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特開2022-138440ルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法と、該ルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法を実施するルータ加工装置
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  • 特開-ルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法と、該ルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法を実施するルータ加工装置 図1
  • 特開-ルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法と、該ルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法を実施するルータ加工装置 図2
  • 特開-ルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法と、該ルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法を実施するルータ加工装置 図3
  • 特開-ルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法と、該ルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法を実施するルータ加工装置 図4
  • 特開-ルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法と、該ルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法を実施するルータ加工装置 図5
  • 特開-ルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法と、該ルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法を実施するルータ加工装置 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138440
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】ルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法と、該ルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法を実施するルータ加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23C 3/00 20060101AFI20220915BHJP
   B27C 5/00 20060101ALI20220915BHJP
   B27C 5/02 20060101ALI20220915BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B23C3/00
B27C5/00
B27C5/02
H05K3/00 J
H05K3/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038324
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】512052904
【氏名又は名称】大船企業日本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100767
【弁理士】
【氏名又は名称】湯浅 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100141210
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 良幸
(72)【発明者】
【氏名】金谷 保彦
(72)【発明者】
【氏名】山内 益夫
(72)【発明者】
【氏名】片桐 勇
(72)【発明者】
【氏名】泉 平臣
【テーマコード(参考)】
3C022
3C053
【Fターム(参考)】
3C022AA02
3C022AA07
3C053BA00
3C053BB09
3C053BC01
3C053BE01
3C053BE03
(57)【要約】
【課題】プリント基板に対するルータ加工装置でのルータ加工作業を連続して行い、稼働効率を向上させる。
【解決手段】中継テンプレート8の上面に複数の基板固定ピン9を立設すると共に、内ピン逃げ穴11を孔設し、その下面に複数のテンプレート固定ピン10を立設するものであって、該中継テンプレート8の基板固定ピン9に対して、下板13と親基板12、及び上板14それぞれに予め穿孔された基板固定ピン用穴13”、14”、12”を嵌入して、重層しつつ固持して基板テンプレートユニット7とし、該基板テンプレートユニット7ごと、ユニット式ルータ加工装置Aに対して搬入、固定又は搬出することで、子基板12の回収作業とともに、下板13と親基板12、及び上板14の残渣物の排除作業をユニット式ルータ加工装置A外で行えるので、ルータ加工作業を連続的に行って稼働効率を向上させると共に、オペレータの作業効率をも向上させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、ルータ加工を行うルータ加工機構、及び加工テーブルを具えるルータ加工装置において、
まず板状の中継テンプレート上に、下板とプリント基板、又は下板とプリント基板、及び上板を重層しつつ固持することで基板テンプレートユニットとし、
該基板テンプレートユニットを加工テーブルに固定する
