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特開2022-138439情報処理装置及び動作検証プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138439
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】情報処理装置及び動作検証プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/36 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
G06F11/36 196
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038322
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】大森 裕介
(72)【発明者】
【氏名】木村 正朋
(72)【発明者】
【氏名】多田 延明
(72)【発明者】
【氏名】沖本 康宏
(72)【発明者】
【氏名】下津 友幹
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042GA12
5B042GB08
5B042HH07
(57)【要約】
【課題】実際の車両を用いることなく、外部サービスの提供に用いられるソフトウェアの動作検証を行うことを可能とする情報処理装置及び動作検証プログラムを提供する。
【解決手段】通信回線を介して車両と接続されると共に、前記車両に対して外部サービスを提供する外部サービス提供部50で使用されるソフトウェア51の動作検証を行う情報処理装置1であり、前記車両に搭載された制御ユニットにおいて車両及び車載機器を制御するために出力される制御信号を疑似制御信号として生成する疑似制御信号生成部10と、前記通信回線を介して外部サービス提供部50に前記疑似制御信号を通信可能な情報通信部20とを備える。情報通信部20は、外部サービス提供部50から送信される要求信号に応じて、又は、外部サービス提供部50に対して送信する要求信号に応じて、前記疑似制御信号を外部サービス提供部50に対して送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線を介して車両と接続されると共に、前記車両に対して外部サービスを提供する外部サービス提供部において使用されるソフトウェアの動作検証を行う情報処理装置であって、
前記車両に搭載された制御ユニットにおいて前記車両及び車載機器のいずれか一方又は双方を制御するために出力される制御信号を、疑似制御信号として生成する疑似制御信号生成部と、
前記通信回線を介して前記外部サービス提供部に前記疑似制御信号を通信可能な情報通信部と、を備え、
前記情報通信部は、前記外部サービス提供部から送信される要求信号に応じて、又は、前記外部サービス提供部に対して送信する要求信号に応じて、前記疑似制御信号を前記外部サービス提供部に対して送信すること、を特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記車両の挙動状態、及び前記車載機器の作動状態のいずれか一方又は双方を変更するための切替部を有しており、
前記切替部における変更の状態に基づいて、前記疑似制御信号を生成すること、を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に対して提供される外部サービスにおいて使用されるソフトウェアの動作検証を行うための情報処理装置及び動作検証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信回線を介して各種のコネクトサービス(外部サービスとも称する)が提供されるコネクティッドカーと称する車両が知られている。前記外部サービスは、外部サーバに組み込まれた外部サービス提供用のソフトウェアに基づいて、コネクティッドカーや利用者に対して提供される。ここで、外部サービス提供用のソフトウェアの開発にあたり、ソフトウェアの動作検証を行う必要がある。前記動作検証は、例えば、ソフトウェアが組み込まれた外部サーバ等と、車両とを接続した状態で行う必要がある。また、実際に即して動作検証を行うためには、実際に車両を走行させたり、実際に車両の車載機器を操作したりしながら、前記ソフトウェアの動作検証を行う必要がある。そのため、前記動作検証は、多大な時間を要すると共に煩雑でコストが高く付く問題があった。
