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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138491
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】二次電池およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20220915BHJP
   H01M 50/147 20210101ALI20220915BHJP
   H01M 50/60 20210101ALI20220915BHJP
   H01M 50/572 20210101ALI20220915BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20220915BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M2/04 A
H01M2/36 101A
H01M2/36 101C
H01M2/34 B
H01M2/36 101Z
H01M10/058
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038404
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 健介
(72)【発明者】
【氏名】野中 太貴
【テーマコード(参考)】
5H011
5H023
5H028
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA03
5H011AA17
5H011CC06
5H011DD07
5H011KK01
5H023AA03
5H023AS01
5H023BB05
5H023BB10
5H023CC11
5H023CC27
5H023CC30
5H028AA07
5H028AA08
5H028BB01
5H028BB02
5H028BB03
5H028CC07
5H028HH01
5H028HH05
5H028HH09
5H029AJ14
5H029AJ15
5H029AK03
5H029AL00
5H029AM01
5H029AM03
5H029BJ02
5H029CJ13
5H029DJ02
5H029DJ03
5H029DJ14
5H029HJ04
5H029HJ07
5H029HJ12
5H043AA07
5H043BA16
5H043BA19
5H043CA04
5H043CA12
5H043CA13
5H043EA07
5H043EA35
5H043EA39
5H043GA22
5H043HA09
5H043HA09E
5H043HA09F
5H043HA16E
5H043HA17E
5H043JA01
5H043JA01E
5H043JA02
5H043JA02E
5H043JA11
5H043JA11E
5H043JA13
5H043JA13E
5H043KA08E
5H043KA09E
5H043KA22
5H043KA22E
5H043KA45
5H043KA45E
5H043LA02
5H043LA02E
5H043LA11
5H043LA11E
5H043LA21
5H043LA21E
5H043LA22
5H043LA22E
5H043LA25
5H043LA25E
(57)【要約】
【課題】電解液注液孔を介したガス排出工程における意図しない電解液の漏出が抑制された二次電池およびその製造方法を提供する。
【解決手段】二次電池は、電極体と、壁部を含み、電極体を収納する外装缶と、電極体とともに外装缶に収納される電解液と、外装缶の壁部の内面と対向するように外装缶に収納された内部部材とを備える。壁部に電解液用の注液孔が設けられ、注液孔は封止部材により封止される。壁部と内部部材との間に、壁部の延在方向に沿って延び、注液孔に通じる隙間が形成され、隙間に面する位置において、壁部の内面および内部部材の表面の少なくとも一方に凹部が形成されている。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体と、
壁部を含み、前記電極体を収納する外装缶と、
前記電極体とともに前記外装缶に収納される電解液と、
前記外装缶の前記壁部の内面と対向するように前記外装缶に収納された内部部材とを備え、
前記壁部に前記電解液用の注液孔が設けられ、
前記注液孔は封止部材により封止され、
前記壁部と前記内部部材との間に、前記壁部の延在方向に沿って延び、前記注液孔に通じる隙間が形成され、
前記隙間に面する位置において、前記壁部の前記内面および前記内部部材の表面の少なくとも一方に凹部が形成されている、二次電池。
【請求項2】
