IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タイホー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-内視鏡用ハンガー及び内視鏡保管庫 図1
  • 特開-内視鏡用ハンガー及び内視鏡保管庫 図2
  • 特開-内視鏡用ハンガー及び内視鏡保管庫 図3
  • 特開-内視鏡用ハンガー及び内視鏡保管庫 図4
  • 特開-内視鏡用ハンガー及び内視鏡保管庫 図5
  • 特開-内視鏡用ハンガー及び内視鏡保管庫 図6
  • 特開-内視鏡用ハンガー及び内視鏡保管庫 図7-1
  • 特開-内視鏡用ハンガー及び内視鏡保管庫 図7-2
  • 特開-内視鏡用ハンガー及び内視鏡保管庫 図8
  • 特開-内視鏡用ハンガー及び内視鏡保管庫 図9
  • 特開-内視鏡用ハンガー及び内視鏡保管庫 図10
  • 特開-内視鏡用ハンガー及び内視鏡保管庫 図11
  • 特開-内視鏡用ハンガー及び内視鏡保管庫 図12
  • 特開-内視鏡用ハンガー及び内視鏡保管庫 図13
  • 特開-内視鏡用ハンガー及び内視鏡保管庫 図14
  • 特開-内視鏡用ハンガー及び内視鏡保管庫 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138497
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】内視鏡用ハンガー及び内視鏡保管庫
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20220915BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
A61B1/00 653
G02B23/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038413
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】392033842
【氏名又は名称】タイホー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】椎名 敬一
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040EA02
4C161AA00
4C161BB00
4C161CC00
4C161GG13
(57)【要約】
【課題】感染対策、医療器具の誤使用対策が求められている医療現場の要請にこたえることができる内視鏡用のハンガーを開発すること。
【解決手段】板状体製であって、軸部、フック部、取付部、プレート部を備えたJ型の内視鏡用のハンガーであって、
1枚の折板製であって、軸部の上部に取付部が設けられており、軸部の側部にプレート部が設けられており、軸部の下部にフック部が設けられており、
フック部は、板状体を湾曲状であって、軸部の一方の側部側が高く、反対側が低くなるように傾斜している傾斜底部を有することを特徴とする内視鏡用のハンガー。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体製であって、軸部、フック部、取付部、プレート部を備えたJ型の内視鏡用のハンガーであって、
1枚の折板製であって、軸部の上部に取付部が設けられており、軸部の側部にプレート部が設けられており、軸部の下部にフック部が設けられており、
フック部は、板状体を湾曲状であって、軸部の一方の側部側が高く、反対側が低くなるように傾斜している傾斜底部を有することを特徴とする内視鏡用のハンガー。
【請求項2】
軸部とプレート部は、直角~鈍角の折角度を有することを特徴とする請求項1記載の内視鏡用のハンガー。
【請求項3】
一枚の折板製であることを特徴とする請求項1又は2記載の内視鏡用のハンガー。
【請求項4】
板状体は、金属製であり、全体が樹脂で一体に被覆されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の内視鏡用のハンガー。
【請求項5】
取付部は、軸部の上部に設けられた折り曲げ形成された水平取付部であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の内視鏡用のハンガー。
【請求項6】
取付部は、軸部の側部から上方に延設された吊り下げ形の取付部であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の内視鏡用のハンガー。
【請求項7】
取付部は、プレート部が設けられている側部と反対側であって、軸部上部の側部に延長された腕部と該腕部の先端側に接合部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の内視鏡用のハンガー。
【請求項8】
前面に開閉部を有し、内視鏡用のハンガーのフック部を内視鏡の先端が底部に接触しない高さに設置してある内視鏡保管庫であって、
請求項5に記載された内視鏡用のハンガーが天井部に取り付けられている、
あるいは、請求項6に記載された内視鏡用のハンガーが、左右方向に設けた係止棒に吊り下げて取り付けられている、
又は、請求項7に記載された内視鏡用のハンガーが、奥側の壁面側に取り付けられている、
ことを特徴とする内視鏡保管庫。
【請求項9】
請求項1~7のいずれかに記載された内視鏡用のハンガーは、フック部が内視鏡保管庫の開閉部に対して斜めに取り付けられていることを特徴とする請求項8記載の内視鏡保管庫。
【請求項10】
請求項1~7のいずれかに記載された内視鏡用のハンガーが、取り外し自在に取り付けられていることを特徴とする請求項8又は9に記載された内視鏡保管庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の保管技術に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は繰り返して使用される機器である。再使用に伴う感染のおそれがあるため、消毒や保管が大切である。