ことを特徴とするルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法。
【請求項2】
基板テンプレートユニットを構成する中継テンプレートは、上面に複数の基板固定ピンを、下面に複数のテンプレート固定ピンを、各々の面の所定位置に、且つ垂直方向に立設し、
基板テンプレートユニットを構成する下板とプリント基板、又は下板とプリント基板、及び上板には、前記中継テンプレートの上面に立設する複数の基板固定ピンに対応する位置に複数の基板固定ピン用穴を予め穿孔し、
ルータ加工装置の加工テーブルには、基板テンプレートユニットを構成する中継テンプレートの下面に立設する複数のテンプレート固定ピンに対応する位置に複数のテンプレートクランパを内設するものであって、
該中継テンプレートの上面に立設する基板固定ピンに対して、下板とプリント基板、又は下板とプリント基板、及び上板に穿孔された基板固定ピン用穴を嵌入させて、中継テンプレートとともに、下板とプリント基板、又は下板とプリント基板、及び上板を重層しつつ固持することで基板テンプレートユニットとした上で、
該基板テンプレートユニットを構成する中継テンプレートの下面に立設するテンプレート固定ピンを、加工テーブルに内設するテンプレートクランパによって把持して加工テーブルに固定する
ことを特徴とする請求項1記載のルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法。
【請求項3】
ルータ加工装置において、さらに内ピン穴穿孔及び内ピン打ち込み機構をも具え、
基板テンプレートユニットを構成する1枚のプリント基板が、製品となる複数のプリント基板に分割可能となるものであり(以下、元の1枚のプリント基板を「親基板」といい、該親基板から複数枚に分割されてそれぞれ製品となるプリント基板を「子基板」という。)、
上記基板テンプレートユニットを構成する中継テンプレートの上面には、子基板に穿孔される後記複数の内ピン穴に対応する位置に内ピン逃げ穴を予め穿孔するものであって、
上記基板テンプレートユニットを構成する中継テンプレート上に重層しつつ固持される下板と親基板、又は下板と親基板、及び上板において、該下板と親基板、又は下板と親基板、及び上板を構成する子基板の所定位置に内ピン穴穿孔機構によって内ピン穴を穿孔するとともに、内ピン打ち込み機構によって上方からそれら穿孔された内ピン穴に内ピンを打ち込むことで前記下板と親基板、又は下板と親基板、及び上板を一体とする
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のうち、いずれか1つに記載のルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法。
【請求項4】
上記請求項1乃至請求項3のうち、いずれか1つに記載のルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法を実施してなるルータ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、プリント基板の外周又はプリント基板内のスロットや内窓の切り取り加工(以下、「ルータ加工」という。)を行うルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法と、該ルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法を実施するルータ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント基板は電子部品としての機能だけでなく、機構部品あるいは機械部品としての役割を果たすことも求められ、しかも、そのプリント基板自体も小型化、高精度化が求められている。
そして、1枚の基板から切り出されて製品となる複数枚のプリント基板(以下、元となる1枚の基板を「親基板」、当該親基板から複数枚切り出され製品となるプリント基板を「子基板」という。)を切り出すものであっても、その子基板自体が独立した単一部品として組み立てが行われるため、該子基板に対するルータ加工でも高い加工精度が求められている。
【0003】
そこで、機構部品あるいは機械部品としての役割とともに、小型化、高精度化が求められる前記子基板において、高精度なルータ加工が実現できるように、ルータ加工装置の加工テーブルに固定されたテンプレート上において、親基板及び下板を重層しながら基板位置決めピンによって固定するとともに、同一の装置によって子基板内に内ピン穴を設けた上で、内ピンを親基板及び下板の該内ピン穴に個別に嵌入させるものが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
そのため、上記親基板及び下板に対して内ピン穴を同一の装置により設けているので、内ピン穴と内ピンとの径において有意的な径差を設定する必要がなくなるので、その両者の寸法公差を±略0μmとして内ピン穴に内ピンを嵌入して、子基板を固定することができるものである。
従って、ルータ加工装置でのルータ加工によって子基板は揺動することがなくなり、該子基板のルータ加工における加工精度を±50μm以下にまでできるものとなる。
【0005】
しかしながら、ルータ加工装置の加工テーブルに固定されたテンプレート上に開けられた基板位置決めピン用ホールに合わせて、下板及び親基板を重層しつつ基板位置決めピンを基板位置決めピン穴に嵌入させるものであると、重層した下板及び親基板の僅かな位置のずれによって、該下板及び親基板の間で部分的な浮き上がりが発生してしまい、加工精度では±50μm以下とすることができても、それ以上に精度を高めることが困難であった。
【0006】
そして、テンプレートの基板位置決ピン用ホールに対する基板位置決めピンの着脱は、基板位置決めピンによって該基板位置決めピン用ホールに対して摩耗や変形を発生させ、それによるガタつきが生じて加工精度の低下を招く恐れがあるので、該基板位置決めピンの基板位置決めピン用ホールに対する着脱回数管理が必要となるものである。