前記外装缶は、開口を有する本体と、前記本体の前記開口を封口する封口板とを含み、
前記壁部は前記封口板により構成される、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記内部部材は、板状の絶縁部材により構成される、請求項1または請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記内部部材は、前記注液孔と対向する部分に貫通孔を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項5】
前記壁部の延在方向に対して直交する方向に沿った前記隙間の高さは2mm以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項6】
前記壁部の延在方向に対して直交する方向からみた前記隙間の面積は、5cm2以上である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項7】
前記凹部の深さは2mm以下である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項8】
前記壁部は、短辺と長辺とを含む略長方形の平面形状を有し、
前記凹部は、前記短辺に沿う第1方向または前記長辺に沿う第2方向に延びる帯状部分を有する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項9】
前記第1方向に沿う前記凹部の長さは、前記第2方向に沿う前記凹部の長さの30パーセント以上である、請求項8に記載の二次電池。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法であって、
前記外装缶に前記電極体を挿入する工程と、
前記電極体が挿入された前記外装缶に前記注液孔を介して前記電解液を注液する工程と、
前記注液孔を介して前記外装缶内のガスを排出する工程と、
前記注液孔を前記封止部材により封止する工程とを備えた、二次電池の製造方法。
【請求項11】
前記注液孔を前記封止部材により封止する工程において、前記外装缶内の圧力が大気圧以下である、請求項10に記載の二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、二次電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2018-163858号公報(特許文献1)には、完成後に膨張しにくい角形二次電池を提供するために、電解液を注液した後、電池ケース内のガスの一部を電解液注液孔から電池ケース外に排出する工程を設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-163858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術のように、電解液注液孔を介したガス排出工程を実施する場合、ガスとともに電解液が漏出する場合がある。注液孔から漏出した電解液は、ガス排出装置などの製造設備の耐久性を低下させ得る。異なる観点では、完成後の二次電池における電解液の量が安定せず、電池の性能にも影響を与え得る。従来の二次電池は、上記の観点から必ずしも十分な構成を備えていない。
【0005】
本技術の目的は、電解液注液孔を介したガス排出工程における意図しない電解液の漏出が抑制された二次電池およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に係る二次電池は、電極体と、壁部を含み、電極体を収納する外装缶と、電極体とともに外装缶に収納される電解液と、外装缶の壁部の内面と対向するように外装缶に収納された内部部材とを備える。壁部に電解液用の注液孔が設けられ、注液孔は封止部材により封止される。壁部と内部部材との間に、壁部の延在方向に沿って延び、注液孔に通じる隙間が形成され、隙間に面する位置において、壁部の内面および内部部材の表面の少なくとも一方に凹部が形成されている。
【0007】
本技術に係る二次電池の製造方法は、上記の二次電池の製造方法であって、外装缶に電極体を挿入する工程と、電極体が挿入された外装缶に注液孔を介して電解液を注液する工程と、注液孔を介して外装缶内のガスを排出する工程と、注液孔を封止部材により封止する工程とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本技術によれば、電解液注液孔を介したガス排出工程における意図しない電解液の漏出が抑制された二次電池およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】角形二次電池の斜視図である。