【0003】
ところで、上述のような動作検証を行うものとして、車両のコントロールユニットの動作検証を行う評価システムが知られている(例えば、特許文献1)。前記特許文献1に係る車両のコントロールユニットの評価システムは、車両のエンジン等の挙動を、コンピュータ上で疑似的にシミュレートすることにより、車載のエンジンコントロールユニット(ECUとも称する)を評価するものとされている。これにより、ECUが車両に搭載されていなくても、当該ECUの評価を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-1541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の発明に係る車両のコントロールユニットの評価システムは、あくまで、車両内でのコントロールユニットの動作検証に係る評価システムであり、コネクトサービス等の外部サービスと連携するものではない。すなわち、運転者による車両の操作情報や車両状態に基づく情報を、外部サーバ(外部サービスの提供元)に送信するものではない。また、外部サービスの提供元から、利用者の携帯端末等に外部サービスに係る通知を行うこともできない。
【0006】
従って、従来の技術では、利用者の携帯端末から外部サーバに車両制御の指示を要求したり、外部サーバを介して車両の車外通信機(TCU:テレマティクス・コントロール・ユニット)に要求を送信することにより、ECU等を制御したりするなど、の機能を総合的に動作検証することができない問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、実際の車両を用いることなく、外部サービスの提供に用いられるソフトウェア(プログラムを含む)の動作検証を行うことを可能とする情報処理装置及び動作検証プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上述した課題を解決すべく提供される情報処理装置は、通信回線を介して車両と接続されると共に、前記車両に対して外部サービスを提供する外部サービス提供部において使用されるソフトウェアの動作検証を行う情報処理装置であって、前記車両に搭載された制御ユニットにおいて前記車両及び車載機器のいずれか一方又は双方を制御するために出力される制御信号を、疑似制御信号として生成する疑似制御信号生成部と、前記通信回線を介して前記外部サービス提供部に前記疑似制御信号を通信可能な情報通信部と、を備え、前記情報通信部は、前記外部サービス提供部から送信される要求信号に応じて、又は、前記外部サービス提供部に対して送信する要求信号に応じて、前記疑似制御信号を前記外部サービス提供部に対して送信すること、を特徴とするものである。
【0009】
上述した情報処理装置は、外部サービス提供部からの要求に応じて、又は、外部サービス提供部に対する要求に応じて、車両及び車載機器から出力される制御信号を、疑似制御信号として外部サービス提供部に対して送信することができる。すなわち、情報処理装置が、車両を疑似的に制御(シミュレート)することができる。これにより、実際の車両を用いることなく、外部サービス提供部において使用されるソフトウェアの動作検証を行うことができる。
【0010】
ここで、疑似制御信号は、例えば、イグニッションのON/OFFの制御信号やエンジンの制御信号等の車両の制御信号に関するものや、車載のエアコン、ハザードランプ、ナビゲーションシステム等の車載機器の制御信号に関するものなど、車両や車載機器に関する各種の制御信号に対して生成される。また、外部サービス提供部から送信される要求信号は、上記の制御信号に基づくものの他、例えば、外部サービス提供部側から例えば、車両のドアを施錠するような場合に、送信されるドアの施錠に関する制御信号が挙げられる。これらにより、実際の車両を用いることなく、外部サービスの提供に用いられるソフトウェア(プログラムを含む)の動作検証を行うことができる。そのため、迅速に前記ソフトウェアの動作検証を行うことができ、検証に係るコストを低減できる。
【0011】
また、上述した本発明の情報処理装置は、外部サービス提供部からの要求信号だけではなく、情報処理装置側から外部サービス提供部に向けて要求信号を疑似制御信号として送信することができる。具体的には、例えば、車両においてハザードランプを消し忘れた場合は、車両側から外部サービス提供部に対してハザードランプの状態が疑似制御信号として送信される。これらのように、本発明の情報処理装置は、車両に代わって、車両や車載機器からの制御信号を疑似制御信号として外部サービス提供部に送信することができる。従って、実際の車両を用いることなく、外部サービスの提供に用いられるソフトウェア(プログラムを含む)の動作検証を行うことができる。そのため、迅速に前記ソフトウェアの動作検証を行うことができ、検証に係るコストを低減できる。
