12Aには、溶着部30が形成されている。天面11の端縁11B及び底面12の端縁12Bには、溶着部40が形成されている(図3図7)。すなわち、包装袋10では、天面11の端縁11Aと底面12の端縁12Aとが、溶着部30を介して一体化され、天面11の端縁11Bと底面12の端縁12Bとが、溶着部40を介して一体化されている(図5図7)。
【0057】
包装袋10の寸法は、シート包装体100の長手方向(Y方向)の長さL1を80mm以上200mm以下、シート包装体100の長手方向(Y方向)に直交する短手方向(X方向)の幅W1を50mm以上150mm以下、高さ方向(Z方向)の高さJを5mm以上85mm以下とすることができる(図3図5)。なお、この包装袋10の寸法は、包装袋10にシート積層体SLが収容された状態での寸法を示す(図1図2図13)。
【0058】
取出口20は、天面11に形成されて、シートSが取り出される(図13)。取出口20は、包装袋10の天面11の一部BLが開裂すると天面11に開口する(図1図13)。本実施形態では、取出口20が天面11に形成された開裂用切目線CL(例えば、ミシン目)で形成され、この開裂用切目線CLが開裂することで、包装袋10の天面11に開口OPが形成され、この開口OPが取出口20を構成する(図1図3図13)。
【0059】
なお、開裂用切目線CLは、カットC1とタイT1(2つのカットC1間のカットされていない部分)が交互に配置され、タイT1が破断すると両隣のカットC1が連続したカットになる切目線である(図3図8)。
【0060】
開裂用切目線CLにおいて、カットC1の長さ、及びタイT1の長さは、任意である。各カットC1の長さは、0.8mm以上9.0mm以下にすることができ、好ましくは1.5mm以上8.0mm以下、より好ましくは2.5mm以上7.0mm以下である。また、各タイT1の長さは、0.3mm以上5.0mm以下にすることができ、好ましくは0.4mm以上2.0mm以下、より好ましくは0.5mm以上1.5mm以下である。
【0061】
なお、本実施形態では、取出口20の先端20Cを、連続する切目線(図示せず)で構成してもよい。ここで、連続する切目線は、予めカットされていることを示す。具体的には、取出口20を構成する開裂用切目線CLの一部(先端20C)が、1つのカット(図示せず)で構成されていることを示す。
【0062】
取出口20の先端20Cのカットの長さは、任意である。例えば、カットの長さは、10mm以上30mm以下にすることができ、好ましくは13mm以上27mm以下、より好ましくは16mm以上25mm以下である。
【0063】
取出口20の形状は、任意である。本実施形態では、取出口20の形状が、平面視で半楕円形状となっている。具体的には、取出口20は、天面11の端縁11B側の末端20Aから末端20Bに延び、天面11の端縁11Bから中央部11Eに向かって凸となるように形成されている(図1図3図8)。
【0064】
ここで、天面11の中央部11Eは、天面11の中心(図心)Gを含み、天面11全体の10分の1から5分の1程度の広さの領域を示す。天面11の中央部11Eに対して、取出口20は、第2方向(Y方向)の端縁11B側に形成されている(図3)。
【0065】
なお、第2方向(Y方向)における取出口20の間隔L2は、包装袋10の長手方向(Y方向)の長さL1に対して、15%以上60%以下であり、好ましくは20%以上55%以下、より好ましくは25%以上50%以下である。また、第1方向(X方向)における取出口20の間隔W2は、包装袋10の幅方向(X方向)の幅W1に対して、50%以上90%以下であり、好ましくは60%以上85%以下、より好ましくは70%以上80%以下である(図3)。
【0066】