図2図1におけるII-II断面図である。
図3】電極体を構成する正極板の平面図である。
図4】電極体を構成する負極板の平面図である。
図5】正極板および負極板からなる電極体を示す平面図である。
図6】電極体と正極集電部材および負極集電部材との接続構造を示す図である。
図7】封口板への正極集電部材および負極集電部材の取付構造を示す図である。
図8図7におけるVIII-VIII断面図である。
図9図7におけるIX-IX断面図である。
図10】封口板と電極体とが接続された状態を示す図である。
図11】角形二次電池の構造を模式的に示す断面図である。
図12】封口板に絶縁部材と集電部材とを設けた状態を示す平面図である。
図13】封口板の一例を示す平面図である。
図14】封口板の上に設けられる絶縁部材の一例を示す図である。
図15】封口板と絶縁部材との隙間の構造の一例を模式的に示す拡大断面図である。
図16】封口板と絶縁部材との隙間の構造の他の例を模式的に示す拡大断面図である。
図17】凹部の断面形状の一例を示す断面図である。
図18】凹部の断面形状の他の例を示す断面図である。
図19】凹部の断面形状の他の例を示す断面図である。
図20】凹部の平面形状の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0011】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。
【0012】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0013】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池など他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。また、「電極板」は正極板および負極板を総称し得る。
【0014】
図1は、角形二次電池1の斜視図である。図2は、図1におけるII-II断面図である。
【0015】
図1図2に示すように、角形二次電池1は、電池ケース100と、電極体200と、絶縁シート300と、正極端子400と、負極端子500と、正極集電部材600と、負極集電部材700と、カバー部材800とを含む。
【0016】
電池ケース100は、開口を有する有底角筒状の角形外装体110と、角形外装体110の開口を封口する封口板120とからなる。角形外装体110および封口板120は、それぞれ金属製であることが好ましく、アルミニウムまたはアルミニウム合金製とすることが好ましい。
【0017】
封口板120には、電解液注液孔121が設けられる。電解液注液孔121から電池ケース100内に電解液が注液された後、電解液注液孔121は、封止部材122により封止される。封止部材122としては、たとえばブラインドリベットおよびその他の金属部材を用いることができる。
【0018】
封口板120には、ガス排出弁123が設けられる。ガス排出弁123は、電池ケース100内の圧力が所定値以上となった際に破断する。これにより、電池ケース100内のガスが電池ケース100外に排出される。
【0019】
電極体200は、電解液とともに電池ケース100内に収容されている。電極体200は、正極板と負極板がセパレータを介して積層されたものである。電極体200と角形外装体110の間には樹脂製の絶縁シート300が配置されている。
【0020】
電極体200の封口板120側の端部には、正極タブ210Aおよび負極タブ210Bが設けられている。
【0021】
正極タブ210Aと正極端子400とは、正極集電部材600を介して電気的に接続されている。正極集電部材600は、第1正極集電体610および第2正極集電体620を含む。なお、正極集電部材600は、1つの部品から構成されてもよい。正極集電部材600は、金属製であることが好ましく、アルミニウムまたはアルミニウム合金製とすることがより好ましい。
【0022】
負極タブ210Bと負極端子500とは、負極集電部材700を介して電気的に接続されている。負極集電部材700は、第1負極集電体710および第2負極集電体720を含む。なお、負極集電部材700は、1つの部品から構成されてもよい。負極集電部材700は、金属製であることが好ましく、銅または銅合金製であることがより好ましい。
【0023】
正極端子400は、樹脂製の外部側絶縁部材410を介して封口板120に固定されている。負極端子500は、樹脂製の外部側絶縁部材510を介して封口板120に固定されている。
【0024】