そのため、現状では基板位置決めピンをテンプレートに固定したままで下板及び親基板の順に手作業でテンプレート上に固定せざるを得ないものである。
【0007】
さらに、下板及び親基板に設けられた基板位置決めピン穴、さらにテンプレートに設けられた基板位置決めピン用ホールまで基板位置決めピンを嵌入して、1つのユニットとする準備作業、ルータ加工後の親基板からルータ加工によって切り出された製品である子基板の回収作業、テンプレートの内ピン用ホールに落とし込まれた内ピン、及び下板、親基板の残渣物の排除作業も、ルータ加工装置内で行われるものである。
そのため、ルータ加工装置内でのルータ加工は断続的となり、ルータ加工作業の稼働効率が著しく低下するとともに、上記ルータ加工装置内で行われる上記種々の作業は、オペレータの手作業によって行われるので、オペレータの作業効率をも低下させるものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015-199224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする課題は、加工テーブルに固定されたテンプレートの基板位置決めピン用ホールに対して、下板及び親基板を基板位置決めピンを嵌入させて固定する場合には、基板位置決めピンの着脱に伴う、テンプレートの基板位置決めピン用ホールの摩耗や変形によるガタつきが発生してしまい、ルータ加工時の揺動によって加工精度を高めることに限界があり、それ以上の加工精度を得ることが困難なことである。
【0010】
そして、ルータ加工装置内において、オペレータは、テンプレートの基板位置決めピンに対して下板及び親基板の基板位置決めピン穴を嵌入させることで重層させるルータ加工前の準備作業、親基板からルータ加工によって切り出された製品である子基板の回収作業、及びルータ加工装置内の下板及び親基板の残渣物の排除作業を手作業で行うものであるので、ルータ加工作業が断続的となってルータ加工装置の稼働効率を低下させるとともに、オペレータの作業効率をも低下させることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の特徴として、
少なくとも、ルータ加工を行うルータ加工機構、及び加工テーブルを具えるルータ加工装置において、
まず板状の中継テンプレート上に、下板とプリント基板、又は下板とプリント基板、及び上板を重層しつつ固持することで基板テンプレートユニットとし、
該基板テンプレートユニットを加工テーブルに固定するものである。
【0012】
そのため、プリント基板を、中継テンプレート上に、下板とプリント基板、又は下板とプリント基板、及び上板とともに重層しつつ固持してなる基板テンプレートユニットとして、該基板テンプレートユニットごと、加工前には該ルータ加工装置の加工テーブルに対して搬入するとともに加工テーブルに固定し、又、加工後には該ルータ加工装置から搬出するものである。
その結果、基板テンプレートユニットの組み立て作業、製品であるプリント基板の回収作業、及び該基板テンプレートユニットを構成する下板とプリント基板、又は下板とプリント基板、及び上板の残渣物の排除作業は、いずれもルータ加工装置外で行えるので、ルータ加工装置でのルータ加工作業を連続的に行うことができ、その稼働効率を向上させることができる。
【0013】
そして、オペレータは、ルータ加工装置外で上記諸作業を集中して行うことができ、オペレータによる上記諸作業に伴う移動距離や作業範囲等もルータ加工装置内という制約に捕らわれること無く自由度が拡大することから、オペレータの作業効率をも向上させることができる。
【0014】
第1の特徴を踏まえて、第2の特徴として、
上記基板テンプレートユニットを構成する中継テンプレートは、上面に複数の基板固定ピンを、下面に複数のテンプレート固定ピンを、各々の面の所定位置に、且つ垂直方向に立設し、
上記基板テンプレートユニットを構成する下板とプリント基板、又は下板とプリント基板、及び上板には、前記中継テンプレートの上面に立設する複数の基板固定ピンに対応する位置に複数の基板固定ピン用穴を予め穿孔し、
上記ルータ加工装置の加工テーブルには、基板テンプレートユニットを構成する中継テンプレートの下面に立設する複数のテンプレート固定ピンに対応する位置に複数のテンプレートクランパを内設するものであって、
該中継テンプレートの上面に立設する基板固定ピンに対して、下板とプリント基板、又は下板とプリント基板、及び上板に穿孔された基板固定ピン用穴を嵌入させて、中継テンプレートとともに、下板とプリント基板、又は下板とプリント基板、及び上板を重層しつつ固持することで基板テンプレートユニットとした上で、
該基板テンプレートユニットを構成する中継テンプレートの下面に立設するテンプレート固定ピンを、加工テーブルに内設するテンプレートクランパによって把持して加工テーブルに固定するものである。
【0015】
そのため、基板テンプレートユニットを構成する中継テンプレートにおいて、下板とプリント基板、又は下板とプリント基板、及び上板を重層しつつ固持してなる基板固定ピンは、複数回に及ぶ加工作業を通して該中継テンプレートの上面に立設したままとなり、基板固定ピンの着脱が行われないため、基板固定ピンを立設させるために該中継テンプレートに設けられる基板固定ピン用の穴の摩耗や変形はありえないこととなるため、基板固定ピンの着脱回数管理は不要となる。
そして、加工テーブルに内設されるテンプレートクランパによってテンプレート固定ピンが正確にしかも強固に把持されることで、中継テンプレートが加工テーブルに対して正確な位置に強固に固定され、更に該中継テンプレートに立設された基板固定ピンが、重層しつつ固持される下板とプリント基板、又は下板とプリント基板、及び上板の基板固定ピン用穴に嵌入されていることで、該基板テンプレートユニットのプリント基板はルータ加工装置内で強固、且つ正確な位置に固定されることになる。
その結果、該プリント基板は、ルータ加工時の揺動はなくなり、高精度なルータ加工を行うことができるものである。
【0016】