本実施形態のシート包装体100は、さらに蓋体50を有する。蓋体50は、開裂した天面11の一部BLで形成され、取出口20を開閉自在に覆う。ここで、取出口20を開閉自在に覆うとは、蓋体50が取出口20を覆う状態から取出口20を開口することができ、且つ開口した取出口20(開口OP)を再び蓋体50で覆うことができる(図1図3図13)。
【0067】
蓋体50は、第1端縁51と、第2端縁52とを有する。第1端縁51は、天面11に接続されて第1方向(X方向)に延びる。第2端縁52は、天面11に接続されないで第2方向(Y方向)に凸となり且つ第1端縁51の一方の末端20Aから他方の末端20Bまで延びる。
【0068】
天面11に接続される第1端縁51は、開裂用切目線CLが開裂した後も、取出口20(OP)が開口した状態で天面11に接続された蓋体50の固定端51を構成する。この固定端51を構成する蓋体50の第1端縁51は、取出口20を開閉する際の基端となる取出口20の溶着部40側の端縁20Dに対応する(図3図8)。なお、取出口20の端縁20Dは、溶着部40の内端41に構成され、蓋体50の第1端縁51(取出口20の端縁20D)は、溶着部40の内端41に固定されている(図3図8図13)。
【0069】
天面11に接続されない第2端縁52は、開裂用切目線CLが開裂すると形成され、取出口20が開口した状態で天面11に接続されない蓋体50の自由端52を構成する。ここで、第2端縁52が凸となり且つ第1端縁51の一方の末端20Aから他方の末端20Bまで延びるとは、第2端縁52が第1端縁51の両末端20A、20Bに接続した状態で、第1端縁51から離間する方向に離れる方向(SD方向)に平面視でせり出すことを示す(図3図8)。
【0070】
本実施形態に係るシート包装体100は、蓋体50に固定され、天面11に接着するシール部材60を有する。シール部材60は、固定部61、粘着部62、及び自由端部63を有する(図1図3図8図9図13)。
【0071】
シール部材60の固定部61は、蓋体50に固定されている。具体的には、固定部61は、第2端縁52の一部52Aに沿って蓋体50の内側に固定されている(図3図8)。なお、本実施形態では、固定部61がシール部材60に設けられているが、固定部61の位置はこれに限定されず、例えば、固定部61を包装袋10に天面11(蓋体50となる部分)上に設けてもよい。
【0072】
なお、第2端縁52の一部52Aは、取出口20の先端20Cに対応する(図3図8)。本実施形態では、取出口20の先端20Cの第1方向(X方向)の間隔W4が、シール部材60の第1方向(X方向)の幅W3よりも短い(図3図8)。
【0073】
ここで、シール部材60の第1方向(X方向)の幅W3は、シール部材60の第1方向(X方向)に広がる範囲を示す。先端20Cの第1方向(X方向)の間隔W4は、先端20Cを構成する第2端縁52の一部52Aの第1方向(X方向)に沿う一方の末端52Bから他方の末端52Cまでの距離を示す。
【0074】
また、先端20Cの第1方向(X方向)の間隔W4は、任意であるが、シール部材60の第1方向(X方向)の幅W3に対して、75%以上99%以下であり、好ましくは80%以上95%以下、より好ましくは85%以上90%以下である。本実施形態では、例えば、シール部材60の第1方向(X方向)の幅W3は約25mmであり、先端20Cの第1方向(X方向)の間隔W4は約22mmである。
【0075】
シール部材60では、固定部61の第2方向(Y方向)の幅L4は、シール部材60の第2方向(Y方向)の長さL3に対して、10%以上70%以下であり、好ましくは20%以上60%以下、より好ましくは30%以上50%以下である(図8図9)。
【0076】
ここで、シール部材60の第2方向(Y方向)の長さL3は、第2方向(Y方向)に沿って延びるシール部材60の長さであり、固定部61の第2方向(Y方向)の幅L4と粘着部62の第2方向(Y方向)の幅L5と自由端部63の第2方向(Y方向)の幅L6との合計の長さを示す(図8図9)。
【0077】
