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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138360
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】面照明装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
A61L2/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038202
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】500420476
【氏名又は名称】株式会社オプトデザイン
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 榮一
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA28
4C058AA30
4C058BB06
4C058DD07
4C058KK02
4C058KK12
4C058KK22
4C058KK28
4C058KK33
(57)【要約】

【課題】LED光源のような小さい光源から発した紫外線光を均一化できる面照明装置の提供。
【解決手段】面照明光源装置は、紫外線発光ダイオード又は複数個の紫外線発光ダイオードの集合体で構成された点光源と、所定面積の底面及び側面並びに開口を有し、内壁面に、光を反射及び乱反射させる内側及び側面反射部が設けられ、底面の中央部に前記点光源が配設されるケーシングと、前記開口を覆い、光を透過、反射及び乱反射させる放射側反射手段と、前記放射側反射手段は、前記点光源の真上部分に所定範囲の中央反射部と該中央反射部の外周囲に外方反射部とを有する。前記外方反射部は、一部光を透過、反射及び乱反射し所定の反射率を有する反射部材からなり、前記中央反射部は前記外方反射部の反射率より高い反射率を有する光透過性の反射部で形成されている。さらに、この面照明装置の前記ケーシングの内側及び側面反射部の双方に、紫外線用の反射層を設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線発光ダイオード又は複数個の紫外線発光ダイオードの集合体で構成された点光源と、
所定面積の底面及び側面並びに開口を有し、内壁面に、光を反射及び乱反射させる内側及び側面反射部が設けられ、底面の中央部に前記点光源が配設されるケーシングと、
前記開口を覆い、光を透過、反射及び乱反射させる放射側反射手段と、
前記放射側反射手段は、前記点光源の真上部分に所定範囲の中央反射部と該中央反射部の外周囲に外方反射部とを有し、
前記外方反射部は、一部光を透過、反射及び乱反射し所定の反射率を有する反射部材からなり、
前記中央反射部は前記外方反射部の反射率より高い反射率を有する光透過性の反射部で形成されている面照明装置であって、
前記ケーシングの内側及び側面反射部の双方に、紫外線用の反射層を設けたこと、
を特徴とする面照明装置。
【請求項2】
前記反射層が、アルミシート又はアルミニウムを蒸着したミラーによって構成されている請求項1の面照明装置。
【請求項3】
前記反射層が、アルミニウムによる反射膜と、フッ化マグネシウム又はフッ化リチウムを用いた保護膜とにより構成されている請求項1の面照明装置。
【請求項4】
前記反射層が、酸化チタン系顔料、酸化亜鉛系顔料、又は、酸化マンガン系顔料を用いた塗料の塗布により形成されている請求項1の面照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紫外線発光LEDを用いた面照明装置に関 する。
【背景技術】
【0002】
例えば、LCD(Liquid Crystal Display)バックライト、照明看板、自動車・車両の表示装置や一般照明に利用される面照明装置としては、エッジライト型や直下型の面照明が使用される。近年、面照明装置と光触媒シートと組み合わせ、抗菌、防カビ、防汚、脱臭、等の空気浄化や、面照明装置によるフォトリアクター、光合成等に利用されるようになってきている。
【0003】
特許文献1には、導光体を用いない直下型の面照明装置が開示されている。この面照明装置は、点光源と、所定面積の底面及び側面並びに開口を有し内壁面に光を反射及び乱反射させる内側及び側面反射部が設けられたケーシングと、前記開口を覆い、光を透過、反射及び乱反射させる放射側反射手段とを備え、前記ケーシングは、その底面の中央部に前記 占光源が配設されて、前記放射側反射手段は、前記点光源の真上部分に所定範囲の中央反射部と該中央反射部の外周囲に外方反射部とを有し、前記外方反射部は、一部光を透過、反射及び乱反射し所定の反射率を有する反射部材からなり、前記中央反射部は前記外方反射部の反射率より高い反射率を有する光透過性の反射部で形成されているものである。
【0004】
特許文献2には、面状照明装置を備えた液晶表示装置が開示されている。第6の実施形態には、LEDと反射層との間に3層の導光層を積層した導光層を有し、同じ導光層内の光散乱粒子は同じ密度に形成されているが、各層間の光散乱粒子の密度は異なっており、液晶表示パネルに近い側から順に導光層の光散乱粒子の密度が高くなっているものが開示されている。
【0005】