日本消化器内視鏡技師会安全管理委員会から内視鏡の洗浄・消毒に関するガイドライン(第2版、2004年)が示されている。このガイドラインには、内視鏡を介した医療関連感染を防ぐための基本的な内容、感染対策の原則、内視鏡の構造、効果的な洗浄・消毒の方法と使用薬剤、職業安全などが体系的に記載されている。内視鏡洗浄後の消毒方法として、2%グルタラール10分間、0.55%フタラール5分間、0.3%過酢酸5分間の消毒等が紹介されている。消毒後の保管について次のように記載されている。内視鏡のチャンネル内に水分が残っていると保管中に細菌が増加するので、細菌の増加を防ぐために乾燥させる。そのため内視鏡は、送気・送水ボタン、吸引ボタン、鉗子栓などを装着せずにハンガーに掛けて保管する。
【0003】
本出願人は、衛生的に内視鏡を保管する技術に関し、いくつかの提案をしている。
例えば、クリーンにしたエア換気を行う内視鏡保管庫を特許文献1(特許第5476512号公報)に提案した。さらに、クリーン性を保つ内視鏡の保管に関する技術の開発を進めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5476512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、感染対策、医療器具の誤使用対策が求められている医療現場の要請にこたえることができる内視鏡用のハンガーを開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、次の事項を要旨とする。
1.板状体製であって、軸部、フック部、取付部、プレート部を備えたJ型の内視鏡用のハンガーであって、
1枚の折板製であって、軸部の上部に取付部が設けられており、軸部の側部にプレート部が設けられており、軸部の下部にフック部が設けられており、
フック部は、板状体を湾曲状であって、軸部の一方の側部側が高く、反対側が低くなるように傾斜している傾斜底部を有することを特徴とする内視鏡用のハンガー。
2.軸部とプレート部は、直角~鈍角の折角度を有することを特徴とする1.記載の内視鏡用のハンガー。
3.一枚の折板製であることを特徴とする1.又は2.記載の内視鏡用のハンガー。
4.板状体は、金属製であり、全体が樹脂で一体に被覆されていることを特徴とする1.~3.のいずれかに記載の内視鏡用のハンガー。
5.取付部は、軸部の上部に設けられた折り曲げ形成された水平取付部であることを特徴とする1.~4.のいずれかに記載の内視鏡用のハンガー。
6.取付部は、軸部の側部から上方に延設された吊り下げ形の取付部であることを特徴とする1.~4.のいずれかに記載の内視鏡用のハンガー。
7.取付部は、プレート部が設けられている側部と反対側であって、軸部上部の側部に延長された腕部と該腕部の先端側に接合部が設けられていることを特徴とする1.又は2.記載の内視鏡用のハンガー。
8.前面に開閉部を有し、内視鏡用のハンガーのフック部を内視鏡の先端が底部に接触しない高さに設置してある内視鏡保管庫であって、
5.に記載された内視鏡用のハンガーが天井部に取り付けられている、
あるいは、6.に記載された内視鏡用のハンガーが、左右方向に設けた係止棒に吊り下げて取り付けられている、
又は、7.に記載された内視鏡用のハンガーが、奥側の壁面側に取り付けられている、
ことを特徴とする内視鏡保管庫。
9.1.~7.のいずれかに記載された内視鏡用のハンガーは、フック部が内視鏡保管庫の開閉部に対して斜めに取り付けられていることを特徴とする8.記載の内視鏡保管庫。
10.1.~7.のいずれかに記載された内視鏡用のハンガーが、取り外し自在に取り付けられていることを特徴とする8.又は9.に記載された内視鏡保管庫。
【発明の効果】
【0007】
1.板状体を折り曲げ形成してハンガーを形成したので全体を消毒でき、細菌等が増殖できる隙間が無く衛生的なハンガーを提供できる。例えば、複数の部品を組み立てるハンガーでは、部品間に生ずる隙間などに細菌等が侵入して繁殖、残存しやすく、消毒が不十分になるリスクがあるが、本発明の内視鏡用のハンガーは全体が一様なので、消毒漏れの恐れは少ない。特に、金属製の板を型どりして、折り曲げ加工したハンガーは、消毒ができないような部品間の狭い隙間をなくすことができる。金属板などを折り曲げ加工して形成された内視鏡用のハンガーは、リブ機能により、曲げ強度が向上するので、本発明の内視鏡用ハンガーは、薄い板でも十分に内視鏡を係止することができる。特に、軸部に対して、外折りとなるプレート部、軸部に対して内側に折り返されるフック部の折り曲げ関係は、この内視鏡用のハンガーの強度を向上する。
2.折り曲げ加工した幅を持つ板状体で形成されたハンガーは、しっかりと取り付けることができ、高強度であり、J型の先端フック部に内視鏡のコネクタ側に分岐部を係止するタイプであるので、掛外し操作が容易である。軸部に対してプレートを折り曲げる角度を直角~鈍角にすると内視鏡の着脱操作性及びプレートの視認性が向上する。
3.そして、面状に傾斜しているフック部の傾斜底部が内視鏡のコネクタ側の分岐部を安定して支持することができるので、内視鏡の重さを無理のない姿勢で受け止めることができる。
4.プレート部を設けたので、内視鏡の種類や整理符号を表示でき、内視鏡管理が容易になる。フック部を保管庫の開閉部に対して斜めに向くように取り付けた場合、プレート部が開閉部に正対するような角度で軸部とプレート部を折り曲げてあると、プレートが見やすくなり、管理が容易である。
5.全体をナイロンなどの樹脂で被覆してあるので、アルコールなどを使用した消毒に対する耐性が強く、内視鏡と同じ消毒剤を使うことができる。金属板を折り曲げてできるプレート部の折曲げ片と取付部との対向部に生ずる狭い隙間などを、樹脂が埋めて一体に被覆するので、表面に隙間ができず、細菌が侵入しないようにすることができる。
6.本発明の内視鏡用のフックは、保管庫の天井、壁面あるいは係止棒に吊り下げて取り付けることができる。通風孔などの他の設備が天井あるいは壁面にある場合、選択して設置することができる。
7.保管庫内にフックを1350mm以上の高さに設置すると、内視鏡の挿入部及びコネクタのコードをフリー状態で係止することができ、人体への挿入部に曲げくせが生じない。コネクタのコードも曲げくせがつかないので、内視鏡の使用中に必要となる微妙な操作への影響が少なくなる。
そして、鉛直状態になっているので、管の内部に水分等が残らないので、衛生的である。
8.内視鏡用のハンガーのフック部を保管庫の開閉部に対して斜め(=軸部の表面が斜めになる)になるように保管庫に内視鏡用のハンガーを取り付けた内視鏡保管庫は、内視鏡の着脱作業が容易になるとともに、内視鏡用のハンガーの取り付け間隔を狭くすることができ、収納効率が向上する。そして、プレート部が開閉部に正対するように軸部とプレート部の折角にしたものは、プレートが見やすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の内視鏡用のハンガーの斜視図を示す図。