また、固定部61の第2方向(Y方向)の幅L4は、第2方向(Y方向)に沿って拡がる固定部61の幅を示す(図8図9)。粘着部62の第2方向(Y方向)の幅L5は、第2方向(Y方向)に沿って拡がる粘着部62の幅を示す(図9)。自由端部63の第2方向(Y方向)の幅L6は、第2方向(Y方向)に沿って拡がる自由端部63の幅を示す(図9)。
【0078】
シール部材60の粘着部62は、固定部61に隣接して天面11の一部BLを除く部分に着脱可能に接着する(図9図13)。なお、シール部材60の粘着部62が接着する天面11の一部BLを除く部分は、天面11の蓋体50を除く部分に対応する。天面11に着脱可能に接着するとは、粘着部62が、天面11に接着した状態から剥離し、且つ剥離した状態から再び天面11に接着し得ることを示す(図1図13)。
【0079】
粘着部62の第2方向(Y方向)の幅L5は、シール部材60の第2方向(Y方向)の長さL3に対して、5%以上65%以下であり、好ましくは15%以上55%以下、より好ましくは25%以上45%以下である(図9)。
【0080】
自由端部63は、粘着部62に隣接して天面11に接着されない(図9図13)。具体的には、自由端部63は、シール部材60において天面11に固定も接着もされないシール部材60の持手を構成し得る部分を構成する(図1図3図8図9図13)。
【0081】
自由端部63の第2方向(Y方向)の幅L6は、第2方向(Y方向)におけるシール部材60の長さL3に対して、10%以上40%以下であり、好ましくは15%以上35%以下、より好ましくは20%以上30%以下である(図9)。
【0082】
なお、自由端部63の形状は、任意であり、本実施形態では、自由端部63の粘着部62から離間する側の端縁(端縁63D)が、粘着部62から離れる方向に凸となっており、好ましくは自由端部63の端縁63Dが弧状である(図3図8図10)。
【0083】
ここで、自由端部63の粘着部62から離間する側は、粘着部62に隣接する自由端部63のうち粘着部62側と反対の側を示す。粘着部62から離れる側に向かって凸となるとは、自由端部63の粘着部62側と反対の側の端縁(端縁63D)が第2方向(Y方向)の粘着部62から離れる側に向かって先細となることを示す。
【0084】
シール部材60の態様は、限定されず、例えば、基材BMに、接着剤G1、G2が塗布されたものを用いることができる(図10図12)。本実施形態では、基材BMのうち、接着剤G1の塗布面が形成された部分が固定部61を構成し、接着剤G2の塗布面が形成された部分が粘着部62を構成し、接着剤G1、G2の塗布面がいずれも形成されない部分が自由端部63を構成する(図10図12)。
【0085】
基材BMの材質は、限定されないが、上述の包装袋10に用いられる可撓性フィルム等の樹脂材料、紙材料、生分解性材料、バイオマス材料等を用いることができる。また、基材BMの形態は、限定されず、上述の包装袋10に用いられる単層フィルム、ラミネートフィルム、混合フィルムを用いることができる。さらに、基材BMの厚みは、上述の包装袋10に用いられる厚みを採用することができる。
【0086】
また、固定部61の接着剤G1の材質は、限定されないが、粘着力が2N/25mm以上6N/25mm以下の接着剤であることが好ましい。また、粘着部62の接着剤G2の材質は、限定されないが、粘着力が2N/6mm以上8N/25mm以下となる材質であることが好ましい。ここで、粘着力とは、JIS Z0237を参考にした粘着力試験法により測定した引きはがし抵抗値を示す。
【0087】
固定部61の接着剤G1と粘着部62の接着剤G2の接着力は、任意である。例えば、固定部61の接着剤G1に対して、粘着部62の接着剤G2の接着力を弱くすることができる。また、固定部61の接着剤G1と粘着部62の接着剤G2とを、同じ接着力にしてもよい。なお、固定部61の接着剤G1と粘着部62の接着剤G2とを、同じ接着力にする場合は、接着剤G1と接着剤G2とを同じ接着剤にすることができる。