【0012】
(2)上述した本発明の情報処理装置は、前記車両の挙動状態、及び前記車載機器の作動状態のいずれか一方又は双方を変更するための切替部を有しており、前記切替部における変更の状態に基づいて、前記疑似制御信号を生成するとよい。
【0013】
かかる構成によれば、車両の挙動状態や車載機器の作動状態の変更を項目毎に一元的に管理することができる。そのため、動作検証漏れの発生を抑制することができる。ここで、車両の挙動状態の変更は、例えば、エンジンの出力、ブレーキの作動力、ハンドルの舵角などに対して行われる。また、車載機器の作動状態の変更は、例えば、エアコンの空調、ナビゲーションシステムの操作等に対して行われる。また、切替部は、車両に搭載される、例えば、エンジン、ブレーキ、ハンドル等の部位毎や、車載機器毎にグループ化して設けるとよい。これにより、系統的な評価が期待できる。
【0014】
(3)上述した本発明の情報処理装置は、前記外部サービス提供部が、サーバに配置されているとよい。
【0015】
かかる構成によれば、サーバを介して一元的に外部サービスを提供することができる。従って、外部サービスの管理が容易になる。また、車両側の機器や利用者側の端末に対する負荷を軽減することができる。
【0016】
(4)上述した課題を解決すべく提供される動作検証プログラムは、上述した情報処理装置において実行が可能なこと、を特徴とするものである。
【0017】
かかる構成によれば、各種の情報処理装置において、外部サービスの提供に係るソフトウェアの動作検証を行うことができる。これにより、汎用性を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、実際の車両を用いることなく、外部サービスの提供に用いられるソフトウェア(プログラムを含む)の動作検証を行うことを可能とする情報処理装置及び動作検証プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の情報処理装置の一実施形態を表す構成図である。
図2】本発明の情報処理装置を適用した外部サービスの説明図である。
図3】本発明の情報処理装置における操作画面の一例を表す説明図である。
図4】本発明の情報処理装置において、車両を疑似的に移動させるための操作画面の一例を表す説明図である。
図5】本発明の情報処理装置及び動作検証プログラムの一実施形態を表す動作フローである。
図6図5の続きの動作フローである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る情報処理装置1の一実施形態について、図1図4を参照しつつ詳細を説明する。本実施形態においては、外部サービス提供部50がサーバとして提供される場合を例として説明する(以下、外部サービス提供部50をサーバ50とも称する)。
【0021】
図1及び図2に示すように、外部サービス(例えば、コネクトサービス)は、サーバ50に記憶されたソフトウェア51に基づいて提供される。サーバ50には、本発明に係る情報処理装置1がインターネット等の通信回線を介して接続されている。また、本実施形態では、サーバ50に、前記通信回線を介して携帯端末60(図2参照)が接続されている。なお、通信回線は、無線及び有線を問わず、各種の通信回線を用いることができる。
【0022】
情報処理装置1は、疑似制御信号生成部10と、サーバ50との通信が可能な情報通信部20と、制御対象となる項目を切り替えるための切替部30等を備えている。本実施形態では、情報処理装置1として、例えば、ノートパソコンが用いられており、情報処理装置1が、前記ノートパソコン上で実行可能な動作検証プログラムとして提供されている。情報処理装置1は、上記の他、表示画面40を有している。なお、本発明では、情報処理装置1(動作検証プログラム)が、実際の車両に代わって、シミュレータとして機能する。
【0023】
疑似制御信号生成部10は、車両に搭載された制御ユニット(図示せず)から出力される制御信号を、ソフトウェア51で認識が可能な疑似制御信号として生成することができる。具体的には、疑似制御信号生成部10は、車両及び車載機器(共に図示せず)のいずれか一方又は双方を制御するために出力される制御信号を、疑似制御信号として生成することができる。ここで、制御ユニットは、例えば、エンジンの制御を行うエンジンコントロールユニット(ECUとも称する)やブレーキ等の制御ユニットなど各種の車両搭載機器に関する制御ユニットを含むものである。