なお、中継テンプレート上に立設される基板固定ピンは、中継テンプレートにおいて、基板テンプレートユニットをルータ加工装置の加工テーブルに搬入した際に、後述する前後方向となる位置の中央に2カ所、あるいは四隅のうち3カ所に立設させるのが適当である。
また、該基板固定ピンに合わせて下板、又は下板と上板及びプリント基板において予め穿孔される基板固定ピン用穴の形状としては、基板固定ピンが中継テンプレートの前後方向中央に2カ所設けられる場合は、丸穴が適当であり、基板固定ピンが中継テンプレートの四隅のうち3カ所に設けられる場合であれば、3カ所とも丸穴か、それとも位置調整が可能となるように、1カ所のみ丸穴とし、対角に位置する他の2カ所を長穴としても良いものである。
【0017】
第1の特徴又は第2の特徴を踏まえて、第3の特徴として、
上記ルータ加工装置において、さらに内ピン穴穿孔及び内ピン打ち込み機構をも具え、
上記基板テンプレートユニットを構成する1枚のプリント基板が、製品となる複数のプリント基板に分割可能となるものであり(以下、元の1枚のプリント基板を「親基板」といい、該親基板から複数枚に分割されてそれぞれ製品となるプリント基板を「子基板」という。)、
上記基板テンプレートユニットを構成する中継テンプレートの上面には、子基板に穿孔される後記複数の内ピン穴に対応する位置に内ピン逃げ穴を予め穿孔するものであって、
上記基板テンプレートユニットを構成する中継テンプレート上に重層しつつ固持される下板と親基板、又は下板と親基板、及び上板において、該下板と親基板、又は下板と親基板、及び上板を構成する子基板の所定位置に内ピン穴穿孔機構によって内ピン穴を穿孔するとともに、内ピン打ち込み機構によって上方からそれら穿孔された内ピン穴に内ピンを打ち込むことで前記下板と親基板、又は下板と親基板、及び上板を一体とするものである。
【0018】
そのため、ルータ加工装置内において、基板テンプレートユニットを構成する中継テンプレートにおいて、下板と親基板、又は下板と親基板、及び上板とともに、重層して固持される親基板を構成する子基板の所定位置において、同一の内ピン穴穿孔機構により内ピン穴が穿孔されるとともに、内ピン打ち込み機構により内ピンを打ち込むので、該内ピン穴と内ピンとの径に有意義な径差を設ける必要がなくなり、両者間の寸法公差は略±0となるものである。
その結果、基板テンプレートユニットを構成する中継テンプレートに重層しつつ固持される下板と親基板、又は下板と親基板、及び上板は互いに正確な位置に強固に固定されることとなる。更にそれら下板と親基板、又は下板と親基板、及び上板が、基板固定ピンによって中継テンプレートと一体になるとともに、テンプレート固定ピンが加工テーブルのテンプレートクランパによって強固に把持されている場合には、基板テンプレートユニットが加工テーブルに対して正確な位置に強固に固定されるので、ルータ加工時に親基板が揺動することがなくなり、より高精度な子基板のルータ加工を行うことができるものである。
【0019】
また、上記基板テンプレートユニットに組み込まれた親基板に対するルータ加工終了後には、基板テンプレートユニットを中継テンプレートとともに構成する下板と親基板、又は下板と親基板、及び上板を構成する子基板の所定位置に打ち込まれる内ピンは、上記内ピン打ち込み機構によって中継テンプレートの内ピン用逃げ穴に落とし込まれ、その上で基板テンプレートユニットごと、ルータ加工装置外へ搬出して回収するものである。
その一方で、中継テンプレートに重層しつつ固持される下板と親基板、又は下板と親基板、及び上板からなる基板テンプレートユニットは、ルータ加工装置外において作成し準備されることから、次にルータ加工を施す基板テンプレートユニットを事前に作成することが可能となり、1個の基板テンプレートユニットにルータ加工を施した後、次にルータ加工を施す基板テンプレートユニットを事前に作成しておくことで、ルータ加工装置でのルータ加工作業を連続して行えるので、該ルータ加工装置の稼働効率のみならず、オペレータの作業効率をも向上させることができるものである。
【0020】
なお、中継テンプレートに設けられる内ピン用逃げ穴は、親基板を構成する子基板の種類に対応して予め穿孔されているので、加工する親基板に合わせて中継テンプレートを交換する必要はないものである。
【0021】
第1の特徴乃至第3の特徴のうち、いずれか1つの特徴を踏まえて、第4の特徴として、
上記ルータ加工装置におけるプリント基板の固定方法を実施してなるルータ加工装置とするものである。
【0022】
そのため、ルータ加工装置において、プリント基板または親基板は基板テンプレートユニットとして加工テーブルに固定された上でルータ加工が行われるものであって、基板テンプレートユニットの作成及び、ルータ加工後の加工されたプリント基板あるいは子基板の回収作業はオペレータがルータ加工装置外で行うことができる。
その結果、ルータ加工装置は連続してルータ加工を行うことができるとともに、オペレータによる上記作業はルータ加工装置外で集中的に行えるので、ルータ加工装置の稼働効率及びオペレータの作業効率を向上させることができるものである。
【0023】
そして、プリント基板または親基板が下板、又は下板と上板とともに打ち込まれた内ピンによって正確且つ強固に一体に固定されるとともに、基板テンプレートユニットの中継テンプレートを介して加工テーブルに強固、且つ正確な位置に固定される場合には、プリント基板に対して高精度でルータ加工を行うことができるものである。
【0024】
さらに、ルータ加工装置では、プリント基板または親基板は、下板、又は下板と上板、及び中継テンプレートとともに構成される基板テンプレートユニットによって加工テーブルに固定するだけであって新たな装置を付加させるものではなく、基板テンプレートユニットの厚さや重量に対応して従来の搬入搬出機構を設計変更するだけで足りる。また、そのため、ルータ加工装置の設置スペースの拡張やラインの配置変更は不要であって、既存のルータ加工装置において本願発明を実施するに際しても、ルータ加工装置使用の長期間の休止というような稼働効率の低下を防止できるものである。
【発明の効果】
【0025】