図2】実施例1の内視鏡用のハンガーの展開図及び側面図を示す図。
図3】実施例1の内視鏡用のハンガーの使用状態を示す図。
図4】実施例2の内視鏡用のハンガーの斜視図及び壁側結合部を示す図。
図5】実施例2の内視鏡用のハンガーの展開図を示す図。
図6】実施例2の内視鏡用のハンガーの使用状態を示す図。
図7-1】内視鏡用のハンガー実施例3の1(内視鏡用ハンガー13A)を示す図。
図7-2】内視鏡用のハンガー実施例3の2(内視鏡用ハンガー13B)を示す図。
図8】内視鏡用のハンガー実施例4を示す図。
図9】内視鏡用のハンガー実施例4を示す図。
図10】実施例5の内視鏡用のハンガーを示す図。
図11】実施例5の内視鏡用のハンガーの展開図及び加工図を示す。
図12】内視鏡保管庫の例示す図。
図13】内視鏡保管庫の他の例を示す図。
図14】内視鏡用のハンガーのフック部の他の例を示す図。
図15】上吊りフックの他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、簡便な構造で、消毒がしやすく取り扱いが容易な内視鏡用のハンガー(以下「内視鏡用ハンガー」、「内視鏡ハンガー」と称する場合がある)である。
金属製の板材から、展開した形状に切り出した板材を折り曲げ加工してJ型の内視鏡用のハンガーを製造する。内視鏡のコネクタ側の分岐部の根本をハンガーにかけて使用される。基本は、軸部の上部側に取付部を設け、軸部の下部側は折り曲げてフック部を形成する。軸部の一方の側部にプレート部を設ける。フック部の底部は、傾斜が設けられている。底部の傾斜は、例えば、プレート部が形成される側の側部が高く、他の側部側が低くなるように斜めに形成されている。この傾斜は、逆向きに形成することもでき、逆向きにした場合は、内視鏡のコネクタ部が手前になるように、内視鏡がハンガーに係止されるようになる。
折り曲げ加工終了後、ナイロンなどの樹脂で全体を被覆する。被覆樹脂材料は、溶剤を用いない熱可塑性樹脂が適している。フック部は、コネクタの操作部側の分岐部の根本を収容できる湾曲とし、フック部の底部は、プレート側が高く、他方が低くなるように傾斜をつけて、安定した姿勢で吊り下げられるようになっている。フック部は、角度をつけた屈曲あるいは円弧状に形成される。
取付部は、保管庫などの天井部に取り付ける場合は、軸部の上部を直角に折り曲げて水平状に形成して水平取付部とする。取り付け手段は、ビス、ボルト、差し込みなどの手段を採用することができる。あるいは、軸部から側方に延長した腕状部材を設けて壁などに取り付ける。取り付け手段は、ビスやボルト、差し込みなど手段を用いることができる。
また、保管庫の上部で左右方向に取り付けてある係止棒に吊り下げて係止する取り付け構造とすることができるように、内視鏡用ハンガーの軸部上部に懸垂部材、あるいは挿入部材を形成する。
軸部の側部にプレート部が折り曲げ加工されて形成される。折り曲げ角度は、直角~鈍角が適している。特に、内視鏡用ハンガーを斜めに取り付ける場合は、斜めの分を直角に加えた鈍角に折り曲げることにより、プレートは作業者に正対する。
本発明の内視鏡用ハンガーは、展開上に切り出した(打ち抜きも含む)一枚の金属板を、折りや曲げなどの加工を行って成形することができる。内視鏡用ハンガーの部材間の隙間がほとんど無いように折り曲げるか、あるいは、消毒できるような間隔を設けるように加工する。部材間が接近している場合は、樹脂で全体が被覆されて、表面からは一体に見えるようになる。金属板は幅広であって、軸部からフック部は、3~10cmの巾が適している。本発明の内視鏡用ハンガーは、軸部に対してプレート部やフック部が角度をもって折り曲げられている為、リブ加工のように強度が向上しているので、比較的薄い(=軽量)金属板を用いることができる。
金属板を折り曲げて成形したのち、全体を樹脂被覆する。用いる樹脂材料は、溶剤を使用しない熱可塑性樹脂が望ましく、ナイロン樹脂などが適している。被覆手段は、各種適用できる。例えば、粉末を静電付着して加熱溶融して膜状に形成する静電塗装、フィルムを溶着する方法、溶融した樹脂液にどぶ付けする方法などである。
【0010】
フック部の例を図14にいくつか例示する。
図14(a)は、図2(a)に示す展開図においてフック部3を右に曲げていたものを、軸部から曲げずに延長したフック部を、傾斜底面を形成するように4本の折線84で屈曲させたフック部35に形成したものを示すものである。側面は図2に示すフック3と同様であるが、正面図はフック部35が左に偏ることとなり、先端も傾斜底面33と同様に傾斜することとなる。
図14(b)は、フック部の折線84を2か所にしたフック部36の例を示す。フック部37の先端の開きを大きくすることにより、内視鏡の分岐部を係止する余裕を作ることができる。
図14(c)は、フック部の折線84以下を湾曲形成したフック部37の例を示す。湾曲したフック部37も傾斜した折線84を始端部とすることにより、底部を傾斜させることができる。
なお、フック部36とフック部37も、図2(a)に示すように、軸部2から右に曲げた展開図から形成することもできる。
【0011】
本発明の内視鏡用ハンガーは、保管庫などの天井部、壁部、係止棒などに取り付けられる。取り付けられた内視鏡用ハンガーに内視鏡をぶら下げられる。
そして、本発明の内視鏡用のハンガーは、内視鏡の挿入部やコネクタがフリーとなる状態で吊り保持できる高さに取り付けることが望ましい。現状の内視鏡では、挿入部長が1330mmまでのものが多いので、フック部3を挿入部やコネクタ部の先端が保管庫の底に接触しないようにそれ以上の高さにハンガーを設置する。職員が取り扱い易い高さで底面に触れない程度の高さに設定すると良い。これによって、内視鏡に、保管に伴う曲がりくせを防止できる。また、内視鏡の挿入部が吊り下げられているので、管内に水分が残ることがなく、乾燥し、衛生的に保つことができる。内視鏡保管庫としては、本出願人が提案した特許第5476512号に開示する保管庫などに適用することができる。
【実施例0012】
図1図3に実施例1の内視鏡用ハンガーの例を示す。
本願発明の内視鏡用のハンガー1の実施例1は、上部に取付部4を設けた天井取り付け用の内視鏡用ハンガー11である。