【0024】
また、車両の制御のために出力される制御信号としては、例えば、イグニッション、エンジンコントロールユニット(ECUとも称する)、変速機、ブレーキ、ハンドル等に関する制御信号が例示される。また、車載機器としては、エアコン、ナビゲーションシステム、ハザードランプ、ヘッドライト等が例示される。なお、本発明は、上述した車両の装置や車載機器だけではなく、各種の車両搭載機器の制御信号を疑似制御信号に変換することが可能である。なお、疑似制御信号は、リアルタイムで生成するものや、予め、制御信号に相当する疑似制御信号を生成しておき、情報処理装置1やサーバ50に記憶させたものを呼び出して使用するものなど各種の形態のものを使用できる。また、疑似制御信号を生成するタイミングは適宜変更することが可能である。
【0025】
情報通信部20は、外部との通信が可能な通信機器で構成されている。また、情報通信部20は、例えば、インターネット等の通信回線を介してサーバ50に接続され、サーバ50との通信が可能なものとされている。また、情報通信部20は、生成された疑似制御信号を、前記通信回線を介してサーバ50に送信することができる。すなわち、情報通信部20は、車載の車外通信機(TCU:テレマティクス・コントロール・ユニットとも称する)に代わって、サーバ50と通信を行うことができる。なお、情報通信部20は、実際のTCUを用いてもよい。
【0026】
情報通信部20による疑似制御信号のサーバ50への送信は、外部サービスの提供に係る要求が、サーバ50を起点として行われる場合は、サーバ50から送信される要求信号に応じて行われる。具体的には、サーバ50側の要求により例えば、車両のドアを施錠するような場合に、サーバ50から車両の施錠に関する要求信号が、情報通信部20(情報処理装置1)に向けて送信される。情報通信部20は、前記要求信号に応じて、ドアの施錠に関する疑似制御信号をサーバ50に送信する。これにより、ドアの施錠に関する制御がソフトウェア51において正常に動作しているか否かの動作検証が行われる。すなわち、情報処理装置1による車両の疑似的制御(シミュレートとも称する)が行われる。
【0027】
また、車両側を起点として、外部サービス提供部50への要求が行われる場合は、情報通信部20からサーバ50に対して要求信号が送信される。具体的には、車両側から例えば、ハザードランプの消し忘れに対する通知をサーバ50に向けて要求する場合に、ハザードランプの消し忘れ通知に関する要求信号に応じた疑似制御信号がサーバ50に対して送信される。これにより、ハザードランプの消し忘れ通知に関する制御がソフトウェア51において正常に動作しているか否かの動作検証が行われる。すなわち、情報処理装置1による車両の疑似的制御が行われる。
【0028】
次に、車両や車載機器の各種の制御対象を変更する際に使用される切替部30について、図3を参照しながら以下に説明する。本実施形態では、切替部30が、例えば、車両のCAN(Controller Area Network)に対しての制御メニューとして提供されている。なお、制御対象は、CANによるものだけではなく、各種の制御方法のものを制御対象とすることができる。
【0029】
切替部30は、本実施形態では、ソフトウェア上で実現される操作スイッチとして提供されている。切替部30は、スライドスイッチ31と、プルダウンメニュー32等を有している。切替部30は、車両の挙動状態、及び車載機器の作動状態(両者を総称して制御対象とも称する)のいずれか一方又は双方を変更することができる。
【0030】
図示のように、本実施形態では、車両のCANに関する制御メニューが表示されている。スライドスイッチ31は、ユーザー側及びシステム側のイグニッションスイッチ、ハザードランプ、ドア、エアコン、ライト、wifi接続等の項目に対して配置されている。また、プルダウンメニュー32は、うっかり検知モードと、盗難検知アラーム発報とに対して配置されている。ここで、うっかり検知モードは、例えば、ハザードランプの消し忘れ等の利用者のうっかりミスによって発生する項目についての動作検証を行う場合に使用されるものである。また、盗難検知アラーム発報は、車両が盗難した際に行われるアラーム発報についての動作検証を行う場合に使用されるものである。
【0031】