本願発明は、プリント基板又は親基板を、中継テンプレートに下板、又は下板と上板とともに重層しつつ固持してなる基板テンプレートユニットとすることで、ルータ加工に伴う準備及び製品回収の諸作業をルータ加工装置外で集中的に行うことができるので、該ルータ加工装置の稼働効率を向上させるとともに、オペレータの作業効率も向上させることができる優れた効果を有するものである。
【0026】
さらに、下板とプリント基板或いは親基板、又は下板とプリント基板或いは親基板、及び上板を重層しつつ固持してなる中継テンプレートの基板固定ピンは、該中継テンプレートに固定されたままなので、基板固定ピンの着脱による、中継テンプレートに設けられる基板固定ピン用の穴の摩耗や変形がなく、基板固定ピンの着脱回数管理を不要として、加工精度を向上させることができる優れた効果をも有するものである。
【0027】
また、既存のルータ加工装置において本願発明を実施するに当たっても、新たな装置を付加させるものではなく、ルータ加工装置の設置スペースの拡張やラインの配置変更する必要がなく、基板テンプレートユニットの厚さや重量に対応して従来の搬入搬出機構を設計変更するだけで対応可能であるので、ルータ加工装置の使用を休止させる必要がなく、稼働効率の低下を防止できるという優れた効果も有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本願発明にかかるルータ加工装置における模式図である。
図2図2は、図1に示す本願発明にかかるルータ加工装置のA-A’断面模式図である。
図3図3は、基板テンプレートユニットの正面図である。
図4図4は、上記基板テンプレートユニットの側面図である。
図5図5(イ)~(ハ)は、中継テンプレートのテンプレート固定ピンを把持、固定する、加工テーブルに内設されるテンプレートクランパの作動状態を示す模式図である。
図6図6は、ルータ加工作業における工程に対応した、オペレータの作業台における作業内容とルータ加工装置の作動状況及び搬入搬出機構の作動状況を示す工程表である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
中継テンプレートに、下板とプリント基板或いは親基板、又は下板とプリント基板或いは親基板、及び上板を重層しつつ固持する基板テンプレートユニットとした上で、該基板テンプレートユニットごと、ルータ加工装置内の加工テーブルへ搬入して固定し、加工後には加工テーブルからルータ加工装置外へ基板テンプレートユニットごと搬出し、加工されたプリント基板あるいは子基板をルータ加工装置外において回収するとともに、下板とプリント基板或いは親基板、又は下板とプリント基板或いは親基板、及び上板の残渣物の排除を行い、その一方で、ルータ加工装置外において事前に準備した次に加工する基板テンプレートユニットをルータ加工装置内の加工テーブルへ搬入して固定することによって、ルータ加工作業を連続的に行うとともに、オペレータの作業を集中的に行えるようにする。
【実施例0030】
図1に示すものは、本願発明の実施例であって、ユニット式ルータ加工装置Aである。すなわち、該ユニット式ルータ加工装置Aは、現在主流の6加工軸を有するルータ加工装置であって、ルータ加工装置1、その6加工軸に対応した作業台5、該ルータ加工装置1と作業台5との間を、後記基板テンプレートユニット7を移動自在とするように繋げる搬入搬出機構6、及びルータ加工装置1、作業台5、及び搬入搬出機構6を統合して制御する制御装置(図示せず)とから構成されるものである。
そして、ユニット式ルータ加工装置Aの背面側(図1において上部となる。以下、当該背面側を「後」と言う場合もある。)において、作業台5が配置されているものである。
以下においては、該ユニット式ルータ加工装置Aのうちの1加工軸に対応する部分のみを取り出して説明する(図2参照)。
【0031】
尚、上記ユニット式ルータ加工装置Aにおいてルータ加工を行うプリント基板は、基板テンプレートユニット7としてルータ加工を行うものである。また、以下における説明においては、1枚のプリント基板から製品となる複数のプリント基板を加工して切り出す場合を前提としている。そして、元の1枚のプリント基板を「親基板12」といい、該親基板12から複数枚切り出されて製品となるプリント基板を「子基板12’」という。
【0032】
ここで、まず基板テンプレートユニット7は図4に示すように、中継テンプレート8において、親基板12を下板13と上板14とともに重層しつつ一体に固持してなるものである。尚、図4においては、親基板12は1枚であるが、複数枚重層しても良い。
すなわち、基板テンプレートユニット7を構成する中継テンプレート8は、厚さ8mmの非常に硬いガラスエポキシ樹脂からなる長方形状の板体であって、その上面には、四カ所の角部のうち、三カ所の角部に3本の基板固定ピン9を、下面には、その前後方向の中央に2本のテンプレート固定ピン10を、各々の面に対して垂直方向に立設してなるものである。
【0033】
さらに、中継テンプレート8の上面には、重層しつつ固持された下板13、親基板12の中の子基板12’内及び上板14に対して、ユニット式ルータ加工装置Aに設けられた内ピン穴穿孔機構(図示せず。尚、該ルータ加工装置1のルータ自体が内ピン穴穿孔機構を兼ねることもできる。)によって穿孔される各々の内ピン穴13’、12’a、14’に対応する位置に、内ピン逃げ穴11を孔設してなるものである。そして、この内ピン逃げ穴11は、内ピン穴13’、12’a、14’の穴径よりも大径としてなるものである。これにより、下板13、子基板12’及び上板14を一体に固持するように内ピン打ち込み機構(図示せず。尚、該ルータ加工装置1のルータ自体が内ピン打ち込み機構を兼ねることも、あるいは内ピン打ち込み機構が内ピン穴穿孔機構を兼ねることもできる。)によって前記内ピン穴14’、12’a、13’に打ち込まれた内ピン15を、ルータ加工後に該内ピン打ち込み機構によりさらに内ピン逃げ穴11に落とし込むことで、内ピン15を簡単に回収することができる。
尚、親基板12の中の子基板12’内に設けられる内ピン穴12’aは、各子基板12’の4隅の内の3カ所に設けられ、下板13及び上板14に設けられ内ピン穴13’、14’並びに中継テンプレート8に設けられる内ピン逃げ穴11も、子基板12’内に設けられる内ピン穴12’aに対応して設けられることとなる。
