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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138465
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】複数区画分離パウチ
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/22 20060101AFI20220915BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20220915BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B65D30/22 N
B65D30/22 G
B65D33/00 C
B65D81/32 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038359
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】楊 凱麟
【テーマコード(参考)】
3E013
3E064
【Fターム(参考)】
3E013AA06
3E013AB01
3E013AB02
3E013AC01
3E013AD36
3E013AE12
3E013AF02
3E013AF29
3E013AF36
3E013BB12
3E013BC04
3E013BC12
3E013BC14
3E013BF26
3E013BF36
3E064AA01
3E064BA25
3E064BA29
3E064BA30
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC18
3E064EA12
3E064FA04
3E064HE02
3E064HM02
3E064HN06
3E064HP01
3E064HP02
3E064HT07
(57)【要約】
【課題】積層体から構成されるパウチにおいて、一つのパウチに複数の独立した収納空間を有して、開封時には複数の収納空間ごとに個々に取り出すことが容易に可能であり、必要に応じてパウチ内で混合してから取り出すことも容易に可能な、複数区画分離パウチの提供を課題とする。
【解決手段】矩形のパウチであって、収納空間を区切る1以上の中間シール部を設けて、複数の区画を形成し、一方の側辺シール部から対向する側辺シール部に達する、中間シール部に平行な開封補助線を設けてあり、左右どちらか一方の側辺シール部には、開封補助線と直交する方向に、開封線が設けてあり、開封に際しては、区画の開封補助線を切り裂いて開封し、続いて側辺シール部に設けた開封線を切り裂いて、開封した区画に隣接する区画の開封補助線に到達して後、隣接する区画の開封補助線を切り裂いて開封することができることを特徴とする、複数区画分離パウチ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルムを基材として、少なくともシーラント層を有する積層体から構成される、内容物を収納可能な矩形のパウチであって、
2枚の積層体のシーラント層同士を対向させて、その周縁である、上辺、下辺、及び右側辺、及び左側辺の4辺をシールして、2枚の積層体の間に収納空間を設けて製袋されており、
収納空間には、収納空間を区切る1以上の中間シール部を幅方向に設けて、独立した複数の区画を形成し、
少なくとも内容物を取り出そうとする区画においては、一方の側辺シール部から対向する側辺シール部に達する、中間シール部に平行な開封補助線を設けてあり、
少なくとも左右どちらか一方の側辺シール部には、開封補助線と直交する方向に、開封線が設けてあり、
開封線と、開封補助線とは、側辺シール部内で接続しており、
開封に際しては、上端または下端の区画の開封補助線を切り裂いて、上端または下端の区画を開封し、
続いて側辺シール部に設けた開封線を切り裂いて、開封した区画に隣接する区画の開封補助線に到達して後、隣接する区画の開封補助線を切り裂いて開封し、
更に隣接する区画を順次開封することができることを特徴とする、複数区画分離パウチ。
【請求項2】
前記中間シール部は、少なくともその一部が、周縁のシール部より、接着強度が小さく形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の複数区画分離パウチ。
【請求項3】
初めに開封する、上端または下端の区画の開封補助線は、側端部のシール部のエッジに設けたノッチに接続していることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の複数区画分離パウチ。
【請求項4】