切替部30により、スライドスイッチ31やプルダウンメニュー32が変更されると、前記変更の状態に基づいて、疑似制御信号が疑似制御信号生成部10によって生成される。
【0032】
上述したように切替部30を設けることにより、車両の挙動状態や車載機器の作動状態の変更を項目毎に一元的に管理することができる。そのため、動作検証漏れの発生を抑制することができる。ここで、車両の挙動状態の変更は、例えば、エンジンの出力、ブレーキの作動力、ハンドルの舵角などに対して行われる。また、車載機器の作動状態の変更は、エアコンの空調、ナビゲーションシステムの操作等に対して行われる。また、切替部30は、車両に搭載される、例えば、エンジン、ブレーキ、ハンドル等の部位毎や、車載機器毎にグループ化して設けるとよい。これにより、系統的な評価を行うことができる。また、グループ化は、制御対象のモード毎に行うこともできる。
【0033】
なお、切替部30の構成は、ソフトウェア51における制御対象に応じて適宜変更することが可能である。また、切替部30が物理的なスイッチで形成されていてもよい。また、切替部30を設けない構成とすることもできる。
【0034】
図2に示すように、携帯端末60は、市販される各種のスマートフォンやタブレット等の端末である。携帯端末60は、サーバ50と通信回線を通じて通信を行うことができる。携帯端末60は、情報処理装置1から送信される疑似制御信号に応じた通知等をサーバ50を介して取得することができる。また、携帯端末60は、車両の制御に関する要求信号をサーバ50に対して送信することができる。サーバ50は、前記要求信号に応じて、情報処理装置1に要求信号を送信することができる。このように、本実施形態では、携帯端末60を用いた情報処理装置1の動作検証を行うことも可能である。
【0035】
上述したようにサーバ50を用いることにより、一元的に外部サービスを提供することができる。従って、外部サービスの管理が容易になる。また、車両側の機器や利用者側の端末に対する負荷を軽減することができる。
【0036】
以上が、本発明に係る情報処理装置1の構成であり、次に、図4を参照しながら、情報処理装置1の動作の一実施形態について説明する。
【0037】
図4は、情報処理装置1において、仮想車両41を走行させながら、ソフトウェア51の動作検証を行う場合の表示画面40の一例を表す説明図である。表示画面40には、仮想車両41を走行させるための地図が表示されている。本実施形態では、車両が盗難に遭った場合に行う盗難検知アラームの発報に関する動作検証を例として説明する。
【0038】
車両が盗難に遭った場合は、車両が移動されることが想定されるため、情報処理装置1において、車両が移動することを、疑似的に行う(シミュレートする)必要がある。従って、切替部30(図3参照)における制御対象が盗難検知アラーム発報のモードに切り替えられる。これにより、盗難検知アラーム発報に関する要求信号に応じた疑似制御信号が、情報通信部20から、サーバ50に対して送信される。また、図4に示す地図が、表示画面40に表示される。
【0039】
表示画面40が表示されると、位置情報として出発地に地点Aを設定し、目的地に地点Bを設定する。なお、表示画面40に代えて、文字入力等の他の手段により、位置情報が入力されてもよい。出発地及び目的地が入力されると、情報処理装置1は、仮想車両41を走行させる。このとき情報処理装置1は、地点Aから地点Bへと移動する際の位置情報を疑似制御信号として、サーバ50に送信する。
【0040】
なお、表示画面40からの位置情報の入力に代えて、事前に別のツールによって作成した走行ルートを情報処理装置1等に記憶しておき、例えば、イグニッションのONや盗難検知アラーム発報モードの起動時等に、前記走行ルートを読み込んで使用するようにしてもよい。
【0041】
前記疑似制御信号を受信したサーバ50は、切替部30で指定された警報の発報(alarm)に応じた要求信号を情報処理装置1に対して送信する。情報処理装置1は、情報通信部20を介して前記要求信号を受信する。疑似制御信号生成部10は、前記要求信号に応じた疑似制御信号を生成し、情報通信部20を介して、サーバ50に前記疑似制御信号を送信する。すなわち、仮想車両41側から警報の発報に係る疑似制御信号がサーバ50に送信されることにより、警報の発報に関する動作に問題がないことが検証される。ここで、動作に問題があった場合(例えば、所定時間内に疑似制御信号が送信されなかった場合)は、エラーメッセージが情報処理装置1において、通知される。また、本実施形態では、サーバ50から携帯端末60に対して、車両が盗難に遭ったことについての通知が送信される。