図1に内視鏡用ハンガー11の斜視図、図2に内視鏡用ハンガー11の展開図(a)及び側面図(b)、図3に内視鏡用ハンガー11の使用状態図を示す。
内視鏡用ハンガー11は、幅広の板状である軸部2の下部にフック部3、軸部2の上部に水平状になっている取付部4、軸部2の側部にプレート部5が設けられている。この内視鏡用ハンガー11の表面は全体に樹脂被覆6が設けられている。
【0013】
この内視鏡用ハンガー11は、大きな金属板から切断(あるいは、打ち抜き)などの手段で図2(a)に示す展開図を基礎にして、折り曲げ加工によって基本形状を作成する。その後、塗装などに手段により表面に樹脂皮膜6を形成して製造する。
図2(a)に示されるように、軸部2を中心部として、上部に取付部4となる部分と下部にフック部3となる部分、右側部にプレート部5となる長辺部が設けられている金属板8を金属板81とする。取付部4にはビス用の穴41bを形成する
この一枚の展開した金属板81を折線にしたがって折り曲げ加工する。折り曲げ加工した内視鏡用ハンガー11の右側の側面図が図2(b)に示されている。フック部3側を内折りとすると、取付部折線85aとプレート部折線85bは外折りとなる。
軸部2は、上部は水平となる内視鏡用ハンガー11の本体部であって、上部は水平辺、プレート部5側の側部長L1よりも反対側の側部長L2を長くして傾斜した下部辺とする、変形四辺形である。
金属板は、1.6mm厚程度の亜鉛メッキ鋼板を使用することができる。端面は、バリ取りなどを行い滑らかに仕上げる。
【0014】
フック部3の底部は傾斜した傾斜底部33に形成される。本例では、傾斜をつけるために、フック部折線84の軸部2との境界部に形成されるフック部折線84aを斜めに設け、軸部2のプレート側5側の側部長L2よりも反対側の側部長L2をΔL分長く設けている。
この傾斜したフック部折線84aから同じ幅でフック部折線84b、84c、84dを設けている。これらのフック部折線84にしたがって順に折ることによってフック部3が形成される。傾斜底部33の傾斜はΔLの長さによって決めることができる。この傾斜は掛けられた内視鏡が安定するように設けられている。後述するが、操作部から分岐しているコネクタのコードの根元部の傾斜角度に沿うように傾斜底部33を形成するのが適している。
【0015】
展開形のフック部3の外形は、傾斜底部33に合わせてフック先端辺34が水平になり、かつ、軸部2からフック部3の幅が同幅になるように形成したので、軸部2に対してプレート部5側に傾斜している。なお、必ずしも、フック先端辺34を水平にする必要はなく、軸部2からフック部3を直線にして、フック部を傾斜させて屈曲させることも可能である。
この図では、フック部折線を4本例示しているが、これに限ることはない。また、円弧とすることもできる。
フック部の形状は、内視鏡が掛かる分岐部よりも余裕を持った大きさが望ましい。分岐部とフック部は面的に密着すると、密着部の隙間に水分が残り、細菌が増殖する危険性があるので、接触を小さくして、乾燥できる隙間を多くすることが望ましい。フック部を折加工することにより、角部が内視鏡の分岐部との間に隙間が生じ、通気性を確保し、清潔に内視鏡を補完することができる。
フック部3は、掛ける内視鏡を安定させるために幅が必要であるが、軸部2を細くすることも可能である。複数設けられているフックの折線84間の幅は同一とする必要はない。
【0016】
プレート部5には、内視鏡の管理記号等を表示する。プレート部5は、軸部2の側部の一方又は両方に設けることができる。通常は、内視鏡を保管庫の扉などの開閉部に対して幅をとらない姿勢に保管する。プレート部は、保管庫の扉(開閉部)に対して正対することが望ましいので、軸部(フック部)を扉に対して斜めに取り付ける場合は、プレート部を軸部に取り付ける角度を、90度よりも取り付ける斜め角度分大きくすると、プレート部が正対する。図示の例では、一方の側部で軸部2に対して、プレート部折線85bで屈曲させて、直角に設けている。プレート部5の長さは軸部2の側部長L2より短い範囲で必要な長さをとることができる。しかし、側部長L2よりも長くすることも可能である。幅は、取付部4の長さよりも短くしているが、これに限る必要はない。プレート部5の上端を下げて設けることもでき、その場合は、取付部4との間を数センチメートル開けて、隙間の消毒ができるようにするのが適切である。
図2(c)は、ハンガーの中間部の断面図であり、軸部2とプレート部5の折角θを示している。前述のように、この折角(θ)は、直角~鈍角に設定される。
【0017】
取付部4は、保管庫の天井などに取り付けることを想定して、取付部折線85aで直角に屈曲させて水平取付部41を形成している。取付部4には、平板の状態でビス用の穴41bを形成する。
本例では、取付部側辺41aとプレート部上辺51は、基端部が一致するように設けられており、双方とも直角に屈曲して、両辺は接触するように形成される。樹脂皮膜6は両方にまたがって形成され、両辺は一体となり、消毒がしやすく、細菌等が増殖する隙間ができない。
あるいは、プレート上辺51を下に下げて、取付部側辺41aとの間に大きな隙間が形成することによっても、細菌等が増殖するような狭い隙間を形成せずに、消毒を容易にすることもできる。
【0018】
樹脂皮膜6は、アルコールなど医療現場で使用される消毒剤に耐久性のある樹脂材料が望ましい。例えば、ナイロン樹脂などが適している。
また、溶剤などを使用せずに、屈曲形成した金属状態の内視鏡用ハンガー11を高温に熱して、ナイロン粉末を被覆して、金属表面で溶融させて、皮膜を形成することができる。
樹脂に色を付けることによって、内視鏡用ハンガーを色によっても識別、管理することができる。
【0019】
図3に内視鏡用ハンガー11を保管庫などの天井部74に取りつけた使用状態を示す。内視鏡用ハンガー11の取付部を天井部74にビスなどで固定する。内視鏡は挿入部長が1330mmまでのものが多いので、フック部3を挿入部やコネクタ部の先端が保管庫の底に接触しないような高さになるようにハンガーを設置する。この固定された内視鏡用ハンガー11のフック部3に内視鏡9をかける。一般に使用されている軟性の内視鏡9は、操作部91から体内への挿入部92とコネクタ93側のコネクタコード94が分岐している。この分岐部95をフック部3にかけて保管する。内視鏡の挿入部92、コネクタ93はフリーの状態で吊られている。内視鏡は、分岐部だけで内視鏡用ハンガーと接触しているので、他部材からの菌の移植を防止できる。
