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  • 特開-送信機及び位置検出システム 図1
  • 特開-送信機及び位置検出システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138436
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】送信機及び位置検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/04 20060101AFI20220915BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G01S5/04
H04B1/04 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038319
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】簗瀬 壮一朗
【テーマコード(参考)】
5J062
5K060
【Fターム(参考)】
5J062CC14
5K060CC04
5K060JJ21
5K060LL11
5K060MM03
5K060MM08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】加速度センサを用いない位置検出用の送信機を提供する。
【解決手段】振動を受けて電気を発生させる振動発電部10と、振動発電部10が発生させた電気で駆動され、無線信号を発生させる無線部11と、無線信号を載せた電波を放射する送信アンテナ12と、振動発電部10が発生させた電気を蓄電し、電気を無線部11に放電する蓄電部14を備える送信機1。また、放射された電波の飛来方向を検出し、送信機1の位置を検出する検出装置3と、をさらに備える位置検出システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動を受けて電気を発生させる振動発電部と、
前記振動発電部が発生させた前記電気で駆動され、無線信号を発生させる無線部と、
前記無線信号を載せた電波を放射する送信アンテナと、
を備える送信機。
【請求項2】
前記振動発電部が発生させた前記電気を蓄電し、前記電気を前記無線部に放電する蓄電部をさらに備える、請求項1に記載の送信機。
【請求項3】
前記無線部に供給される前記電気の電圧を制御する電源制御部をさらに備える、請求項1又は2に記載の送信機。
【請求項4】
前記無線信号が識別子を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の送信機。
【請求項5】
振動を受けて電気を発生させる振動発電部と、前記振動発電部が発生させた前記電気で駆動され、無線信号を発生させる無線部と、前記無線信号を載せた電波を放射する送信アンテナと、を備える送信機と、
前記電波の飛来方向を検出し、前記送信機の位置を検出する検出装置と、
を備える、位置検出システム。
【請求項6】
前記振動発電部が発生させた前記電気を蓄電し、前記電気を前記無線部に放電する蓄電部を前記送信機がさらに備える、請求項5に記載の位置検出システム。
【請求項7】
前記無線部に供給される前記電気の電圧を制御する電源制御部を前記送信機がさらに備える、請求項5又は6に記載の位置検出システム。
【請求項8】
前記無線信号が識別子を含む、請求項5から7のいずれか1項に記載の位置検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信機及び位置検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品に送信機を固定し、品質管理やトレーサビリティを目的として、物品の存否、移動、及び位置を監視する場合がある。送信機は、例えば、一定の時間間隔で、パケットを無線送信し、受信機が、パケットの飛来方向に基づいて、送信機の位置を特定する。しかし、監視対象の送信機が複数ある場合、複数の送信機が一定の時間間隔でパケットを無線送信すると、パケットが衝突したり、受信機に接続されたネットワークやサーバの負荷が増加したりする場合がある。
【0003】