【0042】
なお、盗難検知アラーム発報のモードにおいては、例えば、イグニッションの設定をOFFに切り替えると共に、車両位置情報が一定時間毎に外部サービス提供部50に送信されるようにするとよい。また、イグニッションのON/OFFに関わらず、車両に移動が認められた場合に、携帯端末60等に対して通知するようにすればよい。これらにより、実際に車両が盗難に遭った場合を想定したソフトウェア51の動作検証することができる。
【0043】
以上が、本発明に係る情報処理装置1(動作検証プログラム)の動作の一実施形態である。次に、情報処理装置1の動作フローの一実施形態について、図5及び図6に基づいて説明する。
【0044】
図5に示すように、情報処理装置1の動作が開始されると、切替部30において、制御対象の指定が行われる(ステップS1)。このとき、サーバ50に対して、制御対象に関する要求信号が送信される。
【0045】
ステップS1において、制御対象の指定が完了すると、制御対象に対する制御が、サーバ50(外部サービス提供部50)からの指令により行われるものか否かの判定が行われる(ステップS2)。すなわち、制御対象に対する制御が、サーバ50側を起点として行われるものか否かの判定が行われる。
【0046】
ステップS2において、制御対象に対する制御が、サーバ50からの指令により行われるものである場合は、サーバ50による制御が開始される(ステップS10)。すなわち、サーバ50側が起点となる制御である場合は、サーバ50による制御が開始される。
【0047】
続いて、サーバ50から外部サービスに関する要求信号が、情報処理装置1に対して送信される(ステップS11)。
【0048】
ステップS2において、制御対象に対する制御が、サーバ50からの指令により行われるものではない場合は、情報処理装置1による疑似制御が開始される(ステップS20)。すなわち、情報処理装置1側が起点となる制御である場合は、情報処理装置1による疑似的な制御が開始される。
【0049】
ステップS11の処理又はステップS20の処理が完了すると、情報処理装置1は、制御対象の要求信号に応じた疑似制御信号を生成する(ステップS12)。続いて、生成された疑似制御信号が、情報通信部20からサーバ50に向けて送信される(ステップS13)。
【0050】
続いて、図6に示すように、サーバ50が、情報処理装置1からの疑似制御信号に応答したか否かが判定される(ステップS14)。
【0051】
ステップS14において、サーバ50が疑似制御信号に応答した場合、サーバ50において、疑似制御信号に基づく制御が実行される(ステップS15)。一方、ステップS14において、サーバ50が疑似制御信号に応答しない場合は、異常が発生したものとして、エラー通知が、情報処理装置1に対して行われる(ステップS30)。なお、エラー通知は、サーバ50や携帯端末60に対しても行うことができる。
【0052】
ステップS15又はステップS30の処理が完了すると、再び、ステップS1に戻って処理が繰り返される。なお、処理が全て完了した場合は、処理を終了させればよい。
【0053】
上述したように、本発明の情報処理装置1や動作検証プログラムは、車両をシミュレートすることができる。これにより、実際の車両を用いることなく、外部サービス提供部50において使用されるソフトウェア51(プログラムを含む)の動作検証を行うことができる。そのため、迅速に前記ソフトウェアの動作検証を行うことができ、検証に係る手間やコストを低減できる。
【0054】
また、情報処理装置1を動作検証プログラムとして提供することにより、各種の情報処理装置において、外部サービスの提供に係るソフトウェア51の動作検証を行うことができる。これにより、汎用性を高めることができる。
【0055】
以上が、本発明に係る情報処理装置1及び動作検証プログラムの一実施形態であるが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、各種の変形を行うことができる。
【0056】