初めに開封した区画以外の区画の開封補助線は、側端部シール部の内側で、側端部のエッジに接することなく開封線に接続するノッチに接続していることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれかに記載の複数区画分離パウチ。
【請求項5】
前記開封補助線は、ハーフカット加工による脆弱化加工が施してあり、前記開封線は、ハーフカット加工又は貫通したミシン目加工による脆弱化加工が施してあることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれかに記載の複数区画分離パウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックフィルムを基材として構成される、パウチと呼ばれる包装材料に関するものである。特に、一つの包装袋に複数の収納空間を有して開封に利便性の高い、複数区画分離パウチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装材料の一種である包装袋は、プラスチックフィルムを基材とする単層または積層体から構成されるものが広く普及しており、さまざまな形態のものが、幅広い用途に用いられており、現代の人々の生活にとっては不可欠なものとなっている。
【0003】
包装袋は、例えば液体用の容器としても用いられ、飲料のほかレトルト食品などの食品分野でも広く用いられているほか、日用品やトイレタリーの分野でも、さまざまな商品がスーパーマーケットやドラッグストア、コンビニエンスストアの商品棚をにぎわしている。
【0004】
包装袋の利点は、缶や瓶などの容器に比べて、価格が安いことや、さまざまな要求品質に対してきめ細かい材料設計で対応できる点、あるいは内容物充填前、及び流通や保管においても軽量で省スペースであることが挙げられる。また包装袋は、廃棄物を減らすという観点からも環境適応型の容器であるといえる。
【0005】
また包装袋の外側から見える層への高精細の印刷によって、商品のイメージアップを図ることができ、内容物に関する必要な情報を表示することが可能であり、バーコードの印刷などは、商品の流通や在庫管理、マーケティング情報の源泉ともなっている。
【0006】
包装袋の中には、包装袋に複数の収納空間を有して、種類の異なる内容物の収納が可能な複数区画分離パウチがある。
【0007】
特許文献1及び特許文献2には、このような2区画が分離した包装袋の提案がなされているが、これらに開示されている包装袋においては、2区画の中間に隔離シール部を設けて、この隔離シール部を破壊することによって、2区画に収納されていた内容物を混ぜ合わせることができるという提案であって、内容物を容易に取り出すための開封についての考慮はされておらず、使い勝手の点で十分なものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001-63735号公報
【特許文献2】特開2000-309350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、プラスチックフィルムを基材とする積層体から構成されるパウチにおいて、一つのパウチに複数の独立した収納空間を有して、開封時には複数の収納空間ごとに個々に取り出すことが容易に可能であり、必要に応じてパウチ内で混合してから取り出すことも容易に可能な、複数区画分離パウチの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
プラスチックフィルムを基材として、少なくともシーラント層を有する積層体から構成される、内容物を収納可能な矩形のパウチであって、
2枚の積層体のシーラント層同士を対向させて、その周縁である、上辺、下辺、及び右側辺、及び左側辺の4辺をシールして、2枚の積層体の間に収納空間を設けて製袋されており、
収納空間には、収納空間を区切る1以上の中間シール部を幅方向に設けて、独立した複数の区画を形成し、
少なくとも内容物を取り出そうとする区画においては、一方の側辺シール部から対向する側辺シール部に達する、中間シール部に平行な開封補助線を設けてあり、
少なくとも左右どちらか一方の側辺シール部には、開封補助線と直交する方向に、開封線が設けてあり、
開封線と、開封補助線とは、側辺シール部内で接続しており、
開封に際しては、上端または下端の区画の開封補助線を切り裂いて、上端または下端の区画を開封し、
続いて側辺シール部に設けた開封線を切り裂いて、開封した区画に隣接する区画の開封補助線に到達して後、隣接する区画の開封補助線を切り裂いて開封し、
更に隣接する区画を順次開封することができることを特徴とする、複数区画分離パウチである。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、