正極端子400は金属製であることが好ましく、アルミニウムまたはアルミニウム合金製であることがより好ましい。負極端子500は金属製であることが好ましく、銅または銅合金製であることがより好ましい。負極端子500が、電池ケース100の内部側に配置される銅または銅合金からなる領域と、電池ケース100の外部側に配置されるアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる領域を有するようにしてもよい。
【0025】
カバー部材800は、第1正極集電体610と電極体200との間に位置する。カバー部材800は、負極集電体側に設けられてもよい。また、カバー部材800は必須の部材ではなく、適宜省略が可能である。
【0026】
図3は、電極体200を構成する正極板200Aの平面図である。正極板200Aは、矩形状のアルミニウム箔からなる正極芯体の両面に正極活物質(たとえばリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物等)、結着材(ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等)、および導電材(たとえば炭素材料等)を含む正極活物質合剤層が形成された本体部220Aを有する。本体部の端辺から正極芯体が突出しており、この突出した正極芯体が正極タブ210Aを構成する。正極タブ210Aにおける本体部の220Aと隣接する部分には、アルミナ粒子、結着材、および導電材を含む正極保護層230Aが設けられている。正極保護層230Aは、正極活物質合剤層の電気抵抗よりも大きな電気抵抗を有する。正極活物質合剤層は導電材を含まなくてもよい。正極保護層230Aは必ずしも設けられなくてもよい。
【0027】
図4は、電極体200を構成する負極板200Bの平面図である。負極板200Bは、矩形状の銅箔からなる負極芯体の両面に負極活物質合剤層が形成された本体部220Bを有する。本体部220Bの端辺から負極芯体が突出しており、この突出した負極芯体が負極タブ210Bを構成する。
【0028】
図5は、正極板200Aおよび負極板200Bからなる電極体200を示す平面図である。図5に示すように、電極体200は、一方の端部において各々の正極板200Aの正極タブ210Aが積層され、各々の負極板200Bの負極タブ210Bが積層されるように作製される。正極板200Aおよび負極板200Bは、たとえば各々50枚程度ずつ重ねられる。正極板200Aと負極板200Bとは、ポリオレフィン製の矩形状のセパレータを介して交互に積層される。なお、長尺のセパレータをつづら折りして用いてもよい。
【0029】
図6は、電極体200と正極集電部材600および負極集電部材700との接続構造を示す図である。図6に示すように、電極体200は、第1電極体要素201(第1積層群)および第2電極体要素202(第2積層群)により構成される。第1電極体要素201および第2電極体要素202の外面にもセパレータが各々配置される。
【0030】
第1電極体要素201の複数枚の正極タブ210Aが第1正極タブ群211Aを構成する。第1電極体要素201の複数枚の負極タブ210Bが第1負極タブ群211Bを構成する。第2電極体要素202の複数枚の正極タブ210Aが第2正極タブ群212Aを構成する。第2電極体要素202の複数枚の負極タブ210Bが第2負極タブ群212Bを構成する。
【0031】
第1電極体要素201と第2電極体要素202の間に、第2正極集電体620と第2負極集電体720とが配置される。第2正極集電体620は、第1開口620Aおよび第2開口620Bを有する。第1正極タブ群211Aおよび第2正極タブ群212Aが、第2正極集電体620上に溶接接続され、溶接接続部213が形成される。第1負極タブ群211Bおよび第2負極タブ群212Bが、第2負極集電体720上に溶接接続され、溶接接続部213が形成される。溶接接続部213は、たとえば、超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接等により形成し得る。
【0032】
図7は、封口板120への正極集電部材600および負極集電部材700の取付構造を示す図である。図8は、図7におけるVIII-VIII断面を示す。図9は、図7におけるIX-IX断面を示す。
【0033】
まず、図7図8を参照して、封口板120への正極集電部材600の取付について説明する。
【0034】
封口板120の外面側に樹脂製の外部側絶縁部材410が配置される。封口板120の内面側に第1正極集電体610、および樹脂製の絶縁部材630(正極集電体ホルダ)が配置される。次に、正極端子400が、外部側絶縁部材410の貫通孔、封口板120の正極端子取り付け孔、第1正極集電体610の貫通孔、および絶縁部材630の貫通孔に挿入される。そして、正極端子400の先端に位置するカシメ部400Aが第1正極集電体610上にカシメ接続される。これにより、正極端子400、外部側絶縁部材410、封口板120、第1正極集電体610、および絶縁部材630が固定される。なお、正極端子400および第1正極集電体610のカシメ接続された部分は、レーザ溶接等により溶接接続されることが好ましい。なお、第1正極集電体610はザグリ穴610Aを有し、カシメ部400Aはザグリ穴610A内に設けられる。