特許文献3には、光源からの光を高い効率で利用しながら、光の放射方向の厚みを増大させることなく、放射面から所定の距離離れた面において均一な照明光を得ることのできる面照明光源装置が開示されている。この面照明光源装置は、光を放射する光源12と、光源12からの光を伝搬してその放射方向の所定位置に放射面を有する導光体14と、導光体14の放射面以外の面を閉鎖し光源12を略中央に配置したケーシング16と、ケーシング16と導光体14の間に設けられて導光体内部を伝搬する光を反射する反射面を有する内側反射部18と、放射面上に配置され導光体内部を伝搬する光を所定の割合で反射させる反射面を有する外方反射部22、及び外方反射部22に形成され光源12からの光のうち少なくとも1回はいずれかの反射面で反射された反射光を通過させる開口部24、を有する放射側反射部20と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4280283号公報
【特許文献2】特許第4461197号公報
【特許文献3】特許第4764962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、特許文献2、特許文献3記載の面照明装置は、可視光領域で、1つのLEDにより、光の面状照明光源を構成し、単一および複数個により面状照明光源装置を構成している。しかしながら、上記各特許文献には、光源が紫外線領域での技術については述べられてない。
【0008】
本発明は、LED光源のような小さい光源から発した紫外線光を均一化できる面照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明によれば、紫外線発光ダイオード又は複数個の紫外線発光ダイオードの集合体で構成された点光源と、所定面積の底面及び側面並びに開口を有し、内壁面に、光を反射及び乱反射させる内側及び側面反射部が設けられ、底面の中央部に前記点光源が配設されるケーシングと、前記開口を覆い、光を透過、反射及び乱反射させる放射側反射手段と、前記放射側反射手段は、前記点光源の真上部分に所定範囲の中央反射部と該中央反射部の外周囲に外方反射部とを有し、前記外方反射部は、一部光を透過、反射及び乱反射し所定の反射率を有する反射部材からなり、前記中央反射部は前記外方反射部の反射率より高い反射率を有する光透過性の反射部で形成されている面照明装置であって、前記ケーシングの内側及び側面反射部の双方に、紫外線用の反射層を設けたが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、LED光源のような小さい光源から発した紫外線光についても、その点光源の放射方向の厚みを増大させることなく、均一化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の面照明光源装置の概略断面図である。
図2】本発明の放射側反射部の構成を示した概略説明図である。
図3】本発明の放射側反射部の変形構成を示した図である。
図4】本発明の放射側反射部の変形構成を示した図である。
図5】本発明の面照明光源装置のケーシングの変形例を示す縦断面図である。
図6】本発明の面照明光源装置の点光源の配置の変形例を示す平面図である。
図7】本発明の面照明光源装置を連結した構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面により説明する。本発明に係る面照明光源装置1は、例えば図1に示すように、紫外線を照射し得る紫外LED(UV-LED)によって構成された点光源点光源 2と、この点光源2の放射方向に放射面3Aを有する導光体3と、点光源2を囲設すると共に導光体3の放射面以外の面を閉鎖するケーシング4とによって構成されると共に、ケーシング4と導光体3の間の全体に内側反射手段としての内側反射部5及び側面反射部5Aが設けられる。また、放射面3Aには、点光源2からの光を所定の割合で反射させる放射側反射手段としての放射側反射部6が設けられるものである。
【0013】
そして、これら内側反射部5、側面反射部5Aおよび放射側反射部6には、光吸収の少ない材質として、少なくとも超微細発泡光反射板(商品名 MCPET)よりも表面反射率が高い反射層を設ける。このような反射層は、紫外領域で反射率の高いアルミシートを用いて構成することができる。具体的には、このようなアルミシート材として、表面反射率98%の高反射アルミニウム板として知られているAlanod社のMIRO-SILVER(登録商標)を用いることができる。
【0014】
導光体3は、例えば、光学ガラスにより構成することができる。また、アクリル樹脂等の透明度の良いプラスチックを使用できる。さらに、シリコン樹脂等の柔軟な透明プラスチックを使用することにより、後述の実施例に示すように、部分的にあるいは全体的に曲面をもった面照明光源装置を実現できる。また、導光体3は、気体・真空や液体でもよい。
【0015】
図2に、本発明の放射側反射部6の構成例を示す。 図2の放射側反射部6は、導光体3に設けられたケーシング4の形状と類似形に形成された方形の中央反射部6Aと、この中央反射部6Aから外方に所定の間隔を空けて配された複数の方形リング状の外方反射部6Bを具備する。また、これによって所定の間隔で外方光透過部7が形成される。
【0016】
中央反射部6Aは、放射面3Aに設けられ、ケーシング4と相似形状に形成された反射板又は反射膜である。中央反射部6Aは外方反射部6Bの反射率より高い反射率を有する光透過性の反射部で形成されている。