これに対し、送信機に一次電池駆動の加速度センサを搭載し、送信機が動いていることを加速度センサが検出した場合のみ、送信機がパケットを無線送信する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によれば、パケットの送信頻度が減少するため、パケットが衝突する頻度も低下し、受信機に接続されたネットワークやサーバの負荷が減少する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-9044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、加速度センサが動きを検出するためには、加速度センサは常に一次電池から電気を供給されている必要があり、一次電池の寿命が短いという問題がある。また、送信機が複数ある場合、個々の送信機の電池の残量を監視するのは煩雑である。そこで、本発明は、加速度センサを用いない位置検出用の送信機及び位置検出システムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様によれば、振動を受けて電気を発生させる振動発電部と、振動発電部が発生させた電気で駆動され、無線信号を発生させる無線部と、無線信号を載せた電波を放射する送信アンテナと、を備える送信機が提供される。
【0007】
上記の送信機が、振動発電部が発生させた電気を蓄電し、電気を無線部に放電する蓄電部をさらに備えていてもよい。
【0008】
上記の送信機が、無線部に供給される電気の電圧を制御する電源制御部をさらに備えていてもよい。
【0009】
上記の送信機において、無線信号が識別子を含んでいてもよい。
【0010】
上記の送信機が、単一の送信アンテナを備えていてもよい。
【0011】
上記の送信機が、複数の送信アンテナを備えていてもよい。
【0012】
また、本発明の態様によれば、(i)振動を受けて電気を発生させる振動発電部と、振動発電部が発生させた電気で駆動され、無線信号を発生させる無線部と、無線信号を載せた電波を放射する送信アンテナと、を備える送信機と、(ii)電波の飛来方向を検出し、送信機の位置を検出する検出装置と、を備える、位置検出システムが提供される。
【0013】
上記の位置検出システムにおいて、振動発電部が発生させた電気を蓄電し、電気を無線部に放電する蓄電部を、送信機がさらに備えていてもよい。
【0014】
上記の位置検出システムにおいて、無線部に供給される電気の電圧を制御する電源制御部を、送信機がさらに備えていてもよい。
【0015】
上記の位置検出システムにおいて、無線信号が識別子を含んでいてもよい。
【0016】
上記の位置検出システムにおいて、送信機が、単一の送信アンテナを備えていてもよい。
【0017】
上記の位置検出システムにおいて、送信機が、複数の送信アンテナを備えていてもよい。
【0018】
上記の位置検出システムにおいて、検出装置が、電波を受信する受信アンテナを備えていてもよい。
【0019】
上記の位置検出システムにおいて、検出装置が、単一の受信アンテナを備えていてもよい。
【0020】
上記の位置検出システムにおいて、検出装置が、複数の受信アンテナを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、加速度センサを用いない位置検出用の送信機及び位置検出システムの制御方法を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、第1実施形態に係る送信機を含む位置検出システムを示す模式図である。
図2図2は、第2実施形態に係る送信機を含む位置検出システムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。ただし、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0024】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る送信機1は、図1に示すように、振動を受けて電気を発生させる振動発電部10と、振動発電部10が発生させた電気で駆動され、無線信号を発生させる無線部11と、無線信号を載せた電波を放射する送信アンテナ12と、を備える。
【0025】
送信機1は、例えば、物品2に固定され、物品2の位置を検出するために用いられる。物品の例としては、部材、部品、工具、製品、梱包物等が挙げられるが、特に限定されない。
【0026】
振動発電部10は、送信機1あるいは送信機1が固定された物品2が移動する際に生じる振動によって発電する。振動発電部10は、振動エネルギーを電気エネルギーに変換することができれば、特に限定されない。振動発電部10は、電磁誘導によって発電してもよいし、静電誘導によって発電してもよいし、逆磁歪効果によって発電してもよいし、圧電効果によって発電してもよい。
【0027】
振動発電部10が電磁誘導によって発電する場合、振動発電部10は、例えば、コイルと、コイル内に配置された磁石と、を備える。振動を受けてコイルと磁石の相対位置が変化すると、磁場の変動により、コイルに電流が生じる。
【0028】
振動発電部10が静電誘導によって発電する場合、振動発電部10は、例えば、対向する電極を備える。振動を受けて電極間の間隔が変化したり、対向面積が変化したりすることによって、静電容量が変化することにより、振動発電部10は発電する。
【0029】