前記中間シール部は、少なくともその一部が、周縁のシール部より、接着強度が小さく形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の複数区画分離パウチである。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、
初めに開封する、上端または下端の区画の開封補助線は、側端部のシール部のエッジに設けたノッチに接続していることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の複数区画分離パウチである。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、
初めに開封した区画以外の区画の開封補助線は、側端部シール部の内側で、側端部のエッジに接することなく開封線に接続するノッチに接続していることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれかに記載の複数区画分離パウチである。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、
前記開封補助線は、ハーフカット加工による脆弱化加工が施してあり、前記開封線は、ハーフカット加工又は貫通したミシン目加工による脆弱化加工が施してあることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれかに記載の複数区画分離パウチである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プラスチックフィルムを基材とする積層体から構成されるパウチにおいて、一つのパウチに複数の独立した収納空間を有して、開封時には複数の収納空間ごとに個々に取り出すことが容易に可能であり、必要に応じてパウチ内で混合してから取り出すことも容易に可能な、複数区画分離パウチの提供が可能である。
【0016】
また本発明が、2枚の積層体のシーラント層同士を対向させて、その周縁である、上辺、下辺、及び左右側辺をシールして、2枚の積層体の間に収納空間を設けて製袋されており、収納空間には、1以上の中間シール部を幅方向に設けて、独立した複数の区画を形成していることによって、複数の異なった種類の内容物を個別に収納することが可能である。
【0017】
また本発明が、少なくとも内容物を取り出そうとする区画においては、一方の側辺シール部から対向する側辺シール部に達する、中間シール部に平行な開封補助線を設けてあることによって、各区画を別々に開封し、内容物を取り出すことが可能である。
【0018】
また、本発明が少なくとも左右どちらか一方の側辺シール部には、開封補助線と直交する方向に、開封線が設けてあり、開封線と、開封補助線とは、側辺シール部内で接続しており、初めに上端または下端の区画の開封補助線を切り裂いて、上端または下端の区画を開封することが可能であって、続いて側辺シール部に設けた開封線を切り裂いて、開封した区画に隣接する区画の開封補助線に到達して後、隣接する区画の開封補助線を切り裂いて開封することが可能であり、このようにして隣接する区画を順次開封することができることによって、個々の区画を、意図した順に開封することが可能になる。すなわち、開封順序を誤るなどの想定外の開封を防止することが可能である。
【0019】
また特に請求項2に記載の発明によれば、中間シール部は、少なくともその一部が、周縁のシール部より、接着強度が小さく形成されていることによって、この中間シール部を介して隣接する区画に異なった内容物を入れて置き、開封に際しては中間シール部を破壊して、内容物を混合してから開封し、取り出すことが可能になる。
【0020】
また特に請求項3に記載の発明によれば、初めに開封する、上端または下端の区画の開封補助線は、側端部のシール部のエッジに設けたノッチに接続していることによって、初めに開封する区画を確実に開封することに効果的であり、容易で安定した開封が可能である。
【0021】
また特に請求項4に記載に発明によれば、初めに開封した区画以外の区画の開封補助線は、側端部シール部の内側で、側端部のエッジに接することなく開封線に接続するノッチに接続していることによって、個々の区画を順次開封することが可能であり、容易で安定した開封が可能である。
【0022】
また特に請求項5に記載の発明によれば、前記開封補助線は、ハーフカット加工による脆弱化加工が施してあり、前記開封線は、ハーフカットまたはミシン目加工による脆弱化加工が施してあることによって、手指で容易にそれぞれを切り裂いて開封することができ、かつ安定した開封が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明に係る複数区画分離パウチの一実施態様を説明するための、平面模式図である。