また、前述したように、挿入部のコード(内部のファイバーなどを含む)やコネクタコードに癖がつかず、内視鏡保管による内視鏡の操作性に与える障害を防止できる。挿入部92の内部には、各種処置具(生検鉗子等)により採取された組織片が通過する生検鉗子チャネル(管路)があり、吸引、送気・送水チャネル(管路)はコネクター部93から挿入部92の先端まで達している。コネクターコード部94内部は吸引チューブ、送気・送水チューブ、ライトガイド(グラスファイバー)を内蔵している。内視鏡は使用後、洗浄・消毒をし、水分を取って保管されるが、挿入部及びコネクターコードを垂下して保管することにより、管内に残留した水分が完全に抜けるので、細菌の繁殖を抑止でき感染を防止することができる。
【0020】
本願発明の内視鏡用のハンガーは、金属板で一体的に形成されており、狭い溝などの隙間がないので、ハンガー自体を衛生的に保つことができる。
そして、医療器具を介した感染を防止することが重要であり、本発明によって、分岐部だけで接触した状態で、ほぼ孤立した状態で保管されており、挿入部の内部にも水分や異物が残りにくいように吊り下げられているので、衛生的に保管することができる。
また、内視鏡用ハンガーは、掛け外しの動作が簡単・単純であるので、作業性が良く、また、プレートに管理表示をすることができるので、誤認が生ずることがない。ナイロンなどの樹脂被覆を行うことによって、内視鏡用ハンガーと内視鏡本体を同じ薬剤で清掃(消毒)できることができる。同じ薬剤を使うことができることは、作業が容易になり、人材不足のなか、日本語の不案内な人材の活用も容易になる。
何種類かに着色したハンガーを使用することにより色別管理もでき、内視鏡の誤選定のリスクを低減することができる。
感染対策、医療器具の誤使用対策が求められている医療現場の要請にこたえることができる。
【実施例0021】
図4図6に実施例2の内視鏡用ハンガーの例を示す。本例は、取付部として、側方に長い腕部を設けた例である。
実施例2は、上部に設けた取付部4をプレート部5の反対側の側方に長く伸ばした腕部43とした壁面取り付け用の内視鏡用ハンガー12である。
図4に(a)内視鏡用ハンガー12の斜視図、(b)に壁側結合部、図5に内視鏡用ハンガー12の展開図、図6に内視鏡用ハンガー12の使用状態図を示す。
内視鏡用ハンガー12は、幅広の板状である軸部2の下部にフック部3、軸部2の上部から側方に伸ばした腕部43を有し、軸部2の側部にプレート部5が設けられている。腕部43が取付部4となり、腕部先端43pが接合部となる。この内視鏡用ハンガー12の表面は全体に樹脂被覆6が設けられている。
図4(b)に壁側の結合部の例が示されている。図示の例は、保管庫などの開閉部に対する奥側の奥壁面76に挿入孔46dを有するボックス型の結合部45を設けた例である。結合部45の挿入孔46dに腕部先端43pを挿入し、両者に設けられている挿入穴44b、46cの位置を合わせて、L型固定ピン46aを挿入して、抜け止め固定する。
結合部45を長くすることによって、腕部43を短くすることができ、フック部3と奥側壁面76の間隔を掛けた内視鏡に支障がない距離に設定する。
なお、この図示では、腕部を角型パイプとしたので、結合部も角側の挿入穴としたが、この組み合わせは、腕部の形状によっても異なる。また、取り付け構造をビス止めなどとすることができるので、取り付け構造は各種設定することができる。
【0022】
この内視鏡用ハンガー12は、大きな金属板から切断(あるいは、打ち抜き)などの手段で図5に示す展開図を基礎にして、折り曲げ加工によって基本形状を作成する。その後、塗装などに手段により表面に樹脂皮膜6を形成して製造する。
図5に示されるように、軸部2を中心部として、上部に取付部4となる腕部43、下部にフック部3となる部分、右側部にプレート部5となる長辺部が設けられている金属板82を展開図とする。
プレート部5とフック部3の整形は、実施例1と同様である。
【0023】
取付部4は、軸部2の上方で、プレート部5の反対側である左側に延長されている。
本例では、取付部4を幅広の横長部材44としている。この横長部材44は、折線87a、87b、87cにしたがって直角に折り曲げて4つの腕部面43a、43b、43c、43dからなる角パイプ状に形成される。
折線87aから順に外折りするとプレート5の上部を蓋状にすることができる。さらに、腕部面43a(どの面でも可能)に延長片43eを設けて、折り込むことによって、開口に蓋をすることができる。腕部43を形成する角パイプの左右の開口に蓋を設けることができ、その上に樹脂被覆を形成することによって、蓋と開口面のすり合わせ部にも樹脂皮膜が形成されるので、角パイプは密閉され、細菌などが増殖することを防止することができる。
腕部43をパイプ状とすることによって、強度が得られ、片持ち支持となる延長片43e側を壁面に固定することができる。
【0024】
一方、折線87aから順に内折りして、角パイプ状に形成することもできる。
内折りした場合、腕部面43d(43b、43cでも可)の左端に延長片43fを設けて両端に蓋を設けることもできる。あるいは、延長片43e、43fを設けずに、開口を設けた角パイプとすることもできる。開口タイプの角パイプとした場合は、内部も消毒ができる。
腕部43の形状は、4角形の角パイプに限らず、3角の角パイプあるいは湾曲整形して円筒パイプとすることもできる。
腕部の長さは、内視鏡をフック部にかけても壁面に接触しない程度とする。
なお、壁面側に設ける腕部43を取り付ける部材の形状によっても、腕部43の長さを変更することができる。上述したように、例えば、壁面側の取り付け部材(図4(b)結合部45など)を長くすることによって、その分腕部43の長さを短くすることができる。
【0025】
図6に内視鏡用ハンガー12を保管庫の奥壁面76に収容した状態を例示する。
結合部45を奥壁面76の高い位置に取り付け、結合部45の挿入孔に内視鏡用ハンガー12の腕部先端を挿入し、結合部45と腕部先端に設けてある挿入穴にL型固定ピンを差し入れて内視鏡用ハンガー12を奥壁面に76に取り付ける。その状態でプレート部5が保管庫の開閉部に面しており、フック部3が側方を向いていることとなる。その状態で内視鏡9の分岐部95をフック部3に掛ける。
結合部45の取り付け高さは、内視鏡9の挿入部92の先端及びコネクタ93の先端が保管庫の底部に接触しない高さに設定することにより、内視鏡9は垂下状態で収容されており、衛生的に保管されることとなる。