【0035】
さらに、第2正極集電体620の一部が第1正極集電体610と重なるように、第2正極集電体620が絶縁部材630上に配置される。第2正極集電体620に設けられた第1開口620Aにおいて、第2正極集電体620は第1正極集電体610にレーザ溶接等により溶接接続される。
【0036】
図8に示すように、絶縁部材630は、電極体200側に突出する筒状部630Aを有する。筒状部630Aは、第2正極集電体620の第2開口620Bを貫通し、電解液注液孔121と連通する孔部630Bを規定する。
【0037】
封口板120に正極集電部材600を取り付ける際は、まず、第1正極集電体610が封口板120上の絶縁部材630に接続される。続いて、電極体200に接続された第2正極集電体620が第1正極集電体610に取り付けられる。このとき、第2正極集電体620の一部が第1正極集電体610と重なるように第2正極集電体620が絶縁部材630上に配置される。続いて、第2正極集電体620に設けられた第1開口620Aの周囲が、レーザ溶接等により第1正極集電体610に溶接接続される。
【0038】
次に、図7および図9を参照して、封口板120への負極集電部材700の取付について説明する。
【0039】
封口板120の外面側に樹脂製の外部側絶縁部材510が配置される。封口板120の内面側に第1負極集電体710、および樹脂製の絶縁部材730(負極集電体ホルダ)が配置される。次に、負極端子500が、外部側絶縁部材510の貫通孔、封口板120の負極端子取り付け孔、第1負極集電体710の貫通孔、および絶縁部材730の貫通孔に挿入される。そして、負極端子500の先端に位置するカシメ部500Aが第1負極集電体710上にカシメ接続される。これにより、負極端子500、外部側絶縁部材510、封口板120、第1負極集電体710、および絶縁部材730が固定される。なお、負極端子500および第1負極集電体710のカシメ接続された部分は、レーザ溶接等により溶接接続されることが好ましい。
【0040】
さらに、第2負極集電体720の一部が第1負極集電体710と重なるように、第2負極集電体720が絶縁部材730上に配置される。第2負極集電体720に設けられた第1開口720Aにおいて、第2負極集電体720は第1負極集電体710にレーザ溶接等により溶接接続される。
【0041】
封口板120に負極集電部材700を取り付ける際は、まず、第1負極集電体710が封口板120上の絶縁部材730に接続される。続いて、電極体200に接続された第2負極集電体720が第1負極集電体710に取り付けられる。このとき、第2負極集電体720の一部が第1負極集電体710と重なるように第2負極集電体720が絶縁部材730上に配置される。続いて、第2負極集電体720に設けられた第1開口720Aの周囲が、レーザ溶接等により第1負極集電体710に溶接接続される。
【0042】
図10は、封口板120と電極体200とが接続された状態を示す図である。上述したように、正極集電部材600および負極集電部材700を介して第1電極体要素201および第2電極体要素202が封口板120に取り付けられる。これにより、図10に示すように、第1電極体要素201および第2電極体要素202が封口板120に接続され、電極体200と正極端子400および負極端子500とが電気的に接続される。
【0043】
図10に示す状態から、第1電極体要素201と第2電極体要素202とが1つに纏められる。このとき、第1正極タブ群211Aと第2正極タブ群212Aとが互いに異なる方向に湾曲させられる。第1負極タブ群211Bと第2負極タブ群212Bとが互いに異なる方向に湾曲させられる。
【0044】
第1電極体要素201と第2電極体要素202とは、テープ等により1つに纏められ得る。代替的に、第1電極体要素201と第2電極体要素202とを、箱状ないし袋状に成形した絶縁シート内に配置することで1つに纏めることができる。さらに、第1電極体要素201と第2電極体要素202とを接着により固定することができる。
【0045】
1つに纏められた第1電極体要素201と第2電極体要素202とが絶縁シート300で包まれ、角形外装体110に挿入される。その後、封口板120が角形外装体110に溶接接続され、角形外装体110の開口が封口板120により封口され、密閉された電池ケース100が形成される。
【0046】