本実施形態では、外部サービスとして、コネクトサービスを例示したが、外部サービスは、車両と接続して提供される各種のサービスを利用することができる。また、本実施形態では、車両の制御対象として、ハザードランプの消し忘れ通知や車両盗難時における警報の発報を例示したが、本発明はこれらの制御対象に限定されるものではなく、車両や車載機器における各種の制御を疑似的に行うことができる。例えば、本発明の情報処理装置及び動作検証プログラムは、ライト類、ドア、車両の走行状況、エンジンの情報、変速機の情報、ブレーキやアクセルの操作情報、イグニッションのON/OFF、GPS情報の取得等の各種の制御情報を外部サービス提供部50に対して通知することができる。また、本発明によれば、車両の制御対象として、例えば、車両のレッカー移動等のような項目についても、実際の車両を用いることなく、疑似的に動作検証を行うことも可能である。また、本実施形態では、車両の制御対象がCANによるものを例示したが、本発明の情報処理装置1は、CANによる制御に限定されるものではなく、各種の制御対象に対して利用することができる。
【0057】
また、本発明の情報処理装置及び動作検証プログラムは、ライト、ドアの施錠、イグニッションのON/OFF、ナビゲーションシステムにおける目的地の設定等、車両における各種の制御を疑似的に実行することができる。また、本発明の情報処理装置及び動作検証プログラムは、車両側のTCUが停止している状態において、サーバ50からSMS等の通信により、前記TCUを起動させることもできる。
【0058】
また、本実施形態では、盗難検知をするにあたり、仮想車両41を地図上で移動させることを例示しているが、仮想車両41の移動は、盗難検知アラーム発報だけではなく、各種のものに利用することができる。例えば、テストコースの形状や路面情報を予め登録しておき、前記テストコース上に仮想車両41を走行させながら、車両や車載機器の各種の制御情報を検証することなどにも利用することができる。これにより、自動運転車両や運転支援装置等の開発に寄与させることが期待できる。また、本実施形態では、盗難検知にあたり、車両の移動に基づいて、警報を発するものとしたが、盗難検知に関するタイミングは適宜、変更することが可能である。また、盗難検知に関するイベントの発生は、車両の位置移動によるものだけではなく、各種のイベントを採用することができる。また、盗難検知に関わる制御だけではなく、各種の制御対象について、各種のイベントを、所定のタイミングで、あるいは、ランダムに発生させることが可能である。また、正常な制御情報だけではなく、意図的にNGとなる制御情報を出力させることも可能である。これにより、エラーに基づく制御の動作検証を行うことができる。
【0059】
また、疑似制御信号生成部10は、ハードウェアとして実現されるものの他、プログラムとして実現されるものでもよい。また、生成される疑似制御信号は、外部サービス提供部50(ソフトウェア51)において認識が可能な各種の形式のものとすることができる。
【0060】
本実施形態では、外部サービス提供部50を、サーバ50に配置しているが、外部サービス提供部50は、サーバ50に配置されるものだけではなく、各種の場所に配置することができる。また、サーバ50に外部サービス提供部50を配置する場合において、サーバ50は、各種の場所に配置することができる。
【0061】
本実施形態では、情報処理装置1として、ノートパソコン等の端末装置を用い、当該端末装置上で動作検証プログラムを実行することを例示したが、情報処理装置1は、専用の機器で構成されていてもよい。また、情報処理装置1は、各種の機器を用いることができる。また、動作検証プログラムは、各種の機器に搭載することができる。動作検証プログラムは、例えば、タブレットやスマートフォンなどの携帯端末に搭載することもできる。また、動作検証プログラムは、専用機器としての情報処理装置に組み込むこともできる。また、本実施形態では、外部サービス提供部50におけるソフトウェア51の動作検証を行っているが、携帯端末60等を接続する場合は、携帯端末60上のソフトウェアを検証することもできる。
【0062】
以上が、本発明に係る情報処理装置及び動作検証プログラムの各種の実施形態や変形例であるが、本発明は上述した実施形態や変形例において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の情報処理装置及び動作検証プログラムは、自動車等の各種の車両に対して提供されるコネクトサービス等の各種の外部サービスに関するソフトウェアの動作検証に利用することができる。また、本発明の情報処理装置及び動作検証プログラムは、自動運転や車両の遠隔操作にも利用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 :情報処理装置
10 :疑似制御信号生成部
20 :情報通信部
30 :切替部
50 :サーバ
51 :ソフトウェア
60 :携帯端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6