【0034】
また、上記中継テンプレート8とともに基板テンプレートユニット7を構成する下板13、親基板12及び上板14の夫々には、中継テンプレート8の一面に立設される基板固定ピン9に対応する位置に、該基板固定ピン9に嵌入する基板固定ピン用穴13”、12”、14”が予め穿孔されている。
【0035】
そのため、基板テンプレートユニット7を作成するに当たっては、中継テンプレート8の一面に立設される基板固定ピン9に対して、上記下板13、親基板12及び上板14に予め穿孔されている基板固定ピン用穴13”、12”、14”を嵌入させるので、上記中継テンプレート8に対して、下板13、親基板12及び上板14は重層しつつ一体に固持されるものとなる。
【0036】
その上で、ユニット式ルータ加工装置A内では、ルータ加工装置1内に具える内ピン穿孔機構によって下板13、親基板12及び上板14に対して内ピン穴13’、12’a、14’を穿孔するとともに、該内ピン穴13’、12’a、14’において、同装置1内に具える内ピン打ち込み機構によって内ピンを15打ち込むことによって、重層した下板13、親基板12及び子基板12’、並びに上板14は互いにより強固に一体となっているものである。
【0037】
次に、上記基板テンプレートユニット7に対してルータ加工を行うユニット式ルータ加工装置Aのルータ加工装置1には、ルータ加工を行うルータ加工機構(図示せず。以下同じ。)、上記基板テンプレートユニット7を構成する下板13、親基板12及び上板14に対して内ピン穴13’、12’a、14’を穿孔するとともに、該内ピン穴13’、12’a、14’に対して内ピン15を打ち込んでなる内ピン穿孔及び打ち込み機構(図示せず。以下同じ。)、並びにルータ加工時に基板テンプレートユニット7を固定する加工テーブル2を具えるものである。
なお、図示はしないが、ルータ加工装置1内に具えられるルータ加工機構、並びに内ピン穿孔及び打ち込み機構は、従来のルータ加工装置に具えられているものを転用することができるものである。
【0038】
ここで、上記ルータ加工時において、加工テーブル2に基板テンプレートユニット7を固定するにあたっては、図5のようにするものである。
すなわち、該加工テーブル2には、基板テンプレートユニット7が加工テーブル2内に搬入された際に、基板テンプレートユニット7を所定の位置に固定すべく、基板テンプレートユニット7を構成する中継テンプレート8の下面において立設する2本のテンプレート固定ピン10に対応する位置に、該テンプレート固定ピン10を把持する、2個のブロック3’、3”及び4’、4”を一組としてなる前後2組のテンプレートクランパ3、4が加工テーブル2の表面から決して突出することがないように内設されている。
【0039】
上記前後のテンプレートクランパ3、4のうち、ユニット式ルータ加工装置Aの前側(図1において下側となる。以下同じ。)に設けられる前テンプレートクランパ3は、前後方向に配置される2個のブロック3’、3”からなるものである。そして、前固定ブロック3’は横断面においてV形状となる係止部3’aを有して、加工テーブル2に固定され、前加圧ブロック3”は該前固定ブロック3’に向けて摺動して、テンプレート固定ピン10を加圧して把持する横断面長方形状のものとしてなるものである。一方、ユニット式ルータ加工装置Aの背面側の後テンプレートクランパ4は、ユニット式ルータ加工装置Aの前後方向に対して直角方向に対向して配設される後固定ブロック4’と後加圧ブロック4”からなるものである。そして、後固定ブロック4’は横断面長方形状で、加工テーブル2に固定され、後加圧ブロック4”は横断面長方形状で、該後固定ブロック4’に向けて摺動してテンプレート固定ピン10を加圧して把持するものである。
【0040】
そのため、基板テンプレートユニット7を構成する中継テンプレート8の前後2本のテンプレート固定ピン10が前、後テンプレートクランパ3、4をなす各々のブロック3’、3”、4’、4”の間に位置した後、前加圧ブロック3”が前固定ブロック3’へ、また後加圧ブロック4”が後固定ブロック4’へと摺動することによって、前後2本のテンプレート固定ピン10がそれぞれ加圧、把持されるものとなる。
特に、前固定ブロック3’と前加圧ブロック3”との間に位置したテンプレート固定ピン10は、その摺動方向にある前固定ブロック3’に設けられたV形状の係止部3’a尖端方向に誘導されながら前固定ブロック3’と前加圧ブロック3”により強固に把持され、また後固定ブロック4’と後加圧ブロック4”との間に位置したテンプレート固定ピン10は、後加圧ブロック4”の摺動により後固定ブロック4’方向へと位置修正を行いながら強固に把持されるので、該基板テンプレートユニット7は、正確な位置に、しかも強固に加工テーブル2に固定されるものとなる。
【0041】
ここで、上記加工テーブル2の前・後テンプレートクランパ3、4は、基板テンプレートユニット7を構成する中継テンプレート8の下面に立設する複数のテンプレート固定ピン10に対応する位置に内設されるものである。
従って、現状、加工対象となるプリント基板または親基板12の大きさが基本2種類であることから、該プリント基板又は親基板12とともに基板テンプレートユニット7を構成する中継テンプレート8の大きさも2種類に統一されることとなる。
そのため、加工テーブル2に内設される前・後テンプレートクランパ3、4の内、前テンプレートクランパ3は中継テンプレート8の大きさに拘わらず共通とし、後テンプレートクランパ4の後固定ブロック4’と後加圧ブロック4”は、それぞれの長辺を長めの横断面長方形状とすることで、中継テンプレート8の大きさがいずれであっても、対応可能となるものである。
【0042】