なお、前述したように、結合部45を長くすることにより、内視鏡用ハンガー12の腕部43を短くすることができる。内視鏡9が奥壁面76に接触しない場所にフック部3が位置するように結合部45と腕部43の長さを調整する。
【実施例0026】
図7-1、図7-2に実施例3に係る内視鏡用ハンガー13を示す。本例は、懸垂部などの吊り下げ形の吊りつけ部を備えた例である。
内視鏡用ハンガー13は、上部に設けた取付部を横棒に吊り下げる懸垂型に構成したものである。軸部2、フック部3、プレート部5、及び樹脂被覆6は実施例1と同様である。
懸垂部49は、プレート部5から連続して延長して上方に延びてフック上に形成されている。
図7-1の(a)(b)(c)(d)に折り曲げ加工して形成したカギ形をした上部カギ型フック49Aを備えた内視鏡用ハンガー13Aの例、図7-2の(e)(f)に曲げ加工した上部湾曲フック49Bを備えた内視鏡用ハンガー13Bの例を示す。
【0027】
図(a)は、内視鏡用ハンガー13Aの斜視図であり、軸部2の下方にフック部3、軸部2の側部にプレート部5、プレート部5の上方に上部カギ型フック49Aを備えている。
図(b)は、内視鏡用ハンガー13Aを形成する形に切り出した展開図である。軸部2、フック部3、プレート部5は実施例と同様である。取付部にあたる上部カギ型フック49Aは、プレート部5の上部に長辺状になっている。プレート部5から上方に基片49Aa、上片49Ab、先端片49Acとなり、折線86a、86bで折り曲げられて、カギ型に形成される。図示の例では、四角の取り付け棒に係止するので、直角に折り曲げられている。固定用にビス穴41bを図示しているが、固定法はビスに限らず、接着、溶接、挿入ピンなど適宜採用することができる。
また、図示の例は、上部カギ型フック49Aがプレート部5と同じ幅で延長されているが、吊り下げ重量などを満足すればよく、必ずしも同一である必要はない。
図(c)は、軸部2とプレート部5とを折線85bで折り曲げる折角度θを示し、実施例1と同様に、基本的には直角~鈍角である。プレート部を内視鏡保管庫の開閉部に正対させた際に、内視鏡に着脱操作に適した角度になるようにフック部がくるように、折り曲げ角度を決定する。
図(d)は、内視鏡用ハンガー13Aは、角係止棒78aに取り付けた例を示している。内視鏡保管庫の奥壁面76の前に左右の側壁75間に取り付けた角係止棒78aに内視鏡用ハンガー13Aの上部カギ型フック49Aを掛けてビス止めした状態を示している。角係止棒78aの外形と上部カギ型フック49Aの内形が嵌まって、固定されている。
この内視鏡用ハンガー13Aは、この状態で、プレート部5は内視鏡保管庫の開閉部に正対しており、プレート部5とフック部3は斜めになるので、内視鏡を着脱する操作が容易になる。また、内視鏡の保管姿勢も斜めになるので、保管する本数を増やすことができるとともに、内視鏡の保管状態の観察も容易になる。
角係止棒は、コ字型折板を抱き合わせて、角棒に形成することができ、抱き合わせにすることで、曲げ強度も向上する。既成の角棒を使用することもできる。素材は、金属、木材などが使用できる。
【0028】
図(e)は、内視鏡用ハンガー13Bの斜視図であり、軸部2の下方にフック部3、軸部2の側部にプレート部5、プレート部5の上方に上部湾曲フック49Bを備えている。
上部湾曲フック49Bは、軸部2の右側に設けられた湾曲状に形成された右上部湾曲フック49B-1と軸部2の左側部に設けられた左上部湾曲フック49B-2を有している。
図(f)に示す内視鏡用ハンガー13の上部の展開図が示されている。フック部3の形状は実施例1と同様であるので、省略してある。
この展開図は切り出されている金属板の形状である。軸部2の右側部にプレート部5、軸部2の右側部上方にプレート部5に続けて延びている右上部湾曲フック49B-1が設けられている。軸部2とプレート部5の間にあるプレート部折線85bでプレート部5を外折りにしたのち、右上部湾曲フック49B-1を湾曲加工する。
左上部湾曲フック49B-2は、軸部2の左側部に基部49B-2aを有し、続けて軸部2の左側部上方に延びている。軸部2と基部49B-2aの間にある基部折線85cで基部49B-2aを外折りにしたのち、左上部湾曲フック49B-2を湾曲加工する。
内視鏡用ハンガー13Bには、湾曲した上部湾曲フック49Bが形成される。横架している丸係止棒78bにこの上部湾曲フック49Bを通して、内視鏡用ハンガー13Bを保管庫などに取り付ける。
【0029】
図示した内視鏡用ハンガー13Bでは、左右に懸垂片を設けているが、片方にすることもできる。また、左上部湾曲フック49B-2の基部49B-2aを下方に延ばして左側にもプレート部を設けることができる。左右にプレート部を設けた場合は、内視鏡用ハンガーの向きを変えて用いることができる。あるいは、プレート部も左右の一方とすることもできる。
さらに、また、基部49B-2aを内折りして、左上部湾曲フック49B-2を軸部の表面側に設けることができ、左右の上部湾曲フックを軸部の表裏側に分けて形成することができる。
【実施例0030】
図8に実施例4に係る内視鏡用ハンガー14、図9に実施例4に係る他のタイプの内視鏡用ハンガー15、16を示す。この例は、懸垂型の吊り下げができるタイプの取付部を備えた例である。
内視鏡用ハンガー14は、上部に設けた取付部を係止棒に係止する懸垂型に構成したものである。軸部2の上部に左右から三角状の懸垂片を設けたものである。軸部2、フック部3、プレート部5、及び樹脂被覆6は実施例1と同様である。
図8(a)に内視鏡用ハンガー14の斜視図、図8(b)に内視鏡用ハンガー14の展開図を示す。展開図に示すような形状の金属板89が準備される。軸部2の上部の左右に懸垂片となる懸垂部材48Aが延長して設けられている。
この懸垂部材48Aは、軸部2の上部でつながっており、プレート部5とは分離されており、中央部で左右に分離されている。懸垂部材48Aは、4本の折線89b、89c、89e、89fが設けられている。各折線で区画された部分が懸垂片の部分辺である底辺48a、48d、斜辺48b、48e、先端辺48c、48fとなる。折線89bと折線89eは、軸部2の側部の延長線上にある。本例では、懸垂片の先端辺48cと48fが短いので、折線89cと折線89fは、先端側に設けられている。先端辺の大きさによって、この折線の位置は変更される。
【0031】