その後、封口板120に設けられた電解液注液孔121から非水電解液が電池ケース100に注液される。非水電解液としては、たとえば、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、およびジメチルカーボネート(DMC)を含むものが用いられる。
【0047】
非水電解液が注液された後、電解液注液孔121は封止部材122により封止される。以上の工程の実施により、角形二次電池1は完成する。
【0048】
図11は、角形二次電池1の構造を模式的に示す断面図である。図11に示すように、板状の絶縁部材630,730(内部部材)は、電池ケース100(外装缶)の封口板120(壁部)の内面と対向するように電池ケース100に収納される。封口板120の内面に凹部10が形成され、絶縁部材630の表面に凹部20が形成されている。封口板120と絶縁部材630,730との間に隙間30が形成されている。凹部10,20は、隙間30に面する位置に設けられている。
【0049】
角形二次電池1を製造するときは、まず、電池ケース100に電極体200が挿入される。次に、電極体200が挿入された電池ケース100に電解液注液孔121を介して電解液が注液される。その後、電解液注液孔121を介して電池ケース100内のガスが排出され、電池ケース100内が減圧される。このとき、電池ケース100内の圧力は、好ましくは大気圧以下に減圧される。より好ましくは、電池ケース100内の圧力は、大気圧-0.030MPa以下程度にまで減圧され、さらに好ましくは、電池ケース100内の圧力は、大気圧-0.070MPa以下程度にまで減圧される。電池ケース100内の圧力を減圧した状態で、封止部材122により電解液注液孔121が封止される。
【0050】
隙間30は、封口板120の延在方向に沿って延び、電解液注液孔121に通じる。隙間30は、ガスを排出して電池ケース100内の圧力を減圧する工程において、ガスの流路となる。
【0051】
電解液注液孔121を介したガス排出工程を実施する場合、ガスとともに電解液が排出され得る。電解液注液孔121から漏れ出た電解液は、ガス排出装置などの製造設備の耐久性を低下させ得る。また、完成後の角形二次電池1において電解液の量が安定せず、電池の性能にも影響を与え得る。
【0052】
本実施の形態においては、ガスの流路となる隙間30に面する位置に凹部10,20が設けられ、凹部10,20が電解液注液孔121に向かうガスに含まれる電解液を捕捉(トラップ)するため、電解液注液孔121からガスとともに電解液が漏れ出ることを抑制することができる。
【0053】
図12は、封口板120に絶縁部材630,730と正極集電部材600および負極集電部材700とを設けた状態を示す平面図である。図13は、封口板120の一例を示す平面図であり、図14は、封口板120の上に設けられる絶縁部材630,730の一例を示す図である。
【0054】
図12図14に示すように、絶縁部材630は、封口板120の電解液注液孔121と対向する部分に孔部630B(貫通孔)を有する。図13図14に示すように、凹部10,20は、Y軸方向(第1方向)に延びるように帯状に形成される。凹部10,20は、X軸方向(第2方向)に延びるように形成されてもよい。
【0055】
図11に示す例では、負極側においては封口板120に凹部10が設けられ、正極側においては絶縁部材630に凹部20が設けられているが、図13図14の例では、正極側および負極側ともに、封口板120に凹部10が形成され、かつ、絶縁部材630,730に凹部20が形成されている。
【0056】
凹部10,20の深さは2mm以下程度であることが好ましく、1mm以下程度であることがより好ましく、0.5mm以下程度または0.1mm以下程度であることがさらに好ましい。凹部10,20の深さを上述の値以下とすることで、封口板120および絶縁部材630の強度等に与える影響を抑制しながら、凹部10,20による電解液のトラップ効果を得ることができる。
【0057】
一例として、封口板120の厚みは2mm程度であり、絶縁部材630,730の厚みは0.6mm程度である。
【0058】
X軸方向に沿う凹部10,20の長さは、30mm以上50mm以下程度であることが好ましく、45mm以上50mm以下程度であることがさらに好ましい。Y軸方向に沿う凹部10,20の長さは、15mm以上25mm以下程度であることが好ましく、20mm以上25mm以下程度であることがさらに好ましい。Y軸方向に沿う凹部10,20の長さは、X軸方向に沿う凹部10,20の長さの30パーセント以上程度であることが好ましい。
【0059】
一例として、封口板120のX軸方向に沿う長さは150mm程度であり、封口板120のY軸方向に沿う長さは25mm程度である。
【0060】