【0017】
外方反射部6Bは、所定の間隔でこの反射板又は反射膜に形成された帯状の反射板又は反射膜である。図2に示すようなパターンによって、ケーシング4の形状に合わせて、光量の多い中央部分での光透過量を制限し、外側の光透過量を増大させることができるので、照明光の均一化を図ることができる。もちろん、放射側反射部6のパターンは、図2に示したパターンに限られず、図3図4に示すパターンも採用可能である。また、図3図4に例示したパターンのほか、特許文献1等に例示されている種々のパターンを採用することができる。
【0018】
なお、これらの反射膜は、既知の鏡面形成用の樹脂や塗料を塗布することにより簡単に形成できる。また、材料費と加工の容易性および、高い精度が要求されないことから、低コストで生産できるという効果がある。
【0019】
このように、ケーシング4は、その底面の内側反射部5と側面反射部5Aとを有しているので、点光源2から放射された紫外光はこれらの反射部にて吸収されることなく多重反射される。これにより、点光源2から放射された光を略全て利用して、均一な紫外光源を得ることが可能な構造となっている。
【0020】
さらに、より望ましい形態において、前述の内側反射部5、側面反射部5Aおよび放射側反射部6の反射層は、適当な基材上にアルミを蒸着したアルミミラーにより構成することもできる。さらに、このアルミミラーに、多層膜によるコーティングを施すことで、アルミの酸化を抑止するとともに反射率をより向上させることができる。このようなコーティング材としては、フッ化マグネシウムや、フッ化リチウムを用いたコーティングを用いることができる。
【0021】
また、上記した方法に代えて、前述の反射層は、前述の内側反射部5、側面反射部5Aおよび放射側反射部6に白色顔料(酸化チタン・酸化亜鉛・酸化マンガン等)を塗布することによっても構成できる。もちろん、前述の各方法を組み合わせて、内側反射部5、側面反射部5Aおよび放射側反射部6にそれぞれ異なる方法で反射層を設けることもできる。
【0022】
さらに、ケーシング4は、側面が上方に向かって垂直に延びる以外にも、例えば図5に示すように、側面が上方に向かって広がった形状でも良い。
【0023】
また、上記した紫外LED(UV-LED)が照射し得る紫外線を、例えば、波長365ナノメートル以下の近紫外線とすることで本発明の面照明装置を、各種の紫外線照射装置として機能させることができる。例えば、本発明の面照明装置を殺菌装置として機能させる場合、前記紫外線の波長は、UV-Cとして区分される波長200~280ナノメートルの紫外線を使用することができる。 これらの場合でも、本発明の面照明装置は、上述した表面反射率の高い反射層を設けているので、点光源2から放射された紫外光を良好に多重反射させることができる。点光源また、前述したように、点光源2は、発光素子が1個の単体のみならず、複数の発光素子が近接して配置された集合体である場合をも含む。
【0024】
さらに、図1では、ケーシング4内に点光源2を1つ配置した場合を示しているが、これに限らず、ケーシング4内に複数個の点光源2を配置しても良い。この場合の点光源2の配置は、マトリクス状の配置である場合や、その他、中央に配置された1つの点光源2に対して点対称な配置である場合等が考えられる(図6参照)。しかも、ケーシング4内に複数個の点光源2を配置した場合でも、この点光源2を密に並べることなく均一な面照明を得ることができる。
【0025】
以上のように構成される本実施形態の面照明光源装置1によれば、紫外LED(UV-LED)から出射した光のほとんど90%以上(略100%に近く)を利用しながら、均一な紫外光源を得ることができる。
【0026】
また、本実施形態の面照明光源装置1は、単体での使用に限られず、図7(A)、(B)に示すように、複数連結配置して使用することもできる。図7(A)、(B)に示した構成を採用することで、個々の面照明光源装置1の放射面から光の放射方向に所定の距離離れた面において得られる均一な紫外光の領域を任意に拡大することができる。
【0027】
なお、上記の特許文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとし、必要に応じて本発明の基礎ないし一部として用いることが出来るものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本発明の趣旨に則り、本発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれるものと、みなされる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の面照明装置は、上述のとおり、紫外線を均一に照射可能であるので、点光源2の波長を選択することにより、各種の感染症予防のための各種の殺菌装置や減菌装置、紫外線硬化樹脂の硬化装置、日焼けマシン等の光源としても利用することもできる。
【符号の説明】
【0029】
1 面照明光源装置
2 点光源
3 導光体
3A 放射面
4 ケーシング
5 内側反射部
5A 側面反射部
6 放射側反射部
6A 中央反射部
6B 外方反射部
7 外方光透過部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7