展開図から、懸垂部材48Aの左右を4本の折線89b、89c、89e、89fを所定の角度で内折りにし、右側の部材を軸部2の上部右折線89hを外折りして右懸垂片48-1を形成する。左側の部材を軸部2の上部左折線89iを内折りして左懸垂片48-2を形成する。左右の懸垂片は、先端辺が短い略三角形状に形成される。この懸垂片を保管庫などに設けた角棒等の係止棒に係止して使用する。棒は丸棒でも良いが、懸垂片の先端部の角度に合わせて角棒を設置することにより姿勢が安定する。
本例では、左右懸垂片のそれぞれに係止棒が係止できるように、形成してあり、2本の係止棒を使用することにより、内視鏡用ハンガー14は安定する。
正面視で左右の懸垂片の先端が重なるように形成することにより、1本の係止棒に左右の懸垂片を架けることができるようになる。
この内視鏡用ハンガー14は、プレート5の面に対して平行に懸垂部48が形成されているので、保管庫の開閉部に対して左右に設けた横棒に係止すると、プレート部が扉側向きとなるので、使いやすい。保管庫などの天井に設備などがあって、実施例1の内視鏡用ハンガー11を天井付けできないような場合にも活用できる。
【0032】
図9(a)に内視鏡用ハンガー15、図9(b)に内視鏡用ハンガー16を示す
内視鏡用ハンガー15,16は、上部に設けた取付部を係止棒に係止する懸垂型に構成したものであって、軸部2の上部に左右からコ字状あるいは弧状に曲げて、対向してできた空間に係止棒を挿入できる懸垂片を左右に設けたものである。軸部2、フック部3、プレート部5、及び樹脂被覆6は実施例1と同様である。
展開図は省略するが、図8(b)に示す展開図において、軸部2上辺を左右から切り込みを入れて底辺48a、48dが短くなるようにし、直角に折り込むことによってコ字状が形成される。先端側から所望の範囲を湾曲形成することにより、弧状形成することができる。
【0033】
内視鏡用ハンガー15は、軸部2のプレート5側の上端部側が少し切り離されて短く形成されている上部右折線89hを外折りにして、コ字状の右嵌挿片52A-1が形成されている。軸部2の左上端部側が少し切り離されて短く形成されている上部左折線89iを内折りにして、コ字状の左嵌挿片52A-2が形成されている。対向している右嵌挿片52A-1と左嵌挿片52A-2によって、四角の空間部を有する嵌挿部52Aが形成され、この空間部に角状の係止棒78を通すことによって、内視鏡用ハンガー15を係止することができる。
【0034】
内視鏡用ハンガー16は、軸部2のプレート5側の上端縁が少し切り離されていて、短く形成されている上部右折線89hを外折にして、弧状の右嵌挿片52B-1が形成されている。軸部2の左上端部側が少し切り離されて短く形成されている上部左折線89iを内折りにして、弧状の左嵌挿片52B-2が形成されている。対向している右嵌挿片52B-1と左嵌挿片52B-2によって、湾曲した空間部を有する嵌挿部52Bが形成され、この空間部に丸状の係止棒78を通すことによって、内視鏡用ハンガー16を係止することができる。
【実施例0035】
図10に実施例5に係る内視鏡用ハンガー17を示し、その展開図と折加工図を図11に示す。この例も、吊り下げ形の取付部を有するものであって、環状の挿通部としたものである。
図10に示す実施例5に係る内視鏡用ハンガー17は、上部に設けた孔タイプの取付部を、係止棒に通過させる挿通型に構成したものである。取付部は軸部2の上部に筒状の挿通孔部55を設けたものである。軸部2、フック部3、プレート部5、及び樹脂被覆6は実施例1と同様である。
図10(a)に内視鏡用ハンガー17の斜視図、図10(b)に内視鏡用ハンガー17の側面図、図11に展開図と折加工図を示す。
【0036】
図11(a)展開図に示す形状の金属板83が準備される。軸部2の中央から右側に挿通孔部55となる挿通孔部材42が延長して設けられている。
この挿通孔部材42は、左右が少し切り離されている軸部2の上部折線83gでつながっており、プレート部5の上辺とは分離されており、中央から右側に細い幅で延びている。挿通孔部材42は、4本の折線83a、83b、83c、83fが設けられている。各折線で区画された部分が挿通孔部55の部分片である底片42a、右側片42b、上片42c、左側片42d、爪片42eとなる。折線83gは、軸部2の上縁にある。
図11(b)は、3本の折線83a、83b、83cを内折り、折線83fを外折りして、折線83gの箇所で底辺42aが軸部2につながっており、孔が上下に向いた姿勢に挿通孔部55が形成されている。この11図(b)では、左側辺42dは、爪辺42eの内側になっているが、外側でも良く、両辺は重ならずに、先端線83dと先端線83eの間に空きがあっても良い。
図11(c)は、軸部2と挿通孔部55の接続部である上部折線83gを内側に折って、軸部正面に対して挿通孔が前後に貫通した挿通孔部55が形成される。
このようにして金属板83を折って成形した内視鏡用ハンガー17は、図9(a)に示す内視鏡用ハンガー15と同様に係止棒を挿通孔部55に挿通して、利用される。
【実施例0037】
図15に実施例6に係る内視鏡用ハンガー18を示す。この例も、吊り下げ形の取付部を有するものであって、軸部2の上部に設けた係止穴と上部L型フックを組み合わせて構成したものである。
実施例6に係る内視鏡用ハンガー18は、軸部2をそのまま上方に伸ばした軸部上片21に設けた係合穴21aと、この係合穴21aに係止するL形フック47aを有する上部L型フック47とから構成される、取付部を備えている。
係止穴21aは、内視鏡用ハンガーの姿勢を安定するためには、横長の穴が適しており、板を折り曲げて形成する上部L形フック47を挿入したときに、方向を一定にすることができる。
上部L形フック47は、軸側支持片47bの下側にL形フック47a、上部側に水平になっている上片47c、上辺の先端が側を下方に折り曲げた先端辺47dを備えている。軸側支持片47b、上片47c、先端辺47dの3片で係止棒78に吊りがけることができるL形に形成される。
上部L形フック47は、1枚の板状体を折り曲げて形成する。角係止棒を用いることにより、吊り下げた内視鏡用ハンガーの姿勢は安定する。
軸部2、フック部3、プレート部5は実施例1と同様に形成することができる。図示の例では、軸部上片21はプレート部5より上方になっているが、プレート部5と同じ高さであってよい。
【実施例0038】
内視鏡保管庫の例を図12、13に示す。
図12(a)は、内視鏡保管庫7の外観を示している。この内視鏡保管庫7は、内視鏡保管ユニット72上部にクリーンユニット71を備えている例である。開閉部となる扉73が前面にも設けられている。