【0088】
また、自由端部63では、固定部61と粘着部62と同じ接着剤を一旦塗布した上で、その上にニス等の塗布やフィルムの貼り付け等を行って接着性を失わせてもよい。また、自由端部63は、接着剤を最初から塗布しない状態で構成してもよい。
【0089】
なお、シール部材60を裏面から見ると、固定部61は、端縁61A、61B、61C、61Dで囲まれた範囲に接着剤G1の塗布面が形成されている。また、粘着部62は、端縁62A、62B、62C、62Dで囲まれた範囲に接着剤G2の塗布面が形成されている。さらに、自由端部63は、端縁63A、63B、63C、63Dで囲まれた範囲に、基材BMの一部が露出している(図9図10)。
【0090】
また、固定部61の端縁61Dと粘着部62の端縁62Aとは、固定部61と粘着部62の境界E1を構成する(図10)。境界E1の形状は、任意であるが、境界E1が固定部61側から粘着部62側に向かって平面視で凸となっていることが好ましい(図10)。ここで、境界E1は、シール部材60の固定部61と粘着部62との境目に沿って延びる線を構成する。
【0091】
また、粘着部62の端縁62Dと自由端部63の端縁63Aとは、粘着部62と自由端部63の境界E2を構成する(図10)。本実施形態では、境界E2の形状が粘着部62側から自由端部63側に向かって平面視で凸となっている(図10)。ここで、境界E2は、シール部材60の粘着部62と自由端部63との境目に沿って延びる線を構成する。なお、境界E2は、本実施形態のシート包装体における粘着部と自由端部の境界線の一例である。
【0092】
本実施形態では、シール部材60の粘着部62と自由端部63との境界線が自由端部63側に向かって凸となることで、自由端部63の第1方向(X方向)の両端部F1、F2が摘まみやすくなる(図9図10)。これにより、自由端部63の全体が摘まみやすくなり、シール部材60が固定された蓋体50による取出口20の開封または開口あるいは再封または閉口(取出口20の開閉)が容易になる。
【0093】
本実施形態では、取出口20にシール部材60が固定部61を介して固定されていることで、取出口20に指先が触れることなく、取出口20の開閉を行うことができる。そのため、本実施形態によれば、取出口20の開閉時の指先への負担を抑制することができる(図1図3図8図13)。
【0094】
また、本実施形態では、開裂した天面11の一部BLが取出口20を開閉自在に覆う蓋体50を構成することで、取出口20を閉口することができるため、取出口20から包装袋10内にゴミや埃等が入りにくくなる。これにより、本実施形態では、シート包装体100を衛生的に使用することができる。
【0095】
また、本実施形態では、蓋体50の第1端縁51が天面11に接続されていることで、開裂した天面11の一部BLを構成する蓋体50が、包装袋10から切り離されずに天面11に接続した小片となる(図13)。そのため、本実施形態では、取出口20の開封時(または開口時)に断片(包装袋10から切り離された切れ端等)が発生するのを防ぐことができる。
【0096】
また、本実施形態では、蓋体50の第2端縁52が天面11に接続されないで(自由端を形成し)、第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)に凸となるように第1端縁51の一方の末端20Aから他方の末端20Bまで延びることで、シール部材60の蓋体50への固定が容易である(図3図8)。
【0097】
また、本実施形態では、シール部材60が蓋体50に固定される固定部61と天面11の蓋体50を除く部分に着脱可能に接着する粘着部62と天面11に接着されない自由端部63とを有することで、シール部材60が天面11の取出口20を開閉するためのトリガーTGを構成し得る(図1図3図8図10)。そのため、本実施形態では、シール部材60の着脱による蓋体50の開閉が容易である。