その次に、上記ユニット式ルータ加工装置Aを構成する作業台5は、その作業台5内において基板テンプレートユニット7の作成・解体等の諸作業を行う上下2段の作業台5’、5”を有するものであって、このうち上作業台5’と下作業台5”とは、少なくともルータ加工装置1の加工テーブル2に対して基板テンプレートユニット7を搬入し、さらに搬出を行えるように、各作業台5’、5”の間には一定の間隔を形成しているものであって、該上作業台5’及び下作業台5”は、それぞれルータ加工装置1内の加工テーブル2と略同じ高さとなるように昇降自在となるものである。
そして、該上作業台5’と下作業台5”とを交互に使用することができるようになっている。すなわち、例えば上作業台5’において基板テンプレートユニット7を作成し、ルータ加工装置1内に該基板テンプレートユニット7を搬入し、ルータ加工を行っている間に、上作業台5’を跳ね上げるとともに、下作業台5”を上昇させて、下作業台5”で次の基板テンプレートユニット7を作成した後、下作業台5”を元の位置に下降させ、ルータ加工後の基板テンプレートユニット7をルータ加工装置1外の上作業台5’へ搬出する。その後、作業台5を上昇させて、下作業台5”からルータ加工装置1内に次の基板テンプレートユニット7を搬入する。そして、そのルータ加工を行っている間に、上作業台5’において、搬出されて来た基板テンプレートユニット7から製品である子基板12’を回収するとともに、下板13、親基板12、及び上板14の残渣物を排除できるものとなり、これを繰り返すことでユニット式ルータ加工装置Aを連続して稼働させることができるものとなる。
【0043】
なお、上記作業台5の上作業台5’及び下作業台5”の両者と加工テーブル2とを繋ぐ搬入搬出機構6としては、次のようなものがある。例えば、上作業台5’に内蔵される上作業台ベルトコンベアと、下作業台5”に内蔵される下作業台ベルトコンベアと、ルータ加工装置1内の背面側に設けられる中継ベルトコンベア及び、ルータ加工装置1内に内装され、基板テンプレートユニット7を昇降させ、且つ所定位置まで移動させる伸縮するシリンダーを有するリフト機構から構成されるものである(具体的な構成は図示しない。)。
そのため、ルータ加工前は、上記上作業台5’又は下作業台5”のいずれにおいて作成された基板テンプレートユニット7であっても、該上作業台5’に内蔵される上作業台ベルトコンベア又は下作業台5”に内蔵される下作業台ベルトコンベアのいずれかを作動させることによって、それら上あるいは下作業台ベルトコンベアと同期して作動している中継ベルトコンベア上へ移動させつつ、載置することができる。そして、中継ベルトコンベア上に載置された基板テンプレートユニット7は、加工テーブル2の後端部近傍(背面側の端縁)にまで移動するものである。その上で、ルータ加工装置1内に内装されるリフト機構によって、中継ベルトコンベア上の基板テンプレートユニット7は、中継テンプレート8の下面に立設されるテンプレート固定ピン10の突き出し長より高く持ち上げられながら、該テンプレート固定ピン10がルータ加工装置1の加工テーブル2に内設されるテンプレートクランパ3、4上の略位置に来るまで、移動する。そして、該テンプレート固定ピン10がテンプレートクランパ3、4を構成する各ブロック3’、3”及び4’、4”間に位置するように、該基板テンプレートユニット7を加工テーブル2上に下降させてなるものである。
また、ルータ加工後は、加工テーブル2上の基板テンプレートユニット7は、ルータ加工装置1内に内装されるリフト機構によって、中継テンプレート8の下面に立設されるテンプレート固定ピン10の突き出し長より高く持ち上げられながら、加工テーブル2の後端部近傍の中継ベルトコンベア上にまで移動し、載置される。そして、中継ベルトコンベア上に載置された基板テンプレートユニット7は、該中継ベルトコンベアの反対端、すなわち上作業台5’又は下作業台5”のいずれかの前端近傍まで移動する。その上で、同期して作動している上作業台ベルトコンベア、又は下作業台ベルトコンベアのいずれかによって、基板テンプレートユニット7は上作業台5’又は下作業台5”上に搬出、載置されるものである。
【0044】
以上のように、本願発明のユニット式ルータ加工装置Aにおいて基板テンプレートユニット7は、図6において示す各段階における、オペレータの作業内容、ルータ加工装置1、搬入搬出機構6、及び作業台5の状況によって、ルータ加工が行われることになる。すなわち、
第1段階は、基板テンプレートユニット7の組み立て工程である。
オペレータは、本願発明の実施例であるユニット式ルータ加工装置Aの背面側に設置された作業台5の上作業台5’上に、中継テンプレート8を載置した上、該中継テンプレート8の上面に立設した基板固定ピン9に対して、下板13、親基板12、及び上板14順に、夫々に予め穿孔した基板固定ピン用穴13”、12”、14”を嵌入させて一体に固持してなる基板テンプレートユニット7を組み立てる。
第2段階は、基板テンプレートユニット7の搬入工程、及びルータ加工の準備工程である。
オペレータは、上作業台5’の高さ位置を加工テーブル2の高さと略同一とした上で、組み立てた基板テンプレートユニット7の搬入搬出機構6によるルータ加工装置1内の加工テーブル2上への搬入を指示する。これに応じて、搬入搬出機構6は、上作業台5’上の基板テンプレートユニット7をルータ加工装置1内の加工テーブル2に搬入する。
ユニット式ルータ加工装置Aでは、該ユニット式ルータ加工装置Aと搬入搬出機構6、及び作業台5を統合して制御する制御回路によって、基板テンプレートユニット7の搬入及び、加工テーブル2への載置を確認した後、該基板テンプレートユニット7を構成する中継テンプレート8の下面に立設されるテンプレート固定ピン10を、加工テーブル2に内設されるテンプレートクランパ3、4によって把持して、加工テーブル2に固定する。
第3段階は、基板テンプレートユニット7の加工工程及び次の基板テンプレートユニット7の組み立て工程である。
オペレータは、基板テンプレートユニット7のルータ加工装置1内への搬入及び加工テーブル2への固定を確認した後に、ルータ加工を指示する。それに応じて、ルータ加工装置1では、加工テーブル2上に固定された基板テンプレートユニット7に対して、ルータ加工装置1に具えられる内ピン穿孔及び打ち込み機構により、下板13、親基板12を構成する子基板12‘、及び上板14の所定位置に対応して内ピン穴13’、14’、12’aが穿孔されるとともに、内ピン15が打ち込まれる。その上で、親基板12に対する所定のルータ加工等が行われる。