図15は、封口板と絶縁部材との隙間の構造の一例を模式的に示す拡大断面図であり、図16は、その変形例を模式的に示す拡大断面図である。図15に示す例では、絶縁部材730に対向する封口板120の内面に凹部10が形成され、図16に示す例では、封口板120に対向する絶縁部材730の表面に凹部20が形成されている。
【0061】
Z軸方向に沿った隙間30の高さ(H)は、2mm以下程度であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましく、0.5mm以下程度であることがさらに好ましい。
【0062】
Z軸方向からみた隙間30の面積は、5cm2以上程度であることが好ましく、15cm2以上40cm2以下程度であることがより好ましく、35cm2以上40cm2以下程度であることがさらに好ましい。
【0063】
隙間30の長さは、20mm以上程度であることが好ましく、30mm以上程度、または50mm以上程度であることがより好ましい。さらに好ましくは、X軸方向(長手方向)に沿った隙間30の長さは、110mm以上150mm以下程度、または、140mm以上150mm以下程度であり、Y軸方向(短手方向)に沿った隙間30の長さは、10mm以上30mm以下程度、または、20mm以上30mm以下程度である。
【0064】
隙間30の高さおよび平面寸法(面積)を上述の範囲に設定することにより、凹部10,20による電解液のトラップ効果を向上させることができる。
【0065】
図17図20は、凹部10,20の断面形状の変形例を示す断面図である。図17の例では、凹部10と凹部20とがX軸方向に交互に並んで形成されている。図18の例では、X軸方向に延びる凹部10と凹部20とが対向するように形成されている。図19の例では、X軸方向に延びる凹部10の底面に凹凸部分11が形成されている。いずれの例においても、隙間30を流れるガスに乱流が生じやすくなり、凹部10,20による電解液のトラップ効果を高めることができる。
【0066】
図20の例では、電解液注液孔121の周囲を取り囲むように、円周状の凹部10が封口板120に形成されている。このようにすることで、電解液注液孔121の周囲において電解液のトラップ効果を得ることができ、電解液の意図しない漏出を効果的に抑制することが可能である。
【0067】
本技術において、「電極体」の形態は特に限定されず、巻回型の電極体であってもよいし、積層型の電極体であってもよい。積層型の電極体を用いる場合、セパレータは枚葉式のセパレータであってもよいし、九十九折や巻回式のセパレータであってもよい。
【0068】
本技術において、「電解液」の種類は特に限定されない。好ましい「電解液」として、塩と非水溶媒を含む非水電解液が用いられ得る。
【0069】
本技術において、「電解液注液孔」は「封口板」に設けられてもよいし、「外装缶」の他の壁面に設けられてもよい。
【0070】
本技術において、「外装缶」の「壁部」とともにガスの流路となる隙間を形成する「流路形成部材」としての「内部部材」は、「絶縁部材」により構成されることが好ましく、典型的には「樹脂部材」により構成される。「樹脂部材」の材質は特に限定されない。例として、PP(ポリプロピレン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)などを用いることができる。
【0071】
本技術において、「凹部」の縁部は、スロープ状ではなく、上述の各例のように、段差状の角張った形状を有することが好ましい。このようにすることで、凹部において電解液をトラップしやすくすることができる。
【0072】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
1 角形二次電池、10 凹部、11 凹凸部分、20 凹部、30 隙間、100 電池ケース、110 角形外装体、120 封口板、121 電解液注液孔、122 封止部材、123 ガス排出弁、200 電極体、200A 正極板、200B 負極板、201 第1電極体要素、202 第2電極体要素、210A 正極タブ、210B 負極タブ、211A 第1正極タブ群、211B 第1負極タブ群、212A 第2正極タブ群、212B 第2負極タブ群、213 溶接接続部、220A,220B 本体部、230A 正極保護層、300 絶縁シート、400 正極端子、400A カシメ部、410 外部側絶縁部材、500 負極端子、500A カシメ部、510 外部側絶縁部材、600 正極集電部材、610 第1正極集電体、610A ザグリ穴、620 第2正極集電体、620A 第1開口、620B 第2開口、630 絶縁部材、630A 筒状部、630B 孔部、700 負極集電部材、710 第1負極集電体、720 第2負極集電体、720A 第1開口、730 絶縁部材、800 カバー部材。
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