【0098】
さらに、本実施形態では、シール部材60を天面11から剥がすと、天面11に取出口20が開裂し、開裂した天面11の一部BLが蓋体50となることで、包装袋10の天面11を押え付けずに取出口20を開封することができる(図1図13)。そのため、本実施形態では、取出口20の開封時にシートSが破れるのを防ぐことができる。
【0099】
また、本実施形態では、自由端部63の粘着部62から離間する側の端縁63Dが粘着部62から離れる方向に凸となることで、シール部材60の自由端部63がめくれやすくなる。また、シール部材60の自由端部63がめくれやすくなることで、シール部材60の自由端部63をしっかりつまむことができる。そのため、本実施形態では、取出口20の開閉がさらに容易になる(図1図3図8図10図13)。
【0100】
さらに、本実施形態では、自由端部63の粘着部62から離間する側の端縁63Dを弧状にすることで、シール部材60の自由端部63を摘まむ際に、自由端部63に触れた指先への負担を小さくすることができる。そのため、本実施形態では、シール部材の自由端部63が摘まみやすく、取出口20の開閉がさらに容易になる(図1図3図8図10図13)。
【0101】
なお、本実施形態では、上述のように、取出口20の先端20Cを、連続する切目線で構成することで、取出口20の開封時に包装袋10の天面11の一部BLが開裂しやすい上述のように取出口20の先端20Cの第1方向(X方向)の間隔W4がシール部材60の第1方向(X方向)の幅W3よりも短いことで、先端20Cを構成する第2端縁52の一部52Aの両末端52B、52Cをシール部材60で覆うことができる(図1図3図8図13)。そのため、本実施形態では、取出口20の開封時にシール部材60に覆われた取出口20の先端20Cの周辺で、包装袋10の天面11が予期せぬ部分で破れるのを抑制することができる。
【0102】
なお、本実施形態では、取出口20を天面11の第2方向(Y方向)の一方の端縁11B側に形成することで、取出口20を天面11の溶着部40側に開口させることができる。これにより、取出口20からシートSを取り出す際に、シートSを天面11側に引き出すことができ、また第2方向(Y方向)に沿って溶着部40側にも引き出すことができる。そのため、本実施形態によれば、使い勝手がよいシート包装体100を提供することができる(図1図3図13)。
【0103】
また、本実施形態では、取出口20が天面11の第2方向(Y方向)の一方の端縁11B側に形成されているため、取出口20が天面11全体に形成されることはない。そのため、取出口20が開封または開口した後も包装袋10の形状が保たれやすく、包装袋10内でシートS(シート積層体SL)の収容状態が乱れにくい。そのため、本実施形態によれば、シート包装体100を最後まできれいに使用することができる(図13)。
【0104】
本実施形態のシート包装体100において、平面視で凸となる粘着部62と自由端部63の境界E2の形状は、任意であり、例えば、凸型、V字状等の直線が折れ曲がった形状、U字状、弧状等の少なくとも一部が曲線となる形状等である。本実施形態では、これらの中でも、平面視で弧状であることが好ましくい。ここで、弧状とは、曲線状に湾曲していることを示す(図3図8図10)。
【0105】
本実施形態では、粘着部62と自由端部63の境界E2(境界線)を弧状にすることで、シール部材60の自由端部63を摘まんで取出口20を開口する際に、粘着部62が自由端部63側で剥がれやすく、しかも粘着部62を剥がす力が固定部61側に向かって伝わりやすい。そのため、本実施形態では、少ない力で取出口20を開封することができる(図3図8図10)。
【0106】