図2図2は、本発明による複数区画分離パウチの一実施態様において、開封の初めの様子を説明するための、平面模式図である。
図3図3は、本発明による複数区画分離パウチの一実施態様において、開封の様子と内容物の取り出しの様子を説明するための、平面模式図である。
図4図4は、本発明による複数区画分離パウチの一実施態様において、隣接する区画の開封の様子を説明するための、平面模式図である。
図5図5は、本発明による複数区画分離パウチの一実施態様において、隣接する区画の開封の様子と内容物の取り出しの様子を説明するための、平面模式図である。
図6図6は、本発明に係る複数区画分離パウチの他の実施態様を説明するための、平面模式図である。
図7図7は、本発明に係る複数区画分離パウチの他の実施態様において、中間シール部を破壊して内容物を混合する様子を説明するための、平面模式図である。
図8図8は、本発明に係る複数区画分離パウチの他の実施態様において、パウチ内で混合した内容物を取り出す様子を説明するための、平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を図1図8を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0025】
図1は、本発明に係る複数区画分離パウチの一実施態様を説明するための、平面模式図である。
【0026】
本発明による複数区画分離パウチ(100)は、プラスチックフィルムを基材として、少なくともシーラント層を有する積層体から構成される、内容物を収納可能な矩形のパウチである。
【0027】
プラスチックフィルムは、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、パウチの用途に応じて適宜選択される。
【0028】
特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートをプラスチックフィルムとする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。そのほか延伸ポリアミドフィルムを用いる場合には、積層体に突き刺しに対する強靭性や、衝撃に対する強靭性を付与することができる。
【0029】
またプラスチックフィルムは、接着剤層を介して他の層と積層して積層体とすることができる。積層体の層構成やその材料構成、厚さなどは、パウチに対する要求品質に応じて適宜設計することができる。
【0030】
例えば積層体には、必要な機能を有する層を含むことができる。たとえば内容物の保存性を向上させることなどを目的として、パウチを構成する積層体中に、着色フィルムなど紫外線を遮蔽する不透明層を設けることができる。
【0031】
ほかにも例えば内容物の長期保存性の向上、あるいは環境条件による内容物の劣化、変質を防止、また内容物からの揮発成分の漏洩の防止などを目的とした、ガスバリア層を設けることが可能である。ガスバリア層には、アルミニウムなどの金属箔や、金属蒸着膜が有効であり、あるいは無機化合物の蒸着層を用いることが可能である。
【0032】
積層体中に無機化合物のガスバリア層を設ける手段として、たとえば、プラスチックフィルムの表面にあらかじめ無機化合物を蒸着して膜形成した、ガスバリアフィルムを積層して用いることができる。
【0033】
シーラント層を有する積層体は、2枚の積層体をシーラント層同士が対向するように重ねて、例えば加熱、加圧してヒートシールすることによって互いを接着させ、パウチに製袋することが可能である。
【0034】
シーラント層の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)を使用することができる。
【0035】
また、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。
【0036】
シーラント層の形成には、押出機などを用いて溶融した樹脂を製膜して、積層体上に層形成することができる。あるいは、あらかじめフィルムの状態に製膜してある材料を、ラミネートによって積層することによって、積層体の表面にシーラント層を形成することも可能である。
【0037】
パウチは、内容物を収納可能に製袋されており、パウチを構成する2枚の積層体のシーラント層同士を対向させて、その周縁である、上辺、下辺、及び右側辺、及び左側辺の4辺をシールして、2枚の積層体の間に収納空間を設けて製袋されている。
【0038】
図1に示す例において、上辺、下辺、及び右側辺、及び左側辺の4辺は、上辺のシール部(6)、下辺のシール部(7)、右側辺のシール部(9)、左側辺のシール部(8)で構成されている。
【0039】
上辺のシール部(6)、下辺のシール部(7)、右側辺のシール部(9)、左側辺のシール部(8)で囲まれた収納空間には、収納空間を区切る1以上の中間シール部(20)を幅方向に設けて、独立した複数の区画を形成している。