図12(b)は、天井部74に内視鏡用ハンガー11を取り付けた内視鏡保管ユニット72aを示している。内視鏡9のコネクタ93及び挿入部92の先端が底面77に接触しない高さに内視鏡用ハンガー11が取り付けられている。内視鏡9は、操作部91から挿入部92が延び、また操作部からコネクタ93につながるコネクタコード94が延びている。コネクタコード94が操作部91から分かれている部分は高強度に形成されている分岐部95となっている。この分岐部95を利用して、内視鏡用ハンガー11のフック部に係止する。
図12(c)は、内視鏡用ハンガー11の取り付け状態を拡大した図を示している。天井部74に取付台座79を設け、この取付台座79に内視鏡用ハンガー11を斜めに取り付けてある。
図12(d)は、内視鏡用ハンガー11の取り付け状態の下面視である。フック部3が正面側(保管庫の開閉部側)に斜めに向くように取付部4の先端辺をθ2(取付角度)右に振って取り付けてある。「取付角度θ2+90度=折角度θ」とすることにより、プレート5は保管庫の開閉面に正対することになる。この例では、取付角度θ2を20度としてあるので、折角度θは110度となる。
図12(e)は、天井部74に内視鏡用ハンガー11を取り付ける取付台座79の例を示している。内視鏡用ハンガー11を内視鏡保管庫の天井部74に直接取り付けることも可能であるが、天井には、クリーンエアの吹き出し口や他の設備も取り付けられる為、複数の内視鏡用ハンガー11を取り付ける作業が面倒なので、取付台座79に一旦、内視鏡用ハンガー11を取り付けて、その取り付け台座79を天井部74に取り付けるようにする。
取付台座79の形状は特に規定はないが、本例では、箱型に折り曲げ、縁を外側張り出して、取付縁としている。本例の取付台座79の前面は、傾斜をつけており、内視鏡を出し入れる際に、角部が邪魔にならないようにしている。
この取付台座79に複数の内視鏡用ハンガー11を正面に対してθ2分斜めにビス止めする。複数の内視鏡用ハンガー11が取り付けられた取り付け台座79の縁を内視鏡保管庫の天井部74にビス止めする。
【0039】
図13(a)は、 奥壁面76に設けた結合部45に内視鏡用ハンガー12を取り付けた内視鏡保管ユニット72bを示している。
図13(b)は、 両側の側壁面75の上部に設けた係止棒78に内視鏡用ハンガー13を取り付けた内視鏡保管ユニット72cを示している。側壁面に設けた係止棒には、内視鏡用ハンガー14、15、16、17も取り付けることができる。
本発明の内視鏡用ハンガーは、フック部が奥側に傾斜した傾斜底面となっているので、分岐部を内視鏡用ハンガーにかけることによって、コネクタ部を奥側、挿入部が手前(扉側)となり、挿入部側に傾いて外れることがない。そして、プレート部が扉側に向いているので、プレート部に管理表などを表示することにより、内視鏡の取り違いなどの発生を防止することができる。
【0040】
そして、保管状態でも、内視鏡と内視鏡用ハンガーを同じ薬剤で消毒することができるので管理も容易である。さらに、壁面などの保管庫内面も同じ消毒剤を使用できる塗装などを施すことにより、保管庫全体の衛生管理も容易となり、感染対策に有効である。
本例に示す内視鏡用ハンガーは上部にクリーンユニットを設けない内視鏡保管庫にも適用することができることは言うまでもない。また、既存の内視鏡保管庫に本発明の内視鏡用ハンガーを取り付けて改修することもできる。
【0041】
本発明の内視鏡保管庫では、内視鏡9の分岐部95を内視鏡用ハンガーにかけて、挿入部92とコネクタ部93を自由状態でぶら下げるように保管される。内視鏡の挿入部のコードやコネクタのコードは垂下しており、保管に伴う曲がりくせがつかず、利用時に操作性に障害とならない姿勢で保管されることとなる。
挿入部92は、内視鏡の外表面、内部には処置具や採取された組織片が通過する管路、送気・送水、体液や血液を吸引する管路が通っているので、挿入部を真直ぐに垂れ下がっていることは、管路内に水分などが残らず、乾燥状態に保たれることとなり、感染対策として重要なことである。
またコネクター93とコネクターコード94とを垂下することで、コネクターコード94内部の管路内にも水分が残らず、乾燥状態に保たれることとなり、さらに細菌の繁殖を抑止でき感染対策としてのレベルが格段に増すことになる。
【符号の説明】
【0042】
1、11、12、13、14、15、16、17、18 内視鏡用ハンガー
2 軸部
21 軸部上片
21a 係合穴
3 フック部
33 傾斜底部
34 フック先端辺

4 取付部
41 水平取付部
42A 挿通孔部材
42a 底片
42b 右側片
42c 上片
42d 左側片
42e 爪片
43 腕部
43a、43b、43c、43d 腕部面
43e、43f 延長片
43p 腕部先端
44 横長部材
45 結合部
46a L型固定ピン
44b、46c 挿入穴
46d 挿入孔
47 上部L型フック
47a L型フック
47b 軸側支持片
47c 上片
47d 先端片

48、49 懸垂部
48-1 右懸垂片
48-2 左懸垂片
48A 懸垂部材
48a、48d 底辺
48b、48e 斜辺
48c、48f 先端辺
49-1 右懸垂片
49-2 左懸垂片
49A 上部カギ型フック
49Aa 基片
49Ab 上片
49Ac 先端片
49B 上部湾曲フック
49B-1 右上部湾曲フック
49B-2 左上部湾曲フック
49B-2a 基部

5 プレート部
51 プレート部上辺
52A、52B 嵌挿部
52A-1、52B-1 右嵌挿片
52A-2、52B-2 左嵌挿片
55 挿通孔部
6 樹脂被覆部

7 内視鏡保管庫
71 上部にクリーンユニット
72 内視鏡保管ユニット72
73 扉
74 天井部
75 側壁
76 奥壁面
77 底面
78 係止棒
78a 角係止棒
78b 丸係止棒
79 取付台座

8、81、82、83、89 金属板
83a、83b、83c、83f 折線
83g 上部折線
83d、83e 先端線
84、84a、84b、84c、84d フック部折線
85a 取付部折線
85c 基部折線
87a、87b、87c 折線
89b、89c、89e、89f 折線
89h 上部右折線
89i 上部左折線

9 内視鏡
91 操作部
92 挿入部
93 コネクタ
94 コネクタコード
95 分岐部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15