シール部材60では、さらに、自由端部63の粘着部62から離間する側の端縁(端縁63D)が、粘着部62と自由端部63の境界E2(境界線)と平行である(図9図10)。なお、本実施形態では、自由端部63の端縁63Dは、固定部61と粘着部62の境界E1とも平行である。ここで、平行とは、完全に平行に限定されず、完全な平行から10度以下程度の角度誤差が許容されることを意味する。
【0107】
本実施形態では、自由端部63の端縁63Dが粘着部62と自由端部63の境界E2(境界線)と平行であることで、シール部材60の自由端部63が第1方向(X方向)に沿って一定の幅を有することができる。これにより、自由端部63の全体が摘まみやすくなり、取出口20の開閉がさらに容易になる(図3図8図10)。
【0108】
本実施形態では、自由端部63の第2方向(Y方向)の幅L6をシール部材60の第2方向(Y方向)の長さL3に対して10%以上40%以下にすることで、取出口20を開閉する際に、シール部材60の自由端部63は摘まみやすく、粘着部62は剥がしやすく、固定部61は剥がれにくくなる。
【0109】
また、本実施形態では、自由端部63の第2方向(Y方向)の幅L6は、粘着部62の第2方向(Y方向)の幅L5に対して40%以上60%以下であることが好ましい(図8図10)。
【0110】
本実施形態では、自由端部63の第2方向(Y方向)の幅L6を粘着部62の第2方向(Y方向)の幅L5に対して40%以上60%以下にすることで、取出口20を開閉する際に、シール部材60の自由端部63を摘まみやすくしながら、さらに粘着部62が剥がしやすくなる。
【0111】
また、シール部材60において、固定部61の第2方向(Y方向)の幅L4は、粘着部62の第2方向(Y方向)の幅L6に対して80%以上100%以下であることが好ましい(図8図10)。
【0112】
本実施形態では、固定部61の第2方向(Y方向)の幅L4を粘着部62の第2方向(Y方向)の幅に対して80%以上100%以下にすることで、取出口20を開閉する際にシール部材60の自由端部63を摘まみやすくし、かつ粘着部62を剥がしやすくしながら、固定部61が剥がれにくくなる。
【0113】
以下、本実施形態について、さらに実施例を用いて具体的に説明する。実施例、比較例の評価は、以下の試験により行った。
【0114】
[シート包装体(試験体)]
試験体として、複数枚のシート(積層体)が包装袋に包装されたシート包装体を用意した(図1図7)。シート積層体は、シートが折り畳まれた状態で積層された保湿成分を含んだティシューペーパー(商品名「エリエール贅沢保湿」、大王製紙株式会社製、2プライ、組数:14組(28枚)、寸法:長さ(横幅)約125mm、奥行(縦幅)約75mm)、高さ(嵩)約13mm、を用いた。シート積層体は、積層方向がシート包装体の高さ方向(Z方向)となるように包装袋に収容した。包装袋の材質は、厚み62μmのポリエチレン(PE)を用いた。包装袋の包装形態は、包装袋の長手方向の両端部を加熱により封止して溶着部を形成するピロー包装とした。包装袋の寸法は、長手方向の長さを約134mm、幅方向の幅を約84mm、高さ方向の高さを約12mmとした。包装袋の天面に、包装袋の天面に開裂すると天面に開口する取出口が形成される開裂用切目線を設け、該開裂用切目線が開裂した天面の一部で形成され、取出口を開閉自在に覆う蓋体を、一部の端縁が天面に接続するように設けた(図8)。また、包装袋の天面には、蓋体に固定され、天面に接着するシール部材を設けた。シール部材には固定部、粘着部、及び自由端部を設けた(図9、10)。
【0115】
[摘まみやすさ]
シール部材を摘まんで、包装袋の天面の開裂用切目線を開裂したときの、シール部材の摘まみやすさを確認した。摘まみやすさの評価は、5名のユーザーがシール部材を摘まんだ際に摘まみやすいと回答したユーザーの数が、5名の場合は〇、1~4名の場合は△、0名の場合は×とした。
【0116】
[開けやすさ]