【0040】
図1で示す例において、中間シール部(20)は1本、独立した区画は2区画の例である。2区画には、それぞれ内容物(A)、内容物(B)が中間シール部(20)によって、区分けされて収納されている例である。
【0041】
本発明による複数区画分離パウチ(100)は、複数の区画に分割されていることを特徴のひとつとするが、少なくとも内容物を取り出そうとする区画においては、一方の側辺シール部から対向する側辺シール部に達する、中間シール部(20)に平行な開封補助線を設けてある。図1に示す例においては、内容物(A)が収納されている区画には、開封補助線(10)が、内容物(B)が収納されている区画には開封補助線(11)が設けてある例である。
【0042】
また、本発明による複数区画分離パウチ(100)は、少なくとも左右どちらか一方の側辺シール部には、開封補助線と直交する方向に、開封線が設けてある。図1に示す例においては、左側辺のシール部(8)の中央部の縦方向に開封線(12)を設けてある例である。
【0043】
また、開封線(12)と、開封補助線(10)及び開封補助線(11)とは、側辺シール部(8)内で接続している。
【0044】
図2は、本発明による複数区画分離パウチの一実施態様において、開封の初めの様子を説明するための、平面模式図である。
【0045】
本発明においては、複数区画分離パウチ(100)の開封に際しては、上端または下端の区画の開封補助線を切り裂き、上端または下端の区画を開封することができる。
【0046】
図2に示す例において、まず開封補助線(10)を切り裂いて、矢印(1)の方向にパウチの上部を分離し、内容物(A)が収納された区画を開封して、開口部(13)を形成
することができる。
【0047】
また図2に示す例においては、左側辺のシール部(8)のエッジ(4)に設けられたノッチ(15)が設けられている例であって、これきっかけにして開封補助線(10)の切り裂きを進めることができる。
【0048】
図3は、本発明による複数区画分離パウチの一実施態様において、開封の様子と内容物の取り出しの様子を説明するための、平面模式図である。
【0049】
内容物(A)の取り出しは、開封補助線(10)の切り裂きによって、形成された開口部(13)から行うことができる。
【0050】
続いて側辺シール部に設けた開封線(12)を矢印(2)の方向に切り裂いて、開封した区画に隣接する区画の開封補助線(11)に到達して後、図3に示す例においては、左側辺のシール部(8)の下端まで設けられた開封線(12)を、切り離して分離することが可能になる。図3に示す例においては、開封線と開封補助線の接する位置にノッチ(16)を設けてある例である。
【0051】
図4は、本発明による複数区画分離パウチの一実施態様において、隣接する区画の開封の様子を説明するための、平面模式図である。
【0052】
図4に示す状態において、開封線(12)は、切り離して分離した状態であって、この例では、隣接する区画、すなわち内容物(B)が収納された区画を開封するための、開封補助線(11)が切り裂かれた状態を示している。
【0053】
開封補助線(11)が切り裂かれ、内容物(A)が収納されていた区画を矢印(3)の方向に分離して、開口部(14)を形成することができる。
【0054】
この切り裂きは、ノッチ(16)をきっかけにしたものであって、本発明において、初めに開封した区画以外の区画の開封補助線は、側端部シール部(8)の内側で、側端部シール部(8)のエッジ(4)に接することなく開封線(12)に接続するノッチ(16)に接続するものとすることができる。
【0055】
図5は、本発明による複数区画分離パウチの一実施態様において、隣接する区画の開封の様子と内容物の取り出しの様子を説明するための、平面模式図である。
【0056】
図1図4において示したように、開封補助線と開封線を順次切り裂いて、内容物(A)続いて内容物(B)を取り出すことが可能になる。
【0057】
ここに示す例は、中間シール部(20)は1本、独立した区画は2区画の例である。2区画には、それぞれ内容物(A)、内容物(B)が中間シール部(20)によって、区分けされて収納されている例である。
【0058】
この中間シール部と区画を更に多数にすることも可能であって、本発明は更に隣接する区画を順次開封することができることを特徴とする、複数区画分離パウチ(100)である。
【0059】
図6は、本発明に係る複数区画分離パウチの他の実施態様を説明するための、平面模式図である。
【0060】
ここに示す例は、図1図5に示す例とは異なる、複数区画分離パウチ(100)の他の実施態様である。本発明においては、中間シール部(30)は、少なくともその一部を、周縁の4辺のシール部すなわち、上辺のシール部(6)、下辺のシール部(7)、右側辺のシール部(9)、左側辺のシール部(8)より、接着強度を小さく形成することができる。