また、オペレータは、ユニット式ルータ加工装置Aの背面側に移動して、下作業台5”を上昇させた上、上作業台5’を跳ね上げて下作業台5”を上方に向かって開放状態として、該下作業台5”に中継テンプレート8を載置する。そして、その上面に立設した基板固定ピン9に対して、下板13、親基板12、及び上板14順に、夫々に予め穿孔した基板固定ピン用穴13”、12”、14”を嵌入させて、それらを一体に固持してなる基板テンプレートユニット7を組み立てる。
第4段階は、基板テンプレートユニット7の搬出工程である。
オペレータは、ユニット式ルータ加工装置Aの前面側に再び移動し、親基板12に対するルータ加工が正常に完了したことを確認した後、加工後の基板テンプレートユニット7に対して、内ピン穿孔及び打ち込み機構により、内ピン15を中継テンプレート8に孔設された内ピン逃げ穴11に打ち抜くよう、ルータ加工装置1の制御装置に指示する。そして、当該内ピン15の打ち抜きを確認後、基板テンプレートユニット7を構成する中継テンプレート8の下面に立設されるテンプレート固定ピン10を把持している、加工テーブル2に内設されたテンプレートクランパ3、4を開放して、加工テーブル2との固定を解除する。
その上で、オペレータはユニット式ルータ加工装置Aの背面側に移動し、搬入搬出機構6に対して、基板テンプレートユニット7の搬出を指示することになるが、作業台5では、上作業台5’の跳ね上げを解除するとともに、上作業台5’を下降させて、上作業台5’の高さ位置を加工テーブルの高さと略同一とする。その上で、該搬入搬出機構6により、上記加工テーブル2上の加工後の基板テンプレートユニット7を搬出し、上作業台5’に載置するものであり、オペレータはその基板テンプレートユニット7の搬出を確認する。
第5段階は、基板テンプレートユニット7の搬入工程及びルータ加工準備工程である。
前記第2段階と基本的に同様の内容であって、異なるのは下作業台5”において組み立てた基板テンプレートユニット7を、搬入搬出機構6によってルータ加工装置1内の加工テーブル2上へ搬入させることだけである。そのため、基板テンプレートユニット7の搬入を可能にするために、下作業台5”の高さ位置を加工テーブル2高さと略同一にすべく、作業台5の高さ位置を上昇させる。
第6段階は、基板テンプレートユニット7の加工工程並びに、製品回収工程及び次の基板テンプレートユニット7の組み立て工程である。
基板加工工程としては、前記第3段階の前半と同様である。
一方、オペレータは、前記第4段階によって上作業台5’に載置された加工後の基板テンプレートユニット7から、製品である子基板12’を回収するとともに、下板13、上板14及び親基板12の残渣物を排除する。また、次の基板テンプレートユニット7の組み立て工程は、上作業台5’で行うものであって、前記第1段階と同様である。
第7段階は、基板テンプレートユニット7の搬出工程である。
オペレータは、ユニット式ルータ加工装置Aの前面側に移動して、第4段階前半記載の作業等と同様の作業及びルータ加工装置1の制御装置への指示を行う。その上で、オペレータはユニット式ルータ加工装置Aの背面側に移動し、下作業台5”の高さ位置が前記第5段階で上昇させた高さ位置になるようにした上で、前記第4段階後半記載と同様に、基板テンプレートユニット7の搬出指示を行い、加工テーブル2上の加工後の基板テンプレートユニット7を搬入搬出機構6によって搬出し、下作業台5”に載置させ、それを確認する。
第8段階は、次の基板テンプレートユニット7の搬入工程及びルータ加工準備工程である。
オペレータは、前記第7段階で設定した上作業台5’の高さ位置を、上作業台5’の高さ位置が加工テーブル2の高さ位置と略同一になるよう下降させた上で、前記第2段階で記載した搬入指示をして、搬入作業を行う。
またルータ加工装置1内に搬入された基板テンプレートユニット7については、ルータ加工装置1の制御回路により、前記第2段階後半に記載された固定作業がなされる。
第9段階は、基板テンプレートユニット7に対する加工工程と、製品回収工程である。
加工工程は前記第3段階に記載したものと同様となる。また、製品回収工程についても、その工程の作業を容易化するために、上作業台5’を跳ね上げるとともに、下作業台5”の位置を上昇させることで、下作業台5”の高さ位置を上昇させて行う以外、前記第6段階における製品回収工程と同様である。
これ以降は、これらの段階の工程を繰り返すことによって、ユニット式ルータ加工装置Aによって親基板12を構成する子基板12’に対するルータ加工を連続的に行うことができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
少なくとも加工対象であるプリント基板を中継テンプレート上に重層して一体に固持してなる基板テンプレートユニットとし、この基板テンプレートユニットごと、ユニット式ルータ加工装置に対して搬入、搬出するとともに、加工を行うものとすることで、ルータ加工以外の諸作業をルータ加工装置外で行うものとなってルータ加工を連続的に行えるので、ルータ加工装置のみならず、様々な加工装置において適用できるものである。
【符号の説明】
【0046】
A (6加工軸の)ユニット式ルータ加工装置
1 ルータ加工装置
2 加工テーブル
3 前テンプレートクランパ
3’ 前固定ブロック
3’a 係止部
3” 前加圧ブロック
4 後テンプレートクランパ
4’ 後固定ブロック
4” 後加圧ブロック
5 作業台
5’ 上作業台
5” 下作業台
6 搬入搬出機構
7 基板テンプレートユニット
8 中継テンプレート
9 基板固定ピン
10 テンプレート固定ピン
11 内ピン逃げ穴
12 親基板
12’ 子基板
12’a 内ピン穴
12” 基板固定ピン用穴
13 下板
13’ 内ピン穴
13” 基板固定ピン用穴
14 上板
14’ 内ピン穴
14” 基板固定ピン用穴
15 内ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6