シール部材を摘まんで、包装袋の天面の開裂用切目線を開裂したときの、取出口の開けやすさを確認した。開けやすさの評価は、5名のユーザーが包装袋の天面の開裂用切目線を開裂した際に取出口が開けやすいと回答したユーザーの数が、5名の場合は〇、1~4名の場合は△、0名の場合は×とした。
【0117】
[シール剥がれ]
シール部材を摘まんで、包装袋の天面の開裂用切目線を開裂して取出口を開口したときの、シール部材の剥がれにくさい(シール剥がれ)を確認した。シール剥がれの評価は、5名のユーザーが取出口を開口した際に、シール部材が天面から剥がれたユーザーの数が、0名の場合は〇、1~2名の場合は△、3名以上の場合は×とした。
【0118】
以下、実施例及び比較例について、説明する。
【0119】
[実施例1]
シール部材60の粘着部62と自由端部63の境界E2(境界線)が自由端部63側に向かって平面視で弧状の凸(凸状曲線)であり、自由端部63の粘着部62から離間する側の端縁63Dが平面視で弧状の凸であり、自由端部63の粘着部62から離間する側の端縁63Dが、粘着部62と自由端部63の境界E2(境界線)に対して略平行であるシール部材60を設けた(図8図10)。結果を表1に示す。
【0120】
[比較例1]
シール部材70の粘着部72と自由端部73の境界(境界線)が直線であり、自由端部73の粘着部72から離間する側の端縁73Bが、粘着部62と自由端部63の境界(境界線)に対して平行にならない以外は実施例1と同様に評価した(図14図16)。結果を表1に示す。
【0121】
[比較例2]
比較例1に対して、シール部材70の自由端部73の面積を約1.7倍にした以外は、実施例1と同様に評価した)。結果を表1に示す。
【0122】
【表1】
【0123】
表1より、シール部材の粘着部と自由端部の境界(境界線)が自由端部側に向かって平面視で弧状の凸(凸状曲線)であり、自由端部の粘着部から離間する側の端縁が平面視で弧状の凸であり、自由端部の粘着部から離間する側の端縁が、粘着部と自由端部の境界(境界線)に対して略平行であるシール部材が設けられたシート包装体は、摘まみやすさ、開けやすさ、シール剥がれのいずれも良好であった(実施例1、図1図13)。
【0124】
これに対して、シール部材の粘着部と自由端部の境界(境界線)が直線で、自由端部の粘着部から離間する側の端縁が粘着部と自由端部の境界(境界線)に対して平行にならないシール部材が設けられたシート包装体は、摘まみやすさ、開けやすさが良好ではなかった(比較例1)。また、比較例1に対して、自由端部の面積を約1.7倍にしたシール部材が設けられたシート包装体は、シール剥がれが不良であった(比較例3)。
【0125】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0126】
100 シート包装体
S シート
F 折目
SL シート積層体
LD 積層方向
10 包装袋
10A、10B 端部
11 天面
11A、11B、11C、11D 端縁
11E 中央部
G 中心(図心)
BL 一部(小片)
12 底面
12A、12B、12C、12D 端縁
20 取出口
20A、20B 末端
20C 先端
20D 端縁
CL 開裂用切目線
C1 カット
T1 タイ
OP 開口
30 溶着部
31 内端
32 外端
40 溶着部
41 内端
42 外端
50 蓋体
51 第1端縁(固定端)
52 第2端縁(自由端)
52A 一部
52B、52C 末端
52C 末端
SD 第1端縁51から離間する方向に離れる方向
60 シール部材
TG トリガー
61 固定部
61A、61B、61C、61D 端縁
62 粘着部
62A、62B、62C、62D 端縁
63 自由端部
63A、63B、63C、63D 端縁
BM 基材
G1、G2 接着剤
E1、E2 境界
L1、L3 長さ
L2、L4、L7 間隔
L5、L6 幅
W1、W3 幅
W2、W4 間隔
J 高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16