振動発電部10が逆磁歪効果によって発電する場合、振動発電部10は、例えば、コイルと、コイル内に配置された磁歪部材と、を備える。振動を受けてコイルと磁歪部材の相対位置が変化すると、磁場の変動により、コイルに電流が生じる。
【0030】
振動発電部10が電磁誘導によって発電する場合、振動発電部10は、例えば、圧電部材を備える。振動を受けて圧電部材が変形すると、圧電効果により、圧電部材に電気が発生する。
【0031】
第1実施形態に係る送信機1は、無線部11に供給される電気の電圧を制御する電源制御部13と、振動発電部10が発生させた電気を蓄電し、電気を無線部11に放電する蓄電部14をさらに備えていてもよい。
【0032】
電源制御部13は、振動発電部10に接続されており、振動発電部10から電気を供給される。電源制御部13は、電気を蓄電部14に供給し、蓄電部14を充電する。蓄電部14としては、任意の二次電池が使用可能である。電源制御部13は、蓄電部14に蓄電された電気の電圧が所定の値以上になると、蓄電部14に蓄電された電気を、無線部11が駆動可能な所定の電圧で、無線部11に供給する。
【0033】
無線部11は、電源制御部13から供給された電気を用いて、識別子を含む無線信号を載せた電流を発生させる。第1実施形態に係る送信機1は、例えば、単一の送信アンテナ12を備える。送信アンテナ12は、無線信号を載せた電流を電波に変換して、電波を放射する。
【0034】
振動発電部10は、振動を受けたときに発電するため、第1実施形態に係る送信機1は、振動を受けた後に、無線信号を載せた電波を放射する。蓄電部14に蓄電された電気の電圧が所定の値以下になると、第1実施形態に係る送信機1は、無線信号を載せた電波を放射しなくなる。したがって、第1実施形態に係る送信機1は、送信機1あるいは送信機1が固定された物品2が移動して振動が生じるたびに、無線信号を載せた電波を放射する。
【0035】
第1実施形態に係る送信機1は、例えば、当該送信機1が放射した電波の飛来方向を検出し、送信機1の位置を検出する検出装置3と組合わされて、位置検出システムの少なくとも一部を構成していてもよい。
【0036】
検出装置3は、送信機1が放射した電波を受信し、電流に変換する複数の受信アンテナ21A、21B、21C・・・と、無線信号を解析する解析部22と、を備える。
【0037】
複数の受信アンテナ21A、21B、21C・・・は、所定の間隔をおいて並列に配置されている。そのため、複数の受信アンテナ21A、21B、21C・・・は、それぞれ、位相が異なる電波を受信する。
【0038】
解析部22は、複数の受信アンテナ21A、21B、21C・・・のそれぞれが受信した電波の位相差に基づき、電波の飛来方向を特定する。さらに、解析部22は、複数の受信アンテナ21A、21B、21C・・・のそれぞれに対する電波の飛来方向を示す角度と、複数の受信アンテナ21A、21B、21C・・・の既知の間隔と、に基づき、複数の受信アンテナ21A、21B、21C・・・のそれぞれに対する送信機1の位置を特定する。
【0039】
解析部22には、記憶装置23が接続されていてもよい。解析部22は、特定した送信機1の位置を、記憶装置23に保存する。
【0040】
物品の位置は、物品が動かなければ変化しない。そのため、物品の位置を、所定の時間間隔で検出しつづけなくとも、物品が動いた時だけ、物品の位置を検出すれば、物品の所在を特定することは可能である。第1実施形態に係る送信機1は、物品が動くと、振動発電部10が発電し、無線部11が無線信号を発生させるため、一次電池及び加速度センサを備えなくとも、物品が動いたときに、無線信号を載せた電波を放射することが可能である。また、第1実施形態に係る送信機1は、動きに伴って無線信号を発生させるため、送信機1が複数あっても、無線信号の衝突の頻度が低く、検出装置3に接続されたネットワークやサーバの負荷が低い。
【0041】
(第2実施形態)
図2に示すように、第2実施形態に係る送信機1は、複数の送信アンテナ12A、12B、12C・・・を備える。第2実施形態に係る検出装置3は、単一の受信アンテナ21を備える。第2実施形態に係る送信機1と検出装置3の他の構成要素は、第1実施形態と同様である。複数の送信アンテナ12A、12B、12C・・・は、所定の間隔をおいて並列に配置されている。受信アンテナ21は、複数の送信アンテナ12A、12B、12C・・・から送信された電波を受信する。解析部22は、受信アンテナ21が受信した電波の位相差に基づき、電波の飛来方向を特定する。
【0042】
上記のように本発明を実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。
【符号の説明】
【0043】
1・・・送信機、2・・・物品、3・・・検出装置、10・・・振動発電部、11・・・無線部、12・・・送信アンテナ、13・・・電源制御部、14・・・蓄電部、21・・・受信アンテナ、22・・・解析部、23・・・記憶装置
図1
図2