【0061】
ここに示す例は、中間シール部(30)は1本、独立した区画は2区画の例である。2区画には、それぞれ内容物(C)、内容物(D)が中間シール部(30)によって、区分けされて収納されている例である。ただし、中間シール部(30)は、周縁の4辺のシール部比べて、シール強度を低くした例である。
【0062】
このシール強度に強弱をつける方法については、特段の制約を設けるものではなく、例えばヒートシールする際の温度に差を設けることで実現してもよく、異なるシーラントを用いて実現するのでもよい。
【0063】
すなわち、接着強度が小さく形成されていることによって、この中間シール部(30)を介して隣接する区画に異なった内容物(C)及び内容物(D)を入れて置き、開封に際しては中間シール部(30)を破壊して、内容物(C)及び内容物(D)を混合してから開封し、混合した後の状態で取り出すことが可能になる。
【0064】
この中間シール部(30)の破壊は、内容物の液体をパウチの外側から押圧するなどして、辺縁の4辺のシール部や、開封補助線などに影響を与えることなく、脆弱部である中間シール部(30)のみを破壊することができる。
【0065】
これは例えば、液体の薬剤の調合を、使用する直前に行おうとする場合や、その配合比を正確に行おうとする場合に都合よく用いることが可能である。或いは、食品の下ごしらえなどに用いることも可能であり、液体同士に限らず、粉体と液体の混合などにも用いることができる。
【0066】
なお、図6に示す例においても、開封補助線(10)および開封補助線(11)と開封線(12)を設ける考え方は、図1図5に示す例と同じとすることが可能であるが、開封前に内容物を混合して、一つの開封口から取り出すようにするのでも構わない。この場合には開封補助線(10)のみを設けることができる。
【0067】
本発明において、図6に示すように開封補助線を切り裂くきっかけとしてノッチを設けることができる。これは、図1図5に示す例と同じである。
【0068】
すなわち、初めに開封する、上端または下端の区画の開封補助線は、側端部のシール部のエッジに設けたノッチに接続しているものとすることができる。また初めに開封した区画以外の区画の開封補助線は、側端部シール部の内側で、側端部のエッジに接することなく開封線に接続するノッチに接続しているものとすることができる。
【0069】
また本発明において、開封補助線は、ハーフカット加工による脆弱化加工が施してあるものとすることができ、開封線は、ハーフカット加工又は貫通したミシン目加工による脆弱化加工を施したものとすることができる。
【0070】
これによって、複数区画分離パウチ(100)を手指で容易に切り裂いて開封することができ、かつ安定した開封が可能である。
【0071】
図7は、本発明に係る複数区画分離パウチの他の実施態様において、中間シール部を破
壊して内容物を混合する様子を説明するための、平面模式図である。
【0072】
図7に示す状態において、中間シール部(30)は破壊されて、内容物(C)及び(D)が収納された区画は独立することなく連続した収納空間となった状態であり、内容物(C)及び内容物(D)を、複数区画分離パウチ(100)の内部で混合することが可能である。
【0073】
図8は、本発明に係る複数区画分離パウチの他の実施態様において、パウチ内で混合した内容物を取り出す様子を説明するための、平面模式図である。
【0074】
開封は開封補助線(10)を切り裂いて行われ、混合された、内容物(C)及び内容物(D)は、開口部(17)から取り出すことができる。
【0075】
このようにして本発明によれば、プラスチックフィルムを基材とする積層体から構成されるパウチにおいて、一つのパウチに複数の独立した収納空間を有して、開封時には複数の収納空間ごとに個々に取り出すことが容易に可能であり、必要に応じてパウチ内で混合してから取り出すことも容易に可能な、複数区画分離パウチの提供が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1・・・矢印
2・・・矢印
3・・・矢印
4・・・エッジ
6・・・上辺のシール部
7・・・下辺のシール部
8・・・左側辺のシール部
9・・・右側辺のシール部
10・・・開封補助線
11・・・開封補助線
12・・・開封線
13・・・開口部
14・・・開口部
15・・・ノッチ
16・・・ノッチ
17・・・開口部
20・・・中間シール部
30・・・中間シール部
100・・・複数区画分離パウチ
A・・・内容物
B・・・内容物
C・・・内容物
D・・・内容物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8